2022年末時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2023年7月18日公開)
A4複合機としては高価格帯となる4万3000円以上のA4複合機である。やや中途半端な価格の区切りだが、要はエプソンでは家庭向けとして一般的なカラリオシリーズよりさらに高価な機種、キャノンも一般的なPIXUS TSシリーズよりさらに高価な機種という事だ。エプソンのEW-M873TとEW-M754T、キヤノンのPIXUS XK500とPIXUS XK110がこの価格帯の製品だ。一方で、エプソンとキャノンでは大きく異なる点がある。EW-M873TとEW-M754Tはエコタンク方式、つまり本体内蔵のインクタンクにボトルからインクを補充する方式で、これにより印刷コストを大きく下げている製品だ。一方PIXUS XK500とPIXUS XK110は、従来通りのインクカートリッジ方式ながら、インクカートリッジの価格を下げることでカートリッジ方式としては低印刷コストを実現した製品だ。一方、別の見方をすればEW-M873TとPIXUS XK500は6色インク構成で、機能面でも最高レベルである点で、EW-M754TとPIXUS XK110は5色インク構成で、機能面で上位機種より一部劣る代わりに本体価格も低価格化を計っている点で、それぞれライバル製品と言える。とはいえ、EW-M873Tは68,200円、PIXUS XK500は51,150円と価格差があり、機能面でも様々な点で違いがある。EW-M754TとPIXUS XK110は46,750円と43,450円と比較的価格は近いが、上位モデルから落とした機能が異なっており、その点が特徴となる。それぞれどのような違いがあり、どういったユーザーにオススメなのか徹底的に検証した。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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実売価格(メーカーWeb/税込) | 68,200円 | 46,750円 | 51,150円 | 43,450円 | ||
インク | 色数 | 6色 | 5色 | 6色 | 5色 | |
インク構成 | マットブラック(顔料) フォトブラック(染料) シアン マゼンタ イエロー グレー |
マットブラック(顔料) フォトブラック(染料) シアン マゼンタ イエロー |
顔料ブラック 染料ブラック フォトブルー シアン マゼンタ イエロー |
顔料ブラック 染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
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カートリッジ構成 | エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オンキャリッジ式) |
各色独立 | 各色独立 | ||
顔料/染料系 | 染料(黒+カラー)/顔料(黒) (つよインク) ClearChrome K2 Plus |
染料(黒+カラー)/顔料(黒) (つよインク) |
染料(黒+カラー)/顔料(黒) (ChromaLife100) |
染料(黒+カラー)/顔料(黒) (ChromaLife100) |
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インク型番 | トビバコ | ケンダマ(顔料)/タケトンボ(染料) (使いきりサイズ・増量) |
N20/N21 | N20/N21 | ||
最小インクドロップサイズ | 1.5pl (AdvancedMSDT) |
1.5pl (AdvancedMSDT) |
N/A | N/A | ||
最大解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 4800×1200dpi | 4800×1200dpi | ||
高画質化機能 | − | − | − | − |
まずはプリントの画質から見ていこう。EW-M873TとPIXUS XK500は6色インク、EW-M754TとPIXUS XK110は5色インクだが、4機種とも顔料ブラックと染料ブラックを搭載しており、用紙や印刷する箇所によって使い分けるため、実質5色、又は4色印刷となる。4機種に共通したインクは、前述の染料ブラック(EW-M873TとEW-M754Tでの名称はフォトブラック)と顔料ブラック(同マットブラック)の他に、シアン、マゼンダ、イエローとなっており、これだけでカラー印刷には十分だが、EW-M873Tはこれに加えてグレーインクを、PIXUS XK500はフォトブルーインクを搭載することで、画質をさらに向上させている。 それでは写真画質を見てみよう。写真画質と言っても印刷内容が写真かどうかではなく、写真用紙をはじめ、光沢紙やファイン紙など普通紙以外に印刷する場合の画質である。インクジェットハガキもこちらとなる。写真印刷には染料インクを使用するため、顔料ブラックを除いた、EW-M754TとPIXUS XK110はブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色、EW-M873Tではグレーを加えた5色、PIXUS XK500ではフォトブルーを加えた5色となる。では、グレーとフォトブルーではどちらが良いかというと一概には言えない。キャノンでは下位モデルPIXUS TS8530では同じ6色でもグレーインクを採用しており、上位モデルがフォトブルーに変更されていることから、こちらの方が良いようにも見える。フォトブルーインクは薄い青色のインクで、本来、シアンとマゼンダを組み合わせて表現する青色の表現力が高くなる他、薄い青から白色部分にかけての粒状感が低減される。青空や花の色などがより綺麗に見える。グレーをベースにすることでも粒状感は低減できるが、無彩色をベースにするよりも鮮やかに表現できる。しかしグレーインクにもメリットがあり、ブルー以外の色でも粒状感を低減できるほか、モノクロプリントはもちろん、カラープリントでもグレー色の色転びが無くなる。通常グレーの部分はカラーインクを重ねて作り出すが、どうしても青白くなるなど綺麗なグレーにならない。グレーインクを搭載することで綺麗なグレーになり、写真全体のバランスが良くなる。このことから、EW-M873TとPIXUS XK500では、それぞれ得手不得手はあるとは言え画質には大きな差は無いと言える。ではグレーインクもフォトブルーインクも搭載していないEW-M754TとPIXUS XK110は大きく劣るかと言うと、両方でプリントした物を並べて、拡大鏡などで比較しないと分からないレベルだ。ぱっと見でも、若干粒状感があるようにも見える箇所があるかもしれないが、わずかな差だろう。機能面では差があるが、実際のプリント画質は、特にスナップ写真の印刷程度では気にするほどの違いにはならないだろう。逆に言うと、この差を気にするほど画質を重視するなら、より高画質なプリンターもあるため、そちらを選ぶ方が良さそうだ。ちなみに、EW-M873Tでは他の3機種には無い特徴がある。それは、アート紙への印刷時に顔料ブラックインクを使用することで、染料インクに比べてコントラストが高い印刷が可能になったと言う事だ。アート紙は写真作品の印刷に用いられる物で、より高画質に印刷できるのは、メリットとなる人もいるだろう。 粒状感に影響する最小インクドロップサイズはエプソンしか公表しておらず、EW-M873TとEW-M754Tは共に1.5plだ。これは、インクジェットプリンターとしては最小クラスで、この点でも粒状感は抑えられる。PIXUS XK500とPIXUS XK110は非公表ながら、2pl程度ではないかと推測されるが、こちらは予想の域を出ない。いずれにしても粒状感が問題になるほどではなさそうだ。 ここまでは写真の印刷画質の話だが、文書の印刷画質も見てみよう。こちらも印刷する内容が文書がどうかではなく普通紙に印刷する画質という事になる。文書中の写真などもこちらに該当する。いずれも顔料ブラックを搭載しているのはメリットだ。染料インクは写真用紙に印刷した際に発色が良く、用紙の光沢感もそのまま出るため綺麗に印刷できるが、普通紙に印刷すると発色が悪く、用紙上でインクが広がるため線が太くなったり、小さい文字や中抜き文字が潰れたりしやすい。顔料インクは普通紙印刷時にもクッキリとした印刷が行え、耐水性も高い。カラーインクは染料インクであるため、黒色しか顔料インクの恩恵は得られず、また黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のグレーインクやカラーインクを使用する場合もあるし、カラーの中に混ざっている場合も染料ブラックがが使われる場合もあるなど、全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、文字や線の部分だけでも顔料インクが使えると、全体的に引き締まって見えるのは確かだ。その点で4機種は同等であり、文書印刷もそれなりに綺麗に印刷できる事になる。 ちなみに、インクに関してはEW-M873TとEW-M754Tは「つよインク」、PIXUS XK500とPIXUS XK110は「ChromaLife100」を採用する。EW-M873Tは「ClearChrome K2 Plus」という名称もあるが、これはインク構成や発色などを含めたインク全体の名称であり、耐保存性の面では「つよインク」となる。「つよインク」はアルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となっており、「ChromaLife100」はアルバム保存100年を実現している。4機種とも十分なレベルの耐保存性を持ったインクであるが、EW-M873TとEW-M754Tの方がさらに耐保存性は高く、耐光性なども謳われているため、写真を飾る場合でも安心感は高いと言える。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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ノズル数 | 1080ノズル | 900ノズル | 6656ノズル | 4096ノズル | ||
各色180ノズル | 各色180ノズル | シアン/マゼンダ:各1536ノズル フォトブルー/染料ブラック/顔料ブラック:各1024ノズル イエロー:512ノズル |
