2022年春時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2022年5月16日公開)
モバイル・コンパクトプリンターといっても、大きく見ると違いがある。エプソンのPX-S06とキャノンのTR153はA4サイズまで印刷が可能で、バッテリー駆動が可能という製品だ。つまり、一般的なA4プリンターを持ち運べるようにした機種と言える。一方エプソンのPF-71は最大サイズがA5までであり、代わりに大型の液晶ディスプレイとメモリーカードスロットを搭載している。つまりL版や2L版の写真のダイレクト印刷を行うのがメインのプリンターと言える。価格もPX-S06が30,778円、TR153が30,250円、PF-71が21,978円となり、価格もばらつきがある。それぞれ、どういった用途に向いているのか見ていこう。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | ||
型番 | PX-S06 | PF-71 | TR153 | ||
製品画像 | |||||
実売価格(メーカーWeb/税込) | 30,778円 | 21,978円 | 30,250円 | ||
インク | 色数 | 4色 | 4色 | 5色 | |
インク構成 | ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
顔料ブラック 染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
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カートリッジ構成 | 黒独立、カラー3色一体 | 全色一体 | 顔料黒独立、染料4色一体 | ||
顔料/染料系 | 顔料 (つよインク200X) |
染料 (つよインク200) |
染料/顔料(黒) (ChromaLife100) |
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インク型番 | 82番 | 81番 | 19番 | ||
ノズル数 | 357ノズル | 720ノズル | 1856ノズル | ||
カラー:各59ノズル ブラック:180ノズル |
全色:各180ノズル | C/M:各512ノズル Y/染料BK:各256ノズル 顔料BK:320ノズル |
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最小インクドロップサイズ | N/A(3pl(MSDT)?) | 2pl(Advanced-MSDT) | N/A | ||
最大解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 4800×1200dpi | ||
高画質化機能 | − | − | − | ||
印刷速度 | L判縁なし写真(メーカー公称) | N/A | 30秒 | 44秒 | |
A4普通紙カラー(ISO基準) | 4.0ipm(AC電源) 4.0ipm(外付けバッテリー) 2.0ipm(内蔵バッテリー) |
N/A | 5.5ipm | ||
A4普通紙モノクロ(ISO基準) | 7.0ipm(AC電源) 7.0ipm(外付けバッテリー) 3.5ipm(内蔵バッテリー) |
N/A | 9.0ipm | ||
(税込) |
L判縁なし写真 | N/A | 26.8円 | 18.1円 | |
A4カラー文書 | 14.2円 | N/A | 14.1円 | ||
A4モノクロ文書 | 7.5円 | N/A | 7.2円 | ||
(カラー文書) |
ブラック | − | 250ページ | 200ページ | |
カラー | − | 200ページ | 260ページ | ||
(税込) |
ブラック:1,815円 カラー3色:1,309円 |
4色:4,400円 | 顔料ブラック:1,390円 染料4色:1,850円 |
まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。PX-S06は4色インク構成となる。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色である。全色顔料インクを採用するため、普通紙への印刷では用紙上でインクが広がりにくいため、クッキリした印刷が行え、小さな文字や中抜き文字がつぶれることもなく、文書中の画像などもメリハリが出るのが特徴だ。そのため、普通紙への印刷画質はかなり高いと言える。また、耐水性も高く、ぬれた手で触ったり、マーカーを引いてもにじまないというメリットもある。反面、写真印刷は苦手で、写真用紙に印刷しても光沢感が薄くなり、ポストカードのような半光沢になってしまう他、発色もそれほどよくない。また、最小インクドロップサイズが非公表ながら、前機種とPX-S05と同じ3plと予想されるため比較的大きく、インクも4色構成であるため、粒状感がある程度感じられ、写真印刷をうたうプリンターと比べると画質面では劣る。ただ、この点は細かく見なければ十分に写真印刷が行えるレベルではあるため、やはり問題になるのは発色と光沢感だろう。ちなみに、インクは「つよインク200X」でありアルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年である。