2022年春時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2022年9月9日公開)
低印刷コストをうたうエプソンの「エコタンク」方式の機種は、年々機種数を増やしバリエーションも様々になってきている。その中で、ファクス機能を搭載していない4機種を比較する。写真印刷向けの機種から、文書印刷向けの機種もあるし、低印刷コストにこだわった機種と、インクボトル自体の価格にこだわった機種もある。単に印刷枚数が多い家庭だけでなく、印刷枚数が多いと言われる大学生が入学と同時に購入したり、テレワークや、商店や小規模オフィスでファクス機能を必要としない場合など、様々な場面で使われる。EW-M873T(66,000円)が最も高く、EW-M754T(44,550円)とEW-M634T(41,250円)は価格が近く、EP-M553T(33,500円)最も安く、EW-M873Tの約半額だ。どう言った機能の差があり、どう言った用途に向いているのか詳しく見ていこう。 |
型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() | ![]() ![]() |
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実売価格(メーカーWeb/税別) | 66,000円 | 44,550円 | 41,250円 | 33,500円 | ||
インク | 色数 | 6色 | 5色 | 4色 | 4色 | |
インク構成 | マットブラック(顔料) フォトブラック(染料) シアン マゼンタ イエロー グレー |
マットブラック(顔料) フォトブラック(染料) シアン マゼンタ イエロー |
ブラック(顔料) シアン マゼンタ イエロー |
フォトブラック(染料) シアン マゼンタ イエロー |
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カートリッジ構成 | エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オンキャリッジ式) |
エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オンキャリッジ式) |
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顔料/染料系 | 染料(黒+カラー)/顔料(黒) (つよインク) ClearChrome K2 Plus |
染料/顔料(黒) (つよインク) |
染料(カラー)/顔料(黒) (アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年) |
染料 (つよインク) |
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インク型番 | トビバコ | ケンダマ(顔料) タケトンボ(染料) (増量/使い切りサイズ) |
ヤドカリ(顔料) ハリネズミ(染料) |
タケトンボ (増量/使い切りサイズ) |
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付属インクボトル | インクボトル各色1本 | セットアップ用インクボトル各色1本 | インクボトル各色1本 | セットアップ用インクボトル各色1本 | ||
ノズル数 | 1080ノズル | 900ノズル | 784ノズル | 720ノズル | ||
各色180ノズル | 各色180ノズル | カラー:各128ノズル 黒:400ノズル |
各色180ノズル | |||
最小インクドロップサイズ | N/A(1.5pl?) (AdvancedMSDT) |
N/A(1.5pl?) (AdvancedMSDT) |
3.3pl (MSDT) |
N/A(1.5pl?) (MSDT) |
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最大解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 4800×1200dpi | 5760×1440dpi | ||
高画質化機能 | − | − | PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi) | − | ||
印刷速度 | L判縁なし写真(メーカー公称) | 19秒 | 25秒 | 75秒 | 33秒 | |
A4普通紙カラー(ISO基準) | 12.0ipm | 9.0ipm | 8.0ipm | 6.0ipm | ||
A4普通紙モノクロ(ISO基準) | 16.0ipm | 12.0ipm | 15.0ipm | 6.0ipm | ||
(税別) |
L判縁なし写真 | 7.6円 | 増量:9.5円 使いきり:9.8円 |
6.5円 | 増量:9.3円 使いきり:9.6円 |
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A4カラー文書 | 1.8円 | 増量:3.0円 使いきり:3.2円 |
1.0円 | 増量:3.0円 使いきり:3.2円 |
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A4モノクロ文書 | 0.7円 | 増量:1.3円 | 0.4円 | 増量:1.3円 | ||
(カラー文書) |
顔料ブラック | 6,700ページ | 使いきり:1,100ページ 増量:4,000ページ |
7,500ページ | − | |
染料ブラック | 7,300ページ | 使いきり:1,100ページ 増量:4,000ページ |
− | 使いきり:600ページ 増量:2,200ページ |
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カラー | 6,200ページ | 使いきり:各1000ページ 増量:各3,700ページ |
6,000ページ | 使いきり:各1000ページ 増量:各3,700ページ |
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(税込) |
顔料ブラック | 2,046円 | 使いきり:660円 増量:2,200円 |
2,365円 | − | |
染料ブラック | 2,046円 | 使いきり:660円 増量:2,200円 |
− | 使いきり:660円 増量:2,200円 |
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カラー | 各2,046円 | 使いきり:各660円 増量:各2,200円 |
各1,265円 | 使いきり:各660円 増量:各2,200円 |
まず、エコタンク方式について説明しよう。従来のプリンターはプラスチックのケース内にインクが入っているインクカートリッジを使用しており、インクが無くなるとインクカートリッジごと交換する形となっていた。それに対してエコタンク方式は、本体にインクタンクを内蔵しており、インクボトルからインクを補充して使用する形となる。インクボトルはインクカートリッジに対してかなり大容量になっている一方、価格は抑えられているため、印刷コストが圧倒的に安く、機種によってはカートリッジ方式の10分の1から15分の1程度になる。ただ、プリンターの場合、本体価格と印刷コストは反比例となっており、印刷コストが安い分本体価格は高めだ。つまり、本体価格(イニシャルコスト)と、これから先に購入するインク代(ランニングコスト)を合わせて考える必要があり、ある程度印刷枚数が多く、本体価格の高さの元が取れるユーザー向けの機種と言える。 ではプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。インク色数は、EW-M873Tが6色、EW-M754Tが5色、EW-M634TとEP-M553Tが4色なので3種類に分けられそうだが、実際にはEW-M634TとEP-M553Tは同じ4色でも異なる構成なので、4機種ともバラバラという事になる。最も色数の多いEW-M873Tの場合、顔料ブラック(名称上はマットブラック)と染料ブラック(同フォトブラック)の2種類のブラックインクに加えて、染料のシアン、マゼンダ、イエロー、グレーインクを搭載している。EW-M754Tはここからグレーインクを省いた構成だ。さらにEW-M634Tは、EW-M754Tから染料ブラックを省いた4色構成だ。逆に顔料ブラックを省いた4色構成がEP-M553Tだ。つまり、EW-M873T、EW-M754T、EW-M634Tはいずれも顔料ブラックインク+残りが染料インクという構成だが、EP-M553Tは全色が染料インクとなっている。
