プリンター徹底比較
2022年春時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2022年5月16日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


カラー複合機(タンク方式・4万円以上)
 
 タンク方式や大容量カートリッジの複合機の中で、ファクス機能が搭載されていない機種で4万円以上の機種を比較する。全部で6機種だが、エプソンから3機種、キャノンから2機種、ブラザーから1機種となる。またエプソンのEW-M873T(66,000円)とキャノンのGX6030(72,050円)の2機種、またエプソンのEW-M754T(44,550円)、EW-M634T(41,250円)とキャノンのG6030(43,838円)と、ブラザーのDCP-J4140N(40,700円)の4機種は、それぞれ価格が近いため、ここで2つの記事に分けることも出来るが、前の2機種は方向性が全く逆の製品で比較しにくく、後者もEW-M754Tだけ方向性が違う。そのため、高価格帯の製品としてまとめて比較することとした。どのような違いがあるのか細かく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー エプソン エプソン エプソン キャノン キャノン ブラザー
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像

実売価格(メーカーWeb/税別) 66,000円 44,550円 41,250円 72,050円 43,838円 40,700円
インク 色数 6色 5色 4色 4色 4色 4色
インク構成 マットブラック(顔料)
フォトブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
グレー
マットブラック(顔料)
フォトブラック(染料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式)
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オンキャリッジ式)
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式)
ファーストタンク方式
(カートリッジ方式・各色独立)
顔料/染料系 染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(つよインク)
ClearChrome K2 Plus
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(つよインク)
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年)
顔料 染料(カラー)/顔料(黒)
新顔料ブラック
顔料
インク型番 トビバコ ケンダマ(顔料)
タケトンボ(染料)
(増量/使い切りサイズ)
ヤドカリ(顔料)
ハリネズミ(染料)
GI-36番 30番 416XL(超・大容量)
416(大容量)
付属インクボトル インクボトル各色1本 セットアップ用インクボトル各色1本 インクボトル各色1本 インクボトル各色1本 インクボトル(カラー)各色1本
インクボトル(ブラック)2本
セットアップ用インクカートリッジ各色1本
ノズル数 1080ノズル 900ノズル 784ノズル 4352ノズル 1792ノズル 840ノズル
各色180ノズル 各色180ノズル カラー:各128ノズル
黒:400ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
カラー:各384ノズル
黒:640ノズル
全色:各210ノズル
最小インクドロップサイズ N/A(1.5pl)
(AdvancedMSDT)
N/A(1.5pl)
(AdvancedMSDT)
3.3pl
(MSDT)
N/A N/A(2pl?) 2pl
最大解像度 5760×1440dpi 5760×1440dpi 4800×1200dpi 600×1200dpi 4800×1200dpi 1200×4800dpi
高画質化機能 PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi)
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) 19秒 25秒 75秒 N/A 37秒 14秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 12.0ipm 9.0ipm 8.0ipm 15.5ipm 6.8ipm 19.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 16.0ipm 12.0ipm 15.0ipm 24.0ipm 13.0ipm 20.0ipm
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 7.6円 増量:9.5円
使いきり:9.8円
6.5円 N/A 6.2円 超・大容量:12.5円
A4カラー文書 1.8円 増量:3.0円
使いきり:3.2円
1.0円 2.2円 1.0円 超・大容量:4.1円
A4モノクロ文書 0.7円 増量:1.3円 0.4円 0.8円 0.5円 超・大容量:0.8円
インク1本の印刷枚数
(カラー文書)
顔料ブラック 6,700ページ 使いきり1,100ページ
増量4,000ページ
7,500ページ 6,000ページ 6,000ページ 超・大容量:6,000ページ
大容量:3,000ページ
染料ブラック 7,300ページ 使いきり1,100ページ
増量4,000ページ
カラー 6,200ページ 使いきり1,000ページ
増量3,700ページ
6,000ページ 14,000ページ 7,700ページ 超・大容量:5,000ページ
大容量:1,500ページ
インク1本の価格
(税別)
顔料ブラック 2,046円 使いきり:660円
増量:2,200円
2,365円 4,730円 2,310円 超・大容量:4,400円
大容量:3,300円
染料ブラック 2,046円 使いきり:660円
増量:2,200円
カラー 各2,046円 使いきり:各660円
増量:各2,200円
各1,265円 各6,160円 各1,540円 超・大容量:各5,500円
大容量:各2,750円

