フルHD液晶&Core i7搭載ノートパソコン SONY VAIO VPCF13AGJ (2010年10月9日購入・2012年9月16日著)
ロードテスト第50回で購入したノートパソコン「VGN-SZ94S」はSony Style(現Sony Store)のOWNER MADEモデルであり、カスタマイズして購入しただけあって、非常に満足のいく製品であった。しかし、最近になって調子が悪くなってきたのである。まず、2010年の夏になってから本体が異常に熱くなるようになった。この夏は特に暑かったので仕方がないかと思っていたが、気温が下がってもほとんど改善せずに熱いままであることがわかった。具体的にはパームレストの左側とキーボード中央で、それぞれハードディスクとCPUの搭載されている位置になる。もちろん、それらの発熱は大きいものだし、「VGN-SZ94S」はやや小型のノートパソコンなので、内部に余裕がないため熱がこもりやすいのもわかる。しかし、購入当初より明らかに温度が上昇している。はっきりと原因はわからないが、冷却ファンが弱っているのかもしれない。しかし、これに関してはだましだまししながら使ってきた。しかしここに来て、DVDの再生等を行うと、フリーズしたり再起動したりするようになってしまった。DVDだけでなく、一般のMPEGファイルなどでも同様の症状である。また以前はスムーズに再生できていた、ハイビジョンデジタルビデオカメラで撮影した1920×1080ドットのAVCHDファイルが激しくコマ落ちするようになっていた。しかし3Dグラフィックのゲームや一般的な文書作成や画像編集、インターネット閲覧などは問題なく行われている。そのためグラフィックチップの動画再生支援機能かオーバーレイ表示機能のあたりに問題が発生したと思われる。もちろんシステムのリカバリを行ってみたのだが、一向に改善しない。 このまま使い続けるのは困難なので、修理か買い換えを行うこととした。「VGN-SZ94S」の購入は2007年9月6日であるため、3年2ヶ月ほど使用したことになる。買い換えるか微妙なラインだが、実際に「VGN-SZ94S」を使用していてもスペック的な不満を感じるようになっているのも事実だ。最近ではビデオカメラもデジタルカメラの動画撮影機能もフルはビジョンになっているため、編集する動画もフルハイビジョンになる。また最近では複数トラックを合成するなど、少し凝ったビデオ編集も行うようになっている。そうなると、Core 2 Duo T7100(1.80GHz)は性能不足だし、1280×800ドットという解像度もビデオ編集ソフトを使う上では狭く感じる。また作成した動画を再生しても、1280×720ドットまでの表示となり、間引かれてしまうのも残念だ。メモリも2GBというのは不足気味だし、ハードディスクも外付けで増設して対応しているとはいえ、内蔵のハードディスクが80GBというのも少ない。このような状況なので、思い切って買い換えを行い、前述の不満点を解消することとした。
それでは機種を選ぶ上での要件を考えてみよう。私の使い方は、これまでデスクトップパソコンとノートパソコンの2台体制であった。デスクトップパソコンは動画や画像の変換作業やディスクのオーサリングなど負荷が高く時間がかかる作業のほか、ハードディスク容量が大きく増設できるため、スキャンしたデータやデジタルビデオカメラで撮った動画、デジタルカメラで撮った写真の保管場所として使ってきた。一方ノートパソコンは、リビングでインターネットやメール受信、ホームページ作成、文書ファイル作成といったメインで作業するパソコンとして使う一方、旅行や乗り物の乗車時間の長い外出、出先でパソコンを使う際 に持ち運んで使うモバイルパソコンとしての役割もあった。そのため、ノートパソコンは12.1〜13.3インチ程度の液晶を搭載し2kg前後の重量という持ち運べるサイズながら使い勝手が大きく落ちるほど液晶も小さくない機種を選んできた。このサイズなら、比較的高速なCPUを搭載しており、光学ドライブも搭載しているためメインとして使用するにも問題ない。 しかし、ロードテスト第85回で購入したネットブックパソコンは性能は低いながら、小型軽量で持ち運びが楽であることから、外出にはもっぱらこちらを持ち出すようになった。そうなると、ノートパソコンの用途はリビングでメインに使うだけとなってしまった。そうなると小型である必要はなくなる。これまではメインにもモバイルにも使えるサイズということが大前提だったが、これからは大型の機種でもよさそうだ。そのほうが安く、高性能な機種が手に入るはずだ。そこで、以下のような条件を考えてみた。 ●液晶ディスプレイは解像度1920×1080ドットの15インチ以上のものとする。 ●液晶ディスプレイは十分な明るさとコントラストのあるものとする。 ●動画編集を行うことからCPUは4コア8スレッドのCore i7とする。 ●Blu-rayディスクを使用する機会が増えたことから、Blu-rayディスクドライブを内蔵していることが望ましい。 ●専用グラフィックチップを搭載していること。ただし性能自体はそれほど高くなくてよく、チップセット内蔵のものより高性能ならば良い。 ●本体サイズや重量は気にしない。 ●バッテリ駆動時間は気にしない。 ●価格は20万円までに抑えたい。 この条件で考えると、なかなか難しい。ネット通販系やショップブランドなら何とかなるが、メーカー製パソコンで4コア8スレッドのCore i7を搭載した機種はほとんどない。Core i7でのもモデルナンバーが600番台のものを採用した製品はあるが、このCore i7は2コア4スレッドで性能は全く別物だ。また、1920×1080ドットで明るい液晶ディスプレイを搭載しているとなると、ほかのパーツもかなり高性能になり、価格が跳ね上がってしまう。ネット通販系やショップブランドではCore i7搭載と1920×1080ドットの液晶という条件はクリアできるが、実機をを見て液晶ディスプレイを確認しにくいため、明るさとコントラストがわからない。近くのショップで展示してある機種をみても、明るさとコントラストは普通レベルであった。そんな中で1920×1080ドットの明るい液晶と4コア8スレッドのCore i7が選択できるモデルがあるのがソニーだ。ソニーの中でもソニーストア限定のVAIO OWNER MADEモデルならカスタマイズでき、こういった選択肢も用意されている。これまでソニーのパソコンを使っていて、品質・デザインともに満足していたので、その点でも問題ない。 ソニーの中で15インチ以上で1920×1080ドットの液晶が選択できるのは、VAIO EシリーズとVAIO Fシリーズだ。このうち、VAIO Eシリーズは、2コア4スレッドのCore i7までしか選択できないため、条件に合わない。そのためVAIO Fシリーズをカスタマイズすることになる。VAIO Fシリーズはやや大型の本体だが、16.4インチと一回り大きな液晶を搭載しており、USB3.0ポートやeSATAポートもあるなど、性能面では十分だ。実は買い換えを検討した時点では、今回購入した機種の1世代前の機種の時だったのだが、その機種はUSB2.0にしか対応していなかった。しかし全体の流れから考えると次期モデルではUSB3.0が搭載されるだろうと思い待っていると、ずばり的中したため、これに決定したわけである。しかもグラフィックチップも1世代新しくなるなどうれしい変更点もあった。では選択肢をみて、細かいスペックを決めていくとしよう。