ここで、染料インクと顔料インクの話が出てきたが、どう言った違いがあるのだろうか。染料インクは写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いているインクだ。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。その点で顔料インクは紙の表面で定着するため、普通紙にもメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。とは言え全色を顔料インクとすると写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れ半光沢のようになってしまう。また光沢年賀状をはじめとする光沢紙やフィルム用紙、アイロンプリント紙など一部に顔料インク非対応の用紙もある。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。 それでは写真印刷や年賀状印刷の画質を見てみよう。写真印刷といっても印刷内容が写真かどうかではなく、写真用紙に印刷するかどうかだ。それ以外にもインクジェットハガキや光沢紙、ファイン紙など普通紙以外に印刷する場合の画質である。普通紙以外は前述のように染料インクを使うことになる。EW-M754TとEP-M553Tは染料インクだけ見ると4色で同等だ。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色のみだが、十分に綺麗にプリントが可能だ。一方、EW-M873Tは、この4色に加えてグレーインクを搭載した5色となっている。暗い色の表現にグレーをベースにすることで、ドットが目立つブラックインク使わずに表現できるため、より粒状感を低減できる。またEW-M754TやEP-553Tでは、モノクロ印刷やカラーでもグレーの部分はカラーインクを重ねて表現するが、どうしても青白くなるなど綺麗なグレーにならない。その点でEW-M873Tではグレーインクが使えるため、綺麗なグレーとなり、全体的に色合いが崩れずに印刷できる。ただ、EW-M754TやEP-M553TとEW-M873Tの間に大きな差があるかと言われると、そこまでの差ではない。少しでも高画質な方が良いならEW-M873Tだが、スナップ写真を印刷する程度ならEW-M754TやEP-M553Tでも十分だ。それに対して、EW-M634Tは染料インクはシアン、マゼンダ、イエローのみでブラックインクが無い。黒色の表現はカラー3色を重ねて表現するが、どうしても完全な黒にはならず濃い茶色や濃いグレーになってしまう。全体にコントラストが低く感じられる他、夜景や影部分の表現など、暗い色の中の表現力で劣る。EW-M873TとEW-M754T/EP-M553Tとの差より、EW-M754T/EP-M553TとEW-M634Tの差の方が圧倒的に大きい。全く写真が印刷できないわけではないが、画質はかなり妥協が必要になる。 それは写真の画質を決める上でもう一つ重要な「最小インクドロップサイズ」にも現れている。インクのドットの大きさで、小さいほどドットが目立たず、粒状感(ザラザラした感じ)の少ない滑らかなプリントとなる。4機種とも最小インクドロップサイズはカタログや公式ページでは書かれていないが、実際にはEW-M634Tを除く3機種は1.5pl、EW-M634Tは3.3plとなる。ドットの大きさに倍以上の違いがあり、これも画質に大きく影響する。EW-M634Tは黒のコントラストが弱く、粒状感が強くなってしまう。対してEW-M634T以外の3機種は1.5plと非常に小さいことから、粒状感をほぼ感じないプリントが可能だ。細かく見れば、EW-M873TとEW-M754Tは5つのサイズのドットを打ち分けるAdvanced MSDT対応なのに対して、EP-M553Tは3つのサイズのドットを打ち分けるMSDT対応なので、べた塗り部分の処理には微妙な違いはあるだろうが、目で見て分かるほどではないだろう。ちなみにEW-M634TもMSDTに対応している。また、写真の耐保存性の面でも違いがある。EW-M634T以外の3機種は「つよインク」という名称のインクとなっており、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年をうたっている。かなり耐保存性の高いインクであり、さすがに写真印刷向けの3モデルといえるだろう。それに対してEW-M634Tはインクに名称がなく、アルバム保存こそ300年で同等だが、耐光性7年、耐オゾン性2年という点で劣る。写真を飾る場合は色あせが早くなってしまう。このように明らかに写真印刷を意識したEW-M873T、EW-M754T、EP-M553Tと、逆の方向性のEW-M634Tと言えるだろう。 ちなみに、EW-M754T/EP-M553Tと画質面では大きな差がないようなEW-M873Tだが、実はもう一つ有利な点がある。それが、展示するような「写真作品」を印刷する場合だ。写真作品の印刷にはコットンベースのアート紙などがよく使われるが、これには顔料インクの方が適している。EW-M873Tでは、アート紙にプリントする際に顔料ブラックを使用する事が可能で、よりクッキリした印刷が行える。EW-M754Tも顔料ブラックを搭載するものの、アート紙では利用できない。スナップ写真だけで無く写真作品印刷にまで考えればEW-M873Tがベストだ。また、本体の機能の違いではないが、パソコンから写真印刷を行う場合は「Epson Photo+」という写真印刷が簡単に行えるソフトウェアが付属しているが、EW-M873Tはプロ向けのプリンターに付属するのと同じのソフトウェア「Epson Print Layout」も付属している点も違いだ。余白の大きさや割り付けの自由度が高い他、フレームを写真で包んで立体的に仕上げるギャラリーラップにも対応しており、他社製の用紙を利用する場合に、ICCプロファイルと用紙設定の組み合わせを登録できるなど、写真作品印刷がより高度に行える。単体でも起動できるが、PhotoshopやLightroom、ViewNX-i、SILKYPIXのプラグインとして、各ソフトウェアから呼び出して使用する事もできるなど、かなり高性能だ。この点でもEW-M873Tは写真作品印刷に向いていると言える。 一方、文書の印刷画質を見てみよう。こちらも印刷内容が文書という意味ではなく、普通紙への印刷画質である。文書中の写真やイラストなどの画質もこちらとなる。普通紙への印刷は、前述の通り顔料インクが有利だ。EW-M873T、EW-M754T、EW-M634Tは顔料ブラックを搭載しているのに対して、EP-M553Tは全色染料インクとなり顔料インクは搭載しない。その点で、EW-M873T、EW-M754T、EW-M634Tは普通紙への黒の印刷はメリハリがある印刷が行える。ただ顔料インクはブラックだけなので、黒色部分しかこの恩恵は得られない。また、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のグレーインクを使ったりカラーインクを重ねて作り出す場合があり、背景色があるなど、カラーの中に黒が混ざっている場合も染料インクを使う場合があり、必ずしも全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。一方、EP-M553Tも染料インクでは色が沈みがちな普通紙への印刷時にも写真が綺麗に印刷できるようになっている他、細線強調機能や文字クッキリ機能などを搭載し、ドライバーレベルで、染料インクながら普通紙印刷の画質を向上している。文書やコピーでは写真印刷ほど画質にこだわることは少ないと思われるため、ちょっとしたコピーやWebページなどのプリント程度であればEP-M553Tでも十分実用的なレベルと言えるが、コピーや普通紙への印刷も良く使う、文字が少しでも読みやすい方が良いというのであればEW-M873T、EW-M754T、EW-M634Tの方が良いだろう。また、写真印刷とは逆に、EW-M634Tには他機種にはないメリットがある。それがPrecisionCoreプリントヘッドで、普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiにアップしている。そのため、文字や細線がよりクッキリと印刷が出来るようになっている。たしかにEW-M634Tは他機種より最小インクドロップサイズが大きいため、文書中のグラフやイラスト、写真などで粒状感を感じやすくはあるが、写真印刷ほど影響は大きくない。むしろPrecisionCoreプリントヘッドのおかげで、4機種中もっとも高画質と感じる場合も多いだろう。 続いて印刷速度を見てみよう。L判写真の印刷速度は写真向きの3機種ではEW-M873Tが19秒、EW-M754Tが25秒、EP-M553Tが33秒と少しずつ差が付いているとはいえ、33秒でも遅い方では無い。十分に実用的な範囲だ。それに対してEW-M634Tは75秒と圧倒的に遅い。一般的にノズル数が多いほど印刷速度は高速になるが、EW-M634T以外は各色180ノズルなのに対して、EW-M634Tはカラーが128ノズル、ブラックが400ノズルだ。カラーインクのノズル数が少ないとはいえ、約3分の2である事を考えるとかなり遅い。一方、文書の印刷速度を見てみると、EW-M873TはA4カラーが12.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数・数字が大きい方が高速)、モノクロが16.0ipmである。ビジネス向けの機種には25ipmという機種もあるが、家庭向けの機種としては最高速の部類になる。写真も文書もストレス無く印刷できると言える。