光沢感が薄くなることさえ気にならなければ、写真を印刷した際の色あせなどの問題はクリアしている。とはいえ、やはり普通紙印刷主体のインク構成と言えるだろう。 一方、PF-71は同じく4色構成だが、写真印刷や年賀状印刷をメインと考えているため染料インクを採用する。最小インクドロップサイズも2plと比較的小さめだ。複合機の上位機種の6色で1.5plと比べると劣るが、印刷結果はそれほど劣るものではない。色の薄い部分で若干粒状感を感じる程度だ。また、染料インクであるため、用紙本来の光沢感が出る他、発色も良いため、写真印刷に非常に向いていると言える。また、インクも「つよインク200」を採用しており、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となるため、耐保存性も問題ない。一方で、普通紙への印刷はPX-S06と比べると高画質ではなく、耐水性もないが、あくまで顔料インクと比べた場合であり、一般的な用途であれば問題ないレベルだ。 最後にTR153だが、5色インクとなっている。内訳はブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色構成という点では他の3機種と同様だが、ブラックのみ染料インクと顔料インクの2種類を搭載しているため、5色という表現になっている。カラーは染料インクとなる。そのため、写真印刷時は染料インク4色の印刷となり、発色が良く、用紙本来の光沢感がでる印刷が行える。最小インクドロップサイズは非公開である。前モデルのPIXUS iP110では最小インクドロップサイズ1plで、最大解像度は9600×2400dpiだったが、ドットが小さすぎてべた塗り部分にムラが出るという事で、ドットが大きくなっている事から、2pl前後では無いかと予想される。染料インクは4色という点ではPF-71と同じなので、写真の印刷画質は似たレベルになる。複合機の最上位機種ほどでは無いが、十分に高画質な写真印刷が可能だ。一方で普通紙への文書印刷は顔料ブラックインクによってメリハリがある印刷が行える。普通紙印刷でメリハリがある印刷が行えるのは純粋な黒色部分だけでグレーは染料のカラーインクを重ねて表現する場合があり、また背景色があるなどカラーの中に混ざっている場合も染料ブラックが使われる場合があり、全ての黒色部分で顔料インクの恩恵が得られるわけでは無い点は注意が必要だが、文書の場合黒文字などが多いため、効果は高い。ただし、本格的にカラーの文書印刷をメインで考えるなら、PX-S06の様に全色顔料インクが望ましい。このように写真印刷、文書印刷の両方が綺麗に行えるインク構成となっている。インクは「ChromaLife100」で、アルバム保存100年となっており、アルバム保存年数でPX-S06やPF-71と比べると若干劣るが、大きな問題では無いだろう。だだし、耐光性や耐オゾン性に関する記載が無く、飾った場合などに色あせの面で劣る可能性がある。とはいえ、写真画質はPF-71とTR153が優秀、文書印刷画質はPX-S06が一番で、次いでTR153となる。 ちなみにインクカートリッジは、本体がコンパクトということもあり各色独立というわけにはいかない。PF-71は4色一体で、4色のうちいずれかが無くなると交換となる。黒も一体になっているが、元々写真印刷や年賀状印刷がメインの機種だけに、文書印刷ほど黒に偏るということは無いだろう。それよりも、インクが無くなった際に、どの色なのかを気にする事無く、インク切れ→インク交換という簡単さを重視していると思われる。PX-S06はブラックインクが独立、カラー3色が一体となっている。PX-S06は文書印刷の可能性も大きくブラックインクだけは独立した形となっている。TR153は顔料黒インクだけが独立しており、染料ブラックを含む染料4色が一体となる。文書印刷時は顔料ブラックを使用するため、これだけ独立し、染料ブラックを使用するのは写真やファイン紙へのカラー文書などの印刷の可能性が高く、カラーインクも一緒に使う可能性が高いため、こちらを一体型にした形となる。3機種とも各色独立では無いが、機種の使用目的に合ったカートリッジ構成になっていると言える。 印刷速度を見てみよう。まずは写真印刷速度である。PX-S06は写真の印刷速度は非公表だが、前機種PX-S05からプリント機能に変化は無いため、PX-S05の63秒と同等と考えられる。複合機の上位機種が13秒であることを考えると4倍以上かかる事になり遅めだ。最小インクドロップサイズは大きめではあるものの、ノズル数が少なく、特にカラーインクのノズル数が少ない事が原因だろう。また、普通紙向けのチューニングがなされているためと思われる。一方、染料インクを採用するPF-71は30秒だ。複合機の上位機種よりは遅いが、十分実用的な速度と言える。残るTR153は44秒とちょうど中間ぐらいの速度だ。画質的やインクの種類的には写真印刷が行える機種だけに、遅めなのは残念と言える。ノズル数は1856ノズルだが、キャノンの複合機で同じインク構成のPIXUS TS6330の4096ノズルと比べると半分以下しか無いため、遅くなったと思われる。 一方、A4普通紙への文書印刷速度を見てみよう。A4サイズのプリントできるPX-S06とTR153のみ、速度が公表されている。PX-S06ではカラーが4.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが7.0ipmとなっている。