シアン/マゼンダ/顔料ブラック:各1024ノズル イエロー/染料ブラック:各512ノズル |
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印刷速度 | L判フチなし写真 (メーカー公称) |
19秒 | 25秒 | 10秒 | 16秒 | |
A4普通紙カラー (ISO基準) |
12.0ipm | 9.0ipm | 10.0ipm | 10.0ipm | ||
A4普通紙モノクロ (ISO基準) |
16.0ipm | 12.0ipm | 15.0ipm | 15.0ipm | ||
ファーストプリント速度 | A4普通紙カラー | 16.0秒 | 18.5秒 | N/A | N/A | |
A4普通紙モノクロ | 15.0秒 | 16.5秒 | N/A | N/A |
続いて、印刷速度を見てみよう。写真の印刷速度はPIXUS XK500が最も早く10秒、次いでPIXUS XK110の16秒、EW-M873Tの19秒、一番遅いのがEW-M754Tの25秒となる。それぞれに少しずつ印刷速度の差があり、PIXUS XK500とEW-M754Tでは2.5倍の差となっている。差は大きいが、EW-M754Tの25秒でも高速な部類に入る。印刷速度をよほど重視するのでなければ、十分に実用的な速度だと言える。一方文書の印刷速度は、最も高速なのがEW-M873TでA4カラー文書が12ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが16ipmである。次いでPIXUS XK500とPIXUS XK110のカラー10ipm、モノクロ15ipmで、最も遅いのがEW-M754Tのカラー9ipm、モノクロ12ipmである。とはいえ写真印刷ほどの差があるわけでは無く、また、EW-M754Tでもモノクロが1枚5秒、カラーが1枚6.7秒で十分に高速だ。こちらもよほど印刷速度を重視するので無ければ問題ないレベルと言えるだろう。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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(税込) |
L判フチなし写真 | 用紙代込み (メーカー公称) |
8.1円 | 増量:10.0円 使いきり:10.3円 |
10.8円 | 9.8円 |
インク代のみ (予測値)※ |
2.9円 | 増量:4.8円 使いきり:5.1円 |
6.1円 | 5.1円 | ||
A4カラー文書 | 1.8円 | 増量:3.0円 使いきり:3.2円 |
4.0円 | 3.9円 | ||
A4モノクロ文書 | 0.7円 | 増量:1.3円 | 1.6円 | 1.5円 | ||
(A4カラー文書を印刷した場合) |
顔料 ブラック |
6,700ページ | 使いきり:1,100ページ 増量:4,000ページ |
600ページ | 600ページ | |
染料 ブラック |
7,300ページ | 使いきり:1,100ページ 増量:4,000ページ |
4,590ページ | 6,546ページ | ||
カラー | 6,200ページ | 使いきり:1,000ページ 増量:3,700ページ |
802ページ | 802ページ | ||
(税込) |
ブラック(顔料) | 2,046円 | 使いきり:660円 増量:2,200円 |
825円 | 825円 | |
ブラック(染料) | 2,046円 | 使いきり:660円 増量:2,200円 |
627円 | 627円 | ||
カラー | 各2,046円 | 使いきり:各660円 増量:各2,200円 |
627円 | 627円 | ||
同梱インク | インクボトル各色1本 | セットアップ用インクボトル各色1本 | セットアップ用インクカートリッジ各色1本 | セットアップ用インクカートリッジ各色1本 | ||
※写真の印刷コストに含まれる写真用紙代は、各メーカーで異なります。各メーカーの測定条件から、以下のようになっています。 エプソン:5.2円(「写真用紙<光沢>」500枚パック(KL500PSKR)2,600円→1枚5.2円) キャノン:4.7円(「写真用紙・光沢 ゴールド」400枚パック(GL-101L400)1,875円→1枚4.6875円) ブラザー:4.2円(「写真光沢紙」500枚パック2,090円→1枚4.18円) なお、小数点2位以下の関係で0.1円の誤差が発生することがあります。 |
印刷コストを見る前に、インク方式を見ておこう。PIXUS XK500とPIXUS XK110は従来通りのインクカートリッジ方式だ。インクが無くなったらインクカートリッジごと交換となる。カートリッジは各色独立しておりなくなった色だけ交換できる。一方、EW-M873TとEW-M754Tはいずれもエコタンク方式だ。本体にインクタンクが内蔵されており、インクボトルを購入して、タンクに補充する。第2世代ともいうべき、「挿すだけ満タンインク方式」となっており、ボトルを注入口に挿すと注入が始まり、満タンで自動ストップする。注入口とボトル先端の形状が色ごとに変えてあるため、間違ったタンクに注入する危険性も無い。一見するとボトルから補充と言うと大変そうに感じられるが、実際の手間はカートリッジ方式と変わらないレベルだ。逆に、インクが空にならなくても途中で補充が可能なのはカートリッジ方式に対してメリットとなる。多く印刷する前や、時間のあるときに補充しておけば、印刷が終わるのを待っていたらインク切れで途中で止まっていたという事態を防ぐことができる。また、EW-M873TとEW-M754Tでも違いがある。印刷時に左右に動く「プリントヘッド」の上にタンクが乗っている「オンキャリッジ式」を採用するのがEW-M754T、タンクは別の場所に固定されておりタンクとプリントヘッドはチューブでつながれている「オフキャリッジ式」を採用するのがEW-M873Tだ。「オンキャリッジ式」の方がスペースを有効活用でき、長いチューブでつなぐ必要も無いが、動くパーツ上であるため重量の問題や本体サイズに影響が大きい事もあり、あまり大型のタンクに出来ない。一方「オフキャリッジ式」は、別にタンクのスペースが必要な上にチューブも必要だが、タンクを大型化できるメリットがある。ちなみに、カートリッジ方式でも「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」があるが、PIXUS XK500とPIXUS XK110は「オンキャリッジ式」だ。このあたりが、インク1本での印刷枚数、さらには印刷コストに影響してくる。 印刷コストを見ると、L版フチなし写真の場合、EW-M873Tが8.1円、EW-M754Tが10.0円、PIXUS XK500が10.8円、PIXUS XK110が9.8円となる。これには写真用紙代が含まれており、各社の純正用紙で計算するため、エプソンが5.2円、キャノンが約4.7円と差がある。そこで写真用紙代を引いたインク代だけで見ると、2.9円、4.8円、6.1円、5.1円となる。エコタンクでもオフキャリッジ式のEW-M873Tの安さが際立っており、次いでオンキャリッジ式のエコタンクであるEW-M754Tと、PIXUS XK110がほぼ同等、PIXUS XK500がやや高くなる。とはいえ、PIXUS XK500でも、カートリッジ方式にしては印刷コストは安めの設定だ。下位モデルのPIXUS TS8530の場合22.1円(写真用紙代を除くと17.4円)、エプソンの6色カートリッジ方式のEP-883Aでは23.2円(同18.0円)という点から見ても、安さが分かるだろう。PIXUS XK500でも十分に安いが、EW-M754TやPIXUS XK110ではさらに16〜21%安く、EW-M873Tでは半分以下になっている。文書の印刷コストでも、カラー文書の場合、EW-M873Tが1.8円、EW-M754Tが3.0円、PIXUS XK500が4.0円、PIXUS XK110が3.9円となり、L判写真と似ているが、PIXUS XK110がEW-M754Tよりやや高くなり、PIXUS XK500との差がほぼ無くなっている。モノクロ文書の場合、それぞれ、0.7円、1.3円、1.6円、1.5円と、カラー文書と似たような傾向だ。EW-M873Tが圧倒的に安いのは共通だが、文書印刷ならEW-M754Tの方がPIXUS XK500やPIXUS XK110よりやや安くなる。とはいえ1,000枚印刷してEW-M754TとPIXUS XK110の差は、L判写真で300円、カラー文書で900円、モノクロ文書で200円、PIXUS XK500との差でもそれぞれ、1,300円、1,000円、 300円なので、余り気にする必要は無いだろう。 この印刷コストの差の要因はインクの価格とインク1本での印刷枚数だ。EW-M873Tは、インクボトル1本でインクタンクがちょうど満タンになる。1回の補充でA4カラー文書を印刷した場合、顔料ブラックは6,700枚、染料ブラックは7,300枚、カラーインクは各6,200枚も印刷が可能だ。前述の通り、オフキャリッジ式のインクタンクであるためかなり大容量だ。インクボトルの価格は各2,046円で、6色買うと12,276円となり、インクカートリッジ式の1本900〜1,300円、6色で5,500〜8,000円程度と比べるとやや高めだが、印刷できる枚数が圧倒的に多いことから、1枚あたりの印刷コストに換算すると非常に安くなると言う計算だ。印刷枚数が非常に多い人に向いた構成と言えるだろう。 一方、オンキャリッジ式のエコタンク方式であるEW-M754Tも、インクボトル1本でインクタンクが満タンになるのは同じだが、1回の補充での印刷可能枚数は、顔料/染料ブラックは各1,100枚、カラーは各1,000枚となる。EW-M873Tと比べるとかなり少なく見えるが、インクカートリッジ式よりは多くなる。それでいて、インクボトルの価格は1本660円、5本購入しても3,300円と非常に安価だ。EW-M873Tと比べると、印刷枚数は6分の1程度で価格は3分の1程度なので、1枚あたりの印刷コストは高くなる他、インクの補充回数は多くなるが、「一度の補充で6,200ページ以上というと、いつ使い切れるか分からない」というような、印刷枚数はそれほど多くないが、印刷コストを重視する人には向いている構成だ。ちなみに1本660円の「使いきりサイズ」で、インクタンクが満タンになる量である。1本2,200円の「増量タイプ」も用意されるが、約3.7回分入っており価格も3.3倍なので、それほど印刷コストに差は出ない。