EW-M754Tはカラーが8.0ipm、モノクロが12.0ipmで、カラーは3分の2、モノクロは4分の3の速度となるが、これでも十分高速な機種と言える。EP-M553Tはカラー、モノクロ共に6.0ipmで、特にモノクロはEW-M873Tの37.5%、EW-M754Tの半分の速度であり、それほど高速とは言えない。とはいえ、1分間に6枚印刷できれば、それほど大量印刷で無ければ問題ないだろう。一方、EW-M634Tは、カラーが8.0ipm、モノクロが15.0ipmで、ノズル数の少ないカラー文書こそEW-M754Tよりわずかに遅いが、写真印刷では3分の1の速度である事を考えるとかなり高速だ。モノクロプリントにいたってはEW-M873Tに迫る速度だ。EW-M634Tは文書印刷に特化してチューニングされていると言える。印刷速度には差があるが、写真印刷向きの画質の機種は写真印刷が高速、文書印刷向きの画質の機種は文書印刷が高速と、ある意味、機種の特性に合っているといえる。もちろん数枚の印刷であればそれほど問題はないだろうが、ある程度まとまった枚数の印刷を行うなら、印刷速度も重要だ。 ちなみに、インクの方式だが、4機種ともエコタンク方式となる。インクボトルを購入し、プリンター本体内蔵のインクタンクにインクを補充する形となり、基本的にインクボトル1本が、まるまるインクタンクに補充できる。いずれも第2世代とも言うべき「挿すだけ満タンインク方式」を採用しているため、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらに先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無い。ボトルから補充と言うと難しそうに感じるが、そう難しくは無い事が分かる。さらに、メリットもあり、インク切れ前でもインクを補充する事が出来るため、大量印刷前や時間に余裕のある時にインクを補充しておけば、印刷途中でインク切れで印刷が止まっていたという事態が防ぐ事が出来る。しかし、同じエコタンク方式でも実は「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の2種類がある。印刷時に左右に動くヘッドの上にタンクが乗っている「オンキャリッジ式」を採用するのがEW-M754TとEW-M553T、タンクは別の場所に固定されておりタンクとヘッドはチューブでつながれている「オフキャリッジ式」を採用するのがEW-M873TとEW-M634Tだ。「オンキャリッジ式」の方がスペースを有効活用でき、長いチューブでつなぐ必要も無いが、動くパーツ上であるため重量の問題もあり、あまり大型のタンクに出来ない。一方「オフキャリッジ式」は、別にタンクのスペースが必要な上にチューブも必要だが、タンクを大型化できるメリットがある。この「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の違いが印刷コストに影響している。写真の印刷コストを見てみると、「オフキャリッジ式」のEW-M873Tは7.6円、EW-M634Tは6.5円なのに対して、「オンキャリッジ式」のEW-M754Tは9.5円、EP-M553Tは9.3円だ。写真用紙代として約4.7円が含まれているので、純粋なインク代だと、それぞれ2.9円、1.8円、4.8円、4.6円となる。同じ「つよインク」のEW-M873TとEW-M754T/EP-M553Tを比べても、EW-M754T/EP-M553Tは約65%高くなる。写真の耐保存性で劣る代わりにさらに低印刷コストのEW-M634Tとの比較では、なんと2.6倍だ。文書の印刷コストも、EW-M873TがA4カラー文書が1.8円、モノクロ文書が0.7円、EW-M634Tが1.0円と0.4円なのに対して、EW-M754T/EP-M553Tは3.0円と1.3円で、やはりEW-M634Tが圧倒的に安く、EW-M873Tもかなり安い。これはボトル1本での印刷可能枚数と価格の違いによるものだ。オフキャリッジ式のEW-M873TとEW-M634Tはタンクが大型であるため、インクボトルも大容量だ。インクを満タンまで補充した状態で、A4カラー文書を印刷した場合、EW-M873Tはカラーインクは6,200ページ、フォトブラックが7,300ページ、マットブラックは6,700ページまで使用できる。EW-M634Tはブラックが7,500ページ、カラーが各6,000ページまで使用できる。かなりの枚数だ。それに対して、オフキャリッジ式のEW-M754Tでは同条件で、顔料ブラック/染料ブラックが1,100ページ、カラーが各1,000ページと6分の1以下だ。EP-M553Tはブラックが1種類という事もあり、ブラックが600ページ、カラーが各1,000ページとなる。一方、インクボトルの価格はEW-M873Tが2,046円で6色揃えると12,276円、EW-M634Tは顔料ブラックが2,365円、染料カラーが各1,265円で、4色揃えると6,160円なのに対して、EW-M754T/EP-553Tは1本660円で、EW-M754Tは5色揃えて3,300円、EP-M553Tは4色揃えて2,620円となる。インク1本の価格はEW-M873TとEW-M754T/EP-M553Tの比較では3.1倍で、同じ4色構成のEW-M634TとEP-M553Tで1セットの価格を比較すると2.35倍となる。それでも、印刷可能な枚数はそれ以上の多い事から、1枚あたりの印刷コストとなるとEW-M873TやEW-M634Tが安価になるわけである。つまり、EW-M873TやEW-M634Tは大量に購入するため割安と考えると良さそうだ。どんどん使い切るならば、EW-M873TやEW-M634Tがお得なのは確かだが、そこまで大量印刷するわけではないとなると、6,200ページや6,000ページというのは多すぎると感じるユーザーもいるだろう。反面、1セットが12,000円超えのEW-M873Tや、4色しかないのに6,000円超えのEW-M634Tは出費が大きい。1本660円で、1セットでも3,000円前後のEW-M754T/EP-M553Tの方が、インク購入頻度は多くでも、購入時の負担は小さいと言える。EW-M873TやEW-M634Tの印刷可能枚数をどう感じるかによって、オフキャリッジ式とオンキャリッジ式のどちらが合っているか分かるだろう。ちなみにEW-M754T/EP-M553Tの、ここまで話していたインクは「使いきりサイズ」と呼ばれるものだ。その他に「増量」タイプも販売されており、約3.6〜3.7倍使えて2,200円となる。とはいえインクタンクには「使いきりサイズ」分しか入らないため、何度かに分けて補充することになる。それほど割安になるわけではないため、EW-M754T/EP-M553Tでは「使いきりサイズ」がオススメで、もし「増量」サイズが合うと感じる人は、EW-M873TやEW-M634Tの方がお得と言えるだろう。 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型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() |
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対応用紙サイズ | 定型用紙 | 名刺〜A4 | L判〜A4 | L判〜A4 | L判〜A4 | |
長尺用紙 | 長さ2,000mmまで | 長さ1,200mmまで | 長さ1,200mmまで | 長さ1,200mmまで | ||
給紙方向 (セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
○ (50枚/20枚/20枚) (0.6mm厚紙対応) |
○手差し (1枚/1枚/1枚) (0.6mm厚紙対応) |
− | ○ (100枚/30枚/20枚) (0.6mm厚紙対応) |
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前面 | 【カセット下段】 (100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 2L/B6以下 (20枚/20枚/20枚) |
【カセット】 (100枚/40枚/20枚) |
【カセット】 (250枚/30枚/20枚) |
− | ||
その他 | ○ 手差しストレート給紙 (1枚/1枚/1枚) (1.3mm厚紙対応) |
− | − | − | ||
排紙トレイ自動伸縮 | ○ | ○ | − | − | ||
用紙種類・サイズ登録 | ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) | ○(カセット収納連動) | ○(カセット収納連動) | ○(用紙セット連動) | ||
用紙幅チェック機能 | − | ○(印刷時) | ○(印刷時) | − |
