第125回
イー・モバイル モバイルWi-Fiルータ
Pocket Wifi GP01
(2011年5月4日購入・2011年9月14日著)



魅力的なキャンペーンを発見

 ロードテスト第86回で、イー・モバイルの通信端末を「D31HW」という機種に買い換えた。この機種は下り21Mbps・上り5.4Mbpsで通信可能なもので、従来よりもさらに高速にモバイルインターネットを楽しむことができる様になった。特に不満無く使っていたのだが、2011年5月末にヨドバシカメラマルチメディア梅田のイー・モバイルコーナーを通りかかった時に、魅力的な機種とキャンペーンが行われているのを見かけたのである。それが、モバイルWi-Fiルータ「Pocket Wifi GP01」の端末代金がなんと1円で、その上月額料金まで安くなると言うキャンペーンである。

モバイルWi-Fiルータ「Pocket Wifi GP01」とは?

 まず、魅力的だったのがモバイルWi-Fiルータ「Pocket Wifi GP01」(以下GP01)である。この「GP01」はその名の通り、イー・モバイル回線の通信端末と無線LANルータが合体したような製品だ。これまで使っている「D31HW」はUSB接続の通信端末であるため、パソコンのUSBポートに挿して使用する。しかし「GP01」は、無線LAN(Wi-Fi)による接続機能を備えているため、パソコンとは無線LANを使って接続できるわけである。
 メリットとして、まずケーブルなしでインターネットに接続できる。これは、ケーブルが邪魔にならないと言うこともあるが、それよりも、パソコンを置いている場所がイー・モバイルの電波状況の悪い場所だった場合、パソコンは使いやすい場所に置いておきながら、電波状況の良い場所に「GP01」を置いておくことが可能になるわけだ。以前、都心のホテルに宿泊した際に、机の上にパソコンを置くと圏外になってしまい通信できず、窓際にいくと通信できたため、窓の近くの段差にパソコンを置いて使わなければならなかったことがあったが、「GP01」なら「GP01」だけを窓際に置いておき、パソコンは机の上に置いて作業できるわけである。
 他にもメリットはある。USB接続の場合はパソコン等に接続して、その機種上で接続処理を行うことになるため、通信端末のドライバソフトが必要であった。そのため、使用できる機種がパソコンと一部のパソコンに近い機器に限られていたが、「GP01」では「GP01」自身が接続処理を行い、パソコンとは無線LANで接続するだけであるためドライバソフトが必要なく、無線LANを内蔵した機種ならどの機種でも使用できるわけである。つまりパソコンに限らず、iPadをはじめとするタブレット端末や、Wi-Fi機能を内蔵した携帯電話でも接続できる事になる。通信機器の対応・非対応を気にすることなく様々な機種で使用できる点はメリットだ。また、無線LAN接続であるため、複数の機器を同時に接続することができる。「GP01」では5台まで接続できるので、旅行先で自分と友人のパソコンを同時にインターネットにつなぐこともできるわけだ。
 しかし、デメリットもある。簡単な点から言うと、本体が大きくなる。「D31HW」はW28×H76.5×D12.4mmで25gなのに対して、「GP01」はW48.6×H95.5×D14.1mmで80gとなる。幅が1.74倍で、高さ厚みも少し大きくなる。体積比で約2.5倍で、重量は3.2倍となる。とはいっても携帯電話よりは小さいので持ち運びが苦になると言うほどではない。2つめは、無線LANで接続する事になるため、「GP01」は別途充電しておかなければならない事だ。ただし、「GP01」はUSB充電であるため、パソコンさえあれば充電しながら通信できるし、そもそもUSB接続による通信も可能である(その場合はドライバソフトが必要)。と考えると、逆に言えばパソコンからの給電でも通信できるし、単独でも通信できるという点で使い方が色々と選べるとも言える。3つめのデメリットは、「無線LAN」としての設定が必要である点だ。USB接続の端末の様に、ユーティリティをインストールするだけで接続できるわけではなく、家庭内の無線LANルータに接続するときのように、各機器の無線LANの設定方法に従って「GP01」と接続する必要があるのだ。使用する機器によって無線LANの設定方法は異なるため、「これ」という手順が示しにくい上に、セキュリティのために、暗号化の設定が必要だと考えると、パソコン初心者にはUSB接続の端末よりは難しいと思われる。ただし、これ自体は一度行うだけであることと、いくつもあるメリットと比べるとたいしたことがない物である。
 「GP01」はこのような通信端末である。最近では各通信会社からモバイルWi-Fiルータが発売されているため、目にすることも多く前々から気にはなっていた。しかし最初に発売されたイー・モバイルのモバイルWi-Fiルータは「D25HW」という機種で、下りが7.2Mbpsの通信端末である。今使っている「D31HW」と比べると速度が低下することとなるため、諦めていた。しかし下り21Mbps通信に対応した「GP01」が発売されたため、非常に気になっていたところにキャンペーンが行われていたため、詳しく話を聞いてみることとしたわけである。