VAIO Fシリーズでは、まず通常のVAIO Fシリーズか、VAIO Fシリーズ[クリエイティブエディション]かを決めなければならない。通常モデルとクリエイティブエディションで大きく異なるのが液晶ディスプレイだ。どちらも1920×1080ドットだが、通常モデルは「VAIOディスプレイ」、クリエイティブエディションは「VAIOディスプレイプレミアム」となっている。VAIOの場合良い順に「VAIOディスプレイプレミアム」「VAIOディスプレイプラス」「VAIOディスプレイ」となっている。同じ名称でもシリーズによって多少の違いはあるが、基本的に大きく3段階に分かれいる。つまり、一番良い液晶か一番悪い液晶かをまず決めなければならない。VAIOディスプレイは明るさやコントラストではVAIOディスプレイプレミアムに大きく劣る。並べてみると一目瞭然だ。VAIOディスプレイプレミアムは、Adobe RGBカバー率100%の高色域液晶なので、色の表現力も高い。一方、VAIOディスプレイは光沢液晶、VAIOディスプレイプレミアムは非光沢液晶だ。希望としては明るくてきれいな光沢液晶が良いのだが、「プレミアム」なので映像が綺麗に見えるより、映り込みがなく色の微調整がしやすいように非光沢液晶になっていると思われる。 それ以外に通常モデルとクリエイティブエディションでは違いがある。一番大きいのは本体デザインだ。通常モデルでは本体色は「グレー」「ブラック」「ホワイト」から選ぶことになり、パームレスト部分は小さなディンプル加工の金属風だ。一方クリエイティブエディションでは、本体色はやや茶色がかった濃いグレーの「プレミアムブラック」のみで、パームレスト部分は同社の一眼レフデジタルカメラ「α」シリーズにそろえて、革張り風だ。デザイン的には、革張り風より金属風の方が好きで、特に「グレー」の色が気に入ったのだが、その場合は通常モデルを選ぶしかない。それ以外に、グラフィックチップが通常モデルはGeForce 310Mで、クリエイティブエディションではGeForce 425Mである。性能が高いに越したことはないが、現在の私の使い方ではGeForce 310Mでも問題ない。また対応機器を上にのせるだけでデータ転送ができる、TransferJetはクリエイティブエディションでしか選べないが、もともと選ぶ気はないので気にならない。 つまり液晶の明るさ、コントラスト、表現力の高さを取るか、気に入った本体デザインと液晶の光沢感をとるかということになる。ソニーストア大阪でさんざん比べて悩んだあげく、クリエイティブエディションを選ぶこととした。本体デザインは使っているうちに気に入ってくるだろうが、液晶は暗いものを選ぶと絶対に後悔すると思ったからだ。非光沢である点は、どうしても気になるなら、後で市販の光沢フィルムを貼っても良い。 それでは、クリエイティブエディションと決まった所で、ほかのスペックも決めていこう。以下は選択肢とその価格である。なお、クリエイティブエディションにすると決めたが、一応通常モデルの選択肢も併記している。左側が通常モデル、右側がクリエイティブエディションだ。また背景色が黄色のものが、今回選択した構成となる。 |
(黄色地の選択肢が今回選択した構成) | ||||||||
[クリエイティブエディション] |
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(+0円の構成を選んだ場合) |
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+15,000円 |
+5,000円 |
+0円 |
+15,000円 |
+5,000円 |
+0円 |
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+0円 |
+0円 |
+0円 |
+0円 |
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(1.86GHz) +35,000円 (キャンペーン) |
(1.73GHz) +20,000円 (キャンペーン) |
(2.80GHz) +10,000円 (キャンペーン) |
(2.66GHz) +10,000円 |
(1.86GHz) +35,000円 (キャンペーン) |
(1.73GHz) +20,000円 (キャンペーン) |
(2.80GHz) +10,000円 (キャンペーン) |
(2.66GHz) +10,000円 |
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(2.53GHz) +5,000円 (2.40GHz) +0円
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| (2.53GHz) +5,000円 (2.40GHz) +0円
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(4GB×2) +35,000円 |
(4GB+2GB) +20,000円 |
(2GB×2) +10,000円 |
(2GB×1) +0円 |
(4GB×2) +35,000円 |
(4GB+2GB) +20,000円 |
(2GB×2) +10,000円 |
(2GB×1) +0円 |
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+120,000円 |
+50,000円 |
(5400rpm) +20,000円 |
(5400rpm) +15,000円 |
+120,000円 |
+50,000円 |
(5400rpm) +20,000円 |
(5400rpm) +15,000円 |
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(7200rpm) +10,000円 |
(5400rpm) +5,000円 |
(7200rpm) +0円 |
(7200rpm) +10,000円 |
(5400rpm) +5,000円 |
(7200rpm) +0円 |
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(DVDスーパーマルチ機能搭載) +15,000円 |
(DVDスーパーマルチ機能搭載) +10,000円 |
+0円 |
(DVDスーパーマルチ機能搭載) +15,000円 |
(DVDスーパーマルチ機能搭載) +10,000円 |
+0円 |
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(512MB) +0円 |
(1GB) +0円 |
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1920×1080ドット VAIOディスプレイ +0円 |
1920×1080ドット VAIOディスプレイプレミアム +0円 |
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+0円 |
+0円 |
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(長時間録画対応) +10,000円 |
+0円 |
(長時間録画対応) +10,000円 |
+0円 |
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+0円 |
+0円 |
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+0円 |
+0円 |
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+0円 |
+0円 |
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+0円 |
+5,000円 |
+0円 |
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eSATA/USB2.0共有×1 +0円 |
