プリンター徹底比較
2022年末時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2023年7月18日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


A4複合機(カートリッジ方式・1万円台)
 
 1万円台のこのクラスは、エプソン、キャノン、ブラザーがそれぞれ1機種ずつラインナップしている。エプソンのEW-452AとキャノンPIXUS TS5430は、共に「ローエンドモデルに位置づけられる2機種」の内の上位モデルという位置づけの製品だ。そのため、インク数やそのほかの機能に、これよりも上位の機種とは一線が引かれている。一方、ブラザーのDCP-J526Nは、従来型カートリッジ方式の中でファクス機能が無いA4複合機が2機種しか無いため、2機種中下位の方の機種という扱いだが、上位機種をベースに機能を削った形となる。3機種とも、機能的には劣る一方で、この価格帯なら用途を限定すれば十分使いやすいといえる。3機種にどのような違いがあるのだろうか。また、EW-452Aは12,078円、PIXUS TS5430は13,750円と価格が近いのに対して、DCP-J526Nは18,150円とワンランク上の価格だ。DCP-J526Nはこの価格差を出す価値があるのかも検証する。

プリント(画質)
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像

実売価格(メーカーWeb/税込) 12,078円 13,750円 18,150円
インク 色数 4色 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立 黒独立、カラー3色一体 各色独立
顔料/染料系 顔料(黒)/染料(カラー) 顔料(黒)/染料(カラー)
(ChromaLife100)
顔料(黒)/染料(カラー)
(アルバム保存100年/耐光性50年)
インク型番 マグカップ 360XL/361XL(大容量)
360/361(標準容量)
LC411
最小インクドロップサイズ 3pl(MSDT) N/A(2pl?) 1.5pl
最大解像度 5760×1440dpi 4800×1200dpi 1200×6000dpi
(macOSでは1200×3600dpi)
高画質化機能

 まずはプリントの基本となるプリント画質を見てみよう。とはいえ、3機種とも4色インク構成で、ブラックインクだけが顔料インク、カラーインクが染料インクという構成は同じだ。写真や年賀状の通信面、ファイン紙など普通紙以外への印刷時は顔料インクが使えず、カラー3色での印刷となる。カラー3色で黒を表現するが、どうしても完全な黒にはならず、濃いグレーや濃い茶色となってしまう。そのため、黒のメリハリの弱く、また影の部分など黒の中の階調表現が苦手だ。写真や年賀状の画質は上位モデルよりかなり劣るといえるだろう。ただしカラーは染料インクなので、写真用紙本来の光沢感があるプリントが行えるほか、顔料インク非対応の用紙も、光沢紙やフィルム用紙、アイロンプリント紙など一部に存在しているが、その点でも安心だ。また、最小インクドロップサイズは、3機種で異なっており、EW-452Aは3pl、PIXUS TS5430は非公開ながら、海外の同等モデルを参考にすると、おそらく2plと予想され、DCP-J526Nは1.5plとなる。最小インクドロップサイズが大きいとドットが見えてしない、全体にザラザラとした感じ(粒状感)を感じてしまう。PIXUS TS5430DCP-J526Nは比較的小さいが、EW-452Aは上位モデルよりかなり大きくなっており、粒状感の面でも劣ることになる。とはいえ、粒状感の差よりも、ブラックインクが使えないことの方が影響は大きいため、3機種とも写真印刷は苦手という中で若干の違いがあるという程度だ。
 ちなみに、使用するインクは、EW-452Aは上位モデルとは異なり「つよインク200」などの耐保存性の高いインクにはなっていない。そのため、写真を印刷した場合に色あせが早いと思われる。一方、PIXUS TS5430は上位機種と同じ「ChromaLife100」となっており、アルバム保存100年を実現している。DCP-J526Nも名称は無いが上位機種と同じ、アルバム保存100年、耐光性50年のインクを採用している。これら2機種は写真印刷にも使える耐保存性となっている点では、画質をある程度妥協すれば、写真印刷も楽しむ事ができる。特にDCP-J526Nは耐光性もあるため、アルバムに保存する場合だけで無く、飾る場合でも色あせを防ぐことができる。
 一方、普通紙印刷の場合は、ブラックインクが使用できるため、十分綺麗に印刷できる。普通紙印刷の場合、染料インクでは紙に染みこむためインクが広がってしまい、線が太くなったり中抜き文字がつぶれてしまう上に、コントラストが弱くなる傾向がある。また水に濡れると滲んでしまう弱点もある。一方、顔料インクはメリハリのある印刷が行え、耐水性も高い。3機種とも、黒インクだけだが顔料インクを採用しているため、黒文字などはメリハリのある印刷が行える。完全な黒ではないグレーの部分やカラーの中に混ざっている場合には染料のカラーインクを混ぜて作り出す場合があるため、全ての黒色部分で顔料インクの恩恵が得られるわけでは無いが、コピーや文書印刷では印象がだいぶ良くなる。普通紙印刷やコピーがメインなら十分高画質と言えるだろう。
 インクの構成は同じで、いずれもインクカートリッジ方式ではある3機種だが、EW-452ADCP-J526Nは各色が独立しており、無くなった色だけ交換可能なのに対して、PIXUS TS5430はブラックインクは独立しているが、カラー3色は一体型となっているため、1色でも無くなると交換となる。これが印刷コストに影響することになる(詳しくは後述)。

