第69回
デスクトップパソコンVGC-RM50に
eSATAポートを増設する
(2009年2月11日購入品付属・2009年3月5日公開)



VGC-RM50内部にSerial ATAポートはあるのか

 前回購入したBlu-rayドライブ「BR-H816SU2」(ロードテスト第68回参照)は、USB接続とeSATA接続の両方が選べるようになっていた。USB接続の場合でも、独自の高速化技術TurboUSBに対応しており、eSATA接続と同じ最高速の8倍速書き込みが出来る。しかし、読み込み速度はeSATA接続の方がUSB接続より高速である。つまり読み書き両方で最高速で使用するならeSATA接続をする必要がある。
 ところが、「BR-H816SU2」を接続するパソコンである、デスクトップパソコン「VGC-RM50」には残念ながらeSATAポートはない。eSATAポートの拡張カードを増設する方法が考えられるが、お金がかかってしまう。しかし、「BR-H816SU2」にはお金をかけずにeSATAポートを用意できる可能性のあるものが付属しているのだ。それが、付属品の「eSATAブラケット」である。

今回「eSATAブラケット」を増設するパソコン「VGC-RM50」。メインユニットとアクセスユニットの2つに分かれているが、写真はメインユニットである。

 これは一体どういうものかというと、マザーボード上のSerial ATAコネクタをeSATAに変換して外部に引き出すためのアダプタである。もともと、eSATAはSerial ATA(SATA)の一種で、内部機器用がSerial ATA、外付け機器用はeSATAなのである。そのため、複雑な変換チップなどは必要なく、コネクタ形状だけを変換すればSearialATAはeSATAになる。そういった簡単なものであるため、Blu-rayドライブに付属品として付いてきたわけである。引き出す所はPCIスロットやPCI Expressスロットの背面ブラケット部であり、パソコンを外から見ると、背面ブラケット部に1基のeSATAポートが付いている様に見える。パソコン内部では、そのブラケットから出ているケーブルをマザーボード上のSerial ATAコネクタに接続するだけである。
 しかしここで気になるのが「マザーボード上のSerial ATAコネクタ」に接続する事である。つまり、パソコン内部にSerial ATAコネクタが余っていなければならない。VGC-RM50はハードディスクがSerial ATA接続、DVDスーパーマルチドライブがATAPI接続であるため、ハードディスク用のSerial ATAコネクタを使用すれば良さそうに感じる。しかし、VGC-RM50ではハードディスクを簡単に増設出来るよう、パソコン内部を開けずに前面からトレイ式で増設出来るようになっている。そのためにハードディスクベイ内部にはSerial ATAがあっても、実際に自由に使える状態とは限らない。そもそもハードディスクベイは4基あるが、4基とも埋まってしまっているため、ハードディスク用のSerial ATAコネクタは余っていないと考えられる。しかも、メーカー製パソコンではオリジナルのマザーボードを採用している事も多く、自作パソコンのように増設用の事を考えて余分にコネクタを用意していない事も多い。また、「BR-H816SU2」のマニュアルにも、簡単に増設手順が書かれているが、細かい説明はない。あくまで「オマケ」として付属しているので、使えるようなら使って下さい的なスタンスのようだ。
 とりあえず、VGC-RM50の内部にSerial ATAコネクタが余っているかを確認する必要がありそうだ。
Blu-rayドライブ「BR-H816SU2」に付属していた「eSATAブラケット」である。金属の部分を背面ブラケット部に取付け、右側のコネクタをパソコン内部のSerial ATAコネクタに接続する事になる。


Serial ATAポートを探す

 それでは、VGC-RM50内部を調べてみるとしよう。VGC-RM50はメインユニットとアクセスユニットの2つに分かれているが、マザーボードなど主要パーツはメインユニット内である。そこで、メインユニットを開けてみることとしよう。
 メインユニット背面のネジを2つ外すと、上面のパネル全体が外せる。パネル全体が外れるので、内部の全体が見られるかと思うと、実際にはそうでもない。背面側から見て左上はハードディスクベイにになっており、本体前面からアクセスするために、内部側からはアクセス出来ないようである。左下は黒いカバーに覆われているが、ここが電源のようである。同じく右上も黒いカバーが見えるが、これはCPU上のヒートシンクと前面ファンを直接つないでいるダクトのようである。しかし、すぐ下にマザーボードが見えているので、もう少し上部のパーツを外せばよく見えそうである。

VGC-RM50のメインユニット裏側である。裏面の上部にある2つのネジを外すと、上面パネル全体が外れる。

背面側からみた内部である。上面パネル全体が外れるので、内部を全体的に見ることが出来る。しかし黒いカバーに覆われている所が多い。左上の金属の部分は4基のハードディスクベイで、左下のカバーの中には電源が入っている。右上は前面ファンとCPUのヒートシンクを直接つなぐダクトである。

 まず右下の金属パーツを外すこととした。こちらもネジを1本外してスライドさせると取り外すことが出来た。また真ん中の辺りに端から端まである金属のパーツと、それにくっついている黒いプラスチック、さらにCPUのヒートシンクから前面ファンまでをつないでいる黒いカバーも取り外すとかなりすっきりした。

とりあえず右下の金属パーツを外すことにする。これは実はハードディスク用の3.5インチシャドウベイなのである。

ネジを1本外してスライドさせると外れるため、取り出すことが出来た。

 そこで、マザーボード上を見てみるが、Serial ATAらしきポートは見つからない。やはり前面の4基のハードディスクベイ用にしか用意されていないのだろうか。あきらめかけた時、ふと先程外したパーツが気になった。最初に外した右下の金属パーツであるが、どうみてもハードディスクを2基取り付けられそうな形状なのだ。そこで調べてみると、VGC-RM50には前面からアクセス出来るハードディスクベイ以外に、内部に3.5インチシャドウベイが2基用意されていることが分かった。VGC-RM50のマニュアルやカタログには掲載されていない事である。しかし、シャドウベイが用意されているという事は、そのためのSerial ATAポートがどこかにあるはずである。そこで、シャドウベイを取り外した下にある、金属板の下に隠れている部分を覗いてみると、Serial ATAポートが2基見つかった。


