第154
イー・モバイル モバイルWi-Fiルータ
Pocket Wifi LTE GL04P
(2012年9月25日購入・2015年4月8日著)



モバイルのネット環境を改善しよう

 ロードテスト第125回で、モバイルインターネット環境をUSB接続の端末から「Pocket Wifi GP01」に買い換えた。通信速度は下り21Mbpsのままながら、Wi-Fi接続となり、USB接続のできない機器でも利用できるようになった他、端末を電波の良い所におけるようになったため、非常に便利になった。
 しかし、モバイルインターネット環境は次々と変化し、下り21MbpsのHSPA+方式から、2010年12月3日にはDC-HSDPA方式により下り42Mbpsのサービス(EMOBILE G4)を開始し、さらに2012年3月15日にはLTE方式により下り75Mbpsのサービス(EMOBILE LTE)が開始された。イー・モバイル以外でも4GやLTEによる高速通信は当たり前の時代となっており、21Mbpsというのはやや時代遅れとなってきている。
 ちょうどそんな時に、新機種の「Pocket Wifi LTE GL04P」が実質0円キャンペーンを行っており、さらに早期の機種変更に伴う違約金の5,000円引きキャンペーンも行っていた。「Pocket Wifi GP01」に機種変更したのは2011年5月4日で、現在1年2ヶ月経過したことになるので、違約金は15,400円だが、5,000円引きで10,400円となる。現在は「G4データプラン にねんM」で月額4,980円、機種変更した場合「LTEふらっと(にねん)」となり、月額は3,880円に下がるため、違約金の分は10ヶ月で元が取れるとも言える。
 この「Pocket Wifi LTE GL04P」は「Pocket Wifi GP01」の縦長スタイルから横長スタイルに変更され、大型化している。当然重量も大きくなっているが、バッテリ容量も増え、連続通信時間は10時間となった。また、液晶画面も大きくなり視認性が高くなっているのもポイントだ。最大75MbpsのLTEに対応したため、Wi-Fiも最大54MbpsのIEEE802.11gでは不足するため、新たにIEEE802.11nに対応しているのもポイントだ。通信アンテナは2本によるMIMOに対応しており、40MHzの帯域に対応しているため、最大300MbpsのIEEE802.11nとなり、非常に高速と言えるだろう。イー・モバイルの通信で使用するには過剰スペックとも感じるが、パソコンを複数台接続した際に、データのやりとりなどをする際には高速なのに越したことはない。
 残念なのは、「EMOBILE LTE」サービス自体のエリアは広いのだが、75Mbpsに対応しているのはごくわずかで、ほとんどのエリアでは37.5Mbpsとなっていることだ。これは、イー・モバイルに割り当てられている周波数帯域が15MHz幅×2の30MHz幅しかないのだが、そのうち、先行してサービスを開始していた「EMOBILE G4」で10MHz幅×2の20MHz幅を使用していた。「EMOBILE LTE」で75Mbps通信を行うにも、10MHz幅×2の20MHz幅を必要とするが、余っているのは10MHz幅だけなので、速度が半減するという訳である。将来的に「EMOBILE G4」を「EMOBILE LTE」に切り替えていく事で、75Mbpsのエリアは徐々に広がっていることのことなので、将来性を見越して切り替えても問題ない。「EMOBILE G4」からの機種変更の場合(実効速度はさておき)最大42Mbpsから最大37.5Mbpsに遅くなるので問題だが、今回は最大21Mbps対応の端末からの乗り換えなので、間違えなく高速化する。また、「EMOBILE LTE」非対応のエリアでも「W-CDMA」方式により21Mbpsの通信が可能であり、その点でも安心だ。一方、「Pocket Wifi LTE GL04P」は新規格「UE Category 4」での通信にも対応している。このサービスを利用すれば、下りが150Mbpsまで高速化されるという。また75Mbpsのエリアもわずかな現状で、さらに倍速のサービスというのは現実味が無く、実際サービス開始時期が未定なだけでなく、サービス自体が開始されるかどうかも未定となっているが、もし実現したらラッキーくらいの気持ちで待つとしよう。
 また、DoCoMo、au、SoftBankの4GやLTEサービスでは、高速すぎるが故に通信量に対する制限が厳しく、月に7GBを超えると速度が128kbpsまで極端に制限されるという事がある。しかし、イー・モバイルの場合は24時間ごとに366MB(300万パケット)を超えた場合、当日の21時から翌日の2時まで制御を行うとしており、制限はかなり緩めだ。しかも、その制限も、はっきりとした速度は公表されていないものの、インターネットだけではなくYouTubeなどの動画視聴やSkypeなどのVoIPによる通信にも影響が出ない範囲での制限となっているため、他の3社と比べると、こちらの面でもかなり緩そうだ。また2014年5月まではこの制限から変更されないと言うことなので、急に翌月から他の3社と同じ制限になってしまったというような事は無い。また、2013年5月以降も月10GBを超えた場合の制限という予定になっており、多少余裕がある。
 と言うことで、通信速度と価格の両面でメリットがある事と、早期の機種変更に伴う違約金が減額されることもあって、機種変更を行った。