増量タイプを購入するほど印刷枚数が多いのであればEW-M873Tがオススメなので、EW-M754Tを選ぶ人は、一般的には「使いきりサイズ」を使う事になるだろう。 PIXUS XK500とPIXUS XK110はインクカートリッジ1本で顔料ブラックは600ページ、カラーは約800ページ印刷が出来る(染料ブラックは文書印刷にはあまり使用しないので4,590ページ又は6,546ページと多くなっている)。EW-M754Tと比べるても、顔料ブラックは約55%、カラーは約80%の印刷枚数と、さらに少なくなるが、この2モデルでは印刷可能枚数に変わりは無い。インクカートリッジも同じ物を使用し、顔料ブラックが825円、染料ブラックとカラーが各627円で、PIXUS XK500は6色で3,960円、PIXUS XK500は5色で3,333円となる。印刷枚数は同等だが、色数の多いPIXUS XK500の方が1セットの価格が高くなるので印刷コストが高くなる。ちなみにPIXUS XK110は、同じ5色インクのEW-M754Tと比べると、インクの価格が同じで印刷可能枚数が少ないので不利に思えるが、全てのインクが同じ価格のEW-M754Tに対して、染料ブラックとカラーインクの価格をEW-M754Tより下げることで、それらを使う写真印刷の印刷コストの差を小さくしている。逆に文書の印刷コストで差が大きくなっているのは印刷枚数が少なく価格が高い顔料ブラックをメインで使うためである。PIXUS XK500はインク数が多い分、全体的には印刷コストは上がっているが、傾向としてはPIXUS XK110と同じである。 このように、印刷コストに差があるといっても、その要因は印刷可能枚数によるものと、インクの価格によるものがある。使い方によってどちらを重視するかが違ってくるので注意が必要だ。例えば印刷枚数が多いなら、インク購入時の1度の出費は大きくてもEW-M873Tがオススメだし、そうで無いなら使い切れないほどの大容量を高い価格で買うのは無駄が多いので、インク自体が安く購入できる残る3機種がオススメだ。その3機種も、写真印刷がメインなら大きな差は無いが、文書印刷がメインならEW-M754Tの方が有利だ。 ちなみに、同梱インクの差もある。PIXUS XK500とPIXUS XK110はセットアップ用インクカートリッジとなっており、初期設定時のインク充填で大半を使用してしまう。EW-M754Tはセットアップ用インクボトルとなっているが、別売りの「使いきりサイズ」と同じくインクタンクが満タンになる量が付属している。初期設定後もある程度残るが、元々小型のエコタンクであるため、数百枚分しか印刷できない。それに対して、EW-M873Tは別売りの元と同じインクボトルが1セット同梱され、こちらもインクタンクが満タンになる。EW-M873Tのインクタンクは前述のように、6,200〜7,300枚印刷できる大容量のもので、オフキャリッジ式であるためチューブでつながれているため、インク充填時のインク消費量は他の3モデルより多いとはいえ、かなりの量が残る。初期設定後の印刷可能枚数は公表されていないが、海外の同機能のモデルでは72%ほど残るとされている。少なくとも4,000枚以上は印刷可能と思われ、これはEW-M754Tでは使いきりサイズ各4本分(13,200円)に相当する。PIXUS XK500とPIXUS XK110では4,000枚のプリントに顔料ブラック7本、染料ブラック1本、カラー各5本が必要で、PIXUS XK500なら18,942円、PIXUS XK110なら15,807円となる。この分のインクはEW-M873Tでは購入する必要が無いと考えると、その分だけ本体価格の差は縮まることになる。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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対応用紙サイズ | 定型サイズ | 名刺〜A4 | L判〜A4 | 名刺〜A4 | 名刺〜A4 | |
長尺用紙 | 長さ2,000mmまで | 長さ1,200mmまで | 長さ676mmまで | 長さ676mmまで | ||
給紙機能 (セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
○ (50枚/20枚/20枚) (0.6mm厚紙対応) |
○手差し (1枚/1枚/1枚) (0.6mm厚紙対応) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
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前面 | 【カセット下段】 (100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 2L/B6以下 (20枚/20枚/20枚) |
【カセット】 (100枚/40枚/20枚) |
【カセット】 普通紙のみ (100枚/−/−) |
【カセット】 普通紙のみ (100枚/−/−) |
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その他 | ○ 手差しストレート給紙 (1枚/1枚/1枚) (1.3mm厚紙対応) |
− | − | − | ||
排紙トレイ自動伸縮 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
用紙種類・サイズ登録 | ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) | ○(カセット収納連動) | ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動) | ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動) | ||
用紙幅チェック機能 | − | ○(印刷時) | ○(用紙セット時・用紙サイズ表示) | ○(用紙セット時・用紙サイズ表示) |
続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙サイズは、最大はA4で共通だが、最小はEW-M754TがL判、それ以外の3機種は、より小さな名刺サイズに対応している。名刺サイズに直接印刷が出来ると、数枚の印刷やフチなしデザインも行いやすい。一方長尺用紙に関しては、EW-M873Tが2,000mm(2m)まで対応しており、EW-M754TもA4の約4倍の1200mm(1.2m)まで対応している。パノラマ写真や、横長・縦長のPOPなどの印刷に便利だ。一方PIXUS XK500とPIXUS XK110は676mmまでと、EW-M873TやEW-M754Tと比べると物足りない。 4機種とも前面給紙と背面給紙の両方に対応しているが、細かく見るとその機能には違いがある。前面給紙は4機種ともカセット式だ。用紙をセットしたままでもホコリが積もりにくく、常時セットしておくのに向いている。EW-M873Tはカセットが2段となっており、上段が2L/B6以下の用紙、下段はA4以下となる。上段にL判写真用紙やハガキ、下段にA4普通紙と言った風に2種類の用紙を同時にセットして使い分けが出来るため便利だ。上段はハガキ、写真用紙なら20枚まで、下段は普通紙を100枚までセットできるが、下段にハガキや写真用紙をセットする事も可能だ。その場合ハガキは40枚、写真用紙は20枚までセットでき、上下段を連続で使用する事もできるので、ハガキは60枚、写真用紙は40枚まで交換無しで印刷できる。大量印刷の際に便利だろう。EW-M754Tの前面給紙カセットは1段のみだ。EW-M873Tの下段だけと考えればよく、普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットできる。別の用紙を使用する場合は交換が必要になる点で不便だ。PIXUS XK500とPIXUS XK110の前面給紙カセットも1段だが、こちらはさらに制限があり、普通紙のみとなる。普通紙以外のハガキや写真用紙、ファイン紙などはすべて背面給紙となる。普通紙以外を常時セットしておきたい場合は、不便と言える。 では、背面給紙というと、EW-M754T以外はトレイ式、EW-M754Tは手差し給紙となっている。トレイ式は複数枚の用紙をセットできるため便利だ。PIXUS XK500とPIXUS XK110は普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットでき、一般的な枚数だ。EW-M873Tはそれぞれ50枚、20枚、20枚とやや少なめだが、十分に実用的だ。それに対して、EW-M754Tは1枚ずつしかセットできず、複数枚セットするとエラーとなる。前面給紙カセットにセットした用紙以外を数枚印刷したい場合や、前面給紙からでは扱いにくい厚紙や封筒などの印刷に利用する形となるだろう。ちなみに、厚みに関しては、EW-M873TやEW-M754Tの前面給紙でも、通常の写真用紙やハガキに用いられる0.3mm厚までは対応できる。PIXUS XK500やPIXUS XK110の背面給紙も0.3mm厚程度までとなる。一方、EW-M873TとEW-M754Tの背面給紙は、倍の0.6mm厚まで対応できる。写真店に依頼した写真貼り合わせの年賀状や、アート紙(例えばエプソンのVelvet Fine ArtPaperは0.48mm)の印刷に重宝する。さらに、EW-M873Tは手差しストレート給紙にも対応する。レーベル印刷用のトレイの通り道を、背面から挿し込んで利用できるようにしたもので、1.3mm厚の用紙まで対応できる。背面ユニットを取り外し、そこに取り付けられている手差しユニットを外して本体にセットする必要があり、また背面から用紙をまっすぐに挿し込めるスペースがいるなど、手間はかかるが、従来の一般的なプリンターでは不可能な厚さに対応できるのは、いざという時便利だろう。 複雑なのでまとめると、EW-M873Tは前面2段+背面トレイ+手差しストレート、EW-M754Tは前面1段+背面手差し、PIXUS XK500とPIXUS XK110は前面1段(普通紙のみ)+背面トレイとなる。一度にセット可能な枚数で見ると、普通紙はEW-M873Tが150枚(前面カセット下段100枚+背面トレイ50枚)、EW-M754Tが100枚(前面カセット100枚のみ)、PIXUS XK500とPIXUS XK110が200枚(前面カセット100枚+背面トレイ100枚)とPIXUS XK500/PIXUS XK110が有利だ。