阿弥陀岳〜赤岳・・2/2


 ここでのんびりと昼食を摂ってから、下山にかかる。
 ここは下りがヤバそうだと思ったが、それほどでもなく中腹まで下って来た。眼下に中岳ノコルが見えると、まるで真っ逆さまに下るようで思わず身震いするほどだった。

 無事にコルへ到着。ここから見上げる赤岳が垂直の壁のように見えた。早くあの赤岳へ行こう。一服もせずに中岳へ向かって歩き出した。

 ここは稜線歩きなので日差しを遮るものが無く、やたらと暑い。
 しかし、ダケカンバはすでに秋の装いだ。季節の移り変わりを肌で感じながら中岳を登って行った。


(中岳の登りから返り見た阿弥陀岳)

 コルから20分弱で中岳へ着いた。ここで一本。ここから見る阿弥陀岳が立派だ。ラクダのコブのような二つの岩峰が個性的で独特の魅力を醸し出している。今、あそこを登って来たのだ!と思うだけで嬉しい。
 時々、赤岳山頂付近にガスが流れる。しかし文三郎道を歩く登山者が見え、さらに地蔵尾根を下っている人達まで見えた。



(左が硫黄岳、右が横岳、左下に行者小屋が見える)

(赤岳と文三郎道分岐)

 中岳からは一旦下ってから、ガレ場をジグを切って登って行く。さっきまで暑かった日差しが雲に遮られると急に風が冷たく感じる。

 文三郎道との分岐まで来ると、文三郎を登って来たオバさん4人組と一緒になった。オバさん達から煩いほどの歓声が上がる。私はこの分岐へ立つのはこれで5回目になる。

 このオバさん達が私の後に付かず離れず付いて来た。オバさんの甲高い声と熊鈴の音にせかされる。先頭を歩いていたキンキン声のオバさんが私のすぐ後ろにピッタリと付いて来たので道をゆずってやると、何と5、6m先で休んでいた。「休むくらいなら追い抜くなっつうの!」

 ここからはガレ場を通って右側へ回り込み、岩場を登って行く。ちょうど10分でキレット・権現岳との分岐へ着いた。
 ここからは岩場を一気に登る。よくこんな所を雪とアイスバーンの時に登ったものだと我ながら思う。

 クサリに掴まりながら登ること20分弱で上部の分岐へ着いた。と言ってもここは大きな岩の間で休憩など出来る所ではない。
 さらに岩場を登り、梯子を登ると、やっと山頂の標識と山小屋が見えて来た。


(下部のキレットとの分岐)

(岩場を登って行く)

(上部の分岐)

   
 久しぶりに赤岳山頂へ立った。しかし、ガスで何も見えなかった。

 展望は明日に期待することにして、すぐに頂上小屋へ向かった。
 小屋へ着くなりビールを注文。山小屋でス−パードライが飲めるなんて嬉しい。

 外のテーブルで飲んでいると、横岳の一部が見えるようになり、眼下に赤岳天望荘が見えた。

 夕方になってガスが切れ、蓼科山の方がわずかに茜色に染まった。しかし、これが最後の展望となった。


(眼下に赤岳天望荘)

(左奥:蓼科山、蓼科の右手前:天狗岳)

 赤岳頂上小屋は、今日はガラ空きで宿泊者は20人弱だった。やはり今日来て正解だった。
 ビールを飲みながら山談義をしたYさんは、同郷の人だった。久し振りに故郷の話を聞かせてもらった。
 Yさんは、明日は権現岳を往復してから阿弥陀岳を登って帰るという。かなりの健脚だ。


2013年9月24日(火)
赤岳頂上小屋〜天望荘〜(地蔵尾根)〜行者小屋〜美濃戸

赤岳頂上小屋640〜702赤岳天望荘〜709地蔵尾根分岐〜753行者小屋800〜942北沢分岐

 昨夜は風雨の音で何度も目が覚めた。
 4時半に起きて玄関のドアを開けて見ると、濃いガスが流れ、その中に雨粒が混じっていた。これではご来光どころではない。
 小屋の朝食はご来光の後ということで6時から。それまでの時間が何と長いことか。

 やっと朝食を頂いて6時40分に出発。まずは天望荘を目指して下って行く。

 岩が雨に濡れて滑りそうだが、昨日登って来たような険しい岩場ではない。それに、必要以上にクサリがあるので楽勝だ!

 約20分で天望荘へ着いた。ここから見上げる赤岳の写真を撮りたかったが、雨ではそれも叶わない。


 小屋の脇を通り過ぎ、登りになると5分ほどでお地蔵さんと標識が立った地蔵尾根との分岐へ着いた。この地蔵尾根を歩くのは初めてである。
 地蔵尾根は特に険しい所もなく、鎖や工事現場の足場で組んだ階段などがあり、良く整備されていた。

 赤岳へ登る場合、文三郎道から登るよりこの地蔵尾根から登る方が楽だろうと思った。

 行者小屋の近くまで来ると、2,3本あったナナカマドが、わずかに色づいていた。

 今回はとにかく阿弥陀岳へ登れて嬉しかった。それに阿弥陀岳があんなにいい山だとは思わなかった。あんな良い山ならもっと早く登れば良かったと思った。

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