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2022年末時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2025年11月11日公開)
低印刷コストをうたう「タンク方式」や「大容量カートリッジ」の複合機は、バリエーションが豊富で価格帯もバラバラであるため、同価格帯での比較が行いにくいだけでなく、価格は近くても全く方向性の違う機種を比較する事になる。そこで、価格帯別の比較と合わせて、同系統と製品での比較をしてみたいと思う。ここでは一番ベーシックな顔料ブラック+染料カラー3色の4色構成の機種を比較してみよう。このインク構成は、染料ブラックを搭載しないため、写真や年賀状の印刷画質という点では、向いているとは言いがたい。一方で、顔料インクはブラックインクだけなので、全色顔料インクの機種ほど、文書印刷向けというわけでも無く、本格的なビジネス用途にも向かない。やや中途半端とも言える構成だが、染料ブラックを搭載するとインク数が増えてしまうし、全色顔料インクだと使えない用紙が出てしまう。画質はそれほどこだわらず、とりあえず印刷できれば良いが、どんな用紙にでもオールマイティーに使用できる機種が欲しいという人向けだ。 機種としてはエプソンのEW-M674FT(57,750円)、EW-M634T(43,450円)、キャノンのG7030(49,478円)、G6030(43,868円)、G3370(33,500円)、ブラザーのDCP-J1200N(30,800円)の6機種となり、機種数が多く見えるが、EW-M674FTとEW-M634T、G7030とG6030はファクス機能の有無以外の機能差がほとんど無い。そのため、それらはまとめて考えると、EW-M674FT/EW-M634T、G7030/G6030、G3370、DCP-J1200Nの4機種に分けられるとも言える。また、価格面でもバラツキが大きく見えるが、ファクス機能付きは57,750円〜49,478円、ファクス機能無しは43,000円前後の高性能な機種と、30,000円前後の低価格な機種の2つに分類できる。ではどのような違いがあるのか細かく見ていこう。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| 実売価格(メーカーWeb/税込) | 57,750円 | 43,450円 | 49,478円 | 43,868円 | 33,500円 | 30,800円 | ||
| インク | 色数 | 4色 | 4色 | 4色 | 4色 | 4色 | 4色 | |
| インク構成 | ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
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| カートリッジ構成 | エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
エコタンク方式 (挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
ギガタンク方式 (挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
ギガタンク方式 (挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
ギガタンク方式 (挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式) |
ファーストタンク方式 (カートリッジ方式・各色独立) |
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| 顔料/染料系 | 染料(カラー)/顔料(黒) (アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年) |
染料(カラー)/顔料(黒) (アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年) |
染料(カラー)/顔料(黒) 新顔料ブラック |
染料(カラー)/顔料(黒) 新顔料ブラック |
染料(カラー)/顔料(黒) | 染料(カラー)/顔料(黒) (アルバム保存100年/耐光性50年) |
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| インク型番 | ヤドカリ(顔料) ハリネズミ(染料) |
ヤドカリ(顔料) ハリネズミ(染料) |
30番 | 30番 | 31番 | 414番 | ||
| 最小インクドロップサイズ | 3.3pl (MSDT) |
3.3pl (MSDT) |
N/A(2pl?) | N/A(2pl?) | N/A(2pl?) | 1.5pl | ||
| 最大解像度 | 4800×1200dpi | 4800×1200dpi | 4800×1200dpi | 4800×1200dpi | 4800×1200dpi | 1200×6000dpi (macOSでは1200×3600dpi) |
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| 高画質化機能 | PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi) | PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi) | − | − | − | − | ||
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まずはプリントの基本となる画質から見ていこう。前述のように、インク構成は同等の機種同士での比較となるため、この点は違いが無い。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色で、ブラックだけか顔料インク、カラー3色は染料インクとなる。ここで、染料インクと顔料インクの話が出てきたが、それぞれに得手・不得手がある。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。とは言え全色を顔料インクとすると写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れ半光沢のようになってしまう上に、光沢した年賀状や光沢フィルムなど一部に顔料インク非対応の用紙もある。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。 まずは写真の印刷画質を見てみよう。ここで言う写真画質のは、印刷内容が写真かどうかでは無く、写真用紙への印刷する場合の画質である。光沢紙やファイン紙、インクジェットはがきなど、普通紙以外の用紙への印刷はすべてこちらとなる。さて、これら6機種は写真印刷に向いている機種ではないとはいえ、画質をある程度我慢すれば印刷できないわけではない。とはいえ、写真用紙をはじめ、普通紙以外の各種用紙へは顔料ブラックを使用できず、染料カラー3色での印刷となる。黒色はカラーを重ねて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒髪や影、夜景などの色を見れば一目瞭然な他、影や夜景などの黒の中の微妙な表現力が劣ってしまう。ただ、この点は6機種とも共通だ。しかし画質に差が無いかというとそうでもない。もちろんインクの発色の違いによる画質の差はあるが、これはカタログスペックでは分からない。ただ、最小インクドロップサイズは比較が可能だ。これは、ドットの大きさに関係しており、小さいほどドットが目立たないため、全体としてザラザラとした印象(粒状感)を感じにくくなる。最も大きいのはEW-M674FT/EW-M634Tで3.3plとなる。写真印刷向けの機種では1.5plという機種も珍しくないため、倍以上となり、粒状感はそれなりに出てしまう。G7030/G6030とG3370は非公表ながら、海外の同機能のモデルを参考にすると2pl程度と予想される。EW-M674FT/EW-M634Tよりは粒状感を感じにくい。そしてDCP-J1200Nは1.5plと非常に小さくなっており、6機種の中では最も粒状感を感じにくい。一方EW-M674FT/EW-M634Tは3サイズのドットを打ち分けるMSDTに対応しており、べた塗り部分は大きなドットを使うことでムラを軽減する機能を搭載しているが、全体としては、DCP-J1200Nの画質が高い事になる。ただ、やはりブラックインクが使えない3色構成では、多少の差はあっても五十歩百歩といった感じで、写真印刷向けの機種とは大きな隔たりがある事は確かだ。 ちなみに、写真の耐保存性という面でも違いがある。EW-M674FT/EW-M634Tが採用するインクはアルバム保存300年、耐光性7年、耐オゾン性2年となっている。エプソンの写真印刷向けの機種ではアルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年というインクが使われているため、これと比べると耐光性と耐オゾン性で大きく劣る。飾った場合などの色あせに大きな違いがあるだろう。G7030/G6030とG3370に関しては耐保存性は非公開だが、キャノンが写真向けの機種で採用している「ChromaLife 100」(アルバム保存100年)には準拠しないという事なので、100年より短い可能性が高い。DCP-J1200Nはアルバム保存100年、耐光性50年となっており、耐光性は比較的高めだ。アルバム保存ではEW-M674FT/EW-M634Tが、耐光性ではDCP-J1200Nが優れているが、G7030/G6030とG3370はかなり色あせに弱いといる。また、環境によっては、どの機種も色あせする可能性を考えておく必要がある。 一方の文書の印刷画質を見てみよう。こちらも印刷内容が文書かどうかではではなく、普通紙への印刷画質である。普通紙へ印刷する文章中の写真やイラストや普通紙コピーなどもこちらの画質となる。文書印刷の場合は6機種とも顔料ブラック+染料カラーの組み合わせで大差が無いように見える。最小インクドロップサイズの差も写真印刷ほど影響が無い。しかし、EW-M674FT/EW-M634TはPrecision Coreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiへアップしている。そのため、小さな文字や線などがつぶれずにより綺麗に印刷できる様になっている。その点では、この2機種が、やや画質面では優勢だ。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| ノズル数 | 784ノズル | 784ノズル | 1792ノズル | 1792ノズル | 1792ノズル | 420ノズル | ||
| カラー:各128ノズル 黒:400ノズル |
カラー:各128ノズル 黒:400ノズル |
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
カラー:各70ノズル 黒:210ノズル |
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| 印刷速度 | L判フチなし写真 (メーカー公称) |
