第82回
薄型BD-ROMドライブ
ソニーNECオプティアーク BC-5500A

薄型ドライブ用ケース
タイムリー SLIM-U02B
(2009年8月25日購入・2009年9月21日著)



ノートパソコンにもBlu-rayを

 私の使っているノートパソコン「VGN-SZ94S」の光学ドライブはDVDスーパマルチドライブである。つまりDVDの全規格とCDの全規格の読み書きが可能である。しかし、ロードテスト第68回でデスクトップパソコン「VGC-RM50」に外付けBlu-rayディスクドライブを接続して以来、データのバックアップにBD-RやBD-REを使う事も多くなってきた。当然、そのデーターをノートパソコンVGN-SZ94Sで読みたいこともある。しかしVGN-SZ94SはBlu-rayは読み込めない。もちろんデスクトップパソコンVGC-RM50に接続しているBlu-rayディスクドライブを持ってくればよいのだが、eSATA接続しているため電源を切らないと抜き差しできない上に、VGC-RM50内蔵の光学ドライブが使用不可なので、Blu-rayディスクドライブを取られると、ディスクが一切読み書きできなくなってしまう。そんなわけで、何とかノートパソコンにもBlu-rayの環境を、しかも安価に手に入れたいと思うのである。
 ノートパソコンにBlu-rayディスクドライブが内蔵されてから数年経ち、ポータブルタイプでない外付けのBlu-rayディスクドライブもずいぶん前からあるが、ポータブルタイプのBlu-rayディスクドライブはここ数ヶ月ようやく目にするようになった。最初に発売されたのはMARSHAL製のMAL-BD02U2で、続いてI・O DATAやバッファローからも発売された。いずれもBlu-rayは読み込みのみのBD-ROMドライブで、DVDスーパーマルチドライブの機能も備える。最初のMAL-BD02U2はソフトなどが付属しないことで1万円という価格で登場したが、Blu-rayがBD-ROMのみの対応を謳っており、BD-RやBD-REに対応しているか不明だ。その上残念ながら製造終了で手に入れるのは難しい。後者の2つは有名メーカー製である事に加えBD-RやBD-REにも対応しており、製造終了直後と言うこともあってまだ手に入るが、価格が2万円台後半となっており、手を出せる価格ではない。
 そこで、調べてみると、バルク版の薄型Blu-rayディスクドライブが数機種販売されている事が判った。そこで、薄型ドライブ用ケースを購入し組み合わせることで、ポータブル外付けドライブとして使用する事にした。

薄型Blu-rayディスクドライブを選ぶ

日本橋のでんでんタウンおよびインターネットを検索すると、薄型Blu-rayディスクドライブとしては以下の3機種が手に入ることが分かった。

メーカ
Panasonic
SILVERSTONE
ソニーNECオプティアーク
型番
UJ-120
SST-TOB02
BC-5500A
バッファ
2MB
8MB
4.5MB
インタフェー
ATAPI
ATAPI
ATAPI
読み込み
BD-ROM
2
2
2
BD-R
2
BD-R DL
2
BD-RE
2
BD-RE DL
2
書き込み
DVD-R
8
8
8
DVD-R DL
N/A
2
4
DVD-RW
4
4
4
DVD+R
8
8
8
DVD+R DL
2.4
2.4
4
DVD+RW
4
4
4
DVD-RAM
5
5
5
CD-R
8
8
16
CD-RW
8
8
10
本体サイズ
128×12.7×129mm
128×12.7×129mm
128×12.7×129mm
ベゼル色
ブラック
ブラック/シルバー
ブラック

 前述のMAL-BD02U2はPanasonicのUJ-120を採用している。しかし、このドライブはBD-RやBD-REへの対応が明記されていない。実際にネット上でこのドライブを使用している方のページを見てみると、一応BD-RやBD-REが読み込めたという話は載っているが、一部のメーカーのメディアが読み込めなかったりと言う事も報告されており、やはり正式にBD-RやBD-REへの対応を謳っていないドライブは不安だ。そんな中でソニーNECオプティアークのBC-5500Aは公式ページで正式にBD-RとBD-RE(DLを含む)に対応していると明記しているため、安心できる。またDVDやCDへの書き込み速度も他の2機種より高速だ。今回の購入目的がデータをバックアップしたBD-RやBD-REの読み込みであることを考えると、このドライブで決まりである。
 でんでんタウンでBC-5500Aの安い店舗を探していると、HPのOEM版のBC-5500AがPC One'sで安価に販売されていた。価格は8,480円であった。また薄型ドライブ用ケースとしては、複数ある中からデザイン的に気に入ったタイムリーの製品でベゼル色に合うブラックの「SLIM-U02B」を選んだ。奇しくも最安値は同店であった。1,880円也。