これはAC電源またはオプションの外付けバッテリー駆動時で、内蔵バッテリー駆動の場合はそれぞれ半分となる。据え置き型の顔料4色のプリンターPX-S740ではそれぞれ10ipmと19ipmであることを考えるとかなり遅めと言える。一方、TR153はそれぞれ5.5ipmと9.0ipmでPX-S06よりは少し速めだが、それでも据え置き型の機種と比べると遅めだ。いずれにしても、コンパクトな機種であるため、印刷速度はある程度妥協しなければならないといえる。 印刷コストを見てみよう。L判写真印刷を見ると、PX-S06は非公表だがPX-S05と同じだとすると28.7円、PF-71が26.8円なのに対して、TR153が18.1円とかなり安い。PF-71は4色一体カートリッジで価格が高いため印刷コストが高く、またPX-S06は顔料インクであるため写真用紙への印刷コストは高くなってしまう。その点でTR153は一般的な複合機並の印刷コストを実現しており、写真印刷も安心と言える。一方文書の印刷速度だが、A4カラーでPX-S06が14.2円、TR153が14.1円とほぼ差は無い(PF-71はA5までの対応なので印刷コストは未公表)。A4モノクロもPX-S06が7.5円、TR153が7.2円でこちらもほぼ差は無い。A4カラー文書に関しては写真印刷とは傾向が異なるのは確かだ。元々PX-S06は文書向けの顔料インクを搭載しているため、写真印刷と比べると安くなり、TR153と同レベルになったと言える。1000枚印刷して、カラーで100円、モノクロで300円の差なので、文書印刷メインなら印刷コストの差は無いと考えても良いだろう。 |
型番 | PX-S06 | PF-71 | TR153 | ||
製品画像 | |||||
対応用紙サイズ | 名刺〜A4 フチなし印刷はL判/KG/ハガキ/ハイビジョン/名刺のみ |
カード・名刺〜A5・2L判 | 名刺〜A4 | ||
給紙方向 (セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
○ (20枚/5枚/5枚) |
○ (50枚/20枚/20枚) (0.6mm厚紙対応) |
○ (50枚/20枚/10枚) |
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前面 | − | − | − | ||
その他 | − | ○(60mm幅ロール紙) | − | ||
排紙トレイ自動開閉 | − | − | − | ||
用紙種類・サイズ登録 | ○(用紙差し込み連動) | ○(用紙差し込み連動) | ○(用紙差し込み連動) | ||
用紙幅チェック機能 | − | − | − |
続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は、PX-S06とTR153が最大A4サイズまでとなる。最小サイズは名刺サイズであるため、名刺サイズの用紙に直接印刷が可能で、印刷後に切り取る手間がない他、フチなしデザインも作りやすい。ただしPX-S06はフチなし印刷が行えるのはL判、KG、ハガキ、ハイビジョン、名刺サイズのみで、たとえばA4用紙にフチなし印刷はできない。フチなしデザインのポスターや背景色のあるチラシなど、大きなサイズの用紙でフチなし印刷しようと思う場合はTR153しかできない点は注意が必要だ。用紙のセットはいずれも背面となる。PX-S06はA4普通紙で20枚、はがき・写真用紙は5枚と、据え置き型のプリンターと比べるとかなり少なめだ。携帯性を重視した結果と言える。一方TR153はA4普通紙で50枚、はがきで20枚、写真で10枚となり、据え置き型よりは少ないが、PX-S06よりはかなり多い。印刷枚数が多い場合はこちらの方が便利だ。このあたりも機種を選ぶ上での決め手の一つとなるだろう。一方PF-71は写真やハガキ印刷やがメインの機種であるが、一般的なものよりやや大きめの2L版までの写真用紙に対応する。また、普通紙への印刷も可能でA5サイズまで印刷可能なので、A4の半分だが、Webページや文書の印刷が行える。最小サイズは名刺・カードサイズなので、名刺を手軽に印刷することもできる。また、PF-71は0.6mm厚までの用紙に対応しているため、写真店に依頼した年賀状のような写真を貼り合わせたハガキや厚紙などにも対応できる。さらに、PF-71は60mm幅のロールシール用紙を後方につけることが可能で、そうするとパノラマ写真などのシールの印刷も行える。他機種には無い機能と言える。セット可能枚数はA5普通紙で50枚、はがき・写真用紙で20枚とTR153並となっており、コンパクトな割には給紙枚数は多めだ。 3機種ともセットした用紙の種類とサイズを登録する機能を備えている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、用紙をセットした際に自動的に確認画面が表示されるため(表示されないようにも出来る)、異なる用紙をセットした場合は変更する。すると、印刷時に設定と異なった場合に警告メッセージを表示してくれる。用紙とインクの無駄が出ないよう細かな配慮がなされている。 |
型番 | PX-S06 | PF-71 | TR153 | ||
製品画像 | |||||
自動両面印刷 | − | − | − | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 | − | − | − | ||