75秒 | 75秒 | 37秒 | 37秒 | 37秒 | 28秒 | |
| A4普通紙カラー (ISO基準) |
8.0ipm | 8.0ipm | 6.8ipm | 6.8ipm | 6.0ipm | 9.0ipm | ||
| A4普通紙モノクロ (ISO基準) |
15.0ipm | 15.0ipm | 13.0ipm | 13.0ipm | 11.0ipm | 16.0ipm | ||
| ファーストプリント速度 | A4普通紙カラー | 15.0秒 | 15.0秒 | 14.0秒 | 14.0秒 | 14.0秒 | 10.0秒 | |
| A4普通紙モノクロ | 9.0秒 | 9.0秒 | 9.0秒 | 9.0秒 | 9.0秒 | 6.5秒 | ||
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続いて、印刷速度を見てみよう。メインの用途ではないが、まず写真印刷速度を比較すると、EW-M674FT/EW-M634Tは75秒、G7030/G6030/G3370は37秒、DCP-J1200Nが28秒と、W-M674FT/EW-M634Tだけ倍以上遅い。インクカートリッジ方式の6色プリンターでは13秒や10秒という機種もあるため、6機種とも遅いといえるが、G7030/G6030/G3370やDCP-J1200Nはまだ実用的だが、EW-M674FT/EW-M634Tはかなり遅い。枚数が多い場合根気が必要だ。一方、よく使うと思われる普通紙への印刷速度は傾向が異なる。EW-M674FT/EW-M634TはA4カラーが8.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、A4モノクロが15ipmだ。これは家庭用インクジェットプリンターとしては高速な部類だ。一方、G7030/G6030はそれぞれ6.8ipmと13.0ipmで、EW-M674FT/EW-M634Tよりやや遅くなる。写真の印刷速度では倍以上高速だったが、普通紙印刷では逆転している。またG7030/G6030と写真印刷速度は同じだったG3370が、カラーは6.0ipm、モノクロは11.0ipmと12〜15%程度遅くなっている。写真印刷が最も高速だったDCP-J1200Nは文書もそれぞれ9.0ipmと16.0ipmとわずかながらEW-M674T/EW-M634Tより高速だ。以上から写真も文書も高速なDCP-J1200N、写真は非常に遅いが文書は高速なEW-M674T/EW-M634T、写真も文書もそこそこ高速なG7030/G6030、写真はそこそこ文書は遅めのG3370となる。用途が文書印刷なのかそれ以外なのかによって、利便性は大きく変わってくる点は要注意だ。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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(税込) |
L判フチなし写真 | 用紙代込み (メーカー公称) |
6.9円 | 6.9円 | 6.2円 | 6.2円 | 6.2円 | 16.2円 |
| インク代のみ (予測値)※ |
1.7円 | 1.7円 | 1.5円 | 1.5円 | 1.5円 | 12.0円 | ||
| A4カラー文書 | 1.0円 | 1.0円 | 1.0円 | 1.0円 | 1.0円 | 5.5円 | ||
| A4モノクロ文書 | 0.4円 | 0.4円 | 0.5円 | 0.5円 | 0.4円 | 0.9円 | ||
(A4カラー文書を印刷した場合) |
顔料 ブラック |
7,500ページ | 7,500ページ | 6,000ページ | 6,000ページ | 6,000ページ | 2,500ページ | |
| カラー | 6,000ページ | 6,000ページ | 7,700ページ | 7,700ページ | 7,700ページ | 1,500ページ | ||
(税込) |
顔料ブラック | 2,365円 | 2,365円 | 2,310円 | 2,310円 | 1,980円 | 2,200円 | |
| カラー | 各1,265円 | 各1,265円 | 各1,540円 | 各1,540円 | 各1,540円 | 各2,310円 | ||
| 付属インクボトル | インクボトル各色1本 | インクボトル各色1本 | インクボトル(カラー)各色1本 インクボトル(ブラック)2本 |
インクボトル(カラー)各色1本 インクボトル(ブラック)2本 |
インクボトル各色1本 | セットアップ用インクカートリッジ各色1本 | ||
| ※写真の印刷コストに含まれる写真用紙代は、各メーカーで異なります。各メーカーの測定条件から、以下のようになっています。 エプソン:5.2円(「写真用紙<光沢>」500枚パック(KL500PSKR)2,600円→1枚5.2円) キャノン:4.7円(「写真用紙・光沢 ゴールド」400枚パック(GL-101L400)1,875円→1枚4.6875円) ブラザー:4.2円(「写真光沢紙」500枚パック2,090円→1枚4.18円) なお、小数点2位以下の関係で0.1円の誤差が発生することがあります。 |
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印刷コストを比較する前に、各機種のインク方式を比較しておこう。いずれも名称に「タンク」とついているので、タンク式のようだが、実はエプソンのエコタンク方式と、キャノンのギガタンク方式が、実際にタンク方式なのに対して、ブラザーのファーストタンク方式は大容量カートリッジ方式となる点で大きく異なる。エコタンク・ギガタンク方式はインクボトルを購入し、プリンター本体内蔵のインクタンクにインクを補充する形となる。基本的にインクボトル1本が、まるまるインクタンクに補充できる。いずれも第2世代のインク補充方式となっており従来より便利になっている。第1世代の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。それに対して第2世代では、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらにエプソンの2機種では「挿すだけ満タンインク方式」としており、先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無く、より安心感が増している。G3370も同様の方式を採用しており入れ間違いの危険性はないが、上位機種のG7030/G6030はこの機能はなく、先端の形状はすべて同じだ。その点でG7030/G6030はは一歩劣ることになる。このようにボトルから補充と言うと難しそうに感じるが、そう難しくは無い事が分かる。さらに、メリットもあり、インク切れ前でもインクを補充する事が出来るため、大量印刷前や時間に余裕のある時にインクを補充をしておけば、印刷途中でインク切れで印刷が止まっていたという事態が防ぐ事が出来る。 一方ファーストタンクのDCP-J1200Nはカートリッジ方式だが、名称に「タンク」が付いている。これは内部にサブタンクを搭載しているためで、こちらに約200枚分の常に確保している。カートリッジからインクが無くなった時点で交換できるため、インクを買い忘れても少し余裕がある事や、大量印刷前にインク残量が少なくなっていても、カートリッジが空になってれば事前に交換できるというメリットがある。カートリッジ方式ながら、できるだけタンク方式のメリットも取り入れたのがファーストタンク方式となる。 では方式の違いによって印刷コストはどのような違いがあるのだろうか、写真の印刷コストを見てみると、EW-M674FT/EW-M634Tは6.9円、G7030/G6030/G3370は6.2円、DCP-J1200Nが16.2円となる。これにはメーカー純正の写真用紙代(エプソンは5.2円、キャノンは約4.7円、ブラザーは約4.2円)が含まれているので、純粋なインク代だと、それぞれ1.7円、1.5円、12.0円となる。メーカー純正以外の写真用紙や、ハガキなどを使用する場合は、用紙代には差が無いので、こちらで比較する方が正確といえるだろう。これを見ると、エコタンク方式とギガタンク方式ではほぼ差が無いが、ファーストタンク方式だけ7〜8倍となっている。文書の印刷コスト(こちらはインク代のみ)でも、EW-M674FT/EW-M634Tはカラー文書が1.0円、モノクロ文書が0.4円、G7030/G6030はそれぞれ1.0円と0.5円、G3370は1.0円と0.4円、DCP-J1200Nでは5.5円と0.9円となる。エコタンク方式とギガタンク方式ではほぼ同等であるのに対して、ファーストタンク方式ではカラーは5.5倍、モノクロは2倍前後の印刷コストとなる。モノクロ文書では差は小さくなったとはいえ、やはり印刷コストは、タンク方式の5機種が圧倒的に有利と言える。とはいえ、一般的なカートリッジ方式のインクジェットプリンターの場合、カラー文書が10円〜19円、印刷コストが安いビジネス向けプリンターでもカラー文書が6.5円〜15円、モノクロ文書が2円〜5円程度である事を考えると、エコタンク方式、ギガタンク方式はもちろん、ファーストタンク方式でも圧倒的に低印刷コストと言える。また卓上レーザープリンターの場合、カラー文書は10円〜20円、モノクロ文書は1.8円〜4.5円なので、これと比べても圧倒的に安価だ。 この印刷コストの差は、印刷可能枚数と、インクボトル・インクカートリッジの価格のよるものだ。エコタンク、ギガタンク方式の場合、インクボトル1本でインクタンクが満タンになるのは共通だ。いずれもA4カラー文書を印刷した場合、EW-M674FT/EW-M634Tはカラーインクは6,000枚、ブラックは7,500枚まで、G7030/G6030とG3370はカラーインクが7,700枚、ブラックインクが6,000枚まで印刷できる。若干の違いはあるとは言え、いずれも1回のインク補充で6,000〜7,000枚以上の印刷が可能となる。一方、ファーストタンク方式のDCP-J1200Nはカラーが1,500枚、ブラックが2,500枚となる。一般的な家庭向けのカートリッジ方式は300〜600枚程度である事を考えると、かなり大型である事が分かるが、上位モデルより小型のカートリッジになっている事もあり、エコタンク・ギガタンク方式よりは少なくなる。ブラックは33〜42%、カラーは19〜25%程度の印刷枚数となるため、交換回数が増える点で手間と言える。 一方のインクの価格を見てみよう。EW-M674FT/EW-M634Tはブラックが2,365円、カラーが各1,265円、G7030/G6030はブラックが2,310円、カラーが各1,540円、G3370はブラックが1,980円、カラーが各1,540円となる。4色全て買うと、それぞれ6,160円、6,930円、6,600円とほぼ差が無い。そのため印刷コストもほぼ同等となっている。それに対して、DCP-J1200Nは、ブラックが2,200円と他の5機種とほぼ同等だが、カラーは各2,310円となりやや高くなる。4本全て買うと9,130円となり、インク購入時の負担はやや大きい。またブラックインクは、他の5機種と比べて価格はほぼ同等だが印刷枚数が少なく、カラーインクは価格も高く印刷枚数も少ないので、この点が印刷コストに影響が出ている事になる。ちなみに、ブラックインクの方がカラーインクより、他機種との印刷枚数の差は小さい上に、価格の差も小さいため、カラーインクを使う写真やカラー文書では他機種との差が大きいが、モノクロ文書だけは他機種の2倍前後に抑えており、モノクロ印刷が中心の機種と言えるだろう。 