今年も年賀状シーズンがやって来た。世間では年賀状は減ってきているとは言え、プリンターはやはり年末がメインで、9〜10月に新製品が多く登場する。ここ数年は新型コロナウィルスの影響により、新製品より商品そのものの在庫がないという状況が続いていたが、ようやく改善傾向が見られるようだ。そのためか、今年は新製品もそれなりに発表されている。エプソンはカラリオシリーズの上位3機種に新製品が登場した他、ファクス付き複合機やその単機能プリンターも新製品に移行している。そしてビジネス向け単機能プリンターに8年半ブリの新製品が登場するなど、家庭向け以外の新製品も目が離せない。キャノンは家庭向けPIXUSシリーズでは、XKシリーズとTSシリーズの売れ筋2機種が新機種化した他、ギガタンク搭載複合機とプリンターの下位モデルが新機種となった。またビジネス向けギガタンク搭載複合機に新しく下位モデルが追加されている。こちらも家庭向けは少数で、ギガタンクやビジネス向けと言った新製品が目を引く。ブラザーはさらに意欲的だ。去年はA4複合機のラインナップが総入れ替えとなったが、今年はA3複合機とプリンターが総入れ替えとなった。これにより2年で全機種が新機種へと入れ替わったことになる。しかも、A3複合機・プリンターは大幅な機能強化を図っている。さらにA4複合機の下位モデルが復活、またカッター内蔵複合機と言った特殊な製品も登場している。
それでは、最新のラインナップがどう変わったのかメーカー別に見ていこう。さらに、その下では、
●新機種が旧機種とどう変わったのか1機種ずつ徹底比較
●各メーカー内でのラインナップを系統ごとに徹底比較
●同系統・同価格帯のエプソン・キャノン・ブラザーの製品で、どの機種がオススメかを徹底比較
のページを用意しているので、そちらも合わせて見て頂きたい。
| 2022年春時点の機種 | → | 2022年末時点の機種 |
カートリッジ 方式 |
カラー |
複合機(A3プリントA4スキャン) |
EP-982A3 | → | EP-982A3 | 継続販売 |
複合機 (A4) |
EP-884A | → | EP-885A | 2022年10月20日発売 |
EP-814A | → | EP-815A | 2022年10月20日発売 |
EP-714A | → | EP-715A | 2022年10月20日発売 |
EW-452A | | EW-452A | 継続販売 |
EW-052A | → | EW-052A | 継続販売 |
ファクス機能付き複合機 (A3) |
PX-M6011F | → | PX-M6011F | 継続販売 |
PX-M6010F | → | PX-M6010F | 継続販売 |
ファクス機能付き複合機 (A4) |
PX-M885F | → | PX-M887F | 2022年11月10日 |
PX-M730F | → | PX-M730F | 継続販売 |
EW-M530F | → | EW-M530F | 継続販売 |
単機能プリンター(A2) |
SC-PX1VL | → | SC-PX1VL | 継続販売 |
単機能プリンター(A3) |
SC-PX1V | → | SC-PX1V | 継続販売 |
EP-50V | → | EP-50V | 継続販売 |
PX-S6010 | → | PX-S6010 | 継続販売 |
PX-S5010 | → | PX-S5010 | 継続販売 |
単機能プリンター(A4) |
EP-306 | → | EP-306 | 継続販売 |
PX-S885 | → | PX-S887 | 2022年11月10日 |
PX-S740 | → | PX-S730 | 2022年10月20日 |
PX-105 | → | PX-105 | 継続販売 |
コンパクトプリンター |
PF-81-2022 | → | PF-81-2023 | 2022年10月20日発売 |
PF-71 | → | PF-71 | 継続販売 |
モバイルプリンター |
PX-S06 | → | PX-S06 | 継続販売 |
モノクロ |
ファクス付き複合機(A4) |
PX-M380F | → | PX-M380F | 継続販売 |
単機能プリンター(A4) |
PX-S380 | → | PX-S380 | 継続販売 |
PX-K150 | → | PX-K150 | 継続販売 |
エコタンク 方式 |
カラー |
ファクス機能付き複合機 (A3) |
PX-M6712FT | → | PX-M6712FT | 継続販売 |
PX-M6711FT | → | PX-M6711FT | 継続販売 |
ファクス機能付き複合機 (A3プリントA4スキャン) |
EW-M5610FT | → | EW-M5610FT | 継続販売 |
ファクス機能付き複合機 (A4) |
PX-M791FT | → | PX-M791FT | 継続販売 |
EW-M674FT | → | EW-M674FT | 継続発売 |
複合機 (A3プリントA4スキャン) |
EW-M973A3T | → | EW-M973A3T | 継続販売 |
複合機 (A4) |
EW-M873T | → | EW-M873T | 継続販売 |
EW-M754T | → | EW-M754T | 継続販売 |
EW-M634T | → | EW-M634T | 継続販売 |
EP-M553T | → | EP-M553T | 継続販売 |
単機能プリンター (A3) |
PX-S6710T | → | PX-S6710T | 継続販売 |
モノクロ |
ファクス機能付き複合機 (A4) |
PX-M270FT | → | PX-M270FT | 継続販売 |
複合機 (A4) |
PX-M270T | → | PX-M270T | 継続販売 |
PX-M160T | → | PX-M160T | 継続販売 |
単機能プリンター(A4) |
PX-S270T | → | PX-S270T | 継続販売 |
PX-S170T | → | PX-S170T | 継続販売 |
PX-S160T | → | PX-S160T | 継続販売 |
エプソンの今年の新製品は、カートリッジモデルのA4複合機が3機種、ファクス付きA4複合機が1機種、A4単機能プリンターが2機種、年賀状プリンターが1機種となる。一方エコタンク搭載機は新製品化とラインナップの拡充が一段落したのか、初めて新製品が登場していない。