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。エコタンク・ギガタンク・ファーストタンク搭載複合機ということで、いずれもタンク式のように思えるが、実際にはエコタンクとギガタンクが本体内蔵のインクタンクに、インクボトルからインクを補充して使用するプリンター、ファーストタンクは大容量のカートリッジを採用するプリンターとなる。とはいえ、いずれも、従来のカートリッジ方式に比べて印刷コストが安く大量印刷に向いている。その分、本体価格は少し高めに設定されており、上位モデルが7万円前後、中位モデルは4万円前後となる。
 インク構成は機種によって大きく異なっており、これが選ぶ上での決め手の一つとなる。EW-M873Tは6色、EW-M754Tは5色、その他の3機種は4色インク構成だが、GX6030DCP-J4140Nが全色顔料インク、それ以外の4機種は顔料のブラックインク+残りが染料インクという構成になっている。つまりEW-M873Tは顔料ブラック+染料5色、EW-M754Tは顔料ブラック+染料4色、EW-M634TG6030は顔料ブラック+染料3色、GX6030DCP-J4140Nは顔料4色となる。ちなみにEW-M873TEW-M754Tではマットブラックとフォトブラックという表記があるが、同じブラックが2種類だと分かりにくいことから、顔料をマットブラック、染料をフォトブラックという名称にし、区別している。
 ここで、染料インクと顔料インクの話が出てきたが、それぞれに得手・不得手がある。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。また水濡れに弱く、濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲んでしまう。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高い。しかし、顔料インクは写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れ半光沢のようになってしまう。また、光沢した年賀状や光沢フィルムなど一部に顔料インク非対応の用紙もある。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。
 これを踏まえて各機種を見ていこう。まずは写真や年賀状の通信面など普通紙以外へプリントする際の画質である。これは染料インクが力を発揮する。最も高画質なのはEW-M873Tで、次いでEW-M754Tとなる。EW-M873Tは全部で6色、EW-M754Tは5色となるため、顔料ブラックを除くと、それぞれ染料インクは5色と4色となる。染料インクが4色以上となると、シアン、マゼンダ、イエローの基本3色に加えて、染料ブラックを搭載する事が可能となる。そのため、写真印刷時も黒インクを使用でき、しっかりとした黒を表現できるため、綺麗な写真が印刷できる。一方でEW-M634TG6030は顔料ブラックを除くと染料インクは3色しか無く、シアン、マゼンダ、イエローだけで終わってしまい、染料ブラックを搭載できない。そのため写真や年賀状の通信面はカラー3色での印刷となる。黒色はカラーを重ねて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒髪や影、夜景などの色を見れば一目瞭然な他、影や夜景などの黒の中の微妙な表現力が劣ってしまう。その点で5色・6色インクを搭載したEW-M873TEW-M754Tは写真印刷に向いていると言える。また、EW-M873Tはさらにグレーインクを搭載しており、グレーをベースにすることで、より粒状感を低減できる。またEW-M754Tでは、モノクロ印刷やカラーでもグレーの部分はカラーインクを重ねて表現するが、どうしても青白くなるなど綺麗なグレーにならない。その点でEW-M873Tではグレーインクが使えるため、綺麗なグレーとなり、全体的に色合いが崩れずに印刷できる。また、写真作品印刷時に使用されるアート紙に印刷する際に、顔料ブラックを使用する事で、よりクッキリした印刷が行えるのもEW-M873Tのメリットだ。スナップ写真だけで無く写真作品印刷にまで適した画質と言える。ただ、EW-M754TEW-M873Tの間に大きな差があるかと言われると、そこまでの差ではない。写真印刷なら、とりあえずEW-M873TEW-M754Tであれば問題ないだろう。残るGX6030DCP-J4140Nは顔料インクのみで染料インクを搭載しないため、顔料インクでの印刷となる。カラーもブラックも同じ顔料インクであるため写真印刷時もブラックインクも使用できるが、今度は顔料インクである事が問題となり、写真印刷時の発色がかなり悪く、写真用紙本来の光沢感も薄くなるため、写真画質とは到底言いがたい。それならばEW-M634TG6030の方がまだ、コントラストは弱いが写真らしい印刷が出来るだけマシと言えるだろう。また、光沢年賀ハガキなど一部の光沢紙やアイロンプリント紙、フィルム紙などには非対応の用紙もある。
 最小インクドロップサイズの面でもEW-M873TEW-M754Tは写真印刷に向いている。最小インクドロップサイズが小さいと、ドットが見えにくく、粒状感(ザラザラした感じ)を受けにくくなる。EW-M873TEW-M754Tの最小インクドロップサイズはカタログやWebページには記載が無いが、実際には両機種とも1.5plとなっており、これはインクカートリッジ方式の家庭向けの機種と同じサイズとなっており、非常に粒状感の少ない印刷が可能となっている。一方、4色インク構成のEW-M634Tは3.3pl、DCP-J4140Nは2plとなっているが残る2機種は非公表だ。ただし、G6030は非公開ながら海外の同機能のモデルから2plと予測され、GX6030は元となるMAXIFYシリーズと同じなら、ブラックは5pl、カラーは11plとなる。G6030DCP-J4140Nはインク構成の面ではともかく、粒状感の面ではマシと言えるが、EW-M634TGX6030は粒状感の面でも写真向けとは言いがたい。
 もう一つ、インクの種類にも違いがある。もちろん発色などの面でもEW-M873TEW-M754Tが使うインクは優秀な可能性があるが、この点ははっきりと示されているわけではない。ただ、インクの耐保存性に違いがある。家庭用の6色インクの機種の場合、エプソンは「つよインク200」という名称で、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年をうたっており、キャノンも「ChromaLife 100」という名称で、アルバム保存100年をうたっている。ブラザーも名称こそないが、従来のカートリッジ方式の機種ではアルバム保存100年、耐光性50年をうたっている。EW-M873TEW-M754Tは「つよインク」という名称で「つよインク200」と全く同じ耐保存性となっており、色あせには非常に強くなっている。一方、EW-M634Tが採用するインクはアルバム保存300年、耐光性7年、耐オゾン性2年となっており、耐光性と耐オゾン性で大きく劣る。飾っておいた場合などの色あせに大きな違いがあるだろう。GX6030G6030に関しては耐保存性は非公開だが、ChromaLife 100には準拠しないという事なので、100年より短い可能性が高い。DCP-J4140Nも耐保存性は非公開だが、前述のアルバム保存100年、耐光性50年対応機種に入っていないことから、これより劣る可能性が高い。写真印刷向けの機種は、画質だけでなく、耐保存性の面でも写真向けである事が分かる。
 次に、文書印刷(普通紙印刷)の画質を見てみよう。最も高画質なのは、当然全色顔料インクであるGX6030DCP-J4140Nだ。カラーインクも顔料インクであるため、カラー、モノクロ問わず非常に高画質にプリントが可能だ。レーザープリンターからの乗り換え用途などが考えられる機種だ。耐水性も高い。残る4機種はブラックインクだけだが顔料インクを搭載している点で同等だ。そのため普通紙への黒の印刷はメリハリがある印刷が行える。ただ顔料インクはブラックだけなので、黒色部分しかこの恩恵は得られない。また、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分や、カラーの中の黒色部分には染料のグレーインクを使ったりカラーインクを重ねて作り出す場合があり、必ずしも全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。また黒文字だけの文書や、年賀状の宛名面などの場合はGX6030DCP-J4140Nと同等といえるだろう。
 また、細かく見ていけば機種によって画質の差がある。まず、染料ブラックやグレーインクを搭載している機種は、文書中の写真やイラストなどの画質が高まると言えるが、写真ほど大きな差にはならないだろう。一方、EW-M634Tだけの機能として、PrecisionCoreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiへアップしている事が挙げられる。そのため、小さな文字や線などがつぶれずにより綺麗に印刷できる様になっている。グラフなどべた塗り部分は最小インクドロップサイズの小さいEW-M873TEW-M754Tの方が滑らかだが、文字や線のクッキリさではEW-M634Tが上回るといえるだろう。逆にGX7030は前述のように最小インクドロップサイズが大きい(と予想される)ため、文書内の写真やイラスト、グラフなどで、ドットが目立つ可能性がある。
 以上から、写真印刷に耐えうる画質のEW-M873TEW-M754T、文書印刷に特化したGX6030DCP-J4140N、とりあえず幅広い用紙に印刷できるが画質はそれほど求めないEW-M634TG6030という方向性となる。
 ちなみに、印刷速度にも特色がある。まず写真印刷速度を見てみると、EW-M873TがL判写真フチなしが19秒で非常に高速、EW-M754Tも25秒と大きくは変わらない。インクカートリッジ方式の6色プリンターは最速で13秒なのでやや遅いが、十分高速と言える。最小インクドロップサイズは小さいが、Advanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立している。また、全色180ノズルとなっており、ノズル数も多い事から、印刷速度が高速になっている。さすがに写真印刷向きの機種と言える。一方、EW-M634Tは75秒と4倍遅くなる。Advanced-MSDTより劣る、3つのインクサイズのインクを打ち分けるMSDTになってはいる事や、写真印刷に使う染料カラーのノズル数が128ノズルと3分の2になっている事も影響していると思われるが、3倍もの差が出るほどとは考えにくい。EW-M634Tは文書向けに速度が出る設計なのではないかと思われる。G6030は37秒と、EW-M873TEW-M754Tの2倍程度となっている。染料カラーが384ノズルいうのは、キャノンとしては少なめで、その点が印刷速度に影響したと思われる。DCP-J4140Nは14秒と6機種で最も高速だ。カラーもブラックと同じノズル数とする事で、印刷速度を高速化している。GX7030は写真の印刷速度は非公表だ。