ちなみにエコタンク・ギガタンク方式の機種が同梱するインクボトルは、別売りのインクボトルと同じなので、購入時にインクタンクが満タンにする事が出来る。G7030とG6030はこれに加えてブラックがもう1本同梱される。初期充填で大量のインクを消費するため、全てのインクが印刷に使えるわけでは無いが、タンクが大容量であるため、ある程度の量が残る。EW-M674FT/EW-M634Tは旧モデルと同等と思われるため3,600ページ以上の印刷が可能と思われる。G7030/G6030とG3370は公表していないが、ある程度の量が残ると思われ、特にG7030とG6030ではブラックインクに関しては残った分+6,000ページ分は使えることになる。一方のDCP-J1200Nに同梱するセットアップ用インクカートリッジとなっており、別売りのインクカートリッジより量が少ないと言われている。元々インク1本での印刷枚数が少ないところから、さらに量が少ないとすると、初期充填後はそれほど印刷できないと思われる。多く見積もって別売りインクの半分が残ったとしても、EW-M674FT/EW-M634Tと比較した場合、カラーインクはDCP-J1200Nのインク換算でおよそ各2本分、ブラックインクは1本分の印刷枚数の差となり、16,060円分となる。つまりDCP-J1200Nで16,060円分インクを買う頃まで、EW-M674FT/EW-M634Tではインクを購入する必要が無い事になる。EW-M634Tとの本体価格の差は1万円以上あるが、同梱インクを使い切った頃にはその差は逆転しているとも言える。エコタンク・ギガタンクの機種は、同梱インクの量が多い分、本体価格がお得と考えても良さそうだ。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| 対応用紙サイズ | 定型用紙 | L判〜A4 | L判〜A4 | 名刺〜A4 | 名刺〜A4 | 名刺〜A4 | L判〜A4 | |
| 長尺用紙 | 長さ1,200mmまで | 長さ1,200mmまで | 長さ676mmまで | 長さ676mmまで | 長さ1,200mmまで | 長さ297mmまで | ||
| 給紙機能 (セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
− | − | ○ (100枚/40枚/20枚) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
○手差し (1枚/1枚/1枚) (0.52mm厚紙対応) |
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| 前面 | 【カセット】 (250枚/30枚/20枚) |
【カセット】 (250枚/30枚/20枚) |
【カセット】 普通紙のみ (250枚/−/−) |
【カセット】 普通紙のみ (250枚/−/−) |
− | 【カセット】 (150枚/50枚/20枚) |
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| その他 | − | − | − | − | − | − | ||
| 排紙トレイ自動伸縮 | − | − | − | − | − | − | ||
| 用紙種類・サイズ登録 | ○(カセット収納連動) | ○(カセット収納連動) | ○(カセット収納(前面)・給紙口カバー(背面)連動) | ○(カセット収納(前面)・給紙口カバー(背面)連動) | ○(用紙セット連動) | ○(ボタン選択式) | ||
| 用紙幅チェック機能 | ○(印刷時) | ○(印刷時) | − | − | − | − | ||
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続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、最大はA4までで共通だが、最小サイズはEW-M674FT/EW-M634TとDCP-J1200NはL版までなのに対して、G7030/G6030とG3370はより小さい名刺サイズに対応している。少量の名刺の印刷や、フチなしデザインの名刺の印刷に便利だ。一方長尺印刷に関しては、EW-M674FT/EW-M634TとG3370は1,2000mm(1.2m)まで対応しており、縦長・横長の掲示物や垂れ幕、横断幕などの印刷にも使えるだろう。一方、G7030/G6030は676mmまでと見劣りし、DCP-J1200Nは297mmまでなのでA4サイズ以上の長さには対応しない。 給紙に関しては各機種に特色があり、前面給紙だけの機種、背面給紙だけの機種、前面+背面給紙の機種など様々だ。G3370以外の6機種は前面給紙に対応する。6機種ともカセット式なので、用紙をセットしたままでもホコリが積もりにくく、常時セットしておくのに向いている。いずれもカセットは1段なので、同時にセットできるのは1種類だ。ただ給紙枚数に違いがあり、DCP-J1200N以外は普通紙を250枚まで、DCP-J1200Nは150枚までとなる。ハガキに関してはEW-M674FT/EW-M634Tが30枚、DCP-J1200Nが50枚までで、ハガキの大量印刷にはDCP-J1200Nが便利だ。写真用紙は3機種とも20枚である。一方、G7030/G6030の前面給紙カセットは普通紙専用である点は注意点だ。普通紙以外のハガキや写真用紙だけでなく、ファイン紙などを常用する場合、EW-M674FT/EW-M634TやDCP-J1200Nでは前面給紙カセットにセットしておけるが、G7030/G6030では背面給紙となりやや不便と言える。 では、背面給紙はと言うと、EW-M674FT/EW-M634T以外の4機種が対応する。ただし、G7030/G6030とG3370はトレイ式、DCP-J1200Nは手差し給紙となっている。トレイ式は複数枚の用紙をセットできるため便利だ。G7030/G6030とG3370は普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットでき、一般的な枚数だ。G7030/G6030は前面給紙と背面給紙の両方に同じサイズの普通紙をセットして、連続で350枚まで使用する事もできる。それに対して、DCP-J1200Nは1枚ずつしかセットできず、複数枚セットするとエラーとなる。前面給紙カセットにセットした用紙以外を数枚印刷したい場合や、前面給紙からでは扱いにくい厚紙や封筒などの印刷に利用する形となるだろう。ちなみに、厚みに関しては、前面給紙でも、通常の写真用紙やハガキに用いられる0.3mm厚程度までは対応できる。G7030/G6030やG3370の背面給紙も0.3mm厚程度までとなる。一方、DCP-J1200Nの背面給紙は、0.52mm厚まで対応できる。厚めの封筒や用紙にも印刷できて便利だ。 これを見ると、使い方によって便利な機種が変わってくる。普通紙のみを使用するなら、G3370以外はどの機種でも大差は無い。大量印刷するなら、給紙枚数が250枚のEW-M674FT/EW-M634TとG7030/G6030が便利だろう。普通紙ともう1種類を使うなら、前面給紙+背面給紙のG7030とG6030が便利だ。もう1種類がたまに数枚というだけなら、手差し給紙のDCP-J1200Nでも良いだろう。普通紙以外のファイン紙やハガキなどを常用するなら、前面給紙カセットに普通紙以外もセットできるEW-M674FT、EW-M634T、DCP-J1200Nが便利だ。特にハガキの印刷が多いなら、50枚までセットできるDCP-J1200Nが便利だろう。長尺印刷を行いたいなら、EW-M674FT/EW-M634TとG3370が便利だ。 6機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。EW-M674FT/EW-M634TとG7030/G6030の前面給紙は、カセットを挿し込むと、G7030/G6030とG3370の背面給紙部は給紙口カバーを閉じると、登録画面が自動的に表示されるので(されないようにもできる)、セットした用紙を設定しておく。そして印刷時にこの登録内容と、印刷設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。DCP-J1200Nは液晶ディスプレイを搭載せず(後述)、「A4」と「ハガキ」のLEDランプがあるだけだ。ボタンを押すことによってLEDの点灯が切り替わる形で選択でき、用紙のセットとは連動していない。「A4」はA4サイズの普通紙、「ハガキ」はハガキサイズのその他光沢紙となる。そして、両方のLEDが点灯した状態は「カスタム」となっており、あらかじめスマホ向けのアプリ「Brother Mobile Connect」を利用して登録することで、もう一種類の用紙サイズと種類を利用できる形となっている。本体の液晶で自由な組み合わせで設定が出来る他の5機種と比べると、決められた3種類からしか選べないのは、複数の用紙を使用する人には不便と言えるだろう。さらに、EW-M674FT/EW-M634Tは印刷時に用紙幅をセンサーでチェックすることで、印刷設定より実際の用紙幅が小さい場合でも、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部を汚さないようになっている。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| 自動両面印刷 | 対応/非対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | − | − | |
| 対応用紙 | 普通紙 ハガキ |
普通紙 ハガキ |
普通紙 | 普通紙 | − | − | ||
| 対応サイズ | A4 B5 レター ハガキ ユーザー定義サイズ(182×257〜215.9×297mm) |
A4 B5 レター ハガキ ユーザー定義サイズ(182×257〜215.9×297mm) |
A4 B5 A5 レター |
A4 B5 A5 レター |
− | − | ||
| 自動両面 印刷速度 |
A4カラー文書 | 4.5ipm | 4.5ipm | 2.8ipm | 2.8ipm | − | − | |
| A4モノクロ文書 | 6.5ipm | 6.5ipm | 2.9ipm | 2.9ipm | − | − | ||
| CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 | − | − | − | − | − | − | ||
| 写真補正機能 | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(自動写真補正) | ○(自動写真補正) | ○(自動写真補正) | − | ||
| 特定インク切れ時印刷 | − | − | − | − | − | ○(クロだけ印刷・最大30日) | ||
| 自動電源オン/オフ | −/○ | −/○ | ○/○ | ○/○ | ○/○ | −/○ (USB接続・単体使用時のみ) |
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| 廃インクタンク交換 | ○(メンテナンスボックス交換可) | ○(メンテナンスボックス交換可) | − | − | ○(メンテナンスカートリッジ交換可) | − | ||
