神室山−2/2

 9時56分、山頂着。ちょうど栃木県から来た2人組が下るところだった。先に行った地元のオジさんは、小屋を見に行っているという。

 一人ぼっちの山頂で缶ビールを飲んでいると、さっきのオジさんが戻って来た。小屋は老朽化しているため使用禁止になっているはずである。やはり鍵がかかっているため中へ入れなかったという。

 山頂からは、ガスが切れた瞬間だけ近くの山が見えた。

 しばらくすると、私と同年代の単独行が登って来た。この人は私と隣町の津久井から来たという。昨日は暴風雨の中、船形山を登って来たというので、船形について色々と教えてもらった。この方はこの神室山で200名山達成だという。お祝いの言葉をかけてやった。

 一方、地元のオジさんは、この山はもう何回も来ているといい、2月ごろの雪山がいいという。テントを持たずにスコップを持って雪洞を掘って縦走するのだという。恐れ入った。

 少しずつ眺望が利くようになって来た。オジさんから小又山や火打岳を教えてもらった。それにしても見渡す限りの山並みである。とても1300mの山とは思えない。
 湯沢市のHPには、『みちのくの小アルプスと称され、登山者の心を引き付けている』と書いてあったが、「みちのくの小アルプス」とは良い名称で、ぴったりだと思った。

 私はビールを飲んだせいか寒くてしかたがないので、一足先に出発することにした。
 10時25分、山頂発。
 山頂から下って行くと、次々と登って来る人達に会った。やはりここは人気があるようだ。

 分岐を過ぎ前神室へ向かいながら、300ミリの大雨と25〜30メートルの強風に耐え、わずかに残っている紅葉を写真に収めていると、今までガスで見えなかった山形県側の斜面が見えるようになって来た。紅葉がすばらしかった。思わず歓声を上げた。感激である。今回は紅葉を諦めていただけに、これほどの紅葉が見られるとは思わなかった。


 途中にあった小さなピークで、70歳くらいのオジさんから、「ここが神室の山頂ですか?」と聞かれる。振り向いて説明しようとしたが、すでに神室の山頂はガスに隠れていた。オジさんに、ここは山頂ではないことを伝える。

 しばらく待ってガスの切れ間から山頂と小屋が顔を出した時、「あれが山頂ですよ」と教えてあげた。オジさんは神室ダムの方から登って来たというが、かなり疲れているようだった。

 しばらく進んで行くと完全にガスが切れ、青空が広がった。神室ダムとの分岐では、正面にある前神室山と背後にある神室山の写真を撮るのに忙しかった。紅葉も良くなって来た。前神室山の左斜面の紅葉がいい。

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前神室山

神室山、右後方が小又山

有屋口分岐。神室ダムが見える

 11時45分、前神室山へ到着した。まず最初に下る道を確認しておこうと思った。インターネットでここからの下り道で間違えた人が多いことを知っていたからだ。

 しかし2本ある下り道の1本に「通行止め」の表示があった。確かにここは間違いやすいと思った。あの表示がなく、ガスっていたら真っ直ぐ下ってしまうだろうと思った。通行止めの表示を付けてくれた方に感謝する。

(前神室山頂から見た神室山・・中央奥)

 ここで一服していると、神室の山頂で一緒だったオジさんと、津久井から来た方が登って来た。再び3人で腰を下ろす。ここで昼食にした。

 12時15分発。
 オジさんは足が速い。急な斜面を飛ぶように下って行く。
 第3ピークから下って少し登り返すと第2ピークがあった。
 第1ピークへ13時ジャスト着。ここから津久井から来た方と一緒になった。ここも登山道はジグがない一直線の下りである。

「何でジグがないんだろう」と私が言うと、彼は「ここは切り出した材木を滑り下ろしたからでしょう」と言う。なるほど、それで納得した。納得したのはいいが、急斜面を真っ直ぐ下るのは下りにくく、その上足元が滑るのでたまらない。スッテンコロリンをやってしまった。

 登山口へ13時58分着。
 帰りは鳴子へ寄ってお土産を買い、コンビニでビールと食料を買い出して、ベースキャンプである川渡温泉へ向かった。明日は船形山である。

紅葉のおまけ