真ん中を通っていた金属パーツと、前面ファンとCPUのヒートシンクをつなぐダクトも取り外すと、かなりマザーボードが見やすくなった。

一つ上の写真の右下に見える金属板の部分を裏側から見ると、奥にSerial ATAポートが2つ見つかった(写真の赤枠内)

eSATAブラケットを増設する

 Serial ATAポートが見つかったが、金属板の下にある上に多数のケーブル類が邪魔である。今後のことを考えると2つあるSerial ATAポートの内、奥の方に挿し込みたい所だが、なかなか挿し込めない。ペンチやピンセットなどを使用したが、結局奥のポートに挿すのはあきらめ、手前のポートに挿し込んだ。手前のポートでも結構苦労した。

ここにケーブルを挿し込む事になるが、ケーブルが邪魔で、しかも上の金属板も邪魔である。

奥のポートに挿すのは無理だったが、なんとか手前のポートに挿し込む事が出来た。

 何はともあれ無事にSerial ATAポートには挿し込めた。後はブラケット部を取り付けるだけである。拡張スロットは4スロットあり、ケース内側から見て左端にグラフィックボード、左から2番目にTVチューナボードが挿さっている。そしてその横に2基の余りの拡張スロットがあり、左から3番目がPCI Express x4スロット、一番右端がPCIスロットである。通常なら空いているPCI Express x4スロット又はPCIスロット部の背面ブラケット部に取り付けることとなるだろう。しかしよく見ると、左端のグラフィックボードのさらに左にも、同じように背面ブラケットカバーが取り付けられているように見える。その部分のマザーボード上には何のコネクタもないので、実際には拡張ボードを取り付けることは出来ない。せっかくもう一枚拡張ボードを取り付けられるスペースがあるのにマザーボード上に端子が無いのも不思議だし、逆に拡張スロットではないの背面ブラケット部だけ用意されているのも不思議であるが、とりあえず今回は背面ブラケット部だけを利用するのでここで十分と言える。むしろ、Serial ATAポートが、拡張スロットより左側にあるため、この部分ならグラフィックボードとTVチューナボードを越さないですむため、ケーブルの取り回しはしやすそうである。

背面ブラケット部を見てみる(写真の赤枠部分)2枚のカードが挿さっており、それぞれグラフィックボードとTVチューナボードである。そのさらに右にPCI Express x4スロットとPCIスロットが空いている。通常はそのどちらかにeSATAブラケットを取り付けることになるため、どちらかの拡張スロットがつかえなくなるが、今回はグラフィックボードの更に左に、マザーボード上には何の端子もなく拡張スロットではないにもかかわらず、背面ブラケットだけがある謎の場所があった。しかし、Serial ATAポートに近く、ケーブルの取り回しがしやすそうなので、ここに取り付ける。

 一番左端の背面ブラケットをネジを外して取り、代わりに今回のeSATAブラケットを取り付けた。何の問題もなく取り付けられた。そして、eSATAを増設した背面はどんな感じになったのかと思い、背面ブラケット部をケース外側から見て驚いた。この背面ブラケット部は、実は上部の幅は通常のブラケットの幅があるものの、下部は幅が狭くなっているのだ。この部分のマザーボード上に端子が無く拡張スロットになっていなかったのも、拡張カードを挿すとなると、狭くなっている所に来る一部の端子が使えなかったり、接触して取り付けられなかったりと問題が出る可能性があるのが理由のようだ。しかし奇跡的に、今回のeSATAブラケットのeSATAコネクタは上部に付いていて、ちょうど幅が広くなっている所に付いていたのである。
 ここまでの出来事を考えると、この位置は、今回のeSATAブラケットを取り付けるためにあるかの様な場所である。マザーボード上のSerial ATAポートに近く、拡張スロットを1基も無駄にせず、その上背面ブラケットの端子の位置もちょうど幅の広い所にきている。奇跡的な有効利用で、VGC-RM50にeSATAポートが出来上がったわけである。

背面ブラケット部に元から付いているカバーをネジ(写真赤丸)を外して取り外す。

「eSATAブラケット」を取り付けると、何の問題もなく取り付けられた。ケーブルの取り回しも特に問題ない。

外側から見てみる。一番右端が今回増設した「eSATAブラケット」であるが、なんと一番右端はブラケット部の下部の幅が狭くなってしまっている。そのため拡張スロットとして使用できなかったらしい。今回は奇跡的に、上部の幅の広い部分にちょうど端子が来ている。

 今回は無事にeSATAブラケットを増設できた。そして、Blu-rayドライブ「BR-H816SU2」もeSATA接続に切り替える事が出来、BD-Rディスクの読み取りが実測値で15%ほど高速化した。今後、外付けハードディスクなどをつなぐ際にも重宝するだろう。
 最近では周辺機器メーカーのeSATA対応外付け機器にはeSATAブラケットが付属している事が多いようだ。購入した外付け機器に付属していた場合は、一度増設できるか試していただきたい。また、eSATAブラケットは、玄人志向の「eSATA-SATA/2P」の様な製品が存在し、パソコンパーツショップなどで安価に手に入るため、内部にSerial ATAコネクタがある場合は増設してみてもおもしろいだろう。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
バッファロー http://buffalo.jp/
BR-H816SU2のページ http://buffalo.jp/products/catalog/storage/br-h816su2/



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