GeForce 210搭載グラフィックボード LEADTEK WinFast 210 512MB DDR3 Low Profile (2009年12月6日購入・2010年3月19日著)
デスクトップパソコンVGC-RM50(ロードテスト第45回参照)はこれまで、ハードディスクの増設、メモリの増設、eSATAインタフェースボードの増設、CPUの換装、CPUファンの換装など様々な増設・換装を行ってきた。しかし2009年12月5日、突然画面表示がおかしくなった。具体的には画面表示が列ごとに縦にずれて、表示がガタガタになるのである。起動直後は大丈夫なのだが、数分から10分程度で症状が出始め、さらに数分すると突然再起動してしまう。まずはWindowsのエラーということで、スキャンディスクを実行するが直らない。続いてウィルス感染の可能性を考え、ウィルススキャンを実行するが、実行するとすぐに画面表示が乱れて再起動してしまう。どうやら、画面が止まっているときは大丈夫なのだが、動きがあるとその部分の表示が崩れていく事が判明した。ウィルススキャンを実行すると、スキャン中のファイル名が表示され、そのファイル名部分から表示が崩れて再起動してしまう。またスキャンディスクが完走したことからWindowsを起動すると問題が発生するらしいと分かった。Windowsの起動までは使用せず、起動してから使うハードウェアといえばグラフィックボードが考えられる。そこでグラフィックボードを使用しない「セーフモード」でWindowsを起動すると問題が発生しないことが分かった。またこの状態でウィルスチェックを行ってみたものの、ウィルスは検出されなかった。これはグラフィックボードの故障の可能性が高そうだ。現在DVIで接続しているが、念のためDVI出力のみが壊れた可能性も考えD-Sub15ピン接続に変更してみたが変化はない。また、Windowsが再起動するという症状から考えれば可能性は限りなく低いが、ディスプレイが高解像度表示が行えなくなったという可能性もあるためディスプレイにノートパソコンを接続してみたが、問題は発生しなかった。いよいよグラフィックボードの故障とほぼ断定しても良さそうである。 幸い、VGC-RM50のグラフィック機能はチップセット内蔵ではなく、GeForce 7600GSのグラフィックボードがPCI Express 16Xスロットに取り付けられている。つまりグラフィックボードの交換が可能なわけである。もちろんメーカーに修理に出すという方法が確実だが、何日も使えないのは不便だし、せっかくグラフィックボード単体で交換できる仕様であるため、自分で交換してみることとした。
それではグラフィックボードを選ぶこととしよう。VGC-RM50のグラフィックボードは前述のようにPCI Express 16Xスロットに搭載されている。現在販売されているグラフィックボードのほとんどはPCI Express 16Xスロット用なので選択肢は豊富である。ただし、上位モデルにあるような巨大なファンが取り付けられており隣接するスロットも占有する2スロットタイプは、VGC-RM50のPCI Express 16Xスロットの横のスロットが空いていないことから難しい。また、そもそも上位モデルのような消費電力の大きなグラフィックボードが動作するかが疑問である。ただでさえ、ハードディスクを2台増設しており、CPUも消費電力の高いものに交換、カードも増設している。増設したハードディスクは5400rpmの消費電力の少ないタイプだとはいえ、初期状態より消費電力はかなり高くなっている。この上にグラフィックボードの消費電力が大幅に上がってしまうと、電源容量が不足する恐れもある。また、オンラインゲーム「RAGNAROK Online」や数年前のカーレースゲーム「Need For Speed」をする関係で、ある程度のグラフィック性能は必要だが、最新の3Dゲームをするわけではないため、それほど高性能でなくても良い。VGC-RM50自体も購入から3年近くがたち、調子も悪い事から買い換えまでそれほど期間もないと思われるため、価格重視で製品を決めたいと思う。最低限GeForce 7600GSより性能が上ならば良しとしよう。また低価格で比較的性能が低めの製品なら消費電力も少なく、1スロット使用で、別途電源供給が不要であることから、VGC-RM50の交換用途としても向いているだろう。これまでNVIDIAのGeForceシリーズを使ってきて、信用があることから、GeForceシリーズから選びたいと思う。 