プリンター徹底比較
2022年末時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2025年11月11日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


ファクス付きA3カラー複合機(カートリッジ方式)
 
 A3ノビ/A3のプリントとA3のスキャンに対応したファクス機能付き複合機である。その中でカートリッジ方式の4機種を比較する。エプソンからはPX-M6011F(44.550円)とPX-M6010F(35,750円)が、ブラザーからはMFC-J7300CDW(63,250円)とMFC-J7100CDW(46,650円)が該当する。PX-M6011FMFC-J7300CDWが前面給紙カセットが2段で、PX-M6010FMFC-J7100CDWはそれぞれの前面給紙カセット1段タイプとなる。そのため、エプソンとブラザーのそれぞれでの違いを詳しく見ていく形となるが、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはカセット段数以外の違いもある。細かく検証していこう。

プリント(画質)
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込) 44,550円 35,750円 63,250円 46,650円
インク 色数 4色 4色 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立 各色独立 各色独立 各色独立
顔料/染料系 顔料
(文書キャビネット保存400年)
顔料
(文書キャビネット保存400年)
顔料 顔料
インク型番 IB07B(大容量)
IB07A(標準容量)
IB07B(大容量)
IB07A(標準容量)
LC412XL(大容量)
LC412(標準容量)
LC412XL(大容量)
LC412(標準容量)
最小インクドロップサイズ N/A(3.8pl(MSDT)?) N/A(3.8pl(MSDT)?) カラー:2.5pl
ブラック:4pl
カラー:2.5pl
ブラック:4pl
最大解像度 4800×2400dpi 4800×2400dpi 1200×4800dpi 1200×4800dpi
高画質化機能 PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi) PrecisionCoreプリントヘッド(600dpi) 自動ノズルチェック 自動ノズルチェック

 それでは、プリントの画質を見てみよう。4機種とも4色インク構成というのは同等だ。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色だけで、顔料インクを採用している。顔料インクは普通紙への印刷時に染料インクのような用紙へのしみこみが少なく、インクが広がりにくいので、クッキリとしたメリハリのある印刷が行えるというメリットがある。そのため、細かな線や小さな文字、中抜き文字もつぶれず綺麗に印刷できる。また、耐水性も高いというメリットもあり、濡れた手で触ったりマーカーで線を引いても滲まない点も便利である。そのため、パソコンから普通紙への印刷や、普通紙コピー、年賀状印刷に向いている他、ファクス機能を使う時も、受信したファクスを普通紙に印刷する際に高画質、高耐水で印刷が出来る。ただし、顔料インクにはデメリットもあり、写真用紙に印刷すると、発色はあまり良くなく、また写真用紙本来の光沢感も薄れポストカードのような鈍い光り方になってしまう。光沢年賀状やフィルム用紙など一部に顔料インク非対応の用紙もある。そのため、これら4機種は普通紙印刷をメインにした機種と言える。
 顔料インクである点や4色インクである点は同等だが、画質面を細かく見てみよう。顔料4色であるため写真印刷がメインという事はないだろうが、保存目的でなくても写真を印刷する可能性はあるし、年賀状印刷や、普通紙に印刷した文書中の写真やグラフなどでの画質は良いに越したことはないだろう。印刷物の粒状感(ドットが見えてザラザラする感じ)に影響の大きい最小インクドロップサイズは、PX-M6011FPX-M6010Fは非公開ながら海外の同機能のモデルから予想すると3.8plと思われる。一方、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはカラーが2.5pl、ブラックが4plであり、カラーはPX-M6011FPX-M6010Fより小さいが、ブラックはやや大きい。いずれにしても、家庭用複合機の写真印刷向けの機種では1.5plや2plなので、ドットはかなり大きく、粒状感はそれなりに感じられるだろう。また、PX-M6011FPX-M6010FMFC-J7300CDWMFC-J7100CDWでは差はほとんど無いと言えるだろう。
 ただし、普通紙印刷に関しては、この限りではない。PX-M6011FPX-M6010FはPrecisionCoreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度が600dpiと高くなっている。文字の輪郭や細い線もより鮮明になっている他、より色鮮やかな発色で印刷できるようになっており、普通紙への印刷時に特有の沈んだ色ではなくなっている。文字や図面などの鮮明さという点ではPX-M6011FPX-M6010Fの方が良いと言えるだろう。一方、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは、「自動ノズルチェック」機能を搭載している。プリントヘッドのエラーを自動検知し、クリーニングを行うため、何十枚も印刷していたら、途中で目詰まりが発生して印刷結果に筋が入ってしまいやり直しという様な、インクと用紙の無駄を軽減することができる。
 また、顔料インクは元々、文書の長期保存に適したインクではあるが、PX-M6011FPX-M6010Fではより耐保存性を高め、キャビネット保存で400年をうたっており、安心して長期保存が可能だ。

プリント(印刷速度)
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
ノズル数 1568ノズル 1568ノズル 1680ノズル 1680ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
全色:各420ノズル 全色:各420ノズル
印刷速度 L判フチなし写真
(メーカー公称)
N/A N/A N/A N/A
A4普通紙カラー
(ISO基準)
12.0ipm 12.0ipm 28.0ipm 28.0ipm
A4普通紙モノクロ
(ISO基準)
25.0ipm 25.0ipm 28.0ipm 28.0ipm
ファーストプリント速度 A4普通紙カラー 8.5秒 8.5秒 4.6秒 4.6秒
A4普通紙モノクロ 5.5秒 5.5秒 4.4秒 4.4秒

 続いて印刷速度を見てみよう。カラー文書の印刷速度はPX-M6011FPX-M6010Fが12.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWが28.0ipmであるため、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWが圧倒的に高速だ。28ipmというのはインクジェットプリンターとしてはかなり高速な部類に入り、卓上レーザープリンターの中位機種並みの速度になる。PX-M6011FPX-M6010Fの12ipmでも十分高速で、よほど印刷枚数が多くなければ問題ないだろうが、印刷枚数が多い場合はMFC-J7300CDWMFC-J7100CDWの速さはストレスがないだろう。一方モノクロ文書の印刷速度はPX-M6011FPX-M6010Fが25.0ipm、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWが28.0ipmと差は小さくなる。モノクロプリントがメインなら、速度差は気にならないと言える。また、こちらも卓上レーザープリンターの中位機種並みの速度であり、レーザープリンターからの置き換え用途にも十分な速度となっている。
 これまでの速度は連続プリントの場合の速度だが、1枚目のプリント速度であるファーストプリント速度も重要だ。こちらも連続プリントの速度に比例しており、カラープリントはPX-M6011FPX-M6010Fが8.5秒、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWが4.6秒と差が大きく、モノクロプリントの場合5.5秒と4.4秒で差は小さくなる。ビジネス向けということもあり非常に高速で、1回に大量の印刷を行うのではなく、1、2枚のプリントを頻繁に使うような用途でも安心だが、カラープリントが多いならMFC-J7300CDWMFC-J7100CDWの速さは便利だろう。