もちろん連続で利用できる。ハガキはEW-M873Tが80枚(前面カセット上段20枚+下段40枚+背面トレイ20枚)、EW-M754Tが40枚(前面カセット40枚のみ)、PIXUS XK500とPIXUS XK110が40枚(背面トレイ40枚のみ)と、こちらはEW-M873Tが有利だ。写真用紙もそれぞれ60枚、20枚、20枚と、やはりEW-M873Tが圧倒的に多い。普通紙への印刷が多いならPIXUS XK500とPIXUS XK110が、ハガキや写真用紙への印刷が多いならEW-M873Tが便利だ。 ちなみに全機種が排紙トレイの自動伸縮機能を搭載している。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する機能で、後述の自動電源オン機能と組み合わせると非常に便利だ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットの場合はEW-M873TとEW-M754Tはカセットを挿し込むと、背面給紙の場合EW-M873Tは用紙を挿し込むと、PIXUS XK500とPIXUS XK110は背面給紙の給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。一方、EW-M754T、PIXUS XK500、PIXUS XK110には用紙幅をチェックするセンサーも搭載されている。しかし、エプソンとキャノンで使い方が異なる。EW-M754Tは印刷時に用紙幅をチェックし、用紙サイズが小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部が汚れるのを防ぐ機能である。一方、PIXUS XK500とPIXUS XK110は用紙セット時に用紙幅をチェックし、用紙の登録に活用する。前面給紙カセットの場合は普通紙のみでなので、横幅から用紙サイズを推定する事で、用紙の登録画面自体が表示されず、センサーで認識した用紙サイズを自動登録することで手間を省いている(用紙登録画面の自動表示の説明で、PIXUS XK500とPIXUS XK110の前面給紙の場合が無いのはこのため)。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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自動両面印刷 | 対応/非対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
対応用紙 | 普通紙 ハガキ ファイン紙 |
普通紙 ハガキ ファイン紙 写真用紙 |
普通紙 ハガキ |
普通紙 ハガキ(インクジェット光沢郵便ハガキを除く) |
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対応サイズ | A4 B5 レター ハガキ ユーザー定義サイズ(182×257〜215.9×297mm) |
A4 B5 レター ハガキ ユーザー定義サイズ(102×152〜215.9×297mm) |
A4 B5 A5 レター ハガキ |
A4 B5 A5 レター ハガキ |
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自動両面 印刷速度 |
A4カラー文書 | N/A | N/A | N/A | N/A | |
A4モノクロ文書 | N/A | N/A | N/A | N/A | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 | ○ | − | ○(ネイル印刷対応) | ○(ネイル印刷対応) | ||
写真補正機能 | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(自動写真補正) | ○(自動写真補正) | ||
特定インク切れ時印刷 | − | − | − | − | ||
自動電源オン/オフ | ○/○ | ○/○ | ○/○ | ○/○ | ||
廃インクタンク交換 | ○(メンテナンスボックス交換可) | ○(メンテナンスボックス交換可) | − | − | ||
フチなし吸収材エラー時の対応機能 | ○(フチあり印刷継続可) | ○(フチあり印刷継続可) | − | − |
その他、プリントの付加機能を見てみよう。まず4機種とも自動両面印刷機能を搭載している。普通紙だけでなくハガキなどにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。さらに、EW-M873TとEW-M754Tはファイン紙への両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利だが、PIXUS XK500/PIXUS XK110では手動で片面ずつ印刷するしか無い。ファイン紙への両面印刷を考えている人にはEW-M873TとEW-M754Tは便利だ。加えて、EW-M754Tは両面写真用紙への自動両面印刷にも対応している。一方、PIXUS XK110はハガキの自動両面印刷は可能だが、インクジェット光沢郵便ハガキのみ非対応となっている点は注意が必要だ。対応用紙サイズにも違いがある。4機種ともA4、B5、ハガキサイズと、日本では馴染みが薄いがレターサイズに対応している。PIXUS XK500とPIXUS XK110は加えてA5サイズにも対応する。一方、EW-M873TとEW-M754Tは定型サイズはこれだけだが、ユーザー定義サイズ、つまり定型サイズではない用紙でも自動両面印刷が出来るのがメリットだ。最小サイズはEW-M873Tは182×257mmなのでB5サイズとなるが、EW-M754Tは102×152mmで、A5サイズ(148×210mm)より小さいKGサイズまで対応する。EW-M754Tが最も対応用紙も対応サイズも幅広いと言える。 CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能はEW-M754T以外の3モデルが搭載している。レーベル印刷のトレイを使わない時は、前面給紙カセットの裏側に収納できるため無くす心配も無い。また、PIXUS XK500とPIXUS XK110はレーベル印刷用挿し込み口を利用したネイル印刷にも対応する。写真の自動補正機能としては、EW-M873TとEW-M754Tは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS XK500とPIXUS XK110は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。もちろんパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。 自動電源オン/オフ機能も4モデルとも搭載している。自動電源オンは、印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線/有線LAN接続(対応機種のみ)ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。4機種とも前述のように排紙トレイも自動的に伸張するため、印刷が完了した頃に取りに行くだけと非常に便利だ。また、指定した時間プリントやスキャン、本体での操作が無いと、自動的に電源がオフになるため、電源オンのままにしてしまう事も無い。逆に自動電源オン機能があるので、電源を入れっぱなしにする必要もなくなる。 EW-M873TとEW-M754Tの搭載する便利な機能が、廃インクタンク(メンテナンスボックス)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、EW-M873TとEW-M754Tはインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(EW-M873T用は2,618円、EW-M754T用は1,078円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。さらに、この2機種はフチなし吸収材が満タンになったときも、便利になっている。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、PIXUS XK500やPIXUS XK110などの多くの機種はプリントが完全に止まってしまうが、EW-M873TとEW-M754Tはフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているのである。急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるというわけだ。 |
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メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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最大スキャンサイズ | A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
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読み取り解像度 | 1200dpi(1200×4800dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | 2400dpi(2400×4800dpi) | 2400dpi(2400×4800dpi) | ||
センサータイプ | CIS | CIS | CIS | CIS | ||
原稿取り忘れアラーム | − | − | ○ | ○ | ||
スキャンデーターのメモリーカード保存 | ○(JPEG/PDF) | ○(JPEG/PDF) | − | − (スキャンしてスマホ保存対応) |