 一方、文書の印刷速度は傾向が異なる。写真印刷が高速だったEW-M873Tは、A4カラーが12.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが16.0ipmであり、文書印刷も家庭用の機種としても非常に高速な部類になる。これよりも高速なのがGX7030とDCP-J4140Nだ。GX7030はカラー15.5ipm、モノクロ24.0ipmとモノクロ印刷が圧倒的に高速だ。一方、DCP-J4140Nは、モノクロ印刷こそ20.0ipmでGX6030に劣るが、カラー印刷は19.0ipmとモノクロとほとんど同じ速度で印刷でき、GX7030より高速だ。これら2機種はさすがに文書向けの機種と言えるだろう。EW-M754Tはカラーが8.0ipm、モノクロが12.0ipmで、EW-M873Tと比べて、カラーは3分の2、モノクロは4分の3の速度となるが、これでも十分高速な機種と言える。EW-M634Tはカラーが8.0ipmというのはカラーのノズル数の少なさが影響したといえるが、モノクロは15.0ipmとEW-M873Tに近い速度となっている。ブラックインクは400ノズルと、カラーインクに比べて多くなっているためだ。写真印刷では遅さの目立つEW-M634Tだが、文書印刷に限っては問題が無いレベルだ。G6030はカラーが6.8ipm、モノクロは13.0ipmと6機種中最も遅い。このように印刷速度にも大きな差があるので、印刷枚数が多いなら注目すべきポイントと言える。
 前述のようにエプソンとキャノンはタンク方式のエコタンク・ギガタンクで、ブラザーは大容量カートリッジ方式のファーストタンクとなる。エコタンク・ギガタンク方式はインクボトルを購入し、プリンター本体内蔵のインクタンクにインクを補充する形となる。基本的にインクボトル1本が、まるまるインクタンクに補充できる。いずれも第2世代のインク補充方式となっており従来より便利になっている。第1世代の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。それに対して第2世代では、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらにエプソンの3機種では「挿すだけ満タンインク方式」としており、先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無く、より安心感が増している。GX6030も同様の方式を採用しており入れ間違いの危険性はないが、G6030はこの機能はなく、先端の形状はすべて同じだ。その点でG6030はは一歩劣ることになる。このようにボトルから補充と言うと難しそうに感じるが、そう難しくは無い事が分かる。さらに、メリットもあり、インク切れ前でもインクを補充する事が出来るため、大量印刷前や時間に余裕のある時にインクを補充しておけば、印刷途中でインク切れで印刷が止まっていたという事態が防ぐ事が出来る。
 一方ファーストタンクのDCP-J4140Nはカートリッジ方式だが、名称に「タンク」が付いている。これは内部にサブタンクを搭載しているためで、こちらに約200枚分の常に確保している。カートリッジからインクが無くなった時点で交換できるため、インクを買い忘れても少し余裕がある事や、大量印刷前にインク残量が少なくなっていても、カートリッジが空になってれば事前に交換できるというメリットがある。カートリッジ方式ながら、できるだけタンク方式のメリットも取り入れたのがファーストタンク方式となる。
 ちなみに、エプソンのエコタンク方式だが、「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の2種類がある。印刷時に左右に動くヘッドの上にタンクが乗っている「オンキャリッジ式」を採用するのがEW-M754T、タンクは別の場所に固定されておりタンクとヘッドはチューブでつながれている「オフキャリッジ式」を採用するのがEW-M873TEW-M634Tだ。「オンキャリッジ式」の方がスペースを有効活用でき、長いチューブでつなぐ必要も無いが、動くパーツ上であるため重量の問題もあり、あまり大型のタンクに出来ない。一方「オフキャリッジ式」は、別にタンクのスペースが必要な上にチューブも必要だが、タンクを大型化できるメリットがある。ちなみに、ギガタンクは今のところ「オフキャリッジ式」しかないためGX6030G6030も「オフキャリッジ式」となる。インクカートリッジにもこの区別はあり、DCP-J4140Nは本体前面からカートリッジを交換できる構造のため「オフキャリッジ式」だ。
 この「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の違いが印刷コストに影響している。写真の印刷コストを見てみると、「オフキャリッジ式」のEW-M873Tは7.6円、EW-M634Tが6.5円、G6030が6.2円で、写真用紙代として約4.7円が含まれているので、純粋なインク代だと、1.5〜2.9円になる。一方「オンキャリッジ式」のEW-M754Tは9.5円で、写真用紙代を除いても4.8円と1.5〜3倍以上の印刷コストになる。A4カラー文書も、EW-M873Tは1.8円、EW-M634Tが1.0円、G6030も1.0円なのに対して、EW-M754Tは3.0円、A4モノクロ文書もEW-M873Tは0.7円、EW-M634Tが0.4円、G6030は0.5円なのに対して、EW-M754Tは1.3円とやはり1.5〜3倍近くなっている。GX6030は全色顔料という事もあってか、やや印刷コストは高くなるが、それでもカラー文書が2.2円、モノクロ文書が0.8円で、EW-M754Tより安くなっている。同じエコタンク・ギガタンクでも、タンクが大型で一度に大量購入する「オフキャリッジ式」の方が割安になるため、印刷コストに差が出る点は注意が必要だ。ただし、インクカートリッジ方式の機種の場合、エプソンのEP-883Aでは写真が22.7円、A4カラー文書が13.2円、キャノンのPIXUS TS8530はそれぞれ22.1円と12.2円なので、EW-M754Tでもこれらと比べれば圧倒的に印刷コストは安い事になる。残るファーストタンク方式のDCP-J4140Nだが、L判写真が12.5円(写真用紙代は約4.3円計算なので、インク代だけでは8.2円)、A4カラーが4.1円、A4モノクロが0.8円と他機種に比べれば高めだ。オフキャリッジ式の5機種とは比べるまでも無く、オンキャリッジ式のEW-M752Tとの比較でも、モノクロ文書はかろうじて安いが、カラー文書は37%、L判写真は70%高くなる。印刷コスト面では、DCP-J4140Nは一般的なカートリッジ方式と比べれば十分安いとはいえ、エコタンク・ギガタンク方式よりは不利となる。
 インクタンクのサイズに違いがあるため、1回の補充で印刷可能な枚数にも違いがある。インクボトル1本でインクタンクが満タンになるのは共通だ。いずれもA4カラー文書を印刷した場合、EW-M873Tはカラーインクは6,200枚、フォトブラックが7,300枚、マットブラックは6,700枚、EW-M634Tはカラーインクは6,000枚、ブラックは7,500枚、G6030はカラーインクが7,700枚、ブラックインクが6,000枚まで印刷できる。若干の違いはあるとは言え、いずれも1回のインク補充で6,000〜7,000枚以上の印刷が可能となる。GX6030はブラックインクは6,000枚だが、カラーインク14,000枚とさらに大容量だ。それに対してEW-M754Tはカラーが1,000枚、フォトブラック・マットブラックが1,100枚となる。これは「使いきりサイズ」と呼ばれるサイズで、「増量」サイズならそれぞれ3,700枚と4,000枚印刷できるが、インクタンクには「使いきりサイズ」分しか入らないため、4回弱の補充が出来るだけで、手間は変わらない。印刷コストもほとんど変わらない事からも、一般的には「使いきりサイズ」を使うことになるだろう。オフキャリッジ式とオンキャリッジ式では6〜7倍程度もタンクの容量が異なる事になり(GX6030のカラーは14倍)、インク補充の手間のは大きな違いがある。印刷枚数が多いならオフキャリッジ式の方が便利だろう。残るDCP-J4140はカラーが5,000枚、ブラックが6,000枚となる。エコタンク・ギガタンク方式よりは若干少ないが、一般的な家庭向けのカートリッジ方式は300〜600枚程度である事を考えると、かなり大型である事が分かる。印刷枚数の面では、エコタンク・ギガタンク方式と変わらず使えるだろう。
 インク自体の価格にも特徴がある。EW-M634Tはブラックが2,365円、カラーが各1,265円で、4色で6,160円、G6030はブラックが2,310円、カラーが各1,540円で、4本で6,930円となる。同じ4色構成でオフキャリッジ式のEW-M634TG6030はインクボトルの価格も似ており、またインクカートリッジ方式の場合4色セット3,500円〜5,000円程度である事を考えると、1回購入した場合の印刷可能枚数は圧倒的に多いとはいえ、購入時に支払う金額は同等かやや大きくなる。EW-M873Tも1本あたりの価格は2,046円と変わらないが、6色必要と言うことで1セット12,276円と1万円超えとなってしまう。カートリッジ方式では6色の機種でも6,000〜7,000円程度なので、やはり印刷可能枚数は多いとはいえ、いざ購入する際の負担は大きい。GX6030は印刷コストも高く印刷枚数も多いことから、さらにこの傾向は顕著で、ブラックが4,730円、カラーが各6,160円で23,210円となる。無くなった色だけ購入するとしても、1本でカートリッジ方式の1セットに匹敵する価格だ。DCP-J4140Nも高く、超・大容量の場合ブラックが4,400円、カラーが各5,500円で、20,900円となり、本体価格の半分以上となる。大容量ならば4本で11,550円となるが印刷可能枚数は価格差以上の少なくなる。それに対して、オンキャリッジ式のEW-M754Tは使いきりサイズなら1本660円で、5色セットでも3,300円となる。印刷可能枚数はオフキャリッジ式の機種に比べて少ないが、インクを購入する時に660円というのはカートリッジ方式に比べて負担が小さい。印刷コストも安く、それでいてインクが無くなった際も、一度に大きな金額を出す必要が無いというのは、EW-M754Tのメリットと言える。印刷コスト面だけで無く、いざインクを購入する時の負担という面でも注意が必要だ。
 ちなみにエコタンク・ギガタンク方式の機種が同梱するインクボトルは、セットアップ用の表記が付いていたり付いていなかったりするが、別売りのインクボトルと同じで、インクタンクが満タンになるものが1セット同梱する。G6030はこれに加えてブラックがもう1本同梱される。初期セットアップ時の充填で大量のインクを消費するが、タンクが大容量であるため、ある程度の量が残る事になる。例えば、EW-M634Tの場合、ハード面での機能は同等の旧モデルEW-M630Tでは3,600枚以上の印刷が可能としており、EW-M634Tも同等と考えられる。EW-M873Tは非公表だが、海外の同機能の機種では75%ほど残るとされている。GX7030とG6030はどの程度か不明だが、少なくともG6030のブラックインクは残った量+6,000枚は印刷可能と言える。ただし、EW-M754Tに関してはタンクの容量が少ないため、大半を使ってしまうと考えられる。そのため、セットアップ用の表記が付けられているものと思われる。また、DCP-J4140Nに同梱するセットアップ用インクカートリッジは超・大容量タイプでは無く、大容量タイプとなる。ブラックが3,000枚、カラーが各1,500枚印刷できるカートリッジから、さらに充填を行うので減ってしまう事になる。同梱インクで印刷できる分は、他機種なら本来かかるはずのインク代が不要になる事になる。EW-M754TDCP-J4140Nを除く4機種は、同梱インクのインク代の分、本体価格は実質的にはもう少し安いと考えることも可能だ。