購入した薄型Blu-rayドライブ「BC-5500A」である。Blu-rayは読み込みのみのBD-ROMドライブである。

「BC-5500A」に貼られてるラベルを見ると、HPのOEM製品である事が判る

前面ベゼルはブラックである。CD-R/RWロゴ、DVD+R/+RWロゴ、DVD-R/-RWロゴと共にBlu-rayのロゴが描かれている。

同時に購入した薄型ドライブ用のケース「SLIM-U02B」である。「薄型ブルーレイ/DVD/CDドライブ用ケース」とBlu-rayも書かれているのが珍しい。ドライブに合わせてケースもブラックを選んでいる。

ドライブをケースに組み込む

 早速購入した製品を組み合わせてみよう。ドライブケース「SLIM-U02B」へドライブを組み込む場合は、前面からドライブを挿し込んでネジ止めするという方法と、ドライブケースを分解して組み込む方法の2種類が書かれていた。安全性を取るため、またドライブケース内部も見てみたい事もあるので、分解して組み込むこととした。
 まず、サイドパネルを前方にスライドさせる。すると左右のサイドパネルを外すことが出来る。どうやらサイドパネルにより、ケースの上面と下面をしっかり閉じているようだ。ケースを開くと、内部は完全な空洞で、背面部分に基盤がある。この基盤はケース内側がATAPI端子、外側がUSB端子とACアダプタ用の電源端子となっている。ケースを上面と下面に分解すると基盤自体も取り外すことが出来る。そこで、この基盤をドライブ「BC-5500A」に取り付ける。そして、基盤の取り付けられたドライブをケースに戻す。この際にケース上面の方にドライブを入れ、それから下面をはめる必要がある。というのも、背面パネルは上面の方に付いているため、後からだとUSBコネクタと電源コネクタと背面パネルが当たってしまい、上手くはめることが出来ないのだ。ケースに組み込めたら、付属のネジを背面から2箇所止める。これにより、ケースと基盤とドライブを一気に固定することが出来る。この状態では上面と下面が若干浮いたように開いているが、最後にサイドパネルを元に戻すとしっかりと固定された。
 それほど難しくなく組み込みは完了した。この手順を見るとケースを分解せずに前面から挿し込むだけでも問題なさそうである。また、「BC-5500A」と「SLIM-U02B」の色は非常に似ており、元から組み込まれた製品のようである。とりあえず見た目は合格だ。

ケース「SLIM-U02B」本体と付属品である。USBケーブルと固定用ネジ2本に加えて、バスパワー動作で安定しなかった時のためにACアダプタも付属している。

「SLIM-U02B」を前面から見ると、当然ながら完全な空洞で、奥に基盤が見える。前面から挿し込むだけでも大抵は組み込みが出来るが、今回は分解して組み込むこととした。

まずは再度パネルを前方にスライドさせる。

そして再度パネルを外す。これでケースの上面と下面を分解できる。

完全に分解した所である。内部に入っていた基盤部分も取り外すことが出来る。

ドライブ「BC-5500A」の背面であり。ATAPIコネクタとなっている。

ケース内部に入っていた基盤を、ドライブ「BC-5500A」に取り付ける。USBコネクタと電源コネクタがずいぶん左端に取り付けられているが、これは次の写真を見れば理由が分かる。

基盤を取り付けた状態を上から見た所である。USBコネクタと電源コネクタ部分だけ厚みがあるが、ちょうどドライブの切り欠き部分に収まっている。

基盤の付いたドライブをケースに収める。ケースの背面パネルは上面側に付いているため、ドライブは先に上面に納める。

下面を上からはめ込む。さらに背面からネジ止めする。このネジによりケースと基盤とドライブを一気に固定することが出来る。この時点では上面と下面が浮いてしまうが、サイドパネルをはめ込むとしっかり固定される。