続いて、スキャナー部を見てみよう。スキャンサイズに関しては最大A4サイズ(216×297mm)で同等だ。読み取り解像度はPIXUS XK500とPIXUS XK110は2400dpi、EW-M873TとEW-M754Tは1200dpiとなる。解像度に差があるが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを2400dpiで取り込むと約8,400×12,000ドットとなり1億画素相当となる事から、ファイルサイズが大きくなりすぎてパソコンでは扱いにくい。読み取り解像度が高く設定できる事にデメリットはないが、ややオーバースペックであり、実用上は4機種に差は無いと言える。また、EW-M873Tは1200×4800dpi、EW-M754Tは1200×2400dpiと微妙に異なっている。前の方の数字は主走査と呼ばれ、短辺の方の解像度、つまりスキャナーの読み取りセンサーの解像度となる。一方、後の方の数字は副走査と呼ばれ、長辺の方の解像度、つまり読み取りセンサーの移動方向の解像度となる。つまり、両機種とも1200dpiの読み取りセンサーを搭載する点では同等だが、センサーの移動精度は、EW-M873Tが4800dpi、EW-M754Tは2400dpiとなる。とはいえセンサーの解像度以上に高い解像度でスキャンする事はほとんど無いため、両機種とも1200dpi(1200×1200dpi)でのスキャンとなる点ではほぼ差が無いと言えるだろう。 ちなみに、いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。EW-M873TとEW-M754Tはスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリーカードに保存する機能を搭載しているためパソコン無しで簡単にスキャンができる。一方、PIXUS XK110は、スキャンしてスマホに保存する機能を搭載する。本体操作でスキャンを行うと自動的にネット上にアップロードされ、そのアドレスのQRコードが表示されるので、スマホからアクセスしてダウンロードする形となる。スマホのアプリからスキャンする方が便利だが、スマホとプリンターをWi-Fiで接続しなくてもスキャンデーターを受け取れるのは便利だ。また PIXUS XK500とPIXUS XK110は原稿を取り忘れた際に警告してくれる機能を搭載しているなど、それぞれ工夫が見られる。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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ダイレクトプリント | メモリーカード | SD (最大256GB) メモリーカードリーダー対応 (最大2TB) |
メモリーカードリーダー対応 (最大2TB) |
SD | SD | |
USBメモリー | ○ (外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) (最大2TB) |
○ (外付けHDD対応) (最大2TB) |
− | − | ||
赤外線通信 | − | − | − | − | ||
対応ファイル形式 | JPEG | JPEG | JPEG/TIFF | JPEG/TIFF | ||
最大解像度 | 10,200×10,200ドット | 10,200×10,200ドット | N/A | N/A | ||
最大読込ファイル数 | 9,990枚 | 9,990枚 | 50,000枚 | 50,000枚 | ||
日付印刷 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
写真切り出し | ○(ズーム/回転) | ○(ズーム/回転) | ○(トリミング) | ○(トリミング) | ||
フチなし/フチあり切り替え | ○(フチ4種類・フチ太さ3〜39mm) | ○(フチ4種類・フチ太さ4段階) | ○ | ○ | ||
色補正機能 | 赤目補正 明るさ調整(+4〜-4) コントラスト調整(+4〜-4) シャープネス調整(3段階) 鮮やかさ調整(+4〜-4) 色調補正(RGB独立・+4〜-4) フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス) 色補正一覧印刷 編集した写真の別名保存 |
赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
赤目補正 クリエイティブフィルター(明るく/暗く/モノクロ/セピア/アンティーク調/ビンテージ調/鮮やか/温かく/シネマ調) |
赤目補正 | ||
手書き合成 | ○ | ○ | ○(ディスクレーベル対応) | ○(ディスクレーベル対応) | ||
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ | ○/○ | −/− | −/− | −/− | ||
PictBridge対応 | ○(USB/Wi-Fi) | ○(USB/Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | ||
各種デザイン用紙印刷 | 塗り絵印刷 フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 撮影情報付き印刷 インデックス |
塗り絵印刷 フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ CDジャケット印刷 撮影情報付き印刷 インデックス |
カレンダー印刷 定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳) ディスクレーベル印刷 組み込みパターンペーパー |
カレンダー印刷 定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳) ディスクレーベル印刷 組み込みパターンペーパー |
ダイレクト印刷を見てみよう。EW-M873TはSDカードリーダーとUSBポートを搭載しているため、SDカードやUSBメモリーからの写真印刷に対応している。またこのUSBポートは、外付けハードディスクや外付けDVDドライブにも対応しているため、これらからの印刷が行える他、メモリーカードリーダーにも対応しているので、SDカード以外のメモリーカードを利用したい場合でも、パソコン用のカードリーダーを用意すれば可能だ。EW-M754TはUSBポートのみ搭載している。SDカードリーダーが無いため、SDカードからのダイレクト印刷が出来ないように見えるが、こちらもメモリーカードリーダーには対応するので、別途用意すればSDカードをはじめ、各種メモリーカードにも対応できる。USBポートはUSBメモリーと外付けハードディスクにも対応するが、EW-M873Tと異なり外付けDVDドライブには非対応となる。また、PIXUS XK500とPIXUS XK110はSDカードのみでUSBメモリーなどには非対応だ。 EW-M873Tはダイレクト印刷時に高性能な色補正機能を搭載しているのが売りで、PIXUS XK500もクリエイティブフィルターを搭載しているのを売りの一つとしている。しかし、実際の機能は大きく異なっている。4機種で共通しているのは、日付印刷機能と、写真の一部を拡大印刷する「ズーム/回転」又は「トリミング印刷」機能、「赤目補正」機能、フチあり・フチなしの切り替えだけである。そしてPIXUS XK110はこれ以外の機能を搭載していない。また、フチあり・フチなしの切り替えについても、PIXUS XK500/PIXUS XK110は通常の白フチ(というよりフチなし印刷をしない)と、フチなし印刷が選べるだけだ。それに対してEW-M873TとEW-M754Tでは、白フチだけでなく黒フチも選べる他、写真の周囲にフチの色とは逆の細い枠線の入った黒枠付きの白フチ、白枠付きの黒フチも選べる。また、フチの太さも、EW-M754Tは4段階から、EW-M873Tに至っては、3〜39mmの間で1mm単位で指定できる。フチの大きさを変えることで雰囲気を変えたり、額縁で見えない部分に合わせたフチの太さを設定するなど、こだわった設定が可能だ。 また、4機種とも、自動で写真の色補正が行われる「オートフォトファイン!EX」又は「自動写真補正」は使用できるが、PIXUS XK110は手動では一切調整することは出来ない。それに対して、EW-M754Tは明るさ、コントラスト、シャープネス、鮮やかさが5段階から調整ができる他、セピア調又はモノクロのフィルターにも対応している。EW-M873Tはさらに高性能な「作品印刷機能」と呼ぶ機能を搭載しており、「明るさ」「コントラスト」「シャープネス」「鮮やかさ」の他、レッド、グリーン、ブルーのそれぞれの色調を+4から-4の9段階で調整できる(シャープネスは3段階)。さらにフィルターも「レトロ」「セピア」「トイフォト」「ハイキー」「ポップ」「デイドリーム」「モノクロ」「クロスプロセス」といった8種類を用意している。また液晶画面上での調整では印刷時に異なる場合があるため、選んだ写真の色補正一覧を印刷し、その中から好みの物を選ぶことができる機能も備える。さらに、作り込んだ写真を、別名でメモリーカードに保存できるため、再度印刷する際に、補正設定をし直さなくても良いのもアドバンテージだ。また、EW-M873Tはメモリーカードから、USBメモリーや外付けHDDにバックアップする機能も備えているため、高度な色補正から、写真のバックアップ、さらにバックアップ先から印刷と言ったことがパソコン無しで行える。パソコンを所持していないユーザーには、一通りの事が行えるためオススメと言える。では、PIXUS XK500の「クリエイティブフィルター」はというと、「明るく」「暗く」「モノクロ」「セピア」「アンティーク調」「ビンテージ調」「鮮やか」「温かく」「シネマ調」の9種類のフィルターがかけられるだけだ。「明るく」や「暗く」「鮮やか」「温かく」に、EW-M873TやEW-M754Tのように段階があるわけでもない。PIXUS XK500は、高性能な色補正を売りにしているEW-M873Tはおろか、EW-M754Tと比べても、かなり簡易的な機能である事が分かる。確かに、キャノンの中では自由度の高い色補正機能を搭載しているといえるが、エプソンでは写真印刷向けの機種には色補正の手動調整機能を搭載しているのが標準となっている事から、そのEW-M754Tにも及ばない事になる。これらから、写真の色補正機能の自由度は、EW-M873T、EW-M754T、PIXUS XK500、PIXUS XK110の順となる。ある程度好みの明るさや鮮やかさに調整したいという人はEW-M873TかEW-M754Tがオススメだ。 