プリンター徹底比較
2021年末時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2022年2月25日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


ファクス付きA3複合機(タンク・大容量カートリッジ方式)
 
 A3ノビ/A3のプリントとA3のスキャンに対応したファクス機能付き複合機である。その中で印刷コストが安いエプソンのエコタンク、ブラザーのファーストタンク搭載の4機種を比較する。エプソンからはPX-M6712FT(159.978円)とPX-M6711FT(129,978円)が、ブラザーからはMFC-J6999CDW(112,200円)とMFC-J6997CDW(92,400円)が該当するが、いずれも本体価格は高い。また、4機種の間でも価格差が大きいが、どのような違いがあるのだろうか。細かく検証する。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込) 153,978円 120,978円 112,200円 92,400円
インク 色数 4色 4色 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 エコタンク方式
(「挿すだけ満タン」インク方式)
エコタンク方式
(「挿すだけ満タン」インク方式)
ファーストタンク方式
(インクカートリッジ+サブタンク方式(200枚分)
ファーストタンク方式
(インクカートリッジ+サブタンク方式(200枚分)
顔料/染料系 顔料
(DURABrite ET)
顔料
(DURABrite ET)
顔料
(マゼンダに一部染料が含まれる)
顔料
(マゼンダに一部染料が含まれる)
インク型番 IT08番 IT08番 LC3139 LC3139
ノズル数 3200ノズル 1568ノズル 1680ノズル 1680ノズル
全色:各800ノズル カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
全色:各420ノズル 全色:各420ノズル
最小インクドロップサイズ N/A(3.8pl(MSDT)?) N/A(3.8pl(MSDT)?) 1.5pl 1.5pl
最大解像度 4800×1200dpi 4800×2400dpi 1200×4800dpi 1200×4800dpi
高画質化機能 PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi)
ノズル自己診断システム
PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi)
ノズル自己診断システム
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) N/A N/A N/A N/A
A4普通紙カラー(ISO基準) 25.0ipm 12.0ipm 20.0ipm 20.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 25.0ipm 25.0ipm 22.0ipm 22.0ipm
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 N/A N/A N/A N/A
A4カラー文書 2.2円 2.2円 4.1円 4.1円
A4モノクロ文書 0.9円 0.9円 0.8円 0.8円
インク1本の印刷枚数
(カラー文書)
ブラック 7,500ページ 7,500ページ 6,000ページ 6,000ページ
カラー 6,000ページ 6,000ページ 5,000ページ 5,000ページ
インク1本の価格
(税込)
ブラック 5,720円 5,720円 4,400円 4,400円
カラー 各2,750円 各2,750円 各5,500円 各5,500円