とりあえず大阪日本橋のでんでんタウンの各店舗を回って、製品と価格調査をしてみた。すると、低価格な製品としてよく見かけるのはGeForce 210とGeForce GT220である。いずれも最新のGeForce 200シリーズの最下位モデルと最下位から1つ上のモデルである。GeForce 210が5,000円前後、GeForce GT220が7,000円〜8,000円前後である。旧世代としてよく見かけるのは、1世代前のGeForce 9400GTで、5,000円〜6,000円となっている。また2世代前のGeForce 8400GSも5,000円前後で販売されているのをちらほら見かける。また、とある店舗でGeForce 9400GTより上位モデルのGeForce 9500GTを搭載したカードが5,000円で販売されているのも発見した。 GeForce 210とGeForce GT210であるが、これまでDirectX 10までしか対応してこなかったNVIDIAが初めてDirectX 10.1に対応した製品である。下位モデルから対応したのはおもしろいところだが、Windows 7ではデスクトップの表示にDirectX 10.1が必要であるという事があり、下位モデルはメーカー製パソコンにも採用されやすいことから、先行して対応したのではと言われている。ラインナップ的にはGeForce 210はGeForce 9400GTの、GeForce GT220はGeForce 9500GTの後継モデルという事になる。2世代前のGeForce 8400GSはとりあえず省くとして、それ以外の4チップのリファレンススペックを比較してみよう(NVIDIAの示す基本のスペックなので、メーカーによってはコアクロックやシェーダクロック、メモリの種類などが異なる製品もある)。 これを見ると、GeForce GT220はGeForce 9500GTに比べ、シェーダプロセッサ数が1.5倍に増え、メモリクロックも向上しているため、純粋に性能が向上しており後継製品らしい製品だ。それに対して、GeForce 210はGeForce 9400GTの比べて、シェーダプロセッサ数はそのままで、メモリインタフェースが128bitから64bitに半減しているため、後継製品と行ってもスペックダウンしている。パソコン雑誌などのベンチマークテストを見ると、GeForce 9500GTがGeForce 9400GTより上なのは当たり前として、GeForce GT220はGeForce 9500GTより上、GeForce 210はGeForce 9400GTより下となっている。 これを見ると、GeForce GT220が良さそうだが、他の3製品が5,000円前後で購入できるのに対して、GeForce GT220は7,000円以上と差がある。今回は価格重視と言う事で、2,000円を出してまで性能の高い製品を選ぶ必要を余り感じないため、GeForce GT220は省くこととした。次に高性能なGeForce 9500GTとその次に高性能なGeForce 9400GTは旧世代ながら性能的にはGeForce 210より上で、同価格ならコストパフォーマンスは高い事になる。しかし、気になるのが公称消費電力の高さだ。50Wとなっており、GeForce 210の30.5Wよりかなり高い。また、特にGeForce 9500GTはシェーダプロセッサ数がGeForce 9400GTより多いにも関わらず製造プロセスが細分化されておらず、メモリクロックも高い事から、実際にはGeForce 9500GTの方が消費電力は高そうだ。ただでさえ消費電力の低いことで有名なGeForce 7600GSと交換するため、消費電力が高いのは、電源容量的にも発熱的にも気になる。これを考えると、58WあるGeForce GT220もやはり選択肢としてはマズイ。残るはGeForce 210である。数字の前にGTもGTSもGTXも付かないという特殊な品番の製品だけあって性能は低めだが、GeForce 7600GSは当時のミドルレンジの製品であるとは言え、3世代も前の製品であるため、さすがにこれよりは性能が上ではあるだろうと考え、GeForce 210搭載製品から選ぶ事とした。もし性能が落ちたとしても、今現在しているゲームではGeForce 7600GSで性能的には余裕があるため、少しくらい低下しても問題ないだろう。やはり出来る限り失敗しないことを考えると、消費電力の低い製品が良いという結論である。 様々なメーカから製品が出ている。玄人志向が最も安かったがさすがにスルー。