キャンペーンの内容は?

 2011年6月8日まで行われているキャンペーンは3つある。1つは「GP01」の端末代金が1円になること。そして、機種変更の場合、月額使用料が2年間1,000円割引きになる事。そして、「GP01」のバッテリ駆動時間が倍になる大容量電池パックが無料でもらえることである。端末代金が1円になるというようなキャンペーンの場合、月額料金がアップしたり、最低利用期間が発生したり、何らかの制限がかかることがあるので、店員さんに詳しくたずねてみることにした。
 まず、端末代金が1円と言うことに関しては、代わりに月額料金がアップするという様なことはなく(つまり分割払いで店頭では1円という事ではない)、完全に1円になると言うことである。また月額料金は2年間1,000円引きとなるが、いくつかコースがある内、2段階定額のコースではなく、完全定額の「G4 データプラン」(データプランの24Mbps以降のG4通信に対応したコース)の場合に、月額5,980円のところが4,980円になるということである。またコース変更をすると、1,000円引きは適用されず、コース変更後に「G4 データプラン」に戻しても、1,000円引きは復活しないとのことである。通信料や通信速度に制限は発生しないが、2年間の最低利用期間が発生する。
 これを聞くと、非常に良いキャンペーンで、特別デメリットはなさそうだ。2年間の最低利用期間については、こういった場合に必ずといっていいほど発生するので、特別不満があるわけではない。しかし、問題が2つある。今契約しているコースは「G4 スーパーライトデータプラン」(契約時はスーパーライトデータプラン24という名称)という2段階定額コースで、最低900円、上限は5,980円というコースである。最低料金で使用できる通信料はごくわずかなので、実際には使わない月は900円、使った月は5,980円という様なコースだ。上限金額が完全低額コースと同額なので、使わない月だけお得になるわけだが、今回はこのコースでは1,000円引きは適用されない。そこで実際に過去1年間でどの程度使用しているのかを調べてみた、下限の900円の月が多ければ、たとえ毎月1,000円引きになったとしても損である。しかし、調べてみると、12ヶ月の内8ヶ月が上限の5,980円に達しており、900円だったのはわずか2ヶ月だけ、他の2ヶ月は4,000〜5,000円の間止まっていた。これを考えると、ほぼ上限まで使ってしまっているようで、「G4 スーパーライトデータプラン」から「G4 データプラン」に変更してのほとんど月額料金に違いはなく、毎月1,000円割引される方が得そうである。
 もう一つの問題の方が深刻だ。実は、今使用している機種「D31HW」に契約する際も2年間の最低利用期間が設定されていたのだが、これがまだ1年7ヶ月しか経過していないことだ。「にねんMAX」というプランで、端末代金が無料に、同時購入のパソコンが3万5000円引きになる代わりに、2年間の最低利用期間が発生し、しかも月額料金が1,900円アップするというコースだ。今機種変更すると、違約金が発生するのか、それとも毎月1,900円アップするのが継続するのか、そもそも機種変更ができないのかといった様なことが考えられる。
 そこでたずねてみると、違約金は発生するが、その時点で1,900円アップも終了するため、月額料金は4,980円になると言うことである。つまり、今は5,980円+1,900円で、7,880円もかかっているところが4,980円になるという事である。これはかなりの差である。そこで違約金をたずねてみると、現在は1年8ヶ月という扱いになるそうで、違約金は14,500円と言うことだ。これは残りの5ヶ月で割ると1ヶ月を2,900円換算で、今回機種変更することで1,900円アップが無くなることと、キャンペーンの1,000円引きを合わせるとちょうど同金額になる。つまり、残り5ヶ月で払う料金は実質同じになってしまうが、1,000円引きは2年間適用のため、5ヶ月より後の1年7ヶ月は1,000円得になる上に、モバイルWi-Fiルータに機種変更できる点と、大容量電池パックがもらえる点も得である。
 このようにややこしいが、詳しく話をすると損はなさそうなので機種変更することにした。なお、話を聞いたのは4月末だが、5月に入ると違約金が2,900円安くなる事と、5月8日まではキャンペーンがあるため、5月に入ってから手続きを行う事とした。
 2011年5月4日になってヨドバシカメラマルチメディア梅田のイー・モバイルコーナーで手続きを行った。本体価格1円と書いたが、詳しくレシートを見てみると、「GP01本体」と「GP01 にねんMキャンペーン」の2つがレジを通されており、0円の商品は設定できないのかそれぞれ1円となっていた。そして金券支払い1円で、現金支払いが1円となっていた。そして面白いのが、ヨドバシカメラの場合10%ポイント還元が切り上げで付くため、1円の「GP01本体」と「GP01 にねんMキャンペーン」それぞれに1ポイントが付いており、2ポイント還元となってた。つまり、1円払って2円分のポイントがもらえたので、実質マイナス1円だったとも言える。ちなみに「大容量電池パック」は発売が遅れ、10月以降に自宅に届く事になっている。

