残雪の阿弥陀岳・赤岳、登頂断念−3/3

 ここからは行者小屋を目指して行った。途中の中山乗越に展望台がある。まさに360度の展望だという。それを楽しみに登って行った。

 途中で直進と右へ曲がるトレースがあった。右の道が展望台だと思って荷物をデポしてカメラだけ持って登って行った。下山者にこれが展望台の道かを確かめたが、間違いないという。

 やっと中山峠へ着いた。標識を見ると右:展望台、直進:行者小屋、と書いてあった。思わずウソーと嘆いてしまった。デポして来た荷物を取りに行かねばならないからだ。

 とりあえず展望台へ行ってみようと登り出したが、もう元気がなくなった。途中にあった中山乗越というピークへ立つと360度見えた。わざわざ展望台まで行く必要はない。ここで写真を撮り、展望を充分楽しんだ。

【拡大してご覧下さい】

硫黄岳

横岳

赤岳(右は中岳)

阿弥陀岳

 中山峠へ戻り、デポした荷物を取りに行く。

 中山峠から10分ほど下ると行者小屋へ着いた。周りは1m以上も積もっていた。早速、テントの手続きをする。小屋の人から明日の予定を聞かれ、
「中岳道から阿弥陀、赤岳、地蔵尾根を下る」旨を伝えると、
「中岳道は雪崩の危険があるから通らない方がいいですよ。地蔵から登って文三郎道を下った方が無難です」とのアドバイスがあった。さらに、「水はこの時期はないので雪を溶かして使ってくれ」とのこと。

 それにしても、まだ雪崩の危険があるとは驚いた。身が引き締まる思いがした。

 初めての雪上キャンプは寒くて寒くてたまらなかった。缶ビールを飲んだら全身にガタが来て震えが止まらない。急いで持ってきた日本酒をコッヘルへ入れて熱燗にして飲んだら、やっと震えが治まった。

 夜中から降雪になり、寒くて寒くてたまらなかった。寝不足ですでに戦意喪失。
 雪は6時頃になって止んだが、ガスって山は見えない。早々に登頂を断念、撤退と決めた。

 美濃戸山荘まで下って来ると、何と背後に阿弥陀岳があざ笑うかのように、クッキリと聳え立っていた。

八ケ岳へ戻る