爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳−2/3

2日目:2014年9月23日(火・祝)

冷池山荘〜鹿島槍ヶ岳(北峰往復)〜種池山荘(泊)

冷池山荘530〜637布引山〜735鹿島槍ヶ岳(南峰)745〜813北峰分岐〜824北峰838〜843北峰分岐〜925南峰955〜1124冷池山荘(昼食)1205〜1450種池山荘(泊)

 昨夜は満天の星だった。今日は絶好の登山日和になりそうだ。

 5時からの朝食を済ませ、明るくなった空にクッキリと見える鹿島槍の写真を撮った。ここから見ると、あの優美さはなく、ゴツゴツしていて不気味なくらいだ。

 5時30分に小屋を出発。
 東の空がオレンジ色に染まり、テント場まで来た時、朝陽が昇る。久しぶりにご来光を見た。
 鹿島槍も紅葉も朝の陽光に照らされて輝いている。



 稜線へ出ると、鹿島槍の南峰は布引山の影に隠れてしまったが、左手に毛勝三山から劔岳、立山がズラリと並び立ち、振り向けば遠く槍穂まで見えるではないか。とにかく剱岳の迫力が凄い。

 昔、ここを登った時はガスで何も見えなかった。あの時一緒に登った仲間にこの光景を見せてやりたいと思った。


(遠く槍穂も見える)

(劔が凄い迫力だ!)

 それにしても、この布引山が邪魔だ。この山がなく鹿島槍が一気にそそり立っていたら、さぞかし見事だろうと思った。

 その布引山の山頂近くで、昨夜同部屋で「山頂でご来光を見る」といって3時に出かけて行った横浜の若者2人とすれ違った。
「山頂でご来光を見て来ましたよ! 最高でした!」と、興奮ぎみに言う。


 布引の山頂へ立つと、鹿島槍はもう目の前だ。何も遮るものはない。早く行きたいと心が逸る。

 蓮華岳の奥にピョッコンと頭だけを出していた槍穂も、かなり大きく見えるようになって来た。
 昨日、種池山荘から、追いつ追われつ登って来た単独のOさん(オジさんの略)と、ほぼ同時に鹿島槍の山頂(南峰)へ立った。時に7時35分。
 Oさんとお互いに写真を取り合った。

 鹿島槍はこれで3回目の登頂になるが、初めて登った時はガスの中で何も見えず、2回目は五竜から縦走して快晴の山頂へ立った。あの時の歓びが今蘇って来た。

 ここからは白馬や五竜、剱、立山、薬師岳など、アルプスのスターがズラリと並んで見える。いずれも思い出深い山ばかりだが、今日は自然と北峰へ目が行ってしまう。

 実は今回のターゲットは鹿島槍の北峰なのだ。今までキレットを2回歩いているが、2回とも巻いてしまったからだ。鹿島槍の魅力は双耳峰とそれを結ぶ吊尾根にあると思っている私は、どうしても北峰を登っておきたい。


(写真左:鹿島槍・南峰からの北峰。左側が五竜へ続くキレット)

 これから五竜へ行くというOさんが一足先に下って行った。私も北峰をめざして下って行く。上から見ると真っ逆さまに見える岩場を慎重に下って行く。こんな岩場を歩くのは久しぶりだ。最近はこの鹿島槍で遭難が多いという。もっともキレット側だろうが。

 下りきった鞍部に雪渓があった。昔、弟と雪渓をほじって食べたことが思い出される。

 30分弱で北峰とキレットの分岐へ着いた。Oさんがザックを置いて休んでいた。Oさんに北峰を登って行くことをお勧めした。

 分岐から11分で北峰の山頂へ着いた。北峰初登頂である。ここで写真を撮りまくっていると、空身でOさんが登って来た。

 ここから見る南峰(本峰、写真左)が圧巻だ。思えば分岐から11分で着くなら、ここを巻かずに登っておけば良かったと思った。

 北峰とキレットの分岐までOさんと一緒に下り、ここでお互いに健闘を祈りつつお別れ。
 再び南峰へ立った。今登って来たばかりの北峰が格好よく見えた。

 冷池山荘へ着くと、缶ビールをうまそうに飲んでいる人がいた。これから鹿島槍を登るという。そのうまそうなビールの誘惑に勝てず、私もビール買って飲みながら昼食にした。これから爺ヶ岳の登り返しがあるが大丈夫かな〜?

 爺ヶ岳の登り返しは、やはり酔っ払いにはシンドイ。休み休み登って行った。
 何度も何度も振り返って鹿島槍の写真を撮った。

(登山道の草紅葉)

(種池山荘付近の紅葉−1)

(種池山荘付近の紅葉−2)

 種池山荘へ着くなり生ビールを注文。 ベンチで飲んでいると、鹿島槍から下って来た方が私のトイメンに座り、今日は鹿島槍を日帰りだという。見るからにトレラン風だが、南峰から北峰を往復するのに25分(私は約1時間半)だったと言い、南峰から冷池山荘まで20分で下ったというから驚く。先月は甲斐駒の黒戸尾根を日帰りしたという。
 そんな、とてつもない話を聞いて一気に酔いがさめてしまい、彼を見送ってからもう一度飲み直す。

 16時を過ぎてからも下って行く人がいた。トレランのように1時間もかからずに下れるなら問題ないが、暗闇の中を下るとしたら・・・。昨夜の冷池山荘では同部屋になったほとんどが初心者のように見えた。日没前に到着することを祈るしかない。

 小屋はガラ空きでのんびり出来たが、愛煙家の私は喫煙所が外にしかないため朝晩は一服するたびに寒くて震えていた。