ノートパソコン SONY VAIO VGN-SZ94S (2007年9月6日購入・2008年7月28日公開)
ロードテスト第29回で紹介したVAIO VGN-S72PBが不調になってきた。半年ほど前から徐々にファンの音がうるさくなっていた。カラカラという音がするのである。それがこの頃ますます大きくなり、限界になってきた。音がうるさいのでテレビの音量を2段階大きくしないと聞こえないほどだ。パソコンを使っている間中聞こえるのはなかなかのストレスだ。さらに、負荷が高くなるとブルースクリーンが出て再起動してしまうようになった。これらから想像するに、ファンが歪んだか何かによって、ファンに異音がするようになり、さらにファンの回転数も落ちてしまい負荷が高くなると排熱が追いつかなくなり熱暴走していると言う事だろう。その上、その上、最近では画面が全体的に黄色っぽくなってきた。これは修理に出すしかない。 修理に出して、とりあえず見積もりをお願いすると、故障箇所はファン、ディスプレイパネル、そしてハードディスクであるらしい。ハードディスクの故障も意外だったが、それ以上に問題は修理金額だ。なんど14万3000円もするらしい。たしかにディスプレイは高価なパーツだし、ファンに関してはインターネット上で同機種の修理に3万円近くかかった話が載っていたので、このくらいの金額にはなってしまうだろう。しかし、同じようなタイプの新機種が20万円弱で購入できる事を考えると、修理に14万3000円はもったいない。考えてみると3年は使用しているので、短いながら最低利用期間は使ったという感じがあるので、買い換えを考えることとしよう。
希望は「本体重量2kg以下」「ある程度の性能のグラフィックチップ」「Core 2 Duo」「PCカードスロット付き(Air EDGEのため)」である。これらを考えると、意外と該当機種は少ない。サブノートでグラフィック性能の高いものはメーカー製ではVAIOくらいだ。そのほか通販系やショップブランドではいくつかあるが、PCカードスロットの無い機種が多く、意外と該当機種は少ない。この中で考えると、SONYのVGN-SZ53B/Bが良いように思える。今使っているVGN-S72PBの直接の後継機種に当たるtype SZシリーズの下位機種である。しかし、この機種のグラフィックチップは「GeForce Go 7400」であり、VGN-S72PBのGeForce Go 6200 with TurboCache」から1世代しか進んでいない。しかも、GeForceの8000番台のノートパソコン用製品が最近発表された事を考えると、恐らく次のモデルではGeForce 8400M辺りが搭載される可能性が高い。そして、その次期モデルの発表時期に入っているため、次のモデルが発売されるまで待ってみることにした。 20日ほど待つと、次期モデルVGN-SZ54B/Bが発売された。予想通り「GeForce 8400M GS」を搭載している上、CPUもCore 2 Duo T5500(1.66GHz)からT7100(1.80GHz)になっており、同じCore 2 Duoでも1世代進んでいる。ハードディスクも1.5倍に増量されており、確実にスペック強化が図られている。この機種で決まりだと思った瞬間、ディスプレイ欄を見て驚いた。VGN-SZ53B/Bまではクリアブラック液晶だったのが、VGN-SZ54B/BではクリアブラックLE液晶にグレードダウンしているのだ。クリアブラックLE液晶はクリアブラック液晶より1段下で、VAIOの中では最下位である。あわよくばもう一段上のクリアブラック(ピュアカラー)への変更もあり得ると思っていたため、グレードダウンはショックである。実際の画質を見るため、先行展示しているSony Styleショップへ出向いてみたが、やはり暗い。我慢できるレベルではなさそうだ。 しかし、ここで一つ手がある。Sony StyleのOWNER MADEを利用してカスタマイズする方法だ。OWNER MADEでは店頭モデルと同じクリアブラックLE液晶に加えクリアブラック液晶を選ぶことが出来るのだ。OWNER MADEの機種の価格は同じ構成にすれば店頭モデルとほぼ同じだが、店頭で買うようなポイントが付かない分割高と言える。その価値があるのか、同じくSony Styleショップで見せてもらったところ、確かにはっきり違いが分かるほど明るい。さらにこのOWNER MADEモデルのクリアブラック液晶は、バックライトがLEDのタイプになっている。そのため液晶部が薄型であるほか、本体重量が若干減り、バッテリ駆動時間も伸びるという利点がある。液晶部が薄いと心配だが、蛍光管やインバータがなく全体に厚みが一定である分、逆に強いらしい。ということで、こちらに決めることとした。
