プリンター徹底比較
2021年末時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2022年3月26日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


ファクス付きA4複合機(タンク方式・大容量カートリッジ方式)
 
 ファクス機能付きA4複合機の中で、従来のインクカートリッジ方式では無く、エコタンク・ギガタンクと呼ばれる、タンクを搭載した複合機、又はファーストタンクよ呼ばれる、タンク式に対抗する超大容量のカートリッジを採用した複合機を比較する。エプソン(エコタンク)からは、PX-M791FTEW-M674FT、キャノン(ギガタンク)からはGX7030G7030、ブラザー(ファーストタンク)からはMFC-J4540NMFC-J4440Nの6種となるが、EW-M674FTは54,978円、G7030は49,478円、MFC-J4540Nは55,500円、MFC-J4440Nは49,450円と価格的にも近く比較しやすい一方、PX-M791FTは98,978円、GX7030は79,750円と圧倒的に高く、また両者の間にも2万円近い差がある。果たしてどのような違いがあるのか、近い価格帯の4製品のどれがオススメなのか見ていくと共に、PX-M791FTGX7030には価格差の価値があるのかも見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
型番 エプソン エプソン キャノン キャノン ブラザー ブラザー
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込) 98,978円 55,558円 79,750円 49,478円 55,500円 49,500円
インク 色数 4色 4色 4色 4色 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式)
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式)
ファーストタンク方式
(カートリッジ方式・各色独立)
ファーストタンク方式
(カートリッジ方式・各色独立)
顔料/染料系 顔料
(DURABrite ET)
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年)
顔料 染料(カラー)/顔料(黒)
新顔料ブラック
顔料 顔料
インク型番 IT08番 ヤドカリ(顔料)
ハリネズミ(染料)
36番 30番 416XL(超・大容量)
416(大容量)
416XL(超・大容量)
416(大容量)
付属インクボトル インクボトル各色1本 インクボトル各色1本 インクボトル各色1本 インクボトル(カラー)各色1本
インクボトル(ブラック)2本
セットアップ用インクカートリッジ セットアップ用インクカートリッジ
ノズル数 3200ノズル 784ノズル 4352ノズル 1792ノズル 840ノズル 840ノズル
全色:各800ノズル カラー:各128ノズル
黒:400ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
カラー:各384ノズル
黒:640ノズル
全色:各210ノズル 全色:各210ノズル
最小インクドロップサイズ N/A(3.8pl(MSDT)?) 3.3pl
(MSDT)
N/A N/A(2pl?) 2pl 2pl
最大解像度 4800×1200dpi 4800×1200dpi 600×1200dpi 4800×1200dpi 1200×4800dpi 1200×4800dpi
高画質化機能 PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi)
ノズル自己診断システム
PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi)
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) N/A 75秒 N/A 37秒 14秒 14秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 25.0ipm 8.0ipm 15.5ipm 6.8ipm 19.0ipm 19.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 25.0ipm 15.0ipm 24.0ipm 13.0ipm 20.0ipm 20.0ipm
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 N/A 6.5円 N/A 6.2円 超・大容量:12.5円 超・大容量:12.5円
A4カラー文書 2.2円 1.0円 2.2円 1.0円 超・大容量:4.1円 超・大容量:4.1円
A4モノクロ文書 0.9円 0.4円 0.8円 0.5円 超・大容量:0.8円 超・大容量:0.8円
インク1本の印刷枚数
(カラー文書)
ブラック 7,500ページ 7,500ページ 6,000ページ 6,000ページ 超・大容量:6,000ページ
大容量:3,000ページ
超・大容量:6,000ページ
大容量:3,000ページ
カラー 6,000ページ 6,000ページ 14,000ページ 7,700ページ 超・大容量:5,000ページ
大容量:1,500ページ
超・大容量:5,000ページ
大容量:1,500ページ
インク1本の価格
(税込)
ブラック 5,720円 2,365円 4,730円 2,310円 超・大容量:4,400円
大容量:3,300円
超・大容量:4,400円
大容量:3,300円
カラー 各2,750円 各1,265円 各6,160円 各1,540円 超・大容量:各5,500円
大容量:各2,750円
超・大容量:各5,500円
大容量:各2,750円