プリント(印刷コスト)
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
印刷コスト
(税込)
L判フチなし写真 用紙代込み
(メーカー公称)
N/A N/A N/A N/A
インク代のみ
(予測値)※
N/A N/A N/A N/A
A4カラー文書 大容量:9.4円 大容量:9.4円 大容量:6.5円 大容量:6.5円
A4モノクロ文書 大容量:2.9円 大容量:2.9円 大容量:1.7円 大容量:1.7円
インク1セットでの印刷可能枚数
(A4カラー文書を印刷した場合)
ブラック 大容量:2,200ページ
標準:350ページ
大容量:2,200ページ
標準:350ページ
大容量:3,000ページ
標準:350ページ
大容量:3,000ページ
標準:350ページ
カラー 大容量:1,100ページ
標準:300ページ
大容量:1,100ページ
標準:300ページ
大容量:1,500ページ
標準:350ページ
大容量:1,500ページ
標準:350ページ
インク1本の価格
(税込)
ブラック 大容量:6,446円
標準:1,463円
大容量:6,446円
標準:1,463円
大容量:4,950円
標準:1,320円
大容量:4,950円
標準:1,320円
カラー 大容量:各2,332円
標準:各979円
大容量:各2,332円
標準:各979円
大容量:各2,420円
標準:各1,320円
大容量:各2,420円
標準:各1,320円
※写真の印刷コストに含まれる写真用紙代は、各メーカーで異なります。各メーカーの測定条件から、以下のようになっています。
エプソン:5.2円(「写真用紙<光沢>」500枚パック(KL500PSKR)2,600円→1枚5.2円)
キャノン:4.7円(「写真用紙・光沢 ゴールド」400枚パック(GL-101L400)1,875円→1枚4.6875円)
ブラザー:4.2円(「写真光沢紙」500枚パック2,090円→1枚4.18円)
なお、小数点2位以下の関係で0.1円の誤差が発生することがあります。

 続いて印刷コストを見てみよう。PX-M6011F/PX-M6711FはA4カラー文書が9.4円、A4モノクロ文書が2.9円である。対してMFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはカラーが6.5円、モノクロは1.7円となっている。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWの方が、カラーは30%、モノクロは40%安く、印刷枚数が多いなら無視できない差である。これは、インクカートリッジ1セットでの印刷枚数が差となっている。インクカートリッジの価格はPX-M6011F/PX-M6711Fはブラックが6,446円、カラーが各2,332円で、4色買うと13,442円である。一方MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはブラックが4,950円、カラーが各2,420円で、4色買うと12,210円である。インク1セットの価格はほぼ同等だが、印刷可能枚数はA4カラー文書を印刷した場合、PX-M6011FPX-M6011Fはブラックインクが2,200ページ、カラーインクが1,100ページなのに対して、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはブラックインクが3,000ページ、カラーインクが1,500ページと、どちらも1.36倍の枚数が印刷可能だ。そのため1枚あたりに換算すると、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWの方が安くなるわけである。より印刷コストを安くするなら、エプソンならエコタンクのPX-M6711FT(カラー2.2円、モノクロ0.9円)や、ブラザーならファーストタンクのMFC-J7500CDW(カラー4.1円、モノクロ0.8円)という選択肢もあるが、本体価格は圧倒的に高くなる(129,978円と99,900円)。そこまでではないが、少しでも印刷コストが安い方がという場合はMFC-J7300CDWMFC-J7100CDWがオススメだ。ただし、エプソンとブラザーで本体価格に差があるため、ある程度印刷枚数が多くないと元が取れない。同じ給紙カセット段数で比較すると、PX-M6011FMFC-J7300CDWでは18,700円の差があるため、カラー文書で約6,500枚、モノクロ文書で約15,600枚相当になり、PX-M6010FMFC-J7100CDWでは10,900円の差があるため、カラー文書で約3,800枚、モノクロ文書で約9,100枚相当となる。もちろん機能面での差があり、印刷コストだけで機種が決まるわけではないが、この枚数がどちらの機種がお得かの境目となる。
 ちなみに、インクカートリッジはセットしてから半年以内に使い切るのが推奨されており、長くても1年程度で使い切らないと、目詰まりしやすくなったりし、インクが残っていても交換する事になってしまう。印刷枚数が少ないユーザーの場合、インク1本で1,000〜3,000ページも印刷できるのは多すぎるだろう。しかし、これはいずれも大容量インクカートリッジの場合で、標準容量のインクカートリッジも用意される。こちらならPX-M6011FPX-M6010Fで1セット4,400円、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWで5,280円で購入できる。ただ、印刷可能な枚数は、価格差以上に少なくなっているため、1枚当りの印刷コストは高くなる。また、印刷可能枚数は、PX-M6011F/PX-M6711Fはブラックインクが350枚、カラーインクは300枚で、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはブラック・カラーインク共に350枚となる。標準インクを使う場合、PX-M6011F/PX-M6711Fと、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWでは印刷可能枚数の差が小さく、インクの価格も近いため、大容量カートリッジを使う場合と違って印刷コストにほとんど差が無いと予想される(メーカーは大容量カートリッジの場合の印刷コストしか公表していないが)。標準カートリッジを使う予定のユーザーは、印刷コストの差はほぼ無いと考えて機種を選ぶ必要がある。

プリント(給紙・排紙関連)
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
対応用紙サイズ
定型用紙
L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A3 L判〜A3
長尺用紙 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで
給紙機能
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(50枚/20枚/20枚)

(50枚/20枚/20枚)