プリント(印刷速度)
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
ノズル数 357ノズル 1792ノズル 420ノズル
カラー:各59ノズル
黒:180ノズル
カラー:各384ノズル
黒:640ノズル
カラー:各70ノズル
黒:210ノズル
印刷速度 L判フチなし写真
(メーカー公称)
70秒 36秒 34秒
A4普通紙カラー
(ISO基準)
N/A(5.0ipm?) 6.8ipm 9.5ipm
A4普通紙モノクロ
(ISO基準)
N/A(10.0ipm?) 13.0ipm 17.0ipm
ファーストプリント速度 A4普通紙カラー N/A N/A 9.5秒
A4普通紙モノクロ N/A N/A 6.0秒

 続いて、印刷速度を見てみよう。3機種とも、ノズル数が上位機種よりも少なくなっており印刷速度に影響が出ている。L判写真の印刷速度で見ると、EW-452Aが70秒、PIXUS TS5430が36秒、DCP-J526Nが34秒となる。上位機種では10〜16秒程度となっているため、それと比べると3機種とも遅いが、PIXUS TS5430DCP-J526Nは、まだ使える速度といえる。それに対してEW-452Aは他の2機種と比べても倍程度時間がかかっており、写真印刷はかなり遅い。
 一方、文書の印刷速度を見てみよう。PIXUS TS5430はカラーが6.8ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが13ipmとなっており、上位モデルの10ipmと15ipmと比べると多少低下するものの、十分実用的だ。DCP-J526Nはカラー9.5ipm、モノクロ17.0ipmと、PIXUS TS5430よりもさらに高速だ。また上位モデルの16.5ipmと17.0ipmと比べると、カラーは遅くなっているが、モノクロは同じ速度を維持している。EW-452Aは文書印刷速度を公開していないが、海外の同スペックのモデルでは、カラー5ipm、モノクロ10ipmとなっており、近い速度となっていると思われる。やはりPIXUS TS5430やDCP-J526Bよりは遅いが、写真印刷速度と比べると差は縮まっている。文書印刷速度に関しては、特にモノクロ印刷ならEW-452Aでも実用的なレベルといえる。一方で、カラー印刷が多い場合や、カラー・モノクロ問わず印刷枚数が多いなら、DCP-J526Nの方がストレスなく使えるだろう。

プリント(印刷コスト)
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
印刷コスト
(税込)
L判フチなし写真 用紙代込み
(メーカー公称)
28.8円 大容量:29.0円
標準:33.8円
23.1円
インク代のみ
(予測値)※
23.6円 大容量:24.3円
標準:29.1円
18.9円
A4カラー文書 14.6円 大容量:19.5円
標準:26.2円
9.9円
A4モノクロ文書 N/A N/A 3.0円
インク1セットでの印刷可能枚数
(A4カラー文書を印刷した場合)
顔料
ブラック
N/A 大容量:400ページ
標準容量:180ページ
375ページ
カラー N/A 大容量:300ページ
標準容量:180ページ
500ページ
インク1本の価格
(税込)
顔料ブラック 1,859円 大容量:3,370円
標準容量:2,220円
1,133円
カラー 各814円 大容量:3,300円
標準容量:2,480円
1,133円
※写真の印刷コストに含まれる写真用紙代は、各メーカーで異なります。各メーカーの測定条件から、以下のようになっています。
エプソン:5.2円(「写真用紙<光沢>」500枚パック(KL500PSKR)2,600円→1枚5.2円)
キャノン:4.7円(「写真用紙・光沢 ゴールド」400枚パック(GL-101L400)1,875円→1枚4.6875円)
ブラザー:4.2円(「写真光沢紙」500枚パック2,090円→1枚4.18円)
なお、小数点2位以下の関係で0.1円の誤差が発生することがあります。