eSATA/USB2.0共有×1 +0円 |
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+0円 |
+0円 |
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(バックライト付) +5,000円 |
+0円 |
(バックライト付) +5,000円 |
+0円 |
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+5,000円 |
+0円 |
+5,000円 |
+0円 |
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+63,800円 (キャンペーン) |
+37,799円 (キャンペーン) |
+34,800円 |
+49,000円 |
+63,800円 (キャンペーン) |
+37,799円 (キャンペーン) |
+34,800円 |
+49,000円 |
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+22,999円 (キャンペーン) |
+20,000円 |
+29,800円 |
+0円 |
+22,999円 (キャンペーン) |
+20,000円 |
+29,800円 |
+0円 |
以上が選択できるパーツだ。まずOSだが、一番の悩みどころだった。一般的にはWindows 7 HomePremiumを選ぶのだろう。私も最初はそのつもりだった。しかし、これまでの新しいOS同様、Windows7では過去のアプリケーションソフトが動かなかったり、問題が発生したりということが少ないながら存在している。そんなとき、XPモードが便利だ。XPモードは今までのプロパティで互換モードを選択するのとは訳が違い、実際に内部でWindows XPが動作するため、基本的にWindows XPで動作していたソフトを動かすことができる。もちろんWindows 7内で仮想的に動かしているため、他のハードウェアとの連携が必要だったり、OSそのものに変更を加えるソフトはうまく動かないこともあるが、互換性問題は大幅に少なくなるはずだ。このXPモードはProfessional以上に搭載されており、HomePremiumには搭載されていない。今回は初めてのWindows7であることと、メインで使うパソコンであるため慣れているソフトが動作する確率を少しでも上げたいということで、5,000円高いがWindows 7 Professionalを選択した。 CPUはCore i3からCore i7まで幅広く選択可能だが、そのスペックは以下のような差がある。 |
840QM |
740QM |
640M |
580M |
460M |
370M |
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(10ステップ) |
(9ステップ) |
(5ステップ) |
(5ステップ) |
(3ステップ) |
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これを見ると4コア8スレッドなのは、Core i7-840QMとCoire i7-740QMだけだ。同じCore i7でも640Mは2コア4スレッドで別物だ。GPUが内蔵されていることからもCore i5の500番台の3次キャッシュ(L3キャッシュ)増量版のような位置づけだ。動作クロックは2.80GHzと高いが、やはり4コア8スレッドの方を選びたい。840QQMと740QMの違いは、まず、動作クロックが1.86GHzと1.73GHzであることだ。また800番台と700番台の差別化として、TurboBoost時に上がるステップ数が10ステップと9ステップという違いがあり、結果的にTurboBoost時の動作クロックは3.20GHzと2.93GHzと少し開く。またL3キャッシュ容量が8MBと6MBで違っている。しかし、それだけで15,000円の差があるので、ここはCore i7-740QMを選択した。 メモリは、動画編集することを考えると4GB以上は必須だが、4GBか8GBかで迷った。しかし価格差が25,000円もあるので、とりあえず4GBとした。空きスロットはないので交換にはなるが、メモリの価格はどんどん下がるので、安くなったら将来的に8GBに交換しても良いだろう。 ハードディスクまたはSSDについては、もちろんSSDの方が高速なのだが、256GBのものでも+50,000円では、はっきり言って手が出ない。ここはハードディスクにする。500GBを超えると容量アップの割合に比べて価格が大きく上がることと、外付けの750GBハードディスクを使っていることを考え、500GBでよしとした。また7200rpmの製品にして少しでも速度アップをはかることもできたが、5,000円出すほどではない。 光学ドライブは、これからのことを考えてもBlu-rayディスクドライブである。価格差は15,000円。妥当なところだ。グラフィックはGeForce 425M一択だ。グラフィックメモリは1GB積んでおり、ノートパソコンとしては上々だ。クリエイティブエディションを選択したので、16.4インチの1920×1080ドットのVAIOディスプレイプレミアムを搭載する。HDMI出力も標準搭載だ。TVチューナに関しては悩みどころだ。地デジのダブルチューナで長時間録画にも対応するなかなか高性能なものだ。もともとVAIO Fシリーズの店頭モデルは全機種がTVチューナを搭載しており、VAIO FはTVチューナ搭載が当たり前だが、ここは標準搭載とせず選択できるようにしてくれたのはありがたいところだ。私の場合デスクトップパソコンのように場所を固定して使うパソコンなら、TVのアンテナケーブルが1本増えたところで問題ないが、今回購入するノートパソコンは、リビングの机の上で使う以上は、食事の時はほかの場所に移動させなければならないし、場合によってはほかの部屋に持ち込むこともある。そうなると、TVのアンテナケーブル1本でも邪魔だし、常にアンテナケーブルをつないでおけるかもわからない。またメインで使うパソコンでTV録画を行うと、録画中は重い作業をしないように気を遣ってしまう。またテレビ視聴という点からは、リビングで使う以上目の前にテレビがあるので、わざわざパソコンでは見ないだろう。また録画も、HDDレコーダが2台あって3番組同時録画が可能な状態で、パソコンで録画するとは思えない。つまりテレビチューナは不要なようだ。付いていてもいざというときに便利かもしれないが、そのために10,000円はもったいない。ここは節約といこう。 無線LAN、有線LAN、Bluetooth、USB、eSATA、Webカメラに関しては固定だ。とはいえ、無線LANは300Mbpsの送受信に対応したIEEE802.11b/g/n対応だし、有線LANも1000BASE-T対応だ。USBも3.0に対応したものが2基とUSB2.0とeSATAの共有ポートが1基という構成で問題ない。あとはFelicaポートだけかTransferJet機能付きかということだが、TransferJetは現段階では対応機器も少なく、あまり便利に感じないので無しとした。 キーボードは当然日本語配列だ。英字配列の方のバックライト付きはおもしろそうだが、そのために英字配列にするほどではない。バッテリは5,000円でLバッテリになるが、据え置いて使うと思われるためバッテリ駆動時間にはこだわらないため、安いSバッテリとした。 Microsoft Officeに関しては、とりあえずWordとExcelは必要だ。一方PowerPointに関しては現段階では不要なので、WordとExcelだけの「Office Personal 2010」とした。 以上の構成で194.800円となり、20万円以下という希望も達成することができた。またこれまでやや小型のパソコンを購入していたときは、2世代前が279,800円、1世代前が249,800円だったことを考えると、ずいぶん安く購入できたことになる。 ちなみに、ソニーストアのVAIO OWNER MADEモデルではメッセージ刻印の無料サービスがある。本機の場合液晶の左上に2行の英数字を入れることが可能だ。色も白、茶、赤から選択できる。今回は上段に本名とハンドルネーム、下段に購入日と年齢を入れてもらった。また、色は本体の上品さに合わせあまり目立たないように茶色を選択した。