エプソンは去年は家庭向けのカートリッジ方式のカラリオシリーズの新機種を「製造現場への新商品切り替えに伴う高負荷を避けるため」として、一般的な年末には発売せず、年明けに延期していた。しかし、今年はこれまで通り年末に新機種を発表している。カートリッジ方式の複合機では、A3プリント対応の1機種と、A4プリント対応の下位2機種は継続販売とし、A4プリント上位3機種が新機種となった。EP-884AはEP-885Aに、EP-814AはEP-815Aに、EP-714AはEP-715Aに順当に型番の数字が1上がっている。デザインも変更がなく、毎年どこが変わったのか分からない程度の変更点しかないが今回も同じ傾向だ。スマホ用アプリの「Epson Smart Panel」がアップデートし、タイルデザインを選択できるようになった他、LINEのチャットサポートに対応したが、これは「Epson Smart Panel」に対応する従来機種(EW-M973A3T/EW-M873T/SC-PX1VL/SC-PX1Vを除く)が対応するので、新機種だけの変更点ではない。ただ、これら3機種では、そのアプリのデザインに合わせて、本体液晶内のホーム画面のコピー、写真の印刷、スキャンのボタンが色分けされるなど、一部デザインが変更になっている。一方、旧アプリ「EPSON iPrint」は今回より対応しなくなった。また3機種とも、商品本体に使用されるプラスチックの約30%をリサイクル素材とする箏で、環境に配慮している。一方で昨今の半導体不足や様々な要因により、価格は上がっており、EP-885AはEP-884Aの36,850円から39,050円に、EP-815AはEP-814Aの28,050円から30,250円に、EP-715AはEP-714Aの21,450円から23,650円に、それぞれ2,200円ずつ上がっている。
ファクス付き複合機では、最上位のPX-M885FがPX-M887Fへ移行した。基本スペックやデザインはそのままに、一部機能を向上させている。印刷速度は24ipmから25ipmへわずかに高速化、自動両面印刷も15ipmから16ipmにわずかに高速化した。インクはインクパック方式を踏襲するが、IP01からIP11へと変更された。印刷可能枚数は同等だが、価格が上がっているため、印刷コストはカラー文書が6.7円から8.7円、モノクロ文書が2.0円から2.7円へと上がっている。また、本体価格もPX-M885Fの43,978円から49,500円に、5,522円アップとなる。給紙方法としてはPX-M885Fでも、250枚給紙の前面給紙カセット+80枚給紙の背面給紙が標準で、さらに550枚給紙の増設カセットをオプションで用意しており、この点はPX-M887Fでも変わらない。ただし、PX-M885Fでは増設カセットは1段のみ取り付けられたが、PX-M887Fでは最大3段まで取り付けられるようになり、給紙枚数は最大880枚から、1,980枚へと大幅に増加した。また、PX-M885Fでは増設カセットは普通紙のみ使用できたが、PX-M887Fではハガキや写真用紙もセット可能となった。普通紙以外も含めて複数使用する場合や大量給紙したい場合に特に便利になっている。スマホ関連では、PX-M885Fは発売時期の点から、旧アプリの「EPSON iPrint」のみ対応だったが、PX-M887Fでは晴れて最新アプリ「Epson Smart Panel」に対応となった。また他の最新機種同様、QRコード読み取り(iOS)又は、アプリ上で接続する機器を選択して本体で許可(Android)するだけで、スマホと接続出来る接続支援機能が搭載された。これによりPX-M885Fに搭載されていたNFCによる接続機能は省略されている。操作パネルは従来同様4.3型タッチパネル+テンキー等は物理ボタンとなっているが、物理ボタンがシートキーに変更された。PX-M885Fはボタンが飛び出ており、ボタンの周囲にすき間がある一般的なタイプだったが、PX-M887Fでは全体が1枚のシートとなっており、凹凸がなく、ボタン周囲にすき間もないため、掃除しやすくなっている、画面デザインも、EP-885Aなどと同様、Epson Smart Panelに合わせたカラーデザインに変更されている。対応OSもやや変更されWindowsはそのままだが、MacOSは10.6.8以降から10.9.5以降となった。耐久枚数が大幅に向上し、PX-M885Fの15万枚から、PX-M887Fでは30万枚に強化された。ただし、15万枚を目処に、給紙ローラーの交換が必要となるが、こちらも交換パーツとして用意されている。本体デザインはほぼ同一ながら、PX-M885Fではブラックだった操作パネルがホワイトとなり、シンプルな印象になった。排紙トレイとADF部などにブラックが残っている。また、本体下部のインクパック取り付け部に窓が付けられ、内部のインクパックのトレイの色が見えるようになり、インク交換時に場所が分かりやすくなった。
その他の機種では珍しく、A4プリンター(複合機でない単機能プリンター)に新機種が2機種も登場している。1機種はPX-S887Fで、複合機がPX-M885FからPX-M887Fへと移行したのに合わせて、その単機能プリンター版のPX-S885もPX-S887が登場した。PX-M887Fからスキャナーとファクス機能を外した機種なので、印刷速度の向上、インクパックの変更と印刷コストの上昇、増設カセットの3段まで対応と、普通紙以外の対応、ボタンのシートキー化と操作パネルのカラー変更、対応OSの変更、耐久枚数の向上と、PX-M887Fと同じ変更点となっている。こちらも本体価格は32,978円から38,500円へ上がっている。もう1機種はPX-S740の後継機種でPX-S730である。PX-S740は2014年4月の発売なので、8年半ぶりの新機種となる。「730」の数字が表すように、複合機のPX-M730Fの単機能プリンター版と言えるが、PX-M887FとPX-S887のように、スキャナー部を外しただけのデザインではなく、全く新しいデザインとなっている。旧機種PX-S740からは型番の数字は下がっているが、機能的には大幅に強化されている。同じ4色顔料インクだが、75L/74番から、IB09番へ変更となった。従来は写真の耐保存性をうたった「つよインク200X」だったが、文書印刷向けプリンターである事から、PX-S730では文書のキャビネット保存400年をうたっている、最小インクドロップサイズは2.8plから3.8plにスペックダウンしている。一方印刷速度はカラー文書が10ipmから11ipm、モノクロ文書も19ipmから21ipmに向上している。