続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、最大はA4までで共通だが、最小サイズはEW-M873T以外はL判なのに対して、EW-M873Tはより小さい名刺サイズに対応している。少量の名刺や、フチなしデザインの名刺を印刷するのに重宝するだろう。また長尺印刷に関しても、EW-M873T以外は1,200mm(1.2m)までなのに対して、EW-M873Tは2,000mm(2m)まで対応する。大判のパノラマ写真や、縦長や横長の掲示物、垂れ幕や横断幕などの作成に力を発揮する。同じA4対応でも、EW-M873Tはより多様なサイズに対応する。 給紙に関しては各機種に特色があり、EW-M873Tは前面2段+背面トレイ+背面手差し、EW-M754Tは前面1段+背面手差し、EW-M634Tは前面1段、EP-M553Tは背面トレイとなる。EW-M873T、EW-M754T、EW-M634Tの前面給紙はカセット式となっており、用紙をセットしたままでもホコリが積もりにくく、常時セットしておくのに向いている。EW-M873Tはカセットが2段となっており、上段が2L/B6以下の用紙、下段はA4以下となる。上段にL判写真用紙やハガキ、下段にA4普通紙と言った風に2種類の用紙を同時にセットして使い分けが出来るため便利だ。上段はハガキ、写真用紙なら20枚まで、下段は普通紙を100枚までセットできるが、下段にハガキや写真用紙をセットする事も可能だ。その場合ハガキは40枚、写真用紙は20枚までセットでき、上下段を連続で使用する事もできるので、ハガキは60枚、写真用紙は40枚まで交換無しで印刷できる。大量印刷の際に便利だろう。対してEW-M754Tの前面給紙カセットは1段のみだ。普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットでき、EW-M873Tの下段だけと考えればよい。コピーや文書印刷と写真印刷時のように違う用紙を使用する場合に交換が必要になる点で不便だ。EW-M63Tの前面給紙カセットも1段のみだが、普通紙を250枚までセット可能で、EW-M873TやEW-M754Tよりも大量給紙に向いている。もともと普通紙印刷に向いている機種なので普通紙のみの1種類でも問題になりにくく、それよりも大量給紙で、用紙補充の手間を省いている形だ。ハガキは30枚、写真用紙は20枚と、こちらは給紙枚数は多くなく、あくまで普通紙の給紙枚数だけが多くなる。 では、背面給紙というと、EW-M873TとEP-M553Tはトレイ式となっており、複数枚の用紙をセットできるため便利だ。EW-M873Tは普通紙なら50枚、ハガキなら20枚、写真用紙なら20枚セットでき、EP-M553Tはそれぞれ100枚、30枚、20枚セットできる。それに対して、EW-M754Tは小さなカバーを開けるだけで用紙サポートもない簡易構造であるため、手差し給紙となっている。1枚ずつしかセットできず、複数枚セットするとエラーとなる。前面給紙カセットにセットした用紙以外を数枚印刷したい場合や、前面給紙からでは扱いにくい厚紙や封筒などの印刷に利用する形となるだろう。ちなみに、厚みに関しては、通常0.3mm厚程度までだが、3機種とも背面給紙の場合、倍の0.6mm厚まで対応できる。写真店に依頼した写真貼り合わせの年賀状や、アート紙(例えばエプソンのVelvet Fine ArtPaperは0.48mm)の印刷に重宝する。さらに、EW-M873Tは背面からの手差しストレート給紙にも対応する。背面給紙のように本体上面の後方ではなく、実際に背面から挿し込む形となる。排紙トレイと同じ高さの背面側と言えば分かりやすいかもしれない。CD/DVD/BDのレーベル印刷用のトレイの通り道と兼用して、背面から用紙を挿し込んで利用できるようにしたもので、他の2機種より更に厚い、1.3mm厚の用紙まで対応できる。背面ユニットを取り外し、そこに取り付けられている手差しユニットを外して本体にセットする必要があり、また背面から用紙をまっすぐに挿し込めるスペースがいるなど、手間はかかるが、従来の一般的なプリンターでは不可能な厚さに対応できるのは、いざという時便利だろう。 ちなみにEW-M873TとEW-M754Tは排紙トレイの自動伸縮機能を搭載している。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する。後述の自動電源オン機能と組み合わせると非常に便利だ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙の場合はカセットを挿し込む、背面給紙の場合は用紙を挿し込むと自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。またEW-M754TとEW-M634Tは印刷時に用紙幅をチェックする機能も搭載しており、印刷設定より実際の用紙幅が小さい場合でも、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部が汚れるのを防ぐことができる。 |
型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() |
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自動両面印刷 | ○(ファイン紙対応) | ○(写真用紙・ファイン紙対応) | ○ | − | ||
自動両面 印刷速度 |
A4カラー文書 | N/A | N/A | 4.5ipm | − | |
A4モノクロ文書 | N/A | N/A | 6.5ipm | − | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 | ○ | − | − | − | ||
写真補正機能 | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(オートフォトファイン!EX) | ||
特定インク切れ時印刷 | − | − | − | − | ||
自動電源オン/オフ | ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) | ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) | −/○(指定時間操作無し) | ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) | ||
廃インクタンク交換 | ○(メンテナンスボックス交換可) | ○(メンテナンスボックス交換可) | ○(メンテナンスボックス交換可) | ○(メンテナンスボックス交換可) | ||
フチなし吸収材エラー時の対応機能 | ○(フチあり印刷継続可) | ○(フチあり印刷継続可) | ○(フチあり印刷継続可) | ○(フチあり印刷継続可) |
その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能はEP-M553T以外の3機種が搭載している。3機種とも普通紙だけでなくハガキにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。さらに、EW-M873TとEW-M754Tはファイン紙への両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利で、ファイン紙を使用した際も自動両面印刷が可能だ。EW-M754Tはさらに両面写真用紙への自動両面印刷も可能だ。 一方、BD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能はEW-M873Tのみ搭載する。レーベル印刷のトレイを使わない時は、前面給紙カセットの裏側に収納できるようになっている。写真の自動補正機能は、4機種とも「オートフォトファイン!EX」に対応する。逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる高性能なものを搭載しているため、自動でも綺麗に写真を印刷できる。ダイレクト印刷(対応機種のみ)やスマホからのプリント(後述)の際にも利用できる。 自動電源オン機能はEW-M634T以外の3機種が搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LANや有線LAN(対応機種のみ)でのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。EW-M634Tでは、わざわざ電源を入れにプリンターの所まで行くか、電源をいれっぱなしにする必要がある。ただし、EP-M553Tは排紙トレイが引き出された状態でないと印刷は実行されないため、排紙トレイを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。それに対して、EW-M873TとEW-M754Tは排紙トレイが自動的に伸張するため、印刷が完了した頃に取りに行くだけと非常に便利だ。一方、自動電源オフ機能は4機種とも搭載しており、指定した時間プリントやスキャンが行われず、本体操作もない場合自動的に電源がオフになる機能である。 4機種に共通の便利な機能が、廃インクタンク(メンテナンスボックス)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、この4機種はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(EW-M873T用は2,618円、EW-M754T/EP-M553T用は1,078円、EW-M634T用は1,980円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。また、プリンターには廃インクタンクとは別にフチなし吸収材というものも存在する。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっているためである。このフチなし吸収材が満タンになると、多くの機種はプリントが完全に止まってしまう。しかし、この3機種はフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているため、急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるようになっている。 |