それでは選択した内容が、店頭モデルに対してどう違うのかを見ていこう。店頭モデルとは家電量販店などで、その場で購入できる固定スペックのモデルのことだ。下位モデルのVPCF138J/Bと上位モデルのVPCF139J/BIの2機種がラインナップされている。 |
(今回購入した構成) |
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高コントラスト 高硬度 |
ノングレアパネル 低反射コート 高コントラスト 高硬度 高輝度 |
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HDMI×1 |
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これを見ると、CPU、メモリ、ハードディスク、グラフィック、ディスプレイ、光学ドライブなどが上位モデルのVPCF139FJ/BIと同じであることがわかる。そのほか、選択できないパーツも含めて、大部分がVPCF139FJ/BIと同じである。細かくパーツを選んだつもりで、結局標準モデルに近い構成になっていたようだ。しかし、違うところもある。OSが前述のようにWindows 7 Professionalになっているのは特徴だ。その反面地デジチューナを外し、OfficeをPersonalにすることで価格を抑えている。また、VPCF139FJ/BIでは高価な画像・動画・音声編集ソフトが付いているが、これに関してはすでに好みのものを持っているので不要だ。これらが不要になった結果、VPCF139FJ/BIより55,000円も安く購入できている。また、逆に言えば、VPCF138FJ/Bから15,000円プラスで、CPU、グラフィック、ディスプレイなどが大幅に性能アップしているといえる。ソニーストアのVAIO OWNER MADEモデルなら思い通りにカスタマイズできるので、必要な性能を安価に手に入れられるということがわかった。
注文は2010年9月30日、到着したのは10月9日だ。「VPCF13AGJ」自体の発売日が10月9日で、先行注文していた形なので、遅いわけではない。発売日当日に出荷ではなく到着するようにしてくれているのは親切だ。また、2010年10月14日に、WEB上に公開していたスペックに一部間違いがあったというメールが来た。無線LANの項目が「IEEE802.11a/b/g/n」となっていたが、実際には「IEEE802.11b/g/n」だったという事だ。我が家の無線LANルータがIEEE802.11aには対応していないので大きな問題ではないのだが、お詫びとして3,000円分の買い物クーポン「Fシリーズお詫びクーポン」がもらえたのは驚いた。Sony Styleは発売日が遅れると「3000円の買い物クーポン」が発行されたり、購入後9日以内に値下げされたときは差額がお買い物クーポンがもらえたりと言ったサービスがあるが、今回も同じようなパターンとされたようだ。こういった事がしっかりしていると安心して購入できる。 それでは早速外見から見てみよう。箱は店頭モデルと同じもののようだ。型番や製品の写真などもなく、「SONY」「VAIO」「F」という必要最低限のことが大きく書かれている。このシンプルさが逆にかっこよく見える。
箱から出すと、やはり今まで使ってきた機種と比べて大きく、ずっしりとした重さを感じる。ただ、厚みはそれほど大きくないという感じだ。本体の色はプレミアムブラックという名称だが、ややブラウンが入ったような濃いグレーだ。そこに大きくVAIOの文字が入るのが格好いいところだ。VAIOロゴは印刷ではなく鏡面仕上げの金属になっているのが高級感がある。液晶ディスプレイをあけると、内部も濃いグレーで統一されており上品な落ち着きがある。また、パームレスト部分は革風加工が施されている。本物の革や合成皮革ではなく、あくまで金属を革風に加工したとのことだが、さわり心地は金属とは思えない。革のような微妙な柔らかさがあり、金属のような冷たさもない。パソコンとしては特殊だが、上品に思える。
キーボードについては今回「初」の点がいくつかある。まず、テンキーが搭載されている事だ。最近では15インチ液晶の機種でもテンキーが搭載されるのが当たり前になりつつあるが、「VPCF13AGJ」は液晶ディスプレイがさらに大きく本体の大きさに余裕があるため、テンキーは4列の一般的なもので、テンキーとEnterキーとの間に小さいながら隙間もあるため、テンキー部分がわかりやすい。さらにこのキーボードは、アイソレーションキーボードになっている。一般的なキーボードはキーとキーの間はわずかなすき間しか無く、側面が斜めになっていてキーの押す部分に関しては間隔が空く形になっており、以前の「VGN-SZ94S」ではキー側面が垂直になったキーになっていたがキーとキーの間に隙間はほとんどなかった。それに対してアイソレーションキーボードはキー自体を一回り小さくし、キーの押す部分と同じサイズのキーを、1つ1つが独立した穴に取り付けた形となる。そのためキー同士に隙間がある。キーの下に爪が入ってしまわないという実用面だけでなく、見た目もスマートだ。 タッチパットは一般的な2ボタン式だ。パット部分は大きいため使い勝手は良さそうだ。パームレスト左側にはFelicaポートが内蔵されており、Edyなどの決済や、IC乗車券の残高や購入履歴の表示のほか、おサイフケータイとの間でデータのやりとりなどができる。キーボード上部にはいくつかボタンが並んでいる。右の3つはそれぞれ「ASSIST」「S1」「VAIO」と書かれており、「ASSIST」は「VAIO Care」、「VAIO」は「Media Gallary」というアプリケーションソフトが起動する。「S1」は自由に起動するアプリケーションソフトを登録できる。その左に5つ並んでいるうち右4つは、AV操作ボタンで「再生/一時停止」「停止」「早戻し」「早送り」の4つのボタンとなる。そして、一番左端にあるのが「DISPLAY OFF」ボタンだ。このボタンは。押すとディスプレイが消灯するだけというシンプルなものだが、これが非常に便利なのだ。デスクトップパソコンにディスプレイをつないでいる場合は、ディスプレイの電源をオフに出来るが、それと同じ感覚だ。変換作業やビデオ出力、ウィルスチェックなど、パソコンは動作しているが操作がない場合などに画面をオフにしておけるわけである。液晶ディスプレイのバックライトの点灯時間には限りがあるので、ワンタッチで消すことが出来るのは非常に便利である。そのボタンのさらに上部のメッシュ状になった部分にはステレオスピーカーが内蔵されている。これまで使ってきたモバイルパソコンよりは大きなものが内蔵されているようだ。
液晶ディスプレイのフレームも濃いグレーであるため落ち着いている。フレームはそれほど大きくないので、画面サイズの割にはコンパクトに見える。液晶ディスプレイの上部にはWebカメラが内蔵されている。31万画素とそれほど高画質ではないが、テレビ電話などで使用するには十分な性能だろう。そして、その左側、液晶ディスプレイのフレームの左上には、注文通りのメッセージが入っているのだが、よく見えない。「茶色」の文字を選んだが、その茶色が注文時に画面上で見えるサンプルより濃い色であった上に、周囲がグレーなので色が似てしまっている。光の角度によっては全く見えないほどだ。派手すぎるよりは良かったが、せっかく「自分だけの機種」というステータスであるため、残念だ。白色にしておけば良かったと言える。