 続いて、印刷コストを見てみよう。前述のように、EW-452ADCP-J526Nは各色独立インクカートリッジとなっており、無くなった色だけ交換できるのに対して、PIXUS TS5430はカラー3色が一体型カートリッジとなっており、1色でも無くなると交換が必要になり無駄が出る事になる。この点が印刷コストにどう影響するかが重要だ。まず、L判写真の場合、EW-452Aは28.8円、PIXUS TS5430が29.0円、DCP-J526Nが23.1円と、DCP-J526Nが安く、EW-452APIXUS TS5430がほぼ同等だ。ただし、これにはメーカー純正の写真用紙代が含まれており、この写真用紙の価格がメーカーによって異なっている。エプソンは5.2円、キャノンは約4.7円、ブラザーは約4.2円で、これを除いた純粋なインク代は、それぞれ23.6円、24.3円、18.9円となる。サードパーティー製の用紙など純正以外を使う場合は用紙代は同等になる事から、こちらを比較する方がより正確だ。やはりDCP-J526Nが安い事に変わりは無いが、やや価格差は縮まる。また、カラーが一体型カートリッジのPIXUS TS5430も、それほど高くなっていないが、これは写真印刷の場合、カラーインクは比較的均等に使われ、無駄が少ないためと思われる。ちなみに、PIXUS TS5430の29.0円というのは大容量インクカートリッジを使用した場合で、標準容量を使用した場合は33.8円(用紙代を除くと29.1円)となる。
 一方、文書の印刷コストはEW-452Aは14.6円、PIXUS TS5430が19.5円、DCP-J526Nが9.9円となり、DCP-J526Nと比べて、EW-452Aは1.47倍、PIXUS TS5430は1.97倍とそれぞれに大きな差がある。PIXUS TS5430で標準容量インクカートリッジの場合は更に高くなり26.2円だ。写真印刷ではほぼ同じ印刷コストだったEW-452APIXUS TS5430の間にも1.34倍の差が出ている。文書印刷では色が偏りやすいため、一体型カートリッジの弱点が現れた形だ。またインクカートリッジ1セットの価格はEW-452Aは4,301円、PIXUS TS5430は大容量で6,670円、標準容量で4,700円、DCP-J526Nは4,532円となる。EW-452ADCP-J526Nはほぼ同じ価格だが、PIXUS TS5430の場合、EW-452Aと印刷コストに大きな差が出ない大容量インクカートリッジの場合、インクカートリッジの価格が高くなってしまう。つまり、印刷可能枚数が多いため、印刷枚数が少ないユーザーは使い切れずに無駄が出てしまう危険性がある。標準容量だとEW-452Aとインクカートリッジの価格は大差なくなるが、今度は印刷コストが大幅に上がってしまい悩ましい。その点ではインクカートリッジと印刷コストの両方が安いDCP-J526Nは当然として、低価格なインクカートリッジでも比較的安い印刷コストのEW-452APIXUS TS5430より使い勝手が良いとも言える。
 また、これら3機種は画質面から見ても文書印刷がメインと考えられるため、それを考えると各色独立している、DCP-J526NEW-452Aの方が経済的だと言える。ちなみに、年賀状印刷でもやはり色が偏る傾向があるため、DCP-J526NEW-452Aの方が良いだろう。

プリント(給紙・排紙関連)
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 カード・名刺〜A4 名刺〜A4 L判〜A4
長尺用紙 長さ1,200mmまで 長さ676mmまで 長さ297mmまで
給紙機能
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(100枚/30枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
前面 【カセット】
普通紙のみ
(100枚/−/−)
【カセット下段】A4〜A6/ハガキ
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
L判/ハガキ/ポストカードのみ
(−/20枚/20枚)
手動切り替え
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(給紙口カバー連動) ○(カバー(背面)連動) ○(カセット取り出し連動)
用紙幅チェック機能 ○(セット時・用紙サイズ表示)

