プリンター徹底比較
2022年春時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2022年5月16日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


ファクス付きA4カラー複合機(カートリッジ方式・2万円後半以上)
 
 ファクス機能付きA4複合機の中で上位機種に当たる2万円後半以上の機種である。エプソンのPX-M885F、キャノンがMAXIFY MB5430/MAXIFY M5130、TR8630aの3機種、ブラザーがMFC-J904Nとなる。PX-M855Fを除く4機種は2万7000円から3万3000円と価格は近いが、PX-M885Fのみ43,978円と1万円以上価格が高い。また、PX-M885FとMAXIFYの2機種は完全なビジネス向けの機種である一方、TR8630aMFC-J904Nは小規模オフィスやホームオフィス、又は家庭での利用だがファクス機能が必要という人向けであり、ターゲットとするユーザーも異なっている。それが機能面でどう言った違いとなっているが、細かく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー エプソン キャノン キャノン キャノン ブラザー
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込) 43,978円 32,868円 27,368円 29,150円 27,500円
インク 色数 4色 4色 4色 5色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立(インクパック方式) 各色独立 各色独立 各色独立 各色独立
顔料/染料系 顔料
(文書キャビネット保存400年)
顔料
(MAXIFY用新顔料インク)
顔料
(MAXIFY用新顔料インク)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存100年/耐光性50年)
インク型番 IP01B(大容量)
IP01A(標準容量)
2300XL番(大容量)
2300番(標準容量)
2300XL番(大容量)
2300番(標準容量)
380XL/381XL(大容量)
380/381(標準容量)
380s/381s(小容量)
LC411
ノズル数 3200ノズル 4352ノズル 4352ノズル 4096ノズル 840ノズル
各色:800ノズル カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
各色:210ノズル
最小インクドロップサイズ N/A(3.8pl?) N/A(カラー5pl/ブラック11pl?) N/A(カラー5pl/ブラック11pl?) N/A(2pl?) 2pl
最大解像度 4800×1200dpi 600×1200dpi 600×1200dpi 4800×1200dpi 1200×6000dpi
高画質化機能 PrecisionCoreプリントヘッド
ノズル自己判断システム
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) N/A N/A N/A 31秒 14秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 24.0ipm 15.5ipm 15.5ipm 10.0ipm 16.5ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 24.0ipm 24.0ipm 24.0ipm 15.0ipm 17.0ipm
ファーストプリント速度 A4普通紙カラー 5.3秒 7.0秒 7.0秒 10.0秒 6.5秒
A4普通紙モノクロ 4.8秒 6.0秒 6.0秒 8.0秒 6.0秒
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 N/A N/A N/A 大容量:19.4円
標準:19.0円
小容量:26.0円
20.5円
A4カラー文書 6.7円 6.8円 6.8円 大容量:10.5円
標準:10.5円
小容量:15.6円
9.4円
A4モノクロ文書 2.0円 2.0円 2.0円 大容量:3.3円
標準:3.7円
小容量:5.4円
2.9円
インク1本の印刷枚数
(カラー文書)
顔料ブラック 大容量:10,000ページ
標準:3,000ページ
大容量:2,500ページ
標準:1,000ページ
大容量:2,500ページ
標準:1,000ページ
大容量:600ページ
標準:400ページ
小容量:200ページ
375ページ
染料ブラック 大容量:6,360ページ
標準:3,180ページ
小容量:940ページ
カラー 大容量:5,000ページ
標準:3,000ページ
大容量:1,523ページ
標準:712ページ
大容量:1,523ページ
標準:712ページ
大容量:801ページ
標準:500ページ
小容量:250ページ
500ページ
インク1本の価格
(税込)
顔料ブラック 大容量:19,228円
標準:8,217円
大容量:4,730円
標準:2,310円
大容量:4,730円
標準:2,310円
大容量:1,793円
標準:1,331円
小容量:1,012円
1,078円
染料ブラック 大容量:1,914円
標準:1,133円
小容量:803円
カラー 大容量:各7,865円
標準:各6,391円
大容量:各2,409円
標準:各1,408円
大容量:各2,409円
標準:各1,408円
大容量:各1,914円
標準:各1,133円
小容量:各803円
各1,078円