型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() |
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スキャンサイズ | A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
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読み取り解像度 | 1200dpi(1200×4800dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | ||
センサータイプ | CIS | CIS | CIS | CIS | ||
原稿取り忘れアラーム | − | − | − | − | ||
スキャンデーターのメモリーカード保存 | ○(JPEG/PDF) | ○(JPEG/PDF) | − | ○(JPEG/PDF) |
続いて、スキャナー部を見てみよう。スキャンサイズは4機種ともA4(216×297mm)までとなる。解像度も全機種が1200dpiとなっており差は無いように見えるが、EW-M873Tは1200×4800dpi、他の3機種は1200×2400dpiだ。前の方の数字は主走査と呼ばれ、短辺の方の解像度、つまりスキャナーの読み取りセンサーの解像度となる。一方、後の方の数字は副走査と呼ばれ、長辺の方の解像度、つまり読み取りセンサーの移動方向の解像度となる。つまり、4機種は1200dpiの読み取りセンサーを搭載する点では同等だが、センサーの移動精度は、EW-M873Tが4800dpi、他の3機種は2400dpiとなる。また、カートリッジ方式の上位モデルや、単体のスキャナーなどでは、もっと高解像度の機種があるが、どの程度の違いがあるのか気になるところだろう。しかし、実用上の違いは皆無と言って良い。紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200×1200dpiでも十分だからである。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点も共通だ。 その他、メモリーカードに対応したEW-M634T以外の3機種はスキャンした原稿をパソコンを使わずメモリーカード又はUSBメモリーに保存する機能を搭載している。パソコンが起動していなくても、本体の操作だけでサッとスキャンしてメモリーカードやUSBメモリーに保存できるので便利だ。 |
型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() |
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ダイレクトプリント | メモリーカード | SD メモリーカードリーダー対応 |
メモリーカードリーダー接続 | − | メモリーカードリーダー接続 | |
USBメモリー | ○ (外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) |
○ (外付けHDD) |
− | ○ | ||
赤外線通信 | − | − | − | − | ||
対応ファイル形式 | JPEG | JPEG | − | JPEG | ||
色補正機能 | ズーム/回転 フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ3〜39mm) 赤目補正 明るさ調整(+4〜-4) コントラスト調整(+4〜-4) シャープネス調整(3段階) 鮮やかさ調整(+4〜-4) 色調補正(RGB独立・+4〜-4) フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス) 色補正一覧印刷 編集した写真の別名保存 |
ズーム/回転 フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階) 赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
− | ズーム/回転 フチなし/フチあり 赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
||
手書き合成 | ○ | ○ | − | − | ||
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ | ○/○ | −/− | −/− | −/− | ||
PictBridge対応 | ○(USB/Wi-Fi) | ○(USB/Wi-Fi) | − | ○(USB/Wi-Fi) | ||
各種デザイン用紙印刷 | 塗り絵印刷 フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 |
塗り絵印刷 フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 |
− | フォーム印刷(カレンダー・罫線・便箋・スケジュール帳・五線譜) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 |
ダイレクト印刷を見てみよう。メモリーカードからのダイレクト印刷に対応しているのは写真印刷に向いている画質を持つEW-M873T、EW-M754T、EP-M553Tの3機種だ。EW-M873TはSDカードリーダーとUSBポートを搭載しているため、SDカードやUSBメモリーからの写真印刷に対応している。またこのUSBポートは、外付けハードディスクや外付けDVDドライブにも対応しているため、これらからの印刷が行える。一方のEW-M754TとEP-M553TはUSBポートのみ搭載している。SDカードリーダーが無いため、USBメモリーからの印刷のみでSDカードからのプリントは出来ないように見えるが、USBポートにパソコン用のメモリーカードリーダーを接続出来るので、SDカードをはじめとした各種メモリーカードに対応できる。所持していない場合は500円程度でも購入できるため、接続の手間だけだ。ちなみにEW-M873TのUSBポートもメモリーカードリーダー対応なのでSDカード(microSDなども含む)以外のメモリーカードを利用したい場合も、対応可能だ。また、EW-M754TのUSBポートは外付けHDDの接続にも対応(DVDドライブは非対応)しているが、EP-M553TはUSBメモリーだけの対応という違いもある。対応形式は3機種ともJPEGのみで、PDFファイルなどの印刷は出来ない。あくまで写真印刷用となる。 ダイレクト印刷時にフチあり、フチなしなどを選べる他、赤目補正や、各種色調整が可能な点は3機種とも同じだ。また日付を入れたりも可能な他、写真の自動補正機能「オートフォトファイン!EX」も利用可能だ。しかし、細かく見ていくと機能に違いがある。写真の一部を拡大する「ズーム/回転」機能は3機種とも対応する。フチなし、フチありも3機種とも選べるが、機能に違いがある。EP-M553Tは用紙ギリギリまでの「フチなし」と、余白のある「フチあり」が選べるだけだ。EW-M754Tはこれに加えて、黒フチが選べる他、写真の周囲にフチの色とは逆の細い枠線の入った黒枠付きの白フチ、白枠付きの黒フチも選べる。フチの太さも4段階から選択できる。EW-M873Tも同じく白フチ、黒フチ、それぞれの枠付きの4種類が選べるが、フチの太さは3〜39mmの間で1mm単位で設定可能だ。明るさ、コントラスト、シャープネス、鮮やかさに関しても、3機種とも対応するが、EW-M754TとEP-M553Tはいずれも5段階となっているのに対して、EW-M873Tでは「作品印刷機能」と呼ぶ機能を搭載しており、+4から-4の9段階で調整が可能になっている(シャープネスは3段階)。さらに、レッド、グリーン、ブルーのそれぞれの色調も9段階から調整できるため、かなり高度な色調整が可能になっている。また、液晶上では実際のプリントと差があるため色調整がしにくい場合もあるため、色補正一覧印刷を行い、実際に印刷された一覧から選ぶ事もできるようになっている。これら編集した写真はEW-M754TやEP-M553Tではプリントして終わりだが、EW-M873Tでは別名でメモリカードに保存する事も可能なので、後日再度印刷する際に、再度設定する必要が無い。さらにフィルターも3機種とも「モノクロ」と「セピア」には対応するが、EW-M873Tは加えて、「レトロ調」「ハイキー」「デイドリーム」「トイフォト」「ポップ」「クロスプロセス」といった8種類を用意している。