白馬三山・旭岳縦走・・3/4


2013年8月18日(日)
白馬山荘〜杓子岳〜鑓ケ岳〜鑓温泉〜猿倉

白馬山荘537〜642杓子岳分岐〜702杓子岳〜717分岐725〜814鑓ケ岳分岐〜817鑓ケ岳825〜853鑓温泉分岐〜917大出原〜1045鑓温泉小屋(昼食)1120〜1317小日向ノコル1325〜1439林道〜1450猿倉

 昨夜は満天の星だったが、夜明けと共にガスが流れ出した。しかも富山県側から流れるガスは唸り声を上げ、視界は50mも利かない。それでもガスの切れ間から時々展望が利くことがあった。

 今朝、ご来光を見るため朝食前に白馬の山頂へ登ると言っていた同部屋の人達も、全員が諦めたようだ。これではご来光どころではない。

 朝食を済ませ、5時37分に小屋を出発。

 村営頂上宿舎のテント場を過ぎ、杓子岳へ向かっている途中で、ボンヤリと太陽の輪郭だけが見えた。やがてスッキリと晴れて来ることを期待した。

(ガスの切れ間に撮った写真。花が咲き競う稜線)
 同、稜線から大雪渓を見下ろす。

 途中に真っ直ぐ行く平坦な道と、左手の岩とガレ場を登る道があった。てっきり杓子岳のテッペンへ行く道だと思って登って行くと、3分ほどでケルンがあるテッペンへ着いた。こんなに早く杓子岳へ着くわけがない。これは杓子岳ではなく手前の小さな岩塊だった。

 私の姿を見て後から来たご夫婦も登って来た。私はこのご夫婦を騙しているような気がして逃げるように反対側の道を下った。

 そこから7、8分も歩いた時、「山頂、巻道」と書かれた案内板があった。これが本物の杓子岳の分岐だった。

 ガレた急登を15、6分も登ると、登山者と標識が見えて来た。杓子岳には若い7、8人のパーティーがいた。

 山頂でガスの切れ間を狙って写真を撮った。しかし、ここは風が強く長くはいられなかった。

 杓子岳は南北に伸びており、下りは南側(鑓側)を下って行くが強風で飛ばされそうだった。そして、トラバース道と合流した所で休憩。一服しながら、「これでは唐松岳まで行く意味がない。今回は、若い頃に土砂降りの中を歩いた不帰ノ瞼のリベンジなのだ。それがこのまま進んではあの時の二の舞になってしまう」などと考えていた。
 いずれにしても天気次第である。とにかく鑓ケ岳を越えてから考えよう。

 鑓ケ岳へ向かっている途中で、前のパーティーが立ち止まっていた。「どうしたんだろう」と立ち止まると、若い娘が「ライチョウがいるんですよ」と教えてくれた。

 鑓分岐まで行くと、ザックが7、8個デポしてあった。ここからピストンしているようだ。しかし、私は荷物を背負ったまま登って行った。これが正解だった。

 鑓の山頂までわずか3分ほどで着いた。上空が大分明るくなって来たので展望が利くかも知れない。ここから何としても白馬の山頂が見たい。カメラを構えてガスの切れ間を狙ったが、ついに白馬は姿を見せなかった。

 この鑓ケ岳も3回目の登頂になるが、たった一度も晴れたことはない。
 鑓の山頂からは、先ほどの分岐へ戻らず反対側のコースを下って行くと縦走路と合流。省エネコースだった。

 縦走路を下りながら、もう唐松岳まで行くのを諦めた。

 鑓温泉分岐が見えて来た。あそこを下って今夜は八方の宿にでも泊まることにしよう。
   
 鑓温泉分岐から10分も下ると、信州側は晴れていた(写真左)。

 ガレ場を下って行くと、「大出原」という標識があった。何の特徴もない平凡な所だった。

 分岐から1時間も下ると、ナナカマドなどの低木が現れるようになって来た。そして、先ほど私が一服している時に追い越して行った山ガール2人が休んでいるのが見えた。
 そこには腰を下ろすのに絶好の岩があり、周りにはハクサンコザクラやチングルマが群落で咲いていた。ハクサンコザクラの群落に感激!


(お花畑−1)

(お花畑−2)

 そこから5、6分も下った所に、「この先鎖場、ストックはザックにつけて、両手を使えるようにしましょう!」との注意書きがあった。

 周りはクルマユリやオンダテが咲き誇っていた。

 正面に見えるトンガリは烏帽子岩だろうか。



 鎖場は、初心者なら両手を使って下る方が安全だろうが、特に危険な訳でも恐怖を感じるような所でもなかった。
 鎖を幾つか下ると眼下に雪渓が見えて来た。
 私はその雪渓を下るのかと思ったが、雪渓の手前で左へトラバース。すると温泉小屋の屋根が見えて来た。

 温泉小屋へ着くなり缶ビールを買って昼食。
 鑓の山頂で知り合った御仁が到着し、「温泉へ入りませんか」と誘われたが、温泉は我慢して下ることにした。彼はここへ泊まるという。

 小屋に張ってあったバスの時刻表には、猿倉発1505、1635とあった。15時5分のバスに乗るのは無理だろうと、のんびり下って行った。

 雪渓を幾つか渡ると、稜線のコルまで登りになった。最後の登りだと思って気合を入れる。登り切った所に小さな池があった。さらに平坦な道を行くと、ケバケバしい標識があり、「小日向ノコル」と書いてあった。

 ここで一服していると、後から来る人達は休憩もせずに急いで行く。「急げばバスに間に合うのかな?」と、地図のコースタイムと睨めっこ。
 ここからコースタイム1時間50分の所を1時間40分以内で歩けば、15時5分のバスに乗れることが分かった。「ヨシ!チャレンジしてみるか!」と立ち上がった。

 そして、トップギアで一気に下った。
 
 猿倉へ14時50分着。小日向ノコルから1時間25分で着いた。バスはまだ来ていない。小屋でかき氷を注文。これが最高にうまかった。