阿蘇山(あそざん)    93座目

(1,592m、熊本)


仙酔峠から見る鷲ケ峰(正面)と虎ケ峰(左)の岩峰。右が高岳


仙酔峡〜(仙酔尾根)〜阿蘇高岳〜中岳〜仙酔峡

2002年5月2日(木)

宮地600−(タクシー)−仙酔峡615〜910阿蘇高岳930〜中岳〜1120仙酔峡−宮地−肥後大津−熊本空港−羽田

 阿蘇山は、高岳、中岳、根子(ねこ)岳、烏帽子岳、杵島岳の五岳(ごがく)からなり、最高峰は高岳である。
 その最高峰である高岳へ昨日登る予定だったが、朝から雷が鳴る大雨で戦意喪失、休養日と決めて民宿で寝ころんでいた。昼近くなって小降りになったのを見計らって烏帽子岳を登って来たが、肝心な高岳を登らなくては帰れない。

 今日は雨が降っても高岳を登る覚悟でいたが、朝起きてみるとその高岳がシルエットになって見えた。一日待った甲斐があった。

 6時に予約していたタクシーで仙酔峡(せんすいきょう)へ向かった。仙酔峡はミヤマキリシマが美しく、仙人も花に酔うというところからこの名が付いたという。そのキリシマが3分咲きというので楽しみだった。

 仙酔峡まで12、3分で着いた。100台も置けそうな広い駐車場に、まだ10数台があるだけだった。タクシーの運転手が「今日はここが満杯になって渋滞になりますよ」と言ったが、ロープウェイが動く時間になるとドーと押し寄せて来るのだろう。

 その駐車場を取り巻くようにミヤマキリシマの群落があった。写真を撮るには少々露出不足だったが、そんな事はおかまいなしにシャッターを押した。
 天気も上々。白い雲の合間から朝日が差し込んで来た。

 6時15分出発。
 右手にロープウェイ駅があるが、それとは反対に花酔橋を渡り、コンクリートの坂道を登って尾根の鞍部へ出た。ここが仙酔峠で、別名「鷲見平」とも云うらしい。
 左手前方に鷲ケ峰や虎ケ峰の鋭い岩峰が立ち並ぶ。つい、その鋭い岩峰に目を奪われてしまうが、目指す高岳はその右手奥に盛っこりとしている。ちょっとガスがかかっているのが残念。


まずは仙酔峠へ向かって行く。背後は駐車場とロープウェイ駅

正面の窪んだ所が仙酔峠

 ここからは本格的な登山道になった。途中で大きな岩塊の上へ出て下れず戻ること2回。
 登山道には所々に白いペンキが付いているが、ここは溶岩が固まった岩石なので、どこが登山道か良く分からない。逆にどこでも登れてしまうので、足元ばかり見ているとコースを見失ってしまう。

 途中の標識に、この尾根のコースタイムが2時間と書いてあった。私が見たガイドブックには120と書いてあったので、私は1時間20分と解釈したのだが、もしかしたら120分、すなわち2時間だったのかも知れないと思った。

 30分以上も登った時、高岳にかかっていたガスが切れ出した。前方を行くパーティーが絶壁のような所を登って行くのが見えた。まるでロッククライミングのようだった。

【拡大できます】

(高岳のガスが切れて来た)

(駐車場を振り返る)

(イヤラシイ岩場が・・・)

 時々、硫黄の匂いがした。いかにも阿蘇らしいと思った。
 ここは、石や岩の表面がペンキを塗ったようにツルツルしており、昨日の雨で更にツルツルである。雨の日にここを下るのは大変だろうと思った。

 8時48分、分岐へ着いた。しかし、展望は全くなかった。
 ここから、まずは左へ折れて東峰へ向かったが、山頂が分からなかった。広くなだらかな所に幾つかケルンがあったが、視界が50メートルほどしか利かず、下りとなった所で引き返してきた。

 再び分岐へ戻り、今度は高岳を目指して行くと、すぐにピークへ着いた。一瞬、山頂かと思ったが、分岐にあった標識には「東峰まで500m、高岳まで220m」と書いてあった。どうりで山頂にしては近すぎると思った。
 ガスって何も見えない時は、ピークから下るのは勇気がいるが、わずかに下って進んで行くと、ガスの中から人の声が聞こえてきた。まずは安堵。そこからわずかに登り溶岩がゴロゴロした山頂へ9時10分着。

 視界が利かない山頂には、先客が5、6人いた。その中の若夫婦にシャッターを押してもらった。
 ここで一服しながらガスが切れるまで待つことにした。しかし、一向にガスが切れる気配はなく、20分ほど粘ったが結局諦めて下山する。

 9時30分、山頂発。
 中岳へ向かって下っている時、犬を連れた単独行に会った。犬も阿蘇を登るのか、と微笑んでしまった。

(写真は中岳へ下る途中で返り見た高岳)

 中岳まで来ても背後の高岳はボンヤリとしか見えなかった。中岳の標識の上にカメラをセットして待ち構えたが、相変わらずボンヤリとしか見えなかった。

 諦めて下って行くと、一昨日の晩、高千穂町の民宿で一緒だった群馬県の5人のパーティーと会って驚いた。

 このパーティーは、「明日は天気が悪そうだから、今日中に久住山も登ろうと思っているんですよ」と言っていたが、さっき高岳の頂上でも、「今日中に久住を往復する」という人がいた。たとえ車で移動するにしても、完全に百名山病にかかった重症患者だと思った。

 ここからは登って来る人が多くなった。きっとロープウェイで来たのだろう。展望台まで行くと観光客でいっぱいだった。
 私はロープウェイ駅の右側にある遊歩道を下って行った。しかし、コンクリートの急な斜面は歩きにくかった。

 しばらくすると、右手に今朝登った仙酔尾根がクッキリと見えて来た。山頂部だけがガスっているようだ。


(ロープウェイを左手に見ながら下って行く)

(右手に仙酔尾根が見えて来た)

 駐車場近くなると、ミヤマキリシマの群落になった。ここは南斜面のせいか満開だった。私も仙人のように花に酔った。


(ミヤマキリシマ−1)

(ミヤマキリシマ−2)

 さらに下って行くと、観光客がドーと押し寄せていた。その観光客達も花に酔っているようだった。

 それにしても、ここは樹木らしいものはなく、あるのはミヤマキリシマだけである。なぜか異様な感じがしたが、これが満開にれば山一面がピンク色に染まるのだろうと思った。

 駐車場着11時20分。
 ここでタクシー会社へ電話をしてから缶ビールを買い込んで昼食にした。タクシーは15分ぐらいで来るだろうと急いで食事をしたが、渋滞で30分以上も待たされた。

 この後、宮地の民宿へ戻って汗を流してから、肥後大津へ出て、熊本空港へ向かった。