プリント(給紙・排紙関連)
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 名刺〜A4 L判〜A4 L判〜A4 L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
名刺〜A4 L判〜A4
長尺用紙 長さ2,000mmまで 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで 長さ676mmまで 長さ355.6mmまで
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(50枚/20枚/20枚)
(0.6mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.6mm厚紙対応)

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
前面 【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
2L/B6以下
(20枚/20枚/20枚)
【カセット】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット】
(250枚/30枚/20枚)
【カセット】
普通紙のみ
A4/B5/A5/レター(250枚/−/−)
【カセット】
普通紙のみ
(250枚/−/−)
【カセット】
(150枚/50枚/20枚)
その他
手差しストレート給紙
(1枚/1枚/1枚)
(1.3mm厚紙対応)
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納連動) ○(カセット収納連動) ○(カセット収納(前面)・給紙口カバー(背面)連動) ○(カセット収納(前面)・給紙口カバー(背面)連動) ○(カセット取り出し連動)
用紙幅チェック機能 ○(印刷時) ○(印刷時)

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、最大はA4までで共通だが、最小サイズはEW-M873TG6030以外はL判、EW-M873TG6030は、より小さい名刺サイズに対応している。一方、GX6030はフチなし印刷には非対応だ。写真印刷向けの機種ではないが、フチなしデザインの年賀状や、背景色のある文書を印刷する場合は注意が必要だ。
 給紙に関しては各機種に特色があり、前面給紙だけの機種、前面+背面給紙の機種、さらに手差し給紙に対応した機種など様々だ。前面給紙に関しては6機種とも対応する。カセット式であるため用紙をセットしたままでもホコリが積もりにくく、常時セットしておくのに向いている。EW-M873Tはカセットが2段となっており、上段が2L/B6以下の用紙、下段はA4以下となる。上段にL判写真用紙やハガキ、下段にA4普通紙と言った風に2種類の用紙を同時にセットして使い分けが出来るため便利だ。上段はハガキ、写真用紙なら20枚まで、下段は普通紙を100枚までセットできるが、下段にハガキや写真用紙をセットする事も可能だ。その場合ハガキは40枚、写真用紙は20枚までセットでき、上下段を連続で使用する事もできるので、ハガキは60枚、写真用紙は40枚まで交換無しで印刷できる。大量印刷の際に便利だろう。残る5機種の前面給紙カセットは1段のみだ。EW-M754Tは普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットでき、EW-M873Tの下段だけと考えればよい。コピーや文書印刷と写真印刷時のように違う用紙を使用する場合に交換が必要になる点で不便だ。一方、EW-M634TGX6030G6030は250枚、DCP-J4140Nは150枚と給紙枚数が多くなっている。プリンターの性質上、普通紙印刷がメインになると思われるため、普通紙が大量にセットできるのは便利だ。ちなみに、EW-M634Tの場合、ハガキは30枚、写真用紙は20枚、DCP-J4140Nはハガキは50枚、写真用紙は20枚までセット可能だが、GX6030G6030は前面給紙カセットには普通紙しかセットできない。普通紙以外のハガキや写真用紙、ファイン紙などはすべて背面給紙となる。普通紙以外を常時セットしておきたい場合は、不便と言える。
 では、背面給紙というと、EW-M634T以外が対応する。EW-M873TGX6030G6030はトレイ式、EW-M754TDCP-J4140Nは手差し給紙となっている。トレイ式は複数枚の用紙をセットできるため便利だ。GX6030G6030は普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットでき、一般的な枚数だ。EW-M873Tはそれぞれ50枚、20枚、20枚とやや少なめだが、十分に実用的だ。それに対して、EW-M754TDCP-J4140Nは1枚ずつしかセットできず、複数枚セットするとエラーとなる。前面給紙カセットにセットした用紙以外を数枚印刷したい場合や、前面給紙からでは扱いにくい厚紙や封筒などの印刷に利用する形となるだろう。ちなみに、厚みに関しては、前面給紙でも、通常の写真用紙やハガキに用いられる0.3mm厚程度までは対応でき、GX6030G6030の背面給紙も0.3mm厚程度までとなる。一方、EW-M873TEW-M754Tの背面給紙は、倍の0.6mm厚まで対応できる。写真店に依頼した写真貼り合わせの年賀状や、アート紙(例えばエプソンのVelvet Fine ArtPaperは0.48mm)の印刷に重宝する。DCP-J4140Nも0.52mmまで対応で、写真貼り合わせの年賀状には非対応だが、厚めの封筒や用紙にも印刷できて便利だ。さらに、EW-M873Tは手差しストレート給紙にも対応する。レーベル印刷用のトレイの通り道を、背面から挿し込んで利用できるようにしたもので、1.3mm厚の用紙まで対応できる。背面ユニットを取り外し、そこに取り付けられている手差しユニットを外して本体にセットする必要があり、また背面から用紙をまっすぐに挿し込めるスペースがいるなど、手間はかかるが、従来の一般的なプリンターでは不可能な厚さに対応できるのは、いざという時便利だろう。
 複雑なのでまとめると、EW-M873Tは前面2段+背面トレイ+手差しストレート、EW-M754Tは前面1段+背面手差し、EW-M634Tは前面1段のみ、GX6030G6030は前面1段(普通紙のみ)+背面トレイ、DCP-J4140Nは前面1段+背面手差しとなる。一度にセット可能な枚数で見ると、普通紙はEW-M873Tが150枚(前面下段100枚+背面50枚)、EW-M754Tが100枚(前面100枚のみ)、EW-M634Tが250枚(前面250枚のみ)、GX6030G6030が350枚(前面250枚+背面100枚)、DCP-J4140Nが150枚(前面150枚のみ)となり、GX6030G6030有利だ。もちろん前面と背面を連続で利用できる。ハガキはEW-M873Tが80枚(前面上段20枚+下段40枚+背面20枚)、EW-M754Tが40枚(前面40枚のみ)、EW-M634Tが30枚(前面30枚のみ)、GX6030G6030が40枚(背面40枚のみ)、DCP-J4140Nが50枚(前面50枚のみ)と、こちらはEW-M873Tが最も多い。写真用紙もEW-M873Tが60枚、それ以外の5機種は20枚と、やはりEW-M873Tが多い。普通紙への印刷が多いならGX6030G6030が、ハガキや写真用紙への印刷が多いならEW-M873Tが便利だ。
 ちなみにEW-M873TEW-M754Tは 排紙トレイの自動伸縮機能を搭載している。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する。後述の自動電源オン機能と組み合わせると非常に便利だ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。
 6機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットはDCP-J4140N以外は挿し込む、DCP-J4140Nは取り出すと、背面給紙の場合はEW-M873Tは用紙を挿し込むと、GX6030G6030は給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。さらに、EW-M754TEW-M634Tはセンサーにより用紙幅をチェックする機能を搭載しており、印刷時に実際の用紙幅が設定より小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部が汚れるのを防ぐことができる。

プリント(付加機能)
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像
自動両面印刷 ○(ファイン紙対応) ○(ファイン紙・写真用紙対応) ○(普通紙のみ・A4/レターのみ) ○(普通紙のみ)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 N/A(5.0ipm?) N/A 4.5ipm 10.0ipm 2.8ipm 10.0ipm
A4モノクロ文書 N/A(6.0ipm?) N/A 6.5ipm 13.0ipm 2.9ipm 11.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX) ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷 ○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) −/○(指定時間操作無し) ○(印刷実行/時刻指定)/○(指定時間操作無し/時刻指定) ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) −/○(USB接続・単体使用時)
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスカートリッジ交換可能)
フチなし吸収材エラー時の対応機能 ○(フチあり印刷継続可) ○(フチあり印刷継続可) ○(フチあり印刷継続可)