 それでは、プリントの画質・速度・コスト面を見てみよう。4機種とも4色インク構成というのは同等だ。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色だけで、顔料インクを採用している。顔料インクは普通紙への印刷時に染料インクのような用紙へのしみこみが少なく、インクが広がりにくいので、クッキリとしたメリハリのある印刷が行えるというメリットがある。そのため、細かな線や小さな文字、中抜き文字もつぶれず綺麗に印刷できる。また、耐水性も高いというメリットもあり、濡れた手で触ったりマーカーで線を引いても滲まない点も便利である。そのため、パソコンから普通紙への印刷や、普通紙コピー、年賀状印刷に向いている他、ファクス機能を使う時も、受信したファクスを普通紙に印刷する際に高画質、高耐水で印刷が出来る。ただし、顔料インクにはデメリットもあり、写真用紙に印刷すると、発色はあまり良くなく、また写真用紙本来の光沢感も薄れポストカードのような鈍い光り方になってしまう。そのため、これら4機種は普通紙印刷をメインにした機種を言える。
 顔料インクである点や4色インクである点から、写真印刷に向いているとは言いがたいが、4機種に差がある。PX-M6712FTPX-M6711FTは、最小インクドロップサイズは非公開ながら海外の同モデルから予想すると3.8plと思われる。家庭用複合機の写真印刷向けの機種では1.5plなので、ドットはかなり大きい、一方、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは1.5plとかなりドットが小さい。写真印刷や年賀状印刷だけでなく、普通紙に印刷した文書中の写真やグラフなどで粒状感がMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWの方が少ないと言えるだろう。では画質はMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWが全てにおいて上かと言われると、そうでもない。PX-M6712FTPX-M6711FTはPrecisionCoreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度が600dpiと高くなっている。文字の輪郭や細い線もより鮮明になっている他、より色鮮やかな発色で印刷できるようになっており、普通紙への印刷時に特有の沈んだ色ではなくなっている。逆にMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは、全色顔料インクと言う表現には注意書きが添えられており、マゼンダに一部染料が含まれている。そのため、マゼンダを使用する部分でも画質や耐水性が劣るという注意点が書かれており、通常の顔料4色より若干劣ることになる。粒状感の面ではMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWに軍配が上がるが、文字や図面などの鮮明さという点ではPX-M6712FTPX-M6711FTの方が良いと言えるだろう。また、PX-M6712FTPX-M6711FTにはノズル自己診断システムが搭載されており、ヘッドのドット抜けを印刷ジョブごとに自動検知して調整してくれるため、何百枚も印刷したのに途中から筋が入ってやり直しといった無駄が省ける様になっている。
 印刷速度を見てみると、PX-M6712FTが最も高速で、カラー、モノクロ共に25.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)である。卓上レーザープリンターにも引けを取らない速度であると共に、インクジェットプリンターでは特殊な機種を除いて最高速クラスである。続いてMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWがカラー20.0ipm、モノクロ22.0ipmでやや劣るがこちらも十分高速だ。PX-M6711FTはカラーが遅く12.0ipmだが、モノクロはMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWより速い25.0ipmとなる。カラーが大きく劣るのは、PX-M6712FTが全色800ノズル、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは全色420ノズルで、カラーインクとブラックインクに差が無いが、PX-M6711FTはブラックが800ノズル、カラーが各256ノズルとカラーが大幅に少ないためだ。モノクロプリントがメインならPX-M6711FTでも全く問題が無いが、カラーもよく使う場合は他の3機種の方が利便性は良いといえる。
 さて、これらの機種はPX-M6712FTPX-M6711FTがエコタンク方式、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWがファーストタンク方式で、どちらも「タンク」という名称が付けられているが、実態は大きく異なる。PX-M6712FTPX-M6711FTのエコタンク方式は実際にタンク方式で、インクボトルからタンクにインクを補充して使用する。それに対して、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWのファーストタンク方式は、インクカートリッジを使用する従来方式で、カートリッジが超大型となっている。ではどこがファースト「タンク」なのかというと、内部に200枚分のサブタンクを搭載しており、インクカートリッジから常に200枚分のインクを確保しておくことで、インク切れの前にインクカートリッジの交換を可能とした方式だ。ファーストタンク方式は、ユーザーから見ればインクカートリッジ方式なので、慣れた方式で安心感があるのはメリットだ。インクが無くなったらインクカートリッジを交換すれば良いし、インクカートリッジへのアクセスは本体前面の右側のカバーを開けるだけなので簡単に交換が可能だ。サブタンクのおかげで、残り印刷枚数が200枚を切った時点で交換が可能なので、事前に交換ができて、大量印刷でもインク切れがおきにくい。
 では、エコタンク方式は大変なのかというと、そうでも無い。本体左側にエコタンクが内蔵されており、上部のカバーを開けると注入口が出てくる。PX-M6712FTPX-M6711FTは第2世代とも言うべき「挿すだけ満タン」インク方式のエコタンクだ。ボトルのキャップを外し、注入口に挿し込むと自動的に注入が始まり、満タンになると自動ストップする。ボトルと注入口の形状を色ごとに変えてあるので間違った色のタンクに注入してしまう心配は無いし、ボトル自体もインクをこぼしにくい仕組みになっている。カバーを開けてボトルを挿し込むだけなので、インクカートリッジの交換と比べて特別難しくは無い。エコタンク方式にはメリットもある。まずインクを途中でも補充が可能という点だ。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWでもサブタンクを搭載するが、サブダンクに入りきらない程度の残量で大量印刷する場合は対応しきれない。エコタンクなら、印刷前にインクを補充しておけば、インク切れの心配は無い。また時間のある時や、補充に慣れた人が、減ってきた時に補充しておけば、使用する人はインク切れを気にしないで使用できる。また、複数台のPX-M6712FTPX-M6711FTを使用する場合、インクを分け合えるため、2台のインクが切れかけているが、ボトルが1本しか予備が無かったという場合に、半分ずつ補充する事も可能だ。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWのファーストタンク方式は、従来のインクカートリッジのままでさらに使いやすく、PX-M6712FTPX-M6711FTのエコタンクは、従来のインクカートリッジと手間は変わらず、よりフレキシブルに使用できる様になったと言えるだろう。
 印刷コストを見てみよう。PX-M6712FTPX-M6711FTはA4カラー文書が2.2円、A4モノクロ文書が0.9円である。対してMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはカラーが4.1円、モノクロは0.8円となっている。モノクロ文書ではMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWがわずかに安いが、一方でカラー文書はPX-M6712FTPX-M6711FTが圧倒的に安い。モノクロ文書の差は1枚0.1円なので、1万枚印刷して1,000円の差だが、カラーは1.9円の差なので1万円印刷すると19,000円も差が出てしまう。やはり、消耗品かシンプルなボトルであるエコタンク方式の方が印刷コストは安いといえる。また、PX-M6712FTPX-M6711FTで満タンまで補充した状態でA4カラー文書を印刷すると、PX-M6712FTPX-M6711FTはブラックインクは7,500ページまで、カラーインクは6,000ページまで印刷が可能だ。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはインクカートリッジを交換した状態それぞれ6,000ページと5,000ページで、やや少なくなる。交換頻度は若干PX-M6712FTPX-M6711FTの方が少なくなるが、どちらも大量印刷に耐えうる枚数となっている。ちなみにインクボトルやインクカートリッジの価格は、PX-M6712FTPX-M6711FTはブラックが5,720円、カラーが各2,750円で、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはブラックが4,400円、カラーが5,500円となる。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWの方が印刷枚数が少ないが、ブラックインクは価格もその分安いため、モノクロ印刷の印刷コストでやや安くなっている一方、カラーインクはPX-M6712FTPX-M6711FTの方が印刷可能枚数が多いにも関わらず価格が半額なので、カラー印刷の印刷コストの差につながっていることが分かる。
 ちなみに、同梱のインクだが、PX-M6712FTPX-M6711FTでは、別売りのインクボトルと同等のものとなっており、エコタンクを満タンの状態にできる。初期充填でかなりの量を使ってしまい、残りの量は公表されていないが、海外の同機能のモデルではブラックインク2,800ページ、カラーインク4,500ページとなっており、近いページ数が印刷できると思われる。一方のMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはスターターインクカートリッジとなっており、こちらも初期充填後の印刷枚数などは公表されていない。ただ、このスターターインクカートリッジは、「大容量」タイプのインクカートリッジとなっている。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWのインクカートリッジは1種類のサイズしか無いが、A4プリントの機種では、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWと同じ印刷枚数の「超・大容量」タイプと、印刷枚数が少ない「大容量」タイプがあり、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWに同梱するスターターインクカートリッジは、この印刷枚数が少ない方になっているという。こちらはブラックが3,000枚、カラーが1,500枚と、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDW用の別売りのインクカートリッジと比べるとかなり少なくなっている。ここから初期充填でかなりの量を使うので、さらに少なくなる。公式には非公表ではあるが、初期設定後に印刷可能枚数を表示すると、ブラックが2,000ページ前後、カラーが1,000ページ前後となるという。同梱インクで印刷できる枚数は、ブラックインクが800ページ、カラーが3,500ページほどPX-M6712FTPX-M6711FTの方が多く印刷できる事になり、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDW換算で12,000円分ほどのインク量の差となる。PX-M6712FTPX-M6711FTの方が本体価格が高いが、同梱インクでの印刷枚数を考慮に入れるなら、もう少し価格は近づくと考えられる。

