瑞牆山(みずがきやま)    24座目

(2,230m、 山梨県)


富士見平小屋付近から見た瑞牆山。

【登頂歴】
 A2016年6月1日 シャクナゲ紀行(不動滝〜瑞牆山〜富士見平小屋)

 @1994年3月21日 残雪の瑞牆山(瑞牆山荘〜瑞牆山往復)


@残雪の瑞牆山

1994年3月21(月)

瑞牆山荘〜瑞牆山往復

相模原−相模湖IC−須玉IC−増富ラジウム鉱泉−瑞牆山荘〜瑞牆山往復

 3月に入って間もない頃、残雪の状況を瑞牆山荘へ電話で尋ねると、
「道路はカチカチに凍ってスケートリンクのようです。チェーンを4つ着けてノロノロ走らないと危険です」
 と言われ、2週間ほど待ってから出かけて来た。

 増富温泉を目指していると、背後に甲斐駒ケ岳が見事に見えた。
 雪はこの2週間でほとんど解け、増富温泉までは全くなかった。瑞牆山荘近くになってわずかにあったが、チェーンを着けるほどではなかった。

 しゃれたペンション風の瑞牆山荘の隣に車を止め、ピッケルを持って登山道へ入って行った。所々にわずかに残雪があった。
 なだらかな白樺林をしばらく登ると、左手に待望の瑞牆山が見えてきた(写真左)。森林の中に大きな岩や石が天を突くようにそそり立ち、何とも異様な光景だった。

 深田久弥氏は、この山を、
『麓の村では以前瘤岩と呼んでいたそうである。(略)瘤岩と呼ばれたほど大きな岩がゴツゴツ立っている山である』といい、さらに
『この山は岩峰の集合体とでも言うべきか。岩峰群を持った山は他にもあるが、瑞牆山のユニークな点は、その岩峰が樹林帯と混合しているところである。まるで針葉樹の大森林からニョキニョキと岩が生えているような趣である』
 と言っている。

 この文章だけで瑞牆山がどんな山であるか見当がつくに違いない。

 富士見平近くなると、急に残雪が多くなった。富士見平には富士見平小屋が建っており、金峰山と瑞牆山の分岐点になっている。
 私が小屋の前に立った時、近くのテントから顔を出している人がいたので、その人にお願いして写真を撮ってもらった。

   (瑞牆山の岩峰がだんだん迫力を増して来た)

 いよいよここからが瑞牆山への道である。小屋の左手の道を進んで行くと、さらに残雪が多くなった。その残雪を踏んで天鳥川へ下って行った。

 下りきった所で、昨年の秋にNさんとSさんがこの瑞牆山を登った帰り道、「下り切った所で一杯飲んだ」と言っていたので、たぶんこの辺で休憩しながら持って行った缶ビールを飲んだのだろうと思った。

 ここからは、森林の中の急登になった。苔むした岩や倒木からツララがぶらさがっていた。

 足元にも氷が現れるようになってきた。早速6本歯のアイゼンを着けた。実は6本歯のアイゼンを使うのは初めてだった。この季節なら簡易アイゼンで充分だろうと思ったが、今まで10本歯しか使ったことがなかったのでどうも勝手が違う。平らな所を歩くには問題はないが、急斜面を登る時は前歯がないので踏ん張りがきかない。10本歯を持ってくればよかったと悔やんだが遅かった。

 6本歯しかない以上これで登るしかない。急斜面を一歩一歩慎重に登って行った。

 木の梯子を登り、木の根っこにつかまり大きな岩を回り込みながら登って行った。

 さらに登って行くと、石や岩が目の前に立ちはだかるように迫ってきた(写真左)。


 振り向けば雪で真っ白になった金峰山の稜線上に、五丈岩だけが黒々とした姿で立っていた(写真右)。その金峰山を眺めながら、テルモスのコーヒーを飲んだ。

 山頂直下の大きな岩を左から巻き込むと、大きな石が折り重なった山頂へ飛び出した。残雪が20センチもある山頂には先客が3人いた。その3人は真っ白になった八ケ岳をバックに写真を撮っていた(写真右)。

 山頂は抜群の眺望だった。八ケ岳はもちろん甲斐駒、仙丈、白峰三山から荒川、赤石らしい山まで見えた。

 

(山頂からの金峰山)

(山頂からの南アルプス)

 帰りは甲斐駒ケ岳の写真を撮りながら帰った。増富温泉付近から見る甲斐駒は、山頂とコブのような摩利支天が並び立って見え、迫力があった。
   (平成6年)