不帰ノ嶮 〜48年ぶりのリベンジ〜 1/3

八方尾根・丸山ケルンを過ぎたピークからやっと不帰ノ嶮が見えた。
八方尾根〜唐松岳〜不帰ノ嶮〜鑓温泉〜猿倉
【プロローグ】
 今回は不帰ノ嶮かえらずのけんのリベンジである。
 それはもう48年も前になるが、仲間達と白馬岳から鹿島槍ヶ岳まで縦走する予定で大雪渓を登ったが、翌朝は本降りの雨になってしまった。
 しかし予備日もないことから雨天決行。しかし、その雨は激しくなるばかりで、まるで台風のようになってしまい、不帰ノ嶮では実にみじめな思いをすることになった。
 そもそも不帰ノ嶮とは、白馬鑓やりヶ岳と唐松岳の間にあり、「一度入ったら生還が難しい」と言われる急峻な岩場地帯で、別名「不帰キレット」とも呼ばれ、「日本3大キレット」の一つになっている。
 その不帰ノ嶮の鎖場は雨水が滝のようになって流れ、そこを登ったり下ったりを繰り返す。特に登りでは顔と雨具の間から水が流れ込み、全身ズブ濡れになって命からがら唐松山荘へ飛び込んだ。あと1,2時間も行動していたら「遭難」という文字がちらついたかも知れない。
 その後、この不帰をリベンジしようと大雪渓を登ったが、その時も天気が悪く途中で断念し、白馬鑓温泉へ下っている。
 そんな訳で今回は再リベンジである。出来ればあの時と同じ大雪渓から登りたかったが、今年は雪不足で「大雪渓が通行止め」になっているため、逆コースの唐松岳から行くことにした。
 とにかく、「晴れた日にもう一度あの不帰の岩場を歩いてみたい」、という切なる思いで出かけて行った。
1日目:2024年8月19日(月)
八方池山荘〜八方池〜唐松山荘
  
    
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            | 746ゴンドラアダム―アルペンクワット―グラートクワット〜821八方池山荘〜926八方ケルン〜945八方池〜1105昼食1125〜1141扇雪渓〜1230丸山ケルン〜1407唐松山荘
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       昨日は八方の宿へ泊まり、朝食を頂いてから出発。 
       
       ゴンドラリフト駅へ向かって歩いていると、正面に白馬鑓ケ岳が見えた。思わずテンションが上がる。 
       
       ゴンドラアダムとリフトを乗り継いで、登山口である八方池山荘へ8時21分到着。ここで登山届を提出して出発。 | 
   
 
  
    
       ここは高山植物がいっぱいだ。山荘の前にはヤナギランがあった。ヤナギランを見るのは久しぶりだ! 
       
 また、鈴のようなハクサンシャジンがいっぱい咲いていて嬉しい。 | 
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      「あ、シロウマアサツキだ!」、と白馬岳の固有種だと思って写真を撮ったが、どうもタムラソウだったようだ。 
 
 花の写真ばかり撮っていて、なかなか前へ進まない。 | 
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 八方ケルンから八方池を半周したが、白馬三山も不帰ノ嶮も見えなかった。一瞬のガスの切れ間を期待したのだが・・・。楽しみの一つであったので残念、またいつの日か来よう!
  
    
      
        
      (本来なら白馬三山がこのように見える)
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      (実際はこんな感じ・・・普段の行いが悪いのかも?)
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 さらに、この白馬三山の左手に不帰ノ嶮が、T峰、2つのピークを持ったU峰、そして3つのピークを持ったV峰と分かりやすく並び立って見えるというのだが・・・。
 この八方池までは家族ずれや若者が多いが、ここからは人もまばらになる。
 私は花の写真を撮りながら歩いていく。
 丸山ケルンから20m程歩いた所に、キバナシャクナゲが咲いていた。この時期まで咲いてるなんて嬉しい。
      
       だいぶ視界が効くようになって来た。
  
    
      |  凄い岩場を歩いている人がいた。近づいて行くと巻道が閉鎖され、尾根コースのロープが張った岩場を登っていく。 | 
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 そして、その岩場を登り切った時、待望の不帰ノ嶮が目に飛び込んできた。左手に唐松岳、その右に不帰ノ嶮の三峰が見え、二峰は残念ながらガスの中だ。
 明日、あそこを歩るくかと思うと、嬉しさと緊張感で身震してくる。
 唐松山荘へ14時7分着。
 山荘から唐松岳を往復している人が大勢いるが、私は明日、唐松岳を通過するので行く必要はない。
 ビールを飲みながら明日の天気予報を調べると朝の9時から雨になっている。雨の不帰は絶対に歩きたくない。唐松岳を往復して下山することになるかも知れない。明朝の天気によって判断しよう。
 夕食後、雷雨になった。増々不安が募る。「岩場は滑るだろうなぁ・・」などと弱気になった。「神様、仏様、明日は晴れますように!」