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は、最大はA4だが、最小はDCP-J526NがL判(89×127mm)までなのに対して、EW-452APIXUS TS5430は、より小さな名刺サイズ(55×91mm)まで対応する。少量の名刺やフチなしデザインの名刺の印刷にも重宝する。一方長尺印刷の場合も、DCP-J526Nは297mmまでと、A4サイズ以上には印刷できないが、PIXUS TS5430は676mmまで、EW-452Aは1,200mm(1.2m)まで対応する。長めの掲示物や垂れ幕などを作成する場合、EW-452Aは便利だ。
 EW-452Aは背面給紙のみのシンプルな構成だ。横幅を合わせるだけでセットできるため簡単だが、一方で用紙をセットしたままだとホコリが積もってしまい、そのまま使うと故障の原因になる。そのため、使い終わったら取り除くことが望ましいため、不便と言えるだろう。また、背面給紙トレイは後方に傾く為、本体後方にスペースが必要になる。給紙可能枚数は、A4普通紙で100枚、ハガキで30枚、写真用紙で20枚となる。一方、PIXUS TS5430は前面給紙カセット+背面給紙となっている。前面給紙カセットは普通紙専用となるが、用紙を常時セットしておいてもホコリが積もらず、後方にスペースも不要だ。A4普通紙を100枚までセットできる。さらに背面給紙もあるため、前面給紙カセットにA4普通紙等をセットしたまま、ハガキや写真用紙、ファイン紙などを使用できる。背面給紙は普通紙にも対応(100枚)するため、サイズの異なる普通紙をセットできるほか、前面給紙カセットと背面給紙両方に同じ用紙をセットして200枚までの連続印刷も可能となる。ハガキや写真用紙や背面給紙からとなり、ハガキは40枚、写真用紙は20枚までセットできる。背面給紙の場合はEW-452Aと同じでホコリが積もる点と後方にスペースが必要な点は同じだが、2種類の用紙を使い分けられる面で、PIXUS TS5430は非常に便利と言えるだろう。ちなみにPIXUS TS5430の前面給紙カセットは一見すると本体に完全収納されているようだが、この状態ではA5用紙しかセットできない。A4/B5用紙をセットする場合は、カセットを伸ばす必要があり、そうすると本体に収納した際にカセット部が44mm前に飛び出る事となる。排紙トレイよりは前に飛び出ないため、使用時は気にならないが、一番利用されると思われるA4サイズで綺麗に収納できないのは残念と言える。一方のDCP-J526Nもカセット式の前面給紙だが、大小のカセットが2段になっており、下段はA4〜A6サイズとハガキサイズに、上段はハガキ、L判、ポストカードサイズに対応する。つまり、A4普通紙とL判写真用紙やハガキと言ったように、2種類の用紙を同時にセットできるのがメリットだ。いずれもカセット式であるため、セットしたままでもホコリが積もらず、またPIXUS TS5430とは異なり本体に完全に収納できる。下段はA4普通紙が100枚、上段はハガキや写真用紙を20枚までセットできる。ちなみにハガキは上段と下段のどちらにもセットでき、下段にセットした場合は40枚までとなるため、印刷枚数が多い場合は下段にセットした方が手間が省ける。残念なのは上下段の切り替えが手動であるため、切り替え忘れると間違ったカセットから使用してしまうことだが、後方にスペースも取らず、ホコリの問題も無いため、3機種中最も便利と言える。また前面給紙のみだと、封筒のような二重になった紙や厚紙、ラベル用紙などの印刷時がやや不安とも言える。そこでDCP-J526Nは背面手差し給紙に対応する。EW-M452AやPIXUS TS5430の背面給紙のような「上面の後方」ではなく、本当の背面に搭載されており、小さなカバーを開いて、細い用紙サポーターを出すだけなので、給紙は1枚ずつとなる。前面給紙から上手く給紙出来ない用紙の他、通常の背面給紙では用紙厚は0.3mm厚程度までのところ、0.52mmまで対応するため、他の2機種よりも厚紙にも対応できる。また前面給紙カセットにセットした用紙以外の用紙を使用する場合、1、2枚であればわざわざ入れ替えずに、こちらからプリントする事もできる。このように、給紙機能の面では、DCP-J526Nが最も高性能と言えるだろう。
 3機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、EW-452APIXUS TS5430の背面給紙は給紙口カバーを閉じると、DCP-J526Nはカセットを取り出すと自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。そして、この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。ただし、DCP-J526Nの用紙登録は下段のみとなる他、上下段の切り替えは認識しないので、その点での間違いでは印刷は止まらない。一方、PIXUS TS5430用紙幅をチェックするセンサーを搭載しており、用紙の登録に利用される。前面給紙カセットの場合は、普通紙のみであることから、横幅から用紙サイズが確定できるので、用紙の登録画面自体が表示されず、センサーで認識した用紙サイズを自動登録することで手間を省いている。背面給紙の場合は、予測されるサイズが表示されるが、用紙の種類は認識できず、サイズも横幅が似ている用紙の場合もあるため、登録画面が表示される。