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートは4機種とも対応している。またPIXUS XK500/PIXUS XK110は写真やハガキだけでなくCD/DVD/Blu-rayレーベルの手書き合成にも対応している。その他、EW-M873TとEW-M754Tは塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカードなどが印刷できるフォーム印刷機能、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」機能、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、写真を1〜数枚並べたフォトブックを印刷する機能、背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」機能の他、写真を1枚又は複数枚並べてCDジャケットを作成できる機能を搭載する。また、写真一覧を印刷できる「インデックスプリント」だけで無く、「撮影情報付き印刷」なら撮影日時やシャッタースピード、焦点距離とF値、カメラ名などと共に一覧印刷が可能だ。さらに、ディスクレーベル印刷に対応したEW-M873Tは写真を1枚又は複数枚並べてディスクのレーベル面に印刷できる機能も搭載する。一方のPIXUS XK500とPIXUS XK110では写真をはめ込んだ「カレンダー印刷」機能や、レポート用紙、原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳が印刷できる「定型フォーム印刷」、写真をディスクレーベルに印刷する機能、カラフルなパターンを印刷してスクラップブックの台紙やブックカバーなどに使える「組み込みパターンペーパー」印刷機能を搭載している。4機種とも単体でも機能は豊富であるといえるが、EW-M873TとEW-M754Tは特に機能が豊富と言える。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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スマートフォン連携 | アプリ | メーカー専用 | Epson Smart Panel Epson Print Layout (EPSON iPrintにも対応) |
Epson Smart Panel (EPSON iPrintにも対応) |
Canon PRINT Inkjet/SELPHY | Canon PRINT Inkjet/SELPHY |
AirPrint | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
対応端末 | iOS 13.0以降 Android 8.0以降 (Epson Print Layout使用時はiOS 13.0以降・Android非対応) |
iOS 13.0以降 Android 8.0以降 |
iOS 14.0以降 Android 6.0以降 |
iOS 14.0以降 Android 6.0以降 |
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Wi-Fiダイレクト接続対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 | ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) | ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) | ||
スマートフォンから初期設定 | ○(Bluetooth LEで自動接続) | ○(Bluetooth LEで自動接続) | − | − | ||
スマートスピーカー対応 | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | ||
写真プリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ドキュメントプリント | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
Webページプリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
スキャン | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ||
クラウド連携 | プリント | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | ○/○ | ○/○ |
オンラインストレージ | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ||
SNS | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | ||
写真共有サイト | − | − | ○(googleフォト/image.canon) | ○(googleフォト/image.canon) | ||
スキャン | アプリ経由/本体 | ○/○ | ○/○ | ○/○ | ○/○ | |
スキャンしてオンラインストレージにアップロード | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) (google classroomはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) (google classroomはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) (OneDrive/google classroomはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) (OneDrive/google classroomはアプリからのみ) |
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メールしてプリント | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | − | − | ||
LINEからプリント | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
リモートプリント | ○(リモートプリントドライバー) | ○(リモートプリントドライバー) | ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) | ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) | ||
スキャンしてリモートプリント | ○ | ○ | − | − |
スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。さらにEW-M873Tは、通常のEpson Smart Panelの他、プロ向けのプリンター用に提供される、より高度な写真印刷が行えるアプリ「Epson Print Layout」も利用可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キャノンでの機能名はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、それぞれの機種で接続支援機能が提供される。iOSの場合、4機種ともQRコードを利用する。本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無い。Androidの場合、EW-M873TとEW-M754Tはアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で非常に簡単だ。PIXUS XK500とPIXUS XK110はWi-Fi設定メニューから、iOSと同じくQRコードを読み取る事で接続できる。非常に簡単に接続出来るが、Android 10.0以降の対応となるため、比較的新しい端末でしか使用できない点は注意が必要だ。iOSならどの機種でも良いが、Androidの場合は使っているスマートフォンやタブレットのAndroidのバージョンによってはEW-M873TとEW-M754Tが便利だといえる。 さらに、EW-M873TとEW-M754Tにはスマホからプリンターの初期設定を簡単に行える機能も搭載する。アプリ上で「新規セットアップ」を選択し、初期設定を行っていないEW-M873T/EW-M754Tの電源をオンにすると、型番が一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用してEW-M873T/EW-M754Tに自動接続される。そして、設置からインクの補充方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にEW-M873T/EW-M754Tをスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。インクの補充などの手順が非常に分かりやすいほか、自動的にネットワークの設定まで行われるので、パソコンを使わない人にとって初期設定のハードルはPIXUS XK500やPIXUS XK110と比べるとかなり低いと言える。 クラウドとの連携機能も4機種とも搭載されている。プリントの場合、オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS XK500/PIXUS XK110は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、EW-M873T/EW-M754Tはスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、PIXUS XK500/PIXUS XK110はスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、本体だけで手軽にアクセスできる方法と、操作性が良いアプリ上で行う方法が選べるという点ではPIXUS XK500/PIXUS XK110が便利だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、4機種とも本体の操作でアップロードまで行うことも、スマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる(OneDrive/google classroomはスマートフォン用アプリ経由)。