ファーストプリント速度や自動両面印刷速度も同じく向上した、インクカートリッジの変更により印刷可能枚数はやや減ったが、価格も下がっているため、印刷コストはほぼ同等となっている。給紙については変更があり、前面給紙カセットは普通紙250枚のものが1段というのは同じだが、背面手差し給紙が省略された。一方でカセットからのハガキや写真用紙の給紙枚数は増加している。スマホ用アプリも、PX-S740は旧アプリ「EPSON iPrint」だったが、PX-S730では最新の「Epspn Smart Panel」を利用できるようになり、QRコード読み取り(iOS)や、アプリ上で接続する機器を選択して本体で許可(Android)と言った簡単接続機能も搭載された。液晶はPX-S740の2.2型モノクロから、2.4型カラーへと変更され、サイズは微増だがカラー化により視認性は大きく向上した。また液晶と操作パネルは角度調整が可能となり、斜めに固定されていたPX-S740より、置き場所にかかわらず使いやすくなった。無線LANも新たにIEEE802.11acとaに対応し、5GHz帯の安定した電波帯を利用できるようになり通信速度も向上した。対応OSはWindowsはXPがSP1以降からSP3以降に、MacOSは10.5.8以降から10.9.5以降に変更されている。耐久枚数も8万枚から10万枚へと向上した一方、本体サイズはやや小型化している。
その他、本体で年賀状の通信面と宛名面の作成・印刷が可能なPF-81は、機能そのままで内蔵イラストを変更したPF-81-2023となっている。
本体の話では無いが、こちらも半導体不足の影響などで、一部の本体価格や消耗品の価格が2022年11月1日から値上げとなっている。そのうち、比較記事に関係のある製品だけ紹介しよう。
本体価格の改訂 |
本体型番 |
旧価格 |
|
新価格 |
値上げ幅 |
EW-M973A3T |
93,500円 |
→ |
95,700円 |
2,200円(2.35%) |
EW-M873T |
68,200円 |
→ |
66,000円 |
2,200円(3.33%) |
EW-M754FT |
44,550円 |
→ |
46,750円 |
2,200円(4.94%) |
EW-M674FT |
55,550円 |
→ |
57,750円 |
2,200円(3.96%) |
EW-M634T |
41,250円 |
→ |
43,450円 |
2,200円(5.33%) |
EP-M553T |
33,550円 |
→ |
35,750円 |
2,200円(6.56%) |
エコタンク搭載モデルの内、家庭向けと、小規模オフィスやテレワーク向けの機種が値上げとなった。全機種共通で2,200円の値上げとなる。安い機種ほど値上げ割合は大きく見えるが、最小限の値上げと言えるだろう。
L判写真用紙<光沢>の価格改訂 |
|
旧価格 |
|
新価格 |
500枚入り(KL500PSKR) |
2,357円 |
→ |
2,600円 |
1枚あたり |
約4.714円 |
→ |
5.2円 |
消耗品としては、各種純正用紙が値上げとなっている。ビジネス普通紙、写真用紙(光沢・絹目調・クリスピア・ライト)、スーパーファイン紙、フォト光沢ハガキ、Velvet Fine Art Paperなどの各種サイズが軒並み値上げだが、その内、比較記事に関係があるのがL判写真用紙<光沢>の500枚入りの価格だ。なぜなら、メーカーの発表する印刷コストの中で、L判写真フチなしの印刷コストは、メーカー純正の写真用紙の価格が含まれているためだ。当然、各社とも最も枚数の多いパックが1枚あたりの単価が安いため、それを元に計算する。エプソンでは500枚入りとなる。2,357円から2,600円への値上げされたため、1枚あたり約4.714円から5.2円に上がることとなり、各機種の写真の印刷コストが0.5円(一部機種は小数点以下の関係で0.4円)高く変更されている。ちなみにキャノンは400枚で1,875円の用紙で計算するので、1枚あたり4.6875円、ブラザーは500枚で2,090円なので1枚あたり4.18円となっている。ブラザーとエプソンでは1円以上の違いがあるため、エプソンでは写真の印刷コストはやや高く見える事になる。
インクカートリッジの価格改訂 |
インク型番 |
ブラック |
カラー |
|
旧価格 |
|
新価格 |
値上げ率 |
旧価格 |
|
新価格 |
値上げ率 |
IP01 | 大容量 |
19,228円 | → | 20,240円 | 1,012円(5.26%) |
7,865円 | → | 8,250円 | 385円(4.90%) |
標準容量 |
8,217円 | → | 8,690円 | 473円(5.76%) |
6,391円 | → | 6,710円 | 319円(4.99%) |
IP03 | 大容量 |
19,140円 | → | 20,130円 | 990円(5.17%) |
なし | → | なし | − |
標準容量 |
13,420円 | → | 14,080円 | 660円(4.92%) |
なし | → | なし | − |
現行機種と今回新機種に移行した旧機種に関係しているのは上記の2商品だ。値上げ率は4.90〜5.76%と大きくは無いが、いずれもインクパック方式で低印刷コストを売りにしているだけに、それなりに影響がある。IP01はPX-M885F/PX-S885用のインクパックで、カラー文書で6.7円から7.1円、モノクロ文書で2.0円から2.1円に上がっている。一方、IP03は、PX-M380F/PX-S380というモノクロ複合機・プリンター用のインクパックだ。モノクロ文書の印刷コストが2.0円から2.1円に上がることとなる。これ以外にIP05番、92番、93番、IB02番の価格も改定されている。
エプソンのラインナップを比較 |
A4複合機 (ファクス無し・カートリッジ方式) 【近日公開】 |
EP-885A EP-815A EP-715A EW-452A EW-052A |
|
A4複合機 (ファクス無し・エコタンク方式) 【近日公開】 |
EW-M873T EW-M754T EW-M634T EW-M553T |
|
A3複合機 (ファクス付き) 【近日公開】 |
PX-M6712FT PX-M6711FT PX-M6011F PX-M6010F |
|
A4複合機 (ファクス付き) 【近日公開】 |
PX-M885F PX-M791FT PX-M730F EW-M674FT EW-M530F |