「Pocket Wifi LTE GL04P」の外見を見る

 「Pocket Wifi LTE GL04P」は前述のように横長の本体となっている。前面は右側に電源ボタン、左側に「PocektWifi LTE」のロゴが大きく入っており、真ん中は液晶画面となっている。全体が透明パネルでフラットになっており、鏡面仕上げ風なので、電源を入れていないときは液晶画面が気にならないデザインになっている。
 側面は上3分の2ほどが、つや消しのグレーで、下3分の1から裏側にかけては濃いグレーとなっている。側面の下側にはmicroUSBポートと、WPS設定用のプッシュボタンが用意されている。一方上側には、USIMカードスロットとmicroSDカードスロットが用意されている。本来機種変更時くらいしか取り出さないUSIMカードと、人によっては頻繁に取り出すmicroSDカードの2つのスロットが、同じデザインで対等に並んでいるのがおもしろいところだ。スロットの蓋は爪を引っかけて外すと開くことができ、片側だけがくっついているタイプである、またストラップ用の穴も用意されている。
 本体サイズは102×66×14.5mmで、一回り小さく少し厚めのスマートフォンという感じだ。重量も140gとそれなりにある。これまで使っていた「GP01」のサイズは48.6×95.5×14.1mmで80gであった事を考えると、それほど大きくなっていないように感じるかもしれないが、実際には、「GP01」は両端が半円をしていたため、数値よりかなり小さく感じたのに対して、「GL04P」は角の丸めが小さいので、全体に四角っぽくなりその分大きく感じる。ただ、3000mAhのバッテリを搭載して10時間の連続通信ができることを考えると、このサイズも悪くない。「GP01」のバッテリは半分の1500mAhで、連続通信時間はたった4時間だった、2600mAhの大容量バッテリを取り付けると7時間まで延びるが、厚みが20.1mmで、重量も108gまで増える。こう考えると、「GL04P」も悪くないことが分かる。
 もう一つ良くなったのは液晶画面の大きさだ。「GP01」は23×12mmで非常に小さかったが、「GL04P」では27×27mmとかなり大きくなり、情報量も各段に増えた。使いやすさが確実に向上していると言えるだろう。

「GL04P」の箱である。本体の大きさの割に大きめだが、各種ケーブルや充電器なども同梱されている。

「GL04P」の本体である。横長の本体となり、大きく重くなった。表面は鏡面仕上げ風でふらっとなので、高級感がある。

「GL04P」の底面である。microUSBポートと設定用の「WPS」ボタンが配置される。

「GL04P」の上面である。左右対称のようにカバーがあるが、中はUSIM CardスロットとmicroSDカードスロットである。通常はmicroSDカードスロット側しか開けることは無いだろう。左端にはストラップ用の穴も用意される。

「GL04P」の裏面である。つや消しの本体に各種マークや注意事項などが書かれている。

「GL04P」の付属品である。右端のACアダプタは、AC電源をUSBポートに変換するタイプのものでここにUSBケーブルを接続して充電する。面白いのはmicroUSBケーブルが2本付属していることで、自宅では長い方を使って充電、パソコンとの接続や携帯には短い方を使うようになっているが、細かい配慮である。