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。エコタンク・ギガタンク・ファーストタンク搭載複合機ということで、いずれもタンク式のように思えるが、実際にはエコタンクとギガタンクが本体内蔵のインクタンクに、インクボトルからインクを補充して使用するプリンター、ファーストタンクは大容量のカートリッジを採用するプリンターとなる。とはいえ、いずれも、従来のカートリッジ方式に比べて印刷コストが安く大量印刷に向いている。その分、本体価格は少し高めに設定されているのが特徴だ。
 インク構成は6機種ともブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色構成である点は同じだ。しかし染料インクか顔料インクかという点で異なっている。PX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nは全色顔料インク、EW-M674FTG7030はブラックが顔料インクでカラーが染料インクとなっている。ここで、染料インクと顔料インクの話が出てきたが、それぞれに得手・不得手がある。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。また水濡れに弱く、濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲んでしまう。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高い。しかし、顔料インクは写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れ半光沢のようになってしまう。また、光沢した年賀状や光沢フィルムなど一部に顔料インク非対応の用紙もある。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。  これを踏まえて各機種を見ていこう。まずは写真や年賀状の通信面など普通紙以外へプリントする際の画質である。これは前述のように染料インクが力を発揮する。染料インクを搭載するのはEW-M674FTG7030の2機種だが、顔料ブラックを除くと染料インクは3色しか無く、シアン、マゼンダ、イエローだけで終わってしまい、染料ブラックを搭載できない。そのため写真や年賀状の通信面はカラー3色での印刷となる。黒色はカラーを重ねて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒髪や影、夜景などの色を見れば一目瞭然な他、影や夜景などの黒の中の微妙な表現力が劣ってしまう。とはいえ、残る4機種はそもそも顔料インクのみで染料インクを搭載しないため、顔料インクでの印刷となる。カラーもブラックも同じ顔料インクであるため写真印刷時もブラックインクも使用できるが、今度は顔料インクである事が問題となり、写真印刷時の発色がかなり悪く、写真用紙本来の光沢感も薄くなるため、写真画質とは到底言いがたい。それならばEW-M674TやG7030の方がまだ、コントラストは弱いが写真らしい印刷が出来るだけマシと言えるだろう。カートリッジ方式やファクス機能を搭載しないタンク方式の機種には、染料インクだけで6色や5色搭載しており、染料ブラックも搭載している機種もあるため、写真画質を1番に求めるならそちらの方が良いが、ある程度の写真を印刷したいのであれば、EW-M674FTG7030が比較的良いと言えるだろう。また、光沢年賀ハガキなど一部の光沢紙やアイロンプリント紙、フィルム紙など顔料インクが非対応の用紙もあるため、これら2機種は対応する用紙も幅広いという利点もある。
 最小インクドロップサイズも画質に大きく影響する。最小インクドロップサイズが小さいと、ドットが見えにくく、粒状感(ザラザラした感じ)を受けにくくなる。EW-M674Tは3.3pl、MFC-J4540NMFC-J4440Nは2plとなっているが、残る3機種は非公表だ。ただし、PX-M791FTは海外だの同機能のモデルが3.8plとなっているため、おそらく同じと思われる。G7030は非公開ながら海外の同機能のモデルから2plと予測される。GX7030は海外モデルでも非公開となっているが、製品の元となるMAXIFYシリーズと同じなら、ブラックは5pl、カラーは11plとなる。写真高画質プリンターでは1.5plという機種もあり、いずれも最小インクドロップサイズは大きめと言えるが、G7030MFC-J4540NMFC-J4440Nは2plと比較的小さく、EW-M674FTもやや劣るとは言え実用的な範囲になっている。
 次に、文書印刷(普通紙印刷)の画質を見てみよう。高画質なのは、当然全色顔料インクであるPX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nだ。カラーインクも顔料インクであるため、カラー、モノクロ問わず非常に高画質にプリントが可能だ。レーザープリンターからの乗り換え用途などが考えられる機種だ。耐水性も高い。EW-M674FTG7030はブラックインクだけだが顔料インクを搭載しているため普通紙への黒の印刷はメリハリがある印刷が行える。ただ顔料インクはブラックだけなので、黒色部分しかこの恩恵は得られない。また、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分や、カラーの中の黒色部分には染料のグレーインクを使ったりカラーインクを重ねて作り出す場合があり、必ずしも全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。また黒文字だけの文書や、年賀状の宛名面などの場合は他の4機種と同等といえるだろう。
 また、細かく見ていけば機種によって画質の差がある。PX-M791FTEW-M674FTはPrecisionCoreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiへアップしている事が挙げられる。そのため、小さな文字や線などがつぶれずにより綺麗に印刷できる様になっている。さらに、PX-M791FTは「ノズル自己診断システム」を搭載しており、ヘッドのドット抜けを印刷ジョブごとに自動検知して調整してくれる。何百枚も印刷したら、途中から印刷が乱れていてやり直し……という無駄が軽減されるなど、より高性能になっている。一方、写真ほど最小インクドロップサイズは重要ではないとは言え、グラフなどべた塗り部分や、文書中の写真やイラストなどは最小インクドロップサイズの小さいG7030MFC-J4540NMFC-J4440Nの方が滑らかに見えるだろう。逆にGX7030は前述のように最小インクドロップサイズが大きい(と予想される)ため、ドットが目立つ可能性がある。  もう一つ、インクの種類にも違いがある。もちろん発色などの面でも違いがある可能性はあるが、この点ははっきりと示されているわけではない。ただ、インクの耐保存性に違いがある。家庭用の6色プリンターの場合、エプソンは「つよインク200」という名称で、写真のアルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年をうたっており、キャノンも「ChromaLife 100」という名称で、写真のアルバム保存100年をうたっている。しかし染料インクの2機種を見てみると、EW-M674FTはアルバム保存こそ300年で同等だが、耐光性7年、耐オゾン性2年となっており「つよインク200」よりは大きく劣る。特に飾っておいた場合などに色あせが早いと言える。G7030に関しては耐保存性は非公開だが、ChromaLife 100には準拠しないという事なので、100年より短い可能性が高い。画質面でも写真向けプリンターに劣るが耐保存性でも劣る事になる。全色顔料の4機種は、そもそも写真向けでは無いため写真の耐保存性は公開していない。ただし、PX-M791FTは「DURABrite ET」とインクに名称が付けられているが、これは写真の耐保存性では無く、文書の耐保存性をうたったものだ。キャビネット保存で400年となっており、印刷した文書を長期保存ができる。このあたりも文書印刷に特化した機種ならではといえよう。
 以上から、文書印刷に特化したPX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nと、文書と写真のどちらもそれなりに綺麗なEW-M674FTG7030となる。また文書印刷なら、特にPX-M791FTが、画質や耐保存性の面で優れてると言える。
 印刷速度にも特色がある。まず写真印刷速度を見てみると、EW-M674FTが75秒、G7030が37秒、MFC-J4540NMFC-J4440Nが14秒と5倍以上の差がある。MFC-J4540NMFC-J4440Nの14秒は非常に高速で、家庭用の写真印刷向けの6色インクのプリンターの10〜16秒と比べても遜色ない。G7030の37秒もなんとか実用的なレベルではあるが、EW-M674FTでは枚数がある程度多いと相当根気強く待つ必要がある。PX-M791FTGX7030は写真印刷向けの機種では無いため印刷速度は非公開だ。
 一方、文書の印刷速度は傾向が異なる。最も高速なのはPX-M791FTでカラーもモノクロも25.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)となる。これは卓上レーザープリンターにも匹敵するスピードで、卓上のインクジェットプリンターとしては最高速クラスだ。次に高速なのはGX7030で、モノクロはPX-M791FTに匹敵する24.0ipmとなっている。ただ、カラーに関しては15.5ipmと約4割遅くなる。MFC-J4540NMFC-J4440Nはモノクロは20.0ipmとやや劣るが、カラーは19.0ipmとGX7030より高速だ。カラープリントも多いなら、MFC-J4540NMFC-J4440Nの方が便利と言える。顔料4色で文書向けの4機種は、さすがに印刷速度も高速となっている。残る2機種だが、EW-M674FTはカラーが8.0ipm、モノクロが15.0ipm、G7030はそれぞれ6.8ipmと13.0ipmとなる。写真印刷ではG7030の半分の速度だったEW-M674FTが、文書の印刷速度では逆転している。また他の4機種と比べると遅く感じるが、両機種とも十分に実用的な速度だ。この印刷速度の差は、枚数が少なければそれほど問題では無いが、印刷枚数が多い場合はそれなりの違いが出る。例えば100枚モノクロ印刷した場合、PX-M791FTは4分、EW-M674FTは6分40秒、GX7030は4分10秒、G7030は7分42秒、MFC-J4540NMFC-J4440Nは5分だ。カラー印刷ならPX-M791FTが4分、EW-M674FTが12分30秒、GX7030が6分27秒、G7030が14分42秒、MFC-J4540NMFC-J4440Nが5分16秒だ。この差をどう見るか、またカラーとモノクロどちらがメインなのかが、機種を選ぶ一つの決め手になるだろう。
 ちなみに、インクの方式だが、前述のようにエプソンとキャノンはタンク方式のエコタンク・ギガタンクで、ブラザーは大容量カートリッジ方式のファーストタンクとなる。エコタンク・ギガタンク方式はインクボトルを購入し、プリンター本体内蔵のインクタンクにインクを補充する形となる。基本的にインクボトル1本が、まるまるインクタンクに補充できる。いずれも第2世代のインク補充方式となっており従来より便利になっている。第1世代の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。それに対して第2世代では、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらにPX-M791FTEW-M674FTでは「挿すだけ満タンインク方式」としており、先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無く、より安心感が増している。GX7030も同様の方式となっている。一方のG7030はこの機能はなく、先端の形状はすべて同じだ。その点でPX-M791FTEW-M674FTGX7030はより安心感が高い事になる。このようにボトルから補充と言うと難しそうに感じるが、そう難しくは無い事が分かる。さらに、メリットもあり、インク切れ前でもインクを補充する事が出来るため、大量印刷前や時間に余裕のある時にインクを補充しておけば、印刷途中でインク切れで印刷が止まっていたという事態が防ぐ事が出来る。
 一方、ファーストタンクのMFC-J4540NMFC-J4440Nはカートリッジ方式だが、名称に「タンク」が付いている。これは内部にサブタンクを搭載しているためで、こちらに約200枚分の常に確保している。カートリッジからインクが無くなった時点で交換できるため、インクを買い忘れても少し余裕がある事や、大量印刷前にインク残量が少なくなっていても、カートリッジが空になってれば事前に交換できるというメリットがある。カートリッジ方式ながら、できるだけタンク方式のメリットも取り入れたのがファーストタンク方式となる。
 エコタンク、ギガタンク、ファーストタンクはいずれも大容量なのが特徴だ。インクボトル各色1本(インクタンクが満タンの状態)又は、インクカートリッジ1セットでのA4カラー文書を印刷した場合の印刷枚数を見てみよう。PX-M791FTEW-M674FTの場合、ブラックインクは7,500ページ、カラーインクは各6,000ページ印刷できる。G7030はそれぞれ6,000ページと、各7,700ページとなっており、カラーとブラックで印刷枚数が逆になっているといえるが、似たような印刷枚数だ。一方、GX7030はそれぞれ6,000ページと各14,000ページとなっており、カラーの印刷枚数が圧倒的に多い一方、ブラックはG7030と同等でエプソンの2機種より少なくなっている。MFC-J4540NMFC-J4440Nは超・大容量と大容量の2種類があり、超・大容量ではそれぞれ6,000ページと5,000ページ、大容量なら3,000ページと1.500ページとなる。他の4機種よりやや少ないが、超・大容量なら、カートリッジ方式ながら、タンク方式に近い印刷枚数を実現している。
 このように印刷枚数には(GX7030のカラーインクを除いて)大きな違いは無い6機種だが、印刷コストには大きな差がある。最も安いのは顔料ブラック+染料カラーのEW-M674FTで、A4カラー文書は1.0円、A4モノクロ文書が0.4円となる。同じインク構成のG7030も、それぞれ1.0円と0.5円となっており、ほぼ同等の印刷コストだ。それに対して、全色顔料のPX-M791FTはそれぞれ2.2円と0.9円、GX7030も2.2円と0.8円となっており、カラー、モノクロ共に2倍前後となっている。同じエコタンク・ギガタンク方式でも、インク構成によって印刷コストは異なっている。そしてファーストタンク方式のMFC-J4540NMFC-J4440Nはカラーが4.1円、モノクロが0.8円となる。同じ全色顔料のPX-M791FTGX7030と比べて、モノクロの印刷コストは同等だが、カラーは1.86倍となっている。一般的なカートリッジ方式と比べれば十分安いとはいえ、エコタンク・ギガタンク方式よりは不利となる。
 これはインクの価格の差があるためだ。EW-M674FTはブラックが2,365円、カラーが各1,265円なので、4本で6,160円、G7030はブラックが2,310円、カラーが1,540円なので、4本で6,930円と、この2機種は印刷枚数も近いが、インクボトルの価格も近くなっている。印刷可能枚数を考えると非常に安価な価格設定で、印刷コストが安くなるのもうなずける。それに対してEW-M674FTと印刷枚数が同等のPX-M791FTはブラックが5,720円、カラーが各2,750円なので、4本で13,970円と倍以上の価格となっている。この価格差が印刷コストに影響している事になる。GX7030も、ブラックが4,730円、カラーが各6,160円で、4本で23,210円となる。ブラックはPX-M791FTより印刷枚数が少ない分価格が安く、カラーは印刷枚数が倍以上だが、価格も倍以上になっているため、結果的に1枚あたりはPX-M791FTと同等となる。そして、MFC-J4540NMFC-J4440Nは超・大容量カートリッジの場合ブラックが4,400円、カラーが各5,500円なので、4本で20,900円となり、最も高い価格設定だ。ただ、ブラックはPX-M791FTより印刷可能枚数がやや少ないが、やや安く、又はGX7030と同じ印刷可能枚数で、価格もほぼ同じとなっているため、モノクロの印刷コストが同等になっている。一方カラーインクは、PX-M791FTより印刷可能枚数はやや少ないにもかかわらず価格は倍、又はGX7030より印刷可能枚数は3分の1程度だが、価格はやや安い程度なので、カラープリントは極端に高くなる。印刷コスト面ではどうしても不利になるファーストタンク方式だが、ブラックインクに絞って安くする事で、モノクロプリントでは対抗できるようにした形だ。ちなみにMFC-J4540NMFC-J4440Nでは、量が少ない「大容量カートリッジ」ならば、ブラックが3,300円、カラーが各2,750円となり、1セットで11,550円に抑えられるが、印刷可能枚数は、価格差以上の少なくなるため、印刷コストは更に高くなってしまう。
 このように印刷コストに差があるとは言え、6機種とも低印刷コストを特徴としている機種なので、全体から見れば非常に低印刷コストだ。家庭向けインクジェットプリンターでのカラー文書は10円〜19円程度で、印刷コストが安いビジネス向けプリンターでもカラー文書が6.5円〜15円、モノクロ文書が2円〜5円程度である事を考えると、高く見えるMFC-J4540NMFC-J4440Nでも十分安い。また卓上レーザープリンターの場合、カラー文書は10円〜20円、モノクロ文書は1.8円〜4.5円なので、それと比べても安い事がわかる。低印刷コストをうたっているだけに、一般的なインクジェットプリンターやレーザープリンターよりは圧倒的に安いが、さらにどこまで求めるかによって機種選びの決め手の一つになるだろう。ちなみに写真印刷の印刷コストはPX-M791FTGX7030は公表していないが、EW-M674FTが6.5円、G7030が6.2円、MFC-J4540NMFC-J4440Nが12.5円となる。いずれもメーカー純正の写真用紙代(エプソンは約4.7円、ブラザーは約4.2円)が含まれているため、純粋なインク代だと、それぞれ1.8円、1.5円、8.3円となる。カラー印刷であるため、文書と同じくMFC-J4540NMFC-J4440Nが高くなっている。
 ちなみにエコタンク・ギガタンク方式の機種が同梱するインクボトルは、別売りのインクボトルと同じとなっている。つまり同梱のインクで、インクタンクが満タンにする事が出来る。G7030はこれに加えてブラックがもう1本同梱される。一般的なインクカートリッジ方式の機種と同様、初期充填でインクを消費するが、PX-M791FTEW-M674FTGX7030G7030はいずれもインクタンクが固定され、プリントヘッドとはチューブでつながっているオフキャリッジ方式であるため、チューブの長さ分だけさらにインクを大量に消費する。とはいえ、タンクが大容量であるため、ある程度の量が残る。EW-M674FTはその量を公表しており、3,600枚以上の印刷が可能としている。PX-M791FTは非公表となっているが、PX-M791FTは海外の同機能のモデルでは、ブラックインクが4,500ページ、カラーインクが2,800ページ印刷可能としている。GX7030G7030も非公表だがある程度は残ると予想される上に、GX7030はカラーが他機種より大容量であることから残る量も多く、G7030はブラックインクは更に1本同梱するため、残った量+6,000ページは印刷可能と言える。一方のMFC-J4540NMFC-J4440Nは同梱するセットアップ用インクカートリッジは超・大容量タイプでは無く、大容量タイプとなる。ブラックが3,000枚、カラーが各1,500枚印刷できるカートリッジから、さらに充填を行うので減ってしまうため、PX-M791FTEW-M674FTと比べると少なくなってしまう。同梱インクで印刷できる分は印刷コストがかからないわけで、その枚数が多い機種はその分、本体価格と合わせて考えたときにお得とも考えられる。