プリント(給紙・排紙関連)
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A3 L判〜A3
長尺用紙 長さ6,000mmまで 長さ6,000mmまで 長さ431.8mmまで 長さ431.8mmまで
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(50枚/20枚/20枚)

(50枚/20枚/20枚)

(100枚/50枚/20枚)
0.52mm厚対応

(100枚/50枚/20枚)
0.52mm厚対応
前面 【カセット上段】
A3以下
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
普通紙A3〜A5
(250枚/−/−)
【カセット上段】
A3以下
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
普通紙A3〜A5
(250枚/−/−)
【カセット上段】
(250枚/30枚/20枚)
【カセット中段】
普通紙のみ・A4以上
(250/−/−)
【カセット下段】
普通紙のみ・A4以上
(250/−/−)
【カセット上段】
(250枚/30枚/20枚)
【カセット下段】
普通紙のみ・A4以上
(250/−/−)
その他
排紙トレイ自動伸縮 ○(A4/A3伸張量自動調整) ○(A4/A3伸張量自動調整)
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙サイズ自動検知機能搭載
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙サイズ自動検知機能搭載
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙残量検知機能搭載
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙残量検知機能搭載
用紙幅チェック機能 ○(印刷時) ○(印刷時)

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は、PX-M6712FTPX-M6711FTは最大サイズがA3ノビ、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはA3までとなる。A3は297×420mmなのに対して、A3ノビは329×483mmであり、PX-M6712FTPX-M6711FTの方が一回り大きなサイズまで印刷が出来る。普通紙ではA3ノビはあまり見かけないが、それ以外の用紙ではA3ノビを使用する事もできるほか、非定型のサイズの用紙や封筒などに印刷する場合に重宝するかもしれない。また、最小サイズは4機種ともL判(89×127mm)だが、PX-M6712FTPX-M6711FTは用紙幅64mmまでは対応している。B6ハーフサイズのプライスカードなどに用いられるサイズで、小売店などで重宝されそうだ。一方、長尺印刷もMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWが長さ431.8mmまでと、ほぼA3サイズまでしか使用できないのに対して、PX-M6712FTPX-M6711FTは6,000mm(6m)まで対応する。垂れ幕や横断幕の印刷に便利そうだ。対応用紙は似ている様で、PX-M6712FTPX-M6711FTの方が幅広く使用できる。
 給紙に関して4機種とも前面給紙カセット+背面給紙の2方向給紙となっている。4機種とも前面給紙カセットにA3の用紙までセットできるが、A4用紙以下のサイズの場合は本体に完全収納できるが、B4やA3の場合は給紙カセットを伸ばす必要があり、本体から前に飛び出す形になる。排紙トレイよりは飛び出ていないので、使用時は気にならないだろうが、排紙トレイを収納した際には飛び出しが気になる場合もあるだろう。ちなみにPX-M6712FTPX-M6711FTはA3ノビプリントに対応しているが、前面給紙カセットはA3までとなる。カセット1段にA4普通紙で250枚までセットできるので、大量給紙が可能だ。この前面給紙カセットがMFC-J6999CDWを除く3機種は2段、MFC-J6999CDWは3段搭載しているのが違いだ。つまり、全てのカセットに同じサイズの用紙をセットした場合、MFC-J6999CDW以外は500枚、MFC-J6999CDWは750枚までの給紙に対応することもできる。一方、それぞれのカセットにA3とA4や、普通紙と両面普通紙のように別々の用紙をセットして使い分けることもできるが、MFC-J6999CDW以外は2種類、MFC-J6999CDWは3種類までセットできることになる。ただし、上段以外は普通紙に限定され、PX-M6712FTPX-M6711FTはA5以上、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはA4以上となる。
 一方の背面給紙は、PX-M6712FTPX-M6711FTは普通紙を50枚までセットできる。A3ノビサイズもこちらからとなる。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは普通紙を100枚までセットできる他、0.52mm厚の厚紙まで対応する。通常のプリンターでは0.3mm前後が限界なので、やや分厚い紙でもプリント可能だ。背面給紙はMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWの方が機能は豊富だ。ちなみに、ハガキのセット枚数で見てみると、PX-M6712FTPX-M6711FTは前面給紙カセットに65枚、背面給紙に20枚の計85枚、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはそれぞれ30枚と50枚で計80枚となり、ほぼ同等である。ただし、前面給紙カセットでのセット枚数に大きな差があるため、常時セットしておく場合は前面給紙カセットの方がホコリが積もらず良いので、ハガキを印刷する場合はPX-M6712FTPX-M6711FTの方が便利そうだ。
 それ以外の機能として、PX-M6712FTPX-M6711FTは排紙トレイの自動伸縮機能が搭載されている。印刷時に排紙トレイが自動的に伸張されるので、排紙トレイを出し忘れて印刷物が床に散らばってしまう心配が無い。またA4とA3で伸張量を調整するため、A4プリントなのに無駄に最大まで伸張して邪魔になるという事も無い。
 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙の場合はカセットを挿し込むと、背面給紙の場合は用紙をセットすると自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。この際、PX-M6712FTPX-M6711FTは用紙サイズを自動で検出する機能を搭載するため、違うサイズの用紙をセットした際の手間が軽減されている。さらに、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能も搭載しており、用紙サイズが印刷設定より小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部を汚さないように工夫がなされている。一方のMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは用紙残量を検知する機能を搭載しており、用紙が無くなった場合だけで無く、少なくなった場合でも液晶にメッセージが表示されるので気づきやすい。枚数を多く印刷していたら、用紙切れで数枚で止まっていたという事態を防ぐことができる。それぞれ機能は異なるが、使いやすい様に工夫がなされている。