OWNER MADEで買うとなると色々とカスタマイズができる。それらを決めていこう。決められるパーツは次の通りである。
選択した構成を店頭モデルの2機種と比較したのが上の表だ。順に見ていこう。OSはBusinessはビジネス用のOSだし、Ultimateは高すぎるのでHome Premiumで決定である。CPUも高いに越したことはないが、以外と価格差があるし、Core 2 Duoというだけでもかなり高性能なので、VGN-S54B/Bと同じT7100(1.8GHz)を選択。メモリはWindows Vistaということで2GBある方が望ましいが、1万円差があると言うことで、とりあえず1GBを選択(これが後に失敗だと分かる)。ハードディスクは今のVGN-S72PBが80GBであるが、いつも不足気味なのでもう少し容量を増やしたい。価格との兼ね合いで120GBを選択。ちなみにハイブリッドHDDも選べるが、これはフラッシュメモリ内蔵し、キャッシュメモリとして使用することで性能向上を図ったものだ。しかし、そこまでの高性能は求めていないので、普通のタイプで。ハイブリッドHDDにお金をかけるくらいなら容量を増やしたいところである。無線LANはIEEE802.11nにも対応するものも選択できたが、IEEE802.11nはまだドラフト規格であり、正式規格では仕様変更される可能性がある上、使用する帯域を20MHzから40MHzに拡大することで最大300Mbpsにまで高速化した規格にも対応していないので、今回はa/b/gのみ対応したものを選んだ。必要になったらカードタイプの子機を挿し込むとしよう。Felicaポートはもちろん内蔵である。これまでもネットゲームやネットショッピングの支払いに結構利用しているためだ。指紋センサーであるが、ここまでセキュリティを求めないし、指紋は意外と認証に癖がある。以前使った時、手を洗った後だと「濡れすぎているので拭いて下さい」と言われたので、拭いてからもう一度試すと今度は「渇きすぎているのでぬらして下さい」と言われた事があった。よって「なし」を選択した。Webカメラは無くても良いが、せっかく内蔵のためのスペースがあるわけだし、テレビ電話もいずれしてみたいと思っているので、「内蔵」を選択する。 以上で構成も決まったので注文したいと思う。家電量販店の店頭で購入しても値引きもポイント還元もないのでネットで購入しても良いのだが、店頭で購入すれば現金支払いが出来るという事で、ヨドバシカメラマルチメディア梅田で購入。この構成で204,800円であるが、キャンペーン中でsony-styleで使えるポイントが5,000円分もらえる。 発売前である上に、人気があると言うことで、注文から3週間ほどかかってしまうらしい。まあ、VGN-S72PBもうるさいながら使えなくもないので、気長に待つとしよう。
予定日ぴったりに家に届けられた。「sony style」の製品である事をアピールしまくった箱に入っていて、思いの外大きい箱で届けられた。開けてみると、中から店頭モデルのVAIOと同じ箱が出てきた。周りの箱は郵送用の箱らしい。
さてさて、さらに箱を開けて、中からVGN-SZ94Sを取り出す。大きさは前のモデルと比べて微妙に大きいが、イメージ的にはほぼ一緒だ。天板の色も同じ黒なので、このあたりも同じである。一方液晶を開いてみるとイメージがかなり違う。VGN-S72PBでは開けた面はシルバーだったが、こちらはオール黒なので、かなり暗いイメージだ。その分、高級感が漂っている。またパームレスト部分は、ただの黒ではなく、細かい筋が横方向に入っており、ただプラスチックや金属に色を塗っただけではない高級感がある。また液晶を持って開ける時に、液晶の薄さに驚いた。VGN-S72PBと並べておいてみると、その薄さが分かる。一瞬弱そうに感じるが、持った時のたわみもなく、VGN-S72PBよりもしっかりしている。