「GP01」の外見を見る

 それでは、「GP01」を見てみよう。箱から取り出してみると、「GP01」は意外と小さく軽いことが分かる。48.6×95.5×14.1mmという大きさは、折りたたみ式携帯電話と横幅は同じくらい、長さと厚みはやや小さめと言ったところだ。角が大きめに丸くなっているため、全体的にはコンパクトに見える。80gという重量も、携帯電話よりやや軽いと言ったところだろう。表面は、上半分が黒、下半分がシルバーとなっているが、上半分の黒い部分は透明のパーツがはめ込まれておりその内側が黒くなっている。そして、その透明のパーツの内側には、現在の状況を示す白色表示の液晶ディスプレイが内蔵されている。しかし、液晶ディスプレイは23×12mmと非常に小さいものであるため、全体をシルバーとすると、液晶ディスプレイ部だけ小さく黒く目立ち、格好が悪くなる。そこで、その周囲45×40mmを透明のパーツで覆い、内部を黒くすることで、液晶ディスプレイ部分との境が分かりにくくなり、液晶ディスプレイの小ささが目立たなくなり、デザイン的にも「締まる」のである。下部には「Pocket Wifi」のロゴもありデザイン的にはなかなかだ。しかし逆に裏面はただの白いパーツで、いかにもプラスチックという感じで安っぽい。裏面もシルバーか黒ならば、より高級感があったのでは無いだろうか。
 側面を見てみよう。右側面には、ボタンが二つあり、片方は電源及びWiFiのオン・オフを切り替えるボタン、もう一つは「WPS」を使用して簡単設定をするときに、設定を開始するためのボタンである。ボタンは全体を通してもこの2つだけで、非常にシンプルである。左側面には、microSDカードスロットがある。フタ式となっているため、隙間に爪を引っかけて、引っ張って開けるタイプである。USB接続の「D31HW」では、裏ブタを開けた内部にEM chip(USIMカード)と一緒に入っていたため交換しにくかったが、「GP01」では交換しやすい。もちろんmicroSDHC規格に対応しているので、2GBを超える容量のカードも使用できる。ただしせっかくルータ機能が搭載され、複数のパソコンから同時に接続できる製品だが、残念ながらmicroSDカードに複数のパソコンからアクセスしてNAS的な使い方をすることはできない。それどころか、microSDカードを利用できるのはUSB接続時だけである。せっかくのルータ機能とmicroSDカードリーダ・ライターが十分に力を発揮していない印象だ。
 側面の下側はパソコンとの接続や充電時に使用するUSBポートである。microUSB形状となっており、最近はスマートフォンなどで使われているためにある程度の知名度はあるが、パソコンの周辺機器との接続では圧倒的にminiUSBの方が使われており、こちらの方がケーブルが共用できて便利だったため残念だ。とはいえ、付属品にはmicroUSBケーブルが付属しており、しかも17cm(白)と120cm(黒)の2種類の長さのケーブルが付属している念の入れ様だ。色から判断するに、家庭内でコンセントから充電する際にはACアダプタと同じ色の120cmのケーブルでテーブルの上などにも置けるようにに、持ち歩いてパソコンと接続するときは「GP01」本体と同じ色の17cmのケーブルで、ジャマにならないよう短い物を使うという事らしい。
 その他の付属品として、ACアダプタがある。ACアダプタ部分だけのような形状で、USBポートが1ポート搭載されている。コンセントからUSBポートに変換するアダプタとなっており、ここに付属のUSBケーブルを挿して充電する。もちろんパソコンからも充電可能だ。充電時間はパソコンからなら4時間だが、このACアダプタを使用すると3時間で充電できる。ACアダプタの出力は、5V・1000mAとなっており、USB2.0ポートの5V・500mAより強いためと思われる。
 裏面の白いパーツ全体は外すことができる。外すと内部のほとんどがバッテリで占められている。1500mAのもので、連続通信時間4時間、連続待機時間300時間となかなかである。いざとなればパソコンから給電することもできるので問題ないだろう。さらにバッテリを外すと内部にEM chip(USIMカード)のスロットがある。

