第88回
ケーブル巻き取り式レーザーマウス
シグマA・P・Oシステム販売 Grig SLACDI
(2009年9月24日購入・2011年3月5日著)



ネットブックパソコン用のマウスを選ぶ

 ロードテスト第85回で、ネットブックパソコン「Aspire One D250(AOD250-Bb83)」を購入した。初めてのネットブックパソコンだったわけだが、意外と便利で、よく持ち出しては、電車の中や、待ち合わせのコーヒーショップなどでロードテストを作成したりしている。使用する上で、やはり必要なのはマウスである。電車の中では必要ないし、Aspire One D250にはもちろんタッチパットが付いているが、小さくて使いづらいため、コーヒーショップのようなテーブルのあるところではマウスがほしくなる。
 マウスを選ぶ上で、まず決めなければならないのが、ワイヤレスか有線式(ワイヤード)かということと、光学式かレーザー式かという事である。光学式とレーザー式かと言うことでは、やはりレーザー式を選びたい。レーザー式の方が価格は高くなるが、木目調のような不均一な模様の上や、光沢のある無地の上などでは光学式は正常に動作しないためだ。家庭内やオフィスで使う場合など、使う場所の表面の状態が分かっていれば光学式でもよいし、場合によってはマウスパットを使用すれば問題ない。しかし、今回は持ち出して使うため、どのような表面の机の上で使うか分からないし、マウスパットを持ち歩くのも不便である。そこでレーザー式が便利だ。
 ワイヤレスか有線式かは難しい選択肢である。また、ワイヤレスとなると、レシーバーとセットになった電波式とBluetooth方式にさらに分かれる。幸い、今回はAspire One D250にはBluetooth機能が内蔵されているため、Bluetooth方式のワイヤレスマウスも接続できる。これならばUSBポートを使用せずに接続できるため便利だ。ただUSBポート数には余裕があるため、電波式のワイヤレスマウスでもよい。持ち歩くことを考えるとケーブルが邪魔にならないワイヤレスマウスの方が便利そうだ。しかし、ワイヤレスマウスの欠点は、マウスに電池を入れる必がであることだ。電池が切れても、家庭内で使う分には買い置きしておいた電池や、充電しておいた充電池と交換すれば良いが、持ち出していて電池が切れたら面倒である。その都度、乾電池を買うのも場所によっては難しいし時間もかかる。かといって常に予備の電池を持ち歩いているのも大変だ。それならば有線式の方がややこしくなく良さそうである。
 かといって有線式の普通のマウスでは、持ち歩いている間にケーブルが絡まったりして、大変そうだ。何か良い製品はないかと、ヨドバシカメラマルチメディア梅田のマウス売り場を見ていると、ケーブル巻き取り式のマウスが売っていることに気がついた。USBケーブルの途中にリールが付いていて、リールの両側のケーブルを軽く引っ張ると、ケーブルがリールに巻き取られるという方式である。ケーブル巻き取り式のUSBケーブルやLANケーブル、携帯電話用イヤホンなどによく見かける方式だ。これならばケーブルが絡まると言うことはなさそうだが、まだ完全ではない。ケーブルを巻き取った状態では、マウスの先にリールがつき、その先にUSBコネクタが付いた状態となる。しかしUSBコネクタが引っ張られると、コードがリールから引っ張り出されてしまうために引っかかる可能性がある。もっと良い製品はないかと探していたところ、見つけたのがシグマA・P・Oシステム販売の「Grig SLACDI」である。
 この製品、リールがマウスの内部に搭載され、ケーブルを軽く引っ張るとリールにケーブルが巻き取られるのだが、最終的に先端のUSBコネクタまでマウス内に収納することができるのである。蓋を閉めることもできるため、これならばケーブルが引っ張り出されることがない。収納した状態ではワイヤレスマウスのように、コードが全く見えなくなるのだ。もちろん、レーザー式という点もクリアしている。その上、マウス自体が小型なので、持ち運びにも便利そうだ。色は6色から選べるが、シルバーの「SLACDISV」を選択した。ヨドバシカメラマルチメディア梅田で3,480円(10%ポイント還元)で購入した。

「Grig SLACDI」の使い勝手は?

 それでは早速使用してみるとしよう。「Grig SLACDI」は一見するとワイヤレスマウスの様にケーブルが全く見えない。しかし、裏返してみると、左前の方に細長いフタの付いている事が分かる。ワイヤレスマウスなら、電池の収納ケースになるだろうが、「Grig SLACDI」ではUSBコネクタが収納されている。また、このUSBコネクタ収納部とコードリールがあるせいで、一般的には左右の真ん中にある、レーザーセンサーが、右手前に寄っているのがおもしろい。さて、このフタを開けてみると、中からUSBコネクタがくっついて出てくる。このフタの裏に磁石が取り付けられており、USBコネクタが金属でできているために、ふたを開けると共にくっついて出てくるという仕組みだ。フタ開けてから、細い隙間に指を入れてUSBコネクタを引っ張り出す必要がないのは非常に便利だ。ちなみに、USBコネクタは縦に収納されている。

「Grig SLACDI」の裏側である。左上にある細長いフタの内部に、USBコネクタが収納されている。USBコネクタの収納部とコードリールがあるために、レーザーセンサーが右下にずれている。