プリント(給紙・排紙関連)
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 L判〜A4
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A4 L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
名刺〜A4 L判〜A4 L判〜A4
長尺用紙 長さ6,000mmまで 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで 長さ676mmまで 長さ355.6mmまで 長さ355.6mmまで
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

L判・64mm幅〜A4
(50枚・20枚・20枚)

(100枚/40枚/20枚)

名刺〜A4
(100枚/40枚/20枚)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
前面 【カセット上段】
A4〜L判
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
A4〜A5
普通紙のみ
(250枚/−/−)
【カセット】
A4〜L判
(250枚/30枚/20枚)
【カセット上段】
普通紙のみ
A4/B5/A5/レター(250枚/−/−)
【カセット下段】
普通紙のみ・A4/レター
(250/−/−)
【カセット】
A4〜A5
普通紙のみ
(250枚/−/−)
【カセット上段】
(150枚/50枚/20枚)
【カセット下段】
普通紙のみ
A4〜A5
(250/−/−)
【カセット】(150枚/50枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙サイズ自動検知機能搭載
○(カセット収納連動) ○(カセット収納(前面)・用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動) ○(カセット引き出し連動) ○(カセット引き出し連動)
用紙幅チェック機能 ○(印刷時) ○(印刷時)

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、最大サイズは6機種ともA4までで共通だが、最小サイズはG7030を除く5機種がL判、G7030は更に小さい名刺サイズに対応している。G7030は名刺サイズの用紙に直接印刷できるため、少量の印刷にも便利な他、フチなしデザインも作りやすい。一方、PX-M791FTは用紙幅はL判の89mmより小さい64mmまで対応している。このサイズは、B6ハーフサイズのプライスカードに用いられ、小売店などで重宝されそうだ。逆にGX7030はフチなし印刷が非対応だ。写真印刷向きの機種ではないが、フチなしデザインのハガキや、背景色がある文書を印刷する場合には注意が必要だ。長尺印刷に関しては、PX-M791FTが6,000mm(6m)まで対応しており、こちらは長尺のPOPや垂れ幕や横断幕などの印刷にも使用できる。EW-M674FTGX7030も1,200mm(1.2m)まで対応しており重宝しそうな一方、G7030は676mmまで、MFC-J4540NMFC-J4440Nに至っては日本では馴染みはないがリーガルサイズと呼ばれる定型サイズの355.6mmまでとなっている。
 給紙に関しては前面給紙だけ、又は前面給紙+背面給紙となっているが、細かく見ると各機種に特色がある。前面給紙は6機種とも対応する。カセット式となっており、用紙をセットしたままでもホコリが積もりにくく、常時セットしておくのに向いているのも同じだ。カセット1段にMFC-J4540NMFC-J4440Nを除く4機種は250枚、MFC-J4540NMFC-J4440Nは150枚(MFC-J4540Nの下段は250枚)までセットが可能だ。セット可能だ。文書印刷がメインで印刷枚数も多いと予想される機種だけに、家庭向けの機種の100枚より多くセットできるようになっている。PX-M791FTGX7030はこのカセットが2段となっており、A4とB5という風に異なる用紙を250枚ずつセットする事も可能だし、上下段とも同じ用紙をセットして500枚使用する事もできる。その場合、上下段は連続して使用可能だ。MFC-J4540Nも同じく2段カセットだが、上段は150枚、下段は250枚となるため、合計は400枚とやや少なくなる。EW-M674FTGX7030MFC-J4440Nは1段となるが、こちらもEW-M674FTG7030は250枚、MFC-J4440Nは150枚までとセット可能枚数は違いがある。
 また、使える用紙には制限がある。PX-M791FTMFC-J4540Nの上段は制限が無いが、下段に関してはA4〜A5サイズの普通紙に限定される。GX7030G7030の制限はより厳しく、前面給紙カセットは普通紙のみだ。ハガキや写真用紙の他、ファイン紙なども普通紙以外は全て背面給紙となる。またGX7030の場合、日本では馴染みの薄いレターサイズを除くと、上段はA4、B5、A5の普通紙のみ、下段はA4普通紙に限定される。PX-M791FTMFC-J4540Nでは上下段ともB5普通紙や、ハガキとA4普通紙といった組み合わせが可能だが、GX7030は不可能だ。ちなみのハガキの給紙枚数は、PX-M791FTが65枚、EW-M674FTが30枚、MFC-J4540NMFC-J4440Nが50枚となる。
 では、背面給紙というと、EW-M674FT以外が対応する。PX-M791FTGX7030G7030はトレイ式、FC-J4540N/MFC-J4440Nは手差し給紙となっている。トレイ式は複数枚の用紙をセットできるため便利だ。PX-M791FTは普通紙なら50枚、ハガキなら20枚、GX7030G7030はそれぞれ100枚と40枚までセット可能だ。PX-M791FTはやや少ないが十分に実用的だ。それに対して、MFC-J4440Nは1枚ずつしかセットできず、複数枚セットするとエラーとなる。前面給紙カセットにセットした用紙以外を数枚印刷したい場合や、前面給紙からでは扱いにくい厚紙や封筒などの印刷に利用する形となるだろう。位置も、通常の背面給紙の上面の後部ではなく、背面を開いたところにあるため、上からのぞき込まないとセットしにくい。その分、使用しない時は完全に収納できるため、省スペースという点では有利だ。ちなみに、厚みに関しては、一般的に前面給紙も背面給紙も通常の写真用紙やハガキに用いられる0.3mm厚程度までは対応できる。しかし、FC-J4540N/MFC-J4440Nの背面手差し給紙は0.52mmまで対応できるため厚めの封筒や用紙にも印刷できて便利だ。
 複雑なのでまとめると、PX-M791FTは前面2段+背面トレイ、EW-M674FTは前面1段のみ、GX7030は前面2段(普通紙のみ)+背面トレイ、G7030は前面1段(普通紙のみ)+背面トレイ、MFC-J4540Nは前面2弾+背面手差し、MFC-J4440Nは前面1段+背面手差しとなる。一度にセット可能な枚数で見ると、A4普通紙はPX-M791FTが550枚(前面上段250枚+前面下段250枚+背面50枚)、EW-M674FTが250枚(前面250枚のみ)、GX7030が600枚(前面上段250枚+前面下段250枚+背面100枚)、G7030が350枚(前面250枚+背面100枚)、MFC-J4540Nが400枚(前面上段150枚+前面下段250枚)、MFC-J4440Nが150枚(前面150枚のみ)となり、PX-M791FTGX7030が圧倒的に多いが、G7030も比較的多い。ハガキはPX-M791FTが85枚(前面上段65枚+背面20枚)、EW-M674FTが30枚(前面30枚のみ)、GX7030G7030が40枚(背面40枚のみ)、MFC-J4540Nが50枚(前面上段のみ)、MFC-J4440Nが50枚(前面50枚のみ)と、やはりPX-M791FTが多いが、FC-J4540N/MFC-J4440Nも多めだ。
 このように、どの機種も制限があるため、用途によって便利な機種は異なる。GX7030やG6030は前面カセット+背面トレイで比較的便利そうだが、前面給紙カセットが普通紙のみというのは使い方によっては非常に不便だ。背面給紙の場合は給紙枚数が少ないだけで無く、セットしたままだとホコリが積もり、その状態で給紙されるとプリンターに良くないという事から、使わないときは取り除く必要がある。普通紙以外を常時セットしておくなら、EW-M674FTの方がまだ便利だ。ただEW-M674FTは前面給紙カセット1段のみなので、2種類の用紙を使う場合は不便だ。MFC-J4540Nは前面2段で普通紙以外もセットできるが、背面給紙が手差しであるため、前面カセットにセットした用紙以外を使いたい場合、トレイ式のPX-M791FTGX7030、GX6030より不便だ。また上段が150枚と少ないため、使い頻度に合わせて上下段を使い分ける必要がある。MFC-J4440Nも前面カセットは普通紙以外がセット可能だが、背面給紙が手差しである点や、前面給紙が150枚と少ない点では、1種類の用紙しか使わないならEW-M674FTの方が給紙枚数が多く便利だ。それに対して、PX-M791FTが普通紙もハガキもセット可能枚数が非常に多く、セット可能な用紙の制限も比較的少ないため最も便利と言える。
 ちなみにPX-M791FTは 排紙トレイの自動伸縮機能を搭載している。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張するため、トレイを引き出し忘れて印刷物が床に散らばってしまう心配が無い。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。
 6機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙の場合、MFC-J4540N/MFC-J4440N以外の4機種はカセットを挿し込むと、MFC-J4540N/MFC-J4440Nはカセットを引き出すと、背面給紙の場合はPX-M791FTGX7030は用紙を挿し込むと、G7030は給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。さらにPX-M791FTは用紙サイズ自動検知機能を搭載しているため、用紙をセットすると自動的にサイズが設定されているため、手間が軽減されている。そして、この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。また、PX-M791FTはこの設定内容を利用して、用紙が無くなった際に同じ用紙設定のカセットやトレイに自動的に切り替えて印刷を継続することも出来る。また、PX-M791FTEW-M674FTは印刷時に用紙幅のチェック機能を搭載しており、用紙幅が設定より小さい場合でも、用紙外にインクを打ってしまい、プリンター内部を汚さないよう工夫されている。
 このように、対応用紙から給紙機能の豊富さ、排紙トレイの自動伸縮や、用紙サイズ自動検知など、PX-M791FTは他よりワンランク上の機能を搭載していると言える。