プリント(付加機能)
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
自動両面印刷 ○(1枚目反転と同時に2枚目印刷)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 21.0ipm 9.0ipm 11.0ipm 11.0ipm
A4モノクロ文書 21.0ipm 16.0ipm 12.0ipm 12.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷 ○(クロだけ印刷・最大30日) ○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ −/○ −/○ −/− −/−
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能 ○(フチあり印刷継続可) ○(フチあり印刷継続可)

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は4機種とも搭載しており、いずれもA3まで対応している。また、ハガキの両面印刷にも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。ただしその印刷速度には大きな違いがある。自動両面印刷の場合、表を印刷した後、そのままもう一度プリンター内に吸い込まれ、前面給紙の場合と同じくプリンター後方で180度方向転換することで、裏返しているわけだが、これに時間がかかってしまい、両面印刷時は印刷速度が極端に低下してしまう。PX-M6712FTは「両面高速紙送り機構」として、1枚目表の印刷時に2枚目を給紙しておき、1枚目を裏返している間に2枚目表を印刷、2枚目を裏返している間に1枚目裏を印刷するという方式を取っている。裏返すのに時間がかかる間に次を印刷することで、時間を無駄にしないという手法だ。また印刷する内容によっては乾燥時間も必要になるが、2枚目の印刷を待つため、その間に1枚目表のインクがより乾くため安心だ。これにより、自動両面印刷でも21.0ipmという高速印刷を実現している。片面印刷が25.0ipmである事を考えると、ほとんど速度が低下していない。一方、「両面高速紙送り機構」を採用しないPX-M6711FTはカラーが9.0ipm、モノクロは16.0ipmとなる。モノクロの片面印刷での速度はPX-M6712FTと同等なので、「両面高速紙送り機構」の有無による差と言える。一方、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはカラーが11.0ipm、モノクロが12.0ipmとPX-M6711FTと比べても速度低下率が大きく、片面印刷時は大きな速度差があったカラーでも速度が近づき、モノクロでは差が出てしまっている。両面印刷を多用する人はこのあたりの速度も注目点だ。
 画質的には写真印刷には向かないが、PX-M6712FTPX-M6711FTは写真自動補正機能「オートフォトファイン!EX」に対応している。逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。
 カラーインクが切れた時でも、モノクロ印刷が継続できる機能は、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWのみ搭載している。「クロだけ印刷」という機能で、最大30日で、コンセントを抜くなど電源供給が無くなるか空のカートリッジを外すと、その後は使えなくなるという制限があるが、新しいインクカートリッジを買いに行くまでの緊急対応が行える。一方PX-M6712FTPX-M6711FTは途中でインクをつぎ足すことができることから、早い段階でインクの予備が無い事に気づきやすいため、同様の機能は搭載されていなくてもさほど問題にはならないだろう。。
 その他、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能はPX-M6712FTPX-M6711FTのみ搭載している。さらに、PX-M6712FTPX-M6711FTは交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)にも対応している。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、これら2機種は、インクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(2,618円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。一方、フチなし吸収材(フチなし印刷時は用紙サイズより少し大きめにプリントする事で実現しており、そのはみ出したインクを吸収させるもの)が満タンになった場合は修理対応となるが、こちらも「フチあり」印刷に限っては印刷が継続できる機能を搭載する。とりあえず、急ぐ印刷だけを行っておき、時間に余裕のある時に修理に出すことが可能だ。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは通常の使用では廃インクパッドの交換が必要ない事をウリにしているが、そもそも廃インクパッドとは、どのインクジェットプリンターでもそういうものであり、交換が必要になる事は多くは無い。それでも印刷枚数やクリーニング回数が多かったり、使い方によっては満タンになる事があり、その際にユーザーによる交換が可能か、修理対応となってしまうかは安心感に大きな違いがある。