 それでは、プリントの画質・速度・コスト面を見てみよう。TR8630aは5色インク、それ以外の4機種は4色インクとなっているが、インク構成も異なっている。PX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は全色顔料インクを採用する。顔料インクは普通紙への印刷時にクッキリとしたメリハリのある印刷が行えるというメリットがある。そのため、細かな線や小さな文字、中抜き文字もつぶれず綺麗に印刷できる。また、耐水性も高いというメリットもあり、濡れた手で触ったりマーカーで線を引いても滲まない点も便利である。そのため、パソコンから文書印刷や、コピー、受信ファクスの印刷に向いている。ただし、顔料インクにはデメリットもあり、写真用紙やインクジェットハガキをはじめとする普通紙以外に印刷すると、発色はあまり良くなく、また写真用紙に印刷した場合、本来の光沢感も薄れ半光沢のような鈍い光り方になってしまう。また、光沢年賀状をはじめとする一部光沢紙や、フィルム紙など、顔料インクに対応しない用紙もある。これら3機種は普通紙印刷に特化したインク構成であると言える。
 一方、TR8630aMFC-J904Nは、顔料インクはブラックだけ搭載し、残りは染料インクとしている。染料インクは普通紙印刷をした場合は、用紙へしみこむ際に若干広がりメリハリが弱く、線が太くなったり小さな文字が潰れやすくなる他、水にも弱いが、写真用紙やインクジェットハガキにもキレイに印刷が出来、用紙の制限も少ないのはメリットだ。TR8630aは染料インクだけで4色搭載しており、写真なども比較的キレイに印刷できる。一方MFC-J904Nの染料インクは3色で、ブラックを搭載しない。黒色はカラーインクを重ねて表現するが、完全な黒にはならず、濃いグレーや濃い茶色になってしまう。また濃い色の中の表現に黒インクが使えないため、夜景や、影の中の表現などが苦手になる。写真印刷を考えた場合、この染料ブラックの有無が画質には大きく影響するため、写真がキレイに印刷できるのはTR8630aだけで、MFC-J904Nは光沢感の面などでは問題ないが、画質はそれほどキレイではないと言える。ちなみにこれら2機種は前述のようにブラックのみ顔料インクを搭載している。カラーインクは染料インクであるため、黒色しか顔料インクの恩恵は得られず、また黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のグレーインクやカラーインクを使用する場合もあるし、カラーの中に混ざっている場合も染料ブラックがが使われる場合もあるなど、全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、文字や線の部分だけでも顔料インクが使えると、全体的に引き締まって見えるのは確かだ。全色顔料のPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130ほどではないが、文書もある程度キレイに印刷できるように工夫されている。
 写真印刷の画質面では最小インクドロップサイズも大きな影響がある。PX-M885Fは非公開ながら、海外の同機能のモデルから、3.8plと予想される。家庭用の写真印刷向けプリンターでは1.5plという機種もある事を考えるとドットが大きく、ザラザラした感じが強くなるため写真印刷向けとは言えない。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はも非公開だが、同じく海外の同機能のモデルから、カラーが5pl、ブラックが11plと考えられる。PX-M885Fと比べてもかなり大きく、写真印刷は難しいと言えるだろう。それに対して染料インクを搭載しているTR8630aも非公開ながら2pl程度と予測され、MFC-J904Nは2plとなっており、比較的小さめだ。粒状感の面でもTR8630aMFC-J904Nは写真向けと言える。
 一方、普通紙印刷に関しては、PX-M885Fが優秀だ。前述の全色顔料インクである事に加えて、PrecisionCoreプリントヘッドを採用している。普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiへアップした他、普通紙印刷時の発色やエッジ処理にも工夫がなされ、普通紙印刷の画質は非常に高くなっている。さらに、ノズル自己診断システムを搭載しており、プリントヘッドのドット抜けを印刷ジョブごとに自動的に検知し、画質を調整するため、ふと気づいたら印刷結果に問題があってやり直しという事を防ぐことができる。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130も「MAXIFY用新顔料インク」という名称を付け、特に黒の濃度が高くなっているという事で、画質は高いといえる。ただし、最小インクドロップサイズがPX-M885Fと比べてもかなり大きく印刷解像度も低いため、文書印刷でも文字以外の写真やイラスト、グラフなどでは粒状感が他機種より目立ってしまう。普通紙の印刷画質はPX-M885Fが最も上だろう。
 MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130を除く3機種は、耐保存性の面でもこだわりがある。TR8630aのインクには「ChromaLife 100」という名称が付けられており、アルバム保存100年をうたっている。MFC-J904Nは名称はないが、アルバム保存100年、耐光性50年をうたっている。いずれも写真の耐保存性が高くなっており、特に耐光性の高さもうたっているMFC-J904Nは飾った場合の色あせも防げるため、便利だ。一方、PX-M885Fは文書の耐保存性を高めており、キャビネットに保存で400年をうたっている。重要書類が消えてしまう心配がないのは重要だ。このように、それぞれのターゲットに合わせたインクが採用されている。
 印刷速度に関しては5機種ともこだわっている。写真の印刷速度はTR8630aMFC-J904Nのみ公開しており、TR8630aが31秒、MFC-J904Nが14秒となっている。ファクス機能が無い写真向けのプリンターの場合、最速が10秒、一般的には13〜18秒が高速な機種と呼べるので、MFC-903Nは十分な速度となっている。TR8630aは比べると遅く見えるが、十分実用的な速度で、大量印刷するのでなければ問題ないだろう。一方、普通紙への印刷速度は5機種とも公開されており比較しやすい。PX-M885Fはノズル数を各800ノズルと多くする事で、A4カラー文書、モノクロ文書共にが24ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)と非常に高速だ。ファーストプリントもカラーが5.3秒、モノクロが4.8秒となっており、1枚だけの原稿でもサッと印刷できる。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はカラーが各1024ノズル、ブラックが1280ノズルと多くなっていることに加えて、1枚目の印字中に2枚目を重ねて搬送させる「重ね連送」機能を搭載しているため、A4カラー文書が15.5ipm、A4モノクロ文書が24ipmとなっている。カラーの印刷速度ではPX-M885Fに劣るが、モノクロは同等となってる。ファーストプリントはモノクロ6秒、カラー7秒だ。それに対して、TR8630aはシアン・マゼンダ・顔料ブラックは各1024ノズル、イエローと染料ブラックは512ノズルとMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130と比べて少なく、一方で最小インクドロップサイズが小さい事もあって、カラー文書10.0ipm、モノクロ文書15.0ipmとなる。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130と比べて3分の2程度の速度である。写真印刷が高速なMFC-J904Nは、カラー文書が16.5ipm、モノクロ文書が17.0ipmと、PX-M885Fほどではないが十分高速だ。モノクロはTR8630aよりやや速い程度だが、カラーもほぼ同じ速度であるため、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130より高速だ。家庭用の機種としては十分高速と言える。ファーストプリントも、カラー6.5秒、モノクロ6.0秒とPX-M885Fに次いで高速だ。ビジネス利用で、印刷枚数が非常に多い場合や、複数の人が次々に使う場合などでは、印刷速度の速さは魅力となる。
 最後に印刷コストだが、こちらもビジネス向けのPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130と、小規模オフィス・家庭向けのTR8630aMFC-J904Nで大きく異なっている。ビジネス向けのPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は大容量インクを用意しており、印刷コストもかなり安くなっている。PX-M885FはIP01番のインクだが、IP01の後ろに色(K/C/M/Y)が付き、その後ろに大容量ならB、標準ならAが付く。例えば大容量のシアンならIP01CBとなる。PX-M885Fはインクカートリッジでは無く、インクパック方式となっている。インクパックはインクの充填された袋状のもので先端にプラスチックの取り付け口が付いている。本体最下段に色ごとのトレイがあり、パックをトレイに装着して、トレイを本体に戻すという方式となる。パック式になったことで大容量となっており、大容量のIP01Bならブラックインクは10,000ページ、カラーインクは各色平均5,000ページの印刷が可能となっている。ブラックは19,228円、カラーは7,865円である。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はインクカートリッジ方式で、大容量の2300XLインクで、ブラックは2,500枚、カラーは各色平均1,500枚の印刷が可能だ。ブラックが4,730円、カラーが2,409円となる。3機種ともインクは高価だが、インクパックのPX-M885Fは言うまでも無く、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130でも家庭向けの機種と比べるとかなり大容量になっている。そのためPX-M885FがA4カラー文書で6.7円、A4モノクロ文書で2.0円、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130もそれぞれ6.8円と2.0円とほぼ同じ印刷コストとなっている。タンク方式を除けば非常に印刷コストは安くなっており、レザープリンターなどと比べてもかなり安いといえる。一方、TR8630aは380番と381番のインク(顔料が380番、染料が381番)で、XLが付く大容量、何も付かない標準容量、sが付く小容量がある。大容量の場合、顔料ブラックが1,793円、染料4色が各1,914円で、ブラックインクは600枚、カラーインクが各色平均で800枚印刷が可能だ。インクカートリッジの価格はやや安いが、それ以上に印刷枚数が少ないため、印刷コストはカラー文書で10.5円と、モノクロ文書3.3円とPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130と比べて1.5倍以上となる。MFC-J904NはLC411番インクで、サイズは1種類のみだ。各1,078円で、ブラックインクは375枚、カラーインクが各色平均で500枚印刷が可能とさらに少なくなる。印刷コストはカラー文書で9.4円と、モノクロ文書2.9円とPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130と比べてカラーは1.4倍、モノクロは1.45倍となる。ただし、PX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130と比べると高く見えるが、家庭向けのインクジェットプリンターの中では安い方だ。これら2機種は小規模オフィス/家庭向けという事を考えると、大量印刷向けの機種ではないため、印刷枚数が多くてもインク1セットが何万円もするより、ある程度印刷コストが安く、インクカートリッジもそれほど大容量ではない代わりに安価な方が使い勝手が良いだろう。一方印刷枚数が多いのなら、印刷コストの面だけではなく、交換の手間も考えると、大容量のPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130が適していると言える。このように、印刷速度、印刷コストのどちらも、ビジネス用途で大量印刷をするのかによって、向いている機種が変わってくることがわかる。