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| 2021年春・夏時点の機種 | → | 2021年末時点の機種 |
カートリッジ 方式 |
カラー |
複合機(A3プリントA4スキャン) |
TR9530 | → | TR9530 | 継続販売 |
複合機(A4) |
PIXUS XK500 | → | PIXUS XK500 | 継続発売 |
PIXUS XK100 | → | PIXUS XK110 | 2022年11月10日発売 |
PIXUS TS8530 | → | PIXUS TS8630 | 2022年11月10日発売 |
PIXUS TS7530 | → | PIXUS TS7530 | 継続発売 |
(PIXUS TS6330) | → | (PIXUS TS6330) | 復活販売 |
PIXUS TS5430 | → | PIXUS TS5430 | 継続発売 |
PIXUS TS3530 | → | PIXUS TS3530 | 継続発売 |
ファクス機能付き複合機(A4) |
MAXIFY MB5430 | → | MAXIFY MB5430 | 継続販売 |
MAXIFY MB5030 | → | MAXIFY MB5130 | 継続販売 |
MAXIFY MB2730 | → | MAXIFY MB2730 | 継続販売 |
MAXIFY MB2030 | → | MAXIFY MB2130 | 継続販売 |
TR8630a | → | TR8630a | 継続販売 |
単機能プリンター(A2) |
IMAGE PROGRAF PRO-1000 | → | IMAGE PROGRAF PRO-1000 | 継続販売 |
単機能プリンター(A3) |
imagePROGRAF PRO-G1 | → | imagePROGRAF PRO-G1 | 継続販売 |
PIXUS PRO-S1 | → | PIXUS PRO-S1 | 継続販売 |
PIXUS iP8730 | → | PIXUS iP8730 | 継続販売 |
PIXUS iX6830 | → | PIXUS iX6830 | 継続販売 |
単機能プリンター(A4) |
TR703a | → | TR703a | 継続販売 |
PIXUS TS203 | → | PIXUS TS203 | 継続販売 |
MAXIFY iB4130 | → | MAXIFY iB4130 | 継続販売 |
モバイルプリンター |
TR153 | → | TR153 | 継続販売 |
ギガタンク 方式 |
カラー |
ファクス機能付き複合機(A4) |
GX7030 | → | GX7030 | 継続販売 |
GX4030 | → | GX4030 | 2022年11月10日 |
G7030 | → | G7030 | 継続販売 |
複合機(A4) |
GX6030 | → | GX6030 | 継続販売 |
G6030 | → | G6030 | 継続販売 |
G3360 | → | G3370 | 2022年12月上旬 |
単機能プリンター (A4) |
GX5030 | → | GX5030 | 継続発売 |
G5030 | → | G5030 | 継続販売 |
G1310 | → | G1330 | 2022年12月上旬 |
モノクロ |
複合機(A4) |
GM4030 | → | GM4030 | 継続販売 |
単機能プリンター(A4) |
GM2030 | → | GM2030 | 継続販売 |
キャノンの2022年末は新機種が5機種とかなり絞られている。無線LANに対応しない1機種を除いた4機種に共通する点として、無線LANがIEEE802.11ac対応となった事が挙げられる。これまで、キャノンは上位機種を中心に、従来のIEEE802.11n/g/bに加えて、IEEE802.11aに対応していた。IEEE802.11n/a使用時は、5GHz帯の電波を使用できるようになり、Bluetoothや電話の子機、電子レンジなどの影響を受けず、安定したが、通信速度はIEEE802.11nのままとなっていた。一方エプソンでは5GHz帯に対応している場合はIEEE802.11acに対応しており、通信速度面では劣っていた。今回、新製品の無線LANは全てIEEE802.11ac/n/a/g/b対応となり、通信速度が向上している。また、対応OSに関してはWindowsは変更がないが、macOSは10.14.6以降となった。
カートリッジ方式ではA4複合機の内、PIXUS XKシリーズとPIXUS TSシリーズの各1機種のみ新機種となった。PIXUS XKシリーズでは下位のPIXUS XK100が新機種のPIXUS XK110となっている。前述の無線LANと対応OSの変更点以外は、本体でスキャンを実行し、スマホに保存する機能が搭載された。実際にはスキャン後、ダウンロード用のQRコードが表示されるので、スマホからアクセスするという形だ。また、PIXUS XK100では、本体液晶のホーム画面を「仕事/学習」モードに切り替えられたが、PIXUS XK110ではさらに進化し、標準の他に3パターンを登録出来るようになり、機能のショートカットも自由にカスタマイズできるようになった。またチャイルドロック機能も搭載している。本体カラーはシルバーメタリックからホワイトに変更され、落ち着いた印象となった。スペックには表れない変更点として、普通紙の連続印刷や両面印刷の待ち時間が軽減されている。具体的には、顔料ブラックを使用した印刷の場合、従来は黒ベタがある場合20秒のインク乾燥待ちが発生していたが、PIXUS XK110では印刷領域や濃さにかかわらず0秒となった(いずれも標準設定時の次ページを印刷するまでの時間)。同じく自動両面印刷、表面印刷後の定着待ちウエイトが、印刷濃度条件が20%以下の場合に0秒になっている。本体価格は40,150円から43,450円へと上がっている。
PIXUS TSシリーズでは最上位のPIXUS TS8530のみ新機種のPIXUS TS8630が登場している。前述の無線LANと対応OSの変更点以外では、L判写真の印刷速度が18秒から、上位機種PIXUS XK500等と同じ10秒に高速化した。PIXUS XK110同様、本体でスキャンしてスマホに保存する機能が搭載されている。また、PIXUS XK110同様、普通紙への印刷時の待ち時間が軽減されている。本体価格は37,950円から40,150円へと上がっている。