側面を見てみよう。側面から見ると、前方が薄く、後方にいくほど厚くなっている事がわかる。液晶ディスプレイ部の厚みは一緒なので、本体側が厚くなっている事になる。右側面は前方から、イヤホン、マイク、USB3.0×2、Blu-rayディスクドライブ、そしてヒンジ部が電源ボタンとなっている。USB3.0に対応しており、しかも2基あるのは、ハードディスクやその他の機器を高速に手軽に接続できるためうれしいところだ。ただ、右側の前方という位置はいただけない。ケーブルやUSBメモリなどを挿すとマウス操作をするのにどうしても邪魔になってしまう。できればBlu-rayディスクドライブの奥に配置してほしかったところだ。また、このUSB3.0は、内部のUSB3.0コントローラチップが接続されているPCI Expressバスからチップセットの転送速度の制限により、最高転送速度はUSB3.0本来の5Gbpsではなく、2.5Gbpsに制限されているのも残念だ。 ヒンジ部の電源ボタンは電源ランプを兼ねている。電源オンでグリーン、スリープ時はオレンジに光る。また、ヒンジ部の側面だけでなく、上面(キーボード面)に細いスリットがあり、ここからも光が見えるため、側面をのぞき込まなくても電源の状態がわかる。細かい配慮だ。反対側のヒンジ部は電源ケーブルの接続コネクタとなっており、デザイン性は高い。その左側面だが手前から順にIEEE1394、ExpressCard/34スロット、eSATA/USB2.0兼用ポート、HDMI、D-Sub15ピン、有線LAN、 セキュリティースロット、そしてヒンジ部は前述の電源ケーブルの接続コネクタだ。有線LANポートとセキュリティスロットの間に大きめの排気口がある。左側面の奥側に排気口というのはうれしい位置だ。以前、右側面に排気口があった機種では、マウスに熱い排気風が当たって大変だった事がある。ExpressCardスロットは幅の狭い方のExpressCard/34スロットだが、ExpressCard/54のカードはほとんど見かけないため問題ないはずだ。eSATAとUSB2.0の兼用スロットは、eSATA接続の外付けハードディスクなどをいくつか持つ筆者にとってはうれしいポートだ。USB3.0には対応していないが、USBポートとしても使えるため、全体としてUSB×3としても使える。大型の機種としては控えめなUSBポート数だが、これまで2ポートの機種を使ってきたため、とりあえず3ポート、しかもそのうち2ポートはUSB3.0対応、1ポートはeSATAとしても使える点では使い勝手は格段に向上している。背面は一切のコネクタはない。一方前面は「ワイヤレスON/OFF切り替えスイッチ」と「メモリースティックDuoスロット」「SDカードスロット」がある。「ワイヤレスON/OFF切り替えスイッチ」は無線LANとBluetoothをスイッチ一つでオン・オフできるスイッチだ。持ち出す際などに便利だろう。メモリースティックDuoとSDカードは兼用スロットではなく独立しているため、同時に使用することも出来便利だ。 使用するACアダプタだが、「VGN-SZ94S」のものと比べるとかなり大きくなった。これは、モバイルパソコンとそうでないパソコンの違いとも言えるし、消費電力も増えたためだろう。
それでは、外見ばかりを見ていても仕方がないので、実際に使ってみたいと思う。電源をつけて初期設定を済ませてまず思ったのが、液晶ディスプレイの美しさだ。発色に派手さはなく、光沢液晶でもないため、一見すると地味だが、写真やビデオを表示してみると、かなり明るいことがわかる。また「Adobe RGBカバー率100%」をうたうだけあって、色の表現がかなり豊かに感じる。特定の色が濃いと言うこともないのに、写真などの色が綺麗に表現されている。さらにコントラスト比も高く、色のかなり薄いところから濃いところまで、白飛びしたり黒つぶれすることなく、しっかり階調が出ている。以前の「VGN-SZ94S」のクリアブラック液晶と比べると雲泥の差である。見比べてみると、よくこれまでは、この暗い液晶ディスプレイを使ってきたなと思うほどの差があった。 ちなみに16.4インチと、これまでの13.3インチより大きくなったが、解像度が1280×800ドットから1920×1080ドットに高くなったため、表示はかなり小さくなった。特にアイコンの文字やホームページの文字に関してはかなり小さいため、目をこらしてみる必要がある。ドットピッチは0.224mmから0.189mmになったため、大きさは縦横それぞれ84.3%となり、アイコンや文字の大きさは面積比で71.2%というところだ。数値からも分かるようにかなり小さく感じる。一方で半分にInternetExplorer、半分にホームページ作成のためのメモ帳や、一太郎、Excelなどを表示しても十分な横幅があるため使いやすい。また解像度が高いことも映像が綺麗に見える要因の一つだろう。フルハイビジョンのビデオカメラで撮った映像も、間引かれることなく表示できるようになったし、ビデオ編集ソフトも広く使え、また画像編集でも細かいところまで見やすくなったため、非常に便利になった。作業効率はグンとアップしたと言える。 また、動作スピードに関してもかなりアップしたと実感できる。「VGN-SZ94S」は1.80GHzで、「VPCF13AGJ」は1.73GHzであるため動作クロックは落ちているが、2コア2スレッドの旧世代CPUと、4コア8スレッドの最新CPUとでは実際にはかなりの差がある。また、「VPCF13AGJ」が搭載しているCore i7-740QMは、TurboBoostという機能が搭載されており、1コア動作時には2.93GHzまで動作クロックがアップする。つまりマルチスレッド処理に対応したアプリケーションソフトでは4コア8スレッドを利用する事で、シングルスレッド処理しか対応していないアプリケーションソフトの場合は動作クロックを上げる事で、どちらの場合も快適に動作するようになっている。TurboBoost機能が無いと、後者のアプリケーションソフトの場合、1.73GHzの1コアCPUと同じ性能になってしまい、かなり遅く感じるはずなので、この機能は非常にありがたい。特にビデオ編集ソフトや画像編集ソフトなどを使っていると、動作がきびきびしていて、すべての操作で1テンポ待たされるという事が無くなった、さすがCore i7である。 続いて驚いたのがキーボードだ。テンキー付きであるため、最初はEnterキーが右端に無いことに戸惑ったが、すぐに慣れることができた。テンキーとEnterキーの間に少し隙間が空いているのも慣れやすかった要因だろう。そして、むしろExcelなどで数字入力が多く発生する場合などに非常に便利になった。やはりキーボードに最上段に一列に並んでいるよりも使いやすい。キー全体が左側にずれるのが使いにくいという人もいるらしいが、筆者の場合は最初から気にならなかった。そしてそれよりも驚いたのがキーの打ちやすさだ。正確には前機種のVGN-SZ94Sから「VPCF13AGJ」に切り替えたときには何とも思わなかった。もちろん「VPCF13AGJ」のキーボードはしっかりした打鍵感があり、キー中央部もたわむこともなく、セパレートキーであるのも使いやすいのは確かだ。しかし、「VGN-SZ94S」のキーボードでも特に不満はなかったため、「VPCF13AGJ」に切り替えても、同じように使いやすいキーボードだという印象しかなかった。ところが「VPCF13AGJ」をしばらく使って慣れた頃、久々に「VGN-SZ94S」を使うとキーボードが何とも頼りないのだ。