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は全機種が搭載している。ただし、GX6030G6030は普通紙のみ対応だが、それ以外の4機種は普通紙だけでなくハガキにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。さらに、EW-M873TEW-M754Tはファイン紙への両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利だが、これら2機種以外は手動で片面ずつ印刷するしか無い。ファイン紙への両面印刷を考えている人には便利な機能だろう。加えてEW-M754Tは両面写真用紙への自動両面印刷も行える。一方GX6030は普通紙のみと言う制限に加えて、サイズもA4とレターサイズのみだ。B5サイズなどへの自動両面印刷は出来ない。また、自動両面印刷時の速度も一部の機種で公開されている。EW-M634Tはカラーで4.5ipm、モノクロで6.5ipmとなる。ipmは「1枚」あたりの速度ではなく、「1面」あたりの速度なので、片面を印刷する速度がここまで低下する事になる。片面印刷時のそれぞれ56%と43%の速度となる。一方、GX6030はカラーが10.0ipm、モノクロが13.0ipmとかなり高速だ。片面の印刷速度が高速なのも大きいが、片面印刷時の65%と54%の速度で、EW-M634Tよりも低下率が少ない。結果的のEW-M634Tの2倍以上の速度で自動両面印刷が可能だ。同じ顔料4色のDCP-J4140Nも、カラーが10.0ipm、モノクロが11.0ipmとこちらも高速だ。片面印刷時の53%と55%の速度で、こちらも低下率が少ない。一方G6030はカラーが2.8ipm、モノクロが2.9ipmと、EW-M634Tよりかなり遅い。片面印刷との比較でも、41%と22%で低下率が大きい。EW-M873TEW-M754Tは家庭向けの機種であるため速度は公表されていないが、EW-M873Tは同スペックの海外モデルを参考にすると、カラーが5.0ip、モノクロが6.0ipとなっている事から、これと同等と考えて良さそうだ。EW-M634Tと近い速度となる。EW-M754Tは片面印刷速度がやや劣るが、こちらもEW-M634Tによりやや遅い程度と予想できる。これを見ると、両面印刷をメインに考えているなら、GX6030DCP-J4140Nがストレスが無く便利だが、GX6030はA4用紙しか対応しないため、様々な用紙にある程度の速度で印刷が出来る方が良いならDCP-J4140Nが良さそうだ。
 一方、BD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能はEW-M873Tのみ搭載する。レーベル印刷のトレイを使わない時は、前面給紙カセットの裏側に収納できるようになっている。写真の自動補正機能としては、エプソンの3機種は「オートフォトファイン!EX」、G6030は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる高性能なものを搭載している。ダイレクト印刷に対応した機種(後述)はパソコンからの印刷時だけでなく、ダイレクト印刷時にも利用できる。一方、GX6030は文書印刷に特化していることもあって、写真の自動色補正機能は搭載していない。
 自動電源オン機能はEW-M634TDCP-J4140Nを除く4機種が搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LANや有線LAN(対応機種のみ)でのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、G6030は操作パネルを開いた(持ち上げた)状態でないと印刷は実行されないため、操作パネルを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。GX6030は印刷は実行されるが、排紙トレイを収納した状態だとプリンターの置き場所によっては印刷した用紙が落ちてしまう。G6030で操作パネルを開いておいても同様のことが起こる。それに対して、EW-M873TEW-M754Tは排紙トレイが自動的に伸張するため、印刷が完了した頃に取りに行くだけと非常に便利だ。一方、指定した時間、動作や操作がない場合に自動的に電源がオフになる機能は6機種とも搭載している。ただしDCP-J4140Nは無線LAN、有線LAN接続時には利用できず、USB接続又は単体で使用している場合のみとなる。一方、GX6030はこれに加えて、時刻を指定して電源をオン・オフする機能も搭載している。オフィスの就業時間や店の開店時間に合わせて電源をオン・オフできるため、使う場所によってはこちらの方が便利な場合もあるだろう。
 G6030DCP-J4140Nを除く4機種が搭載する便利な機能が、廃インクタンク(エプソンはメンテナンスボックス、GX6030はメンテナンスカートリッジ)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、この4機種はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックス・、メンテナンスカートリッジが売られており(EW-M873T用は2,618円、EW-M754T用は1,078円、EW-M634T用は1,980円、GX6030用は2,640円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。さらに、EW-M873TEW-M754Tはフチなし吸収材が満タンになった場合も、便利になっている。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、多くの機種はプリントが完全に止まってしまう。しかし、EW-M873TEW-M754Tはフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているため、急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるようになっている。

スキャン
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像
スキャンサイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(215.9×297mm)
読み取り解像度 1200dpi
(1200×4800dpi)
1200dpi
(1200×2400dpi)
1200dpi
(1200×2400dpi)
1200dpi
(1200×1200dpi)
1200dpi
(1200×2400dpi)
1200dpi
(1200×2400dpi)
ADF使用時は1200×600dpi
センサータイプ CIS CIS CIS CIS CIS CIS
ADF 原稿セット可能枚数 50枚 20枚
原稿サイズ 216×356mm〜148×148mm 215.9×355.6mm〜148×148mm
両面読み取り
読み取り速度 カラー N/A
(16.9ipm?)
N/A
モノクロ N/A
(22.2ipm?)
N/A
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリーカード保存 ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF/TIFF)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。スキャンサイズは6機種ともA4(216×297mm又は215.9×297mm)までとなる。解像度も全機種が1200dpiとなっており差は無い。カートリッジ方式の上位機種や単体のスキャナーにはもっと高解像度の機種があるが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。なお、細かく見ると、1200×4800dpi、1200×2400dpi、1200×1200dpiの3種類があるが、「×」の前の数字は主走査と言って、短辺、つまり読み取りセンサーの解像度だ。一方「×」の後の数字は副走査と言って、長辺、つまりセンサーが移動する方向の解像度だ。つまり、読み取りセンサー自体は6機種とも同等だが、移動方向の精度には違いがある事になる。とはいえセンサーの解像度以上に上げることはほぼ無いため、実用上は1200dpi(1200×1200dpi)が上限という点で差は無いと言えるだろう。その読み取りセンサーだが、6機種ともCISセンサーを採用する。分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点も共通だ。
 GX6030DCP-J4140NはADFを搭載しているのが特徴的だ。複数の原稿を連続でスキャンできる機能である。片面スキャンのみと最低限の機能だが、GX6030は50枚まで、DCP-J4140Nは20枚までセット可能なので、スキャンやコピーの際に重宝するだろう。また、ADFを使用した場合、長さ356mm又は355.6mmのリーガルサイズまでスキャンが出来るので、A4用紙より少し長い原稿もスキャンできる。
 メモリーカード又はUSBメモリーに対応しているEW-M873TEW-M754TGX6030はスキャンした原稿をパソコンを使わずメモリーカード又はUSBメモリーに保存する機能を搭載している。パソコンが起動していなくても、本体の操作だけでサッとスキャンしてメモリーカードやUSBメモリーに保存できるので便利だ。一方GX6030G6030は、原稿を取り忘れた際の警告機能が付いているのは便利だ。

ダイレクト印刷
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード SD
メモリーカードリーダー対応
メモリーカードリーダー接続
USBメモリー
(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)

(外付けHDD)
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG JPEG JPEG/TIFF/PDF(本機でスキャンしてUSBメモリーに保存した/Canon IJ Scan Utilityで作成したPDFのみ) JPEG
色補正機能 トリミング
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ3〜39mm)
赤目補正
明るさ調整(+4〜-4)
コントラスト調整(+4〜-4)
シャープネス調整(3段階)
鮮やかさ調整(+4〜-4)
色調補正(RGB独立・+4〜-4)
フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス)
色補正一覧印刷
編集した写真の別名保存
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階)
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ ○/○ −/− −/− −/− −/− −/−
PictBridge対応 ○(USB/Wi-Fi) ○(USB/Wi-Fi) ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)
組み込みパターンペーパー
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙、スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳、アルファベット練習帳)