(100枚/50枚/20枚)
0.52mm厚対応

(100枚/50枚/20枚)
0.52mm厚対応
前面 【カセット上段】
A3以下
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
普通紙A3〜B5
(250枚/−/−)
【カセット】
A3以下
(250枚/65枚/50枚)
【カセット上段】
(250枚/20枚/20枚)
【カセット下段】
普通紙のみ・A4以上
(250/−/−)
【カセット】
(250枚/20枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動伸縮 ○(A4/A3伸張量自動調整) ○(A4/A3伸張量自動調整)
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙幅チェック機能 ○(印刷時) ○(印刷時)

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は、PX-M6011FPX-M6010Fは最大サイズがA3ノビ、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはA3までとなる。A3は297×420mmなのに対して、A3ノビは329×483mmであり、PX-M6011FPX-M6010Fの方が一回り大きなサイズまで印刷が出来る。普通紙ではA3ノビはあまり見かけないが、それ以外の用紙ではA3ノビを使用する事もできるほか、非定型のサイズの用紙や封筒などに印刷する場合に重宝するかもしれない。また、最小サイズは4機種ともL判(89×127mm)だが、PX-M6011FPX-M6010Fは用紙幅64mmまでは対応している。B6ハーフサイズのプライスカードなどに用いられるサイズで、小売店などで重宝されそうだ。対応用紙は似ている様で、PX-M6011FPX-M6010Fの方が幅広く使用できる。一方、長尺印刷に関しては、4機種とも1,200mm(1.2m)まで対応するため、垂れ幕や横断幕の印刷に便利そうだ。
 給紙に関して4機種とも前面給紙カセット+背面給紙の2方向給紙となっている。4機種とも前面給紙カセットにA3の用紙までセットできるが、A4用紙以下のサイズの場合は本体に完全収納できるが、B4やA3の場合は給紙カセットを伸ばす必要があり、本体から前に飛び出す形になる。排紙トレイよりは飛び出ていないので、使用時は気にならないだろうが、排紙トレイを収納した際には飛び出しが気になる場合もあるだろう。ちなみにPX-M6011FPX-M6010FはA3ノビプリントに対応しているが、前面給紙カセットはA3までとなる。カセット1段にA4普通紙で250枚までセットできるので、大量給紙が可能だ。この前面給紙カセットがPX-M6011FMFC-J7300CDWは2段、PX-M6010FMFC-J7100CDWは1段搭載しているのが大きな違いだ。PX-M6010FMFC-J7100CDWは前面給紙カセットには1種類の用紙しかセットできず250枚までとなるが、PX-M6011FMFC-J7300CDWはそれぞれのカセットに、A3とA4や、普通紙と両面普通紙といった違う用紙をセットして使い分けることも出来るし、2段とも同じ用紙をセットすれば500枚まで使えるという点で便利だ。ただし、PX-M6011FMFC-J7300CDWも下段は普通紙に限定され、PX-M6011FはB5以上、MFC-J7300CDWはA4以上となる。
 一方の背面給紙は、PX-M6011FPX-M6010Fは普通紙を50枚までセットできる。A3ノビサイズもこちらからとなる。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは普通紙を100枚までセットできる他、0.52mm厚の厚紙まで対応する。通常のプリンターでは0.3mm前後が限界なので、やや分厚い紙でもプリント可能だ。背面給紙はMFC-J7300CDWMFC-J7100CDWの方が機能は豊富だ。ちなみに、ハガキのセット枚数で見てみると、PX-M6011FPX-M6010Fは前面給紙カセットに65枚、背面給紙に20枚の計85枚、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはそれぞれ20枚と50枚で計70枚となり、大きくは変わらない。ただし、前面給紙カセットでのセット枚数に大きな差があるため、常時セットしておく場合は前面給紙カセットの方がホコリが積もらず良いので、ハガキを印刷する場合はPX-M6011FPX-M6010Fの方が便利そうだ。
 それ以外の機能として、PX-M6011FPX-M6010Fは排紙トレイの自動伸縮機能が搭載されている。印刷時に排紙トレイが自動的に伸張されるので、排紙トレイを出し忘れて印刷物が床に散らばってしまう心配が無い。またA4とA3で伸張量を調整するため、A4プリントなのに無駄に最大まで伸張して邪魔になるという事も無い。
 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙の場合はカセットを挿し込むと、背面給紙の場合は用紙をセットすると自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。さらに、PX-M6011FPX-M6010Fは、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能も搭載しており、用紙サイズが印刷設定より小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部を汚さないように工夫がなされている。

プリント(付加機能)
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
自動両面印刷 対応/非対応
対応用紙 普通紙
ハガキ
普通紙
ハガキ
普通紙
ハガキ(インクジェットはがき・光沢はがき非対応)
普通紙
ハガキ(インクジェットはがき・光沢はがき非対応)
対応サイズ A3
B4
A4
B5
A5
A6
レター
リーガル
ハガキ
往復ハガキ
ユーザー定義サイズ(182×257〜297×431.8mm)
A3
B4
A4
B5
A5
A6
レター
リーガル
ハガキ
往復ハガキ
ユーザー定義サイズ(182×257〜297×431.8mm)
A3
B4
A4
B5
A5
レジャー
リーガル
レター
エグゼクティブ
ハガキ
A3
B4
A4
B5
A5
レジャー
リーガル
レター
エグゼクティブ
ハガキ
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 9.0ipm 9.0ipm 21.0ipm 21.0ipm
A4モノクロ文書 16.0ipm 16.0ipm 21.0ipm 21.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷 ○(黒だけでモード・5日間のみ) ○(黒だけでモード・5日間のみ) ○(クロだけ印刷・最大30日) ○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ −/○ −/○ −/− −/−
○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能 ○(フチあり印刷継続可) ○(フチあり印刷継続可)