ラインナップ上は不思議な現象が起きている。2019年9月に発売され2021年末に販売が終了していたPIXUS TS6330が、1年ぶりに復活している。PIXUS TS6330をベースにした新機種ではなく、そのままの復活であるため、380/381番インクや、QRコードによるスマホとの接続に非対応であるなど、最新機種には搭載されている機能が非搭載のままだが、価格は23,650円と、機能から考えるとお得な価格設定となっている。ただし、以前販売されていた時の18.150円よりは5,500円アップしている他、本体カラーはホワイトのみとなっている。また、通常のカタログには掲載がなく、PIXUS TS6330だけのカタログ(1枚の裏表)が別に用意されている。一部の販売店での取り扱いとなるため、取り扱い有無に応じて合わせられるようにしたという点もあるだろうが、いつまで販売されるのかは未知数という面もあるだろう。年末の需要増に対応するために一時的に復活した可能性もあるため、今回の「同系統・同価格帯の製品比較」や「キャノンのラインナップ比較」には含めていない。
ギガタンクモデルでは、Gシリーズの複合機の下位モデルG3360が新機種G3370となった。機能的には大きな変化はない一方、デザイン面は一新された。G3360はシルバーで本体正面の左側に縦に操作パネルが並んでいたが、G3370ではホワイトとブラックの2色展開となり、操作パネルは本体前面に移動した。ただし、上位機種G6030のように角度調整はできず、正面からわずかに上を向いた角度で固定されている。G3360では液晶はモノクロ表示で2行の文字表示だったが、G3370ではモノクロながら、1.35型の一般的な液晶となり、表示内容は分かりやすくなった。またバックライトが搭載され視認性も向上している。また、G3360やG6030のではこの液晶のため、ホーム画面がなく、機能を直接選択するボタンがある一方、カーソルキーは左右ボタンしかないという、特殊な操作性だったが、G3370ではホーム画面で機能を選ぶ形になり、カーソルキーも4方向と中央にOKボタンという、わかりやすい操作性になっている。この液晶の変更により、QRコードによるスマホとの簡単接続器能が利用できるようになった。その他の変更点としては印刷速度はモノクロ文書が10.8ipmから11.0ipmにわずかに高速化、スキャナーの原稿撮り忘れアラームも搭載された。一方同梱のインクは、各色1本となり、ブラックが2本から1本へと減った形になる。クラウド関連では、G3360ではダウンロードしてプリントのみで、スキャンしてアップロードには非対応だったが、G3370では対応した。コピー機能では、印刷中に次の原稿をスキャンできるコピー予約機能がなくなり、コピー終了まで原稿はセットしておく必要がある。前述の無線LANと対応OSの変更の他、耐久枚数が4.8万枚から5万枚に若干強化された一方、本体サイズは横幅が3cm近く小型化している。本体価格はG3360の29,150円から33,550円に上がっている。なお、今回搭載された、原稿撮り忘れアラーム、QRコードによる接続、スキャンしてクラウド保存、IEEE802.11ac/aの対応、操作パネルの改善に加えて、G3360でも搭載されいたインク補充時の色間違い防止機能、交換可能なメンテナンスカートリッジ、LINEからのプリントやリモートプリント機能は、上位機種のG6030にも搭載されていない機能だ。G6030は印刷速度や自動両面印刷、カセット給紙、有線LAN接続などの優位点はあるとはいえ、下位モデルのG3370だけに搭載される逆転現象が多くなっている。
ギガタンクモデルでは、Gシリーズのプリンター(複合機ではない単機能プリンター)の下位モデルG1310も新機種G1330となった。G1330はG3370をベースにしたプリントだけの機種だ。一方G1310は、G3360のさらに前のG3310をベースにしたプリンターであるため、一気に2世代進んだことになる。G1310では、第1世代のギガタンク方式だったため、インクの補充は注入口にボトルの先端を差し込み、握って注入し、満タンを目視で確認する必要があった。G1330では、最新機種同様ボトルを挿し込むと補充が始まり、満タンで自動ストップする他、注入口の形状を色ごとに変えることで、間違ったタンクに注入するのも防止され、非常に使いやすくなった。なお、インクは390番から31番に変更されている。また、ノズル数がブラックが倍になった事もあり、写真印刷速度は51秒から37秒、カラー文書は5.0ipmから6.0ipm、モノクロ文書は8.8ipmから11.0ipmに高速化している。インクボトルの変更により価格がやや上がった事から、カラー文書の印刷コストが0.9円から1.0円に微増している。また、同梱インクが各色1本になり、ブラックが2本から1本に減っている。長尺印刷も1310では676mmまでだったが、G1330では1,200mmまで対応している他、メンテナンスカートリッジの交換にも対応している。G1310ではWindowsのみの対応だったが、MacOSにも対応、本体サイズも横幅が29mm小型化している。
ギガタンクのビジネス向けGXシリーズには、新たにファクス付き複合機の下位モデルGX4030が追加となった。これまでGシリーズとGXシリーズは、型番の数字が同じだと、同じ系統の製品だった(GX7030とG7030はファクス付き複合機、GX6030とG6030はファクス無し複合機、GX5030とG5030は単機能プリンター)が、ここに来て系統が異なる製品となった。Gシリーズの4030といえば、GM4030というモノクロ複合機があるが、GX4030はカラーのファクス付き複合機で、GX7030の下位モデルにあたる。GX7030と比較すると、インク構成や使用するインクボトルなどは同じだが、印刷速度はカラー文書が15.5ipmから13.0ipm、モノクロ文書が24.0ipmから18.0ipmに遅くなっている。前面給紙カセットも1段となっているが、GX4030には他機種にはない「背面水平トレイ」を搭載しており、背面から1枚ずつの手差しとなるが、0.7mm厚まで対応している。また、名刺サイズの用紙にも対応している。スキャナーはADFが片面読み取りとなった他、原稿枚数が50枚から35枚に減少しているが、スキャン解像度は1200×1200dpiから1200×2400dpiに、ADFの最大読み取り長が356mmから399mmに、やや機能アップしている。