「GP01」の表面である。上半分が液晶ディスプレイに見えるが、実際には23×12mmの小さな液晶ディスプレイが内蔵されており、周囲が黒色で全体が透明のパーツで覆われているため、液晶ディスプレイが大きいように見える。高級感のあるデザインだ。

「GP01」の裏面である。ロゴマークは見えるが、白色でいかにもプラスチックという感じで安っぽいのが残念だ。

「GP01」の右側面である。「電源」兼「Wi-Fiオン/オフ」のボタンと「WPS」を使用した簡単接続設定ボタンが並ぶ。「GP01」にあるボタンはこれだけだ。

「GP01」の底面である。パソコンとの接続や充電に使用するUSBポートが配置されている。形状はmicroUSBで、スマートフォンなどで採用例が多いが、小型のパソコン周辺機器ではminiUSBの方がよく使われているので、こちらのほうが便利かもしれない。

「GP01」の左側面である。microSDカードスロットが配置される。microSDHC規格にも対応しているが、利用できるのはUSB接続時だけで、Wi-Fi接続時にNASの様に使うという事ができないのは残念だ。

「GP01」の裏のカバーを外したところである。大部分をバッテリが占めていることに驚く。

「GP01」の裏のカバーを外し、さらにバッテリも外したところである。内部にはEM chip(USIMカード)のスロットがある。

「GP01」の付属品である。左から「ACアダプタ」(コンセントをUSBポートに変換する方式)、USBケーブル(17cm)、USBケーブル(120cm)である。2種類のUSBケーブルが付属しているのがなかなか親切だ。携帯するときは17cmの物を、家で充電するときは120cmの物をといった風に使い分けられる。