プリント(付加機能)
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
自動両面印刷 ○(普通紙のみ・1枚目反転と同時に2枚目印刷) ○(普通紙のみ・A4/レターのみ) ○(普通紙のみ)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 21.0ipm 4.5ipm 10.0ipm 2.8ipm 10.0ipm 10.0ipm
A4モノクロ文書 21.0ipm 6.5ipm 13.0ipm 2.9ipm 11.0ipm 11.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX) ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷 ○(クロだけ印刷・最大30日) ○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ −/○(指定時間操作無し) −/○(指定時間操作無し) ○(印刷実行/時刻指定)/○(指定時間操作無し/時刻指定) ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) −/− −/−
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスカートリッジ交換可能)
フチなし吸収材エラー時の対応機能 ○(フチあり印刷継続可) ○(フチあり印刷継続可)

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は6機種とも搭載している。ただし、PX-M791FTGX7030G7030は普通紙のみの対応なのに対して、EW-M674FTMFC-J4540NMFC-J4440Nはハガキの自動両面印刷にも対応している。ハガキの通信面と宛名面を一度で印刷したいなら、EW-M674FTMFC-J4540NMFC-J4440Nが便利だ。また、普通紙の場合も、PX-M791FTはA4、B5、A5、レターサイズに加えて、148×210〜215.7×297mmの間のユーザー定義サイズに対応し、G7030もA4、B5、A5、レターサイズに、MFC-J4540NMFC-J4440NもA4、B5、A5、B6、レターサイズに対応するが、GX7030はA4とレターサイズのみ対応だ。B5をはじめとするA4サイズ以外の用紙に自動両面印刷を行う場合は注意が必要だ。
 ちなみに、自動両面印刷を行う場合、まず表を印刷した後、そのまま用紙は逆方向に進み、もう一度プリンター内に吸い込まれ、前面給紙の場合と同じくプリンター後方で180度方向転換することで裏返し、裏面を印刷するのが一般的だ。しかし、この裏返し動作に時間がかかってしまい、両面印刷時は片面印刷に比べて印刷速度が低下してしまう。また印刷する内容によっては表面の印刷後に乾燥時間も必要になる。そこで自動両面印刷時の速度を見てみると、PX-M791FTはカラー、モノクロ共に21.0ipmなのに対して、EW-M674FTはカラーが4.5ipm、モノクロが6.5ipmとなり、GX7030はそれぞれ10.0ipmと13.0ipm、G7030は2.8ipmと2.9ipm、MFC-J4540NMFC-J4440Nは10.0ipmと11.0ipmとなっている。片面印刷の速度もPX-M791FTが最も高速であったため、当たり前に見えるかもしれないが、例えばGX7030はカラーは遅いもののモノクロはPX-M791FTとほぼ同じ速度だったが、自動両面印刷では大きな差になっており、MFC-J4540NMFC-J4440NPX-M791FTより20%ほど遅いだけだったが、自動両面印刷は半分程度となっている。ここで、片面印刷との速度の比率を見てみよう。

型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
カラー
文書
片面印刷 25.0ipm 8.0ipm 15.5ipm 6.8ipm 19.0ipm 19.0ipm
両面印刷 21.0ipm 4.5ipm 10.0ipm 2.8ipm 10.0ipm 10.0ipm
両面速度比 84.0% 56.3% 64.5% 41.2% 52.6% 52.6%
モノクロ
文書
片面印刷 25.0ipm 15.0ipm 24.0ipm 13.0ipm 20.0ipm 20.0ipm
両面印刷 21.0ipm 6.5ipm 13.0ipm 2.9ipm 11.0ipm 11.0ipm
両面速度比 84.0% 43.3% 54.2% 22.3% 55.0% 55.0%

 これを見ると、PX-M791FTが84.0%と、低下率が圧倒的に小さい事が分かる。その理由として、PX-M791FTは「両面高速紙送り機構」を採用しているためだ。PX-M791FTでは表を印刷した用紙を、裏返し動作時のために本体後方への送るルートを、印刷時に用紙が通るルートの下に別に用意することで、1枚目表の印刷時に2枚目を続けて給紙しておき、1枚目を裏返している間に2枚目表を印刷する事が可能となっている。そして、1枚目裏を印刷している間、2枚目を裏返すという方式をとることで、用紙を裏返す際の時間を無駄にしないようにしている。両面印刷を多用するなら、PX-M791FTが便利と言えるだろう。それに対して、EW-M674FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nは、片面印刷に対しての比率は大きな差は無いが、G7030は特にモノクロ文書で低下率が大きい。元々片面印刷速度でも6機種中最も遅かったが、自動両面印刷は2.9ipmと非常に遅い。ipmは「image」per minuteなので、片面を1と数える事から、G7030は1分間に1.5枚も印刷できない事になる。自動両面印刷をある程度使うなら、G7030は避けた方が無難だ。
 写真の自動補正機能としては、PX-M791FTEW-M674FTは「オートフォトファイン!EX」、G7030は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる高性能なものを搭載している。写真印刷向きのプリンターではないが、こういった機能もしっかり搭載している。
 自動電源オン機能はGX7030G7030が搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LANや有線LANNでのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、G7030は操作パネルを閉じた状態だと印刷は実行されないため、操作パネルは持ち上げて少し開いておく必要がある。一方GX7030は印刷が実行された時という設定に加えて、、時刻を指定して電源をオンにすることが出来る。オフィスの始業時間や店舗の開店時間に合わせて電源をオンに出来るため、使い方によってはこちらの方が便利だろう。一方、指定した時間、プリントやスキャン、本体での操作が無いと自動的に電源がオフになる機能はMFC-J4540NMFC-J4440Nを除くの4機種が搭載している。こちらもGX7030は一定時間操作が無い時だけでなく、時間を指定して電源をオフにする機能も搭載している。
 PX-M791FTEW-M674FTGX7030が持つ便利な機能が、廃インクタンク(エプソンはメンテナンスボックス、キャノンはメンテナンスカートリッジ)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、G7030MFC-J4540NMFC-J4440Nを含む多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、PX-M791FTEW-M674FTGX7030はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックス・メンテナンスカートリッジが売られており(PX-M791FT用は2.618円、EW-M674FT用は1,980円、GX7030用は2,640円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。一方、フチなし吸収材(フチなし印刷時は用紙サイズより少し大きめにプリントする事で実現しており、その際に用紙からはみ出したインクを吸収させるもの)が満タンになった場合は、4機種とも修理対応となる(GX7030はフチなし印刷が出来ないため吸収材自体が無い)。ただしPX-M791FTは、満タンになってもフチなし吸収材にインクが落ちることがない「フチあり」印刷に関しては印刷を継続できるようになっている。フチなし印刷はできないとはいえ、フチなし印刷はとりあえず置いておいて、急を要するフチあり印刷を行い、余裕のあるときに修理に出すという事ができるわけだ。

