2.5インチハードディスクケース NOVAC NV-HS210UB (2.5"SATAはい〜るKIT USBベーシック) +VGN-S72PBからハードディスクを取り出す (2008年8月19日購入・2009年1月16日公開)
ロードテスト第50回でノートパソコンをVGN-S72PBからVGN-SZ94Sに買い換えた。そこでVGN-S72PBは故障箇所もあることからPCリサイクル法にのっとりメーカーに送ることにした。しかし、VGN-S72PBの中に入っているハードディスクは80GBと、VGN-SZ94Sの3分の2も容量がある。ハードディスクは壊れていないようなので、取り出して外付けケースに入れれば使えそうだ。しかし、ノートパソコンのハードディスクはかなり分解しないと取り出せない機種が多い。そこで、ホームページを探していると、ちょうどVAIO typeSのハードディスクを交換するという記事を書いている人を見つけたので参考にしつつハードディスクを取り出してみることにした。
手順は以下の通りである。ちなみに分解するとメーカーの保証を受けられなくなると思われるため、今回のように処分する前にハードディスクを取り出すならまだしも、ハードディスクを交換するという場合は十分に注意して自己責任で行っていただきたい。
無事にハードディスクを取り出せたので、ケースを購入しよう。今回のハードディスクはSerial ATA接続の2.5インチタイプである。そこで店頭で製品を見てみると、各社から様々な製品が出ており様々なバリエーションがあるが、一方で基本スペックは共通している部分もある。まず、持ち運びが出来るよう小型の本体でファンレス設計である。接続はUSB2.0がほとんどで、内部でSerial ATAからUSBに変換している。そして、基本的にはUSBからの給電で動作するため、USBケーブル一本で電源とデータ通信の両方が出来る。違いがあるのがUSBケーブル1本で電力が足りない時の対策法だ。いちばんシンプルなのが、ハードディスクケース側にはUSBコネクタ1つしかないが、USBケーブルが二股になっており、電力不足で動作しない時はもう2本とも接続してUSBコネクタ2基から給電できるというものだ。また、USBケーブルは一般的なものだが、それとは別に本体に電源端子を備えており、USBケーブルから電源端子に接続できるケーブルが付属している機種もある。こういった機種は別売りのACアダプタも接続できるようになっていることが多い。また、中にはACアダプタが付属している機種もある。また、色々と考えるもので、電源確保のためにUSBケーブルを2本つないでも、片方は電力だけが必要なので、そちら側にはバスパワーでないUSB機器がつなげるように更に二股になっているものもあった。これ以外に耐衝撃かどうかの違いもある。 さて、たくさんある中から選んだのがNOVACのNV-HS210UBである。価格はヨドバシカメラマルチメディア梅田で1,980円(10%ポイント還元)である。通称は「2.5"SATAはい〜るKIT USBベーシック」である。USBケーブルが二股になっている機種で耐衝撃機構はついていない。なぜこの製品を選んだかというと、まず今回は余ったハードディスクの有効利用が出来ればと言うことと、初めてのポータブルハードディスクなのでどの程度使うか分からない。そこで耐衝撃機構を付けると高価になることから無い機種を選んだ。また、今回内蔵するハードディスクは、2.5インチで5400rpmの製品の初期のものなので、消費電力が大きいことも考えられ、願わくばACアダプタ付きが望ましかったが、価格が4,980円と2.5倍になるためあきらめた。この条件でも選択肢はかなり多く、更に安価な980円のケースなどもあったがあまりにも安くて品質に不安を覚える上、実際に見た目が安っぽく感じたため、もう少し高価なものとなった。そこで、比較的見た目が良く安価なNV-HS210UBとした。前に購入してなかなか良かった3.5インチハードディスクケースも同じNOVACの製品だったため、安心感もある。
パッケージを開けると、中から出てきたのはハードディスクケース本体と収納ケース、USBケーブル、ドライバーである。ケースは合成皮革のようなもので、持ち運び時に衝撃からは守ってくれそうもないがキズからは守ってくれそうだ。USBケーブルは二股になっているものだ。組み立て用のプラスドライバーが付属しているのがうれしい配慮だ。
ではハードディスクを組み込んでみよう。説明書を見なくても分かるくらい簡単だ。まず、側面のUSB端子のある側にあるネジ2箇所を外す。すると、端子のある面が取り外せる。 取り外した部分に2.5インチハードディスク用のSerial ATA端子があるので、ここに取り出したハードディスクを挿し込む。 そして、ハードディスクごとケースに収めていく。そして、最後にネジを止め直して終わりである。はっきりいって非常に簡単だ。 本体はアルミニウム素材で、比較的高級感がある。そして、端子類は非常にシンプルで、USB端子が1基と電源兼アクセスランプが並んでいるだけだ。 このUSB端子がちょっと不思議だ。通常、USB端子はパソコン側はA端子と呼ばれる長方形の形であり、機器側はB端子と呼ばれる、正方形の角二つを削ったような六角形である。しかし、このNV-HS210UBは機器側もA端子になっているのである。そのため付属のケーブルは、二股になっており3つのコネクタがあるが、全てがA端子になっているという不思議なケーブルだ。二股という特殊なケーブルであるため、別の機器に流用できないようにわざとこういった特殊なケーブルになっているとも言えるが、この方法だと、パソコン側の二股の内の片方をNV-HS210UBに挿し込んでしまうと言う間違いが発生する可能性がある。できればA端子でもB端子でもない端子形状にした方が良かったようにも思うが、コストの関係で難しいのだろうか。
