不帰ノ嶮かえらずのけん 〜48年ぶりのリベンジ〜 3/3

 1日目:八方池山荘〜唐松山荘
 2日目:唐松山荘〜不帰ノ嶮〜天狗山荘
 3日目:天狗山荘〜鑓温泉〜猿倉

3日目:2024年8月21日(水)

天狗山荘〜鑓温泉〜猿倉

天狗山荘615〜655鑓温泉分岐〜大出原〜928鑓温泉小屋945〜1235小日向ノコル1300〜1442猿倉

 朝5時に外へ出てみると、昨日5、6張りあったテントが一つもなかった。やはり山屋さんは早立ちだ。

 ここは小屋の脇からご来光が見えるそうだが、今日はガスで視界が効かずご来光どころではない。

 朝食を頂いて6時15分小屋を出発。

 5,6分も歩くと、待望のウルップソウが咲いていた。思わず「あったぞー」と駆け寄った。よく見れば周りに沢山咲いているではないか。


 ウルップソウは北海道、白馬連峰、八ヶ岳だけに咲く「地域限定」の花である。そのウルップソウを見ることが出来て嬉しい。昨日は咲き殻ばかりだったので尚更だ!

 それにチングルマやヨツバシオガマなどが一面に咲いている。今日はお花見だ。


 鑓温泉分岐へ近づくにつれガスが切れ、分岐へ着いた時は白馬鑓ケ岳がバッチリ見えた。

 分岐へ6時55分着。

 当初は時間があったら鑓ケ岳を往復しようかと思っていたが、もう行く気はない。不帰ノ嶮を歩いただけで十分だ。

 分岐から下ると信州側はカンパレで雲海が広がっていた。それに今出で来た天狗山荘が見えるではないか。
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 大出原のハクサンコザクラを楽しみにしていたが、一輪も咲いていなかった。今年は雪解けが早かったので花が咲くのも早かったのだろうか。

 鎖場を越えると花が多くなって来た。花好きにはたまらない。


 花の写真を撮りながら下って行き、温泉小屋へ到着。露天風呂に入っている人が見えた。

 ここでペットボトルへ水を満タンにして行く。

 小屋から15分ほど下った時、思わず「オー!」と声を張り上げてしまった。熊がいた訳ではない。クルマユリが群落で咲いていたからだ!
 それにニッコウキスゲまで咲いているではないか。バンザーイ!


 花のオンパレードになってきた。

 途中で水を飲もうとして、さっき休憩した時、温泉小屋で満タンにしてきたペットボトルを置き忘れて来たことに気づく。予備の半分入ったペットボトルの水でしのぐ。予備の水を持っていて良かった。この先に水場があるようなのでそこで補給しよう。

 最初にあった沢は、岩からタラ、タラと落ちる水をコップに溜め、それをペットボトルへ入れる。ここで10分以上かかったと思う。このロスタイムが猿倉で最終バスに乗り遅れた原因になった。

 小日向ノコルはどこがコルか分からなかった。たぶん木道があった所のような気がする。

 木道を過ぎた所に開けたところがあったので、そこで昼食にした。

 しかし、お赤飯は一口しか食べられず、おかずだけ食べた。そういえば昨年行った双六小屋グループの弁当も赤飯だったような気がする。

 私だけかもしれないが、赤飯は疲れた時は本当に食べられない。腹持ちはいいかも知れないが、それより食べられなければ始まらない。

 さて、ここからは急いで下ろう。ここから猿倉まで1時間50分の所を1時間35分で下れば終バスに乗れる。

 急いで下ったが猿倉へ着くと、小屋の方が、「バスは今、行ったばかりだよ!」という。終バスに5,6分遅れてしまった。
 結局、タクシーを呼んで八方へ戻った。


【エピローグ】

 長年の心残りだった不帰ノ嶮をリベンジできて嬉しく思っている。長年、背負っていたモノをやっと下ろせたような気がする。

 それにしても若い頃、よくもあんな岩場を暴風雨の時に歩いたものだと思う。(登山は暴風雨の時はやめましょう)

 コースについては、白馬岳から行くと鎖場の登りが多くなり、唐松岳から行くと下りが多くなる。雨や風がなければどちらから行っても余り変わらないと思う。

 槍や穂高、劔にも鎖場は多い。しかし、ほとんど危険を感じる所はないが、不帰は鎖がない岩場やガレ場などがあり、鎖場以上に緊張する所があった。(慎重に歩けば問題ない、と思う)

 今回はお花見紀行でもあった。3日間でザッと70種類以上の花を見ることが出来た。写真を撮らなかった花を含めると80種類以上あったかも知れない。それゆえ大満足の山旅だった。

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