「GL04P」(左)とこれまで使ってきた「GP01」(右)である。縦長から横長に変わったほか、本体カラーも異なり、全体に四角っぽくなった。

「GL04P」(左)と「GP01」(右)を底面側から見たところである。厚みはそれほど変わっていないが、横幅は大きくなったことが分かる。


「Pocket Wifi LTE GL04P」を設定する

 それでは実際にパソコンと接続してみよう。WPSのプッシュボタンによるセキュリティ設定ができるので、設定は非常に簡単だ。パソコンにはバッファローの無線LANルータとの接続用に「クライアントマネージャV」をインストールしており、これがバッファロー独自の「AOSS」以外に、WPSによる設定もできるので、これを利用しよう。
 まずは、「GL04P」の電源をオンにする。これは、本体正面の電源ボタンを5秒以上長押しする必要がある。カバンの中で勝手に押されて起動してしまうのを避けるために長押しになっているのだろうが、5秒というのは少々長いように感じる。電源ボタンを押し続け、液晶画面に「Pocket wifi LTE」の文字が現れたら離しても大丈夫だ。その後「Welcome」の表示後に、各種情報の画面に切り替わったら起動が完了である。しばらくすると、画面に「EMOBILE」の文字が出た場合は、イー・モバイルのエリア内で電波を受信している証である。

「GL04P」の電源ボタンを5秒以上押すと、電源が入る液晶画面に各種情報が表示される。中央に大きく「EMOBILE」の文字が出ていれば、イー・モバイルのエリア内である事を示す。

 続いてパソコンとの接続設定を行おう。「GL04P」では「WPS」のボタンを長押しするだけと簡単だ。1秒ほど長押ししたところで「10秒間押し続けるとWPSを開始します。」との文字が表示されるのが分かりやすい。そのまま10秒押し続けると、画面に接続中のマークが現れる。あとは、「クライアントマネージャV」上で、WPSによる接続設定を実行すれば操作は完了だ。少しするとお互いを見つけ、セキュリティー用のキーの交換が行われ設定が完了する。これはWPSに対応してれば、スマートフォンやタブレット、ゲーム機などでも同様の操作となる。非常に簡単に接続設定が完了した。
 接続していると、画面右下に「1」の数字が表示される。これが接続している機器の数であるので、これでパソコンと接続していることが分かる。今後も接続がうまくいかない際に、この数字を見ることで、「GL04P」とは接続できているのかが分かり便利だ。そのほかに「GL04P」の液晶には上段に電波アンテナと「LTE」エリアか「3G」エリアかの表示、電池残量が表示され、下段にはWiFiのマークと、暗号化の方式、前述の接続機器数が表示される。情報量は多いと言えるだろう。

設定のために「WPS」ボタンを長押しし始めると、画面にこのように説明が表示される。電波状況は電池残量などの情報だけでなく、状況に応じて説明文が出るのはわかりやすい。

 ちなみに電源を切るときは、入れるときと同じく5秒間電源ボタンを押しつ続ける必要がある。5秒というのは、若干長く感じ、機器類を急いで片付けているとき、ここだけじっと5秒待つのは長く感じてしまう。1秒ほど押すだけだとWi-Fiが切れるだけとなる。
 ちなみに充電時間は付属のACアダプタで3時間、USB接続で7.5時間となっている。付属のACアダプタは5Vで2A出力となっている。USB2.0の500mAの4倍の出力なので充電時間も短いようだ。

「Pocket Wifi LTE GL04P」をUSB接続する

 もう一つ方法としてはUSB接続する方法もある。この場合は、パソコンから給電しながら通信ができるため、パソコンをACアダプタに接続している場合などはこちらを利用する方法もある。おもしろいのは、USB接続をしていてもWi-Fi接続も可能なのだ。そのためUSB接続しながら、他のパソコンやタブレットなどからも接続ができる。また、パソコンにUSB接続をしただけでは、USB給電が行われるだけなので、パソコンから電源はUSBで、通信はWi-Fiでという形も取れる。
 Wi-Fiをオフにしたい場合など、USB接続で通信も行う場合は、初回にドライバをインストールする必要がある。とはいえ、ドライバは「GL04P」内のメモリに収録されているので、USB接続すると、自動再生の画面が表示され、ここで「AutoRun.exe」の実効をクリックすると、インストーラーが起動する。あとは画面に従って進めていけば数手順でドライバがインストールされる。あとは普通にUSB接続するだけで通信が可能となる。
 ちなみに、屋外で使うことが前提のためか、初期設定では、Wi-Fiで接続した機器同士の接続はできない。例えば、パソコン間でのデータ送受信や、ネットワーク接続のプリンタを使うという場合は、「プライバシーセパレータ」の設定で、プライバシーセパレータを無効にする必要がある。