スキャン
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
最大スキャンサイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(215.9×297mm)
A4
(215.9×297mm)
読み取り解像度 1200dpi
(1200×2400dpi)
1200dpi
(1200×2400dpi)
1200dpi
(1200×1200dpi)
1200dpi
(1200×2400dpi)
1200dpi
(1200×2400dpi)
ADF使用時は1200×600dpi
1200dpi
(1200×2400dpi)
ADF使用時は1200×600dpi
センサータイプ CIS CIS CIS CIS CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF 原稿セット可能枚数 50枚 30枚 50枚 30枚 20枚 20枚
原稿サイズ A4/B5/A5/レター/リーガル A4/レター/リーガル 216×356mm〜148×148mm A4/B5/A5レター/リーガル 215.9×355.6mm〜148×148mm 215.9×355.6mm〜148×148mm
両面読み取り ○(同時両面)
読み取り速度 カラー 9.0ipm 5.0ipm N/A
(22.6ipm(両面時)?)
(22.1ipm(片面時)?)
N/A N/A
(7.0ipm?)
N/A
(7.0ipm?)
モノクロ 27.5ipm 5.0ipm N/A
(23.2ipm(両面時)?)
(22.1ipm(片面時)?)
N/A N/A
(17.0ipm?)
N/A
(17.0ipm?)
スキャンデーターのメモリーカード保存 ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF/TIFF) ○(JPEG/PDF/TIFF)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。読み取りサイズはA4(216×297mm又は215.9×297mm)で同等だ。解像度も6機種とも1200dpiとなっており差は無い。インクカートリッジ方式の上位機種にはもっと高解像度の機種があるが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。また、GX7030以外の4機種は1200×2400dpi、GX7030は1200×1200dpiと微妙に差があるが、前の方の数字は、主走査といって短辺側の解像度で、読み取りセンサーの解像度と言える。一方、後の方の数字は、副走査といって、長辺側の解像度、つまりセンサーの移動方向の解像度となる。つまり、6機種とも読み取りセンサーの解像度は1200dpiで同じだが、センサーの移動の精度がGX7030以外は2400dpi、GX7030は1200dpiという違いがある。実際には主走査の解像度以上でスキャンする事はあまりなく、1200dpi設定でのスキャン(つまり1200×1200dpiでのスキャン)となる上に、前述のようにそもそも1200dpiでスキャンする事も稀なので、実用上の差は無いと言える。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点も共通だ。なお、GX7030G7030は原稿取り忘れアラームを搭載しているのが便利だ。
 6機種ともファクス機能を搭載してる事もあって、ADFを搭載している。ADFは原稿を複数枚セットすると、順番にスキャンしてくれる機能で、複数原稿のコピーやファクス時に重宝する。PX-M791FTGX7030は50枚、EW-M674FTG7030は30枚、MFC-J4540NMFC-J4440Nは20枚までセットできる。対応サイズはA4はもちろん、6機種ともリーガルサイズ(216×356mm又は215.9×355.6mm)に対応するため、原稿台からのスキャンより長い原稿に対応できる。一方EW-M674FTはA4より小さい原稿には対応しないが、PX-M791FTG7030はB5とA5サイズに、GX7030MFC-J4440Nは148×148mmまでのサイズに対応する。A5サイズが148×210mmなので、EW-M674FT以外の4機種は最小サイズも幅は同等と言え、大きな差は無いと言える。A4より小さい用紙を使いたい場合は注意が必要だ。
 このADFは、PX-M791FTGX7030は両面スキャンに対応しているのもポイントだ。また、この両機種にも違いがある。最も高性能なのがGX7030で、フラットベッド部と共通のCISセンサーとは別に、裏側にADF専用のCISセンサーを搭載し、同時両面スキャンが可能だ。次に高性能なのがPX-M791FTで、フラットベッド部と共用のCISセンサーしか搭載しないが、自動で裏返す機能を搭載するため、自動的に両面スキャンが可能だ。ただ、片面ずつのスキャンなので、時間は倍以上かかることになる。残る4機種は片面スキャンにしか対応していない。とはいえ両面原稿を扱うかどうかによって、この機能が必要かどうかは違ってくる。
 ADFのスキャン速度を見てみよう。PX-M791FTEW-M674FTは速度が公表されているが、他の4機種は公表されていない。ただし海外の同機能のモデルでは公表されており、これを参考に比較してみよう。まず片面スキャンから見てみると、PX-M791FTはカラーは9.0ipm、モノクロは27.5ipmで、モノクロスキャンが特に高速だ。コピーやファクスでモノクロスキャンが多用されるため、こちらの速度を重視したと思われる。EW-M674FTはカラー、モノクロ共に5.0ipmで、PX-M791FTと比べると大きく劣る。一方GX7030はカラー、モノクロ共に22.1ipmで、カラースキャンが多い場合は重宝する。対してモノクロスキャンはPX-M791FTよりやや劣る事になる。FC-J4540N/MFC-J4440Nは、カラーが7.0ipm、モノクロが17.0ipmで、PX-M791FTGX7030と比べると遅く見えるが十分高速だ。カラースキャンなら、GX7030PX-M791FTMFC-J4540NMFC-J4440NEW-M674FTの順に、モノクロスキャンならPX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440NEW-M674FTの順に便利だ。では両面スキャンならどうだろうか。同時両面スキャンが行えるGX7030はカラーが22.6ipm、モノクロが23.2ipmとなっている。ここで重要なのが、単位が「ipm」である事だ。ipmはimage per minuteの略で、1分あたりの「面数」である。つまり、同時両面スキャンの場合、1回スキャンすると2面となる。GX7030が片面と同じ速度で両面スキャンできるなら、ipm値は2倍の44.2ipmとなるはずである。ところがGX7030ではカラーが22.6ipm、モノクロが23.2ipmと片面時とほぼ同じ速度となっている。つまり、1枚のスキャン速度は半分になっているといえる。画像処理に時間がかかるのか、それともADF専用のCISセンサーが、フラットベッド部と共用のCISセンサーよりスキャンが遅いためなのかは不明だ。一方、PX-M791FTは反転動作がある分速度は落ちるが、片面ずつの速度なので、スキャン自体の速度は落ちない。片面よりやや時間がかかる程度と考えられる。モノクロスキャンの場合、PX-M791FTは27.5ipmから少し低下、GX7030は23.2ipmなので、大きな差は無いと考えられる。GX7030は同時両面スキャン対応だが、同時である事に速度的なメリットはあまりないと言える。ちなみに、MFC-J4540NMFC-J4440NはADF使用時の読み取り解像度が1200×600dpiに制限される。ADFの場合は読み取りセンサーは固定され、原稿の方が移動することでスキャンする。前述のように1200dpiのセンサーを搭載しているため、センサー方向(短辺)は1200dpiでスキャンできるが、原稿送りの精度が600dpiしかないといえる。とはいえADFを利用する場合は、対応する用紙厚の関係から、文書に限定されると思われるため、600dpiでも十分で、実用上は問題ないだろう。
 その他の機能として、PX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nの4機種は本体だけでスキャンしてUSBメモリーに保存する機能を搭載している。解像度やスキャンサイズなどの選択肢は限定されるが、パソコンやスマホを使わず、サッとスキャンして持ち出せるのは便利だろう。

ダイレクト印刷
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード メモリーカードリーダー対応
USBメモリー
(外付けHDD対応)
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したPDFのみ) JPEG/TIFF/PDF(本機でスキャンしてUSBメモリーに保存した/本機で受信したファクスを保存した/Canon IJ Scan Utilityで作成したPDFのみ) JPEG JPEG
色補正機能 フチあり/フチなし
赤目補正
フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/− −/− −/− −/− −/−
PictBridge対応 ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)
組み込みパターンペーパー
定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)

 ダイレクト印刷を見てみよう。対応しているのはPX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nの4機種となる。とはいえ、家庭向けの機種とは異なり、写真印刷が主な目的ではない。まず、4機種に共通なのはあ、SDカードなどのメモリーカードリーダーは搭載せず、USBポートのみであることだ。ここにUSBメモリーを挿して使う事になる。ただしPX-M791FTは、パソコン用のUSB接続のメモリーカードリーダーを接続する事で、各種メモリーカードに対応する他、外付けハードディスクにも対応する。対応形式はPX-M791FTGX7030はJPEGとTIFFに加えてPDFに対応する。とはいえ、PDFは前述のスキャンしてメモリカードに保存する機能で作成したPDFと、GX7030はパソコン用ソフトウェアのCanon IJ Scan UtilityでスキャンしてPDF形式で保存したもの、さらに受信したファクスをPDF形式で保存したもののみだ。つまり、両機種とも本体でスキャンするなどして画像データー化されたものをそのままPDFにまとめただけのPDFファイルにしか対応しない。WordやExcelなどをPDF化したものや、ネット上のPDFファイルをUSBメモリーに入れてプリントという事はできない。逆に言うと、一度これらの機種でデジタル化しておいたもの、もしくは別の場所でデジタル化したものを、再印刷するのが目的と言える。一方、MFC-J4540NMFC-J4440NはJPEG形式にしか対応しない。スキャンしてメモリーカードに保存する際にJPEG形式で保存しておけば、再度印刷する事も可能だが、PDFと異なり、1ページずつファイルが分かれてしまい、印刷時に選びづらい。実用的なのは、PDF形式に対応する、PX-M791FTGX7030と言えるだろう。
 ただし、PX-M791FTMFC-J4540NMFC-J4440Nには写真印刷向けの機能も搭載されているため、画質面でも問題を無視すれば、写真印刷にも十分に使用できる。液晶に表示される一覧から選んでプリントができるため、家庭用のプリンターと同じ操作方法で印刷が可能だ。PX-M791FTはフチあり/フチなしの切り替えの他、赤目補正程度しかできないが、自動で写真を補正する「オートフォトファイン!EX」も利用できるため、簡単な写真印刷なら問題ないだろう。MFC-J4540NMFC-J4440Nは同じくフチあり/フチなしの切り替えの他、明るさとコントラストを5段階で調整が可能だ。一方、GX7030G7030はレポート用紙、原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳が印刷できる「定型フォーム印刷」がプリント可能だ。またGX7030はカラフルなパターンを印刷してスクラップブックの台紙やブックカバーなどに使える「組み込みパターンペーパー」も印刷できる。