「GP01」とパソコンを接続する

 「GP01」自体は特に設定をすることはない。SIMカードさえ挿されていれば、電源を入れるだけで自動的に接続される。電源は、右側面の電源ボタンを「5秒以上」押すと、オンになる。EMのロゴが10秒ほど表示された後、2秒ほど「Welcome」と表示され、その後「Serching」と表示される。このときに、イー・モバイルの回線を探しており、圏内ならば、2〜3秒ほどで使用時の表示になり、左上にアンテナレベルが表示される。
 次にパソコンと接続してみよう。「GP01」のマニュアル一式の中には、「GP01-」で始まるSSIDと、WEP Keyの書かれたシールが入っている。手動で設定する場合は、パソコンの「ネットワークに接続」の画面で、認識されている無線ネットワークのSSIDを見て、シールに書かれている「GP01-」で始まる物を探して「接続」をクリックする。そしてシールに書かれているWEP Keyを入力すれば接続は完了だ。USB接続の端末のように専用の接続ツールが無く、一見難しそうだが、無線LANの設定をしたことがある人ならマニュアルを見なくても、設定をしたことがない人でもマニュアルを見れば簡単に設定できるだろう。ちなみに付属のマニュアルには「GP01 かんたんセットアップマニュアル 基本編」というパソコンとの接続方法の簡単マニュアルの他に、「GP01 かんたんセットアップマニュアル ポータブルデバイス編」も付属する。これはNintendo DSiやPSP、iPod touchなどとの接続方法を説明した物である。Wi-Fiでインターネットに接続できる機器ならではのマニュアルであるが、しっかり用意されているところは親切だ。
 ちなみに、「GP01」は初期設定では認証方式は「WEP」となっている。「GP01」の液晶ディスプレイの下の段にも「WEP」の文字が見える。しかし、「WEP」は多くの製品で使用できる反面、セキュリティの強度としては弱めだ。そこで「GP01」に接続する可能性のある機器を調べたところ、全ての機器がより強固な「WPA/WPA2」に対応していたので、こちらに切り替えることとした。その場合は、「GP01」をUSBケーブルでパソコンと接続する。そしてドライバソフトと設定ツールをインストールする。設定ツールを起動してログインすると、「設定」−「無線LANセキュリティ設定」の順で進み、「IEEE802.11認証」欄を「Auto(Open/Shared)」から「WPA/WPA2-PSK」に変更する。最後に「適用」ボタンを押せば設定は完了だ。「GP01」本体の液晶ディスプレイの下の段の「WEP」表示が「WPA/WPA2」表示に変わっていればOKである。SSIDやWEP Keyの書かれたシールには「WPA Key」も書かれているので、こちらを使用することになる。
 また、「GP01」は手動でWEPやWPAキーを入れるのではなく、「WPS」という簡単設定の方法がある。「WPS」を使えば、「GP01」と接続する機器でそれぞれボタンを押すだけで、認証キーなどが自動でやりとりされて設定される便利な機能だ。せっかく搭載されているのでこれを使って接続してみる事とした。パソコン側には「WPS」に対応したソフトが必要になるが、我が家ではバッファロー製の無線LANルータを使用していることもあって、「クライアントマネージャ」というソフトがインストールされている。このソフトは、初期のバージョンはバッファロー製の子機でしか使用できず、「AOSS」というバッファロー独自の簡単接続の方法しか使用できなかったが、最近のバージョンではパソコン内蔵の無線LANでも使用でき、しかも「AOSS」に加えて「WPS」も利用できる様になっている。このソフトの「接続先の作成」画面から、「AOSS/WPS」ボタンを押して、「WPS」の親機の待機状態にする。すぐに「GP01」側面の「WPS」ボタンを10秒以上押すと、「GP01」の液晶画面がWPSの設定中アニメーションに変わる。そして数秒から十数秒でパソコンとのやりとりが完了し、画面に「GP01」のアイコンとチェックマークが表示される。これで設定は完了である。

「GP01」の使い勝手は?

