(3,120m、 静岡県・長野県)
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1996年8月7日(水)
荒川小屋〜大聖寺平〜小赤石岳〜赤石岳〜百間洞(ひゃっけんぼら)山ノ家(泊) |
荒川小屋から御来光が見えた。 朝起きると、悪沢や千枚岳がわずかに明るくなった空に、シルエットになって浮かび上がっていた。御来光はその千枚岳の頂上近くから昇った。 スエちゃんと別れ、私は赤石岳を目指して行った。スエちゃんは今日は千枚小屋泊まりだという。 |
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40分ほどで大聖寺平へ着いた。ここは広く平らな所である。振り返ると、荒川三山がクッキリと見えた。特に前岳と中岳の全容がハッキリと見えた。 |
いよいよ赤石岳の登りになった。ゴツゴツした小さなピークを幾つか越えて行くと小赤石へ着いた。ここは3081メートルで本峰の赤石が3120メートルなので、赤石より39メートルほど低い。目の前に「私が主峰だ!」というように、赤石岳がどっしりとした山容を見せていたが、高度差があまり変わらないので迫力は感じなかった。
遠くに恵那山が見えた。雲海の中に平らな山頂が顔を出していた。
小赤石を下り、赤石との鞍部で写真を撮った。
(だいぶ近づいて来た。手前が小赤石、奥が赤石岳) |
(堂々とした赤石岳) |
赤石岳の山頂には、観光地の案内板のような大きな標識が建っていた。その標識が縦走路からは真横に見えたので観音様が立っているのかと思った。
やっと憧れの赤石の山頂へ立った。嬉しくて思わずバンザイしてしまった。山頂からは聖(ひじり)岳がよく見えた。明日はあの聖まで行けるのかと思うと嬉しかった。しかし、聖岳は深い谷の対岸にあり、大沢岳からぐるっと回り込まねばならない。
(標識が観音様に見えた) |
(赤石岳からの展望、拡大は→こちら) |
(山頂の避難小屋) |
赤石から百間洞(ぼら)を目指して下って行った。下るたびに聖岳が迫力を増してきた。さすがに日本百名山だと思った。聖の山頂はボッテリしているが奧聖のピークは個性的で山男なら一度は登りたいと思うに違いない。明日はあの奧聖のピークにも立ちたいと思った。だが今の私の体力で本当にあそこまで行けるだろうかという不安もあった。
この辺から見る荒川三山は、前岳と中岳が大きく見えた。悪沢は大分遠くなったので迫力がなくなってきた。前岳の大崩壊地や荒々しい岩肌が豪快に見え、北アルプスの剣や穂高を思わせた。
(聖岳を見ながら下る) |
(振り向けば荒川三山が見事だ) |
正面には、明日縦走する山々が並んで見えた。右手前から、二つのピークを持った大沢岳、頭が丸い中盛丸山、小兎と兎岳、その左に聖岳がドッシリと横たわっていた。明日はあんなに歩くのかと思うとウンザリした。
百間平は石コロとハイマツに覆われた台地だった。まさに天上の楽園という感じで、のんびりしたくなるような所だった。ガスが出ると迷いそうな所でもあるが、今日はその心配もない。
(写真は百間平からの赤石岳) |
百間洞(ぼら)山ノ家は新築の立派な小屋だった。小屋の庭先で正面に見える聖岳を眺めながら昼食を摂った。 |
夕食はビーフシチューだった。こんな山奥の小屋に牛乳まで売っていた。
夕食後の団らんの時、聖平小屋から来たという20代の男女3人のパーティーが、「コースタイム8時間強の所を13時間かかった」と言っていた。「聖岳の下りがガレていて、思わぬ時間を費やした」と聞かされ、私も少々不安になった。私は逆コースでコースタイムが8時間40分であるが、10時間から11時間ぐらいは覚悟しなくてはならないと思った。
7時から主人のオカリナの演奏会があった。私は寝床でウトウトしていたが、オカリナの音色に誘われて一階へ降りていくと、7、8人が集まっていた。恥ずかしながら私はこの時までオカリナという楽器を知らなかった。主人が「コンドルは飛んで行く」を吹き終わると、一斉に拍手が沸いた。
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写真左は白峰南嶺の転付峠〜笊ケ岳間から見た赤石岳
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