有名メーカーで価格比較をすると、LEADTEKが4.980円、MSIが5,280円、GIGABYTEが5,280円、ELSAが5,980円が平均のようだ。これより安い店舗や高い店舗があるが、価格が逆転することはなかった。LEADTEKの製品でも問題はなさそうなので、LEADTEKのWinFast 210で決定した。でんでんタウンで最も安かったBEST DO!店で4,730円で購入した。 ちなみにWinFast 210はコアクロックは589MHzとリファレンススペックと同じだが、メモリはDDR2ではなくDDR3を採用しておりメモリクロックは1580MHz相当とリファレンススペックより高性能であり、メモリ周りの性能は少し高くなっている点は期待できる。メモリ容量は512MBである。カードサイズは169×69×18mmと小さめなので、カードが内部のパーツに当たる心配は少なそうだ。また今回は使わないがLowProfileブラケットも付属している。出力はDVI-IとD-Sub15ピンに加えてHDMI出力が行える。GeForce 210チップ自体がNVIDIA PureVideo HDに対応しており、Blu-rayビデオなどの再生支援も行える。もちろんPCI Express 2.0に対応(PCI Express 1.1にも対応)している。冷却ファンが搭載されているが、小型なので安心だ。
交換用のグラフィックボードも手に入れたので、早速交換作業に入るとしよう。まずは「WinFast 210 512MB DDR3 Low Profile」(以下WinFast 210)を見てみよう。製品はファンが搭載されたごく一般的なグラフィックボードだ。搭載するチップ 「GeForce 210」は発熱もそれほど多くないため、ファンも小さめのものである。もちろんPCI Express X16スロットの1スロットのみで収まる厚みである。またLowProfileスロットにも対応するため、高さも抑えられ長さも短めで、全体的にコンパクトなカードである。ブラケット部を見ると、左側にD-Sub 15ピン、右側にDIV-Iという端子だけでなく、真ん中にHDMI端子が見える。一通りの端子はそろっているため、安価なグラフィックボードといえども安心である。
それでは交換作業に入ろう。今回交換するVGC-RM50はメインユニットとアクセスユニットの2つに本体が分かれているが、マザーボードやCPU、メモリ、グラフィックボードなどのメインのパーツはメインユニット側に搭載されている。メインユニットを寝かせた状態で、背面のネジを2つ外すと、上面のパネル全体が外せるようになる。全体が外れるため内部が見やすく作業がしやすい。 前面を右側にして見た場合、左側の真ん中あたりに各種拡張ボードが取り付けられている。4つの拡張スロットがあるが、その内、一番下がグラフィックボードである(下写真の赤矢印)。とりあえず、ブラケット部のネジを外してグラフィックボードを取り外す。
取り出してみると、VGC-RM50に元々搭載されていたグラフィックボードはファンレスであることが分かった。ボードの3分の2ほどを占める、大きなヒートシンクを取り付けているとはいえファンレスだとは驚いた。搭載されているチップのGeForce 7600GSの消費電力の低さが分かる。ボードは他に興味深い点がある。ボードの下側の端子はPCI Express X16用の端子であるが、逆にボードの上端にも小さな端子があるのだ。これはNVIDIA SLIと呼ばれる、2枚のグラフィックボードを搭載して性能向上を図る機能を使用する際に、2枚のボードをつなぐブリッジモジュール用の端子である。VGC-RM50を始めとして、このVAIO Type R masterシリーズにはSony OWNER ・MADEモデルを含めて、グラフィックボードを2枚搭載できる機種は無かったし、そもそもこのマザーボードにはPCI Express X16スロットが1スロットしかないため、実際にはNVIDIA SLIの端子を使用する機会はなかった訳だが、もしかすると計画はあったのかもしれないと想像が膨らむ。