さらに、EW-M873TはSDカードからUSBメモリーや外付けハードディスクへ写真をバックアップすることも可能だ。EW-M873TではSDカードの写真の高度な色補正や写真印刷、そして写真のバックアップ、バックアップ先からの写真印刷までがパソコン無しで行える事になる。 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートはEW-M873TとEW-M754Tが対応している。その他、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカードなどが印刷できるフォーム印刷機能、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」機能、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」機能は3機種とも対応だ。さらにEW-M873TとEW-M754Tは塗り絵風の輪郭だけの印刷や、写真を1〜数枚並べたフォトブックを印刷する機能、背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」機能の他、写真を1枚又は複数枚並べてCDジャケットを作成できる機能搭載する。ディスクレーベル印刷機能を搭載するEW-M873Tは、写真を1枚又は複数枚並べて、ディスクのレーベル面に印刷できる機能にも対応する。3機種とも単体で様々な印刷が可能となっているが、EP-M553TよりEW-M754Tの方が少しだけ機能が豊富で、EW-M873Tは色補正機能などがかなり高性能になっている。 |
型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() |
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スマートフォン連携 | アプリ | メーカー専用 | Epson Smart Panel Epson Print Layout (EPSON iPrintにも対応) |
Epson Smart Panel (EPSON iPrintにも対応) |
Epson Smart Panel (EPSON iPrintにも対応) |
Epson Smart Panel (EPSON iPrintにも対応) |
AirPrint | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
対応端末 | iOS 11.0以降 Android 5.0以降 (Epson Print Layout使用時はiOS 13.0以降・Android非対応) |
iOS 11.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 11.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 11.0以降 Android 5.0以降 |
||
スマートスピーカー対応 | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ||
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 | ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ||
写真プリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ドキュメントプリント | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
Webページプリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
スキャン | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ||
クラウド連携 | プリント | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | ○/− | ○/− |
オンラインストレージ | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ||
SNS | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ||
写真共有サイト | − | − | − | − | ||
スキャン | アプリ経由/本体 | ○/○ | ○/○ | ○/○ | ○/− | |
スキャンしてオンラインストレージにアップロード | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) (OneDrive/google classroomはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) (OneDrive/google classroomはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) (OneDrive/google classroomはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ||
メールしてプリント | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ||
LINEからプリント | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
リモートプリント | ○(リモートプリントドライバー) | ○(リモートプリントドライバー) | ○(リモートプリントドライバー) | ○(リモートプリントドライバー) | ||
スキャンしてリモートプリント | ○ | ○ | ○ | ○(受信のみ) |
スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。4機種ともiOSとAndroid端末に対応している。いずれも専用のアプリ「Epson Smart Panel」を無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える(EPSON iPrintはEpson Smart Panelの前のアプリなので、特に理由がなければEpson Smart Panelで良い)。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。さらに、EW-M873Tは、通常のEpson Smart Panelの他、プロ向けのプリンター用に提供される、より高度な写真印刷が行えるアプリ「Epson Print Layout」も利用可能だ。「Photoshop」アプリで設定した写真・画像のレイアウトをそのまま引用できるほか、用紙方向の変更や、画像の配置やサイズ変更、トリミングの設定が行える。さらに、カラー設定では用紙プロファイルを使用した印刷が可能なほか、グレースケールやモノクロ写真印刷も行えるなど、より高度な写真印刷が行えるアプリとなっている。ただし現状は、iOSとiPadOSのみの対応である。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キャノンの名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、4機種とも、接続支援機能が提供される。iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了する。Androidの場合はアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。セキュリティーキーなどの入力は一切必要なく、非常に簡単だ。この点で4機種に違いは無い。さらに、4機種ともスマホからプリンターの初期設定を簡単に行える機能も搭載する。アプリ上で「新規セットアップ」を選択し、初期設定を行っていない、これらのプリンターの電源をオンにすると、型番が一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用して自動接続される。そして、設置からインクの補充方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。インクの補充などの手順が非常に分かりやすいほか、自動的にネットワークの設定まで行われるので、初期設定のハードルが非常に低く、特にパソコンを使わないユーザーには便利と言えるだろう。 クラウドとの連携機能も4機種とも搭載している。プリントの場合、アプリ経由で各種オンラインストレージにアクセスして、ファイルを印刷する事が可能な他、SNSの写真をコメント付きでプリントする事ができる。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、EP-M553T以外の3機種はアプリ経由だけで無く、本体の操作でだけでアップロードまで行うこともできる。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため便利だ。EP-M553Tはスキャンもアプリ経由のみとなる。 さらにリモートプリント機能として、印刷したい写真や文書を添付してこれらの機種にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。ただし「メールdeリモート印刷」機能に関しては、EW-M873TとEW-M754T、EW-M634Tは、これらの機種でスキャンして、他の対応プリンターでプリントする事と、他の対応プリンターでスキャンし、これらの機種でプリントする事の両方向が可能だが、EP-M553Tは後者のみ対応する。 |