スキャン
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
原稿サイズ A3(297×431.8mm) A3(297×431.8mm) A3(297×431.8mm) A3(297×431.8mm)
読み取り解像度 1200×2400dpi 1200×2400dpi 1200×2400dpi
(ADFは600×600dpi)
1200×2400dpi
(ADFは600×600dpi)
センサータイプ CIS CIS CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF 原稿セット可能枚数 50枚 50枚 50枚 50枚
原稿サイズ A3/B4/A4/B5/A5/レター/リーガル A3/B4/A4/B5/A5/レター/リーガル ハガキ〜A3
長尺900mmm対応
ハガキ〜A3
長尺900mmm対応
両面読み取り ○(同時両面) ○(同時両面)
読み取り速度 カラー 9.0ipm 9.0ipm N/A(11.0ipm?) N/A(11.0ipm?)
モノクロ 26.0ipm 26.0ipm N/A(11.0ipm?) N/A(11.0ipm?)
スキャンデーターのメモリーカード保存 ○(JPEG/PDF/PDA/A/TIFF) ○(JPEG/PDF/PDA/A/TIFF) ○(JPEG/PDF/TIFF) ○(JPEG/PDF/TIFF)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。4機種ともA3対応のスキャナーを搭載しており、読み取り解像度は最大1200×2400dpi、CIS方式という点も同等だ。家庭向けの機種ではもっと高解像度の機種があるが、紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分といえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる。なお、4機種ともCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。
 また、4機種ともADFを搭載している。50枚までの原稿を重ねてセットすれば順に給紙してスキャンしてくれるため、複数の原稿のスキャンやコピー、ファクス時に重宝する。また、このADFは両面スキャンにも対応しているため、両面原稿でも安心だ。しかし、ここで機能差がある。PX-M6712FTPX-M6711FTは、フラットベッドスキャナと共通のCISセンサーを使うため、片面ずつしかスキャンできない。そのため一度片面をスキャンした後、自動的にもう一度給紙して裏面をスキャンするという方式である。両面原稿の場合、1枚に倍以上の時間がかかってしまう。一方MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは、フラットベッドと共通のCISセンサーとは別に、反対面にADF用のCISセンサーも搭載する。そのため、一度で両面をスキャンできるため、理論上は両面でも1枚当りのスキャン時間は片面と変わらないというメリットがある。両面スキャンを多用する場合はMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWの方が便利だ。ちなみに対応サイズは、最大は4機種ともA3だが、最小サイズはPX-M6712FTPX-M6711FTがA5サイズなのに対して、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはハガキサイズまで対応する。より小さい用紙まで使えるのは便利だろう。ただし、ハガキ「サイズ」であって、ハガキのスキャンには対応できない。というのも対応する用紙は、PX-M6712FTPX-M6711FTが坪量95g/uまで、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは坪量90g/uまでと変わらない。郵便ハガキは230g/u程度と言われているため、厚すぎるのである。4機種とも、給紙後にすぐに方向転換のためかなり急に曲げられてしまうため、厚めの紙や硬めの紙はADFでは使用できない。なお、ADFを使用した場合MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは長尺読み取りに設定すると、A3サイズ(長さ420mm)を超える900mmまでスキャンできるのはメリットだ。
 ADF使用時の読み取り速度も重要だ。PX-M6712FTPX-M6711FTはカラーが9.0ipm(ipm=image per minute:1分間に何面をスキャンできるか)、モノクロが26.0ipmとモノクロが特に高速だ。一方MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはipm値を公表していないが、海外の同機能のモデルを参考にするとカラー、モノクロ共に11.0ipm程度では無いかと思われる。また、これは片面スキャン時の速度と思われるため11枚/分の読み取り速度となる。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは両面スキャンでも速度は同等となっているため、両面スキャン時は1枚で2面となり、ipm値は倍の22.0ipmとなる。つまり、片面スキャンの場合はカラーはMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWの方がやや速く、モノクロはPX-M6712FTPX-M6711FTが圧倒的に速いという事になる。一方、両面スキャンの場合、カラーはMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWが圧倒的に速く、モノクロはほぼ同等という事になる。カラーなのかモノクロなのか、片面なのか両面なのか、よく使う原稿の種類によって利便性は異なってくる。
 なお、4機種ともスキャンした原稿をパソコンを使わずメモリーカード又はUSBメモリー(MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはUSBメモリーのみ)に保存する機能を搭載している。

ダイレクト印刷
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード メモリーカードリーダー対応 メモリーカードリーダー対応
USBメモリー
(外付けHDD対応)

(外付けHDD対応)
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したファイルのみ) JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したファイルのみ) JPEG/PDF(2GB未満) JPEG/PDF(2GB未満)
色補正機能 フチなし/フチあり
赤目補正
フチなし/フチあり
赤目補正
フチなし/フチあり
明るさ補正(5段階)
コントラスト補正(5段階)
フチなし/フチあり
明るさ補正(5段階)
コントラスト補正(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/− −/− −/−
PictBridge対応
各種デザイン用紙印刷

 ダイレクト印刷機能は、4機種とも対応しているが、いずれもメモリカードリーダーは搭載しておらず、USBポートだけである。そのためUSBメモリー内のデーターの印刷がメインとなる。ただし、PX-M6712FTPX-M6711FTはUSBポートにパソコン用のメモリカードリーダーを接続する事により、SDカードやメモリースティックなど各種メモリカードに対応できる。またUSBメモリーだけで無くUSB接続の外付けハードディスクにも対応しているなど、対応は豊富だ。一方、対応するファイル形式は、PX-M6712FTPX-M6711FTはJPEG、TIFF、PDF、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはJPEGとPDFとなる。画質的に写真印刷向きの機種では無い事から、文書の印刷がメインとなると思われるため、4機種ともPDFの印刷に対応している。ただし、それぞれに制限がある。PX-M6712FTPX-M6711FTは前述のスキャンしてメモリーカードに保存したPDFファイルにのみ対応する。つまり、スキャンしてUSBメモリー等にデジタル化しておいた原稿を再印刷するという用途に限定される。一方、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWもファイルサイズ2GB未満となっており、高画質だったりページ数が多い場合は印刷が出来ない。
 ちなみに、写真印刷向きでは無いとは言え、写真の印刷ももちろん可能だ。液晶内に表示される一覧から写真を選んで印刷できる。その際、フチあり、フチなしの選択も可能だ。その際、撮影日を入れることも可能で、一通りの機能は備えている。その他、PX-M6712FTPX-M6711FTは赤目補正を、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは明るさとコントラスト補正を行うことも可能だ。PX-M6712FTPX-M6711FTは自動写真補正機能である「オートフォトファイン!EX」も利用可能だ。

