第73回
メモリカードリーダ・ライタ
バッファローコクヨサプライ BSCRA38U2
(2009年3月26日購入・2009年4月27日公開)



デスクトップパソコンの一部が壊れた!

 私の使っているデスクトップパソコンはSONYのVGC-RM50である。この機種は、メインユニットとアクセスユニットの2つから構成されている。このうちマザーボードやCPU、メモリ、グラフィックボード、ハードディスクなどはメインユニットに、DVDスーパーマルチドライブやメモリカードリーダ・ライターはアクセスユニットに内蔵されている。二つに分離していることで、アクセスユニットだけ液晶ディスプレイの下に置いておき、メインユニットは机の下などに隠すといった使い方ができるのである。
 ところが、このアクセスユニットが突然認識しなくなったのだ。電源ランプやハードディスクのアクセスランプは光っているし、内蔵されているDVDスーパーマルチドライブのイジェクトボタンを押せばトレイが出てくるので、電源自体は供給されているようだが、Windows上からは認識されていない。そのため、DVDスーパーマルチドライブやメモリカードリーダ・ライターが利用できなくなってしまった。そもそも半年くらい前に、アクセスユニットのUSB端子に接続したマウスやキーボードが突然動作しなくなることがたまに起こっていた。Windowsを再起動するか、ケーブルを挿し直せば問題なく使えていたが、月に数回は発生していた。しかし、メインユニット側にもUSB端子はいくつもあるため、試しにそちらにマウスとキーボードを接続すると、この不具合も起こらなかったため、その後は気にしていなかった。しかし、これが今回の予兆だったのかもしれない。
 再起動すれば認識することもあったが、これも最初は4回に3回は認識していたのが徐々に3回に2回になり、2回に1回になり、今では10回に1回程度しか認識しなくなってしまった。アクセスユニット本体の問題か、メインユニットとアクセスユニットを接続するケーブルの問題かは分からないが、とにかくこのまま使い続けるのは不可能である。
 ここで、考えられる対処法は修理に出すことだ。前述のように原因が分からないため、アクセスユニットとメインユニットの両方を修理に出すことになるだろう。戻ってくるまでの数週間不便である。しかし、ここで考えて見ると、アクセスユニットが動作しなくても何とかなりそうである。
 まず、DVDスーパーマルチドライブだが、これはロードテスト第68回で購入した外付けのBlu-rayドライブを接続しているので、これで代用できる。USB端子とIEEE1394端子はメインユニット側にもあるので問題ない。イヤホン端子は接続しているスピーカーにもある。背面にPCカードスロットがあるがこれは利用していないので問題ない。同様にBluetooth機能も内蔵されているが使用していない。となると、残るはメモリカードリーダ・ライターだけである。という事で、今回はUSB接続のメモリカードリーダ・ライターを購入し、アクセスユニットを修理に出さずに行くことに決めた。

選択したカードリーダ・ライターは

 今回選んだのは、前々から気になっていたバッファローコクヨサプライの「BSCRA38U2」である。この製品の特徴は、51種類のメディアに対応しており、一般的なフラッシュメモリカードの全規格に対応している事である。しかも、SDカードにはその小型のminiSD、さらに小型のmicroSDがあり、メモリースティックにも、その小型のメモリースティックDuo、さらに小型のメモリースティックmicroがあるが、その全てのサイズにアダプタ無しで対応しているのもメリットである。microSDまでは対応しているものは多いが、メモリースティックmicroまで対応しているのは珍しい。
 さらに、バッファローコクヨサプライの製品と言うことで、バッファローの外付けドライブに採用されている、USBの高速化技術「TurboUSB」に対応していることも特徴の一つである。メモリカードを読み込むだけなのに、USB高速化技術に意味があるのかと感じるかもしれないが、例えばコンパクトフラッシュは300倍速という製品が発売されており、45MB/sの転送速度になる。SDHCカードも200倍速の製品で30MB/sになるし、メモリースティックも「メモリースティック PRO-HG」で30MB/sになる。一方USB 2.0の転送速度は理論値で480Mbps(60MB/s)なので、実際には高速メディアを利用する場合、TurboUSBの意味を持つ場面も出てくるだろう。実際に、製品のホームページでは従来製品とBSCRA38U2(TurboUSBオン)での比較で、300倍速コンパクトフラッシュで17.6MB/sから37.0MB/sに、133倍速SDHCカードで17.3MB/sから20.7MB/sに、 メモリースティック PRO-HGで15.2MB/sから36.9MB/sに向上するという。TurboUSBのオンとオフでの差ではなく、旧製品との差なので、実際のTurboUSBの効果はよく分からないが、高速であることは分かる。
 またファームウェアアップデート機能もおもしろい所だ。新しく大容量や高速なメディアが登場した際にもファームウェアアップデートで対応できる場合があるという。今後可能性がありそうなのは、SDHCカードの次世代のSDXCカードへと対応だろうか。メモリースティックもさらに高速な規格が出てくるとも限らない。全くの別規格や別形状のメディアが出た場合はどうにもならないだろうが、可能性を残しているだけ便利だと言える。

BSCRA38U2の使い勝手は?