 「GP01」は無線LANルータの機能を内蔵しているため、最大5台までの機器を同時に接続できる。もちろん5台とも同時にインターネット接続が可能なほか、それぞれの機器間でデータのやりとりも行える。モバイルインターネットで複数台の同時接続というと通信速度が不安だが、受信速度は最大21Mbpsで、仮に10Mbps出たとすると、5台同時につないでも2Mbpsずつと考えると現実的な通信速度だ。実際には同時に通信が発生しないことも多いと思われるため、もっと快適だろう。5台というのは大げさでも、旅行先などで自分のパソコンだけでなく友人のパソコンやゲーム機もインターネットに接続する事が可能なのは便利だ。また、「GP01」とパソコンの間がケーブルでつながっていないため、以前あった窓際でないと電波の入らない部屋のような場合でも、「GP01」だけを窓際に置いておき、パソコンは机の上に置いて作業ができるのは非常に便利だろう。ちなみに、「GP01」本体の液晶ディスプレイの右下には、数字が表示されているが、これは接続している台数だ。自分の機器が正常に「GP01」に接続できているかの確認に便利だし、逆に(認証が必要なのであり得ないとは思うが)自分以外の人が無断で使用していないかという事の確認にもある。「GP01」本体の液晶ディスプレイは、それ以外にも電波状況、Wi-Fiのオン/オフ、電池残量なども表示されており、情報量は意外と多く便利である。

「GP01」の液晶表示である。小さく白色1色の表示だが、電波強度、Wi-Fi機能のオン/オフ、電池残量、Wi-Fi認証方式など様々な情報が表示され、情報量は十分だ。

「GP01」の液晶表示である。右下の数字は、接続している機器の数である。正常に接続できたかどうかの確認の他、無断で接続している人がいないかの確認にもなる。ちなみに、Wi-Fiの認証方式を「WPA/WPA2」に変更している。

 ちなみに電源を切るときは、電源を入れるとき同様、電源ボタンを5秒以上押す。この5秒というのは結構長く、急いでいるときにすぐに鞄にしまいたいのに、5秒も待つのは結構大変だ。鞄の中に入れていて、他の物がちょっと電源ボタンに触れるだけで勝手に電源が入ったり切れたりすると大変と言うことで、長押しになっているのだと言うことは分かる。また、携帯電話の電源オン/オフには長押しが採用されているが、携帯電話の場合は滅多に電源をオフにしないが、「GP01」は使用するときだけ電源をオンにして、使い終わったら電源をオフにすると言うのが一般的だろう。そういった使い方の機器に対して長押しは不便である。ホールドスイッチを設けるなどして、電源オン/オフは素早く行える方が良かったと言えるだろう。
 ところで、「GP01」の無線LAN(Wi-Fi)は、IEEE802.11n/g/bに対応している。IEEE802.11g/bだけでなく、IEEE802.11nに対応しているのは、最大21Mbpsでの通信に対応している事を考えると、無線LAN部分がボトルネックにならない点ではうれしいところだ。ただし、IEEE802.11nの通信速度は72.2Mbpsであり、IEEE802.11gよりやや速い程度にとどまる。これは20MHz幅で1ストリーム(アンテナ1本)という最低スペックでの通信速度である。現在では40MHz幅を使い、1ストリームで150Mbps、2ストリーム(2つのアンテナで分割して通信することで2倍速にする方法)で300Mbpsというのも一般的で、3ストリームで450MHzという製品も出ている今では少し寂しいスペックだ。ストリーム数を増やすとアンテナも増やす必要があり、チップも高性能な物にしなければならない分、小型化が難しくなり消費電力も上がるためバッテリ駆動時間も短くなるという問題もあるため難しいのかもしれないが、せめて40MHz幅にして150Mbps通信できればうれしいところだ。確かに72.2Mbpsでも、イー・モバイルの回線よりはかなり高速なので、インターネットを使用する上では問題ないが、パソコン間でデータをやりとりするには少し寂しい。

「GP01」をUSB接続で使う

 Wi-Fi接続が大きな特徴である「GP01」であるが、「D31HW」同様USB接続でも使用できる。ドライバソフトのインストールが必要になるため、Windows 7/Vista/XPとMac OS X 10.5〜10.6だけの対応だが、USBポートから給電しつつWi-Fiで接続するというような変な使い方ではなく、USBポートから給電しつつデータ通信もできる。この場合、初回は「GP01」の内蔵メモリからドライバをインストールすると、次回からは設定が必要なくインターネット接続ができる。USB接続の端末のように、パソコン上でユーティリティを起動して、接続作業をすることもない。その点では非常の簡単とも言える。Wi-Fi接続だけでなくUSB接続による通信機能も搭載していることは、意外と便利なのである。