スマートフォン/クラウド対応
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
Brother iPrint&Scan Brother iPrint&Scan
AirPrint
対応端末 iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 11.0以降
Android 4.0.3以降
iOS 11.0以降
Android 4.0.3以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(NFC(Android)) ○(NFC(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/− ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT)
本体でプリント操作が必要
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT)
本体でプリント操作が必要
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能も4機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、4機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、また、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、4機種とも手軽に接続出来る工夫がなされている。PX-M6712FTPX-M6711FTは、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定はより簡単になっている。一方のMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはNFCに対応しており、タッチするだけで接続が完了する。ただし、こちらは端末がAndroid限定で、NFCに対応している必要がある。使う機会は限定されるとはいえ、少しでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。
 また、PX-M6712FTPX-M6711FTはスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどとの印刷に対応している。
 さらに、クラウドとの連携機能も4機種とも搭載している。プリントの場合、オンラインストレージのファイルを印刷する事が可能で、主要なクラウドサービスに対応してる。PX-M6712FTPX-M6711FTはSNSの写真をコメント付きでも印刷する事も可能だ。ここで大きな違いは、PX-M6712FTPX-M6711FTはスマートフォンのアプリからアクセスするのに対して、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはスマートフォン上だけでなくMFC-J6999CDWMFC-J6997CDW本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではMFC-J6999CDWMFC-J6997CDWが便利だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、4機種とも本体の操作でアップロードまで行うことも、スマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるのは便利だ。
 さらにリモートプリント機能も4機種とも搭載している。まず、印刷したい写真や文書を本機にメールするだけで印刷できる「メールプリント」(PX-M6712FTPX-M6711FT)または「メール添付印刷」(MFC-J6999CDWMFC-J6997CDW)機能を搭載する。ただし、PX-M6712FTPX-M6711FTはメールを受信すると自動的にプリントされるが、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは受信後24時間以内に、本体操作で送信元を選んでプリントを実行する必要があるため、PX-M6712FTPX-M6711FTの方が手間がかからない。さらに、PX-M6712FTPX-M6711FTは、スキャンしてを離れた場所の対応複合機で印刷、またはその逆が行え簡易ファクスのように使える「メールdeリモート印刷」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のPX-M6712FTPX-M6711FTで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。

コピー機能
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面) ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
その他コピー機能 プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
濃度調整
地色除去コピー
裏写り除去コピー
インク節約モードコピー
濃度調整
地色除去コピー
裏写り除去コピー
インク節約モードコピー
バラエティコピー IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
見開き→2ページコピー
ソート(1部ごと)コピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
見開き→2ページコピー
ソート(1部ごと)コピー
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
2枚に分割
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
2枚に分割
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行える「定型変倍」機能に加え、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える高性能な物を搭載している。また、2枚又は4枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付け、4面割り付けにも対応する。
 その他、濃度調整機能は4機種とも搭載する。また、背景色を除去する機能も「背景除去機能」「地色除去機能」として搭載している。それ以外の違いとしては、PX-M6712FTPX-M6711FTはプレビューが行え、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できるのも便利だ。また、コントラスト、鮮やかさ、色調、シャープネス、色相の調整も可能だ。色調調整は、レッド・グリーン・ブルーを個別に調整できる。かなり高度な色の調整が可能で、好みの色や、原稿の色に近づけたコピーが可能だ。一方、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは「裏写り除去コピー」が行える他「インク節約モード」も搭載する。「インク節約モード」は全体に色を薄くするのでは無く、文書の文字はそのまま残しつつ、見出しなどの大きな文字や、グラフ、色囲みなどは、輪郭だけを残して内側の色を薄くすることで、見やすさを落とさずにインク使用量を減らすことができる。
 4機種とも様々なバラエティーコピー機能も搭載している。免許証などの両面の小さな原稿を、1枚の用紙に裏表並べてコピーできる「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能、周囲や綴じ目部分にできる影を消す「影消しコピー」又は「ブックコピー」、本などを見開きでスキャンし左右に分割して1ページごと用紙にコピーする「見開き→2ページコピー」又は「2枚に分割コピー」、ADFを利用した機能として、複数ページの複数部をコピーするときに1部ずつまとめてコピーする「ソート(1部ごと)コピー」又は「ソートコピー」といった機能は4機種とも共通で搭載している。これに加えて、PX-M6712FTPX-M6711FTはパンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載している。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはすかし文字を入れてコピー出来る「透かしコピー」と、1枚の原稿を複数枚に拡大コピーすることで、貼り合わせてA3を超えるサイズにできる「ポスターコピー」機能を搭載する。「ポスターコピー」は1×2、2×2、3×3が選べる。エプソンとブラザーで一部機能は異なるが、豊富な機能を搭載し、様々な場面で便利に使えるだろう。