「Grig SLACDI」裏側のUSBコネクタの収納されているフタを開けると、フタに付けられた磁石によってUSBコネクタがくっついて出てくるため便利だ。

「Grig SLACDI」裏側のUSBコネクタの収納されているフタを開けたところである。USBコネクタが縦に綺麗に収納されているのが分かる。

 USBコネクタを引っ張ると、内部のコードリールからケーブルが引っ張り出される。最大は70cmになるが、途中で止めることも可能だ。実際に「Grig SLACDI」を使用するネットブックパソコン「Aspire One D250」はUSBポートが右側にあるため、コードは短めでも問題ない。ケーブルを収納する時は、軽く引っ張って放すと、巻き取られる。
 一方、ケーブルを引き出した状態で使用するとなると、裏のフタを閉めなければならない。フタの先端側、ちょうどUSBケーブルが出る方に、ケーブルの幅ほどの切り欠きがあるため、ケーブルはここを通すことでフタを完全に閉める事ができるようになっている。

「Grig SLACDI」のケーブルを途中まで引き出したところである。最大は70cmだが、好きな長さで止めることができるため、外出先の狭い空間でも使いやすい。

「Grig SLACDI」の前面である。ケーブルを引き出した状態で、ふたが閉められる様に、ケーブルの幅ほどの切り欠きがある。

 USBケーブルを適当な長さに引き出したら、パソコンのUSBポートに接続する。ケーブルとコネクタが収納できるという点では特殊な形状のマウスだが、マウスの機能自体は一般的なマウスとなんら変わらないため、パソコンに接続すれば自動的にドライバが組み込まれ、使用できる様になる。
 「Grig SLACDI」は携帯することも考えてか、比較的小型のマウスである。手を載せると言うよりは手で包み込む様な形に近いといえる。また、今流行の人間工学に基づいた左右非対称のデザインではなく、左右対称である。しかし使用してみると、それほど使いにくいわけではない。クリックボタンは堅すぎず柔らかすぎず、ホイールも回しやすい位置にある。携帯性だけを重視した超小型のマウスよりは断然使いやすい。また、左右対称のデザインも、右利き、左利きのどちらでも使用できると考える事もできる。携帯性と使い勝手の両立がうまく図られたサイズではないだろうか。レーザーセンサーであるため、外出先の様々な机の上でも動きや良好だ。

「Grig SLACDI」は比較的小型のマウスである。左右対称のデザインだが、それほど使いにくいと言うことはない。携帯性と使い勝手を考えるとちょうど良いサイズに感じる。

「Grig SLACDI」を横から見たところである。適度にふくらんでおり、ホイールも出ているので、超小型マウスの様な使い勝手が犠牲にはなっていない。

 残念なのが、一般的な左右クリックとホイール押し込みの3ボタンマウスであることだ。インターネットやウィンドウ操作の際に便利な 「進む」や「戻る」が割り当てられたボタンはない。まあ、このサイズなら仕方が無いだろう。一方、ホイールは左右のチルトに対応しているため、左右スクロールも行える点は便利である。また、ホイールの手前に丸いボタンがある。これは、スキャン解像度の切り替えボタンである。ボタンによって素早く、800cpi、1200cpi、1600cpiに切り替えられる。画面全体にマウスを動かす作業では、少しの動きで素早く動かせるよう高い解像度を、細かな作業をする時は、画面上で1ドット単位で動かしやすい様に低い解像度を選ぶと良い。また、ボタンには緑のLEDが内蔵されており、光り方によって現在の設定が分かる。消灯なら800cpi、暗く点灯なら1200cpi、明るく点灯なな1600cpiという事である。しかし、消灯はまだしも、「明るく」点灯しているのか「暗く」点灯しているのかはわかりにくい。使う場所の周囲の明るさによっても見え方が異なるため、実際にボタンを押して切り替えてみて初めて、「明るく」点灯していたのか、「暗く」点灯していたのかが分かるという程度だ。それでも、切り替えている最中に、設定された解像度が直接確認できるため、設定しやすいことは確かだ。LEDを消灯と点滅と点灯にすれば、いつでもわかりやすいが、マウスに常に点滅するLEDがあるのは気になりそうだ。やはり、LEDの明るさという方法がマシなのかもしれない。ただ私の場合は、この解像度を切り替えると、マウスポインタを動かす感覚が慣れずに、かえって作業効率が落ちるため、慣れた解像度に固定して使っているため、必要ない機能ではあった。

「Grig SLACDI」のホイールの手前に緑色に光っている部分が、スキャン解像度の切り替えボタンである。3段階に切り替えが可能で、消灯、暗く点灯、明るく点灯の3段階で現在の解像度が分かる様になっている。




 今回は、持ち歩くことを第一に考えたマウスを選んだが、思いの外当たりであったと言える。ワイヤレスでないため電池切れの心配は無く、USBコネクタまで収納できるので、鞄の中でケーブルが絡まる心配もない。小型だが使いやすく、小型ながらレーザーマウスなので、様々な机の上で使用できる。ネットブックパソコンやモバイルパソコンを持っている人には、おすすめのマウスだと言える。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
シグマA・P・Oシステム販売 http://www.sigma-apo.co.jp/



今回紹介した商品や、その他のハードやソフトの
ご購入はコチラでどうぞ!