2020年末時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2021年12月27日公開)
1万円前半のこのクラスは、エプソン・キャノン共にローエンドモデルに位置づけられる2機種の内の上位モデルという位置づけの製品だ。そのため、インク数やそのほかの機能に、これよりも上位の機種とは一線が引かれている。一方で、用途を限定すれば十分使いやすいといえる。2機種にどのような違いがあるのだろうか。 |
メーカー | エプソン | キャノン | |||
型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
製品画像 | ![]() |
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実売価格(メーカーWeb/税込) | 12,078円 | 13,750円 | |||
インク | 色数 | 4色 | 4色 | ||
インク構成 | ブラック シアン マゼンタ イエロー |
顔料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
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カートリッジ構成 | 各色独立 | 黒独立、カラー3色一体 | |||
顔料/染料系 | 顔料(黒)/染料(カラー) | 顔料(黒)/染料(カラー) (ChromaLife100) |
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インク型番 | マグカップ | 360XL/361XL(大容量) 360/361(標準容量) |
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ノズル数 | 357ノズル | 1792ノズル | |||
カラー:各59ノズル 黒:180ノズル |
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
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最小インクドロップサイズ | N/A(3pl?)(MSDT) | N/A(2pl?) | |||
最大解像度 | 5760×1440dpi | 4800×1200dpi | |||
高画質化機能 | − | − | |||
印刷速度 | L判縁なし写真(メーカー公称) | 70秒 | 36秒 | ||
A4普通紙カラー(ISO基準) | N/A | 6.8ipm | |||
A4普通紙モノクロ(ISO基準) | N/A | 13.0ipm | |||
(税込) |
L判縁なし写真 | 28.3円 | 大容量:27.8円 標準:32.5円 |
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A4カラー文書 | 14.6円 | 大容量:18.5円 標準:24.9円 |
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A4モノクロ文書 | N/A | N/A | |||
(税込) |
顔料ブラック | 1,859円 | 大容量:3,212円 標準容量:2,112円 |
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カラー | 各y814円 | 大容量:3,135円 標準容量:2,365円 |
まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。EW-452AもPIXUS TS5430も4色インク構成で、ブラックインクだけが顔料インク、カラーインクが染料インクという構成は同じだ。写真や年賀状の通信面、ファイン紙など普通紙以外への印刷時は顔料インクが使えず、カラー3色での印刷となる。カラー3色で黒を表現するが、どうしても完全な黒にはならず、濃いグレーや濃い茶色となってしまう。そのため、黒のメリハリの弱い印刷となってしまうため、写真や年賀状の画質は上位モデルよりかなり劣る。最小インクドロップサイズは、EW-452Aはカタログ上には非掲載だが3plとなっており、PIXUS TS5430も非公開ながら、海外の同等モデルを参考にすると、おそらく2plと予想される。PIXUS TS5430は比較的小さいが、EW-452Aは上位モデルよりかなり大きくなっており、粒状感の面でも劣ることになる。全く印刷できないほどでは無いが、上位機種との差は大きく、いずれにしても写真を高画質に印刷する目的のプリンターでは無いだろう。一方、普通紙印刷の場合は、ブラックインクが使用できるため、十分綺麗に印刷できる。普通紙印刷の場合、染料インクでは紙に染みこむためインクが広がってしまい、線が太くなったり中抜き文字がつぶれてしまう上に、コントラストが弱くなる傾向がある。また水に濡れると滲んでしまう弱点もある。一方、顔料インクはメリハリのある印刷が行え、耐水性も高い。両機種とも、黒インクだけだが顔料インクを採用しているため、黒文字などはメリハリのある印刷が行える。完全な黒ではないグレーの部分やカラーの中に混ざっている場合には染料のカラーインクを混ぜて作り出す場合があるため、全ての黒色部分で顔料インクの恩恵が得られるわけでは無いが、コピーや文書印刷では印象がだいぶ良くなる。普通紙印刷やコピーがメインなら十分高画質と言えるだろう。 ノズル数も上位モデルよりも少なくなっており印刷速度に影響が出ている。EW-452AはMSDTという3つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しているが、L判写真印刷速度は70秒とかなり遅めだ。EW-452Aはカラー各59ノズル、ブラック180ノズルで、上位モデルのカラー、モノクロ共に180ノズルと比べると、カラーのノズル数が3分の1に減っている事が影響したと思われる。一方、PIXUS TS5430はL判写真が36秒と、EW-452Aの倍の速度となっている。PIXUS TS5430も上位機種と比べてノズル数は減っており、カラーが各384ノズル、ブラックが640ノズルだが、上位モデルのイエロー以外が各1024ノズル、イエローが512ノズルと比べると、全体に減っているものの、カラーインクだけが大幅に減っているわけでは無いため、36秒と実用的な速度になっていると思われる。画質面では写真を印刷する事は少ないと思われるが、いざ印刷する場合はPIXUS TS5430の方がストレスは少ない。 一方、文書の印刷速度はPIXUS TS5430はカラーが6.8ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが13ipmとなっており、上位モデルの10ipmと15ipmと比べると多少低下するものの、十分実用的だ。EW-452Aは文書印刷速度を公開していないが、海外の同スペックのモデルでは、カラー5ipm、モノクロ10ipmとなっており、近い速度となっていると思われる。やはりPIXUS TS5430よりは遅いが、写真印刷速度と比べると差は縮まっている。EW-452Aは文書印刷向けのチューニングがなされている可能性がある。少なくとも文書印刷に関してはEW-452Aでも十分実用的な速度と言えるだろう。両機種とも文書印刷がメインと思われる機種だけに、普通紙の印刷速度は重要と言える。