第163回
1TB 2.5インチハードディスク
Western Digital
WD10JPVT
(2012年12月25日購入・2009年11月5日著)



外付けハードディスクが容量不足だ

 メインで使用しているノートパソコン、SONY「VAIO VPCF13AGJ」(ロードテスト第114回参照)は、750GBの内蔵ハードディスクの他に750GBの外付けハードディスクを接続している。しかし、外付けハードディスクの両々が圧迫し、常に工夫しながら使っていたが、それも限界になってきた。そこで、容量の大きなものへの交換を行うことにした。
 外付けハードディスクは、2.5インチ内蔵用ハードディスクと、USB3.0接続の外付けハードディスクケースを組み合わせて使っているため、内蔵用ハードディスクだけを購入すれば交換できる。そこで、1TBのハードディスクを購入して入れ替えることとなる。1.5TBの2.5インチハードディスクも発売されているが、こちらは厚さが12.7mmとなっており、一般的な9.5mm厚のものより厚めになっている。外付けハードディスクケースの中には12.7mm厚のハードディスクに対応したものもあるが、現在使っているものは9.5mm厚までの対応だ。かといって外付けハードディスクケースも買い直すのも考え物だ。その点1TBの製品なら、9.5mm厚となっており今の外付けハードディスクケースのまま交換が可能だ。
 しかし、問題もある。1TBの製品はWestern Digital、日立GST、Sumsungの3社から出ているが、いずれも5400rpmの製品なのだ。一方、現在使っている「WD7500BPTK」は速度重視で7200rpmとなっている。つまり容量は増えるが速度は低下してしまうのだ。ここで、「WD7500BPTK」と現在販売されている3製品のスペックを比較してみよう。

メーカー
Western Digital
Western Digital
日立GST
SAMSUNG
型番
WD7500BPTK
(現在使用中)
WD10JPVT
0S03509
HN-M101MBB
容量
750GB
1TB
1TB
1TB
回転数
7200rpm
5400rpm
5400rpm
5400rpm
プラッタ容量
375GB
500GB
500GB
500GB
キャッシュ
16MB
8MB
8MB
8MB

 これを見ていると、いずれの製品も回転数は確かに下がっているが、プラッタ容量は上がっていることが分かる。もっとも、2.5インチハードディスクの場合、ディスクは9.5mm厚で2枚、12.7mm厚で3枚しか入らないので、750GBの容量だと375GBプラッタ、1TBの容量だと500GBプラッタになるのは当たり前と言える。逆に言うと、プラッタ容量が500GBになったために、9.5mm厚の製品は500GB×2で1TB、12,7mm厚の製品は500GB×3で1.5TBになっているとも言える。重要なのは、ハードディスクの速度は回転数が一番影響が大きいのは当たり前として、プラッタ容量も関係していると言うことだ。過去に3.5インチハードディスクで、667GBプラッタから1TBプラッタにアップした際に、回転数が上がった場合ほどではないものの、性能がアップしたという経験がある。そのため、回転数が落ちた点を少しは補えるのではと思われる。3製品に性能差がほとんど無いため、日本橋のでんでんタウンのパーツショップを回ったところ、最も入手性が良く安価だった、WesternDigitalの「WD10JPVT」を購入した。今使っているのと同じメーカーと言うことで安心感もある。BEST DO! 日本橋店で6,380円であった。ちなみに「WD10JPVT」はキャッシュ容量が減っているが、これは「WD7500BPTK」が高性能モデルの「WD Scorpio Black」シリーズであるのに対して、「WD10JPVT」はコストパフォーマンス重視の「WD Scorpio Blue」シリーズである事が関係していると思われる。

「WD10JPVT」の外見を見る。

 それでは、「WD10JPVT」の外見を見てみよう。当然のことながら、一般的は2.5インチハードディスクである。これまで使っていた「WD7500BPTK」と比較してみても、一部形状が異なる部分があり、それによってラベルの形状が異なるが、基本的には一緒と言える。

今回購入した「WD10JPVT」(左)とこれまで使っていた「WD7500BPTK」(右)である。「WD Scorpio Black」シリーズから「WD Scorpio Blue」シリーズになったことがシールから分かるが、形状は当然ながら同じだ。

「WD10JPVT」の性能を比較する。

 それでは「WD10JPVT」の性能を比較してみよう。「WD10JPVT」はUSB3.0接続の外付けハードディスクケースに入れて使用することにしているが、これでは本来のハードディスクの性能を比較できないため、デスクトップパソコンのSerialATAポートに接続してテストを行っている。接続したパソコンは、マウスコンピュータの「MDV-AGZ8000B」(CPU:Core i7-3770K(3.50GHz・TuboBoost時3.90GHz・4コア8スレッド)/チップセット:Intel Z77 Express/メモリ:8GB/OS:Windows 7 Premium)で、マザーボード上のSerialATA 6Gbpsポートに接続した。テストは「WD10JPVT」と、これまで使ってた「WD7500BPTK」を比較している。使用したベンチマークテストは、CrystalDiskMark3.0で、テストデータ1000MB、テスト回数5回としてテストを実行した物をさらに3回行った平均値としている。


 まずはシーケンシャルアクセス性能を見てみよう。シーケンシャルリードは、さすがに回転数が劣るだけに「WD10JPVT」は109.80MB/sと、「WD7500BPTK」の128.60MB/sと比べれば劣る結果となった。それでも100MB/sは超えており、2.5インチハードディスクとしては合格点と言える。また、性能は14.6%低下しているが、回転数は7200rpmと5400rpmで25%遅くなっているため、それよりは速度低下はおさえられている。これはやはりプラッタ容量が増えたことによるものだろう。プラッタ容量は33%増えているため、33%とは言わないまでも、13.8%ほど性能が上がっていると言えるようだ。
 シーケンシャルライトに関してはやはり「WD7500BPTK」には劣るものの、112.07MB/sに対して、107.33MB/sと95.8%の性能となっている。プラッタ容量が増えた事による効果が予想以上に出ているようだ。またこの程度の差であれば、実際の使用上は差を感じないだろう。
 続いてランダムアクセスである。まずは比較的大きなサイズの512Kの結果である。「WD7500BPTK」と比べてリード性能は85.4%、ライト性能は96.9%と、シーケンシャルアクセスとほぼ同じ差となっている。リード性能も回転数の差を考えれば健闘しており、ライト性能に関してはほぼ同性能と考えても良さそうだ。またサイズの小さな4Kの結果では、リード性能は 80.4%、ライト性能は107.6%の性能で、リード性能はやや差が広がった反面、ライト性能は逆転している。
 このようにリード性能には確かに差はあるものの、プラッタ容量の向上により回転数ほどの差が無く、ライト性能に関しては近い性能が出ている。これならば大きく快適さが劣ることなく使えるだろう。



 今回は容量を増やすために、速度を犠牲にした格好だったが、実際にはプラッタ容量の向上によりそれほど大きな差にはなっていない事がわかった。それよりも6千円台前半という価格で、1TBの容量の製品が手に入ったのはお得感が高い。性能を気にして大容量化に踏み切れないという人は、プラッタ容量なども比較した上で一度検討してみても良いのではないだろうか。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
WesternDigital http://www.wdc.com/jp/
2.5インチハードディスクのページ http://www.wdc.com/jp/products/internal/mobile/