では電源を付けてみよう。キーボード上部に電源ボタンがあるが、その横には無線LANのON/OFF切り替えスイッチ、そして使用するグラフィックチップをGeForce 8400M GSとIntel GM965 Expressチップセット内蔵とを切り替えるスイッチが用意されている。チップセット内蔵グラフィックに切り替えると、消費電力が減りバッテリ駆動時間が若干伸びる。性能と携帯性を両立させるためのおもしろい機能だ。ただし、残念ながら切り替え時には再起動が必要である。さらにワンタッチスタートボタンもあり、便利である。 早速電源を入れる。肝心の液晶ディスプレイだが、非常に明るい。確かに最上位のクリアブラック(ピュアカラー90)と比べると暗いのかもしれないし、鮮やかさの面でも一歩劣るが、家庭で使うには十分に明るいし、色合いも自然で、写真なども綺麗に見える。またバックライトがLEDであるおかげで、輝度ムラがなく全体的に同じ明るさだ。視野角も広く真上や真横から見てもほとんど色が変わらない。この点は十分合格である。液晶ディスプレイにこだわってOWNER MADEモデルにした甲斐があったと言える。
キーボードを見てみよう。横幅ぎりぎりに配置されており、サイズは十分に大きいし、黒いキーボードに白い文字で見やすい。Enterキーも非常に大きく、いちばん右にあるので打ちやすい。カーソルキーが独立しておらず、他キーと同じ列にレイアウトされているのは好みが分かれるかもしれないが、特別小さいわけでもなく使いづらいとは思わない。レイアウト的にも長方形の中に収まっており美しい。さらに、キーボード中央部にもたわみが全くなく、しっかりとしているのも好印象だ。このあたりはさすがVAIOといったところだろう。 キーボードで変わっているのがその一つ一つの形状だ。これまでのキーボードはキートップの側面が斜めになっているが、VGN-SZ94Sではキートップから直角に下りており、下りたところに平面部分がある。言葉で説明するのは難しいので、次の写真と図を見てもらえれば分かるだろう。
特殊なキー形状に見えるだろうが、これが意外と打ちやすいのだ。私は男性なので分からないが、爪の長い女性の方などが、キーを押した時に隣のキーの下に爪が入り込む事が少なくなるらしい。それを除いても普通のキーボードと比べて格好いいように感じる。
順に見てゆこう。まず前面にはなにもない。前のVGN-S72PBは前面にDVDスーパーマルチドライブやメモリスティックスロットがあったが、VGN-SZ94Sは吸排気用のスリットがあるだけだ。
左側面は奥から順にマイク端子、イヤホン端子、IEEE1394、ディスプレイ出力、PCカード、メモリースティックDuoとなる。ここでミソなのがPCカードスロットがあることだ。最近ではPCカードからExpressCardへ移行が進み、PCカードスロットの無い機種が増えてきているが、私はPCカードスロットがないとまずいのだ。それはAirEDGEの通信カードを利用するためだ。もちろんExpressCardスロット用の通信カードも存在するが、そちらに機種変更すると今度はザウルスで使用できなくなってしまう。ザウルスとパソコンの両方で使うためには、コンパクトフラッシュ型の端末を用い、ザウルスではそのまま、パソコンにはPCカードアダプタを付けて使うしかない。そうなるとPCカードスロットが必須なのだ。その点で、この機種は合格だ。メモリースティックDuoスロットは、VGN-S72PBと違い、標準サイズのメモリースティックには対応せず、Duoサイズのみである。まあVGN-S72PBを購入した頃と違い、今はDuo対応のデジカメなどしか無くなってしばらく経つので問題ないだろう。
続いて右側面である。奥からモデム、有線LAN、USB2基、その上にExpressCard/34スロット、一番手前にDVDスーパマルチドライブとなる。PCカードスロットだけでなくExpressCardスロットも備えるのは安心感がある。ただし、ExpressCard/34対応なので、大きい方のExpressCard/54には対応していない。USBは後方に2基備えている。VGN-S72PBが前方であったためマウスなどを接続するとケーブルが邪魔になったが、今回はその点は問題ない。しかし2基というのは何とも少なすぎる。マウスをつなぐと後1つしか残らない。今ではモバイル型でも3基、A4ノートなら6基付いているものも珍しくない。せめて背面にマウス用にもう1基欲しかった。