「BC-5500A」+「SLIM-U02B」を使用してみる。

 それでは、早速パソコンに接続してみよう。「SLIM-U02B」の背面にはUSBコネクタとACアダプタ用の電源コネクタが配置されている。「SLIM-U02B」はUSBバスパワー動作にも対応しているが、内蔵するドライブの消費電力が高かった場合に備えて、ACアダプタも付属しているので安心だ。USBコネクタは薄型ドライブとしては珍しくミニUSBではなく通常サイズのコネクタになっている。ちなみに本体の上面に丸い模様が見えるが、これはただのデザインであって、電源ボタンなどではない(「SLIM-U02B」には電源ボタンは存在していない)。
 まずは動作検証のために、ACアダプタも接続して安定した状態で接続してみた。接続したパソコンはノートパソコンVGN-SZ94Sである。接続すると自動的にドライバが組み込まれ、使用できるようになった。この状態でBD-Rディスクを入れてみると無事に読み込むことが出来た。とりあえず組み込みが成功した事が判り一安心である。
 ところが問題が発生した。読み書きの速度をテストしようとしていた所、書き込みが行えない事が判ったのだ。最内周のみ書き込んだ所で止まってしまうのである。DVD-R、DVD-RW、DVD-RAM、CD-R、CD-RWを試したが、どれも同じであった。またライティングソフトや接続するパソコンを変えても同じであった。相性問題とも考えられたが購入した店に持ち込んで調べてもらうと、故障していることが判明した。初期不良と言う事で無事に交換してもらえた。念のため、交換するドライブでは正常に書き込めることを店頭で確認してもらった。
 持ち帰り交換してもらったドライブを「SLIM-U02B」に組み込み、書き込みを試してみると、なんとまた同じ症状で書き込みが出来ないのだ。確かに店頭では書き込みが行えたドライブである。ケースとドライブの相性問題か、ドライブ自体が壊れやすいのかは分からないが、とにかく書き込めない。しかし、再々度交換に出向くのも面倒だし、そもそもDVDやCDへの書き込みはVGN-SZ94S内蔵のドライブでも行えるし、ロードテスト第72回で購入した「DVSM-P58U2/B」でも行える。今回の目的はあくまでBlu-rayの読み込みであり、そちらは正常に行えているため、今回はこのまま使用する事とした。

本体の背面はUSBコネクタと電源コネクタのみである。電源ボタンなどもなく非常にシンプルだ。

前面ベゼルの色とケースの色は非常に良く似ており、始めから組み込まれた製品のようだ。

「BC-5500A」の速度を検証する

 それでは「BC-5500A」の読み込み速度を検証してみよう。使用したのは「Nero CD-DVD Speed 4.7.7.15」である。このソフトを用いてディスクの最内周から再外周までの読み込みスピードのテストを行っている。それと同時に、AC電源時とUSB給電時で速度に差があるのかも検証している。

BD-R
AC電源時
USB給電時

 まずはBD-Rである。最内周から再外周まで1.99倍速となっており安定している。ドライブのスペックでは2倍速となっているので、スペック通りの速度が出ている事が判る。2倍速というと遅そうだが、Blu-rayの1倍速は4500KB/sである。2倍速は9000Kbpsとなり、これはDVDの6.5倍速相当となり、十分な転送速度である。またAC電源時、USB電源時共に結果が変わらないことから、USB給電でもBD-Rの読み込みは問題なく行えることが分かった。

BD-R DL
AC電源時
USB給電時

 BD-Rの2層タイプBD-R DLである。BD-R DLメディア自体がまだまだ高価で、しかも繰り返し使用できないため、テスト用に1枚無駄にすることが出来ず、手持ちの37.84GB書き込まれたディスクを使用した。1層目は外周に向かうにつれて回転数が下がり、2層目に切り替わった所から徐々に回転数が上がるというグラフとなったが、読み込み速度は安定しており、開始時が1.99倍速、終了時が2.00倍速で平均1.98倍速と、ほぼスペック通りの速度となっている。ただしBD-R DLの場合はUSB給電では読み込みが途中で止まってしまいテストが完了できなかった。止まった所は、ちょうど2層目に入る所であり、2層目の読み込みにはAC電源が必要という事になる。

BD-RE
AC電源時
USB給電時

 続いてBD-REである。一層ディスクの場合はAC電源でもUSB給電でも読み込みが行える。また速度もほぼ同等で、最内周から最外周まで安定して1.99倍速となっている。スペック通りの速度が出ている事になる。

BD-RE DL
AC電源時
USB給電時

 BD-REの二層タイプであるBD-RE DLである。BD-REは再利用できるためテストデータを最大まで入れたディスクを作成してテストしている。BD-R DLでは37.84GBまでしかテストできなかったが、こちらで予想が出来そうである。また、BD-R DLと同様に、USB給電では二層目に入る所で読み込みが停止してしまうため、テストが出来なかった。Blu-rayの2層タイプはAC電源が必須のようだ。テスト結果は、BD-R DLと同じく、一層目は後半になるほど回転数が落ち、二層目に入ると逆に徐々に回転数が上がっていく。回転数は変化するが転送速度はスペック通りの2倍速で安定している。