| フチなし吸収材エラー時の対応機能 | ○(フチあり印刷継続可) | ○(フチあり印刷継続可) | − | − | ○(フチあり印刷継続可) | − | ||
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その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能はEW-M674FT/EW-M634TとG7030/G6030が搭載している。ただし、G7030/G6030は普通紙のみ対応だが、EW-M674FT/EW-M634Tは普通紙だけでなくハガキにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。また、対応用紙サイズにも違いがある。定型サイズの場合、EW-M674FT/EW-M634TはA4、B5、レター、ハガキサイズとなる。一方G7030/G6030はハガキサイズには非対応だが、A5サイズにも対応する。A5サイズに自動両面印刷を行いたいならG7030/G6030しか行えないことになる。一方EW-M674FT/EW-M634Tはユーザー定義サイズ、つまりサイズをマニュアルで設定して、自動両面印刷が可能だ。最小は182×257mmでB5サイズと同等、最大は215.9×297mmで、A4・レターサイズと同等なので、ユーザー定義サイズで設定しても、B5より小さいサイズに自動両面印刷ができるわけでは無いが、例えばA4より少し短い用紙や、一回り小さい用紙など、非定型サイズに自動両面印刷を行う場合は、これら2機種が便利だ。自動両面印刷時の速度も重要である。自動両面印刷は、表を印刷した後、そのままもう一度プリンター内に吸い込み、プリンター後方で180度方向転換して用紙を裏返し、今度は裏面を印刷するという行程を取る。また印刷する内容によっては表面の印刷後に乾燥時間も必要になる。この方向転換に時間がかかってしまい、両面印刷時は印刷速度が極端に低下してしまうが、低下率は機種によって異なるため、片面印刷とは違った傾向となる。EW-M674FT/EW-M634Tはカラーで4.5ipm、モノクロで6.5ipmとなる。片面印刷時のそれぞれ56%と43%の速度となる。一方、G7030/G6030はカラーが2.8ipm、モノクロが2.9ipmと、EW-M674FT/EW-M634Tよりかなり遅い。片面印刷と比べた場合も、G6030はカラーが41%、モノクロが22%と低下率が大きい。特にモノクロ印刷の場合、EW-M674FT/EW-M634Tは片面印刷でもG7030/G6030よりやや高速ではあったが、自動両面印刷の場合はG7030/G6030の倍以上の速度となる。両面印刷を多用するなら、EW-M674FT/EW-M634Tの方がストレスが少ないだろう。 写真印刷向けの機種ではないが、写真の自動補正機能としては、エプソンの2機種は「オートフォトファイン!EX」、キャノンの3機種は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる高性能なものを搭載している。気軽に写真印刷が可能だ。一方DCP-J1200Nは、カラーインクが切れた際に、モノクロ印刷が行える「クロだけ印刷」機能を搭載する。ただし、30日間に限定され、コンセントを抜いたり、インクカートリッジを外すと、使用できなくなるなど制限がある。そのため「モノクロ印刷しか行わないためカラーカートリッジを抜いておく」といった使い方は出来ないが、カラーインクが切れても、買いに行くまでの間にモノクロ印刷が継続できる。他の5機種はこういった機能は搭載しないが、エコタンク又はギガタンク方式であるため、使い切らなくてもインクのつぎ足しが可能であるため、突然インク切れになるという事自体が少ないと思われ、問題ないだろう。 自動電源オン機能はG7030/G6030とG3370の3機種が搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LANや有線LAN(対応機種のみ)でのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、G7030/G6030は操作パネルを開いた(持ち上げた)状態でないと印刷は実行されないため、操作パネルを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。また3機種とも排紙トレイは自動で引き出さなければならないが、引き出された状態かどうかは認識しないので、収納状態でも印刷は実行される。置き場所によっては床の上に散らばってしまう事もあるだろう。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能は6機種とも搭載している。ただし、DCP-J1200NはUSB接続または単体使用時のみ利用でき、無線LAN接続時(無線LAN機能をオンにしただけでも)使用できない。 EW-M674FT/EW-M634TとG3370の搭載する便利な機能が、廃インクタンク(EW-M674FT/EW-M634Tはメンテナンスボックス、G3370はメンテナンスカートリッジ)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、この3機種はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックス・メンテナンスカートリッジが売られており(EW-M674FT/EW-M634T用は1,980円、G3370用は1,320円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。また、廃インクタンクとは別にフチなし吸収材というものもある。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、多くの機種はプリントが完全に止まってしまう。これも、EW-M674FT/EW-M634TとG3370はフチあり印刷に関しては継続ができるようになっている(G3370は普通紙に限定)ため、急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるようになっている。ちなみにG3370の上位モデルG7030/G6030はメンテナンスカートリッジの交換には対応しないという逆転現象が起きている。 |
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| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| スキャンサイズ | A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (215.9×297mm) |
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| 読み取り解像度 | 1200dpi (1200×2400dpi) |
1200dpi (1200×2400dpi) |
1200dpi (1200×2400dpi) |
1200dpi (1200×2400dpi) |
600dpi (600×1200dpi) |
1200dpi (1200×2400dpi) |
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| センサータイプ | CIS | CIS | CIS | CIS | CIS | CIS | ||
| ADF | 原稿セット可能枚数 | 30枚 | − | 30枚 | − | − | − | |
| 原稿サイズ | A4/レター/リーガル | − | A4/レター/リーガル | − | − | − | ||
| 両面読み取り | − | − | − | − | − | − | ||
| 読み取り速度 | カラー | 5.0ipm | − | N/A | − | − | − | |
| モノクロ | 5.0ipm | − | N/A | − | − | − | ||
| 原稿取り忘れアラーム | − | − | ○ | ○ | ○ | − | ||
| スキャンデーターのメモリーカード保存 | − | − | − | − | − | − | ||
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続いて、スキャナー部を見てみよう。スキャンサイズは6機種ともA4(216×297mm又は215.9×297mm)までとなる。解像度もG3370を除く5機種が1200dpi、G3370が600dpiとなっており、G3370以外は差は無く、G3370だけ大きく劣るように見える。しかし、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると600dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。G3370でも、コピーや一般的な用途のスキャンには十分といえ、他の機種のほうが、いざという時高解像度でスキャンできるため便利といった程度だ。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。 ファクス付きのEW-M674FT、G7030はADFを搭載している。いずれも30枚までの原稿を連続でスキャンできるため、スキャンやコピー、ファクス送信の際に重宝するだろう。ただし、対応サイズはA4(210×297mm)、レター(216×279mm)、リーガル(215.9×355.6mm)なので、横幅のガイドは210〜216mmの間でしか調整できず、ADFを利用してB5サイズなどをスキャンする事はできない。また、G7030/G6030は、原稿を取り忘れた際の警告機能が付いている。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| ダイレクトプリント | メモリーカード | − | − | − | − | − | − | |
| USBメモリー | − | − | − | − | − | − | ||
| 赤外線通信 | − | − | − | − | − | − | ||
| 対応ファイル形式 | − | − | − | − | − | − | ||
| 最大解像度 | − | − | − | − | − | − | ||
| 最大読込ファイル数 | − | − | − | − | − | − | ||
| 日付印刷 | − | − | − | − | − | − | ||
| 写真切り出し | − | − | − | − | − | − | ||
| フチなし/フチあり切り替え | − | − | − | − | − | − | ||
| 色補正機能 | − | − | − | − | − | − | ||
| 手書き合成 | − | − | − | − | − | − | ||
| メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ | −/− | −/− | −/− | −/− | −/− | −/− | ||
| PictBridge対応 | − | − | ○(Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | − | ||
