プリンター徹底比較
2021年末時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2022年3月26日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
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A4カラー単機能プリンター(タンク方式)
 
 スキャナーやコピー機能を持った複合機では無く、プリントのみの単機能プリンターの中で、タンク方式の機種を比較する。タンク方式は現在、エプソンのエコタンク方式とキャノンのギガタンク方式があるが、エプソンはカラー単機能プリンターは販売していないため、キャノンの2機種を比較することになる。G5030(32,868円)とG1310(21,868円)の2機種だが、G1310が旧モデルで、G5030は新モデルとして発売されたが、G1310も下位モデルとして残っている。上位・下位の違いと言うより、新旧の違いのような形だが、新機種には1万1000円の価格差を出す価値があるのか、検証してみよう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー キャノン キャノン
型番 G5030 G1310
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込) 32,868円 21,868円
インク 色数 4色 4色
インク構成 ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 ギガタンク
(挿して注入・満タン自動ストップ)
ギガタンク
顔料/染料系 染料(カラー)/顔料(黒)
新顔料ブラック
染料(カラー)/顔料(黒)
インク型番 30番 390番
付属インクボトル インクボトル(カラー)各色1本
インクボトル(ブラック)2本
インクボトル(カラー)各色1本
インクボトル(ブラック)2本
ノズル数 1792ノズル 1472ノズル
カラー:各384ノズル
黒:640ノズル
カラー:各384ノズル
黒:320ノズル
最小インクドロップサイズ N/A(2pl?) N/A(2pl?)
最大解像度 4800×1200dpi 4800×1200dpi
高画質化機能
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) 37秒 51秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 6.8ipm 5.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 13.0ipm 8.8ipm
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 N/A N/A
A4カラー文書 1.0円 0.9円
A4モノクロ文書 0.5円 0.4円
インク1本の印刷枚数
(A4カラー文書)
ブラック 6,000ページ 6,000ページ
カラー 7,700ページ 7,000ページ
インク1本の価格
(税込)
ブラック 2,310円 1,892円
カラー 1,540円 1,232円