スマートフォン/クラウド対応
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY Brother Mobile Connect Brother Mobile Connect
AirPrint
対応端末 iOS 11.0以降
Android 5.0以降
iOS 11.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント) N/A ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(QR(iOS)) ○(Bluetoot(Android)) ○(NFC(Android)) ○(NFC(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/− ○/○ ○/− ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon)
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○ ○/○ −/− ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ)
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能も6機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、6機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続という機能名)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、6機種とも手軽に接続出来る工夫がなされている。まず、iOSの場合はPX-M791FTEW-M674FTGX7030の3機種が対応しており、本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、セキュリティーキーの入力などは不要で非常に簡単だ。一方、Androidの接続支援機能はPX-M791FTG7030MFC-J4540NMFC-J4440Nが搭載している。PX-M791FTはWi-Fiを受信しているプリンターの一覧がアプリ上に表示されるので、PX-M791FTを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらも非常に簡単だ。MFC-J4540NMFC-J4440NはNFCに対応し、液晶左にあるNFCマーク上にタッチするだけで接続が完了し、こちらも非常に簡単だ。ただし、スマートフォンがNFCに対応している必要があり、対応機種はやや少なくなる。一方のG7030はBluetoothを利用した接続支援機能が提供される。Bluetoothで直接印刷データーを送信するのではなく、接続自体はWi-Fiだが、あらかじめBluetoothでペアリングしておけば、Wi-Fiダイレクトの設定が簡単に行えるというものだ。ただし、事前にペアリング設定が必要で、Bluetoothの接続設定とWi-Fiの接続設定の2段階となり使い勝手は劣るためか、本体とスマホ用アプリ上の両方で設定メニューはかなり奥にあり、メーカー側でも積極的に機能を薦めているわけではないようだ。iOSとAndroidの両方に対応し、スマートフォン側に特定の機能を必要としないPX-M791FTが最も便利と言える。
 また、PX-M791FTEW-M674FTはスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでデザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷が可能だ。
 クラウドとの連携機能も6機種とも搭載している。プリントの場合、各種オンラインストレージにアクセスして、ファイルを印刷する事が可能だ。ここで大きな違いは、PX-M791FTEW-M674FTG7030はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、GX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nはスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、操作性の良いアプリ上でプリントする方法と、プリンター本体だけで手軽にプリントする方法が選べる点ではこれら3機種は便利だ。PX-M791FTEW-M674FTGX7030G7030はSNSの写真をコメント付きで印刷する事ができる。またGX7030G7030は写真共有サイトからの印刷も可能だ。  スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、GX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nに加えて、PX-M791FTEW-M674FTも本体の操作でアップロードまで行うことができる(もちろんスマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる)。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため便利だ。
 さらにリモートプリント機能として、PX-M791FTEW-M674FTは、印刷したい写真や文書を添付してPX-M791FTEW-M674FTにメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。一方のGX7030はLINEのトーク画面から印刷する「PIXUSトークプリント」と、パソコン上のファイルをリモートプリントする「PIXUSでリモートプリント」機能を搭載する。ただし、「PIXUSでリモートプリント」は通常のプリント操作のままリモートプリントが出来るのでは無く、ファイルをアップロードする方式で、Windows 11/10でEdge又はChromeからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPointに限定される。特別な操作が必要なく、プリントできるソフト上からなら形式を問わないPX-M791FTと比べると使いにくい印象だ。MFC-J4540NMFC-J4440Nはメールに添付して送信するとプリントできる「Eメールプリント」機能のみ対応する。「クラウドからのプリント機能はGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nが、各種リモートプリント機能はPX-M791FTEW-M674FTが豊富だと言える。

コピー機能
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面) ○/○ ○/− ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
その他のコピー機能 プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
濃度調整 プレビュー
濃度調整
濃度調整 濃度調整
地色除去コピー
濃度調整
地色除去コピー
バラエティコピー IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
ソート(1部ごと)コピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
部単位コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
部単位コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)

 コピー機能を見てみよう。6機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載しており、高性能になっている。さらに、2枚又は4枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付け、4面割り付けにも対応する(EW-M674FTは2面割付のみ)。その他、濃度調整機能は6機種とも搭載する。EW-M674FTG7030はこの機能だけだが、PX-M791FTGX7030はプレビュー機能にも対応し、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できる。一方PX-M791FTMFC-J4540NMFC-J4440Nは背景色を白にして見やすくする「背景除去機能」又は「地色除去コピー」機能を搭載している。さらに、PX-M791FTは、コントラスト、鮮やかさ、色調、シャープネス、色相の調整が可能だ。色調調整は、レッド・グリーン・ブルーを個別に調整できる。かなり高度な色の調整が可能で、好みの色に調整したり、原本に近い色合いに調整したりと言ったことができる。
 バラエティコピー機能を見てみよう。免許証などの両面の小さな原稿の裏面と表面を、1枚の用紙に並べてコピーできる「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能は、6機種とも搭載している。周囲や綴じ目部分にできる影を消す「影消しコピー」又は「枠消しコピー」又は「ブックコピー」も共通の機能だ。ADFを使用したコピーで、複数ページの複数部をコピーするときに、1部ずつまとめてコピーする「ソート(1部ごと)コピー」又は「部単位コピー」又は「ソートコピー」といった機能もEW-M674FTを除く5機種が搭載している。それ以外に、PX-M791FTはパンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載している。GX7030G7030はコピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」が可能だ。MFC-J4540NMFC-J4440Nはコピー文書に透かし文字を入れられる「透かしコピー」、1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割し、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能を搭載する。「透かしコピー」は「重要」「COPY」「社外秘」といった5種類から選べ、位置やサイズ、回転角度や透過度、文字の色も指定できる。これを見ると、機能は異なるが、それぞれ便利な機能を搭載している。

ファクス機能
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
通信速度 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps
画質設定 モノクロ 8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(精細)
8dot/mm×15.4本/mm(高精細)
16dot/mm×15.4本/mm(超高精細)
全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(精細)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
300×300dpi(ファインEX)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
300×300dpi(ファインEX)
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン)
8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン)
8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
カラー 200×200dpi 200×200dpi 200×200dpi 200×200dpi 203×196dpi(標準・ファイン) 203×196dpi(標準・ファイン)
送信原稿サイズ A4/B5/A5 A4/A5/リーガル/レター N/A N/A A4 A4
記録紙サイズ A4/A5/リーガル/レター A4/B5/A5/リーガル/レター A4/リーガル/レター A4/リーガル/レター A4 A4
受信ファクス最大保存ページ数 550枚/200件 100枚/100件 250枚/30件 50枚/20件 180枚/N/A件 180枚/N/A件
データー保持(電源オフ/停電) ○/○ ○/○ ○/− ○/− ○/○ ○/○
ワンタッチ
アドレス帳 200件 100件 100件 20件 100件×2番号 100件×2番号
グループダイヤル 199宛先 99宛先 99宛先 19宛先 198宛先 198宛先
順次同報送信 200宛先 100宛先 101宛先 21宛先 250宛先
(電話帳200宛先+手入力50宛先)
250宛先
(電話帳200宛先+手入力50宛先)
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信 ○/○ ○/− −/− −/− −/− −/−
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
受信ファクスを メール送信
共有フォルダ保存 −(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote対応) −(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote対応)
外部メモリー保存 ○(USBメモリー/メモリーカード(カードリーダー接続)) ○(USBメモリー)
PCファクス 送受信 送受信 送信のみ 送信のみ 送受信 送受信