「GP01」を「NetWalker」から使用する

 ロードテスト第100回で紹介した「NetWalker PC-Z1」でも接続設定を行ってみよう。「NetWalker PC-Z1」のOSはUbuntuであり、WPSによる簡単設定などは(標準では)できない。しかし、接続自体は簡単で、「GP01」の電源を入れた状態で、「NetWalker PC-Z1」の無線LANのアイコンをクリックすると、「GP01」の電波を受信しSSIDが表示されているずである。そこで「GP01」のSSIDを選択すると、「WPS2」による暗号化がかかっているため、「WPS Key」を入力するように表示される。「GP01」のマニュアルと共に入っていたシールに書かれている「WPS Key」を入力すれば、接続完了である。WindowsやMac以外でも非常に簡単に接続する事ができた。

「GP01」の通信速度をテストする

 それでは、「GP01」の通信速度をテストしてみよう。比較として、これまで使ってきたUSB接続の通信端末「D31HW」でも同様にテストを行った。「D31HW」と「GP01」は共に、下り21Mbps・上り5.4Mbpsで通信可能であるという点は同等の機種であるため、機種間で差が出るのか気になるところだ。また、「GP01」はWi-Fi接続に加えてUSB接続でもテストし、Wi-Fi接続によって速度に変化はないかも確認している。テスト実使用したパソコンは、SONY「VAIO VPCF13AGJ」でCPUがCore i7-740QM(4コア8スレッド・1.73GHz)、メモリが4GB、OSがWindows 7 Professional、無線LANはIEEE802.11nに対応している。テストは、平日の昼間に、大阪市内の電波状態の良い場所で行っている。またWi-Fi接続の場合は、「GP01」とパソコンとの間は2mほど離れており、間に障害物は無い環境で行っている。テストは「RBBスピード測定」のサイトを利用させていただいた。10回計測した平均値を求めている。


 まずは下り(ダウンロード)の速度から見てみよう。こちらは、同じUSB接続の場合、「D31HW」で6.41Mbpsであるところが、「GP01」では7.544Mbpsとなっており、17.7%も速度が向上している。ホームページの閲覧等では差は分かりにくいだろうが、ファイルのダウンロードなどを行う際は差が出るはずだ。同じ21Mbps対応の端末でありながら、ここまでの差が出たのには正直驚いた。やはり最新の端末が良いと言うことなのだろうか。ちなみにWi-Fiで接続した場合は7.429Mbpsであり、これだけ見るとやや影響があるとも言えそうだが、10回計測した中で、USB接続時の最大値よりもWi-Fi接続時の最大値の方が高い値を示していることから、ほとんど差はないと言えるだろう。Wi-Fi接続だからといって速度を気にする必要はなく、むしろUSB接続の機種よりも高速になっていると言えるだろう。


 続いて上り(アップロード)の速度である。こちらは同じUSB接続の場合、「D31HW」で0.644Mbpsであるところが、「GP01」では1.288Mbpsと、ちょうど倍になっている。下りの速度以上に差が出ている。確かに「D31HW」は最大通信速度に対して下りは30%の速度が出ているが上りは12%と遅かったことを考えると、「GP01」の方が当然の値とも言えそうだが、それにしても大きな差である。「GP01」では上りの速度も上がり、より使い勝手は良くなったと言える。ちなみにWi-Fi接続時だが、1.307MbpsとUSB接続よりやや高速になっている。やはり下りの速度の際に書いたように、USB接続とWi-Fi接続では速度差は無いと言える。