プリント(付加機能)
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
自動両面印刷 対応/非対応
対応用紙 普通紙
ハガキ
普通紙 普通紙
ハガキ
対応サイズ A4
B5
レター
ハガキ
ユーザー定義サイズ(182×257〜215.9×297mm)
A4
B5
A5
レター
A4
B5
A5
A6
レター
ハガキ
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 N/A N/A 3.5ipm
A4モノクロ文書 N/A N/A 5.5ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷 ○(黒だけでモード・5日間のみ) −(常時片方のカートリッジで印刷可能/Windowsのみ) ○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ −/○ ○/○ −/○
(USB接続・単体使用時のみ)
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能 ○(フチあり印刷継続可)

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。まず3機種とも自動両面印刷機能を搭載している。ただし、PIXUS TS5430は普通紙のみの対応となる一方、EW-452ADCP-J526Nは普通紙だけでなくハガキなどにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できる点は便利だ。自動両面印刷が可能な用紙サイズにも違いがある。A4とB5、レターサイズは3機種とも対応、ハガキ印刷に対応したEW-452ADCP-J526Nは当然ハガキサイズに対応する。B5より小さいサイズは、PIXUS TS5430DCP-J526NはA5サイズに対応し、DCP-J526Nはさらに小さいB6サイズにも対応する。一方EW-452Aはユーザー定義サイズとして、182×257mm〜215.9×297mmを設定できるが、182×257mmはB5サイズなので、他の2機種の様にA5サイズで自動両面印刷は出来ない事になる。ただ、B5〜A4の範囲なら、定型サイズ以外でも設定できるため、例えばA4とB5の中間のサイズや、A4より少しだけ短い用紙といった特殊サイズでも自動両面印刷が可能だ。ただ単に自動両面印刷機能の有無だけで無く、どの用紙種類で、どの用紙サイズで自動両面印刷を行いたいかによって、機種は変わってくる。CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能は3機種とも対応しない。
 最近では搭載機種が増えてきた「自動電源オン」機能はPIXUS TS5430のみ搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能で、無線LAN接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、排紙トレイが引き出された状態でないと印刷は実行されないため、排紙トレイを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。この点は上位機種とは異なる点だ。とはいえ排紙トレイを引き出せば印刷が実行されるところまでは進んでいるし、排紙トレイを出したままにしておけば自動的に印刷が行われる。一方、指定した時間が経つと自動的に電源が切れる「自動電源オフ」は3機種とも搭載している。ただし、DCP-J526NはUSB接続時か、パソコンと接続せず単体で利用している場合のみ利用できる点は注意が必要だ。
 EW-452Aの便利な機能が、ユーザーによる廃インクタンク交換機能とフチなし吸収材エラー時の印刷継続機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、一般的には満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。PIXUS TS5430DCP-J526Nもこの形だ。一方、EW-452Aはインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(1,078円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。さらに、EW-452Aはフチなし吸収材が満タンになったときも、便利になっている。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、従来機種やPIXUS TS5430DCP-J526Nはプリントが完全に止まってしまうが、EW-452Aはフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているのである。急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるため便利な機能だ。どちらも、長く使う事を考えた安心の機能と言えるだろう。

スキャン
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
最大スキャンサイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(215.9×297mm)
読み取り解像度 1200dpi(1200×2400dpi) 1200dpi(1200×2400dpi) 1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ CIS CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリーカード保存 ○(JPEG/PDF/TIFF)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は3機種とも1200dpiで同等だ。上位機種より解像度が下がっているが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当となる点から見ても、十分だと言えるだろう。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。
 DCP-J526NはSDカードに対応するため(詳しくは後述)、本体操作だけでスキャンしてSDカードに保存する事が可能だ。紙原稿をさっとメモリーカードに入れて持ち出す、またはこの機種と接続していないパソコンでもメモリーカードを介してスキャナーを利用できるため、いざという時に便利だ。

ダイレクト印刷
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード SD(最大256GB)
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG
最大解像度 N/A
最大読込ファイル数 999ファイル
日付印刷
写真切り出し
フチなし/フチあり切り替え
色補正機能 明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/− −/−
PictBridge対応 ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜) インデックスプリント