一方、USBポートは非搭載であるため、USBメモリー内のファイルのプリントや、スキャンしてUSBメモリーに保存する機能、受信ファクスのUSBメモリー保存は使用できない。スマホ関係では、AirPrintに非対応であるため、アプリ経由でのプリント・スキャンが必須となる。一方でQRコードによる接続支援機能は、GX7030ではiOSのみ対応だったがGX4030ではAndroidでも利用できるようになった。コピー機能ではADFでの両面読み取りができなくなったが、「ADF手動両面コピー」機能が追加され、手動で裏面を読み取らせる手間は掛かるが、両面原稿のコピーも可能となっている。前述のように無線LANはIEEE802.11acに対応しており、この点はGX7030と逆転現象となっている。対応OSはWindows 7 SP1以降(8非対応)で、MacOSには非対応だ。従来より、キャノンはMacOS用のドライバーを提供を止めており、AirPrintを使用する方式をとっていたが、GX4030はAirPrint非対応であるため、MacOS自体が非対応となったと思われる。耐久枚数はGX7030の15万枚よりやや少なく10万枚となっている。本体サイズは前面給紙カセットが1段となったため高さは抑えられているが、幅と奥行きはほぼ同等だ。ただし、デザインは変更されており、GX7030では液晶と操作パネルは本体前面の左側に配置され、操作パネルだけが飛び出しており、後付けのようなデザインだったが、GX4030では前面の中央に配置される一般的なデザインとなった。ただし、角度調整はできなくなっており、正面から微妙に上を向いていた角度で固定されている。
その他、インクカートリッジの価格に関しては春に価格改定を行ったため、年末は動きはない。ただし、1機種だけ本体価格が値上げ下げている。
本体価格の改訂 |
本体型番 |
旧価格 |
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新価格 |
値上げ幅 |
imagePROGRAF PRO-1000 |
175,780円 |
→ |
184,580円 |
8,800円(5.01%) |
値上げ幅は5.01%と大きくはないが、元々価格の高い機種であるだけに、8,800円の値上げとなっている。
キャノンのラインナップを比較 |
A4複合機 (ファクス無し・カートリッジ方式) 【近日公開】 |
PIXUS XK500 PIXUS XK110 PIXUS TS8630 PIXUS TS7530 PIXUS TS5430 PIXUS TS3530 |
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A4複合機 (ファクス無し・ギガタンク方式) 【近日公開】 |
GX6030 G6030 G3370 |
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A4複合機 (ファクス付き) 【近日公開】 |
GX7030 GX4030 G7030 MAXIFY MB5430 MAXIFY MB5130 MAXIFY MB2730 MAXIFY MB2130 TR8630a |
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| 2021年春時点の機種 | → | 2021年末時点の機種 |
カートリッジ 方式 (標準サイズ) |
カラー |
複合機(A4) |
− | | DCP-J1800N | 2022年11月上旬 |
DCP-J926N | → | DCP-J926N | 継続販売 |
(DCP-J582N) | → | DCP-J526N | 2022年11月上旬 |
ファクス機能付き複合機 (A3) |
MFC-J6983CDW | → | MFC-J7300CDW | 2022年11月上旬 |
MFC-J6583CDW | → | MFC-J7100CDW | 2022年11月上旬 |
ファクス機能付き複合機 (A3プリントA4スキャン) |
MFC-J5630CDW | → | (MFC-J5800CDW) | ファーストタンク方式に変更 |
ファクス機能付き複合機 (A4) |
MFC-J904N | → | MFC-J904N | 継続販売 |
ファーストタンク 方式 |
カラー |
複合機(A4) |
DCP-J4140N | → | DCP-J4140N | 継続販売 |
DCP-J1200N | → | DCP-J1200N | 継続販売 |
ファクス機能付き複合機 (A3) |
MFC-J6999CDW | → | MFC-J7600CDW | 2022年11月上旬 |
MFC-J6997CDW | → | MFC-J7500CDW | 2022年11月上旬 |
ファクス機能付き複合機 (A3プリントA4スキャン) |
(MFC-J5630CDW) | → | MFC-J5800CDW | 2022年11月上旬 |
ファクス機能付き複合機 (A4) |
MFC-J4540N | → | MFC-J4540N | 継続販売 |
MFC-J4440N | → | MFC-J4440N | 継続販売 |
単機能プリンター (A3) |
HL-J6000CDW | → | HL-J7010CDW | 2022年11月上旬 |
ブラザーは昨年より積極的に新機種を投入してる。昨年末はA4複合機全機種が新機種となった。ファーストタンク方式と従来型カートリッジ方式の両方、またファクス機能あり、なしを問わずである。そして今年はA3複合機・プリンターの全機種が新機種となった。これにより全ラインナップが一新されたことになる。
A3プリントA3スキャンの複合機では、これまで従来型カートリッジ方式が前面給紙カセット2段がMFC-J6983CDW、1段がMFC-J6583CDWと百の位で区別していた一方、ファーストタンク方式は3段のMFC-J6999CDWと2段のMFC-J6997CDWで、一の位で区別するなど、分かりにくく、数字も複雑だった。今回はファーストタンク方式の3段はMFC-J7600CDW、2段はMFC-J7500CDW、従来型カートリッジ方式の2段はMFC-J7300CDW、1段はMFC-J7100CDWとなり、100の位での区別に統一された他、下二桁は00となりスッキリした型番となった。また、A3プリンターもHL-J6000CDWからHL-J7010CDWとなった。さらに、A3プリントA4スキャンのMFC-J5630CDWは、従来型カートリッジ方式からファーストタンク方式に変更の上でMFC-J5800CDWとなっている。これら6機種は共通の変更点が多い。従来は全色顔料インクながら、マゼンダの一部に染料インクが含まれているなど、完全とは言えなかった。昨年のA4複合機で、先に「完全な」全色顔料が登場していたが、今回A3複合機も「完全な」全色顔料となった。それに伴い、インクカートリッジがファーストタンク方式はLC3139からLC417XLに、従来型カートリッジ方式がLC3119(大容量)とLC3117(標準容量)からLC412XL(大容量)とLC412(標準容量)に変更されている。大容量と標準容量を、数字で区別していた方式から、同じ数字でXLの有無で区別する様になり、こちらも分かりやすくなっている。なお、
