ここで遊木人さんの紹介を。本名は山本正吾さん(以後山本さんとおよびします)。美星町生まれ。46歳。既婚。二十歳になる娘さんと十八歳の息子さんがいらっしゃいます。奥さんとは別居中。じつは山本さんは数年前まで、ある障害者養護施設の保父さんをしていらしたそうです。子供達が大好きで20年間もがんばり続け、父兄の信頼もあつかったのですが、子供を思う熱意と施設の体制がぶつかり、やむなく好きな仕事をやめることになりました。それ以来、その豊富な人生経験からくる深みのある言葉と文字を温もりのある木に刻みながら、出会った旅の人をここへ迎え入れ、酒を呑み交わし人と人との触れ合いを大切にしながら悠々とした生活をなさっているそうです。(看板のほうもちゃんと仕事しています)
校舎のあちこちにここに訪れた人の素直な心が文字となり足跡として残っています。山本さんとお話すると今日あったばかりなのになんでも話せてしまいます。つらい話も親身になって聞いてくれます。私も山本さんからいろんな話を聞きました。若い人、年取った人、トラクターで日本一周してる人、もと吉本でいまは映画作りの資金をためるために同じく墨字を書きながら旅をしてる人。様々な人がここを訪れ山本さんの人柄に触れ、温かさを感じているのでしょう。
こういった仕事をしてる人は、周囲を嫌い、一人こもって仙人のようになってる人が多いと思いますが、山本さんは違います。むしろ人にあわないと耐えられないそうです。人とこころを通わせるのが本当に好きなんだなと思いました。