型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() |
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等倍コピー | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
拡大縮小 | 倍率指定 | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | |
オートフィット | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
定型変倍 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー | ○ | − | − | − | ||
写真焼き増し風コピー | ○(退色復元対応) | ○(退色復元対応) | − | − | ||
割り付け(2面/4面) | ○/− | ○/− | ○/− | ○/− | ||
その他のコピー機能 | プレビュー 濃度調整 背景除去機能 鮮やかさ調整 色調調整(レッド・グリーン・ブルー個別) 色相調整 |
プレビュー 濃度調整 背景除去機能 |
濃度調整 | 濃度調整 | ||
バラエティコピー | 見開きコピー IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
見開きコピー IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
IDコピー 影消しコピー パンチ穴消しコピー |
見開きコピー IDコピー |
コピー機能を見てみよう。基本的な、等倍と拡大縮小コピーは、4機種とも対応する。拡大縮小コピーは、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行う事が出来る。またCD/DVD/Blu-rayレーベルプリントに対応したEW-M873Tは、レーベルコピーにも対応する。さらに、EW-M873TとEW-M754Tは原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際「退色復元」という、昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。4機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。 その他、濃度調整機能は4機種とも搭載する。EW-M873TとEW-M754Tは加えて、コピー前にプレビューを行うことで、原稿のセットミスの確認が行える他、プレビューを元に拡大縮小を調整できる。また、背景色を消すことで見やすくし、インクも節約できる「背景除去機能」も行える。さらに、EW-M873Tだけの機能として、鮮やかさ、色調、色相の調整も可能である。色相はレッド、グリーン、ブルーを個別に調整できるため、元の原稿に近い色や読みやすい色など、好みの色に調整が出来る。 4機種とも、様々な特殊コピーを行える機能を搭載する。4機種共通なのは「IDコピー」で、免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する機能である。EW-M634T以外の3機種は「見開きコピー」に対応しており、A4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付又は両面コピーする事が出来る。通常の2面割付又は両面印刷と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。EW-M873TとEW-M754Tはこれに加えて、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、メモリーカードからのダイレクト印刷時と同じく輪郭だけの塗り絵風に変換してコピーする「塗り絵印刷」が行える他、同じ内容を2面、4面、または用紙サイズに合わせて自動的に割り付ける「リピートコピー」機能を搭載する。「リピートコピー」は手書きメモやネームシールなどをコピーするのに便利だ。一方、EW-M634Tだけの機能として、原稿サイズが小さかった場合に周囲に出来る影を消す「影消しコピー」と、パンチ穴を消せる「パンチ穴消しコピー」といったビジネス向けの機能を搭載している。コピー機能はEP-M553TやEW-M634Tでも十分に高機能だが、EW-M873TとEW-M754Tはより便利な機能を搭載しているため、様々なシーンで活躍しそうだ。 |
型番 | EW-M873T | EW-M754T | EW-M634T | EP-M553T | ||
製品画像 | ![]() |
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液晶ディスプレイ | 4.3型 (70度角度調整可) |
4.3型 (90度角度調整可) |
2.4型 (角度調整可) |
1.44型 (90度角度調整可) |
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操作パネル | タッチパネル液晶 (70度角度調整可) |
タッチパネル液晶 (90度角度調整可) |
物理ボタン式 (角度調整可) |
物理ボタン式 (90度角度調整可) |
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インターフェイス | USB他 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | |
無線LAN | IEEE802.11ac/n/a/g/b 5GHz帯対応 (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
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有線LAN | 100BASE-TX | − | 100BASE-TX | − | ||
対応OS | Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.9.5〜 |
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
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耐久枚数 | 5万枚 | 5万枚 | 5万枚 | 3万枚 | ||
外形寸法(横×奥×高) | 403×369×162mm | 390×339×166mm | 375×347×187mm | 390×331×166mm | ||
重量 | 8.4kg | 6.3kg | 5.7kg | 5.6kg | ||
本体カラー | ブラック | ホワイト | ホワイト | ホワイト |
液晶ディスプレイと操作パネルは4機種とも本体前面に取り付けられ、持ち上げて角度調整が可能となっている。EW-M873Tは最大70度、EW-M754TとEP-M553Tは最大90度(水平)、EW-M634Tも70〜80度程度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。低い位置に設置しても高い位置に設置しても使いやすいだろう。操作パネルはEW-M873TとEW-M754Tでは、左寄りと中央で違いはあるものの、操作性は同等だ。いずれも4.3型と大きめで、しかもタッチパネル液晶となっている。スタートやストップなども全て本体内に表示されるので、電源ボタン以外は物理的なボタンが一切無くすっきりしている。メニューや設定項目、各種ボタンが液晶内に表示されるので、直に項目をタッチして操作ができるため分かりやすく、またバックライトのある液晶内なので、暗いところでも操作しやすい。続いて使いやすいのはEW-M634Tだ。液晶は2.4型と小さくなり、タッチパネル操作でもなくなってしまう。操作ボタンは液晶右に上下左右の方向ボタンと、その中央に「OK」ボタン、その周囲に「−」「+」「戻る」と状況に応じて様々な機能が割り当てられるボタンの4つが並んでおり、その右に、大きめに「ストップ」と「スタート」ボタンとなる。液晶左には「ホーム」ボタンと、「ヘルプ」ボタンが用意される。常時使えるボタンは左に配置し、右の方向ボタンと「OK」や「−」「+」ボタン