プリント(給紙・排紙関連)
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 L判〜A4
(用紙幅64mmまで対応)
(フチ無し印刷非対応)
L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
名刺〜A4 L判〜A4
長尺用紙 長さ6,000mmまで 長さ355.6mmmmまで 長さ355.6mmmmまで 長さ676mmまで 長さ297mmまで
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(80枚/30枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
前面 【標準カセット】
(250枚/50枚/50枚)
【増設カセット(オプション)】
普通紙のみ
(550枚/−/−)
【カセット上段】
(250枚/40枚/20枚)
【カセット下段】
普通紙のみ・A4/レター/リーガル
(250/−/−)
【カセット】
(250枚/40枚/20枚)
【カセット】
普通紙のみ
(100枚/−/−)
【カセット下段】A4〜A6/ハガキ
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
L判/ハガキ/ポストカードのみ
(−/20枚/20枚)
手動切り替え
その他
排紙トレイ自動伸縮 −(取り外し式)
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納連動) ○(カセット収納連動) ○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動) ○(カセット収納連動・下段のみ)
用紙幅チェック機能

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、最大は5機種ともA4までとなるが、最小サイズに関しては違いがある。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130MFC-J904NはL判サイズまでだが、TR8630aはそれより小さい名刺サイズに対応する。少量やフチなしデザインの名刺を印刷するのに便利だ。PX-M885Fは定型サイズはL判が最小だが、L判の幅89mmより小さい、幅64mmまで対応している。B6ハーフサイズのプライスカードなどの印刷に使えるという点では便利だ。長尺印刷に関しても、PX-M885Fは6,000mm(6m)まで対応しており、長尺のPOPや垂れ幕、横断幕などの印刷も可能だ。TR8630aは676mmまで、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は355.6mmまで、MFC-J904NはA4サイズの297mmまでとなる。一方で、PX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はフチなし印刷には非対応である。3機種とも写真印刷には元々向いていないが、フチなしデザインのハガキや、チラシなどの他、背景色をフチなしで印刷したい場合などには注意が必要だ。
 給紙に関しては、前面給紙カセットのみ又は、前面給紙カセットと背面給紙に対応している。前面給紙カセットは、ビジネス向けのPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は、1段で250枚までセット可能となっており、大量印刷に向いている。MAXIFY MB5430はこのカセットが2段あるため、A4用紙を2段ともセットして500枚使用する事もできるし、上段にB5、下段にA4という風に250枚ずつ違う用紙もセットできる。MAXIFY MB5130は1段となるため、250枚を1種類と言うことになる。PX-M885Fも1段のみだが、別途増設カセットを本体下に取り付ける事が可能で、その場合550枚までセットが可能となる。この増設カセットは普通紙のみという制限がある。MAXIFY MB5430も下段は普通紙のみで、A4・レター・リーガルサイズのみ対応となる。一方TR8630aの前面給紙カセットは100枚までセット可能と、少なくなり、普通紙のみとなる。MFC-J904Nの前面給紙カセットは大小2段となっており、下段は普通紙を100枚、上段はハガキやL判写真用紙といった小さな用紙をセットする。下段はA4〜A6サイズとハガキサイズの対応で、2L判も下段となる。上段はL判、ハガキ、ポストカードサイズのみで、ハガキ以外はサイズによって上段と下段が分かれている事になる。切り替えは手動である点は不便だ。
 背面給紙はMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130以外の3機種が対応する。PX-M885Fは普通紙を80枚まで、TR8630aは100枚までセット可能だ。背面給紙は用紙をセットしたままだとホコリが積もってしまうため、常時セットしておくには向かないが、前面給紙カセットにセットした用紙以外の用紙を一時的に使いたい場合や、前面給紙からでは上手く給紙出来ない用紙をセットするのに便利だろう。特にTR8630aの前面給紙カセットは普通紙のみなので、普通紙以外のハガキや写真用紙、ファイン紙や光沢紙などは全て背面給紙からとなる。逆に言うと、それらの用紙を常時セットしておくのは不便だと言える。MFC-J904Nの背面給紙は手差し給紙となる。本体背面に手差しトレイが収納されている。未使用時は本体に収納しておく事が出来る反面、簡易的なトレイなので1枚ずつしか給紙出来ない。前面給紙カセットにセットした用紙以外や、封筒のようなサイズ指定しにくい用紙を数枚使用する場合に便利だ。また、通常の前面・背面給紙は通常0.3mm厚程度までだが、手差し給紙は0.52mm厚まで対応しており、厚紙に印刷する際にも利用できる。
 複雑なので整理しておくと、PX-M885Fは前面1段+背面(+オプション)、MAXIFY MB5430は前面2段、MAXIFY MB5130は前面1段、TR8630aは前面1段+背面、MFC-J904Nは前面大小2段+背面手差しとなる。普通紙のセット可能枚数は、PX-M885Fは330枚(前面250+背面80)でオプション増設で880枚、MAXIFY MB5430は500枚(前面250枚×2段)、MAXIFY MB5130は250枚(前面のみ)、TR8630aは200枚(前面100枚+背面100枚)、MFC-J904Nは100枚(前面下段のみ)となる。一方、ハガキのセット可能枚数はPX-M885Fは80枚(前面50枚+背面30枚)、MAXIFY MB5430は40枚(前面上段のみ)、MAXIFY MB5130は40枚(前面のみ)、TR8630aは40枚(背面のみ)、MFC-J904Nは40枚(前面下段のみ)となる。普通紙はMAXIFY MB5430が、ハガキはPX-M885Fが大量印刷に向いていると言える。
 対応する用紙厚にも違いがあり、写真用紙などの専用紙を除いた普通紙の場合で、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130TR8630aが105g/m2まで、MFC-J904Nが120g/m2までなのに対して、PX-M885Fは前面給紙カセットでも160g/m2まで対応しており、背面給紙は256g/m2まで対応している。さらにPX-M885Fは「紙分離ローラー」も採用しており、通常の紙送りローラーと別のローラーが2枚目の紙送りを抑制することで、重送を防いで、紙詰まりを低減する機能も搭載している。このように、対応できる用紙のサイズや厚み、給紙枚数やその他の機能面でPX-M885Fは突出しており、さすが1万円の価格差があると言えるだろう。
 ちなみにPX-M885Fの排紙トレイは固定式となっており、縮めたり折りたたんだりして本体に完全収納することができない。取り外す事は可能だが、基本的には飛び出した状態で使うことになり本体サイズにもその分が含まれている。一方、MAXIFY MB5430/MAXIFY MB2730は前面給紙カセットを縮めて本体に完全収納状態にでき、本体サイズもその状態での表記となる。ところがその状態ではいずれのサイズの用紙もセットできないため、基本的にはカセットを伸ばした状態で使う事になるだろう。その場合、本体から70mm飛び出ることとなる点は注意が必要だ。
 5機種とも用紙種類とサイズの登録機能を搭載している。前面給紙の場合はMFC-J904N以外はカセットを挿し込むと、MFC-J904Nはカセットを引き出すと、背面給紙の場合はPX-M885Fは用紙をセットすると、TR8630aは給紙口カバーを閉じると自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。また、液晶ディスプレイでメニューから手動で登録も可能である。そして、この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。ただし、MFC-J904Nは下段のみで、上段は登録できず、また上段と下段の切り替え間違いは認識されない。PX-M885Fは、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。