その点ではEW-452Aでも問題ないが、PIXUS TS5430の方が印刷枚数が多い場合などには便利だろう。 ちなみに、使用するインクは、EW-452Aは上位モデルとは異なり「つよインク200」などの耐保存性の高いインクにはなっていない。そのため、写真を印刷した場合に色あせが早いと思われる。一方、PIXUS TS5430は上位機種と同じ「ChromaLife100」となっており、アルバム保存100年を実現している。印刷速度の面でも耐保存性の面でも、PIXUS TS5430は(画質を妥協すれば)写真印刷にも使える性能なのに対して、EW-452Aは文書印刷専用といえるだろう。 印刷する上でもう一つ重要なのが印刷コストだ。ここで両機種には違いがあり、EW-452Aは各色独立インクカートリッジとなっており、無くなった色だけ交換できるのに対して、PIXUS TS5430はカラー3色が一体型カートリッジとなっており、1色でも無くなると交換が必要になり無駄が出る事になる。この点が印刷コストにどう影響するかが重要だ。まず、L判写真の場合、EW-452Aは28.3円、PIXUS TS5430が27.8円とほぼ同等だ。写真の場合、カラーインクは比較的均等に使われ、無駄が少ないため一体型カートリッジのPIXUS TS5430でもEW-452Aと変わらないレベルとなったと思われる。ちなみに、PIXUS TS5430の27.8円というのは大容量インクカートリッジを使用した場合で、標準容量を使用した場合は32.5円となる。一方、文書の印刷速度はEW-452Aは14.6円、PIXUS TS5430が18.5円とEW-452Aの方が2割ほど安くなる。PIXUS TS5430で標準容量インクカートリッジの場合は更に高くなり24.9円だ。文書印刷では色が偏りやすいため、一体型カートリッジの弱点が現れた形だ。またインクカートリッジ1セットの価格はEW-452Aは4,169円、PIXUS TS5430は大容量で6,347円、標準容量で4,477円となる。PIXUS TS5430の場合、大容量インクカートリッジならばEW-452Aと印刷コストは大きな差にはならないが、インクカートリッジの価格が高い分、印刷可能枚数が多いため、印刷枚数が少ないユーザーは使い切れずに無駄が出てしまう危険性がある。標準容量だとEW-452Aとインクカートリッジの価格は大差なくなるが、今度は印刷コストが大幅に上がってしまい悩ましい。その点では低価格なインクカートリッジでも安い印刷コストのEW-452Aは使い勝手が良いとも言える。 これら2機種は文書印刷がメインと考えられるが、それを考えるとやはり各色独立しているEW-452Aの方が経済的だと言える。ちなみに、年賀状印刷でもやはり色が偏る傾向があるため、EW-452Aの方が良いだろう。 |
型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
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対応用紙サイズ | カード・名刺〜A4 | 名刺〜A4 | |||
給紙方向 (セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
○ (100枚/30枚/20枚) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
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前面 | − | 【カセット】 普通紙のみ (100枚/−/−) |
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その他 | − | − | |||
排紙トレイ自動伸縮 | − | − | |||
用紙種類・サイズ登録 | ○(給紙口カバー連動) | ○(カバー(背面)連動) | |||
用紙幅チェック機能 | − | ○(セット時・用紙サイズ表示) |
続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。EW-452Aは背面給紙のみのシンプルな構成だ。横幅を合わせるだけでセットできるため簡単だが、一方で用紙をセットしたままだとホコリが積もってしまい、そのまま使うと故障の原因になる。そのため、使い終わったら取り除くことが望ましいため、不便と言えるだろう。また、背面給紙トレイは後方に傾く為、本体後方にスペースが必要になる。給紙可能枚数は、A4普通紙で100枚、ハガキで30枚、写真用紙で20枚となる。一方、PIXUS TS5430は前面給紙カセット+背面給紙となっている。前面給紙カセットは普通紙専用で、A4/B5/A5用紙しかセットできないが、用紙を常時セットしておいてもホコリが積もらず、後方にスペースも不要だ。A4普通紙を100枚までセットできる。さらに背面給紙もあるため、前面給紙カセットにA4普通紙等をセットしたまま、ハガキや写真用紙、ファイン紙などを使用できる。背面給紙は普通紙にも対応(100枚)するため、サイズの異なる普通紙をセットできるほか、前面給紙カセットと背面給紙両方に同じ用紙をセットして200枚までの連続印刷も可能となる。ハガキや写真用紙や背面給紙からとなり、ハガキは40枚、写真用紙は20枚までセットできる。背面給紙の場合はEW-452Aと同じでホコリが積もる点と後方にスペースが必要な点は同じだが、2種類の用紙を使い分けられる面で、PIXUS TS5430は非常に便利と言えるだろう。ちなみにPIXUS TS5430の前面給紙カセットは一見すると本体に完全収納されているようだが、この状態ではA5用紙しかセットできない。A4/B5用紙をセットする場合は、カセットを伸ばす必要があり、そうすると本体に収納した際にカセット部が44mm前に飛び出る事となる。排紙トレイよりは前に飛び出ないため、使用時は気にならないが、一番利用されると思われるA4サイズで綺麗に収納できないのは残念と言える。 対応用紙は最大はA4で、最小はL判より小さな名刺サイズに対応する。特にエプソンの場合、上位モデルで名刺サイズに非対応の機種があるため、下位モデルながら対応するのは驚きと言える。名刺サイズに直接印刷できると、フチなしデザインや、数枚だけの印刷にも対応しやすい。 両機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、EW-452AやPIXUS TS5430の背面給紙は給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。そして、この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。さらに、PIXUS TS5430用紙幅をチェックするセンサーを搭載しており、用紙の登録に利用される。前面給紙カセットの場合は、普通紙のみであることから、横幅から用紙サイズが確定できるので、用紙の登録画面自体が表示されず、センサーで認識した用紙サイズを自動登録することで手間を省いている。背面給紙の場合は、予測されるサイズが表示されるが、用紙の種類は認識できず、サイズも横幅が似ている用紙の場合もあるため、登録画面が表示される。 |
型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
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自動両面印刷 | ○ | ○(普通紙のみ) | |||
自動両面 印刷速度 |