 メモリーカードからのダイレクト印刷に関してはDCP-J526Nのみ対応している。対応メモリーはSDカードのみでUSBメモリーにも非対応だが、写真の印刷に限れば問題ない。本体内蔵の液晶を見て写真を選びプリントが可能で、フチあり、フチなしの切り替えの他、日付印刷や明るさやコントラストを5段階から調整することも可能だ。また、写真一覧を印刷するインデックスプリント機能も搭載している。最低限の機能だが、写真印刷を一通り楽しむことが可能だ。
 他の2機種はメモリーカードからのダイレクト印刷には対応しないが、EW-452Aはフォーム印刷に、PIXUS TS5430はPictBridgeに対応している。PictBridgeはデジタルカメラからの操作で写真をプリントできる機能だが、USB接続方式には対応せずWi-Fi方式のみ対応なので、対応するデジタルカメラはかなり限られる。一方、フォーム印刷は本体だけで罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜が印刷できる機能だ。いざという時にサッと印刷ができ、便利な場合もあるだろう。

スマートフォン/クラウド対応
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Canon PRINT Inkjet/SELPHY Brother Mobile Connect
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 8.0以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 14.0以降
Android 5.0以降
Wi-Fiダイレクト接続対応
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(QRコード読み取り(iOS/Android))
スマートフォンで初期設定
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova)
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/− ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon)
スキャン アプリ経由/本体 ○/− ○/− ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ)
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能も3機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、両機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンでは機能名はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使う場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、EW-452AとPIXUS TS4530は手軽に接続出来る工夫がなされている。iOSの場合は、両機種とも本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了するという方式だ。セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無いため非常に簡単だ。一方、Androidの場合は両機種で方式が異なる。EW-452Aはアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、プリンター本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で、iOS同様に非常に簡単だ。PIXUS TS5430はWi-Fi設定メニューから、iOSと同じくQRコード読み取る事での接続となる。非常に簡単に接続出来るが、Android 10.0以降の対応となるため、比較的新しい端末でしか使用できない点は注意が必要だ。Wi-Fiダイレクトでの接続が多いなら、簡単に接続できるよう工夫されているEW-452APIXUS TS5430がオススメと言えるが、Androidの場合は対応機種が幅広いEW-452Aの方がやや便利と言えるだろう。
 また、両機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。PIXUS TS5430はLINE Clova対応端末にも対応している。EW-452Aは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。PIXUS TS5430はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のもの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。
 クラウドとの連携機能は3機種とも搭載してている。プリントの場合、各種オンラインストレージにアクセスしてファイルを印刷する事ができる。またEW-452APIXUS TS5430はSNSの写真を印刷する事ができ、その際コメント付きでも印刷が可能だ。さらにPIXUS TS5430は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、EW-452APIXUS TS5430はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、DCP-J526Nはスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、本体だけで手軽にアクセスできる方法と、操作性が良いアプリ上で行う方法が選べるという点ではDCP-J526Nは便利だ。
 一方、スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。ここでもEW-452APIXUS TS5430はアプリ上のみ、DCP-J526Nはアプリ上だけでなくプリンター本体でも行えるかという違いがある。DCP-J526Nはアプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため、スキャンした内容はクラウドにアップするのがメインの使い方なら、非常に便利だ。
 さらにネットワークを利用したリモートプリント機能も各種搭載している。まず、印刷したい写真や文書を添付したメールをプリンターのメールアドレスに送信すると自動で印刷できる機能はEW-452A(メールプリント)とDCP-J526N(Eメールプリント)が対応している。各種画像ファイル、PDF、オフィス文書ファイルとメール本文のプリントに対応している。一方、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真や文書を送信すると印刷される機能はEW-452A(LINEアプリからのプリント)とPIXUS TS5430(PIXUSトークプリント)が対応している。こちらも、画像ファイル、PDF、オフィス文書に対応している。さらにパソコンからのリモートプリントにはEW-452A(リモートプリントドライバー)とPIXUS TS5430(PIXUSでリモートプリント)が対応している。しかし両機種では機能に大きな違いがある。EW-452Aの「リモートプリントドライバー」は、通常のプリント操作と同じ手順で、ただプリンターの選択画面でリモートプリントの方を選ぶだけだ。プリントできるソフトであれば形式を問わないし、ソフト上からプリント操作が行えるため便利だ。それに対してPIXUS TS5430の「PIXUSでリモートプリント」は一度保存したファイルを、ブラウザ上からアップロードする形となる。Windows 11/10でEdge又はChromeからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPointに限定される。どちらかと言えば、LINEからプリントする「PIXUSトークプリント」を、LINE上で送るのでは無く、ブラウザ上から送る形にしただけと言える。普通のプリント操作のままで、ファイル形式も問わないEW-452Aの方が圧倒的に使いやすいだろう。これを見ると、リモートプリント機能に関しては、EW-452Aが圧倒的に機能が豊富だといえる。

