芦別岳・・3/4

(写真右は山頂近くのお花畑)

 お花畑を過ぎると雪渓があった。その雪渓をトラバースすると、いよいよ山頂直下である。14時ちょうどだった。大分遅れてしまったが、何とかここまで辿り着くことが出来た。あとはこの岩場を登るだけでいい。

 山頂へ向かって登り出すと、すぐに青い珍しい花があった(写真右下)。初めて見る花だった。

 私が写真を撮っていると本谷から登って来たオジさんから、「この花なんて言うんですか? 初めて見る花ですが・・」と聞かれたが、私も分からない。後で調べたら、どうも「エゾルリソウ」らしい。この花を見られるのは長い長い旧道を登って来た人だけに与えられるご褒美だと思った。

 山頂への道を登って行くとT字路になった。左が登り、右は下っている。一瞬躊躇したが、本谷から登って来たというオジさんが左側の岩場を攀じ登っているので、私も左側の道を登って行った。(これは間違い。右を下ること)

 道は絶壁のようになり、もう絶対に下れないと思ったが、踏み跡があったのでそのまま登って行った。そして何とか山頂へ辿り着くことが出来た。

 山頂には、先程のオジさんと中年のオバさん二人がいた。14時25分着。予定より約1時間も遅れてしまったが、日没までには登山口まで下れるだろうと思った。「山頂へ立った」という喜びは全く感じなかった。

 ここで、わざわざ持って来た缶ビールを飲み、オニギリを1個むりやり流し込んだ。

 ここで休んでいる時、途中で一緒になった男性2人連れが反対側から登って来た。そして私に、「あんな所を登ってはダメですよ・・。もっと右側へ回り込んでから登らないと・・・。下から見ていてハラハラしていましたよ。あそこで滑落して死んでいるんですから・・」と注意された。知らないというのは本当に怖い。

 先着のオジさんもオバさん二人も下って行った。私もぼちぼち下ることにしよう。
 山頂からの下りは、道がいっぱいあって分かりづらい。男性2人も下るというので一緒に下ることにした。

 15時ジャスト下山。ここから約3時間のコースである。18時着として、何とか明るいうちには着けそうだ。
 下りは得意である。本当はもう少しピッチを上げたかったが、初めての山でしかも熊がいる山である。一人で熊チェックをしながら下るより、多少ペースが遅くても3人で下った方が心強い。地元だという彼らについて行くのが賢明だろう。

 雲峰山付近から、今日登って来た旧道が良く見えた。夫婦岩のXルンゼが、白い雪渓でXの字に浮かび上がっていた。

(雲峰山付近から見た旧道。拡大写真は→こちら

 新道も旧道と同じく何の標識もなく、どこが雲峰山なのか、半面山なのかも分からずに下って行った。
 (写真右は手前が雲峰山、奥が山頂、だと思う)

 もう地図を出して調べようなどとは思わなかった。それに途中でボールペンを落としてしまったので、時計を見て時間を記録する必要もなかった。何もしないということがこんなに楽だとは思わなかった。

 鶯谷の覚太郎コース分岐には標識があった。覚太郎コースでユーフレ小屋へ下るのはかなりの急斜面だった。こんな斜面は下りたくないと思った。

 途中でこんな時間に登って来る人に会った。それも若い女性一人である。「途中でお泊り(テントで)ですか?」と聞くと、「いえ、行ける所までです」と言う言葉が返ってきたが、あれは絶対に途中で引き返すような顔ではなかった。よほどの健脚なのだろう。

 明るいうちに何とか新登山口へ着いた。18時15分着。本当に長い長い一日だった。ふれあいの家を出発してから14時間と15分。また自己記録を更新してしまった。これも足が遅いから仕方がない。

 一緒に下って来た2人連れは、旧道登山口に車を止めているというので、私の車で旧登山口まで送ってやった。その車中で、カムエク(日高にあるカムイエクウチカウシ山)の話になった。私は今年カムエクへ行く予定でテントまで買い込んだのだが、都合で来年行くことにした経緯があり、昨年登ったという彼らから色々と教えてもらった。
 来年こそ、何が何でもカムエクへ行くぞ! という決意を新たにした。

 翌日は天塩岳へ行く予定だったが、かなりバテてしまったことと、天気が崩れるというので取りやめた。

      芦別岳で会った花