| 各種デザイン用紙印刷 | − | − | 定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙、スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳、アルファベット練習帳) | 定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙、スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳、アルファベット練習帳) | 定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙、スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳、アルファベット練習帳) | − | ||
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メモリーカードからのダイレクト印刷機能は6機種とも搭載していない。写真向けの機種であればこの機能は必須であるし、逆に全色顔料インクのビジネス向けの機種はUSBメモリーなどに対応しておりPDFのダイレクト印刷が行える機種も多いが、このクラスの機種は写真向けでもなく、ビジネス向けに特化しているわけでもないため、ダイレクト印刷機能は省略されている。ただし、G7030/G6030とG3370はPictBridgeに対応している。とはいえUSB方式とWi-Fi方式の内、Wi-Fi方式にしか対応せず、対応するデジタルカメラは非常に限られるため、大きな差ではないだろう。また、これら3機種には定型フォーム印刷機能を搭載しており、レポート用紙、原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳がプリンター本体だけで印刷できるのが便利な場合もあるだろう。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| スマートフォン連携 | アプリ | メーカー専用 | Epson Smart Panel (EPSON iPrintにも対応) |
Epson Smart Panel (EPSON iPrintにも対応) |
Canon PRINT Inkjet/SELPHY | Canon PRINT Inkjet/SELPHY | Canon PRINT Inkjet/SELPHY | Brother Mobile Connrct |
| AirPrint | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
| 対応端末 | iOS 13.0以降 Android 8.0以降 |
iOS 13.0以降 Android 8.0以降 |
iOS 13.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 13.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 13.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 14.0以降 Android 5.0以降 |
||
| Wi-Fiダイレクト接続対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
| Wi-Fiダイレクト接続支援機能 | ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | − | − | ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) | − | ||
| スマートフォンで初期設定 | ○(Bluetooth LEで自動接続) | ○(Bluetooth LEで自動接続) | − | − | − | − | ||
| スマートスピーカー対応 | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | − | ||
| 写真プリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
| ドキュメントプリント | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
| Webページプリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
| スキャン | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ||
| クラウド連携 | プリント | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | ○/− | ○/− | ○/− | ○/− |
| オンラインストレージ | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) | ||
| SNS | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | − | ||
| 写真共有サイト | − | − | ○(googleフォト/image.canon) | ○(googleフォト/image.canon) | ○(googleフォト/image.canon) | − | ||
| スキャン | アプリ経由/本体 | ○/○ | ○/○ | −/− | −/− | ○/− | ○/− | |
| スキャンしてオンラインストレージにアップロード | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) (OneDrive/google classroomはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) (OneDrive/google classroomはアプリからのみ) |
− | − | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) | ||
| メールしてプリント | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | − | − | − | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文) | ||
| LINEからプリント | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | − | − | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | − | ||
| リモートプリント | ○(リモートプリントドライバー) | ○(リモートプリントドライバー) | − | − | ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) | − | ||
| スキャンしてリモートプリント | ○ | ○ | − | − | − | − | ||
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スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。6機種ともiOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷の場合はPDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キャノンは機能名はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、EW-M673FT/EW-M634TとG3370は接続支援機能が提供される。iOSの場合は、3機種とも、本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了する。Androidの場合は、EW-M674FT/EW-M634Tはアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。G3370はWi-Fi設定メニューから、iOSと同じくQRコードを読み取る事で接続できる。いずれもセキュリティーキーの入力などは不要で非常に簡単だ。使う機会はWi-Fiダイレクト接続時に限定されるとはいえ、少しでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。ただし、Androidの場合G3370の方式では、Android 10.0以降の対応となるため、比較的新しい端末でしか使用できない点は注意が必要だ。一方G7030/G6030は手動での設定方法のみである。スマートフォンのWi-Fiの設定から接続するプリンターのSSIDを選択し、パスワードを入力する。パスワードは本体の液晶で確認が可能だ。液晶を搭載しないDCP-J1200Nはもう一手間かかり、「Wi-Fi」ボタンと「用紙」ボタンを同時に押すとWi-Fiダイレクトがオンになり、同時に情報シートが印刷される。ここに書かれたSSIDとパスワードを、スマートフォンのWi-Fi設定で入力して接続する。手軽さの面ではEW-M674FT/EW-M634TとG3370が圧倒的だ。 さらに、EW-M674FT/EW-M634Tにはスマホからプリンターの初期設定を簡単に行える機能も搭載する。アプリ上で「新規セットアップ」を選択し、初期設定を行っていないEW-M674FT/EW-M634Tの電源をオンにすると、EW-M674FT/EW-M634Tが一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用してEW-M674FT/EW-M634Tに自動接続される。そして、設置からインクの補充方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にEW-M674FT/EW-M634Tをスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。インクの補充などの手順が非常に分かりやすいほか、自動的にネットワークの設定まで行われるので、パソコンを使わない人にとって初期設定のハードルは6機種中最も低いと言える。 クラウドとの連携機能も6機種とも搭載している。プリントの場合、各種オンラインストレージにアクセスして、ファイルを印刷する事が可能だ。いずれもスマートフォンのアプリ上からアクセスする形となり、一部の機種が対応するプリンター本体だけでクラウドにアクセスする機能は搭載していない。さらに、DCP-J1200N以外の5機種はSNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またG7030/G6030とG3370は写真共有サイトからの印刷も可能だ。 スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、EW-M674FTとEW-M634Tはプリンター本体の操作でアップロードまで行うことができる(もちろんスマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる)。