コピー機能
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
フチなしコピー
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面) ○/− ○/− ○/○
プレビュー
その他のコピー機能 濃度調整 濃度調整 濃度調整
地色除去コピー
傾き補正
バラエティコピー 見開きコピー
IDコピー
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、3機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物を搭載している。ただし、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能はDCP-J526Nのみ対応だ。さらに、3機種とも2枚の原稿を縮小して1枚に並べてコピーする2面割り付けにも対応する。DCP-J526Nはさらに4枚の原稿を縮小して1枚に並べてコピーする4面割り付けにも対応売る。
 バラエティコピー機能を見てみよう。免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能はEW-452ADCP-J526Nが搭載している。EW-452Aは加えてA4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付コピーする「見開きコピー」に対応する。通常の2面割付と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。一方、DCP-J526Nは、本のとじ目部分や周囲に出来る影を消す「ブックコピー」機能、コピー文書に透かし文字を入れられる「透かしコピー」、さらに1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割し、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能を搭載する。「透かしコピー」は「重要」「COPY」「社外秘」といった5種類から選べ、位置やサイズ、回転角度や透過度、文字の色も指定できる。低価格機ながら拡大縮小などの基本的なコピー機能は問題なく搭載されているが、DCP-J526Nは、さらに便利な機能を搭載しているといえる。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
メーカー エプソン キャノン ブラザー
型番 EW-452A PIXUS TS5430 DCP-J526N
製品画像
液晶ディスプレイ 1.44型
(角度調整可)
1.44型
モノクロ有機EL
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
操作パネル 物理ボタン
(角度調整可)
物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(度角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/g/b IEEE802.11n/g/b IEEE802.11n/g/b
有線LAN
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.13.6〜
(AirPrint使用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.15.x〜(AirPrint使用)
外形寸法(横×奥×高) 375×300×170mm 425×315×147mm
(前面給紙カセット伸張時425×359×147mm)
400×343×151mm
重量 4.3kg 6.3kg 6.8kg
本体カラー ホワイト ブラック
ホワイト
ピンク
ホワイト

 操作パネルと液晶ディスプレイは本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている点では3機種とも同等だ(EW-452ADCP-J526Nは液晶を中央にし、中央部だけ角度調整するのに対して、PIXUS TS5430は右に寄せていて全体を角度調整するという方式のためイメージは異なるが)。ただし、細かく見ていくと機能には大きな違いがある。まず調整角度はEW-452Aは水平に近くまで角度調整が可能な一方、PIXUS TS5430DCP-J526Nは40度〜50度ほどしか調整できないため、低い場所に置いた場合はEW-452Aが便利だ。またEW-452Aは好きな角度で止めることが出来き、DCP-J526Nも数段階に調整できるが、PIXUS TS5430は途中の角度で固定する事は出来ないのも、利便性に差が出るだろう。液晶はDCP-J526Nが最も大きく2.7型、EW-452APIXUS TS5430が1.44型と比較的小さめだ。ただDCP-J526NEW-452Aはカラー液晶なのに対して、PIXUS TS5430はモノクロ液晶という違いがある。有機EL液晶となっており黒地に白文字でコントラストは高いが、1色だけでグラフィカルな表示もほとんど無いため、視認性は同じサイズのEW-452Aに劣る。2.7型カラー、1.44型カラー、1.44型モノクロと、3機種とも異なっているわけだ。
 操作パネルも3機種とも違いがある。DCP-J526Nはタッチパネル液晶となっており液晶内のボタンや設定項目を直接タッチして操作できるため、直感的に操作できる。また暗い場所でも、液晶内ならバックライトがあるため操作しやすい。ただ、3機種中最も大きいとは言え、上位機種よりは液晶が小さいこともあり、液晶右に、「戻る」「ホーム」「取り消し」のよく使うボタンを、物理ボタンで用意している。EW-452APIXUS TS5430は物理ボタン操作となる。EW-452Aは上下左右の4方向カーソルボタンに加えて中央に「OK」がある分かりやすい並びに加えて、「+」「−」「戻る」と言った主要なボタンを一通り備えており、操作性は悪くない。一方、PIXUS TS5430は4方向カーソルではなく上下カーソルのみで、「+」「−」ボタンも無いなど、ボタン数が非常に少なくなっている。液晶が小さいこともあって、各種メニューの階層が深くなっており、この点でも操作性はEW-452Aに劣るといえる。PIXUS TS5430はスマートフォンからの操作を基本としているという事で、本体から離れた場所で操作しても状態が分かるように操作パネル下部の部分にライン状の「LEDのステータスバー」を搭載し、給紙中やエラー、プリント完了などが分かるようになっているが、操作性の面ではDCP-J526Nが最も優秀で、EW-452Aまでは何とか使えるレベルになっているが、PIXUS TS5430は本体での操作が多くなると大変だろう。
 インターフェースは3機種ともUSB2.0に加えて、無線LAN(Wi-Fi)接続にも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、EW-452APIXUS TS5430を無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。EW-452AはWindows XP SP3以降は全て対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。MacOSも10.6.8以降と比較的古いバージョンから対応するだけでなく、ダウンロード対応とはなるが専用ドライバーがエプソンから提供される。一方、PIXUS TS5430DCP-J526NはWindows 7 SP1/8.1/10/11のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSもPIXUS TS5430が10.13.6以降、DCP-J526Nが10.15.x以降と比較的新しいバージョンのみの対応となるだけでなく、ドライバーはメーカーからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定や本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。
 本体サイズを見てみよう。EW-452Aが375×300×170mm、PIXUS TS5430が425×315×147mm、DCP-J526Nが400×343×151mmとなる。またPIXUS TS5430は前面給紙カセットにA4/B5用紙をセットする場合は、カセットが飛び出すため、実質奥行きは359mmとなる。これを見ると、高さはPIXUS TS5430DCP-J526Nがやや小さいが、横幅と奥行きはEW-452Aが圧倒的に小さい。設置面積が限られる環境でも安心だ。ただし背面給紙となるため、後方にスペースが必要となる。その点ではDCP-J526Nも設置面積は小さい。横幅は25mm、奥行きは43mm大きいとはいえ、前面給紙カセットだけで一通り利用が可能なので、後方にスペースが不要なので、EW-452Aとほとんど変わらない。一方PIXUS TS5430は、横幅が50mmも大きい上に、カセット伸張時で奥行きも最も大きく、さらに普通紙以外を利用する場合は、背面給紙となり後方にもスペースが必要となる。設置面積ではかなり不利と言える。ちなみに本体のカラーバリエーションはEW-452ADCP-J526Nはホワイトのみ、PIXUS TS5430はホワイトとブラックに加えてピンクを用意している。