従来型カートリッジ方式では、従来機種用のLC3119/LC3117のインクカートリッジが値上げされ、大容量はブラックが4,950円から5,346円に、カラーが2,420円から2,618円に、標準はブラック、カラー共に1,320円から1,430円となっている。そのため印刷コストはカラー文書が6.6円から7.1円に、モノクロ文書は1.5円から1.9円に上がっているが、新機種用のLC412XL/LX412インクカートリッジは値上げ前の価格を維持している。そのため、印刷コストはカラー文書が6.5円、モノクロ文書が1.7円と下がったことになる。ただ、大容量カートリッジは価格は同じ、印刷枚数も同じなので印刷コストが下がったが、標準容量は価格は同じだが印刷枚数は550枚から350枚に減っている。印刷コストは大容量カートリッジ使用時しか公表されていないので分からないが、標準容量カートリッジ使用時は大幅に上がることになる。その他、印刷速度が、カラー文書20ipm、モノクロ文書22ipmから、カラー文書、モノクロ文書共に30ipmに大幅に高速化した他、自動ノズルチェック機能も搭載された。それに伴い、自動両面印刷もカラー文書11.0ipm、モノクロ文書12.0ipmから、共に21.0ipmへ高速化している。反面、最小インクドロップサイズが1.5plから、カラー2.5pl、ブラック4plに大きくなり画質は劣る事になる。対応用紙や給紙枚数などは同等だが、これまでは長さはA3の420mmを少し超える431.8mmのタブロイドサイズまでで、実質長尺印刷には非対応だったが、今回より1200mm(1.2m)までの長尺印刷に対応している。ADFについても、スキャナーを搭載している機種の内、前面給紙カセットが1段の機種と、スキャンはA4までの機種は片面スキャン、前面給紙カセットが2段以上の機種は同時両面スキャンだったが、これは継承され、MFC-J7100CDWとMFC-J5800CDWが片面スキャン、MFC-J7600CDW/MFC-J7500CDW/MFC-J7300CDWは同時両面スキャンである、ただし、スキャン速度が一部向上している。両面スキャン対応機では、旧機種は片面22.2ipm、両面は44.4ipmだった。両面スキャンは同時に裏表がスキャンできることから同じ速度でスキャンするとipmは倍になるため、片面、両面共に枚分22.2枚スキャンという性能だった。それが新機種では両面は44.4ipmのまま、片面スキャン時が35.7ipmに高速化している。つまり両面スキャン時は枚分22.2枚、片面スキャン時は枚分35.7枚となる。片面スキャンのみのMFC-J7100CDWとMFC-J5800CDWも同様に速度アップしている。スマートフォン用のアプリは、これまで「Brother iPrint&Scan」というアプリだったが、A4複合機は去年「Brother Mobile Connect」に変更されており、A3対応機も今回より「Brother Mobile Connect」に変更された。また、同じく印刷したいデーターを添付してプリンターにメールするとプリントされる機能は、A4複合機では先行して「メール添付印刷」から「Eメールプリント」へ機能が向上しているが、A3対応機も今回より「Eメールプリント」となった。これにより、プリンター本体でメールを確認しに行く操作が不要になり、メールを受信するとすぐにプリントされるようになった他、メール本文のプリントにも対応した。一方で、これもA4複合機では省略されていた「裏写り除去コピー」「インク節約モードコピー」は、同じく廃止となった。液晶と操作パネルについても細かな変更があった。MFC-J7600CDW、MFC-J7500CDW、MFC-J7300CDWは、旧機種では3.7型のワイド液晶を搭載していたが、今回は3.5型の非ワイド液晶となった。ただ、従来は液晶右に独立して物理ボタンとして搭載されていた、「戻る」「ホーム」「キャンセル」が、液晶の右にタッチセンサー式ボタンとして液晶と一体化して並べられた。一見すると、それらのボタンまでが液晶に見るため、従来通りワイドで、しかも3.5型+ボタンの分なので、3.7型より大型化したように見える。目の錯覚を利用した、上手いデザインと言えるだろう。旧機種で2.7型の非ワイド液晶を搭載していた下位機種MFC-J7100CDWとプリンターHL-J7100CDWは、液晶サイズは2.7型のまま、同じく3つのボタンを液晶と一体化したデザインとすることで、液晶を大きく見せている。MFC-J5800CDWはファーストタンク方式に変更されたことで、旧機種では下位機種と同じ2.7型液晶だったが、上位機種と同じ3.5型液晶に変更されている。その他、液晶左にあった、ファクスのワンタッチボタンが、液晶右のテンキーのさらに右に移動した。これにより、全てのボタンが液晶右に固められたことになる。耐久枚数も強化され、全機種が15万枚から30万枚となった。また「15万枚又は5年」というように、年数面での耐久性もあり、こちらは枚数が増えても「5年」は変わらなかったが、今回は「30万枚又は7年」となった。これに合わせて部品保有期間も製造打ち切り後7年に変更されている。対応OSも変更されており、MacOSは10.11.6以降または10.12.6以降だったが、10.15.X以降となっている。本体デザインは変更されていないが、カラーに関してはファーストタンク方式が従来通り液晶と排紙トレイをグレーとしているのに対して、従来型カートリッジ方式ではより濃い黒に近い色になっている。より引き締まった印象へと変化している。価格は軒並み上がっており、MFC-J7600CDWは112,200円から118,800円、MFC-J7500CDWは92,400円から99,000円、MFC-J7300CDWは50,500円から63,250円、MFC-J7100CDWは37,400円から46,650円、HL-7010CDWは59,400円から66,000円となった。またMFC-J5800CDWはファーストタンク方式変更され、印刷コストが下がると本体価格は上がることもあって、37,400円から63,250円に変更された。