 ファクス機能は搭載している機能はほぼ同等だが、細かなところで違いが出ている。6機種ともスーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85本/mmの標準モード、8dot/mm×7.7本/mmの精細モード/ファインモードは6機種共通だ。PX-M791FTはさらに高画質な8dot/mm×15.4本/mmの高精細モード、16dot/mm×15.4本/mmの超高精細モードを選択できる。一方G7030も300×300dpiのファインEXモードを、MFC-J4540NMFC-J4440Nも8dot/mm×15.4本/mmのスーパーファインモードに対応しているなど、高画質に送信が可能だ。また、EW-M674FTG7030MFC-J4540NMFC-J4440Nは、解像度は精細モード/ファインモードと変わらないが、写真が含まれた原稿に適した写真モードを選べる。しかし、PX-M791FTは全てのモードで、原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選ぶ事ができ、画質設定に関わらず、様々な原稿を綺麗に送信が可能だ。カラーは200×200dpi又は203×196dpiでほぼ共通だ。
 送信原稿サイズはPX-M791FTとEW-M791FT以外はA4に限定されるが、PX-M791FTEW-M674FTはB5とA5にも対応する。受信したファクスの印刷も、GX7030G7030MFC-J4540NMFC-J4440Nはリーガルとレターを除くとA4に限定されるが、PX-M791FTはA5に、EW-M674FTはB5とA5に対応している。A4用紙以外にも印刷できる点でPX-M791FTEW-M674FTはやや便利だが、一般的には大きなA4用紙で問題ないだろう。
 受信したファクスはPX-M791FTが550枚又は200件、EW-M674FTが100枚または100件、GX7030が250枚又は30件、G7030が50枚又は20件、MFC-J4540NMFC-J4440Nが180枚(件数不明)となる。最も多いのはPX-M791FTだが、EW-M674FTGX7030、MFC-4540、MFC-J4440Nも家庭で使う分には十分な枚数だ。一方、G7030はかなり少ないため、気をつけないとすぐに一杯になってしまう。枚数、件数には大きな差があるため、受信件数が多い場合は注意が必要だ。また、GX7030G7030は電源オフ時は受信したファクスが保持されるが、停電時やコンセントが抜けた場合には保持されないのに対して、PX-M791FTEW-M674FT、MFCJ4540N、MFC-J4440Nはそういった場合でも受信した内容が保持される。使い方によっては、電気が供給されなくても受信内容が保持される方が便利だろう。
 ダイヤル機能としては、6機種ともアドレス帳機能を搭載、PX-M791FTは200件、EW-M674FTは100件、GX7030は100件、G7030は20件、MFC-J4540NMFC-J4440Nは100件で1件あたり2番号登録が可能だ。PX-M791FTの件数が多いが、よほど件数が多くなければGX7030、MFCJ4540N、MFC-J4440Nでも問題ないだろう。ただG7030の20件はかなり少ないため、使い方によっては不足する場合があるだろう。G7030はメモリー容量が全体的に少ない印象だ。その他、グループダイヤル、順次同報送信、自動リダイヤル、発信元記録などの基本的な機能は6機種とも搭載しているが、グループダイヤルと順次同報送信は基本的にアドレス帳の件数に準ずるため、G7030ではこれら機能でも注意が必要だ。加えて、PX-M791FTEW-M674FTMFC-J4540NMFC-J4440Nは送信するファクスを液晶で確認してから送信する「見てから送信」と、受信したファクスの内容を液晶で確認した上で印刷するか決めることで用紙を節約できる「見てから印刷」機能も備える。さらに、これら4機種は、表にはないが指定した時間にファクスを送信する「時間指定送信」又は「タイマー送信」も搭載する。また、PX-M791FTMFC-J4540NMFC-J4440Nは同じ宛先の文書をまとめて送信する「バッチ送信」又は「とりまとめ送信」にも対応する。PX-M791FTはポーリング受信と送信の他送信失敗文書の保存機能をなども搭載、EW-M674FTもポーリング受信に対応しているなど、本格的なビジネス用途にも使える高性能なものとなっている。
 受信したファクスを、別の場所に保存・送信する機能は、PX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nの4機種が搭載する。指定したメールアドレスへの送信はPX-M791FTMFC-J4540NMFC-J4440Nが対応、同じネットワーク上の共有フォルダに保存したり、USBメモリーやメモリーカード(PX-M791FTのみ/要カードリーダー)に保存する機能はPX-M791FTGX7030が、クラウド上に保存する機能はMFC-J4540NMFC-J4440Nが対応している。ファクスの共有が行いやすいため、多人数で使う場合に便利だろう。
 さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能自体は6機種とも搭載しているものの、GX7030G7030は送信(パソコン上のデーターを画像として送信)のみ対応だが、PX-M791FTEW-M674FTMFC-J4540NMFC-J4440Nは送信だけでなく受信(パソコン上にファクスのデーターを受信)することもできる。なお、6機種ともファクス機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際、PX-M791FTEW-M674FTMFC-J4540NMFC-J4440Nの4機種はファクス/電話自動切り替え機能にも対応しているのも便利だ。このように6機種は基本的な機能は似ているが、画質設定や、受信ファクスやアドレス帳の保存件数、細かな機能ではPX-M791FTが最も高性能だ。EW-M674FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nは、PX-M791FTと比べると一部非搭載の機能があり、その搭載しない機能は異なっているが、ファクス/電話自動切り替えや見てから送信・受信、停電時のデーター保存など、GX7030に搭載しない機能で気になる機能があるため、EW-M674FTMFC-J4540N、MFC-4440Nが便利と言える。それに対して、G7030はかなり簡易的なファクス機能となっているため、とりあえずファクス機能があれば便利というくらいなら問題ないが、ある程度ファクス機能もよく使うという場合は、他の5機種の方が安心だ。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番 PX-M791FT EW-M674FT GX7030 G7030 MFC-J4540N MFC-J4440N
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型
(角度調整可)
2.4型
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
2行モノクロ
(90度角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶
(75度角度調整可)
タッチパネル液晶
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
ボタン式
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(度角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(度角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.11.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.14.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.14.6〜(AirPrint利用)
耐久枚数 20万枚 5万枚 15万枚 6万枚 10万枚 10万枚
外形寸法(横×奥×高) 425×500×350mm 375×347×231mm 399×410×314mm 403×369×234mm 435×355×250mm 435×355×180mm
重量 18.3kg 6.8kg 13.0kg 9.6kg 10.4kg 8.8kg
本体カラー ホワイト ブラック ブラック&ホワイト ブラック ホワイト ホワイト