組み込みが終了したので、早速パソコンにして接続してみた。ノートパソコンVGN-SZ94S(Windows Vista)に接続してみる。まずはUSB端子一つに挿し込んで試してみる。というより、VGN-SZ94SにはUSB端子が2つしかなく、1つをマウスで使用しているので万が一USB端子1つでは電力が不足していても、2つ目を挿すことは出来ない。上手く動作してくれることを願いつつ挿し込むと、無事にドライバが組み込まれ使用できるようになった。その後しばらく使っているが、接続エラーになることは1度も無かったので、USB一本で十分なようだ。 さて、使い勝手だが、思ったよりも便利だ。今まで3.5インチハードディスクを内蔵した外付けハードディスクは使ったことがあったが、ポータブルハードディスクは初めてだった。しかし、USBケーブル1本で動作し、コンセントに指す必要もないのでケーブルは1本だけで、ノートパソコンにつないでおいてもほとんど邪魔にならない。また本体が小さいので机の上で邪魔にならず、持ち運びも苦にならない。思ったよりも使い勝手は良かった。一つ難点を言えば、電源兼アクセスランプである。青色LEDを内蔵し高級感が出ているのは良いのだが、明るすぎるのだ。ランプがこちらを向いていると、まぶしいと感じるほどだ。必ずランプの向きを他の方向に向けておかなければならない。最近は高輝度のLEDが流行っているが、アクセスランプが明るすぎるのは考え物である事を初めて知った。
最後に、アクセス速度を計測するために各種ベンチマークテストを走らせてみた。ちなみに各テスト共に3回実行し平均値を掲載している。NV-HS210UB以外に比較対象として計3機種行っている。一つは、今回取り出したハードディスクが元のパソコンVGN-S72PBに内蔵されていた時の結果(表中のVGN-S72PB内蔵時)、そして今回のNV-HS210UBに内蔵しUSB接続でVGN-SZ94Sに接続した時の結果(表中のNV-HS210UBに内蔵しUSB接続時)、さらに参考として現在使用しているVGN-SZ94Sの内蔵ハードディスクに関してもテストを行った(表中のVGN-SZ94S内蔵ハードディスク)。
まずは、HDBENCH Ver3.40beta6のハードディスク関連のテストを実施してみた。結果はパソコンに内蔵していた時に比べてRead性能が72%、Write性能が83%まで低下している。RandomReadに関しては54%まで低下しているが、VGN-SZ94S内蔵ハードディスクと比べると86%の性能なのでそれほど悪いとは言えない。RandomWrite性能は65%である。これを見ると、パソコンに内蔵していた時よりも確実に遅くなってはいるが、かといって使えないレベルまで下がってはない。 続いてCrystal Mark 2004R2のハードディスクテストを実行した結果である。元のパソコンに内蔵していた時の70%、VGN-SZ94S内蔵ハードディスクの86%の性能となり、HDBENCHと同じような結果である。 最後にCrystal Disk Mark Ver2.2のテスト結果である。これはVGN-S72PBが故障する前にテストしていなかったため、NV-HS210UBに内蔵したハードディスクと、現在使用しているVGN-SZ94S内蔵ハードディスクの比較となる。 確かにVGN-SZ94S内蔵ハードディスクには劣る結果となるが、Random Read 512Kでは84%、Random Write 512Kでは95%、Random Write 64Kに至っては逆転しているなど決して悪くはない。ちなみに、この結果の数値は単位がMB/sとなっている。例えばSequential Read性能は24.46MB/sなので、195.68Mbpsとなる。USB 2.0の転送速度の理論値は480Mbpsである事を考えると、それほど悪くないように見える。実際に使用していてもそれほど遅いという印象は受けなかった。 今回は余ったハードディスクを取り出し外付けハードディスクとして再利用できた。取り出す作業は手間がかかったが、普段見られないノートパソコン内部が見られておもしろかったし、ハードディスクを取り出せた際の達成感もあった。またわずか1,980円で80GBの外付けハードディスクが手に入ったと思うと、手間をかけた甲斐があったと言える。皆さんもパソコンを買い換えた際は、前の機種を処分する前にハードディスクを取り出してこうやって利用してみてはいかがだろうか? (H.Intel) ■今回の関係メーカー・ショップ
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