笊ケ岳 (ざるがたけ)

(2,629m、山梨・静岡)  187座

生木割のガレ場から見た笊ケ岳。双耳峰が美しい。

田代登山口〜転付峠〜笊ケ岳〜布引山〜老平

1日目:田代登山口〜転付峠
2日目:転付峠〜笊ケ岳
3日目:笊ケ岳〜布引山〜老平

1日目:2010年10月14日(木)

田代登山口〜転付峠

自宅−甲府南IC−640老平駐車場710−(タクシー)−740工事現場750〜815田代発電所〜822ゲート〜833迂回登山道840〜1112保利沢小屋1145〜1242ヨモギ沢出合1250〜1440水場1456〜1512転付峠(泊)

 私は南アルプスの甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳、鳳凰三山、さらには北岳からあいノ岳、てかり岳まで歩いたが、 当時はこの笊ケ岳の存在さえ知らなかった。

 白峰しらね三山といわれる北岳、間ノ岳、農鳥のうとり岳を登って奈良田へ下ったこともあるが、農鳥岳からさらに広河内岳、白河内岳へと延びる山嶺を白峰南嶺しらねなんれいといい、その盟主が笊ケ岳であるということを近年知った。

 その笊ケ岳へ登るには、転付でんつく峠から南下する方法、布引ぬのびき山から北上する方法、さらには椹島さわらじまから往復する方法があるが、椹島から往復する場合はコースタイムで12時間50分もかかり、私の場合はテント泊を余儀なくされる。しかもこのコースは笊ケ岳の最大の魅力である双耳峰を見ることが出来ない。

 そこで稜線近くに水場がある転付峠から南下する方法を選択。山梨県側の田代登山口から登り、転付峠と笊ケ岳で幕営して老平おいだいらへ下ることにした。

 早朝、Nさんを迎えに行って中央高速に乗り、甲府南ICで降りた。そして雨畑湖をめざして行った。小さい雨畑湖の上部にある老平集落の駐車場へ6時40分着。7時15分に約束しているタクシーはまだ来ていない。

 7、8台ほど止められそうな駐車場へポツンと車を止めた。大きな案内板には布引山から笊ケ岳の絵が書かれ、一番気がかりだった笊ケ岳の山頂にもテントのマークがあったのでホッとした。
 ちょうど通りかかった旦那さんに、ここの地名は老平ろうだいらというのか老平おいだいらというのか尋ねてみると「おい平」だと教えてくれた。

 さらに旦那さんは山を見上げながら、「あれが桧横手山で、あれが布引山だ」と教えてくれ、笊ケ岳の山頂にもテントが張れることも教えてくれた。

 予約していたタクシーに乗り込んで、転付峠の登山口である田代発電所へ向かったが、工事のためかなり手前で降ろされた。ここまでタクシーで約50分、料金は7,800円也。

 ここから舗装された林道を登って行く。勾配がキツくシンドイ。工事車両が通る度にタクシーも通らせてくれればいいのに・・・、とグチが出る。

 25分ほど歩くと田代発電所の橋があった。それを左手に見送って進み、工事現場の前から案内板に従って左手の林道へ入る。そこにゲートがあったが開いていた。

 ダートの林道を10分ほど行くと、「迂回登山道」の表示。ここから右手の小さい尾根を登らされ、下った所から今度は堰堤の架設階段を登って行く。

 そしてこの架設階段を下った所から本格的な登山道になり、最初の桟道が現われる。桟道や階段には全て番号が付けられ、転付峠まで99あるという。

 沢沿いに進んで行くと、すぐに岩をへつるようになり、黒部の「水平歩道」の超ミニ版という感じになって来た。


(堰堤の架設階段)

(最初の桟道)

(岩をへつるように歩く)

 昨年のシルバーウイークに登った人のHPに、「丸木橋で苦戦した」と書かれていた丸木橋には板が敷かれ、難なくクリアー。

 途中で滝が見えた。これが大滝だろうか?
 滝を見ながら1本立てた。

 そして、ここから5分も登ると、今度は3段の滝が現れた。これこそが「大滝」だろう。一番上の滝は段差もあり迫力があった。

 桟道は崩落している所や朽ちかけている所もあり、慎重に登って行く。そして50番目の桟道を越えた時、「やっと半分まで来たか・・・」とホッとした。

 ここはメチャクチャな急登ではなく、なだらかな登りだが、木の桟道が滑るので気を使う。アルミの桟橋は重量制限が150kgとなっていた。二人分の体重と荷物を考えると重量オーバーになりそうなので、一人ずつ渡って行った。

 東電の保利沢小屋へ11時12分着。小屋には「監視所」と書かれていたが、ほとんど使われていないようだ。
 テン場のような広い場所で昼食。のんびりしていると寒い。

 小屋の脇には東電の吊橋があった。以前は間違えてこの橋を渡ってしまう人がいたそうだが、今はロープが張られていた。この橋の右手にある尾根道を登って行く。

 しばらくして高巻きすると、取水口へ出た。そこから30mほど進んだ所で木の橋を渡るが、滑りそうで怖い。

 ここからは右岸、つまり沢の左側を行くが倒木が多く、廃道のような所もあった。

 さらに沢を渡り返すと徒渉点へ出た。ここは飛び石で渡る。ここで一服して行こう。

 ここからは山道になり、沢からドンドン離れて行く。
 途中に熊の糞らしいものやシカの糞などがあった。

 途中で蜂に刺されて驚いた。耳元で蜂の音が聞こえたと思ったら、耳の後ろ側を刺されていた。道端には蜂の巣が転がっていたので、私が蜂の巣泥棒だと思われたのかも知れない。

 私は蜂を見てないが、もし大スズメバチだったら大変なことになる。最悪の場合は命取りになるからだ。
 とりあえずタオルを濡らしてあてがいながら登って行った。

 視界が開けたガレ場から、紅葉が見えた。しかし、すぐに森林地帯へ入って行く。

 次第にクマザサが多くなり、高度が上がったことを実感する。

 左手から沢の音が聞こえて来ると、2分ほどで水場へ着いた。私が3.5L、Nさんが4Lを汲んだ。

(写真は水を汲んでいるNさん。ここは水が豊富だ)

 ザックが急に重くなった。すでにヘバッている身には応える。

 いつの間にかガスが流れ出した。水場のすぐ左上がテン場になっていた。5、6張りは張れるかも知れない。(テン場の前にも水場がある)

 水場から16分で転付峠へ着いた。しかし峠へ着いた途端に工事用の大型トラックが通ってガッカリした。苦労して登って来たのは何だったんだあ〜!

 峠へ着いてホッとしたものの、ここからテン場探しで苦労した。
 地図やガイドブックでは左側へ進めば二軒小屋との分岐があり、その先に天場とトイレがあるはずだが、トイレが余りにもボロで、しかも入口は灌木や雑草で覆われていたので通り過ぎてしまったのだ。

 林道分岐から左手の林道跡(道幅が広い登山道と思った方がよい)へ入ったが、テン場らしい所はない。手分けして探したが、結局、手頃な場所が見つからず、林道跡へテントを張った。

 テントを張れば、当然、宴会である。今宵の料理はNさんが一人で背負い上げてくれた水炊きである。熱燗と水炊きで身体を温める。Nさん、ご馳走様!

 テン場からは千枚岳と荒川岳と思われる山裾が見えた。明日はバッチリと晴れてほしいものだ。
 宴会も終わりに近づくと、寒くてガタガタ震える。急いでテントへ潜り込んだ。今日はダウンのシュラフを持ってきて正解だった。