ふにゃふにゃして感じるというか、「VPCF13AGJ」に比べてしっかりしていない。その上にカシャカシャと音が気になるのだ。前のキーボードを使ってみて、初めて「VPCF13AGJ」のキーボードの優秀さがわかったわけである。もちろんデスクトップパソコン用のキーボードならもっとこだわった高価な製品もあるのだろうが、ノートパソコンに搭載されるキーボードとしては比較的使いやすいと言えるのではないだろうか。確かに長時間のタイピングでも手が疲れにくくなったように感じる。 ファンに関しては、「VGN-SZ94S」より静かになった印象だ。編集したビデオの出力や、3Dベンチマークテストなどを実行するなど高負荷の環境では、それなりにファンの音は気になる大きさだ。しかしそれもファンの回転音と言うよりは風きり音なので、耳障りな音ではない。また「VGN-SZ94S」より本体の大きさに余裕があるためか、CPUやGPU(グラフィックチップ)の発熱は大きくなっているはずながら、ファンは静かになっているようだ。また「VGN-SZ94S」では、ファンが高速に回転していても夏場などはCPUやハードディスクのあたりがかなり熱くなっていたが、「VPCF13AGJ」では温かいより少し高い温度までで、熱いと感じるほどまでいかないため、不快感がかなり軽減されている。またファンが一度高速回転になっても、内部の発熱が少なくなってからファンが低速に戻るまでの時間も短くなっているように感じた。やはり大型の機種は、内部スペースに余裕があり大型のファンをつけられるためか、発熱とファンの騒音に関しては優れていると言える。 そのほかの面では、各種端子は豊富で使いにくいと言うこともほぼなかった。唯一メモリースティックDuoスロットとSDカードスロットが使いにくいと感じた。というのも、これらのスロットがある前面は、本体を薄く見せるため、下側が内側に斜めになっているのである。最近のパソコンでは一般的な形状だが、その部分にカードスロットがあると、カードを取り出すときにカードがつまみにくいのである。少し残念なところだ。スピーカーに関しては、ノートパソコンとしては音質がよいように感じた。これまで使ってきた「VGN-SZ94S」より大きさに余裕があるだけでなく厚みもあるので、その分スピーカーが良いのだろう。ある程度大きな音を出しても割れないし、シャカシャカした音でもない。音楽を聴くには迫力不足だが、ネット上の動画や、デジタルビデオカメラで撮影した動画を大勢で楽しむ程度の使い方なら十分な音質と音量だ。USB3.0ポートは、転送速度が2.5Gbpsに制限されているとはいえ、USB2.0の480Mbpsと比べれば5倍以上早く、また理論上は300MB/s強の速度がでる事になるので、ハードディスクなどを接続するには十分だ。また供給電力がUSB2.0の5V・500mAから5V・900mAにアップしており、実際に500mAを超える消費電力の外付けハードディスクを接続しても問題なく動作した。一方、eSATAとUSB2.0の兼用ポートも便利で、USB3.0機器を2つつなぐときは、マウスをこちらに接続して使用できるし、eSATAとUSB2.0にしか対応していないハードディスクやBlu-rayドライブはeSATAとして接続することで高速転送ができる。eSATAもホットスワップに対応しているようで、Windowsを起動したまま取り外したり認識させることができた。HDMI端子を搭載してるのも便利で、映像などをテレビに接続して大画面で楽しむことも簡単にできる。HDMIなら音声と映像がケーブル一本なので便利だ。また我が家の40インチ液晶テレビは解像度が1920×1080ドットなので、ちょうど「VPCF13AGJ」の液晶の解像度と一致するため、表示解像度について悩む必要がないのも便利である。
それではどの程度の性能なのかを調べるため、恒例のベンチマークテストを行ってみよう。比較対象としてこれまで使っていたノートパソコン「VGN-SZ94S」と、現在使っているデスクトップパソコンVGC-RM50の内部パーツをかなり交換したもの(VGC-RM50改と表記)の3機種で行っている。「VGN-SZ94S」との比較では純粋に買い換えによってどの程度性能がアップしたのかがわかり、VGC-RM50改との比較では同じ4コアのCPU同士での性能比較や、デスクトップ向けのローエンドグラフィックボードとの性能差がわかるだろう。3機種の区らしいスペックは以下の通りである。
まずは定番のHDBENCHである。CPUに関してはInteger(整数演算)は「VGC-RM50改」に負けているが、Float(浮動小数点演算)に関しては11.2%上回っている。「VGC-RM50改」はCore 2 Quad Q6600(2.4GHz)、「VPCF13AGJ」はCore i7 740QM(1.73GHz)なので、どちらも4コアだが動作クロックが「VPCF13AGJ」の方が28%も低い。それでいて逆転しているのは、Core i7のコアの性能の高さに加えて、Hyper-Threadingにより、4コアながら8スレッド処理ができることも効いているのだろう。ちなみに前機種「VGN-SZ94S」と比べると、Integerで1.93倍、Floatで3.45倍と圧倒的な差になっている。「VGN-SZ94S」はCore 2 Duoで2コアとは言え、動作クロック1.80GHzとほぼ同じであるにもかかわらずだ。これだけの差ならばかなり快適になるだろうし、その差がはっきりと実感できるはずだ。 メモリに関してもかなりの高性能ぶりである。PC2-5300 DDR2 SDRAMの帯域幅は5.33GB/sなので、デュアルチャンネルで10.66GB/sとなる。一方「VPCF13AGJ」のPC-10600 DDR3 SDRAMの帯域幅は10.6GB/sなのでデュアルチャンネルで21.2GB/sとなる。ほぼ倍の帯域幅なので、「VPCF13AGJ」のスコアが他の2倍になっているのもうなずける。ただし、Readの「VGC-RM50改」だけ結果が良い理由は不明だ。ハードディスクは5400rpmの低速の方を選んだこともあって、かなり古いものの7200rpmでRAID 0の「VGC-RM50改」には及ばないようだが、それでも「VGN-SZ94S」の倍以上の読み書き速度だ。同じ5400rpmのハードディスクとは思えない差だ。CPUだけでなくハードディスクもここまで高速になれば、全体的に非常に速く感じられるだろう。 CrystakMark 2004の結果もHDBENCHの結果に似ているが、CPU性能はALUとFPUともに「VGC-RM50改」には及ばない。とは言え差はかなり小さくなっており、また、「VGN-SZ94S」の2倍以上の性能になっている。メモリ性能はさすがに帯域幅が広い「VPCF13AGJ」が、帯域幅通りの結果を示しリードしている。ハードディスクに関しては、やはり「VGC-RM50改」にはかなわないものの、同じ5400rpmドライブながら「VGN-SZ94S」からはかなり高速化している。グラフィック性能に関しては2Dグラフィック性能の「GDI」こそ「VGC-RM50改」に劣るものの、DirectDrawを使用した2Dグラフィック性能の「D2D」は「VGC-RM50改」を大きく超える性能を示しており、OpenGLの3Dグラフィック性能である「OGL」も「VGC-RM50改」と同等の性能を示している。 これを見ると、全体的にはデスクトップパソコンである「VGC-RM50改」には及ばないものの、これまで使っていたノートパソコンと比べると大きな性能向上を果たしていることがわかる。 続いて、円周率を計算するベンチマークテストである「Superπ」を行った。419万桁の計算を21回行うのにかかった時間である。これを見ると、「VGN-SZ94S」の半分以下の時間で終了しているだけでなく、「VGC-RM50改」よりも36%短い時間で終了しているのは驚きだ。