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は4機種とも搭載しており、いずれもA3まで対応している。4機種ともハガキにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。ただし、PX-M6011FPX-M6010Fはファイン紙や光沢紙タイプのハガキ用紙や、郵便ハガキのインクジェット紙タイプにも対応するのに対して、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは普通紙タイプのハガキにしか自動両面印刷は出来ず、ファイン紙や光沢紙タイプの場合は片面ずつプリントする必要がある。対応用紙サイズも、日本では馴染みの薄いレターやリーガルなどの用紙を除くと、A3/B4/A4/B5/A5/ハガキサイズは4機種とも同等だ。これに加えて、PX-M6011FPX-M6010Fでは、A6サイズや往復ハガキにも自動両面印刷が可能だ。また、ユーザー定義サイズで指定すれば、前述の定型サイズ以外のサイズも指定できる。A4より少し短い用紙や、A4幅でA3の長さの用紙などにも自動両面印刷ができるため、特殊な用紙を使用しているユーザーにはうれしい機能だ。ただし最小サイズは182×257mmとB5サイズまでなので、B5からA3サイズの間という事になる。
 なお、自動両面印刷の場合、表を印刷した後、そのままもう一度プリンター内に吸い込まれ、前面給紙の場合と同じくプリンター後方で180度方向転換することで、裏返しているわけだが、これに時間がかかってしまい、両面印刷時は片面印刷に比べると印刷速度が低下してしまう。PX-M6011FPX-M6010Fはの自動両面印刷時の速度は、カラーが9.0ipm、モノクロが16.0ipmとなる。一方MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはカラー・モノクロ共にが21.0ipmとなる。片面印刷と比べると、PX-M6011FPX-M6010Fはカラーが75%、モノクロが64%の速度となり、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはカラー、モノクロ共に75%の速度となる。カラーでは片面印刷の速度差がそのままだが、モノクロでは差が広がる事となる。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは片面印刷も圧倒的に高速だったが、自動両面印刷時もその速度の優位性は揺るがないと言える。
 画質的には写真印刷には向かないが、PX-M6011FPX-M6010Fは写真自動補正機能「オートフォトファイン!EX」に対応している。逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。
 カラーインクが切れた時でも、モノクロ印刷が継続できる機能は4機種とも搭載している。エプソンは「黒だけでモード」、ブラザーは「クロだけ印刷」という機能である。エプソンは最大5日、ブラザーは最大30日かつコンセントを抜くなど電源供給が無くなると終了となる制限があるが、新しいインクカートリッジを買いに行くまでの緊急対応が行える。
 その他、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能はPX-M6011FPX-M6010Fのみ搭載している。さらに、PX-M6011FPX-M6010Fは交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)にも対応している。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、これら2機種は、インクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(2,618円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。一方、フチなし吸収材(フチなし印刷時は用紙ギリギリサイズでプリントすると用紙の微妙なズレにより余白が出てしまうため、用紙サイズより少し大きめにプリントし、そのはみ出したインクをフチなし吸収材に吸収させている)が満タンになった場合は修理対応となるが、こちらも「フチあり」印刷に限っては印刷が継続できる機能を搭載する。とりあえず、急ぐ印刷だけを行っておき、時間に余裕のある時に修理に出すことが可能だ。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは通常の使用では廃インクパッドの交換が必要ない事をウリにしているが、そもそも廃インクパッドとは、どのインクジェットプリンターでもそういうものであり、交換が必要になる事は多くは無い。それでも印刷枚数やクリーニング回数が多かったり、使い方によっては満タンになる事があり、その際にユーザーによる交換が可能か、修理対応となってしまうかは安心感に大きな違いがある。

スキャン
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
原稿サイズ A3(297×431.8mm) A3(297×431.8mm) A3(297×431.8mm) A3(297×431.8mm)
読み取り解像度 1200×2400dpi 1200×2400dpi 1200×2400dpi
(ADFは600×600dpi)
1200×2400dpi
(ADFは600×600dpi)
センサータイプ CIS CIS CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF 原稿セット可能枚数 50枚 50枚 50枚 50枚
原稿サイズ A3/B4/A4/B5/A5/レター/リーガル A3/B4/A4/B5/A5/レター/リーガル ハガキ〜A3
長尺900mmm対応
ハガキ〜A3
長尺900mmm対応
両面読み取り ○(同時両面)
読み取り速度
カラー
9.0ipm
(200dpi)
9.0ipm
(200dpi)
N/A
(片面:35.7ipm?
両面:44.4ipm?
(100dpi))
N/A
(35.7ipm?
(100dpi))
モノクロ 26.0ipm
(200dpi)
26.0ipm
(200dpi)
N/A
(片面:35.7ipm?
両面:44.4ipm?
(100dpi))
N/A
(35.7ipm?
(100dpi))
スキャンデーターのメモリーカード保存 ○(JPEG/PDF/PDA/A/TIFF) ○(JPEG/PDF/PDA/A/TIFF) ○(JPEG/PDF/TIFF) ○(JPEG/PDF/TIFF)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。4機種ともA3対応のスキャナーを搭載しており、読み取り解像度は最大1200×2400dpi、CIS方式という点も同等だ。家庭向けの機種ではもっと高解像度の機種があるが、紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分といえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる。なお、4機種ともCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。
 また、4機種ともADFを搭載している。50枚までの原稿を重ねてセットすれば順に給紙してスキャンしてくれるため、複数の原稿のスキャンやコピー、ファクス時に重宝する。ただし、両面原稿のスキャンについては機種より差がある。最も高性能なのはMFC-J7300CDWで、同時両面スキャン対応だ。フラットベッドスキャナーと兼用のCISセンサーの反対側にもう一つCISセンサーを搭載しており、原稿を1回通すだけで裏表のスキャンが完了する。PX-M6011FPX-M6010Fも両面スキャンに対応するが、フラットベッドスキャナーと兼用のCISセンサーしか搭載していないため、一度では片面しかスキャンできない。しかし、片面スキャン後、自動的にもう一度給紙され、もう片面をスキャンする機能が搭載されており、自動で両面スキャンが行える。一方、MFC-J7100CDWは両面スキャンには非対応だ。
 ちなみに対応サイズは、最大は4機種ともA3だが、最小サイズはPX-M6011FPX-M6010FがA5サイズなのに対して、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはハガキサイズまで対応する。より小さい用紙まで使えるのは便利だろう。ただし、ハガキ「サイズ」であって、ハガキのスキャンには対応できない。というのも対応する用紙は、PX-M6011FPX-M6010Fが坪量95g/uまで、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは坪量90g/uまでと変わらない。郵便ハガキは230g/u程度と言われているため、厚すぎるのである。4機種とも、給紙後にすぐに方向転換のためかなり急に曲げられてしまうため、厚めの紙や硬めの紙はADFでは使用できない。なお、ADFを使用した場合MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは長尺読み取りに設定すると、A3サイズ(長さ420mm)を超える900mmまでスキャンできるのはメリットだ。
 ADF使用時の読み取り速度も重要だ。PX-M6011FPX-M6010Fはカラーが9.0ipm(ipm=image per minute:1分間に何面をスキャンできるか)、モノクロが26.0ipmとモノクロが特に高速だ。モノクロスキャンの速度はモノクロプリントの速度を超えているため、ADFを利用して複数枚の原稿をコピーする際に、理論上はスキャン速度がボトルネックにならない点で非常に便利だ。一方MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはipm値を公表していないが、1枚当りの秒数を公表しており、そこから計算するとMFC-J7300CDWの片面スキャン及びMFC-J7100CDWでは35.7ipm、MFC-J7300CDWの両面スキャンでは44.4ipmとなる。一見するとPX-M6011FPX-M6010Fよりかなり高速に見えるが、速度計測時の解像度が異なっている点には注意が必要だ。PX-M6011FPX-M6010Fは200dpi、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは100dpiで、基本的にスキャン解像度が上がると速度は遅くなる。100dpiというのは実用的な解像度ではないため、あくまで最高速度を示したにすぎない。PX-M6011FPX-M6010Fはカラースキャンが遅いため、同じ条件下でもMFC-J7300CDWMFC-J7100CDWの方が高速な可能性があるが、モノクロスキャンに関してはPX-M6011FPX-M6010Fの方が高速な可能性が高いと言える。また、MFC-J7300CDWには気になる点もある。ipmは「image」 per minuteであり、1分間にスキャンできる「面数」である。つまり、1枚を同じ速度でスキャンする場合、同時両面スキャンだとipmは2倍になるはずである。ところがMFC-J7300CDWでは、片面が35.7ipm、両面が44.4ipmと2倍になっていない。面数ではなく枚数で計算すると、片面では1分間に35.7枚、両面では22.2枚となり、速度が低下していることが分かる。データー処理に時間が掛かるのか、ADF専用のCISセンサーが、フラットベッドスキャナー兼用のCISセンサーより低速なのかは不明だが、同時両面スキャンだから倍速とは考えない方が良いだろう。
 なお、4機種ともスキャンした原稿をパソコンを使わずメモリーカード又はUSBメモリー(MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはUSBメモリーのみ)に保存する機能を搭載している。