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため便利だ。G3370とDCP-J1200Nはアプリ経由のみの対応となる。一方、G7030/G6030は、スキャンしてクラウドにアップロードする機能自体を搭載していない。 さらにリモートプリント機能として、エプソンのEW-M674FT/EW-M634Tは、印刷したい写真や文書を添付してこれらの機種にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。キャノンはG3370のみLINEのトーク画面から印刷する「PIXUSトークプリント」と、パソコン上のファイルをリモートプリントする「PIXUSでリモートプリント」機能を搭載する。(上位モデルのG7030/G6030は非対応)ただし、「PIXUSでリモートプリント」は通常のプリント操作のままリモートプリントが出来るのでは無く、一度パソコンに保存後、ファイルをアップロードする方式で、Windows 11/10でEdge又はChromeからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPointに限定される。特別な操作が必要なく、プリントできるソフト上からなら形式を問わないEW-M674FT/EW-M634Tと比べると使いにくい印象だ。。ブラザーのDCP-J1200Nはメールに添付したファイルを印刷する「Eメールプリント」機能のみ対応している。リモートプリント機能はエプソンの2機種が圧倒的に豊富だと言える。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | |||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | |||
| 製品画像 | ![]() |
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| 等倍コピー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○(A4普通紙/光沢ハガキ/カスタムサイズのみ・フチありのみ)
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| 拡大縮小 | 倍率指定 | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | −
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| オートフィット | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | −
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| 定型変倍 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | −
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| フチなしコピー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | |||
| CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー | − | − | − | − | − | − | |||
| 写真焼き増し風コピー | − | − | − | − | − | − | |||
| 割り付け(2面/4面) | ○/− | ○/− | ○/○ | ○/○ | ○/○ | −/−
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| プレビュー | − | − | − | − | − | − | |||
| その他のコピー機能 | 濃度調整 | 濃度調整 | 濃度調整 | 濃度調整 | 濃度調整 | −
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| バラエティコピー | IDコピー 影消しコピー パンチ穴消しコピー |
IDコピー 影消しコピー パンチ穴消しコピー |
ページ順コピー 枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
枠消しコピー IDコピー |
−
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コピー機能を見てみよう。液晶を搭載するDCP-J1200N以外の5機種と、液晶を搭載しないDCP-J1200Nではコピー機能に大きな違いがある。まず、DCP-J1200N以外の5機種を見てみよう。単純なコピー機能としては、等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える高性能なものを搭載している。また、コピー枚数設定や印刷品質の設定、濃度調整にも対応するだけでなく、フチなしコピーや、2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。さらにG7030/G6030とG3370は4枚の原稿を1枚に縮小する4面割り付けにも対応している。 一方、液晶を搭載しないDCP-J1200Nは、セットした用紙を登録するLEDランプを利用した設定となる。「普通紙」「ハガキ」の表示とそれぞれにLEDランプがあり、ボタンを押すことでLEDの点灯が切り替えられるので、これを利用してコピーサイズを指定する。「普通紙」はA4サイズの普通紙、「ハガキ」はハガキサイズのその他光沢紙で、等倍のフチありコピーに限定される。さらに、両方が点灯した状態は「カスタム」となっており、スマホ用アプリ「Brother Mobile Connect」を利用して、好きな用紙サイズと種類を登録しておける。3種類の用紙サイズは設定できるが、拡大縮小はおろか、濃度調整もできない。コピーする枚数だけコピーボタンを押すことで複数枚コピーが行える他、2秒長押しで最高品質でのコピーとなるが、液晶を見て様々な設定できる他の5機種と比べると、機能面でも操作性の面でも大きく劣る。 DCP-J1200N以外の5機種は特殊なコピーを行える機能を搭載する。免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」と、本のとじ目部分や周囲に出来る影を消す「影消しコピー」又は「枠消しコピー」は5機種とも搭載している。また、EW-M674FT/EW-M634Tはパンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載している。一方、G7030はADFを使用したコピーで、複数ページの複数部をコピーするときに、1部ずつまとめてコピーする「ページ順コピー」機能も搭載する。加えて一方G7030/G6030はコピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」が可能だ。A4普通紙など決まった用紙に等倍コピーしかしないというのであれば、DCP-J1200Nでも問題ないが、それ以上のコピーを行うなら、他の5機種が良いだろう。 ただし、DCP-J1200Nでもこれらの機能を使う方法がないわけではない。スマートフォン用のアプリ上からコピー操作を行う事で、様々なコピーが可能だ。各種サイズや種類の用紙が使用できる他、等倍コピーだけでなくオートフィットや定型変倍、25〜400%の倍率を指定した拡大縮小が可能だ。コピー枚数や品質、濃度調整はもちろん、2面・4面割付機能も利用できる(フチなしコピーは不可)。さらに原稿の用紙の色を除去してインクを節約する「地色除去コピー」や「IDコピー」、見開きの本をコピーする際に本の傾きを自動補正し、綴じ目や周囲の影を除去する「ブックコピー」、コピー文書に透かし文字を入れられる「透かしコピー」、A1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割してプリントし、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能も利用できる。普段は等倍コピーのみだが、いざという時はスマートフォンを利用すれば他の5機種並みのコピー機能が利用できる。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| 通信速度 | 33.6kbps | − | 33.6kbps | − | − | − | ||
| 画質設定 | モノクロ | 8dot/mm×3.85line/mm(標準) 8dot/mm×7.7line/mm(精細) 8dot/mm×7.7line/mm(写真) |
− | 8dot/mm×3.85本/mm(標準) 8dot/mm×7.7本/mm(ファイン) 8dot/mm×7.7本/mm(写真) 300×300dpi(ファインEX) |
− | − | − | |
| カラー | 200×200dpi | − | 200×200dpi | − | − | − | ||
| 送信原稿サイズ | A4/A5/リーガル/レター | − | N/A | − | − | − | ||
| 記録紙サイズ | A4/B5/A5/リーガル/レター | − | A4/リーガル/レター | − | − | − | ||
| 受信ファクス最大保存ページ数 | 100枚/100件 | − | 50枚/20件 | − | − | − | ||
| データー保持(電源オフ/停電) | ○/○ | −/− | ○/− | −/− | −/− | −/− | ||
| ワンタッチ | − | − | − | − | − | − | ||
| アドレス帳 | 100件 | − | 20件 | − | − | − | ||
| グループダイヤル | 99宛先 | − | 19宛先 | − | − | − | ||
| 順次同報送信 | 100宛先 | − | 21宛先 | − | − | − | ||
| 自動リダイヤル | ○ | − | ○ | − | − | − | ||
| 発信元記録 | ○ | − | ○ | − | − | − | ||
| ポーリング受信/送信 | ○/− | −/− | −/− | −/− | −/− | −/− | ||
| ファクス/電話自動切替 | ○ | − | − | − | − | − | ||
| 見てから送信 | ○ | − | − | − | − | − | ||
| 見てから印刷 | ○ | − | − | − | − | − | ||
| 受信ファクスを | メール送信 | − | − | − | − | − | − | |
| 共有フォルダ保存 | − | − | − | − | − | − | ||
| 外部メモリー保存 | − | − | − | − | − | − | ||
| PCファクス | 送受信 | − | 送信のみ | − | − | − | ||