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため便利だ。 さらにリモートプリント機能として、EW-M873T/EW-M754Tは、印刷したい写真や文書を添付してこれらの機種にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS XK500/PIXUS XK110はLINEのトーク画面から印刷する「PIXUSトークプリント」と、パソコン上のファイルをリモートプリントする「PIXUSでリモートプリント」機能を搭載する。ただし、「PIXUSでリモートプリント」は通常のプリント操作のままリモートプリントが出来るのでは無く、ファイルをアップロードする方式で、Windows 11/10でEdge又はChromeからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPointに限定される。特別な操作が必要なく、プリントできるソフト上からなら形式を問わないEW-M873TやEW-M754Tと比べると使いにくい印象だ。リモートプリント機能はEW-M873T/EW-M754Tの方が豊富だと言える。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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等倍コピー | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
拡大縮小 | 倍率指定 | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | |
オートフィット | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
定型変倍 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
フチなしコピー | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー | ○ | − | ○ | ○ | ||
写真焼き増し風コピー | ○(退色復元対応) | ○(退色復元対応) | ○(色あせ補正対応) | ○(色あせ補正対応) | ||
割り付け(2面/4面) | ○/− | ○/− | ○/○ | ○/○ | ||
プレビュー | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
その他のコピー機能 | 濃度調整 背景除去機能 鮮やかさ調整 色調調整(RGB独立) 色相調整 |
濃度調整 背景除去機能 |
濃度調整 | 濃度調整 | ||
バラエティコピー | 見開きコピー IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
見開きコピー IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 大判原稿コピー |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える高性能な物を搭載している。また、CD/DVD/Blu-rayレーベルプリントに対応したEW-M873T、PIXUS XK500、PIXUS XK110は、レーベルコピーに対応している。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、EW-M873T/EW-M754Tは「退色復元」、PIXUS XK500/PIXUS XK110では「色あせ補正」と名称は異なるが、4機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。また、4機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。さらにPIXUS XK500/PIXUS XK110では4枚の原稿を1枚に縮小する4面割り付けにも対応している。 プレビュー機能も4機種とも搭載しており、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できる。また、濃度調整機能は4機種とも搭載する。その他、EW-M873Tは、背景色を白にして見やすくする「背景除去機能」の他、鮮やかさ、色調、色相の調整が可能だ。色調調整は、レッド・グリーン・ブルーを個別に調整できる。好みの色合いに調整したり、元の原稿に近い色合いに調整するなど、かなり高度な色の調整が可能だ。それに対してEW-M754Tはプレビューと濃度調整以外は「背景除去機能」のみ、PIXUS XK500/PIXUS XK110はプレビューと濃度調整のみで、細かな調整はできない。 その他、EW-M873T/EW-M754TはA4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付コピーする「見開きコピー」も搭載する。通常の2面割付と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。1枚に2面割り付けするのでは無く両面印刷も可能だ。さらに、免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の紙に並べて印刷する「IDコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」の他、コピー時にも「塗り絵印刷」が行える。さらに「リピートコピー」機能は、同じ内容を複数枚並べてコピーするもので、2面割り付けと異なり、1枚の原稿を複数枚並べるので、チラシや手書きメモ、名前シールなどのコピーに便利だ。一方、PIXUS XK500/PIXUS XK110には厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能と「IDコピー」機能の他、コピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」も可能だ。さらに、PIXUS XK110は「大判原稿コピー」機能も搭載する。A3又はB4原稿を、左右2回に分けてスキャンする事で、それぞれA4又はB5用紙にコピー出来る機能だ。2面割付でも似たような事が可能だが、こちらは用紙の中央部にも余白が出来る一方、「大判原稿コピー」では右半分と左半分をできるだけくっつけた状態となるため、A3やB4原稿をそのままコピーしたような形にすることができる。このように、それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ||
型番 | EW-M873T | EW-M754T | PIXUS XK500 | PIXUS XK110 | ||
製品画像 | ![]() |
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液晶ディスプレイ | 4.3型 (70度角度調整可) |
4.3型 (90度角度調整可) |
4.3型 (90度角度調整可) かんたんモード搭載 |
2.7型 (90度角度調整可) Switch UI(3種) |
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操作パネル | タッチパネル液晶 (70度角度調整可) |
タッチパネル液晶 (90度角度調整可) |
タッチパネル液晶 (90度角度調整可) |
タッチパネル液晶+物理ボタン (90度角度調整可) |
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インターフェイス | USB他 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | |
無線LAN | IEEE802.11ac/n/a/g/b (5GHz帯対応) |
IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11n/a/g/b (5GHz帯対応) |
IEEE802.11ac/n/a/g/b (5GHz帯対応) |
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有線LAN | 100BASE-TX | − | − | − | ||
対応OS | Windows 11/10/8.1/8/7/VistavXP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.9.5〜 |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.13.6〜 (AirPrint使用) |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.14.6〜 (AirPrint使用) |
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耐久枚数 | 5万枚 | 5万枚 | N/A | N/A | ||
外形寸法(横×奥×高) | 403×369×162mm | 390×339×166mm | 372×345×142mm | 372×345×142mm | ||
重量 | 8.4kg | 6.3kg | 6.6kg | 6.6kg | ||
本体カラー | ブラック | ホワイト ブラック |
ダークシルバーメタリック | ホワイト |