ファクス機能
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
通信速度 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps
画質設定 モノクロ 8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(精細)
8dot/mm×15.4line/mm(高精細)
16dot/mm×15.4line/mm(超高精細)
全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(精細)
8dot/mm×15.4line/mm(高精細)
16dot/mm×15.4line/mm(超高精細)
全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン)
8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン)
8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
カラー 200×200dpi 200×200dpi 203×196dpi(標準・ファイン) 203×196dpi(標準・ファイン)
送信原稿サイズ A3〜A5 A3〜A5 A3/B4/A4 A3/B4/A4
記録紙サイズ A3ノビ/A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター A3ノビ/A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター A3/B4/A4 A3/B4/A4
受信ファクス最大保存ページ数 550枚/200件 550枚/200件 400枚/N/A件 400枚/N/A件
データー保持(電源オフ/停電) ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
ワンタッチ 8件(4件+シフト押し4件) 8件(4件+シフト押し4件)
アドレス帳 200件 200件 100件(1件あたり2番号登録可) 100件(1件あたり2番号登録可)
グループダイヤル 199宛先 199宛先 198宛先 198宛先
順次同報送信 200宛先 200宛先 250宛先
(電話帳200宛先+手入力50宛先)
250宛先
(電話帳200宛先+手入力50宛先)
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信 ○/○ ○/○ −/− −/−
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
受信ファクスを メール送信
共有フォルダ保存 −(Dropbox/Evernote/googleドライブ対応) −(Dropbox/Evernote/googleドライブ対応)
外部メモリー保存 ○(USBメモリー・各種メモリーカード(カードリーダー接続時)) ○(USBメモリー・各種メモリーカード(カードリーダー接続時))
PCファクス 送受信 送受信 送受信 送受信

 ファクス機能は4機種はほぼ同等のもの搭載する。スーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。もちろん両面スキャンしファクスできるため便利だ。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85line/mmの標準モード、8dot/mm×7.7line/mmの精細又はファインモード、8dot/mm×15.4line/mmの高精細又はスーパーファインモードに設定できる。加えて、PX-M6712FTPX-M6711FTはさらに高精細な、16dot/mm×15.4line/mmの超高精細モードが設定できる。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはファインモードと読取操作線密度は同じだが、写真を含む原稿に向いている写真モードも設定できるが、PX-M6712FTPX-M6711FTは全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択が可能であり、自由度はPX-M6712FTPX-M6711FTの方が高い。とはいえ4機種で多少の違いはあるが大きな差はないだろう。カラーはPX-M6712FTPX-M6711FTが200×200dpi、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは203×196dpiだ。送信原稿サイズはPX-M6712FTPX-M6711FTがA3〜A5サイズ、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはA3/B4/A4で、PX-M6712FTPX-M6711FTはB5とA5サイズに対応しているのは便利だ。受信したファクスの印刷も様々なサイズに対応している。受信したファクスはPX-M6712FTPX-M6711FTが550枚又は100件分、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは400枚(件数は不明)まで保存でき、電源オフだけでなく、停電時やコンセントが抜けた場合でも受信した内容が保持されるのは安心である。
 ダイヤル機能としては4機種ともアドレス帳に電話番号を200番号登録できる点では同じだが、PX-M6712FTPX-M6711FTは200件登録出来るのに対して、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは100件で、1件あたり2番号を登録できるだけなので、件数で見るとPX-M6712FTPX-M6711FTの方が倍登録出来る。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはこれに加えて8件のワンタッチダイヤルも登録できる。正確には1〜4までのボタンとシフトボタンの組み合わせで8件となっており、より簡単にダイヤルできる。一方、PX-M6712FTPX-M6711FTはクイックダイヤルボタンが用意され、このボタン+アドレス帳の登録番号でダイヤルができるようになっている。
 その他、グループダイヤル、順次同報送信、自動リダイヤルなどを備えているため、一般的な家庭用ファクス電話以上の事が可能だ。PX-M6712FTPX-M6711FTはポーリング送受信も可能だ。また、送信するファクスを液晶で確認してから送信する「見てから送信」と、受信したファクスの内容を液晶で確認した上で印刷するか決めることで用紙を節約できる「見てから印刷」機能も4機種とも備える。受信したファクスは、指定したアドレスにメールできるため、外出時でもファクスが確認できる他、PX-M6712FTPX-M6711FTは共有フォルダに保存したり、USBメモリーやメモリーカードに保存も出来、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはクラウドにアップロードが出来るため、情報共有も行いやすい。
 さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能を備えているのも便利である。送信(パソコン上のデーターを画像として送信)だけでなく、受信(パソコン上にファクスのデーターを受信)することもできる。なお、ファクス機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際、ファクス/電話自動切り替え機能にも対応している。4機種はワンタッチダイヤルや受信ファクスの扱いなど微妙な差はあるが、ほぼ同じと考えて良いだろう。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番 PX-M6712FT PX-M6711FT MFC-J6999CDW MFC-J6997CDW
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型
(角度調整可)
4.3型
(角度調整可)
3.7型
(角度調整可)
3.7型
(角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/8/7 SP1
MacOS 10.11.6〜
Windows 11/10/8.1/8/7 SP1
MacOS 10.11.6〜
耐久枚数 20万枚 20万枚 15万枚 15万枚
外形寸法(横×奥×高) 515×500×350mm 515×500×350mm 575×477×445mm 575×477×375mm
重量 21.5kg 21.5kg 27.7kg 24.1kg
本体カラー ホワイト ホワイト ホワイト系 ホワイト系