背面はシンプルだ。バッテリがほとんどを占めており、電源コネクタと排気口しかない。排気口が背面にあるため、操作中に熱い風が手に当たると言うことが無く、非常によい。 USBコネクタの数だけは不満だが、配置は軒並み良好だ。特にPCカードスロットとExpressCardスロットの両方が搭載されているのが良かった。
さて、この機種はメモリーカードスロットはメモリースティックDuoのみである。SDカード、メモリースティック、xDピクチャーカードの3種に対応している機種も多い中で何とも寂しいが、そこは付属品で対応している。ExpressCard/34用のアダプタが付属しており、SDカード、xDピクチャーカードに加え、Duoサイズではないメモリースティックにもこちらで対応している。ExpressCardスロットを使わないのなら、このアダプタを挿しっぱなしにしておくことでかなり便利になる。
液晶ディスプレイの上に付いているのはWebカメラである。31万画素と画素数はそこそこだが、その割に画質は悪くない。これがあれば出先のホテルなどの回線を利用し、Skypeでテレビ電話という事も可能だ。回転などは出来ないため、角度調整は出来ないが、その分さりげなく内蔵されているので、デザイン面でかなり良い。
VGN-SZ94Sのハード面を見てきたが、実はこの機種は我が家で初めてのWindows Vistaの機種なのだ。そで、簡単にWindows Vistaの使い勝手を紹介したい。 まず、動作だが、Core 2 DuoとGeForce 8400M GSという組み合わせに加えて、後述のようにメモリを2GBに増設すると、非常に動作は軽い。Windows Vistaは重いという印象があったが、これならさほど問題ではない。ただし購入時の1GBでは少しもたつく印象であった。デザイン的にもシックな色合いに加え、半透明処理や、閉じるや最小化のボタンにカーソルを持って行くと光るなど美しく気に入っている。ただし、サイドバーに関しては邪魔に感じるので非表示状態で使用している。 Vistaを本格的に使ってみて気付いた細かい点を紹介しよう。まず不便になった点として、画像の縮小表示の切り替えが不便である。Vistaでは標準でサムネイル表示を行うようになっているが、XPより進化し、画像だけでなく動画やPDFまでサムネイル画像を表示するため、フォルダを開くのがかなり重くなった。またアイコンでファイルタイプを判断できないので意外と不便だ。そこで、普段はサムネイルを切っておき、写真を選ぶ時などだけサムネイル表示にしたいのである。XPの場合、ツールバーの「表示」から「縮小版」を選べばサムネイル表示に切り替えられたが、Vistaでは、「表示」に中にはアイコンサイズの選択肢しかない。サムネイル表示をしたい場合は、ツールバーの「ツール」−「フォルダオプション」を開き、「表示」タブの「常にアイコンを表示し、縮小版は表示しない」のチェックを外すことになる。面倒になってしまった。 良い点はいくつかある。まずフォルダのコピーを行う場合、フォルダごと上書きするだけだったWindows XPと違い、フォルダの中身を統合できるようになった。例えばCドライブの「写真」というフォルダの中には「001.jpg」「002.jpg」「003.jpg」があるとする。一方、Dドライブの「写真」というフォルダには「004.jpg」「005.jpg」「006.jpg」が入っているとする。このCドライブの写真フォルダをDドライブにコピーした場合、Windows XPだと「コピーしない」か「Dドライブの写真フォルダに上書きする」かしか選べなかった。前者だとDドライブの写真フォルダ内は「001.jpg」「002.jpg」「003.jpg」だけ、後者だと 「004.jpg」「005.jpg」「006.jpg」だけになる。一方Vistaでは、中身を統合することが出来るようになった。つまりDドライブの写真フォルダ内が「001.jpg」「002.jpg」「003.jpg」「004.jpg」「005.jpg」「006.jpg」になるわけである。フォルダ一つならフォルダ内を開いてコピーしても対して手間がかからないが、例えば30個のフォルダで同様の事を行う場合は大変だ。その点で、この「統合」は非常に便利である。特に私はノートパソコンで雑誌のスキャンを行い、そのデータをHDD容量の大きいデスクトップに転送することが多く、この機能は非常によく使っている。 