写真補正機能 | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(自動写真補正) | ||
特定インク切れ時印刷 | ○(黒だけでモード・5日間のみ) | − | ○(○(インクカートリッジ選択/ブラック合成モード)) | ||
自動電源オン/オフ | −/○ | ○/○ | ○/○ | ||
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続 | ○/− | −/− | −/− |
その他、プリントの付加機能を見てみよう。コンパクトな本体であるため、自動両面印刷やCD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能は搭載していない。一方で写真印刷時に写真を自動補正する機能は3機種とも備えている。エプソンの2機種が備える「オートフォトファイン!EX」は顔を自動判別し、シーンに合った補正をするもので、逆光写真や色かぶりも自然に補正してくれる。一方TR153の備える「自動写真補正」も顔を自動検出し、顔とそれ以外の部分の露光状態を別々に解析して、それぞれに合った明るさに補正してくれる。3機種とも高精度で自動補正が行われるのは安心である。 インクが切れた場合の対応だが、PX-S06は「黒だけでモード」を搭載している。カラーインクが無くなってもモノクロ印刷を継続できる機能だが、あくまでカラーインクを購入するまでの間も印刷を継続できるという機能なので、5日間限定となる。プリンター本体にも負担をかけるため、あくまで緊急時に限られる。一方TR153は、黒インクが無くなった際に、カラーインクを使って黒を表現する「ブラック合成モード」と、常時設定可能な「使用するインクカートリッジを選択する」機能を搭載する。染料4色カートリッジと、顔料ブラック(PGBK)のカートリッジがあるが、「両方(標準)」「PGBK(ブラック)以外」「PGBK(ブラック)のみ」から選択できる。ただし、用紙設定で顔料ブラックを使えない用紙を選択した場合は、設定に関わらず染料4色を使って印刷する。更にインクカートリッジを外した状態で動作するわけではなく、電源を切ると「両方(標準)」に戻るため、「モノクロプリントしか行わないので、カラー(染料4色)カートリッジを外したままで使う」という様なことはできない。 設定した時間で自動で電源をオフにする機能は3機種とも搭載する。一方、プリントが実行されると自動的に電源がオンになる機能はPF-71とTR153が搭載している。無線LAN(Wi-Fi)接続に対応しているため、スマートフォンやパソコンからのワイヤレスプリントを行う場合にわざわざプリンターの置いてある場所まで電源を入れに来る手間が無く、印刷を実行すると自動で電源が入り、印刷が行われるため、あとは印刷が終わった頃に取りに行くだけという便利さだ。 一方、PX-S06の特徴的な機能として交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)に対応している事がある。メンテナンスボックスとはクリーニング時に排出される廃インクを貯めるもので、満タンになると通常は修理に出して交換する必要があり、プリンターが使えない期間が発生し、交換費用もそれなりに掛かってしまう。しかしPX-S06はユーザー自身で簡単に交換できるようになっている。交換用のメンテナンスボックスはインクカートリッジと共に店頭やネットなどで販売されており(528円)、メンテナンスボックス残量はインク残量と共に確認ができるため、少なくなってきたら購入しておくと良いだろう。持ち出し先で突然廃インクタンクが満タンという警告が出ても、使用できない期間の発生を防ぐことができるこの機能はうれしいところだ。 |
型番 | PX-S06 | PF-71 | TR153 | ||
製品画像 | |||||
ダイレクトプリント | メモリーカード | − | SD | − | |
USBメモリー | − | ○ (外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) |
− | ||
赤外線通信 | − | ○ | − | ||
対応ファイル形式 | − | JPEG | − | ||
色補正機能 | − | トリミング フチあり/フチなし 赤目補正 シャープネス フィルター(モノクロ/セピア) |
− | ||
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ | − | ○/○ | − | ||
PictBridge対応 | − | ○(USB/Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | ||
各種デザイン用紙印刷 | − | − | 定型文書プリント (10MB×5件・プリントデーターとして保存) |
