鋸岳 2/3

2005年9月18日(日)

避難小屋515〜546富士川水源の標識555〜廃墟付近〜756稜線810〜934三角点ピーク〜角兵衛沢の頭1035〜1112鋸岳1150〜1335三角点ピーク〜1422横岳峠1438〜 1517水源標識〜1550避難小屋(泊)

 朝3時50分起床。一服してからヘッドランプを点けて林の中へ分け入り、穴を掘ってキジを撃つ。もちろん終わった後は土をかけておく。

 5時10分、ご夫婦1組がヘッドランプを点けて出かけて行った。我々はその後を追うように出発する(5時15分発)。

 小屋の前から河原へ降りて徒渉し、本谷を遡って行く。道はペンキやリボンが付いているので迷うことはない。徒渉も4、5回あるが、靴の底が濡れる程度である。

 小屋から30分ほど登ると、「この先富士川水源」という標識が立っていた。そこから7、8mの所に細い流れがあり、10m先にロープがぶら下がっていた。奥には本谷が音をたてて流れていた。

(写真左が富士川水源の標識。ピンボケで済みません)

 ここで思うのは、なぜ「富士川の水源なのか?」ということだった。普通は釜無川の上流でいいではないか。さらに、無知な私には「水源」と「源流」の違いが分からない。いずれにしても「みなもと」だから最初の一滴が流れ出る所と思うのだが、ここは単なる沢でしかない。

 これは笑い事では済まされないのである。登山者がこの沢を見て、もっと上に「源流」があるのだろうと思って水を汲まずに行ってしまうと大変なことになるからだ。(現に隣へテントを張った若夫婦は水を汲まずに登ってしまい、途中から引き返して来た)

 我々は避難小屋近くで水を汲んで来たので、一口だけ水を飲んでからロープのある所を登って行った。

 ここは倒木などもあって歩きにくいが、リボンなどを目印に登って行けば問題ない。問題は分岐点である。真っ直ぐ行く道と右へトラバースぎみに登って行く道があり、右には赤いリボン、左に真新しいピンクのリボンが2つ付いていた。昨日、青年から聞いた話を思い出し、左側の道を行くことにした。(右が横岳峠へ行く道)これがつまずきの始まりだった。

 やがて道が細くなり、左手に廃墟になった伐採小屋が見えて来た。ここでリボンも道も無くなってしまい立ち往生。すぐ右手に細い流れがあったので水を飲んだ。(この沢の上流に富士川源流があったのかも知れない)

 そして、Nさんが沢の左側、私が右側を登山道とリボンを探し回った。私は横岳峠は絶対に右側だろうと思って探したが見つからず、しばらくするとNさんから「リボンがあったゾー!」との声がかかり、沢を渡って合流し、獣道のような細い道を登って行った。

 やがてワイヤーが現れ、そのワイヤーに沿ってわずかな踏み後が続くようになった。これはきっと伐採した時に使われたワイヤーだろうから、旧道か廃道だろうと思った。このまま進んでいいのだろうか?

 斜面が急なのと、うろつき回ったことですっかりヘバってしまった。水場からもう1時間40分もウロウロしながら登り続けている。ここで休憩(7時36分)。樹林の間から仙丈岳がくっきりと見えた。(最初は仙丈だとは思わなかった)
 我々が休んでいると、同じ避難小屋へテントを張ったご夫婦が登って来た。この人達も同じように迷ったらしい。

 ここからも不明確な道を登って行く。昔の地図やガイドブックには横岳峠を通らず、直接稜線へ出るようになっているので、これがその道かも知れないが廃道同然である。

 結局は稜線へ突き上げた。稜線上の良く踏まれた道を見た途端、そこへ座り込んでしまった(7時56分稜線着)。
 しかし、ここの位置が分からない。もし、これが当初の計画通り、昨日、横岳峠へテントを張る予定だったらエライことになっていた。重い荷物を背負って、しかも途中で日没になっていたかも知れない。

 元気を出して歩き出す。(8時15分)
 途中から、突然、右手に鋸岳の山頂が見えた。ポコンと盛り上がった岩塊に人が立っているのが見えた。あれが憧れの第一高点だ。先は長いが頑張ろう。

 途中で、昨夜、隣へテントを張った若夫婦が下って来た。もう往復して来たのかと驚いたが、彼は、
「水がないので諦めて下って来た」と言う。
 彼は「水源」がもっと上にあると思っていたが、その「水源」がなくて水が汲めなかったという。彼も「富士川水源」の標識に惑わされた被害者だった。

 再び森林地帯の中を行くが、しばらくするとパッと視界が開けたガレ場へ出た。ここから見る山頂がすばらしかった(写真右)。それに山頂の右奥に北岳も姿を見せた。仙丈は我々を激励するかのように背後にどっしりと横たわっている。三角点ピークはもう近いはずだ。

 やっと三角点ピークの分岐へ着いた。鋸へ行くには右の道を下るが、まずは三角点を踏もう。そのまま左手の道を進む。ほぼ平坦だが一番高そうな所で三角点を探したが見当たらなかった。そこから高度で1mほど下って登り返した所(距離で20mほど)に三角点があった。まずは第一目標をクリアー。

 再び分岐まで戻って、ここから右手のガレを見ながら下って行く。ある人のHPには、「ここを行けってが・・」とか「怖い岩場だった」とか書いてあったが、実際は心配するような所ではなかった。確かに岩と石と樹木がミックスしているが、登山道はほとんどが左手の樹木の中を通っている。鋸岳にしては物足りないくらいだった。

(写真左は三角点ピークの下りから見た第一高点→拡大写真)

 さっき山頂に立っていた2人が下って来た。彼らは横岳峠へテントを張ったという。

 角兵衛沢の頭から角兵衛沢を見下ろすと、まさにガレ沢で、穂高の天狗沢を思い出した。私はこんな沢を登らなくて良かったと思った。
 ここで写真を撮り、のんびりと休憩する。今日はもうガツガツ登る必要はない。

(写真右:山頂直下)

 山頂まで特に危険な所はなかった。鋸岳はザイルが必要なほど急峻な岩場かと思ったが、ここは誰でも登れるコースだった。

(道にさえ迷わなければ誰でも登れます。北アルプスにはこの程度の岩場ならどこにでもあります。ザイルが必要なのは第一高点から第二高点、三ツ頭間のようです)

 山頂へ11時12分着。
「ヤッター!」、ついに鋸岳の第一高点に立った。先着の男性が一人写真を撮っていた。