万太郎山・・・3/3

紅葉真っ盛りの谷川岳〜万太郎山・縦走(2日目・・その2)

 

 万太郎の山頂から再び分岐へ戻り、土樽をめざして吾策新道を下って行く。

 この尾根は、”恐竜の背中のような岩峰”が並び立っている所である。その岩峰がさっそく現れて来た。私はこの岩峰群に惹かれてやって来たようなものだが、岩峰には立たず、左側を巻いて行く。
 その巻道に紅葉が見られるようになって来た。昨日は谷川の紅葉を楽しんだが、今日は紅葉など期待していなかったので、雨に煙る紅葉が目に染みた。

 岩場の下りが怖かった。岩の表面がツルツルでアイスバーンのように滑るのだ。それに泥んこの下りも滑りそうで怖い。こんな所で捻挫でもしたら大変だ。一歩づつ慎重に下って行った。

 ガレ場を必死で下り、やっと歩きやすい道になった。ドウダンの紅葉も良くなって来た。


 小さなピークを登ると、錆びた鉄骨に「井戸小屋沢ノ頭」と小さく張り紙がしてあった。
 雨も小降りになったので、ここで昼食にした。小屋で作ってもらったオニギリを1個だけ食べた。

 ここからも、岩峰を巻いたり、ガレ場を下ったり・・・。

 道端の紅葉が見事だ。さかんにシャッターを押した。



 50分歩いても、1時間歩いても大ベタテノ頭へ着かない。結局は分からずに通り過ぎてしまったようだ。

 以前、痛めた左足の膝が痛み出した。痛みに堪え、泥んこの急斜面を滑らないように慎重に下って行く。
 ついに、膝の痛みに耐えられず、鎮痛剤を飲んだ。

 途中で足を滑らせてスッテンコロリン。イナバウアーをやってしまった。今日は雪に降られ、雨に降られ、膝の痛みに耐え、泥で滑る道を下って行く。もう泣きたい気分だった。

 ブナ林の下りになった所で、大きな荷物を持った青年に追い越された。今日はこの道を下っているのは私一人かと思っていたのでホッとした。彼は平標山から来たという。

 鎮痛剤を飲んでもすぐに効くわけでもなく、膝の痛みは消えないが、ブナの黄葉が慰めてくれた。

 やっと林道へ出た。14時1分。
 ここからは林道を下って行く。道が平らになったせいか、薬が効いてきたせいか、膝の痛みは消え、まるで別人のようにサッサと歩く。途中でやっと雨が止んだ。

 土樽駅へ14時50分頃に着いた。ここは無人駅で誰もいなかった。途中で追い越して行った青年はどこへ行ったのだろう。

 土樽駅15時24分発の電車に乗って土合駅へ戻ったが、土合は晴れていた。「コノヤロ−!」と怒鳴りたい気分だった。

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