 上位機種と異なり、普通紙印刷とコピーがメインという点では同じ3機種だが、どの部分の機能を削ってコストダウンを図るかがメーカーによって異なるため、機能面では細かい点で差が出ている。それが、その点が選ぶ上での決め手となる。まず、本体価格が6,072円又は4,400円高いDCP-J526Nはさすがに高性能だ。印刷速度は最も高速で印刷コストも安く、前面給紙カセット+背面手差しというのも最も高性能だ。SDカードにも対応し、クラウドにも本体だけでアクセスが可能、操作性も大型液晶+タッチパネルで他の2機種より圧倒的に使いやすいためコピー操作が多くても安心だ。この多機能さから考えるとDCP-J526Nのお買い得感は高く、価格差が気にならないならDCP-J526Nが一押しだ。様々な機能があるため、今は使わないと思っていても将来的に必要になった際に、機能が搭載されていなかったという事が起こりにくい。また、印刷コストが安いため、印刷枚数が多いなら、本体の価格差はある程度軽減できるとも言える。
 ではSDカード対応やタッチパネル液晶などは不要なので、1万円台前半でというならEW-452APIXUS TS5430という事になる。まず印刷コストを気にするなら独立インクカートリッジを採用するEW-452Aがオススメだ。小さいながらもカラー液晶を搭載し、操作パネルも使いやすいため、コピーなどがメインでも使いやすいだろう。廃インクタンクの交換が可能な点で長く使う上でも安心だし、ハガキ対応の自動両面印刷も搭載し、本体もコンパクトだ。印刷速度は遅めとは言え、文書印刷なら十分実用的な範囲だ。癖が少なく、特にこだわりが無いならEW-452Aが一般的にオススメと言えるだろう。一方、印刷速度を少しでも気にする場合はPIXUS TS5430がオススメだ。また、給紙も前面と背面の2方向となっており、その点が気に入った場合や、普通紙を常時セットしておきたい場合もPIXUS TS5430の方が使いやすいだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/
ブラザーhttps://www.brother.co.jp/


EW-452A
PIXUS TS5430BK
(ブラック)
PIXUS TS5430WH
(ホワイト)
PIXUS TS5430PK
(ピンク)
DCP-J526N