A4カラー文書 | N/A | N/A | ||
A4モノクロ文書 | N/A | N/A | |||
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 | − | − | |||
写真補正機能 | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(自動写真補正) | |||
特定インク切れ時印刷 | ○(黒だけでモード・5日間のみ) | −(常時片方のカートリッジで印刷可能/Windowsのみ) | |||
自動電源オン/オフ | −/○ | ○/○ | |||
廃インクタンク交換 | ○(メンテナンスボックス交換可) | − | |||
フチなし吸収材エラー時の対応機能 | ○(フチあり印刷継続可) | − |
その他、プリントの付加機能を見てみよう。まず両機種とも自動両面印刷機能を搭載している。ただし、PIXUS TS5430は普通紙のみの対応となる一方、EW-452Aは普通紙だけでなくハガキなどにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できる点は便利だ。CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能は両機種とも対応しない。 最近では搭載機種が増えてきた「自動電源オン」機能はPIXUS TS5430のみ搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能で、無線LAN接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、排紙トレイが引き出された状態でないと印刷は実行されないため、排紙トレイを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。この点は上位機種とは異なる点だ。とはいえ排紙トレイを引き出せば印刷が実行されるところまでは進んでいるし、排紙トレイを出したままにしておけば自動的に印刷が行われる。一方、指定した時間が経つと自動的に電源が切れる「自動電源オフ」は両機種とも搭載している。 EW-452Aの便利な機能が、ユーザーによる廃インクタンク交換機能とフチなし吸収材エラー時の印刷継続機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、一般的には満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。PIXUS TS5430もこの形だ。一方、EW-452Aはインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(1,078円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。さらに、EW-452Aはフチなし吸収材が満タンになったときも、便利になっている。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、従来機種やPIXUS TS5430はプリントが完全に止まってしまうが、EW-452Aはフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているのである。急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるため便利な機能だ。どちらも、長く使う事を考えた安心の機能と言えるだろう。 |
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型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
製品画像 | ![]() |
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最大スキャンサイズ | A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
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読み取り解像度 | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | |||
センサータイプ | CIS | CIS | |||
原稿取り忘れアラーム | − | − | |||
スキャンデーターのメモリーカード保存 | − | − |
続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は両機種とも1200dpiで同等だ。上位機種より解像度が下がっているが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当となる点から見ても、十分だと言えるだろう。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。 |
型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
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ダイレクトプリント | メモリーカード | − | − | ||
USBメモリー | − | − | |||
赤外線通信 | − | − | |||
対応ファイル形式 | − | − | |||
色補正機能 | − | − | |||
手書き合成 | − | − | |||
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ | −/− | −/− | |||
PictBridge対応 | − | ○(Wi-Fi) | |||
各種デザイン用紙印刷 | フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜) | − |
メモリーカードからのダイレクト印刷に関しては両機種とも搭載しない。PIXUS TS5430はデジタルカメラの操作でプリントできるPictBridgeには対応するが、USB接続方式には対応せずWi-Fi方式のみ対応なので、対応機種はかなり限られる。一方、EW-452Aは本体だけで罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜が印刷できるフォーム印刷機能を備えている。 |
型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
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スマートフォン連携 | アプリ | メーカー専用 | Epson Smart Panel (EPSON iPrintにも対応) |
Canon PRINT Inkjet/SELPHY | |
AirPrint | ○ | ○ | |||
対応端末 | iOS 11.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 13.0以降 Android 5.0以降 |
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スマートスピーカー対応 | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | |||