A4対応の従来型カートリッジ方式では、ファクス機能無しは1機種のDCP-J926Nだけであったが、DCP-J926Nは継続販売しつつ2機種追加され3機種構成となった。DCP-J1800Nは、型番だけ見ると数字が4桁なのでファーストタンク方式に見えるが、従来型カートリッジ方式だ。CUTFITというブランド名を与えられており、内部にカッターを搭載している特徴的な製品だ。ブラザーはカッティングマシンも販売しているため、印刷しつつ自由な形にカットできるというイメージを持つかもしれないが、実際にはA4用紙を半分に切ることしかできない。つまり、A4用紙をセットしておけば、普段はA4でプリントしつつ、用紙を節約したい時や小さな用紙で十分な時は、用紙を入れ替えることなくA5サイズへプリントする事ができるという訳だ。パソコンからのプリントだけでなく、スマホからのプリントやコピー時も使用できる。例えばA4の原稿2枚を2面割り付けでカットコピーをした場合、A5サイズに縮小された2枚の印刷物ができあがる。順番としては半分を印刷し、カットして印刷済みの物が切り離された後、もう半分が印刷されるという流れだ。カットは1〜2秒程度しかかからないため、プリントが止まっている時間は気になるほどではない。また、2面割り付けせずにA4原稿としてコピーやプリントしつつ半分にカットすることもできる。はじめから2面の原稿をコピー、プリントする場合はこの方法も使える。DCP-J1800Nは基本はDCP-J926Nの機能を踏襲するが、自動両面印刷は普通紙のみでハガキに非対応になった事、CD/DVD/BDレーベル印刷機能が省かれていること、ダイレクト印刷はSDカードに非対応でUSBメモリーの対応となること、NFCによるスマホとの接続支援機能が非搭載であることは異なっている。対応OSもmacOSが10.14.6以降から、10.15.x以降となった。価格はDCP-J926Nの24,200円に対して30,800円となっている。
もう1機種は下位機種のDCP-J526Nとなる。2019年9月まで、DCP-J900番台の上位機種とDCP-J500番台の下位機種の2機種構成で、この時もDCP-J982NとDCP-J582Nが販売されていた。ところが翌年の2020年は上位機種のDCP-J987Nのみのラインナップとなっていた。実際にはDCP-J587Nが一部量販店やネットショップで販売されていたが、カタログ上には掲載がなかった。2021年はDCP-J926Nのみで、下位機種は完全に姿を消している。ところが今年になってDCP-J526Nという下位機種が追加されている。従来とのDCP-J900番台とDCP-J500番台の差と同じで、DCP-J926Nと比べると、カラーのノズル数が3分の1となり、カラーの印刷速度が16,5ipmから9.5ipmに低下、印刷解像度もWindowsは1200×6000dpiと同じだがMacOSでは1200×3600dpiに低下する。また、ADF、ダイレクトプリントのUSBメモリー非対応、有線LANの省略と言った違いもある。価格はDCP-J926Nの24,200円に対して18,150円と約6,000円安い。
本体の話では無いが、こちらも半導体不足の影響などで、一部のインクカートリッジの価格が値上げとなっている。そのうち、比較記事に関係のある製品だけ紹介しよう。
インクカートリッジの価格改訂 |
インク型番 |
旧価格 |
|
新価格 |
値上げ率 |
LC411 |
1,078円 | → | 1,133円 | 55円(5.10%) |
現行機種と今回新機種に移行した旧機種に関係しているのはLC411のみだ。値上げ額は55円と小さいが、安いインクカートリッジだけに値上げ率は5.10%となる。MFC-J904NとDCP-J926Nという去年発売の従来型カートリッジ方式のA4複合機で採用されているインクカートリッジで、今年発売のDCP-J1800NとDCP-J526Nにも採用される。印刷コストは、L判写真が22.2円から23.1円、カラー文書が9.2円から9.9円、モノクロ文書が2.9円から3.0円にそれぞれ値上げとなる。その他、LC12、LC17、LC110、LC113、LC111、LC115、LC117、LC119、LC211、LC21、LC3111、LC3117、LC3119、LC3133、LC3135インクカートリッジも価格が改定されている。
ブラザーのラインナップを比較 |
A4複合機 【近日公開】 |
MFC-J4540N MFC-J4440N DCP-J4140N DCP-J1200N MFC-J904N DCP-J1800N DCP-J926N DCP-J526N |
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A3複合機 (ファクス付き) 【近日公開】 |
MFC-J7600CDW MFC-J7500CDW MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW |
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エプソン、キャノン、ブラザーのラインナップを、並べて比較してみよう。対応用紙サイズ、さらにインク色数で分けて、エプソンのカートリッジ方式とエコタンク方式、キャノンのカートリッジ方式とギガタンク方式、ブラザーのカートリッジ方式(標準サイズ)とファーストタンク方式それぞれの機種を並べている。
各製品の型番と写真と共に、インク構成も記載している。例えば同じ4色インクでも、全色染料、全色顔料、黒顔料+カラー染料という様に、違いがあることがお分かり頂けるだろう。
機種表示の見方 |
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新旧の比較とは別に、新製品を含む同系統の製品、同価格帯の製品での比較をしてみよう。エコタンク・ギガタンク・ファーストタンク搭載機種に関しては、価格帯が多岐にわたることから、インク種類別比較も掲載している。
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