ダイレクト印刷機能を見てみよう。メモリーカードからのダイレクトプリントはPF-71のみ対応している。対応メモリーカードはSDカードのみとなるが最近ではSDカードに統一されてきているので問題ないとも言える。さらに、SDカードだけでなくUSBメモリーからの印刷や赤外線通信による印刷に対応している。USBメモリー対応は、他の人からUSBメモリーに入れて写真を受け取った場合などに重宝するが、USBメモリーだけで無く、外付けHDDや外付けDVDドライブにも対応する。CD-RやDVD-Rにバックアップした写真をパソコンなしでプリントしたり、写真店などでCD-Rなどに入れてもらった写真を印刷したりも可能だ。赤外線通信はガラケーからの写真印刷に用いる。PictBridgeにも対応おり、様々なメディアからのダイレクト印刷に対応している。 ダイレクト印刷時はフチあり・フチなしの選択と赤目補正機能は当然として、一部を拡大して印刷するトリミング機能の他、シャープネスの調整や、セピア調やモノクロのフィルターにも対応しており単体でも様々な設定ができるようになっている。さらにSDカードの内容を、USBメモリーや外付けHDDにバックアップする機能も搭載しており、パソコン無しでもプリントからバックアップまで一通り行える点では便利だ。 一方、TR153は外部メディアからの印刷機能は搭載されていないが、内蔵メモリーに登録した文書を単体で印刷できる「定型文書プリント」機能を搭載する。1文書あたり10MBまでのデーターを5つ保存できるため、相手に手書きで記入してもらう申込書類や問診票、カタログなどのデーターをその場で印刷できる。保存するデーターは、プリントデーターとして保存される。通常は画像やWord、Excel、PDFなどの形式の文書ファイルが一般的だが、汎用形式のPDFですら、開けなかったり、レイアウトが崩れたりする。WordやExcel形式では特にそういったことが起こりやすい。しかし、TR153では、パソコン上でプリントを実行し、「TR153でプリントするデーター形式」に変換してTR153に転送した時点のデーター、つまりプリントする直前のデーターを保存する。そのためパソコン上からプリントしたのと一切変わらない他、元のデーター形式は問わないため、特殊なソフトウェアや、自社でしか使わないオリジナルソフトで作成したデーターでも通常のプリント操作さえできれば何の問題も無い。印刷する際に「定型文書としてプリンターに保存」にチェックを付け、保存先を1〜5から選び保存名を入れるだけだ。他機種にはない便利な機能だといえる。 |
型番 | PX-S06 | PF-71 | TR153 | ||
製品画像 | |||||
スマートフォン連携 | アプリ | メーカー専用 | EPSON iPrint | EPSON iPrint | Canon PRINT Inkjet/SELPHY |
AirPrint | ○ | ○ | ○ | ||
対応端末 | iOS 11.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 11.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 13.0以降 Android 5.0以降 |
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スマートスピーカー対応 | ○(Alexa/Googleアシスタント) | − | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | ||
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 | ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | − | − | ||
写真プリント | ○ | ○ | ○ | ||
ドキュメントプリント | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
Webページプリント | ○ | ○ | ○ | ||
クラウド連携 | プリント | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | ○/− |
オンラインストレージ | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ||
SNS | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | ||
写真共有サイト | − | − | ○(googleフォト/image.canon) | ||
メールしてプリント | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | − | ||
LINEからプリント | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | − | ||
リモートプリント | ○ | ○ | − | ||
スキャンしてリモートプリント | − | ○(受信のみ) | − |
スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。3機種ともiOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。一方、ドキュメント印刷の場合、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(TR153の名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、両機種とも手軽に接続出来る工夫がなされている。PX-S06は、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から選んで、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定はより簡単になっている。使う機会は限定されるとはいえ、少しでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。 また、PX-S06とTR153はスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。TR153はLINE Clova対応端末にも対応する。2019年12月現在でPX-S06は、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどとなる。TR153はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものと、プリンターの状態の確認が行える。 クラウドとの連携機能も3機種とも搭載されており、オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真をコメント付きで印刷する事ができる。またTR153は写真共有サイトからの印刷も可能だ。いずれもスマートフォンのアプリ上からの操作となり、プリンター本体のみでクラウドからプリントする事はできない。 さらにリモートプリント機能として、PX-S06とPF-71は印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動的にプリントされる「メールプリント」機能と、LINEで友達登録しトーク画面上で画像や文書ファイルを送ると自動的にプリントされる「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のPX-S06/PF-71で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。さらにPF-71はスキャンしてリモートプリントの受信にも対応しているPF-71はスキャナーを搭載しないため、送信はできないが、同機能に対応した複合機でスキャンして離れた場所のPF-71で印刷する事ができる。簡易ファクスのような使い方ができるわけだ。両機種ともネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。 |
型番 | PX-S06 | PF-71 | TR153 | ||
製品画像 | |||||
液晶ディスプレイ | 1.44型 | 2.7型 (角度調整可) |
1.44型有機EL (モノクロ) |
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操作パネル | 物理ボタン式 | 物理ボタン式 | 物理ボタン式 | ||
インターフェイス | USB他 | USB2.0×1 (MicroUSB) |
USB2.0×1 (MicroUSB) |
USB2.0×1 (Type-C) |
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無線LAN | IEEE802.11ac/a/n/g/b (5GHz帯対応) (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/a/g/b (5GHz帯対応) (ダイレクト接続対応) |
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有線LAN | − | − | − | ||
電源 | AC電源 内蔵バッテリー 外付けバッテリー(別売)USB(1.5A未満は充電) |
AC電源 | AC電源 外付けバッテリー(別売) USB(充電のみ) |
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バッテリー | バッテリー駆動 | ○(内蔵/外付け(オプション)) | − | ○(外付け(オプション)) | |
印刷可能枚数 | 【内蔵バッテリー】 100枚(モノクロ) 50枚(カラー) 【外付バッテリー】 740枚(モノクロ) 360枚(カラー) |
− | 330枚(USB) | ||
充電時間 | 【内蔵バッテリー】 2.5時間(AC電源/USB 1.5A) 10時間(USB 0.5A) 【外付バッテリー】 2.5時間(AC電源) |
− | 2時間20分(AC電源) 5時間(USB 1.5A) |
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対応OS | Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP1 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.11.6〜 (AirPrint利用) |
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耐久枚数 | 1.5万枚 | N/A | 1.5万枚 | ||
外形寸法(横×奥×高) | 309×156×61mm (外付けバッテリー装着時:309×184×61mm) |
249×176×85mm | 322×185×66mm (外付けバッテリー装着時:322×210×66mm) |