さて、今回購入した「WinFast 210」と、取り出したグラフィックボードを比較してみよう。カード自体の長さはほぼ同じである。これで「WinFast 210」が内部で他のパーツと干渉する心配は無くなった。VGC-RM50に搭載されていたカードはLowProfile仕様にはなっていないため、カードの高さは「WinFast 210」の方が小さい。それ以外に、当然冷却ファンの有り無しの違いがある。 ブラケット部を見てみると、端子類に違いがある事が分かる。D-Sub15ピンとDVIは同じだが、「WinFast 210」ではHDMI出力が搭載されているところ、VGC-RM50に搭載されていたボードはSビデオ出力となっている点が時代を感じさせる。VGC-RM50を購入した当時は、ハイビジョンテレビの普及率も低いためHDMIで接続できるテレビが少なく、グラフィックボードにHDMI出力を付けるのも一般的ではなかったのである。それ以外によく見ると、DVI出力がVGC-RM50に搭載されていたグラフィックボードはDVI-Dであるが、「WinFast 210」ではDVI-Iになっているという違いもある(DVI-Dは端子の右側が「−」になっているが、DVI-Iでは「+」になっている)。DVI-DはDVI接続のデジタル出力しか行えないが、DVI-Iは変換アダプタを介してD-Sub15ピンのアナログ出力も可能になっている。
それでは「WinFast 210」をVGC-RM50に取り付けていこう。VGC-RM50からグラフィックボードを外したところを見てみると、PCI Express 16Xスロットが見える。ここに「WinFast 210」を増設する事になる。特別難しいことはなく、「WinFast 210」をまっすぐ上から差し込むだけである。ある程度力を込めて差し込むと、ブラケット部がしっかり収まる位置まで押し込める。この状態でブラケット部のネジ止めをすれば作業自体は完了である。上位モデルでは、別途電力供給が必要な場合もあるが、「WinFast 210」は、搭載しているチップのGeForce 210の消費電力が比較的低いことから、PCI Express 16Xスロットからの電力供給のみで動作する。また、以前にPCI Express 1Xのボードを増設した際は、ネジ止めするまでカードが前後にぐらつき不安になったが、PCI Express 16Xはスロットの端子部分が長いため、しっかりと固定でき安心であった。
VGC-RM50本体の側面パネルも閉じて増設完了である。増設が完了したところで、ブラケット部を外側から見てみるときっちり収まっているように見える。しかし実際には全ての端子を確認してみると問題がある事が分かったのである。実はD-Sub15ピン端子が端にありすぎるのだ。D-Sub15ピンケーブルはネジで固定する様になっているため、端子の左右にネジがあり、ケーブルのプラスチック部分はそれよりさらに一回り大きいため、ねじ穴よりさらに左右にスペースが必要になる。ところが、VGC-RM50はブラケット部の周囲がすぐのところで1cmほど飛び出ているため、この部分に当たってしまいケーブルを接続することができないのだ。DVI-I端子とHDMI端子は問題なかった。今のところディスプレイとの接続はDVI接続であるため問題ないが、D-Sub15ピン出力が必要になった場合は問題だ。DVIがDVI-Iであるため、変換アダプタを取り付ければD-Sub15ピンに変換できるが、DVI+D-Sub15ピンによるデュアルディスプレイ環境はできない。もう一つの方法はノートパソコン用に販売されている、取り付けネジのないケーブルを使うことである。これならばデュアルディスプレイ環境も可能だ。今のところDVI接続のディスプレイは1つだし、いざとなれば解決法もあるが、ちょっとした問題点である事は確かだ。ユーザによる交換が想定されていないメーカー製パソコンに自作パーツを増設したのだから仕方がないと考えることにした。
それでは実際に起動してみよう。DVIでディスプレイを接続しWindowsを起動する。最初はドライバが組み込まれていないため、640×480ドットで起動したが、すぐに新しいハードウェアとして「WinFast 210」が認識された。付属のCD-ROMからドライバなどを組み込み、再起動すると、無事にディスプレイの解像度である1280×1024ドットで起動した。前述の端子位置の問題はあったが、動作自体は問題なさそうだ。また、今回のグラフィックボード交換の原因となった「画面表示がガタガタになり再起動する」という症状は、全く発生しなくなったことから、故障箇所はグラフィックボードで正解だったようだ。あとは消費電力が上がったことが問題にならないかと言うことだが、重めの3Dベンチマークテストを30分ほど走らせてみたが、電源容量不足で不安定になることもなく、発熱が多すぎてケース内部の放熱が追いつかず熱暴走という事もなかった。またグラフィックボードがファンレスからファン有りになったが、VGC-RM50の前面には12cmのCPU用のケースファンと、8cmのケースファンが取り付けられているため、3Dベンチマークテストを走らせても、内部のファンの音がうるさいという事は無かった。これでグラフィックボードの交換作業は成功と言える。