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ファクス機能が搭載されているのはEW-M674FTとG7030の2機種となる。両機種は搭載している機能はほぼ同等だが、細かなところで違いが出ている。両機種ともスーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85本/mmの標準モード、8dot/mm×7.7本/mmの精細モード/ファインモード、解像度は精細モード/ファインモードと変わらないが、写真が含まれた原稿に適した写真モードを選べる点は両機種共通だ。G7030はこれに加えて、更に高詳細なも300×300dpiのファインEXモードに対応しており、高画質に送信が可能だ。カラーは200×200dpiで共通だ。 送信原稿サイズはEW-M674FTは(国内では一般的ではないリーガルとレターサイズを除くと)A4とA5が選べるが、G7030は非公開ながらA4に限定されると思われる。受信したファクスの印刷も、EW-M674FTはA4/B5/A5サイズが選べるが、G7030はA4のみとなる。とはいえ、一般的にはA4用紙で問題ないだろう。 受信したファクスのメモリー保存枚数は、EW-M674FTが100枚または100件、G7030が50枚又は20件となりG7030の方がやや少ない。アドレス帳機能も搭載するが、EW-M674FTは100件、G7030は20件と、G7030の方が少ない。アドレス帳を利用するグループダイヤルや順次同報送信も、同じく差が付いている。EW-M674FTは家庭で使う分には十分な枚数・件数だが、G7030はメモリー容量がEW-M674FTより少ない印象だ。受信ファクスの保存枚数は、受信と同時に印刷するなら問題ないと言えるが、用紙やインク切れの場合に、メモリーに保存されることもあるだろう。また、アドレス帳も20件では心許ない。また、G7030は電源オフ時は受信したファクスが保持されるが、停電時やコンセントが抜けた場合には保持されないのに対して、EW-M674FTはそういった場合でも受信した内容が保持される。使い方によっては、電気が供給されなくても受信内容が保持される方が便利だろう。 その他、自動リダイヤルや発信元記録などの基本的な機能は両機種とも搭載している。一方、ポーリング受信はEW-M674FTのみ対応だ。また、送信するファクスを液晶で確認してから送信する「見てから送信」と、受信したファクスの内容を液晶で確認した上で印刷するか決めることで用紙を節約できる「見てから印刷」機能もEW-M674FTのみが搭載している。表にはないが、EW-M674FTは、指定した時間にファクスを送信する「時間指定送信」に対応している。さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能自体は両機種とも搭載しているものの、G7030は送信(パソコン上のデーターを画像化してファクスとして送信)のみ対応だが、EW-M674FTは送信だけでなく受信(パソコン上にファクスのデーターを受信)することもできる。なお、両機種ともファクス機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際、EW-M674FTはファクス/電話自動切り替え機能にも対応しているのも便利だ。このように両機種は基本的な機能は似ているが、保存件数や様々な便利な機能をに細かな差がある。EW-M674FTはよほどファクスを本格的に使うのでなければ問題ない機能となっている一方、G7030はかなり簡易的だと言える。とりあえずファクス機能があれば便利というくらいなら問題ないが、ある程度ファクス機能もよく使うという場合は、EW-M674FTが良いだろう。 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
| 型番 | EW-M674FT | EW-M634T | G7030 | G6030 | G3370 | DCP-J1200N | ||
| 製品画像 | ![]() |
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| 液晶ディスプレイ | 2.4型 (角度調整可) |
2.4型 (角度調整可) |
2行モノクロ (90度角度調整可) |
2行モノクロ (90度角度調整可) |
1.35型モノクロ | − | ||
| 操作パネル | タッチパネル液晶+物理ボタン (角度調整可) |
ボタン (角度調整可) |
ボタン式 (90度角度調整可) |
ボタン式 (90度角度調整可) |
ボタン式 | 物理ボタン | ||
| インターフェイス | USB他 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | |
| 無線LAN | IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11ac/n/a/g/b (5GHz帯対応) |
IEEE802.11n/g/b | ||
| 有線LAN | 100BASE-TX | 100BASE-TX | 100BASE-TX | 100BASE-TX | − | − | ||
| 対応OS | Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.11.6〜(AirPrint利用) |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用) |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.14.6〜(AirPrint利用) |
Windows 11/10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.14.6〜 (AirPrint使用) |
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| 耐久枚数 | 5万枚 | 5万枚 | 6万枚 | 6万枚 | 5万枚 | N/A | ||
| 外形寸法(横×奥×高) | 375×347×231mm | 375×347×187mm | 403×369×234mm | 403×369×195mm | 416×337×177mm | 435×359×161mm | ||
| 重量 | 6.7kg | 5.7kg | 9.6kg | 8.1kg | 6.0kg | 6.1kg | ||
| 本体カラー | ホワイト | ホワイト | ブラック | ブラック ホワイト |
ブラック ホワイト |
ホワイト | ||
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液晶ディスプレイと操作パネルの位置は2種類に分かれる。EW-M674FT/EW-M634TとG7030/G6030、G3370は本体前面に取り付けられている。G3370を除く4機種は液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。G7030/G6030は最大90度(水平)まで、EW-M674FT/EW-M634Tもかなりの角度まで調整が可能で、見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。低い位置に設置しても高い位置に設置しても使いやすいだろう。一方のG3370はわずかに上を向いた角度で固定されているため、低い位置に設置した場合は
操作しづらそうだ。DCP-J1200Nの操作パネルは他機種と異なり、本体上面の左側に縦に並んでいる。角度調整はできないため、逆に高い位置に設置した場合は操作しづらいと言える。 操作パネルと液晶ディスプレイにも大きな差がある。ある程度の操作性が確保されているのはEW-M674FTとEW-M634Tだけだ。いずれも2.4型のカラー液晶となっておりグラフィカルな表示も出来るので、表示内容や設定項目が分かりやすい。また、バックライトも入っているため、暗いところでも操作しやすい。2.4型というとプリンターの中でも大きい方ではないが、カラー液晶を搭載しているのは6機種中、この2機種だけなので、操作性は圧倒的に良い。特にEW-M674FTはタッチパネル液晶となっているため、メニューや設定項目、各種ボタンが液晶内に表示され、直に項目をタッチして操作ができるため直感的に操作できる。スタートボタンの他、ファクス用のテンキーもタッチパネル操作だ。ただし、テンキーに関しては物理的なボタンの方が押した感覚があるため、ファクスを多用する人にはやや操作しづらいかもしれないが、その分、物理キーが少なく見た目がスッキリしている他、テンキーが不要な際は表示されないため、操作が迷いにくい。唯一、どの場面でも使用する「ホーム」ボタン、と「ヘルプ」ボタンを液晶の左右に搭載している。EW-M634Tはタッチパネル液晶ではないが、液晶右に上下左右のカーソルボタンが十字型に並び、その中心に「OK」ボタン、右上と左上に「+」と「−」ボタン、左下に「戻る」ボタン、右下に「状況に応じて様々な用途に使う汎用ボタン」という配置は分かりやすく、直感的に操作しやすい。あとはその右に「スタート」「ストップ」ボタン、液晶左に「ホーム」ボタンと「ヘルプ」ボタンがある。液晶内の表示も基本的にタッチパネルのEW-M674FTと同等で、ホームメニューがあり、そこで機能を選んで進んでいくという一般的な操作性だ。 次に便利なのはG3370だ。液晶は1.35型とかなり小型で、モノクロ表示となるが、バックライトは搭載しているため暗いところでも操作可能だ。また、操作ボタンは液晶右に、上下左右のカーソルボタンと、その中央に「OK」ボタン、その右に「モノクロスタート」「カラースタート」「ストップ」ボタン、液晶左に「ホーム」「戻る」「QR」「ワイヤレスコネクト」ボタンとなっている。「+」「−」ボタンが無かったり、スタートボタンが「カラー」と「モノクロ」に分かれているなど若干の違いはあるが、基本的にはEW-M634Tと似ており、必要十分なキー数と分かりやすいキー配置となっている。液晶内の表示も、ホームメニューから機能を選ぶ形となる。ただし、液晶サイズもさる事ながら、モノクロ表示であるため、EW-M674FT/EW-M634Tと比べると、視認性は大きく劣る。 G3370よりも、上位モデルG7030/G6030の方が操作性はさらに落ちる。液晶は同じくモノクロ表示だが、横長の2行文字表示となっておりグラフィカルな表示ができない。漢字表示はできるが、文字情報だけなので分かりにくくなってしまう。その上、バックライトを搭載していないため、暗いところでの操作ができないのもデメリットだ。操作パネルを見てみると、液晶が小さいこともあって機能を選択するトップ画面が無いため、「コピー」「スキャン」「ファクス」(G7030のみ)「セットアップ」「ネットワークコネクト」といった各機能にダイレクトに入れるボタンが並んでいる。代わりに液晶内の操作するボタンは、設定画面を表示する「メニュー」ボタンの他、「左右カーソル」と「OK」「戻る」と最低限のボタン数となっており、あとは「カラースタート」「モノクロスタート」と「ストップ」となっている。カーソルが左右しかないため、操作がわかりにくく、階層も深くなってしまい、操作が煩雑になってしまう。液晶の見にくさだけでなく、ボタンの面でも、操作性はかなり劣ることになる。ファクス機能を搭載するG7030はこれに加えてテンキーを並んでおり、ボタン数がかなり多くなり、目的のボタンが分かりにくい他、見た目もスッキリしていない。 残るDCP-J1200Nは液晶ディスプレイ自体を搭載しない。