もう一つはファイル名を変更する時だ。例えば「001.jpg」というファイルを選択してF2キーを押して名前を変更する場合、Windows XPでは「001.jpg」全体が選択状態となるため、そのまま新しいファイル名を打つと拡張子が消えてしまい大変なことになる。一方Windwos Vistaでは「001」だけが選択状態となるので、拡張子を残して純粋にファイル名だけを変更できるようになった。 その他、最小化状態でもタスクバーにカーソルを持って行くと、小さく表示されたりする点も便利だ。またタスクバーの音量アイコンをクリックして表示される音量調節で、バーに100段階の数字が表示される様になった点も便利だ。Windows XPでは音量を変更してしまった場合、「だいたいこのくらい」でしか元に戻せなかったが、Windows Vistaでは「30」というように数字ではっきりと分かるようになった。
さて、購入後しばらく使用していて問題が発生した。メモリ不足を感じるのである。インターネットや文書作成程度なら良いのだが、画像や動画を扱うと急に重くなる。Windows XP機でメモリ1GBの場合よりも、軽い画像でもメモリ不足のような感じに陥るのだ。購入時にメモリを2GB構成で購入しておけば良かったと思っても後の祭りである。仕方がないので増設してみるとしよう。 残念ながら、1GBのメモリは512MBを2枚で構成されている。デュアルチャンネル動作になっているので性能面では有利だが、空きスロットがないため、2GBに増設しようとすると丸ごと無駄になってしまう。購入してすぐ無駄になってしまうが仕方がない。 増設したメモリはVGN-SZ94Sに正式対応しているバッファーローの「D2/N667-1GX2」である。ヨドバシカメラで15,800円(13%ポイント還元)であった。増設自体は非常に簡単で、裏蓋を開けてメモリを2枚とも外し、代わりに購入したメモリを挿し込むだけだ。 2GBに増設したところ、はっきりと感じられるほど動作が軽くなった。画像や動画を扱う時だけでなく、フォルダを開くなどの基本動作も軽快になった。これならWindows XPと比べて特別重く感じないので良い感じだ。
では、実際にベンチマークテストで性能を測ってみよう。比較対象はこれまで使ってきたノートパソコンVGN-S72PBと現在使っているデスクトップパソコンVGC-RM50である。VGN-S72PBとの比較では、Pentium MとCore 2 Duo、GeForce Go 6200 with TurboCacheとGeForce 8400M GSとの性能差が分かる。またVGC-RM50とはほぼ同じクロックのCore 2 Duo搭載機同士で、デスクトップとノートの違い、またGeForce 7600GSとGeForce 8400M GSという一世代前の1ランク上のグラフィックチップとの比較も行えるだろう。ちなみに今回のVGN-SZ94Sはメモリを2GBに増設した状態で計測している。3機種のその他のスペックは以下の通りである。
まずは恒例のHDBENCHからである。CPUスコアはVGN-SZ94SはVGC-RM50と同じCore 2 Duoで、動作クロックもほぼ同じなのでIntegerの性能は、クロック周波数の差(1.80GHzと1.86GHz)ほどの僅差なっている。一方、Floatは多少の差が付いている。もしかするとFSBクロックの差が表れているのかもしれない。一方で前のVGN-S72PBと比べるとIntegerは2.42倍、Floatは1.78倍になっている。VGN-S72PBは1.73GHz、VGN-SZ94Sは1.80GHzとクロック周波数は大きな差はないにも関わらず、これほどの差が付くとは、さすがCore 2 Duoといったところだろうか。 メモリ性能もVGC-RM50とほとんど同じ性能になっている。同じDDR2 400 DDR2 SDRAMのデュアルチャンネルだし、チップセットも同じIntel 965シリーズなので性能的にほぼ同じなのだろう。 グラフィック性能だが、これは少々おかしな事になっている。GeForce 7600GSとGeForce 8400M GSでは世代もグレードも異なるので若干は違う数値が出るのは仕方がないとしても、GeForce 8400M GSはGeForce 7600GSと比べると1世代後の1グレード下なので、性能的には近くなるはずだ。ところが1/3から1/20程度の数値しか出ていない。2世代前のGeFoce Go 6200 with TurboCacheよりも大きく劣る。このあたりはWindows Vistaということで異常値が出てしまったのかもしれない。 ハードディスク性能は回転数も高くRAID 0構成になっているVGC-RM50より大きく劣るのは仕方がないとしても、前機種のVGN-S72PBよりも落ちるのは気になる。
