高原山−2/2

 いよいよ、ここからが主峰・釈迦ケ岳への道だ。地図には「熊出没注意」と書いてあるが、熊鈴はザックの中に入っている。最近はヒグマは困るがツキノワグマなら出てもいいとさえ思っている。

 分岐からの下りもシロヤシオが多い。それに同じ白い花のオオカメノキ(写真右)も多くなって来た。

 釈迦ケ岳は右側の尾根から登るようで、正面に見えた釈迦ケ岳を小さなピークから左手に見ながら下って行く。こんなに下ると帰りの登り返しが思いやられる。

 この辺のシロヤシオは花が小振りで、まだ蕾も多い。

 40分かかってやっと釈迦の手前のピークの取っ付きである。最初の2、3分はキツかったが、それからは楽になった。
 10分ほどで尾根へ出て、緩やかな道を登って行く。

 そして、いよいよ釈迦ケ岳本峰の登りになった。木や根に掴まり、オオカメノキの白い花に励まされながら登って行く。トラロープもあったが、使うほどではなかった。

 登り切った所が山頂か、と思いきや分岐の標識が立っていた。鶏頂山との分岐だった。
 そこから3分で広く開けた山頂へ着いた。山頂には高原山神社が祀られ、大きな釈迦如来像があった。


(高原山神社)

(お釈迦様)

(祠が建つ鶏頂山)

 たった一人の山頂で展望を楽しみながら昼食にした。遠くに見える雪を抱いた山は平ケ岳だろうか。山座同定が出来ないのが残念だ。もっと広いエリアの地図を持って来れば良かったと思った。

 釈迦からの下りでやっと登山者に会い、なぜかホッとするものがあった。
 やかましいほどのハルゼミの声を聞きながら歩いていると、突然、右足がつってしまい痛くてしばらくわめいていた。

 大入道との分岐(剣ケ峰)で休憩。ここで一服して行こう。釈迦の山頂からここへ来るまでに15、6人と会った。

 さて、ここからがシロヤシオ・ロードである。さあ行こう!と立ち上がった時、大入道方面からオジさんが来たので、挨拶代わりにシロヤシオについ訊いてみると、
「咲いてることは咲いてるが、今年はいつもの半分以下だっぺ!」、と栃木弁で期待外れの言葉が返ってきた。
 まあ、仕方がない。その”いつもの半分以下”のヤシオを見ながら下ろう。

 分岐から2、30mほど登った所に三角点と剣ケ峰の標識があった。
 ここから、ぐんぐん下る。道がなだらかになるとシロヤシオやミツバツツジが現れて来たが、驚くほどではない。

 しばらくすると登山道の両側がシロヤシオになった。確かにシロヤシオのトンネルだが、花がイマイチ少ない。
 半ば諦めかけながら歩いていると、ついにシロヤシオ・ロードになって来た。こうでなくちゃあ・・!せっかく来たんだから・・!

 これでも「いつもの半分以下」だというが、白い清楚なシロヤシオを見ながら新緑の森を歩くのは気持ちが良い。

 急登を登って行き、大入道のテッペンかと思った所に6、7人が昼食を摂っていた。そこからすぐに大入道へ着いた。ここはボッテリした所で展望はないが、ここでも水分補給をして行く。

 木漏れ日の中を下って行くと、突然、真っ赤なヤマツツジが現れ、ヤマツツジ・ロードになって来た。「ヤマツツジのトンネルだ〜!」と歓声を上げた。新緑の中に紅いヤマツツジが良く映える。

 やがてヤマツツジとおさらばし、道は涸れ沢沿いに下るようになって来た。そして大きな涸れ沢を2回渡ると小間々台のキャンプ場へ出た。
 
 ここからは遊歩道になり、道の両側はヤマツツジとレンゲツツジになった。レンゲツツジはまだ2、3分咲きだが、まさに群落だ!

 小間々台の駐車場から車道を歩いていると、道端に「本道路は、ツツジ開花時期の休日には、大変混雑します。出来るだけ、平日にご利用下さい」という案内板があった。この時期の週末は駐車場は満車で路肩駐車が長く繋がるという。私は平日に来て正解だと思った。

 途中に「外周遊歩道」の標識があったので歩道へ入ると、そこはツツジだらけだった。ヤマツツジとレンゲツツジの中を歩いて行く。これほどのツツジの群落は見たことがない。
 写真を撮りながら大間々台の駐車場へ戻った。駐車場はほぼ満車で路肩駐車もあった。


【遊歩道のヤマツツジとレンゲツツジ】

 高原山は一言でいうと、シロヤシオは丹沢の檜洞丸より4、5倍も多く、当たり年だったらさぞかし見事だろうと思った。
 また、小間々台から大間々台間のヤマツツジとレンゲツツジも凄い。あれほどのヤマツツジは見たことがない。

 コースについては、当初は小大間々台から大入道のシロヤシオを見ながら登ろうかと思ったが、腰痛の心配があったので、最短距離で釈迦ケ岳へ登り、帰りにヤシオ遊山としたが、これが正解だった。
 もし、大入道から登っていたら剣ケ峰へ着くまでにヘバっていただろう。それに今回は足がツルというハプニングがあったことを考えると、何はともあれ先に山頂へ登って正解だった。

 今度はアカヤシオが咲く頃に訪ねてみたいと思う。