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 | ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) | |||
写真プリント | ○ | ○ | |||
ドキュメントプリント | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | |||
Webページプリント | ○ | ○ | |||
スキャン | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | |||
クラウド連携 | プリント | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | |
オンラインストレージ | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | |||
SNS | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | |||
写真共有サイト | − | ○(googleフォト/image.canon) | |||
スキャン | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | ||
スキャンしてオンラインストレージにアップロード | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive) | |||
メールしてプリント | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | − | |||
LINEからプリント | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | |||
リモートプリント | ○(リモートプリントドライバー) | ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) | |||
スキャンしてリモートプリント | − | − |
スマートフォンとの連携機能も両機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、両機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンの名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、両機種とも手軽に接続出来る工夫がなされている。iOSの場合は、両機種とも本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了するという方式だ。セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無いため非常に簡単だ。一方、Androidの場合は両機種で方式が異なる。EW-452Aはアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、プリンター本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で、iOS同様に非常に簡単だ。PIXUS TS5430はiOSと同じく標準カメラアプリによるQRコード読み取りでの接続となる。非常に簡単に接続出来るが、Android 10.0以降の対応となるため、かなり新しい端末でしか使用できない点は注意が必要だ。両機種とも少しでも簡単に接続できるよう工夫されていると言えるが、Androidの場合は対応機種が幅広いEW-452Aの方がやや便利と言えるだろう。 また、両機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。PIXUS TS5430はLINE Clova対応端末にも対応している。EW-452Aは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。PIXUS TS5430はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のもの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。 クラウドとの連携機能も両機種とも搭載されている。プリントの場合、オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS TS5430は写真共有サイトからの印刷も可能だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。両機種とも、プリント・スキャン共にスマートフォンのアプリ上からの操作となり、上位機種の様にプリンター本体のみでクラウドからプリントしたり、スキャンしてアップロードする事はできない。 さらにネットワークを利用したプリント機能として、EW-452Aは、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のEW-452Aで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS TS5430LINEのトーク画面から印刷する「PIXUSトークプリント」と、パソコン上のファイルをリモートプリントする「PIXUSでリモートプリント」機能を搭載する。ただし、「PIXUSでリモートプリント」は通常のプリント操作のままリモートプリントが出来るのでは無く、ファイルをアップロードする方式で、Windows 11/10でEdge又はChromeからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPointに限定される。特別な操作が必要なく、プリントできるソフト上からなら形式を問わないEW-452Aと比べると使いにくい印象だ。リモートプリント機能はEW-452Aの方が豊富だ。 |
型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
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等倍コピー | ○ | ○ | |||
拡大縮小 | 倍率指定 | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ||
オートフィット | ○ | ○ | |||
定型変倍 | − | − | |||
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー | − | − | |||
写真焼き増し風コピー | − | − | |||
割り付け(2面/4面) | ○/− | ○/− | |||
その他のコピー機能 | 濃度調整 | 濃度調整 | |||
バラエティコピー | 見開きコピー IDコピー |