 ダイレクト印刷を見てみよう。対応しているのは写真印刷向けのインク構成であるEW-M873TEW-M754T、文書印刷向けのインク構成であるGX6030DCP-J4140Nだ。それぞれ、プリンターの特色に合わせたダイレクト印刷機能を持っている。EW-M873TEW-M754Tは写真印刷向けの機能が豊富だ。EW-M873TはSDカードリーダーとUSBポートを搭載しているため、SDカードやUSBメモリーからの写真印刷に対応している。またこのUSBポートは、外付けハードディスクや外付けDVDドライブにも対応しているため、これらからの印刷が行える。さらにメモリカードリーダーにも対応しているので、SDカード以外のメモリカードを利用したい場合でも、パソコン用のカードリーダーを用意すれば可能だ。一方のEW-M754TはUSBポートのみ搭載している。USBメモリーと外付けハードディスクには対応するが、外付けDVDドライブには非対応となる。また、メモリカードリーダーには対応するので、SDカードをはじめ、各種メモリカードにも対応できる。対応形式は両機種ともJPEGのみで、PDFファイルなどの印刷は出来ない。あくまで写真印刷用となる。
 EW-M873TEW-M754Tは写真印刷向けというだけあって、ダイレクト印刷時にフチあり・フチなしや日付印刷などを選べるのは当然として、それ以外にも様々なプリントや色補正機能を利用できるのがポイントだ。EW-M754Tはフチあり・フチなしについては一般的なフチなし、フチあり(白フチ)だけでなく黒フチも選べる他、写真の周囲にフチの色とは逆の細い枠線の入った黒枠付きの白フチ、白枠付きの黒フチも選べる。フチの太さも4段階から選択できる。写真の一部を拡大するトリミングや赤目補正の他、明るさ調整、コントラスト調整、シャープネス調整、鮮やかさ調整が各5段階から行え、モノクロとセピア調のフィルターもかけられる。EW-M754Tはオートフォトファイン!EXも搭載するため自動でも高精度に補正されるが、手動でかなり好みの色に調整が可能だ。そして、これを上回るのがEW-M873Tだ。フチはEW-M754T同様4種類から選べるが、フチの太さは3〜39mmの間で1mm単位で調整が可能となり、さらに細かく設定できる。トリミングや赤目補正の他、「作品印刷機能」と呼ぶ機能を搭載しており、「明るさ」「コントラスト」「シャープネス」「鮮やかさ」の他、レッド、グリーン、ブルーのそれぞれの色調を調整できる。EW-M754Tよりさらに細かく、+4から-4の9段階で調整が可能だ(シャープネスは3段階)。さらにフィルターも「レトロ」「セピア」「トイフォト」「ハイキー」「ポップ」「デイドリーム」「モノクロ」「クロスプロセス」といった8種類を用意している。また、液晶画面上での調整では印刷時に異なる場合があるため、選んだ写真の色補正一覧を印刷し、その中から好みの物を選ぶ機能も備える。また、作り込んだ写真を、別名でメモリーカードに保存できるのもアドバンテージだ。また、EW-M873TはSDカードからUSBメモリーや外付けハードディスクへ写真をバックアップすることも可能だ。SDカードから写真印刷、そして写真のバックアップ、バックアップ先からの写真印刷、写真の色補正までがパソコン無しで行える事になる。
 ダイレクト印刷時に、写真と手書き文字やイラストを合成してプリントできる「手書き合成シート」にも両機種とも対応する。 また、塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカードなどが印刷できるフォーム印刷機能、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」機能、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、写真を1〜数枚並べたフォトブックを印刷する機能、背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」機能の他、写真を1枚又は複数枚並べてディスクのレーベル面に印刷できる機能やCDジャケットを作成できる機能搭載する。単体で様々な印刷が可能だ。
 一方、GX6030はビジネス向けのダイレクト印刷機能となっている。対応するのはUSBメモリーだけで、メモリカードリーダーは搭載せず、またUSBポートにカードリーダーを接続する事もできない。色補正機能や手書き合成などの機能も一切搭載しない。一方、対応形式はJPEGだけでなく、TIFFとPDFに対応する。PDFは制限があり、スキャナーの機能欄で説明した、GX6030本体の操作でスキャンしてUSBメモリーに保存したPDFファイルまたは、パソコン用ソフト「Canon IJ Scan Utility」を利用して、GX6030でスキャンしPDF化したファイルに限られる。つまり、WordやExcelなどで作成したPDF文書や、PDF形式のマニュアルなどをプリントできるわけではなく、あくまでGX6030を利用して画像をデジタル化してそのままPDFとしてまとめただけのファイルにしか対応しない。とはいえ、スキャンしてUSBメモリーに保存しておいた文書を再度印刷したり、他の場所でスキャンしてUSBメモリーに保存しておき、近くのGX6030でプリントと言ったことが可能だ。文書の再印刷目的の機能と言えるだろう。その他、プリンターだけでレポート用紙、原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳がプリントできる「定型フォーム印刷」機能と、カラフルなパターンを印刷してスクラップブックの台紙やブックカバーなどに使える「組み込みパターンペーパー」機能を搭載する。こちらもビジネス利用に便利な機能に絞って搭載した印象だ。ちなみに「定型フォーム印刷」機能はG6030も搭載している。
 DCP-J4140Nは、家庭向けの機種に搭載するものと機能を共通化しているため、フチあり/フチなしの切り替えや、明るさ、コントラストを5段階から調整が可能で、写真印刷向けの機能のように思える。しかし、SDカードスロットを省略しUSBポートのみとしているため、USBメモリーのみに対応する点では、やはり文書向けだ。対応形式はJPEGのみだが、前述のスキャンしてメモリーカードに保存する際にJPEG形式で保存しておけば、GX6030同様、再印刷が可能となる。
 このように、ダイレクト印刷機能といっても、写真印刷向けと、ビジネス向けに機能は分かれている。

スマートフォン/クラウド対応
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Epson Smart Panel
Epson Print Layout
(EPSON iPrintにも対応)
Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY Brother Mobile Connrct
AirPrint
対応端末 iOS 11.0以降
Android 5.0以降
(Epson Print Layout使用時はiOS 13.0以降・Android非対応)
iOS 11.0以降
Android 5.0以降
iOS 11.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント) N/A ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(QR(iOS)) ○(NFC(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/− ○/− ○/○ ○/− ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon)
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ −/− ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○Eメールプリント
(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ)
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。6機種ともiOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定(GX6030を除く)まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。さらにEW-M873Tは、通常のEpson Smart Panelの他、プロ向けのプリンター用に提供される、より高度な写真印刷が行えるアプリ「Epson Print Layout」も利用可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キャノンの名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、G6030を除く5機種では、接続支援機能が提供される。とはいえ、その機能は機種によってまちまちだ。iOSの簡単接続設定に対応するのは、エプソンの3機種とGX6030だ。いずれも本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了するというもので、セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無い。一方、Androidの簡単接続設定に対応するのはエプソンの3機種とDCP-J4140Nが対応する。エプソンの3機種は、アプリ上で接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で非常に簡単だ。一方、DCP-J4140NはNFCを利用しており、本体の液晶左にあるNFCマーク上にタッチすれば接続が完了する。こちらも非常に簡単だが、スマートフォンがNFCに対応していなければならないなど、多少機種は限定される。これを見ると、エプソンの3機種はiOS、Andrid問わず接続支援機能が利用でき、対応機種も幅広い事が分かる。さらに、エプソンの3機種は、スマホからプリンターの初期設定を簡単に行える機能も搭載する。アプリ上で「新規セットアップ」を選択し、初期設定を行っていないこれらプリンターの電源をオンにすると、プリンターの型番が一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用してプリンターに自動接続される。そして、設置からインクの補充方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にプリンターをスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。インクの補充などの手順が非常に分かりやすいほか、自動的にネットワークの設定まで行われるので、パソコンを使わない人にとって、初期設定のハードルは非常に低いと言える。
 クラウドとの連携機能も6機種とも搭載している。プリントの場合、各種オンラインストレージにアクセスして、ファイルを印刷する事が可能だ。ここで大きな違いは、GX6030DCP-J4140N以外の4機種はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、GX6030DCP-J4140Nはスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作だけでクラウとにアクセスして印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、本体だけで手軽にアクセスできる方法と、操作性が良いアプリ上で行う方法が選べるという点でGX6030DCP-J4140Nは便利だ。一方、DCP-J4140Nを除く5機種はSNSの写真をコメント付きでも印刷が可能だ。またGX6030G6030は写真共有サイトからの印刷も可能だ。
 スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、エプソンの3機種も本体の操作でアップロードまで行うことができる(もちろんスマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる)一方で、G6030はスキャンしてクラウドにアップロードする機能自体を搭載していない。
 さらにネットワークを利用したリモートプリント機能として、エプソンの3機種は、印刷したい写真や文書を添付してこれらの機種にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。一方のGX6030はLINEのトーク画面から印刷する「PIXUSトークプリント」と、パソコン上のファイルをリモートプリントする「PIXUSでリモートプリント」機能を搭載する。ただし、「PIXUSでリモートプリント」は通常のプリント操作のままリモートプリントが出来るのでは無く、ファイルをアップロードする方式で、Windows 11/10でEdge又はChromeからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPointに限定される。特別な操作が必要なく、プリントできるソフト上からなら形式を問わないエプソンの3機種と比べると使いにくい印象だ。DCP-J4140Nはプリンターにメールすることで添付ファイル又は本文を印刷できる「Eメールプリント」のみ対応する。クラウドからのプリント機能はGX6030DCP-J4140Nが、各種リモートプリント機能はエプソンの3機種が圧倒的に豊富だと言える。