それでは気になる「WinFast 210」の性能を様々な3Dベンチマークテストを使用して計測してみよう。比較対象はVGC-RM50に元々内蔵されていた、GeForce 7600GSのグラフィックボードである。それ以外のパーツは同じである。また、「WinFast 210」のドライバは、付属のディスクに入っていた物ではなく、ベンチマークテストを実行する2010年1月21日現在で最新バージョンとなるVer.196.21を使用している。また計測するパソコンはVGC-RM50はメモリの増設やCPUの交換などを行っているため、購入時の状態より性能が向上している。今回行うベンチマークテストは3D描画性能を測る物だが、CPUやメモリの影響も受けるため、元のVGC-RM50に「WinFast 210」を取り付けた場合より良い結果が出ている可能性がある点はご了承いただきたい。あくまで「GeForce 7600GS」と「GeForce 210」の比較として見ていただきたい。なお詳しいスペックは以下の通りである。
まずは軽めのテストである「Vana'Diel Bench 3(FINAL FANTASY XI Official Benchmark)」である。これを見ると、GeForce 210の方が劣る結果となったが、Highで3%、Lowで1%とごくわずかであり、ほぼ同等性能と考えても良さそうだ。ネット上で調べてみると、GeForce 7600GSよりも劣るという結果も多かっただけに意外である。「WinFast 210」はグラフィックメモリが標準よりも高速な物を搭載している事も影響していると思われる。 続いて3DMark2001SEである。3DMarkの中でも比較的古いテストであるため、テストとしては軽めになる。これを見ると、1024×768ドットではほぼ同性能だが、640×480ドットではGeForce 210が5.8%上回っている。高解像度で追いつかれているのは、メモリインタフェースが64bitと半分になっているためだろうか。ただ、少なくともGeForce 7600GSに劣ると言うこと無いと言えるだろう。 続いて同じ3DMarkでも少し新しい3DMark05と3DMark06である。ここではなんと、3DMark05で68.0%、3DMark06で42.3%という大差でGeForce 210の方が高速である。これまでと異なりかなりの差である。DirectX 8.1世代のテストである3DMark 2001SEと異なり、どちらもDirectX 9世代のテストなので、DirectX 9世代の処理はGeForce 210の方が高速なのかもしれない。 続いて「ぐるみん」というゲームのベンチマークテストである。比較的軽めのテストであるが、使用するDirectXをDirectX 8.1とDirectX 9.0に切り替えてテストできるのがおもしろいところだ。これを見ると、DirectX 8.1とDirectX 9.0共にGeForce 7600GSの方がわずかながら上となっている。これを見ると、GeForce 210が特別DirectX 9世代の処理が得意というわけでもなさそうだ。またどちらも、DirectX 8.1に設定したときより、DirectX 9.0に設定したときの方が若干結果が良くなっているのもおもしろい。 「VRM DirectXチェッカー」は鉄道模型シミュレータ3の動作の快適さを計るテストである。最小FPSと最大FPSが表示されるが、どちらもGeForce 210の方が勝っている。「VRM4ベンチマークテスト」は鉄道模型シミュレータ4の動作の快適さを計るテストであり、ゲームの世代としては1世代進んでいる。また最初に公開された「VRM4ベンチマークテスト」と、途中で新しくなった「VRM4 ベンチマークテストv2」の2種類がある。これを見ると初期バージョンではGeForce 7600GSとGeForce 210は全くといっていいほど同性能を示しているが、v2になるとGeForce 210の方が10.7%勝っている。やはり新しいベンチマークテストほど、GeForce 210に有利なようだ。 最新の重めのベンチマークテストを実行してみよう。まずは「BIOHAZARD 5ベンチマークテスト」である。