富良野岳〜十勝岳〜美瑛岳〜美瑛富士・縦走・・・1日目(2/2)

 富良野岳分岐へ戻り、再び重い荷を担いで三峰(さんぽう)山へ向かって行った。

 三峰山は、地図に「ヒグマ注意」と書いてある。こんな開けた稜線に熊がいるのかと思いながらも、ここは高山植物が多いのでそれを食べに来るのかも知れないと思った。

 イワウメやミネズオウなどを見ながら歩いていると、待望のエゾノツガザクラがあった。あったぞ〜!ピンク色をしたスズランのような花が何とも可愛いではないか!


(待望のエゾノツガザクラ)

(イワウメ)

(ミネズオウ)

 ここからはエゾノツガザクラ、キバナシャクナゲ、ミネズオウ、イワウメの花街道になって来た。「バンザーイ! こうでなくちゃあ・・!」と一人で歓声を上げた。

 それに背後の富良野岳が格好いい。


(三峰山の登りから見た富良野岳)


(斜面一面に広がるイワウメとミネズオウ)

 懐かしい標識が立った「かみふらの岳」へ到着。かつてここへ登った時はガスで何も見えなかったが、今は上ホロの奥に十勝岳、背後には三峰山と堂々とした富良野岳がバッチリ見える。

(右が上ホロ、中央が十勝岳)
 本日最後のピークである上ホロカメットク山をめざして下って行く。

 上ホロの登りで空身で走って来た若者3人に一気に追い越される。荷物を上富良野岳へ置いてピストンしているようだが、走って登るとは凄い!

 上ホロカメットク山の山頂からは、端正な十勝岳が見えた。あの時、ひと目でいいから見たかったナァ・・・。
 ここを下れば今宵の宿、「上ホロ避難小屋」であるが、まだ小屋は見えない。


 山頂から3,4分ほど下ると眼下に避難小屋が見えた。「サァ、早く小屋でビールを飲もう!」と気合が入る。

 そんな時、反対側から登って来た単独行が、私の装備を見て、「小屋泊まりですか? 今覗いて来ましたが誰もいませんでしたねぇ・・」と言う。
 今夜は私一人かも知れないが、それも良かろう!

 避難小屋には誰もいなかった。まずはザックを置いて、近くの雪渓で缶ビール埋めて冷やす。
 ビールが冷えるまで散歩のつもりで水場を探してみた。「水場」の標識の先は雪渓で埋め尽くされ、とても水が流れているとは思えない。

 手前の小さな雪渓の末端に、わずかな流れがあった。コップですくえば汲めそうだ。水が汲めるなら重い思いをして持って来なくても良かったものを!
 そもそも水がなくても雪渓があれば、雪を解せばいいのだが、ネットで「雪を解かしても汚くて飲めない」と書いてあったので持って来たのである。この辺の雪はアルプスの雪とは違うようだ。

 空はまだ青空が広がっている。上ホロと十勝岳を見上げながら冷えたビールで乾杯!山で飲むビールは最高! まさに至福のひと時。

 風が冷たくなって来たので厚手のシャツを着込む。

 結局、夕方になっても誰も来なかった。今宵は一人で貸切だ。

 小屋の出入り口に、「熊へ・お願い」という張り紙があった。誤字もあるが、これで熊も出没しないだろう。出入り口は、内外から鍵が掛けられるので、熊が夜中に入って来る心配はない。

 今回、一番悩んだのが寝袋である。十勝岳の天気予報で、標高2000mの9時、15時の気温が7,8度になっていた。ということは朝は4、5度になるに違いないと思い、最初は冬用のダウンにしようかと思っていたが、荷を少しでも軽くコンパクトにしたいので3シーズン+シュラフカバーで対応することにした。

 しかし、3シーズンでも暑く、夜中にはシュラフカバーを剥いで寝た。