プリント(付加機能)
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
自動両面印刷 ○(普通紙のみ・湿温度センサー搭載) ○(普通紙のみ) ○(普通紙のみ) ○(普通紙のみ)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 15.0ipm 9.5ipm 9.5ipm 3.0ipm 5.5ipm
A4モノクロ文書 15.0ipm 13.0ipm 13.0ipm 3.0ipm 5.5ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷 ○(黒だけでモード・5日間のみ) ○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ −/○ ○(時刻指定)/○(時刻指定) ○(時刻指定)/○(時刻指定) ○/○ −/−
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 自動両面印刷機能は5機種とも搭載している。ただし、MFC-J904N以外の4機種は普通紙のみの対応となる。ハガキの両面印刷を行いたいならMFC-J904Nしか行えない。一方、PX-M885Fは温湿度センサーを搭載しており、環境に応じて最適な両面印刷が行える。自動両面印刷時の速度を見てみると、PX-M885Fはカラー、モノクロ共に15.0ipmである。自動両面印刷は、紙が後方から前方に進みながら片面を印刷し、その後、そのまま前方から後方に吸い込まれ、前面給紙の時と同じく、後方で180度曲げられて方向転換する事で裏向けて、裏面を印刷する。この裏返し動作に時間がかかるため、片面印刷の24.0ipmに対して62.5%の速度となっているが、これでも高速な方である。それに対してMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はカラーが9.5ipm、モノクロが13.0ipmとなる。モノクロの片面印刷速度はPX-M885Fと同じであったが、両面印刷は速度差が付いている。これが湿温度センサーによる効果と言えるだろう。ちなみにTR8630aはカラー・モノクロ共に3.0ipm、MFC-J904Nは5.5ipmとなる。片面印刷に対して低下率が大きいが、これは染料インクが紙面上で乾きにくく、乾燥待ちが入るためと思われる。両面印刷を多用するなら、PX-M885Fはストレス無く印刷できるだろう。
 また、PX-M885Fは「オートフォトファイン!EX」、TR8630aは「自動写真補正」という写真の画質補正機能も搭載している。逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われるため、気楽に写真印刷が行えるようになっている。
 最近の機種では搭載機種が増えた「印刷が実行されると自動的に電源がオンになる」機能と、ほぼ必須になりつつある「指定した時間操作がないと自動で電源がオフになる」機能だが、ファクス付きモデルでは状況が異なる。常時電源を入れておかなければファクス受信が行えないためである。そのため、自動電源オン・オフの両方を搭載しているのはTR8630aだけで、PX-M885Fは自動電源オフのみ搭載しており、MFC-J904Nはどちらも搭載してない。最近ではネットワーク接続が可能になり、プリンターから離れた場所のプリンターやスマートフォンなどからプリントする事も増えたが、その際に自動電源オン機能があると、電源を入れるためにプリンターの前に行く必要がない点では便利だ。ただし、TR8630aの場合操作パネルが完全に収納された状態では印刷が始まらないため、操作パネルを持ち上げて開いておく必要がある。そしてMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は自動電源オン・オフというよりは、時間指定による電源オン・オフが設定できる。オフィスの就業時間や、商店の営業時間などに合わせて決まった時間に電源を入れ、決まった時間に電源が切れるというものである。ある意味オフィス向けという機種では、この機能は便利な場合もあるだろう。
 一方、PX-M885Fの便利な点として、交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)に対応している事がある。メンテナンスボックスとはクリーニング時に排出される廃インクを貯めるもので、満タンになると通常は修理に出して交換する必要があり、プリンターが使えない期間が発生し、交換費用もそれなりに掛かってしまう。しかしPX-M885Fはユーザー自身で簡単に交換できるようになっている。印刷枚数が多いと思われる機種だけに、使用できない期間の発生を防ぐことができるこの機能はうれしいところだ。

スキャン
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
最大スキャンサイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(215.9×297mm)
読み取り解像度 1200×2400dpi 1200×2400dpi 1200×2400dpi 1200×2400dpi 1200×2400dpi
(ADF使用時は1200×600dpi)
センサータイプ CIS CIS CIS CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF 原稿セット可能枚数 50枚 50枚 50枚 20枚 20枚
原稿サイズ A4/B5/A5/A6/レター/リーガル 216×356mm〜148×148mm 216×356mm〜148×148mm A4/レター/リーガル 148×148〜215.9×355.6mm
両面読み取り ○(同時両面) ○(同時両面)
読み取り速度 カラー 24.0ipm 23.0ipm(両面時)
16.0ipm(片面時)
23.0ipm(両面時)
16.0ipm(片面時)
N/A N/A
モノクロ 24.0ipm 23.0ipm(両面時)
16.0ipm(片面時)
23.0ipm(両面時)
16.0ipm(片面時)
N/A N/A
スキャンデーターのメモリーカード保存 ○(JPEG/PDF・USBメモリーのみ) ○(JPEG/PDF・USBメモリーのみ) ○(JPEG/PDF・USBメモリーのみ) ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF/TIFF)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。スキャンサイズは最大がA4(216又は215.9×297mm)で5機種とも同じだ。解像度も5機種とも1200dpiのCISスキャナーを搭載しており同等だ。家庭向けにはもっと高解像度の機種があるが、紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分といえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる。なお、5機種ともCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。
 5機種ともスキャンした原稿をパソコンを使わずにUSBメモリー又はSDカードに保存する機能を搭載している。パソコン無しで簡単にスキャンが行えるできるため便利だ。JPEG又はPDF形式での保存に対応している。そしてファクス付きモデルと言うことで5機種ともADFを搭載している。PX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は50枚まで、TR8630aMFC-J904Nは20枚までセットが可能である。このあたりもハードな利用が想定されるビジネス向けと、小規模オフィス・家庭向けでの差と言える。またビジネス向けのPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130の3機種は両面スキャンに対応している。ただし、両面スキャンの方式が異なりPX-M885Fはフラットベッドスキャナと共通の読み取りセンサーのみとなるため、読み取りセンサーが片側にしかない。そのため片面をスキャン後、もう一度給紙して裏面をスキャンするという方式となる。一方、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はフラットベッドスキャナ共通の読み取りセンサーと別に反対面にも読み取りセンサーを搭載しており、両面に読み取りセンサーがある事から1回の給紙で両面をスキャンできる。そのため、PX-M885Fでは両面スキャンを行うと、片面スキャンの倍以上の時間がかかるが、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130では両面スキャンでも速度は低下しにくい。実際の速度が公表されており、ipm値で表される。PX-M885Fでは片面スキャンは24.0ipmとなっており、これはかなり高速と言える。一方MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130の片面スキャンは16.0ipmとなっており、PX-M885Fの3分の2の速度となる。片面スキャンではPX-M885Fが高速だ。一方、両面スキャンの場合、PX-M885Fは速度を公表していないが、スキャン速度は変わらないので、裏返し動作にやや時間を取る分24.0ipmよりやや低下するが、十分高速と言える。一方、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は両面を同時にスキャンする事が可能だ。ipm値は1分間でスキャンした「枚数」ではなく「面数」となるため、片面スキャンと同じ速度で読み取れれば倍の32.0ipになる計算だ。しかし、実際は23.0ipmと低下している。枚数で見ると、片面スキャンの16枚/分から11.5枚/分に低下している事になる。ADF専用の読み取りセンサーがフラットベッド兼用のものより低速なのか、両面のデーターの処理に時間がかかるのかは不明だが、24.0ipmからやや遅くなるPX-M885Fと、23.0ipmのMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130では大きく変わらないだろう。同時両面スキャンが出来るMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130が圧倒的に有利と思われがちだが、実際には片面でも両面でも高速なPX-M885Fの方が便利といえる。TR8630aMFC-J904NはADFのスキャン速度を公表していない。