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重量 | 1.7kg (外付けバッテリー装着時:2.0kg) |
1.9kg | 2.1kg (外付けバッテリー装着時:2.3kg) |
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本体カラー | ブラック/ホワイト | ホワイト | ブラック |
操作パネルと液晶ディスプレイを見てみよう。PX-S06は1.44型の液晶ディスプレイと操作ボタンを搭載している。液晶ディスプレイは小さいが本体サイズを考えれば仕方の無いことで、エラーメッセージやインク残量確認、各種設定などが行えるため、有ると無いとでは大違いである。カラー表示であるためグラフィカルな表示もでき、比較的見やすいといえる。PF-71は2.7型の液晶ディスプレイと操作ボタンを搭載している。コンパクトモデルにしては液晶ディスプレイが大きく、角度調整も可能であるため見やすい。メモリーカードからのダイレクト印刷時に、写真を選ぶのに使用するため大きい方が使いやすい。TR153も1.44型の液晶ディスプレイと操作ボタンを搭載するが、こちらは有機EL液晶である。黒地に白文字で、クッキリとした表示だが、モノクロ表示であるため、PX-S06と比べると見にくい印象だ。とはいえ、エラーメッセージやインク残量確認、各種設定に重宝する。 インターフェースは3機種ともUSB2.0に対応している他、無線LANにも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。屋外でもモバイルルーターを使用している場合もあるだろう。そういった場合に複数のパソコンからでもワイヤレスでプリントできるのは非常に便利だろう。またネットワーク接続をすればスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(TR153は名称はダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ただし、無線LANの機能には違いがある。PF-71は一般的なIEEE802.11n/g/bに対応しており、2.4GHz帯のみ対応だ。それに対して、TR153ではIEEE802.11aにも対応しており、IEEE802.11n/a使用時は5GHz帯も使用可能だ。2.4GHz帯はBluetoothやワイヤレスマウス、電話の子機などと同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすい。その点5GHz帯は無線LAN専用で、電波干渉によって不安定になる心配が無い。PX-S06はこれに加えてIEEE802.11acにも対応する。IEEE802.11ac/n/a使用時は5GHz帯を使用できる。IEEE802.11acはIEEE802.11nと比べて通信速度が圧倒的に高速で、最近ではスマホやパソコンもほぼ対応しているので、より高速に通信できる。もちろん5GHz帯に対応するので電波干渉が起きにくい。このように、無線LANの機能には差があるが、持ち出して使うと思われるPX-S06とTR153は、電波干渉が多い場所で使う可能性もあり、5GHz帯の通信に対応しているのは大きなメリットだ。ちなみに、PX-S06とPF-71のUSBコネクターはMicroUSB、TR153はType-Cとなっており、据え置き型のプリンターとは異なるので、ケーブルには注意が必要だ。 対応OSを見てみよう。PX-S06とPF-71はWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、TR153はWindows 7 SP1/8.1/10/11のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSも10.11.6以降となっているだけでなく、専用ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。 本体の耐久枚数は、PX-S06とTR153が1万5000枚、PF-71は非公開である。しかし、一般的な家庭用プリンターが1万〜1万5000枚である事を考えると、PX-S06とTR153が特段、高耐久というわけではない。むしろビジネス向けの機種には5万や10万、20万枚という機種もある中で、同じビジネス向けに属するものの、高耐久にはなっていないと言うことを示していると思われる。 それではバッテリー駆動と充電・給電について見ていこう。一番シンプルなPF-71はバッテリー駆動は出来ず、付属のACアダプターからの給電での動作のみだ。一方、PX-S06とTR153は「モバイル」プリンターだけあって、バッテリー駆動が行える。PX-S06は小型のバッテリーを内蔵しており、これだけでカラー100枚、モノクロ50枚の印刷が可能だ。さらにオプションの外付けバッテリーを取り付ければ、モノクロが740枚、カラーが360枚の大量印刷が可能になる。内蔵バッテリーの場合、印刷速度は半分になるが、外付けバッテリーの場合はAC電源駆動と同じ速度となる。一方TR153は内蔵バッテリーを持たず、オプションの外付けバッテリーのみ対応する。USB接続で330枚のプリントが可能となっている。PX-S06の外付けバッテリーは9,980円、TR153の外付けバッテリーは、アタッチメントセットで9,800円、バッテリーだけで8,900円となる。