続いてSuperπを利用して演算性能を計測してみよう。驚くことにVGC-RM50をも上回る性能を示した。またVGN-S72PBと比べると40%近く高速化されている。CPU性能は申し分ない。
続いて有名な3Dグラフィック性能を計測できるベンチマークテスト「3DMark」を実行してみた。3DMark2001SEはDirectX8.1ベンチマークテストである。3DMark05と3DMark06はDirectX 9に対応しているベンチマークテストである。GeForce Go 6200 with TruboCacheとGeForce 7600GSはDirectX 9.0c、GeForce 8400M GSはDirectX 10対応であるため、3機種ともDirectXレベルでは対応しているといえる。しかしDirectX 8.1世代の処理とDirectX 9世代の処理では速度が異なる可能性もある。 さて、まず3DMark2001SEを見てみよう。3DMark2001SEは比較的古いテストであるため、軽いベンチマークテストと言えるが、DirectX 8.1の処理速度が分かる。見てみると、VGN-S72PBより44〜48%の向上が見られる。一方VGC-RM50と比べると23〜35%も低い値になっている。VGN-SZ94SのGeForce8400MはVGC-RM50のGeForce 7600GSと比べると、ミッドレンジの600番台からローエンドの400番台に1グレード下がっているが、7000番台から8000番台と1世代新しくなっている。通常1世代進むと、前の世代の1グレード上と同じくらいの性能になると考えていたので、思いの外性能が振るわないと感じる。そこで3機種のグラフィックチップの性能を比べてみた。
これを見て、GeForce 7600GSとGeForce 8400M GSの比較して見るとおもしろいことが分かる。、GeForce 8400M GSはGeForce 7600GSと、コアクロックこそ同じだし、頂点シェーダユニット数とピクセルシェーダユニット数も統合型シェーダとしてほぼ同じ数になっているが、メモリクロックやROPユニット数は劣るし、メモリバス幅も半分だ。そのため、メモリ帯域や頂点性能の数値的にも劣っている。GeForce 8400M GSはDirectX 10世代にこそなっているものの、スペック上はGeForce 7600GSより下と言うことだ。3DMark2001SEの数値が低いのもうなずける。また、高解像度の方が差が広がっているのは、メモリバス幅の差が負荷が高いほど影響するのではないかと予想できる。ちなみにGeForce Go 6200 with TurboCacheと比べれば大きく向上している。 さて、3DMark05の結果を見てみると、VGN-S72PBの275%、VGC-RM50の52%となっている。また3DMark06の結果を見てみると、VGN-S72PBの440%、VGC-RM50の47%となっている。最近のテストほど差が広がる結果となった。負荷が高い環境ではGeForce 8400M GS苦手なのかもしれない。
パソコンの総合的な性能を測るPCMark05である。これを見ると、VGC-RM50程ではないものの、これまで使ってきたVGN-S72PBより大きく向上している事が判る。
3DグラフィックのゲームFINAL FANTASY XIでの動作快適度を測るテストである。高解像度と低解像度の2種類を計測できる。どちらも3DMarkほどの差が付いてはいないものの、傾向としては同じものだ。VGN-SZ94SはVGN-S72PBとVGC-RM50の間といったところだ。ちなみに公式ホームページにはLowの数値から快適度が分かるようになっている。6337という数値は8段階の上から2番目である。「高解像度モードでもストレス無く動作する可能性があります。」というコメントも添えられている。しかも8段階の1番上は7000以上なので、それに近い数値が出ているとも言える。FINAL FANTASY XIはかなり快適に動作する性能を持っている事が判った。