コピー機能
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー ○(退色復元対応) ○(退色復元対応)
割り付け(2面/4面) ○/− ○/− ○/− ○/○ ○/○ ○/○
その他のコピー機能 プレビュー
濃度調整
背景除去機能
鮮やかさ調整
色調調整(レッド・グリーン・ブルー個別)
色相調整
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
濃度調整 プレビュー
濃度調整
濃度調整 濃度調整
地色除去コピー
バラエティコピー 見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー
見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
部単位コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、6機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える高性能な物を搭載している。またCD/DVD/Blu-rayレーベルプリントに対応したEW-M873Tは、レーベルコピーにも対応する。さらに、写真印刷向きのインク構成のEW-M873TEW-M754Tは原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際「退色復元」という、昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。6機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。さらにGX6030G6030DCP-J4140Nは4枚の原稿を1枚に縮小する4面割り付けにも対応している。
 その他、濃度調整機能は6機種とも搭載する。EW-M873TEW-M754TGX6030はコピー前にプレビューを行うことで、原稿のセットミスの確認が行える他、プレビューを元に拡大縮小を調整できるのは便利だ。加えてEW-M873TEW-M754TDCP-J4140Nは背景色を消すことで見やすくし、インクも節約できる「背景除去機能」又は「地色除去コピー」も備える。さらに、EW-M873Tは鮮やかさ、色調、色相の調整も可能である。色相はレッド、グリーン、ブルーを個別に調整できるため、元の原稿に近い色や読みやすい色など、好みの色に調整が出来る。
 それぞれ、様々な特殊コピーを行える機能を搭載する。免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能は6機種とも搭載する。本のとじ目部分や周囲に出来る影を消す「影消しコピー」又は「枠消しコピー」又は「ブックコピー」機能はEW-M634TGX6030G6030DCP-J4140Nが搭載する。一方EW-M873TEW-M754TはA4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付又は両面コピーする「見開きコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、メモリーカードからのダイレクト印刷時と同じく輪郭だけの塗り絵風に変換してコピーする「塗り絵コピー」、同じ内容を2面、4面、または用紙サイズに合わせて自動的に割り付ける「リピートコピー」機能を搭載する。「見開きコピー」は通常の2面割付又は両面印刷と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。「リピートコピー」は手書きメモやネームシールなどをコピーするのに便利だ。EW-M634Tはパンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載する。ADFを搭載するGX6030DCP-J4140Nは、ADFを利用して複数ページの複数部をコピーするときに、1部ずつまとめてコピーする「部単位コピー」又は「ソートコピー」を搭載する。またGX6030G6030は、コピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」も可能だ。DCP-J4140Nはコピー文書に透かし文字を入れられる「透かしコピー」、1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割し、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能を搭載する。「透かしコピー」は「重要」「COPY」「社外秘」といった5種類から選べ、位置やサイズ、回転角度や透過度、文字の色も指定できる。これを見ると、機能は異なるが、それぞれ便利な機能を搭載している。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番 EW-M873T EW-M754T EW-M634T GX6030 G6030 DCP-J4140N
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型
(70度角度調整可)
4.3型
(90度角度調整可)
2.4型
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
2行モノクロ
(90度角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶
(70度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
物理ボタン式
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
物理ボタン式
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz帯対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.9.5〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.14.6〜
(AirPrint使用)
耐久枚数 5万枚 5万枚 5万枚 15万枚 6万枚 10万枚
外形寸法(横×奥×高) 403×369×162mm 390×339×166mm 375×347×187mm 399×410×254mm 403×369×195mm 435×343×180mm
重量 8.4kg 6.3kg 5.7kg 11.6kg 8.1kg 8.8kg
本体カラー ブラック ホワイト
ブラック
ホワイト ホワイト&ブラック ブラック
ホワイト
ホワイト