− |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、両機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物を搭載している。ただし、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能は両機種とも搭載していない。さらに、両機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。また、濃度調整機能も両機種とも搭載する。 バラエティコピー機能を見てみよう。EW-452AはA4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付コピーする「見開きコピー」と、免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」を搭載する。「見開きコピー」は通常の2面割付と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。低価格モデルながらコピー機能は便利に作られている。 |
型番 | EW-452A | PIXUS TS5430 | |||
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液晶ディスプレイ | 1.44型 (角度調整可) |
1.44型 モノクロ有機EL (角度調整可) |
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操作パネル | 物理ボタン (角度調整可) |
物理ボタン (角度調整可) |
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インターフェイス | USB他 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | ||
無線LAN | IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
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有線LAN | − | − | |||
対応OS | Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.13.6〜 (AirPrint使用) |
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外形寸法(横×奥×高) | 375×300×170mm | 425×315×147mm (前面給紙カセット伸張時425×359×147mm) |
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重量 | 4.3kg | 6.3kg | |||
本体カラー | ホワイト | ブラック/ホワイト/ピンク |
操作パネルと液晶ディスプレイは本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている点では2機種とも同等だ(EW-452Aは液晶を中央に、PIXUS TS5430は右に寄せているためイメージは異なるが)。ただし、EW-452Aは水平に近くまで角度調整が可能で、好きな角度で止めることが出来るが、PIXUS TS5430は40度ほどしか調整できず、途中の角度で固定する事は出来ない。液晶は両機種とも1.44型と比較的小さめだ。ただEW-452Aはカラー液晶なのに対して、PIXUS TS5430はモノクロ液晶だ。有機EL液晶となっており黒地に白文字でコントラストは高いが、1色だけでグラフィカルな表示もほとんど無いため、視認性はEW-452Aに劣る。操作パネルは両機種とも物理ボタン操作だが、EW-452Aは上下左右の4方向カーソルボタンに加えて「+」「−」、「OK」、「戻る」と言った主要なボタンを一通り備えており、操作性は悪くない。一方PIXUS TS5430は4方向カーソルではなく上下カーソルのみで、「+」「−」ボタンも無いなど、ボタン数が非常に少なくなっている。液晶が小さいこともあって、各種メニューの階層が深くなっており、この点でも操作性はEW-452Aに劣るといえる。PIXUS TS5430はスマートフォンからの操作を基本としているという事で、本体から離れた場所で操作しても状態が分かるように操作パネル下部の部分にライン状の「LEDのステータスバー」を搭載し、給紙中やエラー、プリント完了などが分かるようになっているが、操作性の面ではEW-452Aに軍配が上がる。 インターフェースは両機種ともUSB2.0に加えて、無線LAN(Wi-Fi)接続にも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、EW-452A/PIXUS TS5430を無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンはダイレクト接続という名称)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。 対応OSはメーカーによる差が大きい。EW-452AはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、PIXUS TS5430はWindows 7 SP1/8.1/10/11のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSも10.13.6以降となるだけでなく、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、インク残量確認や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。 本体サイズを見てみよう。EW-452Aが375×300×170mm、PIXUS TS5430が425×315×147mmとなる。高さはPIXUS TS5430が小さいが、幅と奥行きはEW-452Aの方がかなり小さい。EW-452Aは背面給紙が必須だが、PIXUS TS5430は前面給紙を使用する事で後方のスペースが無くても利用できるが、今度は前面給紙カセットが飛び出て、奥行きは359mmとなってしまう。どちらにしても、設置スペース面ではEW-452Aが有利だ。ちなみに本体のカラーバリエーションはEW-452Aはホワイトのみ、PIXUS TS5430はホワイトとブラックに加えてピンクを用意している。 上位機種と異なり、普通紙印刷とコピーがメインという点では同じ両機種だが、細かい点で差があるため、その点が選ぶ上での決め手となる。まず印刷コストを気にするなら独立インクカートリッジを採用するEW-452Aがオススメだ。小さいながらもカラー液晶を搭載し、操作パネルも使いやすいため、コピーなどがメインでも使いやすいだろう。廃インクタンクの交換が可能な点で長く使う上でも安心だし、ハガキ対応の自動両面印刷も搭載し、本体もコンパクトだ。印刷速度は遅めとは言え、文書印刷なら十分実用的な範囲だ。癖が少なく、特にこだわりが無いならEW-452Aが一般的にオススメと言えるだろう。一方、印刷速度を少しでも気にする場合はPIXUS TS5430がオススメだ。また、給紙も前面と背面の2方向となっており、その点が気に入った場合や、普通紙を常時セットしておきたい場合もPIXUS TS5430の方が使いやすいだろう。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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