「ぐるみん」というゲームのベンチマークテストである。使用するDirectXを8.1と9.0に切り替えられるようになっているため、両方で計測してみた。DirectX 8.1ではこれまでと同じように、VGN-SZ94SはVGN-S72PB以上VGC-RM50以下という数値だ。ところがDirectX 9.0ではVGN-S72PBとVGC-RM50の数値は変わらない一方で、VGN-SZ94Sでは数値が27%も向上していて、VGC-RM50を超えている。非常におもしろい結果だ。DirectX 9.0世代のグラフィックチップでDirectX 9.0のテストをするより、DirecX 10世代のグラフィックチップを搭載したVGN-SZ94Sでは1世代前のDirectX 9.0のテストをする方が余裕があるという事だろうか。
鉄道模型シミュレータ3のベンチマークテスト「VRM DirectXチェッカー」と、鉄道模型シミュレータ4のテスト「VRM4チェッカー」「VRM4チェッカー v2」である。「VRM DirectXチェッカー」はDirectX 7.0世代の、「VRM4チェッカー」の2つはDirectX 9.0世代のテストである。気になるのは「VRM DirectXチェッカー」の方で、VGC-RM50どころかVGN-S72PBよりも劣り、60%程度の数値しか出ていない。古いベンチマークテストなので、Windows Vistaとの相性が悪いのかもしれない。「VRM4チェッカー」でもかろうじてVGN-S72PBを上回っているが、スペックの差を考えると低すぎるようにも思える。一方、「VRM4チェッカー v2」は他のグラフィック系のベンチマークテストと同様の結果となっている。どちらにしても、VGN-S72PB以上VGC-RM50以下である。
Crystal Markも計測してみた。最初のHDBENCHに近い結果となっている。CPUに関してはALU性能はVGC-RM50に迫る数値になっているし、FPU性能はVGC-RM50よりは劣るものの、VGN-S72PBの倍以上になっている。メモリはスペック的にほぼ同じVGC-RM50と同じ数値である。HDDは5400rpmのドライブなので、7200rpmでRAID 0のVGC-RM50には及ばず、またVGN-S72PBからも若干劣る。グラフィック性能はGDIの性能が極端に低く、D2Dの性能も振るわないが、OGLの性能はVGN-S72PBの倍以上になっている。
最後に、せっかくなので私の作った「Click&Createベンチマークテスト2」でも計測してみよう。何の性能に依存しているか分からないが、CPUやグラフィック性能を始めとして、Cilck&Createの動作速度が測れる。驚くことにVGN-S72PBの28%アップで、VGC-RM50すらも超えている(わずか0.4%だが)。 以上、VGN-SZ94Sの細部を確認し、さらにベンチマークテストを行った。まず性能面では申し分ない。デスクトップパソコンに迫る性能を持ち、これほどのCPU性能ならビデオ編集なども行えるだろう。また、高いグラフィック性能により手持ちの3Dゲームも快適に動作した。この性能が、わずか1.74kgのサブノートで実現されていることに驚きだ。この大きさでこの性能なら想像以上に満足である。また、本体の作りも非常に満足している。キーボードは打ちやすくたわみもなく、端子類もUSB端子が少ない以外は大満足である。液晶ディスプレイも満足だ。 そして今回店頭モデルではなくVAIO OWNER MADEでカスタマイズして購入したが、こちらにも満足であった。店頭モデルより本体の質感が良く、さらに明るい液晶のモデルが購入できた。しかも軽くなりバッテリ駆動時間も延びるおまけ付きだ。店頭モデルより若干高く、その日に手に入らないが、満足のいく製品を購入できた。店頭モデルで自分にあった機種が見つからない人は、一度カスタマイズしてみてはいかがだろうか? (H.Intel) ■今回の関係メーカー・ショップ
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