ダイレクト印刷
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード メモリーカードリーダー対応
(最大2TB)
メモリーカードリーダー対応
(最大2TB)
USBメモリー
(外付けHDD対応)
(最大2TB)

(外付けHDD対応)
(最大2TB)

(最大256GB)

(最大256GB)
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したファイルのみ) JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したファイルのみ) JPEG JPEG
最大解像度 10,200×10,200ドット 10,200×10,200ドット N/A N/A
最大読込ファイル数 9,990枚(JPEG)
999ファイル(PDF/TIFF)
9,990枚(JPEG)
999ファイル(PDF/TIFF)
999枚 999枚
日付印刷
写真切り出し
フチなし/フチあり切り替え
色補正機能 赤目補正 赤目補正 明るさ補正(5段階)
コントラスト補正(5段階)
明るさ補正(5段階)
コントラスト補正(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/− −/− −/−
PictBridge対応
各種デザイン用紙印刷 20面
インデックス(撮影情報付き)
20面
インデックス(撮影情報付き)
インデックスシート インデックスシート

 ダイレクト印刷機能は、4機種とも対応しているが、いずれもメモリカードリーダーは搭載しておらず、USBポートだけである。そのためUSBメモリー内のデーターの印刷がメインとなる。ただし、PX-M6011FPX-M6010FはUSBポートにパソコン用のメモリカードリーダーを接続する事により、SDカードなど各種メモリカードに対応できる。またUSBメモリーだけで無くUSB接続の外付けハードディスクにも対応しているなど、対応は豊富だ。一方、対応するファイル形式は、PX-M6011FPX-M6010FはJPEG、TIFF、PDF、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはJPEGのみとなる。画質的に写真印刷向きの機種では無い事から、文書の印刷がメインとなると思われるため、スキャンしてメモリカードに保存したデーターを再度印刷するという用途が考えられるだろう。その点でPX-M6011FPX-M6010Fは、同機能を利用してメモリーカードに保存したPDFファイルのみという制限はあるが、PDF形式に対応するのは便利だ。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはJPEGのみであるため、スキャン時にPDF形式で保存してしまうと、印刷できないし、JPEG形式だと複数ページの場合に1ページずつ別のファイルとなり不便だ。
 ちなみに、写真印刷向きでは無いとは言え、写真の印刷ももちろん可能だ。液晶内に表示される一覧から写真を選んで印刷できる。その際、フチあり、フチなしの選択も可能だ。また、撮影日を入れることも可能で、一通りの機能は備えている。その他、PX-M6011FPX-M6010Fは赤目補正を、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは明るさとコントラスト補正を行うことも可能だ。PX-M6011FPX-M6010Fは自動写真補正機能である「オートフォトファイン!EX」も利用可能だ。また、4機種とも写真一覧を印刷できる機能(PX-M6011FPX-M6010Fは「20面」、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは「インデックスシート」)もあるが、PX-M6011FPX-M6010Fは撮影日時やシャッタースピード、焦点距離とF値、カメラ名などの撮影情報と共に一覧印刷が出来る「インデックス」プリントも可能だ。