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。両機種とも4色構成で、ブラックが顔料インク、カラーが染料インクというのは同等だ。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。とは言え全色を顔料インクとすると写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れポストカードのようになってしまう他、一部の用紙が使用できない。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。両機種とも顔料ブラックを搭載してるため普通紙への黒の印刷はメリハリがある印刷が行える。ただ顔料インクはブラックだけなので、黒色部分しかこの恩恵は得られない。また、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを重ねて作り出す場合があり、背景色があるなど、カラーの中に黒が混ざっている場合も染料インクを使う場合があり、必ずしも全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。特にG5030は「新顔料ブラック」という名称が付けられているので、ブラックに関しては、よりクッキリとした黒が表現できる。
 一方、写真印刷や年賀状の通信面印刷時といった普通紙以外への印刷では染料インクしか使えない。両機種とも染料ブラックを搭載していないため、カラー3色での印刷となる。黒色はカラーを重ねて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒髪や影、夜景などの色を見れば一目瞭然な他、影や夜景などの黒の中の微妙な表現力が劣ってしまう。その点では両機種とも写真印刷向きの機種とは言えない。また、インク自体の発色に関しても、G5030は顔料ブラックに関しての記述しか無いため、染料カラーに関しては両機種に差があるのかは不明だ。
 最小インクドロップサイズはも写真画質の面では重要だ。最小インクドロップサイズは、用紙上のドットの大きさに直結しており、これが大きいとドットが見えてしまい全体としてザラザラとした印象を受ける事になる。両機種とも最小インクドロップサイズは非公開ながら、海外の同機能のモデルから推測すると2plではないかと思われる。これは十分に小さなサイズであるため、この点では粒状感を感じる事は無さそうだ。ちなみに、インクの耐保存性も重要だ。キャノンの家庭用カートリッジ方式の機種の場合、上位機種を中心に「ChromaLife 100」という名称で、アルバム保存100年をうたっており、エプソンではさらにアルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年というインクも使われている。しかし、両機種ともに耐保存性は非公開だが、ChromaLife 100には準拠しないという事なので、100年より短い可能性が高い。この点でも写真印刷向きの機種とは言えないだろう。
 ここまで、両機種に大きな違いは無いが、2点違いがある。まずは、印刷速度である。G5030はL判写真フチなしが37秒、A4カラー文書が6.8ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、A4モノクロ文書が13.0ipmである。一方G1310はそれぞれ51秒、5.0ipm、8.8ipmとなる。G5030の方が、カラーは36%、モノクロは48%ほど速くなる。キャノンの家庭用カートリッジ方式の機種では、それぞれ14秒、10.0ipm、15.0ipmという機種があるため、それと比べればG5030も遅いが、両機種の差は大きい。これはノズル数が直接影響していると思われる。カラーに関しては各色384ノズルで同等だが、ブラックはG1310が320ノズルなのに対して、G5030は倍の640ノズルとなっている。このことがモノクロ印刷の速度差に直結し、カラー印刷にも影響していると思われる。ただ、カラーインクしか使わない写真印刷でも差が出ていることを考えると、ノズル数以外の改良がなされているとも考えられる。この印刷速度差を時間になおしてみると、例えば100枚の文書をプリントした場合、G5030ではカラーなら14分42秒、カラーなら7分42秒、G1310はカラーなら20分、モノクロなら11分22秒である。この差を大きいと感じるかどうかは、一度に印刷する枚数やなどによっても違うだろう。
 もう1点の違いは、ギガタンクのインク注入方式だ。G1310は第1世代のギガタンク方式となっている。トップカバーを開き、さらに左にブラック、右にカラーのインクタンクカバーがあるのでこれを開くところまでは同じだ。G1310では各色の注入口がキャップでふさがれているため、これを外す。すると大きめの穴が出現するので、インクボトルの先端を注入口に挿し込み、ボトルの側面を握ってインクを注入していく。前面のインク残量窓を見て、満タンのラインまで目視で確認して注入を止める形になる。ボトルは握ったり倒すとこぼしてしまう危険性があるし、注入時にあふれさせてしまう危険性もある。一方G5030は第2世代のギガタンク方式となっている。各色の注入口のキャップを開けるのは同じだが、スイング式になっていて開けやすい。そして注入口は穴では無く、注入用の管が出ており、ここにボトルを挿し込むと、注入が始まる形となる。そして満タンになると自動ストップするので、ボトルを挿し込んだらストップするまで待つだけだ。挿し込まなければボトルの先端からインクが出にくい形状となっているため、ボトルからインクをこぼす心配も無い。また満タンで自動ストップするので、あふれさせてしまう心配も無い。また補充する場合は上限まで入れる必要があるが、G5030は無くなった色だけ補充すれば良いのに対して、G1310は1色だけ補充する必要がある場合でも、全色を上限まで補充する必要がある。このように手間と危険性では大きな違いがある。従来のカートリッジ方式に比べて、手間がかかると感じるのがこのインク補充作業だが、G5030ならカートリッジ方式と変わらない手間で補充ができる。
 なお、印刷コストに関してはA4カラー文書はG5030が1.0円、G1310が0.9円、A4モノクロ文書はG5030が0.5円、G1310が0.4円となる。G1310の方がカラー、モノクロ共に0.1円安いが、1万枚印刷しても1,000円の差なので、大きな差では無い。また、同じキャノンのインクカートリッジ方式の機種と比べると、家庭用の機種ではA4カラー文書は10.5円〜18.5円、ビジネス向けの機種でも6.8〜9.8円である事を考えると両機種とも圧倒的に安い。また、インクボトルはG5030用はブラックが2,310円、カラーが各1,540円、G1310用はブラックが1,892円、カラーが各1,232円で、これでカラー文書を印刷した場合、G5030はブラックが6,000枚、カラーが7,700枚まで、G1310はブラックが6,000枚、カラーが7,000枚まで印刷が可能だ。インクボトル自体の価格はインクカートリッジと変わりが無いわりに、印刷可能な枚数が圧倒的に多く、これが低印刷コストにつながっている。ちなみに、一般的なプリンターに同梱するインクはセットアップ用であり、初期設定に使用するとほとんど残らないが、G5030G1310は別売りのものと同じインクボトルが、カラーは各1本、ブラックは2本同梱している。インクボトル1本でインクタンクが満タンになるので、同梱のインクで、インクタンクを満タンの状態にできる。もちろん初期設定時のインク充填でかなりの量のインクを消費してしまうが、それでもある程度印刷できるインクが残ると思われる。また、ブラックインクに関しては、残った分+6,000枚は印刷できる事になる。これだけでもずいぶんお得と言えるだろう。