これまでのベンチマークテストとは違う結果である点は興味深い。 CPU性能をより詳しく見るために、「CINEBENCH R11.5」を行ってみた。一番上のグラフは全コアを使用する「マルチコア」の項目である。「VPCF13AGJ」は4コア8スレッド、「VGN-SZ94S」は2コア2スレッド、「VGC-RM50改」は4コア4スレッドである。 結果を見ると。「VGC-RM50改」をかわし、「VPCF13AGJ」がトップである。動作クロックは「VGC-RM50改」の2.40GHzに対して、「VPCF13AGJ」が1.73GHzと低いにも関わらず結果は逆転している。コアも改良されている上に、同じ4コアながらHyper-Threadingにより8スレッド処理となっている事も影響しているだろう。また2コア2スレッドの「VGN-SZ94S」の3.33倍となっており、コア数が倍、スレッド数では4倍となっている事が大きく影響していそうだ。この結果から、マルチコアに対応したアプリケーションの場合、性能差が大きいため、かなり快適に感じられるはずだ。 続いて2番目のグラフは、「シングルコア」の性能だ。いずれも1コア1スレッド動作をしている。これを見ると「VPCF13AGJ」の圧勝である。コア数が関係がないなら、2.40GHzの「VGC-RM50改」がトップになりそうだが、「VPCF13AGJ」が搭載するCore i7 740QMは1コア動作時には動作クロックが2.93GHzまでアップするTurboBoost機能を備えている。実際にテスト中の動作クロックを見てみると、2.93GHzまで上がっている事がわかった。マルチコアに対応したアプリケーションだけでなく、非対応のアプリケーションでも高速に動作するように工夫されているのだ。 ちなみにTurboBoostをオフにするとどうなるのか実験したかったが、メーカー製パソコンのためか、BIOS上にTurboBoostのオン/オフの項目がなかった。そのため、実際の結果を1.73/2.93にし、動作クロックの差から予想した結果を掲載した。実際には動作クロックの差の通りにはならないが、あくまで参考として見てもらいたい。予想値は0.53pts。「VGN-SZ94S」をやや超えるだけの性能だ。動作クロックが「VGN-SZ94S」の方が1.80GHzとやや高いが、コアのクロックあたりの性能の良さで逆転しているといえる。ちなみに「VPCF13AGJ」の性能を「VGN-SZ94S」と同じ1.80GHzに換算すると、0.55ptsとなる。この約10%の差が、コアの違いと言える。逆に言えばTutboBoost機能を搭載していなければ、マルチコアに対応していないアプリケーションでは大きな差を感じにくい事になる。搭載していてよかったといえよう。 3つ目のグラフは、マルチコアとシングルコアの結果から、コア数が増えることでどの程度性能がアップしたのかを計算したグラフである。2コアのCore 2 Duoを搭載した「VGN-SZ94S」では1.78倍、4コアのCore 2 Quadを搭載した「VGC-RM50改」は3.85倍と、コア数よりやや劣るが、かなり近い倍率となっている。ところが、「VPCF13AGJ」は4コアで8スレッドのCore i7ながら、3.3倍と低めの値だ。しかし、これはシングルスレッドの時のTurboBoostが動作し、動作クロックが約69%もアップしているためだ。そこで、前述のTurboBoostをオフにしたときの予測値との差を見てみると、5.59倍となっている。4コアであるため本来なら4倍以下になるはずの倍率が、5.59倍まで上がっているのは、Hyper-Threadingによる効果と言えよう。実際のHyper-Threadingは4コアを効率的に使うことで8スレッド処理ができるだけなので、実際の8コアよりは劣るのは当たり前で、むしろ、5.59倍というのはなかなかの効果と言えよう。 続いても各パーツを個別にテストできるSandra Lite 2009.1.15.72である。「CPU演算」は整数演算性能のテストだが、どちらも「VGC-RM50改」を上回る性能を見せている。また、「VGN-SZ94S」との比較ではどちらも約3.1倍の性能と、圧倒的な性能アップで満足である。「CPUマルチメディア」は浮動小数点演算性能である。いずれのテストでも「VGC-RM50改」を上回っており、クロック差を覆す性能の良さが実感できる。また、「VGN-SZ94S」との比較では、それぞれ約3.0倍、約3.6倍、約4.0倍とこちらも圧倒的な差で、買い換えてこの性能差なら、明らかな差を感じられるだろう。 最後にメモリ帯域幅だが、これは前述のように「VPCF13AGJ」の理論値は21.2GB/s、「VGN-SZ94S」と「VGC-RM50改」の理論値は10.66GB/sである。実際のテストでは様々な要因で理論値通りの性能は出ないが、ベンチマークテストの結果を見ると「VPCF13AGJ」は他の2機種の3〜4倍の帯域幅になっている。これほどの差は、実際の使用でも差が出てくると思われる。さすが最新のパソコンといえよう。 ここからは3Dグラフィック性能のテストである。まずは「FINAL FANTASY XI Official Benchmark」である。今となっては比較的軽めのテストである。「VPCF13AGJ」でLowとHighの差が小さいことから見て、Lowでは上限に近い値が出てしまい頭打ちになっている可能性がある。そのため、Lowでは差が付きにくくなっている。Highでも十分な性能で、「VGN-SZ94S」のGeForce 8400M GSに対して2倍以上の性能を示している。 一世代新しい「ファイナルファンタジーXIV オフィシャルベンチマークソフト」である。「High」に関しては、1920×1080ドットが表示できる事が必要と言うことで「VGN-SZ94S」では実行できていない。1280×720ドットのLowの結果で見ると、GeForce 210を搭載する「VGC-RM50改」と比べても3倍近い性能を、「VGN-SZ94S」と比べると9倍もの性能になっている。モバイル向けのローエンドモデルとは言え、最新のGeFoce 400番台であることと、最もローエンドのGeForce 210に対して、GeForce GT425Mはローエンドの中ではやや上位である事が理由だろう。詳しく見ると、シェーダプロセッサ数がGeForce 210の16基のところGeForce GT425Mでは96基、メモリインタフェースも64bitなのに対して128bitでほぼ倍の帯域幅になっている。ノートパソコン用のグラフィックチップといえども侮れない性能である。 有名な3Dベンチマークテスト「3DMark」の中から軽めの「3DMark 2001SE」である。「2001」という数字が示すとおり、2001年に発表されたベンチマークテストであり、DirectX8.1世代のテストである。640×480ドットの低解像度を除いて、「VPCF13AGJ」は「VGC-RM50改」を超えるスコアを出している。640×480ドットのスコアが1280×1024ドットの成績すら下回っている事から、正常な値が出ていないと思われるが、何回実行してもこの値となるためこのまま掲載している。また、「VGN-SZ94S」との比較では、解像度が上がるほど差が大きくなっているが、これは「VPCF13AGJ」が解像度が上がってもそれほどスコアが下がらないためである。このくらいの軽いテストでは、1920×1080ドットまで解像度を上げたところで大きな負荷にはならないと言うことだろう。 同じ3DMarkでも3DMark06は2006年のベンチマークテストで、DirectX9世代のテストである。これを見ると、「VPCF13AGJ」の性能の良さが際だっている。