 500円引きクーポンを持っていたのでソフマップ梅田店で2,980円(クーポン使用で2,480円)で購入した。色はシャンパンゴールドを選択した。
 さて、製品を見てみると、多数のメディアに対応するわりにはコンパクトだ。正面は左上が「スマートメディア」と「xDピクチャーカード」、右上が「SDカード」と「miniSDカード」である。その真ん中にアクセスランプがある。左下は「メモリースティック」と「メモリースティックDuo」右下が「コンパクトフラッシュ」である。そして右側面には「microSD」と「メモリースティックmicro(M2)」対応スロットがある。背面にはminiUSB端子がある。スロットの形状からもある程度判断が出来るが、本体裏面にどのスロットかの説明書きがあるので分かりやすい。
今回購入した「BSCRA38U2」である。大きさの比較のために500円玉を置いている。全てのメモリカードに対応するわりには本体サイズは小さめだと感じた。USBケーブルは背面から出る。


「BSCRA38U2」の前面である。左上が「スマートメディア」と「xDピクチャーカード」、右上が「SDカード」と「miniSDカード」、左下が「メモリースティック」と「メモリースティックDuo」、右下が「コンパクトフラッシュ」である。真ん中にアクセスランプも配置される。
「BSCRA38U2」の右側面である。ここにはmicroSDとメモリースティックmicroといった極小カード専用のスロットがある。

 さて、使用感であるが、手持ちのカード全てがアダプタ無しで使用できるために非常に便利である。しかし、挿し込む際に、スロットに対してカードが小さいと、挿す位置がはっきりせず、スッと挿し込めない事があった。例えばメモリスティックに対してメモリスティックDuoは長さが短いだけでなく、薄くて横幅も小さい。スロットはメモリスティック用の厚みと横幅があるため、メモリスティックDuoの場合は中間に挿し込む必要があり、はっきりと挿し込む位置が分からないのである。microSDカードもメモリースティックmicroよりも薄く横幅も小さいため、同様であった。しかし、これはアダプタ無しで全てのカードに対応するために仕方がない事だろう。
 さてTurboUSBについては注意点がある。TurboUSBをオンにするためには、バッファローの提供するユーティリティをインストールする必要がある。しかもバッファローの機種で共用ではなく、BSCRA38U2専用のものが必要である。しかし、パッケージが小さいことからCD-ROM等は付属しておらず、ホームページからダウンロードする必要がある。TurboUSBを利用してBSCRA38U2の真の速度で利用する場合は、一手間かける必要がある。

BSCRA38U2の速度は?

 それではBSCRA38U2の読み書き速度をベンチマークテスト「CrystalDiskMark 2.2」を使用して計測した。ちなみに、残念ながら超高速な「SDHCカード」や「メモリースティックPRO-HG」は持っていないが、計測には10種類のカードを用意した。SDHCカードとSDカード3枚、microSDHCカード、microSDカード、メモリースティック PRO Duo Mark2、メモリースティック PRO Duo、メモリースティックmicro(M2)、コンパクトフラッシュの10種類である。また、カードリーダとして、「BSCRA38U2」の他に、比較対象として2006年7月発売の「MR-A20H」を用意した。また、デスクトップパソコンVGC-RM50内蔵のカードリーダと、ノートパソコンVGN-SZ94S内蔵のメモリースティックDuoリーダ、VGC-FZ92S内蔵のメモリースティックリーダ・SDカードリーダ、さらにVGN-SZ94Sに付属していたExpressCardスロット用のメモリースティック・SDカード、xDピクチャーカードリーダでも計測を行った。また、「BSCRA38U2」はTurboUSBのオン時とオフ時で、Windows XPのVGC-RM50と、Windows VistaのVGN-SZ94Sでそれぞれ計測し、TruboUSBの影響とOSによる差も調べている。計測に使用したパソコンのスペックは以下のようになる。