スマートフォン/クラウド対応
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Brother Mobile Connect Brother Mobile Connect
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 8.0以降
iOS 13.0以降
Android 8.0以降
iOS 14.0以降
Android 5.0以降
iOS 14.0以降
Android 5.0以降
Wi-Fiダイレクト接続対応
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(NFC(Android))
スマートフォンで初期設定
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント)
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント
アプリ経由/本体
○/− ○/− ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
スキャン
アプリ経由/本体
○/○ ○/○ ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能も4機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、4機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、また、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない人がプリンターを使いたい場合などにWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、MFC-J7100CDWを除く3機種は手軽に接続出来る工夫がなされている。PX-M6011FPX-M6010Fは、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、Androidの場合はアプリ上で一覧から接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定はより簡単になっている。一方のMFC-J7300CDWはNFCに対応しており、タッチするだけで接続が完了する。ただし、こちらは端末がAndroid限定で、NFCに対応している必要がある。MFC-J7300CDWでiOSから接続する場合と、MFC-J7100CDWの場合は、Wi-Fi設定からセキュリティーキーなどを入力して手動で接続する必要がある。PX-M6011FPX-M6010Fは、iOSでもAndroidでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。
 また、PX-M6011FPX-M6010Fはスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどとの印刷に対応している。
 さらに、クラウドとの連携機能も4機種とも搭載している。プリントの場合、オンラインストレージのファイルを印刷する事が可能で、主要なクラウドサービスに対応してる。PX-M6011FPX-M6010FはSNSの写真をコメント付きでも印刷する事も可能だ。ここで大きな違いは、PX-M6011FPX-M6010Fはスマートフォンのアプリからアクセスするのに対して、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはスマートフォン上だけでなくMFC-J7300CDWMFC-J7100CDW本体の操作でもクラウドにアクセスし印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、操作性の良いアプリ上でプリントする方法と、プリンター本体だけで手軽にプリントする方法が選べる点で、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWが便利だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、4機種とも本体の操作でアップロードまで行うことも、スマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるのは便利だ。
 さらにリモートプリント機能も4機種とも搭載している。まず、印刷したい写真や文書を本機にメールするだけで印刷できる「メールプリント」(PX-M6011FPX-M6010F)または「Eメールプリント」(MFC-J7300CDWMFC-J7100CDW)機能をは4機種とも搭載する。さらに、PX-M6011FPX-M6010Fは、スキャンしてを離れた場所の対応複合機で印刷、またはその逆が行え簡易ファクスのように使える「メールdeリモート印刷」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真や文書を送信すると印刷される「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のPX-M6011FPX-M6010Fで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。

コピー機能
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
フチなしコピー
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面) ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
プレビュー
その他コピー機能 濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
濃度調整
地色除去コピー
傾き補正
濃度調整
地色除去コピー
傾き補正
バラエティコピー IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
見開き→2ページコピー
ソート(1部ごと)コピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
見開き→2ページコピー
ソート(1部ごと)コピー
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
2枚に分割
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)
A4+ノート
A4+方眼
A4+メモ
A4センター
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
2枚に分割
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)
A4+ノート
A4+方眼
A4+メモ
A4センター

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行える「定型変倍」機能に加え、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える高性能な物を搭載している。また、2枚又は4枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付け、4面割り付けにも対応する。また、PX-M6011FPX-M6010Fはプレビューが行え、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できるのも便利だ。
 その他、濃度調整機能は4機種とも搭載する。また、背景色を除去する機能も「背景除去機能」「地色除去機能」として搭載している。それ以外の違いとしては、PX-M6011FPX-M6010Fはコントラスト、鮮やかさ、色調、シャープネス、色相の調整も可能だ。色調調整は、レッド・グリーン・ブルーを個別に調整できる。かなり高度な色の調整が可能で、好みの色や、原稿の色に近づけたコピーが可能だ。一方、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは「傾き補正」機能を搭載している。
 4機種とも様々なバラエティーコピー機能も搭載している。免許証などの両面の小さな原稿を、1枚の用紙に裏表並べてコピーできる「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能、周囲や綴じ目部分にできる影を消す「影消しコピー」又は「ブックコピー」、本などを見開きでスキャンし左右に分割して1ページごと用紙にコピーする「見開き→2ページコピー」又は「2枚に分割コピー」、ADFを利用した機能として、複数ページの複数部をコピーするときに1部ずつまとめてコピーする「ソート(1部ごと)コピー」又は「ソートコピー」といった機能は4機種とも共通で搭載している。これに加えて、PX-M6011FPX-M6010Fはパンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載している。一方、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは、すかし文字を入れてコピー出来る「透かしコピー」と、1枚の原稿を複数枚に拡大コピーすることで、貼り合わせてA3を超えるサイズにできる「ポスターコピー」機能を搭載する。「ポスターコピー」は1×2、2×2、3×3が選べる。また、A4原稿をA3用紙にコピーする際に、等倍のまま片側に寄せて、もう片側に、ノートや方眼、メモスペースを印刷する機能や、A3用紙の中央に印刷する機能も搭載している。エプソンとブラザーで一部機能は異なるが、豊富な機能を搭載し、様々な場面で便利に使えるだろう。

ファクス機能
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
通信速度 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps 33.6kbps
画質設定
モノクロ
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(精細)
8dot/mm×15.4line/mm(高精細)
16dot/mm×15.4line/mm(超高精細)
全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(精細)
8dot/mm×15.4line/mm(高精細)
16dot/mm×15.4line/mm(超高精細)
全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン)
8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン)
8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン)
8dot/mm×7.7line/mm(写真)
カラー 200×200dpi 200×200dpi 203×196dpi(標準・ファイン) 203×196dpi(標準・ファイン)
送信原稿サイズ A3〜A5 A3〜A5 A3/B4/A4/レジャー/レター/リーガル A3/B4/A4/レジャー/レター/リーガル
記録紙サイズ A3ノビ/A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター A3ノビ/A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター A3/B4/A4 A3/B4/A4
受信ファクス最大保存ページ数 550枚/100件 550枚/100件 400枚/N/A件 400枚/N/A件
データー保持(電源オフ/停電) ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
ワンタッチ 8件(4件+シフト押し4件) 8件(4件+シフト押し4件)
アドレス帳 200件 200件 100件(1件あたり2番号登録可) 100件(1件あたり2番号登録可)
グループダイヤル 199宛先 199宛先 198宛先 198宛先
順次同報送信 200宛先 200宛先 250宛先
(電話帳200宛先+手入力50宛先)
250宛先
(電話帳200宛先+手入力50宛先)
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信 ○/○ ○/○ −/− −/−
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
受信ファクスを メール送信
共有フォルダ保存 −(Dropbox/Evernote/googleドライブ対応) −(Dropbox/Evernote/googleドライブ対応)
外部メモリー保存 ○(USBメモリー・各種メモリーカード(カードリーダー接続時)) ○(USBメモリー・各種メモリーカード(カードリーダー接続時))
PCファクス 送受信 送受信 送受信 送受信