VGC-RM50の倍以上、「VGN-SZ94S」の約6.3倍となっている、先ほどまでのテストよりもスコアが開いているが、先ほどまでのテストが軽すぎたためで、実際の性能差はこのくらいあるものと思われる。 ここからは実際のゲームのベンチマークテストである。比較的重めのテストとなっている。まずは「BIOHAZARD 5ベンチマークテスト」である。「DirectX9バージョン」と「DirectX10バージョン」が選べるが、比較対象の「VGC-RM50改」のOSがWindows XPである事から「DirectX9バージョン」しかテストできないため、こちらで比較している。また、「VGC-RM50改」の液晶ディスプレイの解像度が1280×1024ドット、VGN-SZ94Sは1280×800ドットであるため、それより高解像度のテストは行えていない。 結果はfps(1秒あたりのフレーム数)で表示される。テレビ放送が29.97fpsなので、30fps以上あればかなりスムーズ、倍の60fps以上あれば非常にスムーズと言える。結果を見ると、すべての解像度において、「VPCF13AGJ」のスコアが際だっている。800×600ドット(テストA)で、「VGC-RM50改」の1.98倍、「VGN-SZ94S」の5.70倍となっている。1280×800ドット(テストA)では、それぞれ2.23倍と6.84倍に、1280×1024ドット(テストA)では、「VGC-RM50改」の2.37倍と、解像度が上がるほど差が広がっている。解像度が上がってもスコアが下がりにくい傾向があるようだ。前述のグラフィックメモリ帯域幅が広いことが影響しているものと思われる。 またfpsで見ると、「VGC-RM50改」では800×600ドットでかろうじて30fpsを超えているが、1024×768ドットでは27.7fpsと下回っており、かなり低解像度でないとまともには遊べないことになる。「VGN-SZ94S」に至っては、800×600ドットでも13.4fpsとまともに遊べる性能ではない。一方、「VPCF13AGJ」は、800×600ドットでは76.4fpsとかなりスムーズな表示ができ、1024×768ドットでも60fps近く、1280×1024ドットでも30dpsは十分にクリアしており、ある程度の綺麗さでプレイすることが可能そうだ。「VPCF13AGJ」の性能の良さがわかる結果だ。 続いて「The Last Remnantベンチマーク」である。こちらもfpsで結果が出るため快適さがわかりやすい。「BIOHAZARD 5ベンチマークテスト」より、全体的な数値が良い事から軽めのテストなのか、差が小さくなっているが、それでもはっきりとした差が現れている。「VGN-SZ94S」では640×480ドットでも30fpsを下回っていたが、「VPCF13AGJ」では1280×1024ドットでも44.7fpsと十分なフレームレートである。 続いて「ロストプラネット2ベンチマーク」である。「BIOHAZARD 5 ベンチマークテスト」同様、「VGC-RM50改」に合わせて、DirectX9バージョンでのテストとなっている。重めのゲームであるため、「VPCF13AGJ」でも、640×480ドットでかろうじて30fpsを超えているだけだ。800×600ドットでもテストBは30fpsを超えているため、なんとか遊べるだろう。それに対して「VGC-RM50改」では640×480ドットのテストBですら20fps程度で、「VGN-SZ94S」に至っては、640×480ドットで3.9〜5.5fpsしかでておらず、それより上の解像度ではテストの実行すらできなかった。最新の重めのゲームに関しては「VPCF13AGJ」でも高解像度でプレイできるレベルにないが、「VGN-SZ94S」と比べれば低解像度なら遊べるレベルに達しているという点では、おおきな違いと言える。 「A列車で行こう 9」のベンチマークテストである。「VGN-SZ94S」では動作しなかったため、「VGC-RM50改」との比較のみとなっている。1024×768ドットで比較すると、テスト4つの平均が、「VGC-RM50改」が12.4fps、「VPCF13AGJ」が31.575fpsであり、2.55倍となっている。また、1024×768ドットではかろうじて30fpsを超えているため、低解像度なら遊べるレベルに達したと言える。1280×1024ドットの平均は「VGC-RM50改」が9.2fps、「VPCF13AGJ」が22.375fpsで2.43倍とやはり大きな差が付いている。1920×1080ドットではさすがに15fps前後に落ち込むが、それでも遊べないほどではない。なかなかの性能と言えるだろう。 最後に、「S.T.A.L.K.E.R.:Clear Sky Benchmark」である。Day、Night、Rain、SunShaftsの4つのテストが行われるが、その平均値を出している。また、設定としてもっとも軽い「Static lighting」と、もっとも重い「Enhanced full dynamic lighting」でテストを行っている。軽い方の「Static lighting」では、それぞれの機種に差があるとはいえ、差は小さめだ。800×600ドットでは、「VPCF13AGJ」は「VGC-RM50改」の1.40倍、「VGN-SZ94S」の2.29倍である。「VGN-SZ94S」でも、1280×800ドットで33.3fpsと30fpsを超えているため、比較的軽めなのが影響しているのだろう。「VPCF13AGJ」では800×600ドットで121.4fpsという高い値を出しているが、それよりも1920×1080ドットでも77.6fpsと十分に遊べるレベルになっている事に驚きである。 一方、重めの「Enhanced full dynamic lighting」となるとさが大きくなる。なにしろ、「VGN-SZ94S」では、800×600ドットですら6.3fps、1280×800ドットでは3.0fpsとコマ送りのような映像になってしまっている。しかし、「VPCF13AGJ」は、800×600ドットで47.7fps、1280×800ドットで28.3fpsと遊べるレベルになっているから驚きである。倍率で言うと、800×600ドットで7.51倍、1280×800ドットで9.43倍と今回行った中でもっとも大きな差となっている。また「VGC-RM50改」との差も、800×600ドットで1.98倍、1280×1024ドットで2.22倍とかなりの差となっている。「VPCF13AGJ」は、さすがに1920×1080ドットでは16.2fpsまで下がるが、高解像度でも画質の設定を低すれば、逆に画質の設定が高くても解像度をおさえればそれなりに遊べるレベルの性能を持っていることになる。「VPCF13AGJ」が我が家でもっとも3Dグラフィック性能が高いのは疑いようのない事のようだ。 今回は、これまでの大きめのモバイルノートという方針から一転、大型の機種を購入したわけだが、さすがに使い勝手、性能ともに大きく進化し、満足のいくものであった。液晶ディスプレイは大きく明るいだけでなく、解像度が高いだけあって使い勝手がよい、キーボードも打ちやすくテンキーも便利だ。ベンチマークテストでもわかるように、性能も良好で、数年前のデスクトップパソコンでは相手にならないほどの高性能さだ。その上本体の質も高い。たしかにUSBポートの数や位置などいくつか不満点もあるが、いくつもの優れている点を併せ持っている「VPCF13AGJ」は非常に完成度の高い製品と言えるだろう。またソニーストアのVAIO OWNER MADEを使い、高性能な機種を比較的安価に手に入れられた点でも満足だ。メインで使用するパソコンとしては、非常に良い買い物だったと言えるだろう。 (H.Intel) ■今回の関係メーカー・ショップ
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