 液晶ディスプレイと操作パネルを見てみよう。液晶ディスプレイと操作パネルは6機種とも本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。G6030は最大90度(水平)まで、PX-M791FTは75度、EW-M674FTGX7030も70〜80度程度、MFC-J4540NMFC-J4440Nは40〜50度程度起こすことができるので見やすい・操作しやすい角度に調節が出来る。低い位置に設置しても高い位置に設置しても使いやすいだろう。
 位置と角度調整可能という点では似ている6機種だが、操作パネルと液晶ディスプレイには大きな差がある。一番操作しやすいのはPX-M791FTだ。4.3型と6機種中最大のサイズで、しかもタッチパネル液晶となっている。液晶の左に「ホーム」と「排紙トレイ収納」、右に「ヘルプ」ボタンを用意する以外は、全てタッチパネル操作となっている。それらのボタンもタッチセンサー式なので、見た目は非常にスッキリしている。メニューや設定項目、各種ボタンが液晶内に表示されるので、直に項目をタッチして操作ができるため分かりやすく、またバックライトのある液晶内なので、暗いところでも操作しやすい。次に便利なのは、EW-M674FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nの4機種だ。液晶サイズはEW-M674FT以外が2.7型、EW-M674FTが2.4型と若干の違いはあるが、大きな違いではない。また、PX-M791FTと比べると小さくなる。それでもタッチパネルとなっているため、直感的な操作や、暗いところでも操作可能な点は同じだ。 物理ボタンは、EW-M674FTは液晶左に「ホーム」、右に「ヘルプ」ボタンだけであり、実質的にはPX-M791FTから液晶を小型化しただけと言える。一方、GX7030は液晶左に「電源」「ホーム」「戻る」、右に「キャンセル」「モノクロスタート」「カラースタート」となっており、MFC-J4540NMFC-J4440Nは液晶右に「戻る」「ホーム」「取り消し」となっている。GX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nはメニューや設定項目などはタッチパネル内に表示することでわかりやすくする一方、液晶が小さい点を補うため、よく使うボタンは、物理ボタンとして用意するという形を取っている。液晶内だけで操作が完結しない点では分かりにくいが、液晶内の表示は見やすくなる。なお、MFC-J4540NMFC-J4440Nは他機種よりやや輝度、視野角の点で劣る。ここまでは操作性として差はあるが、問題なく使えるレベルだろう。それに対してG7030はかなり劣る。液晶は2行文字表示のモノクロ液晶だ。サイズは実測値で次に小さいEW-M674FTと比べても幅は同じくらいだが、高さが3分の1ほどで、かなり小さい。漢字表示はできるが、文字情報だけなので分かりにくくなってしまう。その上、バックライトを搭載していないため、薄暗いだけでも視認性が極端に悪くなってしまうのもデメリットだ。操作パネルを見てみると、液晶が小さいこともあって機能を選択するトップ画面が無いため、「コピー」「スキャン」「ファクス」「セットアップ」といった各機能にダイレクトに入れるボタンが液晶左に並んでいる。代わりに液晶内の操作は、設定画面を表示する「メニュー」ボタンの他、「左右カーソル」と「OK」「戻る」と最低限のボタン数となっている。上下カーソルが無いため操作が分かりにくく、階層も深くなってしまい操作が煩雑になってしまう。これらボタンに加えて、Wi-Fi設定時に使う「ワイヤレスコネクト」や、「カラースタート」「モノクロスタート」「ストップ」、さらにファクスと用のテンキーが並ぶ。電源ボタンを除くと、タッチセンサーボタン3つしかなかったPX-M791FTや、物理キーが2個しかなかったEW-M674FT、5つのGX-7030、3つのMFC-J4540NMFC-J4440Nに対して、G7030は26個も並び、液晶が小さいこともあってボタンだらけという印象で、この点も操作する上で分かりにくくなっている。操作性は圧倒的にPX-M791FTが最も良いが、EW-M674FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nも悪くはない一方、本体での操作が多いならG7030はかなり辛いと言えるだろう。
 ちなみにファクス用のテンキーは、G7030以外の5機種は液晶内に表示され、G7030は物理的なキーが用意されている事になる。液晶内のテンキーでは、押した感触が無いため電話番号が押しにくいと感じる場合はあり、その点では電話番号を手動で押すことが多い場合はG7030の方が使いやすく感じる場合もあるだろう。しかし、ファクス機能を使わない際にテンキーが表示されない方がボタン数が多くなりすぎず分かりやすいこと、液晶内の方が暗い場所でも操作が可能である事は利点だ。一長一短で有り、この点は好みによるものだろう。
 インターフェースは6機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンは機能名ははダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、壁にLANコネクターがある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。さらに、無線LAN機能にも違いがある。EW-M674FTG7030MFC-J4540N、MFCJ-4440Nの対応する無線LANはIEEE802.11n/g/bで、これは2.4GHz帯の電波を使用する。これは障害物には強いが、Bluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすいなど、環境によっては通信が安定しない事もある。PX-M791FTGX7030は2.4GHz帯に加えて、無線LAN専用である5GHz帯での通信も可能となっており、通信が安定する。またGX7030の5GHz帯の通信はIEEE802.11n/aとなるため、通信速度面では変わらないが、PX-M791FTはこれらに加えてIEEE802.11acにも対応しており、通信速度も圧倒的に早い。印刷やADFのスキャンが高速な機種だけに、無線LANの速度がボトルネックになりにくく、本来の性能が発揮しやすいと言える。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンのPX-M791FTEW-M674FTはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、キャノンのGX7030G7030、ブラザーのMFC-J4540NMFC-J4440NはWindows 7 SP1以降の対応だ。4機種ともWindows XPやVistaに対応しないだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ(Windows 8.1には対応)。MacOSもGX7030が10.12.6以降、G7030が10.11.6以降、MFC-J4540NMFC-J4440Nが10.14.6以降となっており、エプソンより比較的新しいバージョンのみ対応する。ドライバーはメーカーからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。
 本体サイズを見てみよう。PX-M791FTは425×500×350mmで大柄だ。横幅はそれほど大きくは無く、高さも前面給紙カセットが2段である事を考えると仕方が無いと思えるが、奥行きが意外と大きい。エコタンクの飛び出した部分を含むサイズで、それ以外の部分の奥行きは450mm程度だが、それでも350mm前後の機種が多い中ではかなりの大きさだ。設置スペースは気をつける必要がある。一方、EW-M674FTは375×347×231mmとコンパクトで、幅と奥行きは6機種中最も小さく、高さも2番目に小さい。また、幅と奥行きは家庭用のインクカートリッジの機種と比べても引けを取らないコンパクトさだ。しかも奥行きに関しては、エコタンクと前面給紙カセット部分だけが出ているデザインなので、全体的にはサイズ以上に小さく見える。GX7030PX-M791FTと似た製品ではあるが、399×410×314mmと、PX-M791FTと比べて一回り小さい。奥行きは液晶部の飛び出しを含まないサイズだが、これは15mm程度であるため、足したとしてもPX-M791FTのエコタンクを除いたサイズより小さい。G7030EW-M674FTと似た製品だが、403×369×234mmで、高さはEW-M674FTとほぼ同じだが、幅が28mm、奥行きが22mm大きく、全体に一回り大きいという印象だ。MFC-J4440Nは435×355×180mmとなる。幅は6機種中最も大きいが、奥行きは2番目に小さく、高さは最も小さい。幅も、インクカートリッジ部が35mmほど出ているデザインであるため、全体的には非常にコンパクトに見える。MFC-J4540Nも、前面給紙カセットが2段になる分、高さが250mmとなるが、同じ2段カセットのPX-M791FTGX7030よりかなり低く、むしろ1段のEW-M674FTG7030に近い高さだ。給紙枚数を考えると非常にコンパクトと言えるだろう。
 なお、EW-M674FT以外は背面給紙を利用する場合は、後方にさらにスペースが必要でだ。特に、普通紙以外が背面給紙からとなるGX7030G7030は、背面給紙の使用がほぼ必須である点は注意が必要だ。設置スペースだけで見ると、EW-M674FTは優秀だと言える。
 耐久枚数はPX-M791FTが20万枚、EW-M674FTが5万枚、GX7030が15万枚、G7030が6万枚、MFC-J4540NMFC-J4440Nが10万枚となっている。差が大きい一方、家庭向けの機種が1万〜1万5000枚である事を考えると、6機種ともかなり高耐久である事が分かる。プリンターの場合5年が寿命と言われているため、5年間で割ると、PX-M791FTが月3333枚、EW-M674FTが月833枚、GX7030が月2,500枚、G7030が月1000枚、MFC-J4540NMFC-J4440Nが月1,667枚が目安となる。最も少ないEW-M674FTの月833枚を超えないのであれば、耐久性は考慮に入れる必要は無いし、多いようであれば特に耐久性にこだわった製品を選んだ方が、長く使えると言える。



 これら6機種は2種類に分けられる。全色顔料のPX-M791FTGX7030MFC-J4540NMFC-J4440Nと、顔料ブラック+染料カラーのEW-M674FTG7030だ。前者は文書専用といったプリンターであり文書の印刷画質には優れている一方、年賀状や写真用紙など様々な用紙を使うなら後者の方が使い勝手が良い。印刷コストも後者の方が安い。文書印刷とコピー、ファクスにしか使用しない、完全なビジネス用途なら前者を、家庭内などで様々用途に使うなら後者がオススメだ。
 まず、前者の場合、性能に特にこだわるならPX-M791FTだ。印刷画質や印刷速度、自動両面印刷速度、対応用紙の幅広さ、ファクスやコピーの機能、リモートプリント、操作性、無線LANなど、6機種中最も高性能だ。価格は高いが、それだけの価値がある製品と言える。弱点と言えば、EW-M674FTG7030よりも印刷コストが高い事と本体サイズが大きいことだが、前者はカートリッジ方式のプリンターやレーザープリンターと比べれば十分に安価なので大きな問題では無いだろう。また、多人数で使う場合などにはPX-M791FTがオススメだ。似たような製品が良いが少しでも本体価格が安い方が良いならGX7030だ。カラープリントの速度や画質、自動両面印刷速度、操作性などで劣る他、コピーやファクス機能などでも若干劣る。とはいえ、印刷コストは同等で、モノクロプリント速度もほぼ同等、給紙枚数も多く、耐久性も高い。ビジネス向けの機能であるPDFのダイレクトプリントも搭載し、ADFは同時両面スキャンが可能など、ビジネス向けに十分耐えうるスペックだ。前面給紙カセットが普通紙のみという点が問題にならなければ、オススメの製品と言える。残るMFC-J4540NMFC-J4440Nは、家庭向けの機種と筐体を共通化した結果、ビジネス向けになりきれていない印象だ。前面カセットの給紙枚数や、ビジネス用途では使われがちな背面給紙が手差しである点、ADFが片面スキャンで、原稿枚数も20枚までと少ない点、PDFの誰区と印刷に非対応である点なども劣る点だ。印刷コストも、カラーが高いのもデメリットだ。その一方で、印刷速度は十分に高速で、モノクロの印刷コストが同等、コピーやファクス機能も問題が無い。それでいて価格が安いこともメリットだが、本体が小さい事もメリットだ。そのため、商店や受付など設置スペースが限られる場合や、テレワークなどで自宅用とは別に仕事用を置くと言った用途にはオススメと言える。前面給紙カセットが2段必要ならMFC-J4540N、1段で問題ないならMFC-J4440Nだ。
 では、顔料ブラック+染料カラーの2機種、EW-M674FTG7030はどちらがおすすめだろうか。いずれも印刷コストが全色顔料の4機種より安く、本体価格も安い事から、文書印刷の画質にそこまでこだわらず、コストパフォーマンス重視のユーザー向けだ。家庭内での使用の他、テレワークや学生の自宅学習、印刷枚数の多い大学生などに向いている。ただ、この2機種は価格も近く、機能面でも近いため、悩みどころだろう。しかし、万人にお勧めできるのはEW-M674FTだ。言い換えれば、弱点が少ないといえる。インクの補充方式もG7030より優れており。印刷速度もやや高速、両面印刷速度やADFも比較的速く、長尺印刷やネットワーク印刷にも対応、タッチパネル式のカラー液晶を搭載し、それでいてコンパクトだし、コピー機能やファクス機能も基本を抑えている。本体の耐久性も高く、メンテナンスボックスも交換可能で、印刷枚数が多くても安心だ。唯一弱点らしいのは、前面給紙カセット1段のみであることだが、普通紙印刷がメインであれば1種類で問題ないだろう。EW-M674FTを選んでおけば、とりあえずどの点にも不満無く使えるだろう。それに対して、G7030に優れている点があるとすると、前面+背面の2方向給紙だ。2種類の用紙がセットできる点は便利な場合もあるだろう。反面弱点も多く、印刷速度や自動両面印刷速度の遅さはまだしも、肝心のファクス機能が全色顔料の4機種だけでなく、EW-M674Ftと比べてもかなり貧弱である事と、モノクロ液晶で操作性がかなり劣る点がある。また2方向給紙という点も、普通紙以外は背面給紙という点で、普通紙以外を常用する場合は逆に不便となる。ファクス機能は付いていれば良いというレベルで、コピーなど本体操作はあまりしないが、それよりも2方向給紙に魅力がある場合はG7030もありだろうが、そうでなければEW-M674FTの方が一般的にオススメできる製品だ。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


PX-M791FT
EW-M674FT
GX7030
G7030
MFC-J4540N
MFC-J4440N