ボタン配置もシンプルで、上から「用紙」「Wi-Fi」「ストップ/電源」「モノクロコピー」「カラーコピー」の5つだけだ。加えていくつかのLEDランプがあるため、これによって状態の確認や、コピー時の用紙設定を行う事になる。単純なコピーなら、「用紙」ボタンを押して使用する用紙を選択した後「モノクロコピー」か「カラーコピー」を押すだけなので何とか分かるが、それ以上の操作を行う際にはマニュアル無しでの操作はほぼ不可能だ。例えばヘッドクリーニングは、「ストップ」と「用紙」を同時に押し、「インク」LEDが点滅し始めたら、「カラーコピー」ボタンを押すと4色全て、「モノクロコピー」を押すとブラックインクのみクリーニングが行われる。以上から、コピーなど本体操作が多いなら、EW-M674FTがベストで、EW-M634Tでも良く、G3370でもギリギリ使えるレベルだが、残る3機種は、本体での操作はかなりの忍耐が必要になるといえる。 インターフェースは6機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンやスマートフォンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンやスマートフォンからでもプリント可能となり非常に便利だろう。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、G3370とDCP-J1200N以外の4機種は有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、既に家庭内にLAN配線がある、セキュリティー設定など無く手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。一方、無線LAN機能にも差がある。G3370を除く5機種ははIEEE802.11n/g/b規格にのみ対応するが、これは2.4GHz帯を使用しており、障害物には強いが電子レンジや電話の子機、無線のマウスやBluetoothなどと干渉しやすい問題がある。一方、G3370はIEEE802.11ac/n/a/g/bに対応しており、IEEE802.11ac/n/a使用時は5GHz帯にも対応している、5GHz帯は無線LAN専用と言えるため、電波干渉を避けられる。さらにIEEE802.11acはIEEE802.11nと比べて圧倒的に高速なので、通信速度がボトルネックになって待ち時間が発生しにくくなっている。このようにG3370は有線LANには非対応な一方で、無線LANは通信速度と安定性と両方で、他機種より高性能だ。有線LANと無線LANのどちらを使うのかによって、便利な機種は違ってくる。 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンのEW-M674FT/EW-M634TはWindows XP SP3以降は全て対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。MacOSも10.6.8以降と、比較的古いバージョンから対応する他、ダウンロード対応とはなるが専用ドライバーがメーカーから提供されるのはメリットだ。一方、キャノンのG7030/G6030とG3370、ブラザーのDCP-J1200NははWindows 7 SP1以降の対応で、Windows XPやVistaには非対応だ。また、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ(Windows 8.1には対応)。MacOSも、G7030が10.11.6以降、G6030は10.10.5以降、G3370とDCP-J1200Nは10.14.6以降とエプソンと比べると比較的新しいバージョンのみ対応だ。また、Mac用ドライバーはメーカーからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。 本体サイズを見てみよう。最もコンパクトなのはEW-M634Tで375×347×187mmである。家庭用のカートリッジ方式の複合機と比べても高さ以外は同程度となっており、設置スペースはかなり小さい。EW-M674FTもADFを搭載している分高さが231mmと高くなるが、幅と奥行きは同等だ。G6030は403×369×195mmで、EW-M634Tと比べて、幅が28mm、奥行きが22mm、高さが8mm大きい。大きな差ではないが、全体に一回り大きい印象だ。G7030はADFを搭載している分高さが234mmと大きくなる。またG7030/G6030は背面給紙を使用する場合は、後方にスペースが必要だ。両機種とも普通紙以外を使用する場合は、背面給紙となるため、実際の設置スペースではEW-M674FT/EW-M634Tより多少大きめに確保する必要がある。G3370は416×337×177mmで、横幅がやや大きく、奥行きは6機種中最も小さい。横幅はEW-M634Tとの比較では41mm大きくなるため、大きく見える。奥行きは小さいのは、前面給紙カセットを唯一搭載しないためと言えるが、それでもEW-M634Tと10mmしか変わらず、結局、背面給紙のために後方にスペースが必要なので、EW-M634Tと比べて設置スペースは大きくなってしまう。DCP-J1200Nは435×359×161mmで、横幅が特に大きくEW-M634Tより60mm大きくなる。奥行きも大きく、前面給紙が基本であるため後方にスペースは不要とは言え、全体に設置スペースは大きくなる。高さは低めだが、操作パネルが上面にあるため、上方にスペースがないと操作できない。コンパクトさを求めるなら、EW-M674FTかEW-M634Tがオススメだ。 ブラザーを除く5機種では耐久枚数も公表されている。EW-M674FT/EW-M634TとG3370は5万枚、G7030/G6030は6万枚となる。家庭用の機種が1万から1万5000枚なので、それと比べるとかなり高耐久と言える。印刷枚数が多いと思われる機種だけに、高耐久なのはうれしいところだ。DCP-J1200Nは耐久枚数を公表していないが、上位モデルでは公表していることを考えると、それほど高耐久でない事が予想される。 ちなみに本体のカラーバリエーションは、G6030とG3370のみブラックとホワイトを選ぶ事が出来る。EW-M674FT、EW-M634T、DCP-J1200Nはホワイトのみ、G7030はブラックのみとなる。 6機種の内、どの機種がオススメかを見てみよう。まずファクスを必要とするならEW-M674FTかG7030から選ぶ事になる。まず文書の印刷に特化するならEW-M674FTだ。文書の印刷速度が高速で、PrecissionCoreプリントヘッドによる高解像度印刷も魅力だ。また両面印刷は特に高速なので、多用する人にはお勧めだ。一方、画質はさておき写真印刷なども楽しみたいなら、写真印刷も比較的高速なG7030がオススメだ。また、1種類の用紙しか使わないならEW-M674FTで問題ないが、よく使う1種類を常時セットしつつ、他の用紙も使う場合は、背面給紙も利用できるG7030がオススメだ。逆に普通紙以外を常時セットしておく場合、EW-M674FTは前面給紙カセットにセットできるが、G7030は背面給紙からとなり不便だ。その他、ファクス機能やコピー機能をある程度利用するならEW-M674FTだ。G7030のファクス機能はかなり簡易的で、保存件数などの面で困ることもあるだろう。また操作性が、カラーのタッチパネル液晶であるEW-M674FTと、モノクロの文字表示であるG7030では大きな差があるため、コピー操作などはEW-M674FTなどが圧倒的に使いやすい。交換式メンテナンスボックスや各種リモートプリントなど、EW-M674FTの方が高性能な場合が多く、操作性を含めてクセが少なく、インク補充時の色間違え防止構造など、万人にオススメしやすい機種と言える。ただ、G7030の方が8,272円安いので、ファクス機能の差や操作性の差が気にならないなら、安価なG7030でも良いだろう。 では、ファクス機能が不要な場合は、EW-M634T、G6030、G3370、DCP-J1200Nから選ぶ事になる。まず、印刷枚数が多いならEW-M634T、G6030、G3370がオススメだ。これら3機種に比べDCP-J1200Nは印刷コストがモノクロで倍、カラーで5.5倍となるためだ。また本体の耐久性の面でも、高耐久がうたわれているこれら3機種の方がオススメだ。ではこの3機種の中から選ぶとなると、まず印刷速度や自動両面印刷、前面給紙カセット、有線LANなどの機能にこだわりがないなら、G3370がオススメだ。3機種中最も安価にもかかわらず、基本的な機能は搭載されており、印刷コストは他機種同様非常に安い。常時用紙をセットしておくような使い方には向かないが、一度に大量印刷をする様な使い方ならありだろう。高機能は求めないのであれば、印刷コストが安く、本体価格も比較的安価でオススメだ。ではEW-M634TとG6030となると、両機種は似ているため選びにくい。ここでもEW-M674FTとG7030と同じ考え方となる。まず、文書の印刷に特化するならEW-M634Tだ。文書の印刷速度が高速で、PrecissionCoreプリントヘッドによる高解像度印刷も魅力だ。また両面印刷は特に高速なので、多用する人にはお勧めだ。一方、画質はさておき写真印刷なども楽しみたいなら、写真印刷も比較的高速なG6030がオススメだ。また、1種類の用紙しか使わないならEW-M634Tで問題ないが、よく使う1種類を常時セットしつつ、他の用紙も使う場合は、背面給紙も利用できるG6030がオススメだ。逆に普通紙以外を常時セットしておく場合、EW-M634Tは前面給紙カセットにセットできるが、G6030は背面給紙からとなり不便だ。その他、コピー機能をある程度利用するならEW-M634Tだ。カラー液晶で比較的大きなEW-M634Tと、モノクロの文字表示液晶で小さめのG6030では操作性に大きな差があるため、コピー操作などはEW-M634Tなどが圧倒的に使いやすい。結果、EW-M634Tの方が、交換式メンテナンスボックスや各種リモートプリントなど高性能な部分が多く、操作性を含めてクセが少なく、インク補充時の色間違え防止構造など、万人にオススメしやすい機種と言える。価格的にはほぼ同等であるため、よほど前面+背面給紙という点に惹かれるのでなければEW-M634Tがオススメだ。では残るDCP-J1200Nはというと、機能的に劣る部分が多くオススメしにくい印象だ。前述の印刷コストの差は、特にカラーでは大きく、インクカートリッジ自体も高価だ。自動両面印刷や有線LAN機能なども搭載しておらず、液晶を搭載していないためコピー機能を簡易的だ。EW-M634TやG6030より1万円以上安いとは言え、機能的に近いG3370との価格差は2,700円しか無く、G3370ならより印刷コストは安く、液晶も搭載している。また、本体の価格差があるEW-M634Tでも、同梱のインクを使い切った際の合計金額では逆転する事が予想される。メリットがあるとすると、印刷速度が高速である事と、液晶が無い故の等倍コピーの簡単さだ。印刷コストもモノクロに限れば2倍で許容できる。モノクロ文書や等倍コピーをサッと行いたいが、総印刷枚数はそこまで多くないというユーザーなら使いやすいと言えるだろう。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ |
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