DVD-R
AC電源時
USB給電時

 DVD-Rは回転数は同じで、外周に行くほど倍速が上がるCAV方式である。スタート時は3.35倍速、終了時は7.92倍速となっており、平均は5.95倍速となっている。再外周ではスペック通りの8倍速で読み取れているため問題はないが、使用上では注意が必要だ。というのも8倍速に達するのは再外周の極短い間だけである上に、データは内側から書き込むため、ディスクいっぱいにデータが書き込まれていないディスクの場合8倍速には達しないことになる。その反面Blu-rayでは最内周から再外周まで2倍速(DVDの6.5倍速相当)で読み込めるため、実際にはBlu-rayの方が高速になる。ちなみにUSB給電でも問題なく動作している。

DVD-RW
AC電源時
USB給電時

 DVD-RWもDVD-Rと同じく、回転数は変わらず、外周に行くほど倍速が上がるCAV方式である。スタート時は1.65倍速、終了時は3.90倍速となっており、平均は2.93倍速となっている。再外周ではスペック通りの4倍速で読み取れている事になるため、問題はない。ただしこのスピードではそれほど速いとは言えず、平均2.93倍速とは4058.05KB/sとなる。この4.28GB入ったディスクの読み出しには約18分半かかる。まあ、薄型ドライブと言う事に加え、Blu-rayが読み込めるのだから、この速度でも不満はない。

DVD-RAM
AC電源時
USB給電時

 DVD-RAMは段階的に転送速度が変わるZone-CLV方式となる。今回の場合は約3倍速でスタートし、1.9GBの辺りで約5倍速に跳ね上がる。5倍速というのはスペックの値と一致する。スペック上は5倍速となり、DVD-Rよりもかなり遅いが、再外周でしか最高速にならないDVD-Rに比べて、1.9GB以上のデータが入っていれば最速速度の恩恵が受けられるため、結果的に平均速度は4.06倍速と比較的高めである。USB給電でも同速度での読み込みが行えた。

CD-R
AC電源時
USB給電時

 CD-Rも回転数が同じで転送速度が上がるCAV方式である。開始時は7.45倍速、終了時は17.03倍速でありスペック上の16倍速を少し超える速度まで達している。USB給電時の動作も問題なさそうである。

CD-RW
AC電源時
USB給電時

 CD-RWもCD-Rと同じCAV方式だ。開始時が7.47倍速、終了時が16.94倍速と読み取り速度もCD-Rと似通っている。ただし気になるのは、BC-5500Aのスペック上のCD-RWの読み取り速度は10倍速である点だ。誤差と呼べる範囲ではないレベルで、スペックより高速になっている。CD-RWディスクと正常に認識せず、CD-Rとして読み込んでいるのか、公式ページのスペックが間違っているのか、HPのOEM版はこの仕様が変更されているのかといろいろ考えるが原因は分からない。データ転送に失敗はしないため問題はなさそうだが、気になる所ではある。



 今回は書き込みが行えないという点で100%成功とは言えないものの、本来の目的であるBlu-rayの読み込めるドライブを手に入れることが出来た。またバルク版の薄型ドライブとケースを別々に購入したが、特に難しい作業もなく、問題なく動作している。この簡単な作業で、BD-R/R DL/RE/RE DLへの読み込みに正式対応したポータブルドライブを安価に手に入れることが出来た点で、完成品よりも自分に合った製品を手に入れることが出来たので良かったと言えるだろう。またBlu-rayの2層ディスクを除いてUSB給電での動作が行える点も評価できる。別々に組み込む上にBlu-rayドライブはDVDドライブより消費電力が高そうだと感じていたが、無駄な心配だったようだ。もちろんUSBに変換して接続しているが、スペック通りの転送速度が出ているのも安心である。
 このように、自分にぴったり合うドライブがないという人や、ソフトウェア類は不要なので安く仕上げたいという人は、一度ドライブとケースを別々に購入するという方法も検討してみてはいかがだろうか。



(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
ソニーNECオプティアーク http://www.sonynec-optiarc.com/jp/index.html
BC-5500シリーズ http://www.sonynec-optiarc.com/jp/products/slim_dbcombo/index.html
タイムリー(Groovy) http://www.groovy.ne.jp/
SLIM-U02 http://www.groovy.ne.jp/products/drivecase/slim_u02.html



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