ダイレクト印刷
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード SD SD
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したPDFのみ) JPEG/TIFF/PDF(本機でスキャンしてUSBメモリーに保存したPDFのみ) JPEG/TIFF/PDF(本機でスキャンしてUSBメモリーに保存したPDFのみ) JPEG/TIFF/PDF(本機でスキャンしてメモリーカードに保存したPDFのみ) JPEG
色補正機能 赤目補正 フチなし/フチあり
赤目補正
フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/− −/− −/− −/−
PictBridge対応 ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)
組み込みパターンペーパー

 ダイレクト印刷機能を見てみよう。5機種ともダイレクト印刷機能を持っているが、その主な目的は異なっている。PX-885FとMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はメモリーカードスロットは搭載せず、USBメモリーにのみ対応となる。そのため、デジタルカメラの写真を印刷するというよりは、前述のスキャンしてUSBメモリーに保存したデーターを印刷する場合などが想定されているだろう。対応ファイル形式も一般的なJPEGとTIFFに加えて、3機種とも本体でスキャンしてUSBメモリーに保存する際にPDF形式で作成したファイルからの印刷にも対応しているのも、こういった使い方が想定されているからだろう。
 一方、TR8630aMFC-J904NはSDカードストットを搭載している。そのためデジタルカメラの写真の印刷が想定されている。MFC-J904NはUSBメモリーにも対応している。フチあり、フチなしの切り替えの他、TR9630は赤目補正を、MFC-J904Nは明るさとコントラストを5段階で調整できる。それほど細かく設定できるわけではないが、フチなし印刷や日付を入れる事も可能なので、写真らしい印刷が可能だ。MFC-J904NはJPEG形式のみ対応で、PDFには対応しない。TR8630aはJPEGとTIFFに加えて、本体でスキャンしてメモリーカードに保存したPDFの印刷にも対応するなど、家庭向けとビジネス向けの両方の機能を搭載していると言える。またTR8630aは単体でレポート用紙や原稿用紙、方眼紙、五線譜などを印刷可能な「定型フォーム印刷」機能と、スクラップブックの台紙やブックカバーに使える、パターンデザインを印刷できる「組み込みパターンペーパー」機能を搭載しているのも他機種にないメリットだ。
 なお、PX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130も、写真の印刷が全くできないわけではない。USBメモリーに写真を入れておけば一覧から写真を選んで写真のダイレクト印刷ができるし、その場合に用紙サイズや日付表示の有無の設定もできる。PX-M885Fは赤目補正の他、自動写真補正機能の「オートフォトファイン!EX」も利用可能だ。ただし、フチなし印刷ができない上に、全色顔料で画質上写真印刷には向いていない点から、それを目的にこの機種を選ぶのはオススメしにくい。

スマートフォン/クラウド対応
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 EPSON iPrint Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY Brother Mobile Connect
AirPrint
対応端末 iOS 11.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(NFC) ○(QR(iOS・iPadOS)/Bluetooth(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS N/A N/A ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト N/A N/A ○(googleフォト/image.canon)
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ)
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能も5機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定(TR8630aMFC-J904Nのみ)まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、5機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、PX-M885FTR8630aは接続支援機能が提供される。PX-M885FはNFCを利用する。NFCに対応したスマートフォンを液晶左にあるNFCロゴの上にタッチすれば自動的に接続されるため、こちらも非常に簡単だ。ただし、Android限定で、スマートフォンがNFCに対応している必要があるなど、対応機種がやや限定される。一方TR8630aはiOSの場合、本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了するという方式だ。セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無いため非常に簡単だ。Androidの場合は、Bluetoothを利用するが、Bluetoothで直接印刷データーを送信するのではなく、接続自体はWi-Fiだが、あらかじめBluetoothでペアリングしておけば、Wi-Fiダイレクトの設定が簡単に行えるというものだ。ただし、事前にペアリング設定が必要で、Bluetoothの接続設定とWi-Fiの接続設定の2段階となり使い勝手は劣るためか、本体とスマホ用アプリ上の両方で設定メニューはかなり奥にあり、メーカー側でも積極的に機能を薦めているわけではないようだ。AndroidならPX-M885Fが、iOSならTR8630aが便利と言える。
 また、MFC-J904Nを除く4機種はスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。TR8630aはLINE Clova端末にも対応する。PX-M885Fはデザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130TR8630aはナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のもの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。
 さらに、クラウドとの連携機能も5機種とも搭載している。プリントの場合、オンラインストレージのファイルにアクセスし印刷できる。TR8630aはSNSの写真をコメント付きで印刷する事と、写真共有サイトの写真の印刷にも対応しており、より便利だ。ここで大きな違いは、PX-M885Fはスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、他の4機種はスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でもクラウドにアクセスし印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、プリンターだけでサッと印刷が出来るという選択肢が選べる点で、これら4機種は便利だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、5機種とも本体の操作でアップロードまで行うことも、スマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる。アプリをわざわざ立ち上げなくても、スキャンしてアップロードできるため便利だ。
 さらにリモートプリントト機能も提供される。印刷したい写真や文書を添付したメールをプリンターのメールアドレスに送信すると自動で印刷できる機能はPX-M885F(メールプリント)とMFC-J904N(Eメールプリント)が対応している。各種画像ファイル、PDF、オフィス文書ファイルなどとメール本文に対応している。LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真や文書を送信すると印刷される機能はPX-M885F(LINEアプリからのプリント)とTR8630a(PIXUSトークプリント)が対応している。こちらも、画像ファイル、PDF、オフィス文書に対応している。さらにパソコンからのリモートプリントにはPX-M885F(リモートプリントドライバー)とTR8630a(PIXUSでリモートプリント)が対応している。しかしこの2機種では機能に大きな違いがある。PX-M885Fの「リモートプリントドライバー」は、通常のプリント操作と同じ手順で、ただプリンターの選択画面でリモートプリントの方を選ぶだけだ。プリントできるソフトであれば形式を問わないし、ソフト上からプリント操作が行えるため便利だ。それに対してTR8630aの「PIXUSでリモートプリント」は一度保存したファイルを、ブラウザ上からアップロードする形となる。Windows 11/10でEdge又はChromeからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPointに限定される。どちらかと言えば、LINEからプリントする「PIXUSトークプリント」を、LINE上で送るのでは無く、ブラウザ上から送る形にしただけと言える。普通のプリント操作のままで、ファイル形式も問わないPX-M885Fの方が圧倒的に使いやすいだろう。さらにPX-M885Fだけの機能として、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」にも対応する。プリンターの操作だけで紙原稿を相手に送ることが出来、簡易FAXのような使い方が可能だ。これを見ると、リモートプリント機能に関してはTR8630aMFC-J904Nの両方の機能を全て搭載している上に、より便利になっているPX-M885Fがより便利だといえる。