800×600ドットから1280×1024ドットまで5つの解像度でテストを行ったが、どの解像度でもGeForce 210がGeForce 7600GSより良い結果を示している。また800×600ドットで160%、1024×768ドットで160%、1280×768ドットで156%、1280×1024ドットで146%と高解像度になると若干差は縮まるが、それでも1.5倍程度の性能を示しているのは驚きである。 続いて「The Last Remnantベンチマーク」である。このテストでは驚くことに、GeForce 210がGeForce 7600GSの倍近い性能を示しているのである。また比較的スムーズに見える30fpsを超えるのは、GeForce 7600GSでは640×480ドットまで落とさなければならないが、GeForce 210では1024×768ドットでも同じフレームレートで遊ぶことができるのである。重めの最新のゲームではGeForce 210の方が有利のようだ。 最後に「S.T.A.L.K.E.R.:ClearSky Benchmark」である。最も軽い設定の「Static lighting」と、Windows XP環境では最も重い設定の「Enhanced full dynamic lighting」の2つで、800×600ドット、1024×768ドット、1280×1024ドットの3つの解像度でテストを行った。テストを実行すると、同じシーンを「Day」「Night」「Rain」「SunShafts」の4つの天候でテストが行われる。 結果を見ると、いくつかの傾向が見えてくる。まず一番分かりやすいのが、GeForce 210の方がGeForce 7600GSよりも全体を通して良い成績であることだ。次に、解像度が上がるほど差が広がること、また「Static lighting」よりも「Enhanced full dynamic lighting」の方が差が大きい事が分かる。「Day」のテストを例にすると、「Static lighting」の800×600ではGeForce 210とGeForce 7600GSの差は1.4%だけである。しかし、これが1024×768だと10.4%、1280×1024だと17.6%の差となる。また「Enhanced full dynamic lighting」では、800×600で21.4%、1024×768で25.9%、1280×1024で32.8%と解像度が上がる方が差が広がるのは同じであると共に、「Static lighting」より差が大きい事が判る。このことから、重い処理の方がGeForce 210は有利である、又は重い処理でもGeForce 210の方が性能が落ちにくいと言えるだろう。また、それ以外に、「Day」に比べると、他の3つ、特に「Night」と「Rain」での性能差が大きいことも分かる。例えば「Enhanced full dynamic lighting」の800×600の場合のGeForce 210とGeForce 7600GSの差を見てみると、「Day」では21.4%だが、「SunShafts」では59.5%、「Night」と「Rain」に至ってはそれぞれ75.1%と73.5%と大きな差である。グラフィックチップの世代の違いから得意な処理に違いがあるのではないだろうか。 今回は、グラフィックボードの交換を行った。はっきりと故障箇所がグラフィックボードだと分かったわけではなく、またメーカー製パソコンと言う事で交換が行えるか不安であったが、実際には、一部の端子が使いにくい程度の問題だけで大きなトラブルもなく、故障箇所も当たっていたために無事にパソコンを復帰させることが出来た。また評判の悪いGeForce 210であるが、今回見る限りではメモリクリックがリファレンススペックより高い事もあってか、GeForce 7600GSを上回る性能を示したため、それほど悪いとは言えないように感じた。また低消費電力・低発熱で別途電源供給も要らず、1スロット仕様であるため、旧世代のグラフィックボードと交換するには、熱暴走や電源容量不足の心配が少ないという点も良いだろう。そして何より価格が安いため、パソコン自体の買い換えがそう遠くない機種の修理という用途には、出費が少ないという点もうれしい点である。ある程度の性能で良いが、低消費電力・低発熱の製品を探している人や、グラフィックボードが故障したパソコンを、とりあえず安価に復帰させたいという人には、オススメの製品である。 (H.Intel) ■今回の関係メーカー・ショップ
|