操作パネルは4機種ともタッチパネル液晶を基本とする点では同じである。本体前面に配置され、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能なのも4機種共通だ。EW-M873T以外の3機種は最大90度まで、EW-M873Tも最大70度まで起こすことができるので、垂直から(ほぼ)水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。ただし、液晶サイズや操作性には差がある。EW-M873T、EW-M754T、PIXUS XK500は4.3型という大型の液晶を搭載し、電源ボタン以外はスタートや戻ると言ったボタンも液晶内に表示されるため、操作性は同等だ。全ての操作が液晶内で完結するため分かりやすく、バックライトが入っているため暗い場所でも操作しやすい。それに対して、PIXUS XK110は2.7型液晶とかなり小型になる。それを補うために「ホーム」「戻る」「カラースタート」「モノクロスタート」「ストップ」といった使用頻度の高いボタンは液晶外に物理ボタンで用意する。液晶内にこれらのボタンを表示しなくても良いため、液晶のサイズ差から想像するほど表示サイズに差は無いが、逆に操作の最後は液晶外のボタンとなる事や、物理ボタンは暗いところでは見にくいなど、操作性が劣るのは確かだ。ちなみにPIXUS XK500とPIXUS XK110は液晶内のUI(ユーザーインターフェース)を切り替える事が出来る。PIXUS XK500は「かんたんモード」を搭載する。切り替えると、ホーム画面が「コピー」「はがきコピー」「SDカード印刷」の大きなボタンと、「お手入れ」「インク」ボタンだけとなる。また、それぞれのボタンを押した場合も、通常のコピーやSDカードからの印刷メニューに入るのでは無く、基本的な機能に限定することでステップ数を減らしたメニューとなっている。通常メニューとの切り替えも簡単なので、高齢者や機械が苦手なユーザーと、様々な機能を使いたいユーザーが共同で利用する家族でも便利になっている。一方PIXUS XK110は「Swich UI」を搭載する。標準のメニューとは別に、3種類に切り替えが可能で、それぞれ3つの機能を自由に登録出来る。また、ロックをかけることで、チャイルドロックとしても使用できる。家族それぞれが自分好みのメニューを作ったり、使用する場面にあわせでメニューを切り替える事で、より分かりやすく、スムーズに操作が行える。 インターフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またネットワーク接続をすればスマートフォンやタブレットからの印刷も便利になる。さらに、EW-M873Tは有線LAN接続にも対応する。環境や距離の面で無線LANでは不安定だったり、接続設定などなく簡単に接続したい場合に有線LAN接続ができるとより便利だろう。一方、無線LAN機能にも差があり、EW-M754TはIEEE802.11n/g/b規格にのみ対応するが、これは2.4GHz帯を使用しており、障害物には強いが電子レンジや電話の子機、無線のマウスやBluetoothなどと干渉しやすい問題がある。その点で他の3機種は5GHz帯のIEEE802.11n/aにも対応しており、電波干渉を避けられる。さらにEW-M873TとPIXUS XK110はIEEE802.11acにも対応しており、5GHz帯を利用する事で安定するだけでなく、より高速な通信が行える。Wi-Fi接続を考えている人には、この機能差は重要だ。 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンのEW-M873TとEW-M754TはWindows XP SP3以降は全て対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。MacOSもドライバーはダウンロード対応とはなるが専用のものが提供され、EW-M873Tは10.6.8以降、EW-M754Tは10.9.5以上と比較的古いバージョンに対応する。一方、キヤノンのPIXUS XK500/PIXUS XK110はWindows 7 SP1/8.1/10/11のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSもPIXUS XK500は10.13.6以降、PIXUS XK110は10.14.6以降と比較的新しいバージョンに限られるだけでなく、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。 本体サイズを見てみよう。EW-M873Tが403×369×162mm、EW-M754Tが390×339×166mm、PIXUS XK500とPIXUS XK110が372×345×142mmとなる。EW-M873Tは一回り大きいが、オフキャリッジ式のエコタンクを搭載していることを考えるとコンパクトだ。EW-M754TとPIXUS XK500/PIXUS XK110を比べると、EW-M754Tは横幅と高さがやや大きく、PIXUS XK500/PIXUS XK110は奥行きがやや大きい。ただ、PIXUS XK500/PIXUS XK110は、下部の前面給紙カセットとその左右部分だけが前に飛び出しているデザインであるため、それ以外の奥行きは345mmよりはやや小さくなる。見た目で言うと、EW-M754Tが全体に一回り大きい印象だ。ただ、EW-M873Tも含めて、それほど大きな差では無いため、よほど設置スペースに制限がなければ問題ないだろう。むしろ、使用時を考えた方が差が大きい。EW-M873TとEW-M754Tは基本的に前面給紙カセットだけで全ての用紙(0.3mmmを超える厚紙を除く)が使えるため、背面給紙を使わなければ後方にスペースは不要だ。特にEW-M754Tの背面給紙は手差し給紙であるため、後方にスペースがなくても手で支えれば使用可能だ。それに対して、PIXUS XK500/PIXUS XK110の前面給紙は普通紙のみであるため、背面給紙を使わない(=普通紙印刷しかしない)とは考えにくく、後方にも上方にもスペースが必要だ。それを考えると、通常使用時はEW-M873TやEW-M754Tの方がスペースは小さくて済む。ただし、EW-M873Tは背面給紙を使用する場合は同じくスペースが必要な上、背面ストレート給紙を使い場合は、後方からまっすぐ挿し込む事になるため、用紙の長さ分のスペースが必要となる点は注意が必要だ。 ちなみ本体色のカラーバリエーションはEW-M754Tのみブラックとホワイトから選べる。EW-M873Tはブラック、PIXUS XK500はダークシルバーメタリック、PIXUS XK110はホワイトとなる。また、本体の耐久枚数にも違いがある。EW-M873TとEW-M754Tは5万枚となっており、一般的な家庭用プリンターは1万〜1万5000枚程度と言われているため、3〜5倍の耐久性となっている。一方のPIXUS XK500/PIXUS XK110は非公開ながら、一般的な家庭用プリンターをベースに作られているため、耐久性は家庭向けと同程度の可能性が高い。印刷コストが安い事から印刷枚数が多いと予想されるため、高耐久なEW-M873TとEW-M754Tの方が長く使える安心感がある。 4機種の内、最も価格の高いEW-M873Tは、高機能と低印刷コストの両方取りである。機能も、単純な画質や印刷速度面だけで無く、給紙方式の豊富さや対応用紙の多さ、ダイレクト印刷時の機能の豊富さや、Wi-Fi機能、有線LAN接続などで、他の3機種より抜きに出ている。エプソンならではのリモートプリントやコピー機能の豊富さに加えて、スマホ用アプリもプロ用の物を利用できるなど隙が無い。もちろん、基本的な画質面や耐保存性、印刷速度、コピー機能、本体の操作性なども他の3機種に勝るとも劣らない。負けているところと言えば写真の印刷速度だが、それも気になるほど遅いわけでは無い。なにより印刷コストが圧倒的に安い。印刷枚数が多いなら、同梱のインク量の差や、今後のインク代を考えると本体の価格差は気にならないし、そうで無くても機能面で魅力を感じるならEW-M873Tがオススメだ。 一方、6色インクにこだわる場合や、操作性、レーベル印刷、自動両面印刷など基本的な機能は落としたくないが、印刷コストやダイレクト印刷時の機能はそこそこで良いというのではればPIXUS XK500となる。印刷速度も速く、コピーやスマートフォン・クラウド関連の機能にも問題は無い。それでいてEW-M873Tより15,000近く安くなる。ただし印刷コストは、プリンター市場全体から見れば安いが、4機種中では最も高い点は気になるところだ。また、EW-M873Tと比べてしまうと、写真の耐保存性や長尺印刷、厚紙対応や前面給紙カセットの利便性、廃インクタンクの交換、写真やコピー時の色補正機能、無線LANと有線LAN機能、本体の耐久性など、細かく見れば劣る部分も多いが、全体的な性能は高いレベルとなっている。突出した部分は無いが、大きく劣るところも無いため、基本的な機能がそつなく搭載されており、印刷コストがある程度安い方が良いユーザー向けだ。ただし、クリエイティブフィルターに関しては、過大な評価は禁物だ。 一方、5色インクでも気にならないなら、EW-M754T又はPIXUS XK110がオススメだ。実用上で言うと、6色インクと5色インクでの差は小さいのも確かだ。また、EW-M873Tほどでは無いが、PIXUS XK500よりやや印刷コストが安いのも魅力だ。それでいて本体価格も3,400〜7,700円安くなる。ただ、低価格化のために、インク色数以外にも諦めなければならない機能がある。EW-M754Tでは前面給紙カセットが1段で背面給紙も手差しとなり給紙機能が劣る事と、ディスクレーベル印刷機能が非対応であること、印刷速度がやや遅い事が挙げられる。PIXUS XK110では光沢ハガキへの自動両面印刷が非対応である点や、ダイレクト印刷時に手動調整が一切出来ない事などもあるが、一番大きいのは液晶が小さく操作性で劣る事だろう。EW-M754Tの方が劣る部分が多いように感じるが、逆にPIXUS XK110がPIXUS XK500の完全な下位もデルなのに対して、EW-M754TはPIXUS XK500と比べても優れた部分もある。写真の耐保存性や廃インクタンクの交換、本体の耐久枚数はEW-M873Tと同じだし、ダイレクト印刷時の色補正機能も、PIXUS XK500よりよほど実用的な機能が搭載されている。よって、写真印刷がメインの場合や、写真のダイレクト印刷やコピーなど本体の操作が多いならEW-M754Tが、文書印刷がメインならPIXUS XK110がオススメと言える。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ブラザーhttps://www.brother.co.jp/
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