コピー機能
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー ○(色あせ補正対応)
割り付け(2面/4面) ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
その他のコピー機能 プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
プレビュー
濃度調整
プレビュー
濃度調整
プレビュー
濃度調整
濃度調整
地色除去コピー
バラエティコピー IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
ソート(1部ごと)コピー
ページ順コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
ページ順コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
ADF手動両面コピー
ページ順コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、5機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物を搭載している。また、5機種とも2枚又は4枚の原稿を1枚に縮小してコピーする機能にも対応する。
 その他、濃度調整機能は5機種とも搭載する。また、MFC-J904N以外の4機種はプレビューにも対応し、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できる。PX-M885FMFC-J904Nは背景色を白にして見やすくする「背景除去機能」又は「地色除去機能」も搭載する。その他、PX-M885Fは、コントラスト、鮮やかさ、色調、シャープネス、色相の調整が可能だ。色調調整は、レッド・グリーン・ブルーを個別に調整できる。かなり高度な色の調整が可能で、好みの色や、原稿の色に近づけたコピーが可能だ。
 それぞれ、様々な特殊コピーを行える機能を搭載する。免許証などの両面の小さな原稿の裏面と表面を、1枚の用紙に並べてコピーできる「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能は、5機種とも搭載している。周囲や綴じ目部分にできる影を消す「影消しコピー」又は「枠消しコピー」又は「ブックコピー」も共通の機能だ。ADFを使用したコピーで、複数ページの複数部をコピーするときに、1部ずつまとめてコピーする「ソート(1部ごと)コピー」又は「ページ順コピー」「ソートコピー」といった機能も5機種とも共通で搭載している。それ以外に、PX-M885Fはパンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載している。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130TR8630aはコピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」が可能だ。TR8630aはADFが片面スキャンにしか対応していないが、原稿を2回通す事で両面原稿の両面コピーが可能な「ADF手動両面コピー」機能も搭載する。MFC-J904Nは、すかし文字を入れてコピー出来る「透かしコピー」と、1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割してプリントし、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能を搭載する。「透かしコピー」は「重要」「COPY」「社外秘」といった5種類から選べ、位置やサイズ、回転角度や透過度、文字の色も指定できる。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。

ファクス機能
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
通信速度 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps
画質設定 モノクロ 8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(精細)
8dot/mm×15.4本/mm(高精細)
16dot/mm×15.4本/mm(超高精細)
全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
300×300dpi(ファインEX)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
300×300dpi(ファインEX)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
300×300dpi(ファインEX)
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン)
8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
カラー 200×200dpi 200×200dpi 200×200dpi 200×200dpi 203×196dpi(標準・ファイン)
送信原稿サイズ A4/B5/A5 N/A N/A N/A A4
記録紙サイズ A4/A5/リーガル/レター A4/リーガル/レター A4/リーガル/レター A4/リーガル/レター A4
受信ファクス最大保存ページ数 550枚/200件 250枚/30件 250枚/30件 250枚/30件 200枚/N/A件
データー保持(電源オフ/停電) ○/○ ○/− ○/− ○/− ○/○
ワンタッチ
アドレス帳 200件 100件 100件 100件 100件×2番号
グループダイヤル 199宛先 99宛先 99宛先 99宛先 198宛先
順次同報送信 200宛先 101宛先 101宛先 101宛先 250宛先
(電話帳200宛先+手入力50宛先)
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信 ○/○ −/− −/− −/− −/−
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
受信ファクスを メール送信
共有フォルダ保存 −(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
外部メモリー保存 ○(USBメモリー) ○(USBメモリー) ○(USBメモリー) ○(SD)
PCファクス 送受信 送信のみ 送信のみ 送信のみ 送受信

 ファクス機能も基本はほぼ同等だが、細かなところで違いが出ている。5機種ともスーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。もちろん両面スキャンに対応したPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は両面原稿のファクスもできるため便利だ。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85本/mmの標準モード、8dot/mm×7.7本/mmの精細モード/ファインモードが選べるが、加えてPX-M885FMFC-J904Nはさらに高画質な8dot/mm×15.4本/mmの高精細モード/スーパーファインが選べ、PX-M885Fはその上の16dot/mm×15.4本/mmの超高精細モード、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130TR8630aは300×300dpiのファインEXモードが選べる。またTR8630aMFC-J904Nは、読取操作線密度はファインモードと同じ8dot/mm×7.7本/mmだが、写真を含む原稿に向いている写真モードも選択できる。写真を含む場合これら2機種が良いように見えるが、実はPX-M885Fは全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択が可能であり、読み取り走査線密度と独立して、原稿の種類に合った設定できるように見える。カラーは全機種200×200dpi(MFC-J904Nは203×196dpi)でほぼ同等だ。
 受信したファクスの印刷は日本では馴染みの薄いリーガル/レターサイズを除くと、PX-M885FがA4かA5、他の4機種はA4サイズとなる。A5用紙にも印刷できるPX-M885Fはやや便利だが、一般的にはA4用紙で問題ないだろう。受信したファクスはPX-M885Fが550枚または200件、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130TR8630aが250枚又は30件、MFC-J904Nが200枚(件数不明)となる。枚数、件数共にPX-M885Fが最も多いため受信件数が多い場合は便利だ。ここで大きな違いは、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130TR8630aは電源オフ時は受信したファクスが保持されるが、停電時やコンセントが抜けた場合には保持されないのに対して、PX-M885FMFC-J904Nはそういった場合でも受信した内容が保持されるという点だ。使い方によっては、電気が供給されなくても受信内容が保持される方が便利だろう。
 ダイヤル機能としては、5機種ともアドレス帳機能を搭載、PX-M885Fは200件、他の4機種は100件まで登録出来る。PX-M885Fの件数が多いが、よほど件数が多くなければ問題ないだろう。また、MFC-J904Nは1件あたり2つの電話番号を登録出来るため、電話番号自体は200番号の登録可能だ。その他、グループダイヤル、順次同報送信、自動リダイヤルなどの基本的な機能は5機種とも搭載している。また、PX-M885FMFC-J904Nは送信するファクスを液晶で確認してから送信する「見てから送信」と、受信したファクスの内容を液晶で確認した上で印刷するか決めることで用紙を節約できる「見てから印刷」機能も備える。表にはないが、指定した時間にファクスを送信する「時間指定送信」又は「タイマー送信」、さらに同じ宛先の文書をまとめて送信する「バッチ送信」又は「とりまとめ送信」もこれら2機種のみ対応だ。さらに5機種中唯一、PX-M885Fのみ搭載している機能もある。表にあるポーリング送受信もその一つで、その他、送信失敗文書の保存機能をなども搭載している。ポーリング送受信を利用している人には重要な機能だ。
 受信したファクスの転送機能は各機種が搭載している。受信したファクスを指定したアドレスにメールででき、外出時でもファクスが確認できる機能はPX-M885FMFC-J904Nが搭載している。受信したファクスを共有フォルダに保存する機能はPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130が搭載しているが、MFC-J904Nもクラウドにアップロードする事が可能だ。5機種とも、情報共有も行いやすい機能が搭載されていると言える。PX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はUSBメモリーに、TR8630aはSDカードに保存することも出来る。
 さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能自体は5機種とも搭載しているものの、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130TR8630aは送信(パソコン上のデーターを直接ファクスとして送信)のみ対応だが、PX-M885FMFC-J904Nは送信だけでなく受信(パソコン上にファクスのデーターを受信)することもできる。なお、5機種ともファクス機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際、PX-M885FMFC-J904Nはファクス/電話自動切り替え機能にも対応しているのも便利だ。このように5機種は基本的な機能は似ているが、価格の高いPX-M885Fは細かな点で機能が豊富で、次いでMFC-J904Nも機能が豊富といえる。基本機能だけで十分なのか、必要な機能があるのかによっても機種を選ぶ上での決め手になるだろう。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番 PX-M885F MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 TR8630a MFC-J904N
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型
(75度角度調整可)
3.5型 3.5型 4.3型
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶+物理ボタン
(75度角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン タッチパネル液晶+物理ボタン タッチパネル液晶
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11ac/a/n/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN 1000BASE-T 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista SP2
MacOS 10.8.5〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista SP2
MacOS 10.8.5〜
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.14.6〜(AirPrint利用)
耐久枚数 15万枚 N/A N/A N/A N/A
外形寸法(横×奥×高) 425×535×357mm 463×394×351mm
(前面給紙カセット伸張時463×459×351mm)
463×394×291mm
(前面給紙カセット伸張時463×459×291mm)
438×351×190mm
(前面給紙カセット伸張時438×366×190mm)
400×341×172mm
レーベル印刷時は後方に10cm以上のスペースが必要
重量 19.1kg 12.9kg 11.4kg 7.9kg 8.4kg
本体カラー ホワイト ブラック ブラック ブラック ブラック

