そうだ! ジャンダルムへ行こう!・・・2/3


上高地〜岳沢小屋〜天狗のコル〜ジャンダルム〜奥穂高〜涸沢〜上高地

2016年8月25日(木):2日目

岳沢小屋〜天狗のコル〜ジャンダルム〜奥穂高〜穂高岳山荘(泊)

岳沢小屋520〜850天狗のコル908〜1146ジャンダルム(昼食)1217〜1425奥穂高1431〜1506穂高岳山荘

 5時20分、小屋を出発。
 小屋の前から天狗岩がそそり立って見え、テンションが上がる。
 小屋のヘリポートの所が登山口。
 昨夜は雨が降ったようで、雨露でズボンがびっしょりだ。

 ここには第1花畑から第3花畑があり、この花畑を見に来る家族連れも多いという。夏の花はほとんど終わり、すでに秋の装いだ。
 左手奥に乗鞍岳がクッキリと見える。今日は最高の天気だ。
(乗鞍岳をズーム)

 第3花畑を過ぎると急登になり、天狗岩が大きく立ちはだかって来る。
   

 ここからは天狗には見えないが・・・

 遠方から見ると天狗に見える。
(霞沢岳から見た天狗岩、どう、天狗に見えますか?)

 花畑を過ぎ、いよいよガレ場へ入って行く。
 昨日、一緒にビールを飲みながら歓談した、名古屋から来たという御仁と小屋を一緒に出たが、もうはるか上部を歩いているのが見えた。いかに私が遅いかを思い知らされる。

 もっとも私は、近年、体力がなくなったので、このジャンダルムで北アルプスを最後にしようと思ってやって来たのである。いわば北アの卒業登山なのだ。

 ゆっくり、ゆっくり登って行く。たとえどんなに歩みが遅くても、必ず目的地へ着くのだから・・・。

 右手の畳岩と左手の天狗岩が迫って来る。その谷間のガレた急登を登って行く。ここは数年前に下っているが、下りと登りではこんなに違うものか・・・?


(ガレた天狗沢。右は畳岩)

 やっと避難小屋跡へ着いた。脇にテント1張分のスペースがあるのでビバークが出来そうだ。

 懐かしい天狗のコルで大休止。(8時50分着)

 天狗の鎖場を登って行く3、4人のパーティーをタバコをふかしながら眺めていた。

 しばらくすると、2人が天狗から下って来た。そして私の隣へ腰を下ろす。中年の旦那さんと30代の若者?で、単独行だという。
 旦那さんは西穂山荘を朝3時半に出たという。

 若者は大分疲れたようで、「シンドイですねぇ・・・ここは! もうお腹いっぱいです!」といい、「あと2時間半で穂高岳山荘へ着きますか?」と訊く。

 私は、「ここからジャンまで1:40、ジャンから奥穂まで1:40、奥穂から小屋まで0:40」と伝える。

 そして、「ジャンへ登ってバンザイしても、絶対に気を抜かないように、そこからが正念場で、ウマノセという最難関があるから!」、と付け加えておいた。

 私もストックをザックにしまって出発(9時08分)。
 いよいよジャンへの道だ。ここからは両手両足の四駆でないと登れない。

 ペースこそ遅いが、順調に岩場を越えて行く。

 (写真右、ジャンへはこんな岩稜を行く)

 しかし、コルから50分ほど進んだ時、前方の絶壁に立ち往生。白いペンキはあるが、あの挟まった岩を越えられそうもない。

 しかし、「あんな所がルートであるはずがない」と思い、4,5m進んで偵察すると、何と鎖があった。ヤレヤレ!

 途中で、ガスの切れ間から一瞬、ジャンが見えた。しかし写真は撮れなかった。コブノ頭から正面にドガーンとそそり立ったジャンが見たい。

 そのコブノ頭からは、ジャンがガスでボンヤリとしか見えなかった(写真左)。
 しかし、たとえボンヤリしていても見えれば嬉しい。

 ジャンの取り付きは、来るたびに変わっているような気がする。コブノ頭から、オクホと直登の矢印が見える。

(写真手前:コブノ頭から見た奥穂との分岐)
(注:この分岐の左に【ジャン】のペンキ印があり、そこからも登れる)

 私は前回登った左手の「ジャン」のペンキ印から登ることにした。しかし、前回あった鎖は一切なかった。ルートハンティグをしながら登って行く。

 途中で道が怪しくなり立ち止まった時、幸い下山者がいて安堵。ご婦人から「ごゆっくりどうぞ!素晴らしい展望とは言えませんが・・!」と言われる。


 そしてジャンのテッペンへ立った。これで3回目の登頂になるが、今回も展望は利かない。しかし、登頂しただけで私は満足だった。

 ここで昼食にした。
 弁当を食べている間にも数人のパーティーが登って来た。

 しばらくすると、コブノ頭(写真右上)が見えるようになって来た。コブノ頭にいるパーティーやジャンを登って来る人まで見えた。

 ジャンの下りは、「↑、オクホ→」と表示がある直登コースの鎖を下った。

 ジャンをトラバースして、昔、下ったコースを懐かしく見上げる。(現在は×になっている)。あの時は本当に死ぬかと思った。

 ここからロバの耳を登って行く。難関は続き、息は抜けない。


 ロバの耳を越えると、最大の難関であるウマノセが待っている。泣く子も黙るウマノセである。
 今日はガスっているので余り恐怖感はないが、両サイドがスパッと切れ落ちた、まさに超痩せ岩尾根である。強風の時は飛ばされそうだ。

 そのウマノセを登って行く。このギザギザしたヤセ尾根に、巻道という言葉はない。


(ウマノセ)


 難所を越え、しばらくすると奥穂の山頂にいる人達が見えた。

 奥穂との分岐へ着いてヤレヤレ。

 奥穂の山頂も、だいぶ変わったものだ。いつの間にか大きな神社まで出来て、ゆっくりと腰を下ろす場所もない。昔は、山頂でラーメンを作って食べたものだが・・・。何か人工的過ぎるようで寂しい。

 穂高岳山荘へ着くなり、昨日、岳沢小屋で一緒に飲んだ方に、「今ですか!奥穂でしばらく待っていたんですよ!」と声を掛けられた。彼は重太郎新道を登って来て、早く小屋へ着いたようで、もうかなり出来上がっていた。

 私もビールを買い込んでカンパ〜イ〜!
 この山荘でもジョッキで生ビールが飲みたかったが、生もスーパードライもなかった。でもビールが飲めれば何でもいい。

 夕方になって、やっと奥穂と涸沢が見えて来た。

(写真左:涸沢を見下ろす。写真右:奥穂)