 ファクス機能は4機種はほぼ同等のもの搭載する。スーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。もちろん、MFC-J7100CDW以外の3機種は、両面スキャンしファクスできるため便利だ。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85line/mmの標準モード、8dot/mm×7.7line/mmの精細又はファインモード、8dot/mm×15.4line/mmの高精細又はスーパーファインモードに設定できる。加えて、PX-M6011FPX-M6010Fはさらに高精細な、16dot/mm×15.4line/mmの超高精細モードが設定できる。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはファインモードと読取操作線密度は同じだが、写真を含む原稿に向いている写真モードも選択できるが、PX-M6011FPX-M6010Fは読取走査線密度とは独立して、原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可能で、自由度はPX-M6011FPX-M6010Fの方が高い。とはいえ4機種で多少の違いはあるが大きな差はないだろう。カラーはPX-M6011FPX-M6010Fが200×200dpi、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは203×196dpiだ。送信原稿サイズは日本では馴染みの薄いレターやリーガルサイズなどを除くと、PX-M6011FPX-M6010FがA3〜A5サイズ、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはA3/B4/A4で、PX-M6011FPX-M6010FはB5とA5サイズに対応しているのは便利だ。受信したファクスも、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはA4/B4/A4だが、PX-M6011FPX-M6010Fはより小さなB5/A5サイズと、より大きなA3ノビサイズにも対応している。
 受信したファクスはPX-M6011FPX-M6010Fが550枚又は100件分、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは400枚(件数は不明)まで保存でき、電源オフだけでなく、停電時やコンセントが抜けた場合でも受信した内容が保持されるのは安心である。
 ダイヤル機能としては4機種ともアドレス帳に電話番号を200番号登録できる点では同じだが、PX-M6011FPX-M6010Fは200件登録出来るのに対して、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは100件で、1件あたり2番号を登録できるだけなので、件数で見るとPX-M6011FPX-M6010Fの方が倍登録出来る。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはこれに加えて8件のワンタッチダイヤルも登録できる。正確には1〜4までのボタンとシフトボタンの組み合わせで8件となっており、より簡単にダイヤルできる。一方、PX-M6011FPX-M6010Fはクイックダイヤルボタンが用意され、このボタン+アドレス帳の登録番号でダイヤルができるようになっている。
 その他、グループダイヤル、順次同報送信、自動リダイヤルなどを備えているため、一般的な家庭用ファクス電話以上の事が可能だ。PX-M6011FPX-M6010Fはポーリング送受信も可能だ。また、送信するファクスを液晶で確認してから送信する「見てから送信」と、受信したファクスの内容を液晶で確認した上で印刷するか決めることで用紙を節約できる「見てから印刷」機能も4機種とも備える。受信したファクスは、指定したアドレスにメールできるため、外出時でもファクスが確認できる他、PX-M6011FPX-M6010Fは共有フォルダに保存したり、USBメモリーやメモリーカードに保存も出来、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはクラウドにアップロードが出来るため、情報共有も行いやすい。
 さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能を備えているのも便利である。送信(パソコン上のデーターを画像として送信)だけでなく、受信(パソコン上にファクスのデーターを受信)することもできる。なお、ファクス機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際、ファクス/電話自動切り替え機能にも対応している。4機種はワンタッチダイヤルや受信ファクスの扱いなど微妙な差はあるが、ほぼ同じと考えて良いだろう。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
メーカー エプソン エプソン ブラザー ブラザー
型番 PX-M6011F PX-M6010F MFC-J7300CDW MFC-J7100CDW
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型
(角度調整可)
4.3型
(角度調整可)
3.5型
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11ac/n/a/g/b
(5GHz帯対応)
IEEE802.11ac/n/a/g/b
(5GHz帯対応)
IEEE802.11n/g/b IEEE802.11n/g/b
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 11/10/8.1/7 SP1
MacOS 10.15.X〜
(AirPrint使用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
MacOS 10.15.X〜
(AirPrint使用)
耐久枚数 15万枚又は5年 15万枚又は5年 30万枚又は7年 30万枚又は7年
外形寸法(横×奥×高) 515×450×350mm 515×450×285mm 576×477×375mm 576×477×305mm
重量 20.2kg 17.8kg 23.4kg 19.8kg
本体カラー ホワイト ホワイト ホワイト系 ホワイト系

 操作パネルを見てみよう。4機種ともタッチパネル式の液晶パネルを搭載しつつ、一部は物理ボタンとして用意する事で、操作性を高めている点は共通だ。本体前面に配置され、持ち上げて角度調整が可能なので、見やすい角度に調整が出来て操作性が良いのも共通だ。ただし、調整可能な角度はPX-M6011FPX-M6010Fがほぼ90度(水平)まで可能なのに対して、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは40〜50度程度であるため、低い位置に置いた際の視認性には差がある。液晶サイズも差がありPX-M6011FPX-M6010Fは4.3型、MFC-J7300CDWは3.5型、MFC-J7100CDWは2.7型となる。ブラザーの2機種は小さく、特にMFC-J7100CDWはかなり小さめだ。また、視野角や輝度などの面でPX-M6011FPX-M6010Fの方が視認性は良い。4機種ともタッチパネルと物理ボタンを併用しており、操作性は良好だが、PX-M6011FPX-M6010Fの方が使いやすさでは勝ると言えるだろう。ちなみにテンキーも物理ボタンで用意されるのは4機種共通だ。ボタン数が多くなり、見た目はスッキリしていないが、タッチパネル内に表示される場合と比べると、ボタンを押した感触があるため、押し間違えたりしにくく素早く押すことができる。ファクス機能を多用する場合はこちらの方が便利だ。
 インターフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、既にLAN配線がある、接続設定など無く手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。一方無線LANの機能には違いがある。MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはIEEE802.11n/g/bに対応しており、2.4GHz帯の電波を使用する。2.4GHz帯は障害物に強いが、Bluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすいという問題がある。PX-M6011FPX-M6010Fはこれらに加えてIEEE80.211ac/aにも対応し、IEEE802.11ac/n/a通信時は5GHz帯の電波を使用できる。5GHz帯は無線LAN専用といえるので、通信が安定する。また、IEEE802.11acはIEEE802.11nと比べると通信速度が圧倒的に速いため、高速なプリントやADFでのスキャン時も、データー転送待ちが発生しにくくなっている。無線LANでの接続を考えているなら、この差は注目だ。
 対応OSにも差がある。PX-M6011FPX-M6010FはWindows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3と幅広く対応している。マイクロソフトのサポートが終了したWindows VistaやXPにも対応しているのは安心だ。MacOSも10.6.8以降と比較的古いバージョンから対応しているだけでなく、ダウンロード対応とはなるが、専用ドライバーがエプソンから提供される。一方、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWはWindows 11/10/8.1/7 SP1対応となりWindows VistaやXPには対応しないだけでなくWindows 8にも非対応だ。MacOSも、10.15.X以降となり、比較的新しいバージョンのみの対応となる。またMacOS用ドライバーはブラザーからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。
 本体の耐久枚数は、PX-M6011FPX-M6010Fが15万枚、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWが30万枚と倍の差が付いている。ちなみに家庭用のプリンターは1万から1万5000枚と言われており、10倍から20倍の耐久性となっている事になる。エコタンクやファーストタンク方式のような低印刷コストにこだわった機種ではないこれら4機種で、15万枚も印刷する事は少ないと思われるため、PX-M6011FPX-M6010Fの方でも問題ないユーザーがほとんどだと思われるが、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWの方がより安心感があると言える。また、プリンターの場合耐久年数もあり、一般的には耐久枚数が増えても5年から変わらない事がほとんどだ。PX-M6011FPX-M6010Fも5年となっているが、MFC-J7300CDWMFC-J7100CDWは珍しく7年となっており、修理対応期間も、製造終了から7年となっており、高耐久である事と合わせて長く使うことを想定しているといえるだろう。
 本体サイズは前面給紙カセットが2段のPX-M6011Fが515×450×350mm、MFC-J7300CDWが576×477×375mm、カセットが1段のPX-M6010Fが515×450×285mmで、MFC-J7100CDWが576×477×305mmとなる。カセット段数が同じ機種同士で比較すると、エプソンの方がかなり小型だ。特に横幅は6cm小さく、奥行きも高さも2cm以上小さい。一回り大きいA3ノビに対応していながら、本体サイズが小型なのは、設置スペースが大きくなりがちなA3複合機では魅力的と言える。