プリント(給紙・排紙関連)
型番 G5030 G1310
製品画像
対応用紙サイズ 名刺〜A4 名刺〜A4
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
前面 【カセット】
普通紙のみ
(250枚/−/−)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は、両機種と名刺からA4サイズまでに対応する点では同じだ。ただしG1310は背面給紙のみなのに対して、G5030は背面給紙に加えて、前面給紙カセットも搭載する。背面給紙は用紙幅を合わせて、用紙を立てるだけなので一見便利そうだが、用紙をセットしたまだとホコリが積もってしまい、それがプリンター内部に入ると故障の原因になるため、使い終わったら取り除くのが理想だ。また、背面給紙トレイが後ろに傾く為、プリンター後方にスペースが必要となる。その点、G5030は前面給紙カセットがあり、ここに用紙をセットすれば、完全に本体に収納が可能でホコリが積もることも無い。常に電源を入れており、1日に何回も印刷するという使い方の場合、G5030の方が便利だ。また、給紙枚数も背面給紙からは普通紙が100枚というのは両機種とも同じだが、G5030は前面給紙カセットに250枚までセットできるもで、両方とも普通紙をセットすれば350枚までの連続給紙にも対応できる。大量印刷する場合にも、用紙を補充する手間が省けるのもメリットだ。ただしG5030の前面給紙カセットは普通紙専用で、ハガキや写真用紙、ファイン紙などは全て背面からとなる。それでも、前面給紙カセットには普通紙を常時セットしたままで、もう1種類の用紙を背面から利用できるのも便利だ。
 G5030には用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込む、または背面の給紙口カバーを閉じた際に、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。

プリント(付加機能)
型番 G5030 G1310
製品画像
自動両面印刷 ○(普通紙のみ)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 2.8ipm
A4モノクロ文書 2.9ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(自動写真補正) N/A
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ ○/○ ○/○
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能はG5030のみ搭載している。普通紙のみでハガキには非対応だが、文書を両面印刷したい場合に重宝するだろう。自動電源オン・オフ機能は両機種とも搭載している。自動電源オンは、印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。最近では無線LANや有線LANでのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。G5030もネットワーク接続が可能なので重宝するだろう。一方G1310はUSB接続のみで(後述)、パソコンの横に設置することになるためそれほど意味の無い機能だとは言える。一方、自動電源オフ機能は、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能である。