大容量電池パック「PBD01GPL10」を使う

 さて、前述のキャンペーン内容の1つの「大容量電池パックプレゼント」であるが、9月1日に送られてきた。当初の予定より1ヶ月以上速い。箱を開けると、中から電池パックと共にGP01の裏カバーが出てきた。大容量電池パックは標準搭載の電池パックより厚くなるため、そのままでは裏カバーが閉じられなくなってしまうため、それに合わせて厚みのある裏カバーが付属しているのである。
 大容量電池パックを見て驚いたのはその厚みである。標準搭載の電池パックが実測値で4.5mmだったのに対して、大容量電池パックは10.5mmと倍以上の厚みになっている。容量は1500mAhから2600mAhと約1.7倍であることを考えると、大きめだ。とはいえ、これで連続通信時間が4時間から7時間へと延びるのは非常にうれしい事だ。USBから電源が取れるとはいえUSBポートが無い機器もあるし、たとえパソコンで使用するとしても、パソコン自体が電源を取れない環境で使用するなら、今度はパソコンのバッテリ駆動時間を短くしてしまう。長く使えると言うことは安心感がある。
 取り付け自体は非常に簡単だ。裏カバーを外し、標準搭載の電池パックを外し、代わりに大容量電池パックを取り付ける。標準搭載の電池パックは、ちょうどくぼみにはまる厚みだったが、大容量電池パックでは大きく飛び出してしまうのは仕方のないところだ。あとは大容量電池パックに付属していた裏カバーを取り付ければ完了だ。厚みはかなり増してしまい、「GP01」に見慣れているとかなり不格好には感じるが、手で持ってみると意外と重量は感じない。また、交換した裏カバーには、標準搭載の裏カバーと同じく、「EM EMOBILE」のロゴや、「HUAWEI」のロゴ、さらには「GP01」という型番まで書かれている。厚みが増すだけで、デザインは全く変わらないのは、何とも言えない安心感がある。取扱説明書には「D25HW用大容量電池パック」「GP01用大容量電池パック」と同じ型で通信速度が異なる2製品の型番が並んで書かれていたが、パッケージには「GP01用大容量電池パック」と書かれているように、「GP01」専用の裏カバーとなっているようだ。
 確かに厚みはかなり増してしまうが、それでもコンパクトなことにかわりはなく、バッテリ駆動時間が7時間とかなり長くなるのは魅力だ。一度取り付けたら外せないわけでもないので、普段は標準のバッテリを使っておき、旅行など長時間使用する可能性があるときは大容量電池パックに交換するという方法が取れるので、1つ持っていると非常に便利だろう。

キャンペーンで無料プレゼントされた「大容量電池パック」の内容である。右が「大容量電池パック」だが、左はGP01の裏カバーである。大容量電池パックは標準搭載の電池パックより厚みが増しているため、元の裏カバーは取り付けられないため、厚みの増した裏カバーも付属しているのである。

標準搭載の電池パック(左)と大容量電池パック(右)である。実測値で4.5mmから10.5mmへと厚くなっている。バッテリ駆動時間は4時間から7時間へ延びる。

標準搭載の電池パックを取り付けた「GP01」(上)と大容量電池パックを取り付けた「GP01」(下)である。元の大きさになれていると、ずいぶん不格好に感じるが、持ってみると意外と軽い。厚みが増しているだけで、デザインはロゴなども含めて全く同じだ。




 今回は通信端末を機種変更し、しかもUSB接続の機種からWi-Fi接続の機種への変更であったため、使い勝手に大きな違いが出ている。しかし機種変更前は接続などが面倒なイメージがあったWi-Fi接続も、意外と簡単で、USB接続と比べても特に大変というイメージはなかった。また、複数のパソコンで使えることや、パソコンの位置と関係なく電波状態の良い場所で通信できること、またWi-Fi機能さえ搭載していればOS等に縛られることなく使えるのは非常に便利であった。また通信速度がハッキリと良くなると言うおまけ付きである。「Pocket Wifi GP01」はオススメできる通信端末と言えるだろう。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
イー・モバイル/TD> http://emobile.jp/
GP01のページ http://emobile.jp/products/hw/gp01/

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