 液晶ディスプレイと操作パネルは6機種とも本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。EW-M754TG6030は最大90度(水平)まで、EW-M873Tは70度、EW-M634TGX6030も70〜80度程度、DCP-J4140Nは40〜50度程度起こすことができるので見やすい・操作しやすい角度に調節が出来る。低い位置に設置しても高い位置に設置しても使いやすいだろう。
 位置と角度調整可能という点では似ている6機種だが、操作パネルと液晶ディスプレイには大きな差がある。一番操作しやすいのはEW-M873TEW-M754Tだ。4.3型と6機種中最大のサイズで、しかもタッチパネル液晶となっている。スタートやストップなども全て本体内に表示されるので、電源ボタン以外は物理的なボタンが一切無くすっきりしている。メニューや設定項目、各種ボタンが液晶内に表示されるので、直に項目をタッチして操作ができるため分かりやすく、またバックライトのある液晶内なので、暗いところでも操作しやすい。次に便利なのは、GX6030DCP-J4140Nで液晶サイズは2.7型と小さくなるが、タッチパネルとなっている。メニューや設定項目などはタッチパネル内に表示することでわかりやすくする一方、液晶が小さい点を補うため、よく使うボタンは、物理ボタンとして用意する。物理ボタンは、GX6030は液晶左に「電源」「ホーム」「戻る」、右に「キャンセル」「モノクロスタート」「カラースタート」となっており、DCP-J4140Nは液晶右に「戻る」「ホーム」「取り消し」となっている。なお、DCP-J4140Nは他機種よりやや輝度、視野角の点で劣る。EW-M634Tは2.4型とGX6030DCP-J4140Nより微妙に小さく、タッチパネルではなくボタン操作となっている点で操作性は劣る。とはいえ、バックライトも搭載しグラフィカルな表示で分かりやすく、物理ボタンの数や配置の面でも分かりやすい。特に、カーソルボタンは上下左右が十字型に並び、その中心に「OK」ボタン、右上と左上に「+」と「−」ボタン、左下に「戻る」ボタンという配置は分かりやすく、直感的に操作しやすい。あとは「スタート」「ストップ」ボタンの他、ホームメニューに戻る「ホーム」ボタン、状況に応じて様々な用途に使う汎用ボタンと、ヘルプを表示できる「ヘルプ」ボタンがある。液晶内のメニューもホームメニューがあり、そこで機能を選んで進んでいくという一般的な操作性だ。ここまでは操作性として差はあるが、問題なく使えるレベルだろう。それに対してG6030はかなり劣る。液晶は2行文字表示のモノクロ液晶だ。サイズは実測値でEW-M873TEW-M754Tの液晶と比べて幅が半分、高さが5分の1ほどで、かなり小さい。漢字表示はできるが、文字情報だけなので分かりにくくなってしまう。その上、バックライトを搭載していないため、暗いところでの操作ができないのもデメリットだ。操作パネルを見てみると、液晶が小さいこともあって機能を選択するホームメニューが無いため、「コピー」「スキャン」「セットアップ」「ネットワークコネクト」といった各機能にダイレクトに入れるボタンが並んでいる。代わりに液晶内の操作は、設定画面を表示する「メニュー」ボタンの他、「左右カーソル」と「OK」「戻る」と最低限のボタン数となっており、あとは「カラースタート」「モノクロスタート」と「ストップ」となっている。カーソルが左右しかないため、操作がわかりにくく、階層も深くなってしまい、操作が煩雑になってしまう。操作性の面ではかなり劣ることになる。
 インターフェースは6機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンは名称はダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、EW-M754T以外の5機種は有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、家庭内にLAN配線がある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。一方、無線LAN機能にも差があり、EW-M754TEW-M634TG6030DCP-J4140NはIEEE802.11n/g/b規格にのみ対応するが、これは2.4GHz帯を使用しており、障害物には強いが電子レンジや電話の子機、無線のマウスやBluetoothなどと干渉しやすい問題がある。一方、EW-M873TGX6030は5GHz帯にも対応しており、電波干渉を避けられる。また、GX6030が対応するのはIEEE802.11n/a/g/bで、5GHz帯に対応するものの通信速度は変わらないが、EW-M873TはさらにIEEE802.11acに対応している。これはIEEE802.11nと比べて圧倒的に高速なので、安定性と転送待ちの軽減の両方を実現している。Wi-Fi接続を考えている人には、この機能差は重要だ。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンの3機種はWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるがEW-M873TEW-M634Tが10.6.8以降、EW-M754Tが10.9.5以降と比較的古いバージョンにも対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、キャノンとブラザーの3機種はWindows 7 SP1以降の対応で、Windows XPやVistaには非対応だ。また、Windows 8.1には対応するがWindows 8は非対応である点は注意が必要だ。MacOSも、GX6030は10.12.6以降、G6030は10.10.5以降、DCP-J4140Nは10.14.6以降と比較的新しいバージョンのみ対応だ。また、Mac用のドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。
 本体サイズを見てみよう。EW-M754Tは390×339×166mmで、インクカートリッジ方式の機種と比べても高さが25mmほど大きいだけで幅と奥行きは変わらない、かなりコンパクトなサイズとなっている。これを基準に見ていこう。EW-M873Tは403×369×162mmで、幅は13mmほど、奥行きは30mmほど大きいが、エコタンクが大きく、1色多い事を考えると十分コンパクトだ。数年前の機種との比較なら十分コンパクトだろう。EW-M634Tは375×347×187mmで、高さは21mm大きくなっているが、幅は15mm小さいため、設置面積だけで見ると最もコンパクトだ。奥行きも8mm大きいとはいえ、エコタンクと前面給紙カセット部分だけが出ているデザインなので、全体的には数値よりも小さく見える。GX6030は399×410×254mmで、幅はEW-M754Tと比べて9mm大きいだけだが、奥行きが71mm、高さが88mm大きくなる。高さはADFを搭載しているためある程度は仕方が無いとはいえ、全体的に大きく見える。G6030は403×369×195mmで、幅が13mm、奥行きが30mm、高さが29mm大きく、全体に一回り大きいという印象だがGX6030よりはコンパクトだ。DCP-J4140Nは435×343×180mmで幅は45mm大きく、6機種中最大だが、奥行きは4mm、高さは14mm大きいだけで、特に高さはADFを搭載しているわりにはコンパクトだ。カートリッジ取り付け部だけが横に飛び出ており、上部3分の1ほどの横幅は400mm程度と言うこともあって、数値のわりには小さく見える。一方で使用時を考えると、EW-M754TEW-M634TDCP-J4140Nは前面給紙を基本としているため、後方にスペースが不要だが、EW-M873TGX6030G6030では背面給紙を利用する場合は後方にスペースが必要となる。特に、厚紙を利用しなければ前面給紙だけでも便利に使えるEW-M873Tに比べ、GX6030G6030では普通紙以外は背面給紙を使用するしかなく、後方のスペースは必須と言える。それを考えると、EW-M754TEW-M634Tはかなりコンパクトと言える。とはいえ、GX6030を除くと大きな差ではないとも言えるが、設置スペースに制限がある場合は注意が必要だ。
 本体の耐久枚数にも違いがある。エプソンの3機種は5万枚、GX6030は15万枚、G6030は6万枚で、DCP-J4140Nが10万枚で、GX6030が圧倒的に高耐久で、DCP-J4140Nもかなりの高耐久だ。ビジネス向けとして大量の印刷が行われることを想定していると言える。ただし、家庭用のインクジェットプリンターは1万〜1万5000枚が寿命と言われており、エプソンの3機種やG6030でも十分に高耐久だ。
 ちなみに本体のカラーバリエーションは、EW-M754TG6030はブラックとホワイトの2色から選べ、EW-M873Tはブラックのみ、EW-M634TとDCP-4140Nはホワイトのみ、GX6030はホワイト&ブラックのみとなる。



 6機種の内、どの機種がオススメかを見てみよう。まず何を印刷するかによって絞ることが出来る。まず写真印刷を行うならEW-873TかEW-M754Tしか選択肢がない。顔料4色のGX6030DCP-J4140Nは、画質面から写真印刷を少しでも考えるなら選択肢から外れる。特にGX6030ははフチなし印刷が出来ないこともある。EW-M634TG6030は写真印刷が出来ないわけではないが、写真印刷時にブラックインクが使用できず画質がかなり劣るだけでなく、耐保存性が劣るため避けた方が無難だ。印刷枚数がそれほど多くないが、カートリッジ方式では印刷コストが気になるという程度ならEW-M754T、印刷枚数が多いならEW-M873Tがオススメだ。また、少しでも画質が高い方が良いという場合や、給紙機能の豊富さ、ディスクレーベル印刷、厚紙印刷、写真作品印刷機能などに魅力を感じるならEW-M873Tが良いだろう。
 逆に文書印刷やコピーにしか使用せず、その普通紙印刷の速度と画質を重視するならGX6030DCP-J4140Nが良いだろう。全色顔料インクを採用しており、印刷速度も高速だ。自動両面印刷も高速で、ADFを搭載している点でも使い勝手が良い。本体だけでクラウド上のファイル印刷にも対応、本体の耐久枚数も特に高いなども共通点だ。この2機種の違いはタンク方式かカートリッジ方式かという事があるが、これは選ぶ上での直接のポイントにはならない。GX6030の方が優れているのは印刷コスト、給紙枚数、ADF枚数だろう。モノクロの印刷コストは同等だが、カラーはDCP-J4140Nの方が1.86倍高い。1枚1.9円違うと、1万枚で19,000円の差となり、無視できない差となる。給紙枚数も、GX6030の方が前面給紙カセットの給紙枚数が多いだけでなく、背面給紙もトレイ式だ。ADFも50枚までセットできるのが便利な場合もあるだろう。一方DCP-J4140Nが優れているのは対応用紙、本体サイズ、本体価格だ。DCP-J4140Nはフチなし印刷に対応しているのもメリットとなる。写真印刷をしないのだから関係なさそうだが、フチなしデザインの年賀状や、背景色のある文書を作成するなら重要だ。また自動両面印刷もA4以外に対応している。給紙枚数では不利だが、前面給紙カセットに普通紙以外もセットできることがメリットになる場合もあるだろう。本体サイズは、横幅こそ大きいが、奥行きや高さの面ではコンパクトだ。なにより本体価格が3万円以上安い。カラープリントが多いか、給紙枚数などにこだわりがなければ、DCP-J4140Nの方が万人にお勧めできるだろう。
 写真よりは文書印刷がメインだが、画質はそれほどこだわらない、また本体価格も比較的安く印刷コストにこだわりたいならEW-M634TG6030となる。この2機種は似ている点が多く、非常に難しい。まず、印刷コストは全く同じだ。印刷スピードや画質に若干の違いはあるが、大きな差ではない。スキャナの機能や、コピー機能も非常に似ており、ダイレクト印刷機能を持たない点でも同等だ。では大きな違いはというと、給紙方式と操作性だろう。基本的に給紙機能が便利なのはG6030だ。前面給紙カセットに普通紙を常時セットしておき、それ以外の用紙は背面給紙という使い方は便利だ。一方、本体の操作性はEW-M634Tが便利だ。モノクロの文字だけの表示でバックライトも無く、ボタン数も少ないG6030より、カラー液晶でグラフィカルな表示ができ、ボタンもわかりやすい配置のEW-M634Tの方が使いやすいはずだ。コピー操作などが多いならEW-M634Tが良いだろう。また、インク補充時の間違い防止機構や、自動両面印刷速度やハガキ対応、メンテナンスボックスの交換、Wi-Fiダイレクトの接続支援機能、リモートプリントなど、細かい点を見るとEW-M634Tの方が便利に作られていると感じる。給紙方式などG6030の機能にこだわりがなければEW-M634Tの方がクセがなくオススメだ。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


EW-M873T
ドキュメントパック非同梱
EW-M754TW
ドキュメントパック非同梱
(ホワイト)
EW-M754TB
ドキュメントパック非同梱
(ブラック)
EW-M634T
ドキュメントパック非同梱
GX6030
G6030
(ブラック)
G6030WH
(ホワイト)
DCP-J4140N