テストに使用したパソコンのスペック
 
VGC-RM50
VGN-SZ94S
VGN-FZ92S
CPU
Core 2 Duo
E6300
(1.86GHz)
Core 2 Duo
T7100
(1.80GHz)
Core 2 Duo
T8100
(2.10GHz)
チップセット
P965 Express
GM965 Express
PM965 Express
メモリ
3GB
PC2-5300
DDR2 SDRAM
デュアルチャンネル
2GB
PC2-5300
DDR2 SDRAM
デュアルチャンネル
2GB
PC2-5300
DDR2 SDRAM
デュアルチャンネル
OS
Windows XP
Home Edition
SP3
Windows Vista
Home Premium
SP1
Windows Vista
Home Premium
SP1

 それではベンチマークテストの結果を見ていただこう。ちなみに、テストは3回行った平均値を求め、より正確な結果となるようにしている。

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 このテスト結果を見ると、今回購入した「BSCRA38U2」は2年半前の「MR-A20H」やパソコン内蔵のメモリカードリーダ・ライターと比較するとかなり高速であることが分かる。例えば、「MR-A20H」との比較ではSDHCカードやSILICON POWERのSDカードでは12MB/s前後の読み込み速度なのに対して、「BSCRA38U2」では20〜22MB/s前後の読み込み速度が出ている。その他でも、「BSCRA38U2」で15MB/s以上の速度が出ているカードでは明らかな速度差が見られる。また、今回は故障したVGC-RM50内蔵のカードリーダ・ライターの代替として購入したが、このVGC-RM50内蔵のものと比べてもSDHCカードで28%、SILICON POWERのSDカードで69%、micorSDHCカードで30%、メモリースティックPRO Duo Mark2で8.5%、コンパクトフラッシュで199%の向上が見られる。これならば「BSCRA38U2」を代わりに使用しても不便になることはないだろう。また、書き込みスピードも、SDHCカードで17%、SILICON POWERのSDカードで64%、micorSDHCカードで14%、メモリースティックPRO Duo Mark2で11%、コンパクトフラッシュで179%の向上が見られる。携帯電話でパソコンで録画したTV番組を見るためやザウルスでスキャンした本や動画をみるためなど、メモリカードに書き込みを行う事もあるため、これも高速になるのは便利である。
 次に、TurboUSBのオン/オフでの性能差を見てみよう。今回は、最高でも20MB/s程度の読み込み速度のメモリカードが最高のものとなるため、それほど大きな差が出ていないが、それでも誤差とは呼べない差が出ているカードもある。例えばVGN-SZ94Sに接続した場合のSDHCカードで11%読み込みスピードが向上している。また、SILICON POWERのSDカードは、VGC-RM50に接続した場合は18%、VGN-SZ94Sに接続した場合は14%向上している。また、高速なメディアでなくてもmicroSDカードで7%、メモリースティックPRO Duo Mark2で2%、コンパクトフラッシュでも6〜10%速度に差が出ている。このことから、高速なメディアだけでなく低速なメディアでも若干の効果があるといえる。これならば、とりあえずTurboUSB機能をオンにしておけば安心と言える。
 また、今回の検証内容とは直接関係がないが、ノートパソコンに内蔵されたメモリカードリーダ・ライターはかなり低速であることが分かった。例えばVGN-SZ94S内蔵のメモリースティックDuoリーダ・ライターではメモリースティックPRO Duo Mark2で「BSCRA38U2」の方が2.55倍高速である。また、VGN-FZ92S内蔵のカードリーダ・ライターでは、メモリースティックPRO Duo Mark2で「BSCRA38U2」の方が2.53倍、SDHCカードで「BSCRA38U2」の方が2.78倍高速である。書き込み速度も同様に高速である。ここまで速度に差があると、頻繁にメモリカードを使用する場合に、「BSCRA38U2」を購入する事で快適になるだろう。

 このように、「BSCRA38U2」は全てのメモリカードにアダプタ無しで対応している便利さと、高速な読み書き速度という2つのメリットを持っており、いずれも実感することが出来た。また速度に関しては、TurboUSB機能無しにしても古いメモリカードリーダ・ライターやパソコン内蔵のメモリカードリーダ・ライターに対してかなり高速であり、さらにTurboUSBを使う事でもう一段階高速化できる事は驚きである。
 「BSCRA38U2」は、今回のようにメモリカードリーダ・ライターが故障した人や、パソコンにメモリカードリーダ・ライターが無い人にはもちろん、使用しているメモリカードリーダ・ライターが遅く不便に思っている人にもお勧めできる機種と言える。


(H.Intel)



■今回の関係メーカー・ショップ
バッファローコクヨサプライ http://buffalo-kokuyo.jp/
「BSCRA38U2」のページ http://buffalo-kokuyo.jp/products/catalog/flash/bascr38u2/



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