バッテリーでの印刷枚数がそれほど多くないなら、内蔵バッテリーが使用できて追加コストの無いPX-S06が便利だ。 ではプリンター本体への給電と、バッテリーへの充電はどう言った方法が用意されているのだろうか。まず付属のACアダプターでの給電はもちろん可能だ。さらに、PX-S06はUSB給電も可能だ。1.5A以上が必要なので、パソコンのUSBポートでの給電は難しく(USB Power Delivery対応ポートなら可能性はあるが不明)、スマートフォン用の充電器やモバイルバッテリーからの給電という事になるだろう。では、バッテリーへの充電はどう言った方法があるのだろうか。PX-S06とTR153は共にACアダプターからの充電に加えて、USB充電にも対応する。ただし、PX-S06は内蔵バッテリーへはUSB充電が可能だが、外付けバッテリーはAC電源のみだ。充電時間は、AC電源の場合、PX-S06の内蔵バッテリーは2.5時間、外付けバッテリーも2.5時間、TR153は2時間20分となっており、ほぼ同等だ。なおPX-S06の場合、内蔵バッテリーへ5分充電するとモノクロ4枚、カラー2枚のプリントが、外付けバッテリーへ20分充電すれば、モノクロ100枚、カラー50枚のプリントが可能となり、急な電池切れでも短時間充電でもある程度使用できる。一方、USB充電の場合、PX-S06の内蔵バッテリーへは1.5A出力で2.5時間、0.5A出力で10時間となる。TR153の外付けバッテリーへは、1.5A以上の出力が必須で5時間となる。外付けバッテリーへもUSB充電が出来るTR153の方が便利そうだが、PX-S06にも便利な点がある。それが外付けバッテリーに直接、PX-S06用のACアダプターを接続して充電が可能と言う事だ。つまり、外付けバッテリーで駆動させつつ、予備のバッテリーを充電しておく事が可能なのだ。例えば、近くにコンセントはあるが、使う場所からは少し離れている場合、外付けバッテリーを使い切った場合、予備のバッテリーと交換、又は内蔵のバッテリーで動作させつつ、ACアダプターをバッテリーに直接接続して充電する方法が採れる。内蔵バッテリーだけでは不安な場合、モバイルバッテリーから充電もさせつつ使うのもありだ(ただし、プリント中は充電が止まる)。一方TR153の場合も、予備のバッテリーを用意しておく事もできるが、本体に取り付けないと充電が出来ないため、予備のバッテリーに交換後は、使い切ったバッテリーを充電することが出来ない。同じくコンセントが少し遠い場合、モバイルバッテリーを用意しておき、接続しながら使うことで、外付けバッテリーを使いながら同時に充電でき(ただしプリント中は充電が止まる)、印刷枚数を伸ばすことは可能だ。 このように、充電・給電に関してはそれぞれに特徴があり複雑な状況だ。PX-S06の方が、バッテリーで印刷する枚数が少ない場合は、内蔵バッテリーだけでも使え、一方でバッテリーで長時間使う場合は、バッテリー単体で充電できるため2つ用意しておき、一方を使いつつ、もう一方を充電できる点で、バッテリーでの使用頻度が多い人にも少ない人にも便利だと言えるだろう。 本体サイズは、PX-S06が309×156×61mmで1.7kg、TR153が322×185×66mmで2.1kgと、PX-S06の方が一回り小さく、2割程度軽い。外付けバッテリー装着時は、PX-S06は奥行きは184mmとなり重量は2.0kg、TR153奥行きが210mmとなり重量は2.3kgとなる。これを見ると、PX-S06で外付けバッテリーを装着した状態でも、TR153のバッテリーを装着しない状態よりコンパクトで軽量だ。バッテリーでの使用がメインならPX-S06の方がモバイル性は高い。残るPF-71は249×176×85mmで、対応する用紙が小さいため横幅は小さい上に高さがあるため、ずんぐりした印象だが、重量は1.9kgと意外とある事が分かる。 このように、モバイル・コンパクトプリンターと言っても、そのサイズやコンセプトはそれぞれ異なる。A4サイズまでのプリントが必要だったり、バッテリー駆動が必要ならPX-S06かTR153から選ぶことになる。どちらもコンパクトではあるが、よりコンパクトなPX-S06がおすすめだ。バッテリーを内蔵しているため、いざという時に便利な上に、外付けバッテリーを装着しても、TR153より小さく軽量だ。バッテリー単体で充電できるなど、モバイル使用時の利便性は高い。ただしインクが顔料インクというのをどう考えるかである。もちろん普通紙への文書印刷ならば顔料インクのPX-S06の方が良い。しかし写真用紙などへの印刷も考えているなら染料インクを採用したTR153の方がおすすめだ。また印刷枚数が多い場合もセット可能枚数の多いTR153が便利だろう。モバイルプリンターではある両者だが、モバイルがメインならPX-S06が、自宅に置いてコンパクトなプリンターとしても使うことを想定するならTR153がオススメと言える。残るPF-71だが、自宅に置いて使うが写真印刷や年賀状印刷を行うだけなので、コンパクトなプリンターがほしいという人向けだ。SDカードからのダイレクトプリントを行いたい場合もPF-71となるだろう。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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