スマートフォン/クラウド対応
型番 G5030 G1310
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 5.0以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(Bluetooth)
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
クラウド連携 プリント スマートフォン経由/本体 ○/− −/−
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS刷 ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon)
メールしてプリント
LINEからプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンやタブレットとの連携機能はG5030のみ搭載している。iOSとAndroid端末に対応しており、いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリントが行える。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。一方、ドキュメント印刷の場合はPDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(設定上の名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が機能的な制限が無く、接続設定も簡単なので、こちらを利用する人が多いと思われるが、Wi-Fi環境がない場合や、他の人に一時的にプリンターを使えるようにする場合などに、Wi-Fiダイレクトは重宝するだろう。i-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、G5030はBluetoothを利用した接続支援機能が提供される。Android限定の機能で、Bluetoothといっても、Bluetoothで直接印刷データーを送信するのではなく、接続自体はWi-Fiだが、あらかじめBluetoothでペアリングしておけば、Wi-Fiダイレクトの設定が簡単に行えるというものだ。使う機会は限定されるとはいえ、少しでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。
 また、G5030はスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものと、プリンターの状態の確認が行える。
 さらに、クラウドとの連携機能も搭載している。オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。また、写真共有サイトからの印刷も可能だ。スマートフォンのアプリ上からアクセスする形となり、G5030本体だけでクラウドにアクセスする機能は搭載されていない。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番 G5030 G1310
製品画像
液晶ディスプレイ 2行モノクロ
操作パネル ボタン式
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
耐久枚数 6万枚 N/A
外形寸法(横×奥×高) 403×369×166mm 445×330×135mm
重量 6.5kg 4.8kg
本体カラー ブラック ブラック

操作パネルと液晶ディスプレイを見ていこう。とはいえ、単機能プリンターと言うことで、液晶ディスプレイを搭載しない機種も多い中、G5030は小さいながら液晶ディスプレイを搭載する。2行の文字表示でモノクロ、バックライト無しという最低限のものだが、無線LANの設定や、各種本体の設定、エラー内容の確認などができて便利だ。
 インターフェースは両機種ともUSB2.0に対応している。さらにG5030はネットワーク接続に対応している。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(ダイレクト接続)にも対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も便利だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、壁にLANコネクターがある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。G1310はUSB接続のみなので、パソコン1台とUSBケーブルで接続してプリントするしかない。この点の自由度はG5030が圧倒的に上だ。
 対応OSにも違いがある。G5030G1310は共にWindowsは11/10/8.1/7 SP1のみ対応だ。Windows VistaやXPには対応しない他、Windows 8にも対応しない(8.1には対応する)点は注意が必要だ。MacOSに関しては、G5030は10.10.15以降に対応するが、G1310は非対応となる。Macユーザーは気をつけたい。G5030に関しても、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。
 本体サイズはG5030が403×369×166mm、G1310が445×330×135mmで、横幅はG5030が、奥行きと高さはG1310が小さい。ただ、G1310は必ず後方にスペースが必要だが、G5030は前面給紙カセットのみ使用するなら、後方にスペースは不要だ。設置面積ではG5030の方がやや有利とも言える。ちなみに、本体の耐久枚数に関してはG5030が6万枚と公表されているが、G1310は非公開だ。G5030も当初は非公開だったが、途中で6万枚と掲載された一方で、G1310は非公開のままであるため、G1310の耐久枚数は劣る可能性もある。印刷枚数が多いユーザー向けのプリンターだけに、耐久枚数が公開されているG5030は安心感がある。



 こうしてみると、2機種の機能差は大きく1万円以上の差がある様に思える。G1310は非常にシンプルで、USB接続のみでスマートフォンにも対応せず、自動両面印刷機能も無く、背面給紙のみで、液晶も搭載しない。パソコンとは無線LANや有線LANで接続したいという場合や、スマートフォンやタブレットからのプリントも行う場合はG5030を選ぶことになる。また、MacOSもG5030しか対応しない。印刷速度面でもG5030の方が上なので、少しでも印刷が速いほうが良いという場合や、自動両面印刷が必要という場合もG5030だ。インクの補充の利便性を考えても、一般的には、G5030を選んだ方が安心と言える。一方で、画質面での大きな差は無いため、USB接続でパソコンから片面プリントができれば良く、印刷速度もこだわらず、それよりも少しでも安い方が良いという場合のみG1310でも良いだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


G5030
G1310