「Pocket Wifi LTE GL04P」の速度をテストする

 それでは通信速度を計測してみよう。今回の「GL04P」とこれまで使ってきた「GP01」、さらに自宅のフレッツ光プレミアムマンションタイプ(VDSL接続)についても計測した。また、「GL04P」については、USB接続とWi-Fi接続の両方でテストを行っている。大阪市内の電波の状態の良い場所で、平日の昼間に計測した。LTEエリアではあるが、75Mbpsに対応したエリアは非常に限られるため、テストを行った場所も37.5Mbpsのエリアであると思われる。なお、「GL04P」とフレッツ光は、同日の同時間帯にテストしているが、「GP01」は「GL04P」に機種変更した時点で使用できなくなっているため、機種変更直前の平日の昼間に計測している。テストサイト「RBB TODAY スピードテスト」を使用して10回計測を行い、平均値と最高値、最低値をグラフ化している。
 テストに使用したパソコンは、ノートパソコン「VAIO VPCN13AGJ」(Core i7-740QM(4コア8スレッド/1.73GHz/TB時2.93GHz)、メモリ4GB、Windows 7 Professional)となっている。Wi-Fi接続の場合は、内蔵の無線LAN機能を使い、IEEE802.11n接続している。なお、「GL04P」の無線LANの周波数帯域幅は初期設定の20Hzから40Hzに変更しているため、理論上300Mbpsでの通信が可能だ。


 まずはダウンロード(下り)の速度を比較してみよう。この結果を見ると、「GP01」から大きく速度が向上している事がわかる。平均速度で3倍以上となっており、実際に使用する上でも、ページの表示が快適になっている他、PDFファイルなどダウンロードして表示するページもかなり高速化している。「GL04P」の速度を見てみると、Wi-Fi接続で平均24.66Mbpsと、理論値の37.5Mbpsに比べると3分の2程度の速度だが、無線接続である事を考えると上出来と言えるだろう。また平日の昼間ですいている時間帯のためか、速度のばらつきもあまりなかった。USB接続とWi-Fi接続では、平均で2MbpsほどUSB接続の方が高速であった。無線より有線の方が若干安定しているといえるが、割合で言うと10%以下であり、使う上で大きな差を感じるほどではなかった。速度のためにUSB接続に切り替えて使うほどではなく、Wi-Fi接続で常用しても問題ないだろう。自宅のフレッツ光との比較ではさすがに大きく負けているが、それでも平均で42%の速度まで近づいている。有線のインターネットサービスで、しかも高速と言われている光ファイバーのサービスに、屋外で使えるインターネットがここまで迫ったことがむしろ驚きと言えるだろう。


 続いてアップロード(上り)の速度である。こちらもGP01と比べると大きく速度が向上している。Wi-Fi接続で約5倍、USB接続で7.1倍まで高速になっており、クラウドサービスを利用したときのファイルのアップロードが高速になるほか、ビデオチャット・テレビ電話と言った機能を使用する場合もかなり高画質のビデオが送信できるだろう。ダウンロードと異なり、USB接続とWi-Fi接続時に大きな差が出ているため、アップロード速度が重要な場面ではUSB接続に切り替える意味があるかもしれない。ただしアップロードだけ差が出た原因は不明だ。またこちらもフレッツ光プレミアムには大きく及ばないとも言えるが、無線インターネットでは善戦しているとも言える。ただし、フレッツ光プレミアムはマンションタイプで、VDSL方式なのでアップロードの速度は35Mbpsに制限されており、光配線やLAN配線、また戸建て住宅の光ファイバーよりは遅くなっている。それらと比較した場合はもっと差が開くと思われ、ダウンロードに比べると、アップロード速度は遅めに感じてしまう。



 今回は、機種変更を行い屋外でのインターネットの速度アップを図ったわけだが、その効果は十分にあったと言える。毎度、機器を買い換えるために、それまでと比べて速度アップの割合が大きく驚かされるが、今回も同様であった。月額料金が高くなるわけでもなく、機器も0円キャンペーンであったため、非常にお得だったと言えよう。さらに、他社の同様のサービスと比べると制限が緩いのも安心だ。古い機種を使っている人は、機種変更を検討してみてはいかがだろうか。意外と出費が無く速度アップを図れるかもしれない。



(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
イー・モバイル http://emobile.jp/

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