 操作パネルを見てみよう。4機種ともタッチパネル式の液晶パネルを搭載しつつ、テンキーなど、一部は物理ボタンとして用意する事で、操作性を高めている点は共通だ。本体前面に配置され、持ち上げて角度調整が可能なので、見やすい角度に調整が出来て操作性が良いのも共通だ。液晶サイズはPX-M6712FTPX-M6711FTは4.3型、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは3.7型と若干の違いがあるほか、視野角や輝度などの面でPX-M6712FTPX-M6711FTの方が視認性は良い。とはいえ4機種とも操作性は良好だ。
 インターフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクトに対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、壁にLANコネクターがある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。さらに、PX-M6712FTPX-M6711FTはIEEE80.211ac/aにも対応し、5GHz帯にも対応する。IEEE802.11acはIEEE802.11nと比べると通信速度が圧倒的に速いため、無線LAN接続時でも待たされる心配が無い。さらに、IEEE802.11ac/n/a通信時は、5GHz帯の電波を使用できる。MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWの2.4GHz帯は、Bluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすいが、5GHz帯は無線LAN専用といえるので、通信が安定する。無線LANでの接続を考えているなら、この差は注目だ。
 対応OSにも差がある。PX-M6712FTPX-M6711FTはWindows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3と幅広く対応している。マイクロソフトのサポートが終了したWindows VistaやXPにも対応しているのは安心だ。MacOSも10.6.8以降と比較的古いバージョンから対応している。一方、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWはWindows 11/10/8.1/8/7 SP1となり、Windows VistaやXPには対応しない。MacOSも、10.11.6以降となり、PX-M6712FTPX-M6711FTよりは新しいバージョンからの対応となる。使用するパソコンのOSには注意したい。耐久枚数はPX-M6712FTPX-M6711FTが20万枚、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWが15万枚をうたっている。家庭用の機種が1万〜1万5000枚程度と言われているため、どちらも大量印刷でも安心だ。差はあるが、一般的にプリンターの寿命は5年なので、1ヶ月あたり、PX-M6712FTPX-M6711FTは3,333枚、MFC-J6999CDWMFC-J6997CDWは2,500枚が目安となる。それ以下というならば、耐久性の差はあまり気にならないといえる。
 本体サイズはPX-M6712FTPX-M6711FTが515×500×350mm、MFC-J6999CDWが575×477×445mm、MFC-J6997CDWが575×477×375mmでとなる。前面給紙カセットが3段のMFC-J6999CDWは高さが大きくなるのは仕方が無いとして、同じ2段のPX-M6712FTPX-M6711FTMFC-J6997CDWを比較すると、PX-M6712FTPX-M6711FTの方が幅が60mm、高さが25mm小さい。また奥行きは、PX-M6712FTPX-M6711FTはエコタンク部分だけが飛び出ているので、それ以外の場所は450mmとなり、MFC-J6997CDWより27mm小さい。PX-M6712FTPX-M6711FTの方が全体に一回り小さい印象だ。



 印刷コストが安く、本体価格が高い4機種だが、思いの外似ている部分も多い事が分かる。一方で、タンク方式と大容量カートリッジ方式では印刷コストに差があるほか、印刷速度やスキャナー部にも違いがある。前面給紙カセットが3段のMFC-J6999CDWは、MFC-J6997CDWとカセット段数が異なるだけなのでとりあえず置いておいて、同じ2段のPX-M6712FTPX-M6711FTMFC-J6997CDWで考えてみよう。まず気になるのは本体価格の差だろう。そこで印刷コストの差と考えると、PX-M6712FTPX-M6711FTMFC-J6997CDWではカラープリントで1枚1.7円の差がある。1万枚印刷するとPX-M6712FTPX-M6711FTの方が17,000円の安くなる。また同梱インクの量の差もあり、前述のように海外モデルや実際の使用時の残量表示から、MFC-J6997CDW換算で約11,000円分PX-M6712FTPX-M6711FTの方が多い。MFC-J6997CDWと比べるとPX-M6711FTは25,980円、PX-M6712FTは55,980円高いが、PX-M6711FTで約8,800枚、PX-M6712FTで約26,500枚で逆転する。これらの機種のユーザーは印刷枚数が多いことが予想されるため、十分に逆転可能で、後々の印刷コストを考えればPX-M6712FTPX-M6711FTの方がお得だ。もちろんモノクロ印刷では印刷コストに差がほぼ無いため、本体価格差は縮まらない。しかし、少なくとも本体価格だけを見て決めるのは勿体ないと言えるだろう。
 ではそれ以外で見てみると、まず普通紙印刷の画質で考えればPX-M6712FTPX-M6711FTがオススメだ。マゼンダの一部に染料インクが含まれるMFC-J6997CDWに比べて、PX-M6712FTPX-M6711FTは完全な全色顔料で、さらに普通紙への印刷解像度も高く、ノズル自己診断システムも搭載している。その中でも印刷速度をとにかく重視するならPX-M6712FTだ。片面印刷が25ipmと高速なだけで無く、両面印刷も高速だ。一方、モノクロ印刷が主体ならばPX-M6711FTも片面印刷の速度は変わらない。両面印刷はPX-M6712FTより劣るが比較的高速だ。一方カラーもモノクロも印刷するが、両面印刷は行わないならMFC-J6997CDWでもそう劣らない。A3ノビに対応している点や、64mm幅の用紙、6mまでの長尺用紙に対応している点、リモートプリントなどの機能、コピー時の細かな色補正、本体の操作性やコンパクトさという点が気に入ったならPX-M6712FTPX-M6711FTがオススメだ。無線LANをメインに使うという場合も同じくといえる。耐久性も高く、廃インクタンクも交換可能なので印刷枚数が多くても安心と言える。一方、ADFの同時両面スキャンや長尺スキャン機能、インク節約コピーなどの機能が気になるならMFC-J6997CDWもオススメと言えるが、PX-M6712FTPX-M6711FTと比べると突出して優れた部分は少ない。逆に言えば本体価格が安く、モノクロ印刷メインなら印刷コストも変わらないので、前述のPX-M6712FTPX-M6711FT独自の機能や印刷速度に惹かれず、モノクロ印刷メインならMFC-J6997CDWで十分と言えるだろう。残るMFC-J6999CDWは前面給紙カセットが3段という、他には無いメリットがあるが、それ以上にカラーの印刷コストや印刷速度、その他の機能が気になるならPX-M6712FTPX-M6711FTを選ぶという点もあるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
ブラザーhttps://www.brother.co.jp/


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