の配置も直感的に分かりやすいため、操作性は意外と悪くない。最も操作性が劣るのはEP-M553Tで、液晶が1.44型とかなり小さく、視認性では劣る。ボタンは液晶右に、上下左右の方向キーと、その中央に「OK」ボタンと言うのはEW-M634Tと同じだが、その周囲は「戻る」ボタンだけとなり「+」「−」などのボタンは他と兼用となる。その右に「ストップ」「スタート」ボタン、液晶左に「ホーム」ボタンというのも同じだが、ヘルプボタンもない。一部ボタンが無くなっている分、わずかに分かりにくくなっているが、必要十分なボタン数と分かりやすいボタン配置なのは変わらず、比較的使いやすい。液晶内のメニューも、単に大型液晶と同じものを小さく表示するのでは無く、1枚ずつめくるように項目が表示されるため、表示内容が小さくなりにくく、またメニュー構成も、早い段階で選択肢を設けることで、メニューの階層が深くならないよう工夫されている。最低限の操作性は確保されていると言えるだろう。 インターフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクトに対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ただし、細かい点で違いもある。まず無線LANは4機種とも対応するが、有線LANは最上位のEW-M873Tとビジネス用途に使えるEW-M634Tのみ対応だ。無線LANの電波が届きにくい、家庭内にLAN配線がある、接続設定などをせず手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する場合は注意が必要だ。一方、無線LAN機能にも差があり、EW-M873T以外はIEEE802.11n/g/b規格にのみ対応するが、これは2.4GHz帯を使用しており、障害物には強いが電子レンジや電話の子機、無線のマウスやBluetoothなどと干渉しやすい問題がある。その点でEW-M873Tは5GHz帯のIEEE802.11ac/n/aにも対応しており、電波干渉を避けられる。さらにIEEE802.11acはIEEE802.11nと比べて圧倒的に高速なので、安定性と転送待ちの軽減の両方を実現している。無線LAN、有線LANのどちらを考えている人のも、EW-M873Tは便利と言える。 対応OSは同メーカーであるためほぼ同等だ。Windowsの場合、Windows XP SP3以降は全て対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。MacOSもダウンロード対応とはなるがドライバーが提供され、EW-M873T、EW-M634T、EP-M553Tは10.6.8以降、EW-M754Tは10.9.5以降に対応する。若干の違いがあるが、いずれもかなり古いバージョンまで対応できる。 本体サイズを見てみよう。EW-M754TとEP-M553Tはほぼ同サイズとなっており、EW-M754Tが390×339×166mm、EP-M553Tは390×331×166mmとなる。インクカートリッジ方式の機種と比べても高さが25mmほど大きいだけで幅と奥行きは変わらず、本体にタンクを搭載している割には、かなりコンパクトなサイズとなっている。ただし、EP-M553Tは背面給紙となるため、後方にスペースが必要だ。それに対して、EW-M873Tは403×369×162mmで、EW-M754Tとの比較で幅が13mm、奥行きが30mm大きい。比べないと分からない程度の差だ。エコタンクがEW-M754Tの6倍前後の容量で、さらに1色多く、給紙機能の豊富さやその他の機能の差を考えれば、よくこの程度の差で収まったと言えるだろう。こちらも背面給紙を使用する場合は後方にスペースが必要な他、背面手差し給紙を使用する場合はかなりのスペースが必要となる点は注意が必要だ。EW-M634Tは375×347×187mmで、幅はEW-M754TやEP-M553Tより15mm小さい。奥行きはわずかに大きく見えるが、実際には前面給紙カセットと排紙トレイ、エコタンク部分だ飛び出ているため、全体的にはもう少し小さく見える。設置スペースはかなり優秀だ。ただ給紙枚数が多いことやエコタンクがオフキャリッジ式で大型であるため、高さは187mmとやや高めだ。 本体の耐久性にも違いがあり、EW-M873T、EW-M754T、EW-M634Tは5万枚、EP-M553Tは3万枚となる。家庭用プリンターは一般的に1万〜1万5000枚程度と言われているため、2倍から3倍の耐久性となる。印刷枚数が多い機種だけに、耐久性が高いのは安心だ。本体のカラーバリエーションは、EW-M754Tはブラックとホワイトの2色から選べ、EW-M873Tはブラックのみ、EW-M634TとEP-M553Tはホワイトのみとなる。 4機種は価格も大きく異なり方向性も異なることから、ある意味選びやすいと言える。まず写真印刷も行うか、文書印刷がメインかによって異なる。文書印刷だけで写真印刷は行わないなら、EW-M634T一択と言える。顔料ブラックを含む4色構成は文書印刷なら問題ないし、逆にPrecisionCoreプリントヘッドで他機種よりクッキリ印刷できる。印刷速度も写真は遅いが文章は高速だ。自動両面印刷機能やコピー機能、スマホやクラウド関連の機能も問題ない。操作性はEW-M873TやEW-M634Tよりは劣るが、写真のダイレクト印刷を行うのでなければタッチパネルでなくても問題ないだろう。なにより他の3機種より印刷コストが安い点は魅力的だ。インク1本で印刷できる枚数が多すぎるので、手軽に変えるEW-M754Tの方がとも考えられるが、文書印刷メインなら不要な機能が付いていて、代わりに印刷コストが高く3,300円本体価格も高いなら、やはりEW-M634Tだろう。本体価格だけを見てEP-M553Tでも良いが、顔料ブラックインクが無く、印刷速度も遅く、印刷コストも高い。背面給紙のみで自動両面印刷も出来ず、操作性もさらに悪いと考えれば、もう7,750円出す価値はあると言える。そもそも同梱インクで印刷可能な枚数が多いだけでも元が取れるだろう。 写真の印刷も考えている、又は年賀状やファイン紙など普通紙以外にも綺麗に印刷したいというなら、EW-M634T以外の3機種から選ぶ事となる。写真の画質面で見るとEW-M873Tが1歩抜きに出ており、文書の画質面ではEP-M553Tが若干劣るという違いはあるが、それほど大きな差ではないので、よほど画質にこだわるので無ければ、決め手にはなりにくい。まずは、写真の印刷が非常に多いならEW-M873Tだ。印刷コストが他の2機種より安いだけで無く、印刷速度も速いため、待ち時間も少ない。エコタンクも大型であることから、補充回数が少なくて済むし、写真の給紙枚数も他の2機種より圧倒的に多い。また、写真作品印刷や、少しこだわった写真印刷を行いたい場合はもEW-M873Tだ。パソコンからは「Epson Print Layout」というソフトウェアが使えるため、かなりこだわりの写真印刷が可能なだけでなく、ダイレクト印刷時でも色補正機能が非常に高機能で、補正結果を別名で保存できるし、iPhone/iPadからも「Epson Print Layout」アプリを使えるのは大きい。また顔料ブラックを使った、アート紙への高画質印刷や、手差し給紙による1.3mm厚までの用紙に対応するなど、他のプリンターにはないプリントか可能だ。逆に、印刷枚数はそれほど多くないが、それなりに使うのでカートリッジ方式より印刷コストが安い方が良いというなら、EW-M754TかEP-M553Tとなる。逆に、こういった使い方のユーザーがEW-M873Tを選ぶと、1回の補充で6,200枚以上プリント可能というのが大容量すぎて使いにくいだろう。その点で、1回の補充で1,000枚前後で、ボトル1本660円という価格は手頃だ。それでいて、高画質な写真印刷が出来、印刷速度も遅くなく、ダイレクト印刷やスマホからの印刷も可能だ。ではEW-M754TとEP-M553Tのどちらを選べば良いだろうか。まず、文書印刷やコピーも比較的行うならEW-M754Tだ。顔料ブラックを搭載しており高画質なだけで無く、自動両面印刷も可能で、文書の印刷が速く、用紙もカセット内に入れたままにしておけるので、使いやすい。また、写真のダイレクト印刷やコピーを多用する場合もEW-M754Tだ。これらは本体での操作になるため、大型のタッチパネル液晶の方が、絶対的に操作しやすい。逆に、パソコンやスマホからの写真や年賀状印刷がメインで、文書印刷やコピーはそれほど画質にこだわらないなら、安価なEP-M553Tでも良いだろう。写真印刷も、パソコンまたはスマホからであれば、本体の液晶の小ささは気にならないし、コピーも複雑な設定をしないのであれば、多少操作性が悪くても我慢できる。価格差が1万円以上あるため、少しでも安い方が良いならEP-M553Tも悪くない選択肢だ。 なお、今の段階では何に使うかハッキリしないという人は、あまり文書印刷に特化したEW-M634Tや、写真印刷がメインのEP-M553Tは避けた方が無難だ。よほど予算に余裕があるのでなければ、EW-M754Tが、オールマイティーに使えて良いのでは無いだろうか。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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