 操作パネルは5機種ともタッチパネル液晶を採用している。しかし液晶サイズには差があり、PX-M885FTR8630aが4.3型、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130が3.5型、MFC-J904Nが2.7型となっている。2.7型でも使いづらいほどではないが、大きい方が視認性や、液晶内のボタン操作が行いやすいとは言える。タッチパネル液晶を採用するためボタン数が減り、また、モードボタンや設定項目などでは、その項目名を直接タッチして選択できるし、使わないボタンが表示されることも無いため、非常に分かりやすい。液晶内に表示されると、バックライトが入っているため、薄暗い場所でも操作がしやすいというメリットもある。ただし、どこまでをタッチパネル液晶に集約するかは異なっている。TR8630aが最もボタン数が少なく、物理ボタンは電源ボタンだけで、ほとんどの操作をタッチパネル液晶に集約している。MFC-J904Nは電源ボタンの他は「戻る」「ホーム」「取り消し」というよく使うボタンだけ物理ボタンとしている。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は「モノクロスタート」「カラースタート」「ストップ」「ホーム」「戻る」のボタンとなっており、MFC-J904Nと比べて、スタートボタンも物理ボタンとしている点が異なる。しかし、これら4機種はファクス用のテンキーなどはタッチパネルでの操作となる。それに対して、PX-M885Fは電源ボタンの他、ファクスで使うテンキーと「クイックダイヤル」ボタン、「クリア」ボタンの他、「割り込み」「リセット」「用紙設定」「ジョブ/状態」といった、各種機能の呼び出しボタンが並んでいる。さらに液晶の左右、液晶と一体化するような黒色デザイン部分にはタッチセンサー式ボタンがあり、液晶左に「ホーム」ボタン、右に「ヘルプ」「ログオフ」「ストップ」ボタンが搭載されている。この4つのボタンだけは、独立させることで利便性を高めている一方で、使用できない時は消灯する事でわかりやすくしている。このように、どこまでを物理ボタンとして搭載するかは大きな違いだ。テンキーなどは、液晶内に用意されるよりも、物理ボタンの方が押した感触があるため素早く押せて、間違えにくいという特徴があるため、ファクスなどをよく使う環境ではPX-M885Fが使いやすいだろう。その反面、ボタン数が増えて、一見すると煩雑に感じる場合もある。液晶内だけで操作が完結する方が、液晶内のボタンだけを探せば良くわかりやすいとも言える。またコピー機能をよく使うなら、スタートボタンが物理ボタンの方が押しやすい。どれが一番良いというわけでは無く、どう言った機能をよく使うかによって使いやすさは変わってくるだろう。
 ただし、液晶ディスプレイと操作パネルの搭載位置に関しては、ハッキリした使い勝手の差が出ている。PX-M885FTR8630aMFC-J904Nの液晶ディスプレイと操作パネルとは本体前面に取り付けられている。そして起こして角度調整が可能だ、PX-M885Fは75度、TR8630aは90度近くまで角度調整が可能で、設置する高さに応じて見やすいように調整が可能なので、非常に使いやすいと言える。MFC-J903は40〜50度程度までと調整角は小さい目だが、それでも比較的使いやすい。一方、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130の液晶ディスプレイと操作パネルは本体前面から上面にかけて大きく面取りされた部分に埋め込まれている。斜めを向いているためどの方向からでも操作は可能だが、角度調整できる他の3機種ほど正面を向けられるわけではなく、操作性では劣る。物理ボタンの有無はユーザーによって、使いやすいかどうかが異なるため置いておいて、その他の部分で見ると、PX-M885FTR8630aが液晶が大きく角度調整が可能なので非常に操作しやすい。輝度も高めで視野角も広いため、視認性も良好だ。MFC-J904Nは角度調整が可能だが、調整角が狭く、最も液晶が小さいだけでなく、輝度も低めで視野角も狭い。角度調整できるが、逆に言うと正面を向けないと液晶が見にくくなる。輝度や視野角の面ではMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130の方が上で、サイズも一回り大きいが、角度調整が出来ないのは大きなデメリットだ。操作性を重視するなら、PX-M885FTR8630aが良さそうだ。
 インターフェースは5機種ともUSB2.0に加えて、有線LANと無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線・無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。無線LANだけでなく有線LANにも対応しているため、ルーターが近い場合や、壁の中など既にLAN配線がある場合、無線LANでは不安定な場合、安定性を重視する場合などに重宝する。一方、無線LANはWi-Fiダイレクト(キャノンはダイレクト接続という名称)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっているのも便利な点だ。ただし、PX-M885Fは他の4機種より高機能になっている。有線LANは最大1Gbps(1000Mbps)の転送速度を持つ1000BASE-Tに対応しており、最大100Mbpsの100BASE-TX対応の他の4機種よりも印刷データーやスキャンデーターなどの高速転送が可能だ。さらに無線LANは、IEEE802.11acとaに対応している。IEEE802.11acは、他機種のIEEE802.11nと比べると通信速度が圧倒的に速いため、無線LAN接続時でも待たされる心配が無い。さらに、IEEE802.11ac/n/a通信時は、5GHz帯の電波を使用できる。他機種の2.4GHz帯は、Bluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすいが、5GHz帯は無線LAN専用といえるので、通信が安定する。プリントもADFも高速な機種だけに、有線LAN、無線LAN共にワンランク上の機能となっている。
 対応OSはPX-M885FがWindows 11/10/8.1/8/7/Vista/XPに対応しており、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130はWindows XPには非対応だがWindows Vista以降には対応しているため、かなり古い機種でも対応できる。MacOSもPX-M885Fは10.6.8以降、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は10.8.5以降となっており、幅広い。それに対して、TR8630aMFC-J904NはWindows 11/10/8.1/7 SP1以降の対応となる上に、Windows 8には非対応なので注意が必要だ。MacOSもTR8630aは10.12.6以降、MFC-J904Nは10.14.6以降と比較的新しいバージョンしか対応しない。さらにTR8630aMFC-J904NはMac用ドライバーはキャノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。使用するパソコンのOSには注意したいところだ。
 耐久枚数はPX-M885Fが15万枚をうたっており、一般的な家庭用プリンターが1万〜1万5000枚である事を考えるとかなり高耐久に作られている安心感がある。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130もビジネス向けをうたっているため、ある程度高耐久である事は予想されるが具体的な数値は出ていない。TR8630aMFC-J904Nは家庭向けの機種をベースに作られているため、耐久性は高くないと言えるだろう。
 本体サイズを見てみよう。コンパクトさが追求される家庭向けプリンターと比べて、ビジネスプリンターは速度や給紙枚数の多さ、高耐久性が求められるため、大型になりがちだ。家庭用複合機の上位機種EP-883Aの場合349×340×142mmとなっており、これと比較してみよう。PX-M885Fは425×535×357mmとなっており、かなり大きいことが分かる。横幅は76mm大きいだけだが、奥行きは195mmも大きく、高さは215mmも大きい。奥行きに関しては背面給紙にも対応していることに加えて、増設の給紙カセットの対応やインクパックシステムの構造なども関係しているだろう。また高さに関しても、前面給紙カセットの下にインクパックの収納スペースが必要なほか、ADFも搭載していることもある。また、排紙トレイの堅牢性を重視して折りたたんだり縮めたりできない構造なので(取り外しは出来る)、排紙トレイの飛び出た分も奥行きに含まれる。排紙トレイを除く部分は、寸法図から予測すると440mm前後になる。いずれにしてもコンパクトさよりも機能や使い勝手、耐久性などを重視しているといえる。MAXIFY MB5430は463×394×351mmとPX-M885Fほどではないが、横幅はPX-M885Fより大きいし、EP-883Aと比べるとかなり大きい印象だ。しかも、このサイズは前面給紙カセットを最もコンパクトにした状態で用紙をセットする事ができない。A4用紙をセットした状態で置いておくとすると、奥行きは459mmになってしまう。またPX-M885Fと異なり、ADFが収納式であるため、ADF使用時だと高さは389mmになる。つまりPX-M885Fと同じ条件でA4用紙をセットしADFを展開すると、463×459×389mmとなる。また、前面に操作パネルなどが配置されないため「面」になっている点でも圧迫感は強めだ。MAXIFY MB5130は前面給紙カセットが1段となっている分だけ高さは抑えられるが、それでも463×394×291mmとなる。同じく用紙をセットできるように前面給紙カセットを伸張し、ADFを展開すると、463×459×329mmとなる。それに対して、TR8630aMFC-J904Nは小型化を意識した印象だ。TR8630aは438×351×190mmで横幅はそれほど小さくないが、奥行きと高さが抑えられている。前面給紙カセットにA4/B5用紙をセットする場合は伸張する必要があり、少し飛び出るが、15mmだけでMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130と比べるとわずかに出ているに過ぎない。カセットを伸張しADFを展開したサイズは438×366×300mmとなるが、これでも前の3機種よりはかなりコンパクトだ。MFC-J904Nは400×341×172mmと最もコンパクトだ。前面給紙カセットも完全に収納できる。ADFを展開しても、400×341×227mmとかなり小さい。ただしレーベル印刷時は、レーベル印刷用トレイが、一端本体後方に飛び出るため、後方に10cm以上のスペースが必要だ。ともあれ、サイズには大きな違いがあるため、設置スペースに制限のある人は注意したい。