 4色顔料で、印刷速度が高速、給紙枚数やファクス機能など似ている部分も多い4機種だが、4機種から選ぶ前に、前面給紙カセットが2段必要か、1段で良いのかを決める方が早いだろう。1段で良いのに、価格が高く本体サイズが大きくなる2段の機種を選ぶ必要は無く、すぐに半分に絞れる事になる。
 前面給紙カセットが2段必要ならPX-M6011FMFC-J7300CDWから選ぶ事になる。まず、印刷速度重視ならMFC-J7300CDWがオススメだ。片面印刷だけでなく自動両面印刷も高速なので、印刷枚数が多くてもストレスなく使用できる。ただ、モノクロプリントに関しては差は小さいので、他の面から選ぶ事も可能だ。印刷コスト面で選ぶ場合は、大容量インクカートリッジを使用するか標準インクカートリッジを使用するかで違ってくる。大容量を使用するなら、MFC-J7300CDWが圧倒的にお得だ。一方、標準を使うなら、両機種に差は無いと言える。また大容量を使う場合でも、本体価格に差があるため、その差以上の枚数を印刷する事が必要だ。画質で選ぶなら、どちらも十分高画質だが、PX-M6011Fの方がより細かな印刷物でも綺麗に印刷できる。その他で言うと、64mm幅印刷、A3ノビ印刷を行いた場合、自動両面印刷で非定型の用紙やインクジェットや光沢ハガキを使う場合はPX-M6011Fしか対応しない。Wi-Fi接続を利用する場合も5GHz帯とIEEE802.11ac対応のPX-M6011Fの方が便利だし、コピーやファクスなど本体の操作が多い場合も液晶が大きなPX-M6011Fが良いだろう。本体がコンパクトなのも大きなメリットだろう。一方、両面原稿のスキャンやコピーが多い場合は、両面同時スキャンが行えるMFC-J7300CDWが便利だ。クラウドからのプリントを本体だけで行いたい場合はMFC-J7300CDWがオススメだ。ただ、全体で見ると、MFC-J7300CDWは印刷速度と印刷コストに力を入れており、耐久枚数の面からも、本体価格が高いという点からも、大量印刷をする人に向いた機種と言える。一方、それ以外の面ではPX-M6011Fの方がクセが少なく、万人にお勧めしやすいと言える。
 一方、前面給紙カセットが1段で良いならPX-M6010FMFC-J7100CDWから選ぶ事になる。まず、印刷速度重視ならMFC-J7100CDWがオススメだ。片面印刷だけでなく自動両面印刷も高速なので、印刷枚数が多くてもストレスなく使用できる。ただ、モノクロプリントに関しては差は小さいので、他の面から選ぶ事も可能だ。印刷コスト面で選ぶ場合は、大容量インクカートリッジを使用するか標準インクカートリッジを使用するかで違ってくる。大容量を使用するなら、MFC-J7100CDWが圧倒的にお得だ。一方、標準を使うなら、両機種に差は無いと言える。また大容量を使う場合でも、本体価格に差があるため、その差以上の枚数を印刷する事が必要だ。画質で選ぶなら、どちらも十分高画質だが、PX-M6010Fの方がより細かな印刷物でも綺麗に印刷できる。その他で言うと、64mm幅印刷、A3ノビ印刷を行いた場合、自動両面印刷で非定型の用紙やインクジェットや光沢ハガキを使う場合はPX-M6010Fしか対応しない。ADFを使用して両面スキャンやコピーを行う場合もPX-M6010Fしか対応しない。Wi-Fi接続を利用する場合も5GHz帯とIEEE802.11ac対応のPX-M6011Fの方が便利だし、コピーやファクスなど本体の操作が多い場合も液晶が大きなPX-M6011Fが良いだろう。本体がコンパクトなのも大きなメリットだろう。一方、クラウドからのプリントを本体だけで行いたい場合はMFC-J7100CDWがオススメだ。ただ、全体で見ると、MFC-J7100CDWは印刷速度と印刷コストに力を入れており、耐久枚数の面からも、本体価格が高いという点からも、大量印刷をする人に向いた機種と言える。一方、それ以外の面ではPX-M6010Fの方がクセが少な い。MFC-J7100CDWMFC-J7300CDWから両面スキャンや液晶サイズで差が付けられているのに対して、PX-M6010FPX-M6011Fから差が付けられていないため、PX-M6010Fの方が多機能になっている。印刷速度やコストに強いこだわりがないのであれば、PX-M6010Fの方がお勧めと言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/