 5機種はビジネス向けの3機種と、ホームオフィス・家庭向けの2機種に分けられる。インク構成や印刷速度、その他の機能や本体サイズが、これに合うように作られている。もちろん、ビジネス向けの機種を家庭で使っても問題ない(逆は耐久性などの面で不安があるが)。ビジネス向けの機種はPX-M885FMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130の3機種だ。MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130は前面給紙カセットの段数以外の差が無く、実質的には2種類から選ぶ形となる。PX-M885Fは本体価格が高いため当然と言えるが、様々な面でMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130を圧倒する。印刷速度や両面印刷速度、ADF速度はいずれも高速で、対応用紙も幅の狭い用紙から長尺まで幅広い。リモートプリント機能やファクス機能も豊富で、コピー時の色補正機能も強力だ。液晶も大きく角度調整が可能で操作性も良く、無線LANも有線LANもワンランク上だ。また、多人数で使うことを想定されており、ユーザーによる印刷内容の管理や、印刷枚数・利用できる機能の制限、さらにプリントを実行しても、PX-M885Fでパスワードを入力しないと印刷が始まらない様にすることで、セキュリティーを高める「パスワード印刷」にも対応する。リモート設定ツールや、導入時にドライバーの初期設定を変更したオリジナルの配布用パッケージも作成できる。人数の多いオフィスにまで対応できるといえる。価格は高いが、MAXIFY MB5430と比べて1万円の差は、機能を考えれば十分にお得と言える。本体サイズさえ気にならなければ、一押しの機種と言える。一方、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130も印刷コストはPX-M885Fと同等だし、印刷速度もモノクロならほぼ同等だ。細かな機能で見ると劣るところが多いが、低印刷コストで高速印刷という点を重視するなら、MAXIFY MB5430MAXIFY MB5130なら安価に購入できる。またADFの同時両面機能に魅力を感じる場合もMAXIFY MB5430MAXIFY MB5130がオススメだ。これら3機種はオフィス向けだが、つまり文書印刷専用の機種が欲しいなら、全色顔料で印刷が高速であるため、家庭に置いても便利だろう。家庭に置く場合、サイズに関しては制限が強い場合が多いが、それを無理してでも、十分に魅力的な製品と言える。
 では逆に文書印刷だけでなく、写真や年賀状印刷も行いたい、また印刷速度や印刷コストはそこそこで良いのでコンパクトな方が良いというなら、TR8630aMFC-J904Nとなる。これら2機種から選ぶ時、写真印刷を行うかどうか、また年賀状の画質にこだわるかが決め手となる。つまり写真画質こだわるなら、普通紙以外にもブラックインクが使えるTR8630aがオススメだ。ファクス機能を搭載しない家庭用複合機の最上位モデルよりは劣るが、十分に綺麗に写真印刷が可能なだけでなく、SDカードスロットがあるためダイレクト印刷も可能で、液晶も大きく写真の選択なども行いやすい。印刷速度は十分高速で、印刷コストも安め、ファクスもコピーもビジネス向けの機種より劣るとは言え、基本的な機能は抑えている。一方、文書印刷やコピーがメインなら、MFC-J904Nがおすすめだ。文書の印刷速度はTR8630aより高速で、文書印刷なら染料ブラックがないことも気にならない。写真印刷が高速なので、写真印刷以外にもファイン紙やインクジェットハガキなど普通紙以外にも高速に印刷できる。本体はコンパクトで、さらにTR8630aで普通紙以外を使う場合は背面給紙が必須でさらにスペースが必要という事を考えると、全てが前面から給紙出来るMFC-J904Nは使用時のスペースを考えるとかなりの差となる。コピーやファクス機能に一部TR8630aに無い機能があり、それらを重視する場合もMFC-J904Nというのも悪くない。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


PX-M885F
MAXIFY MB5430
MAXIFY MB5130
TR8630a
MFC-J904N