明治十一年四月二十六日創立
  東京化学会規則並細則
    付 櫻井化学研究奨励資金規定 

櫻井化学研究奨励資金規定(明治四十一年十一月議定) 
第一条 本資金は東京帝国大学理科大学教授理学博士櫻井錠二君
   在職二十五年祝賀記念の為明治四十一年九月有志者より左
   の条件を以って本会に寄付せるものに係わりこれを櫻井化
   学研究奨励資金と称す

    櫻井教授在職二十五年祝賀記念化学研究奨励資金寄付条
  一 本資金は貴会一般の資産と分かちてこれを管理すること
  二 本資金は確実なる方法を以って利殖を計り毎年度の利子
   中三分の一は本資金に組入れ三分の二を化学研究奨励の用
   に供すること
  三 化学研究奨励の方法は貴会に一任すること
  四 化学研究奨励の用に供すべき金額の一部若しくは全部を
   次年度以降へ繰越し使用すると本資金へ組入れるとは貴会
   へ一任すべきも一旦資金へ組入れたるものはこれを使用せ
   ざること
  五 将来本資金中へ寄付の申込みをなす者あるときはこれを
   受領すること
  六 毎年一回出納決算書及び現在資金目録を製し貴会の年会
   に於いてこれを報告すること
第二条 本資金は本会一般の資産と分かちて本会会計掛これを保
   管し会長これを管理す
第三条 本資金は公債証券、郵便貯金若しくは確実なる銀行に於
   ける預金となしてその利殖を図る
   但し公債証券以外の有価証券を以って寄付に係わるものは
   そのままこれを保管することあるべし
第四条 有価証券を売買せんとするときは予め常議会の議を経る
   を要す
第五条 会計掛は毎年三月末日に於いて前一ヵ年間の出納決算書
   及び現在資金目録を製し会計検査委員の検査を経てこれを
   次の年会に報告すべし
第六条 化学研究の奨励の方法は褒賞授与及び研究費補助の二つ
   とす
第七条 褒賞は櫻井賞牌に金百円を付したるものとし年会に於い
   て前期会長これを授く
第八条 褒賞を授くべき者は前二ヵ年間に於いて本会会誌に登載
   したる報文を審査してこれを定む
   但し場合により他の出版物にその研究結果を登載したる者
   にこれを授くることあるべし
第九条 研究費の補助は第十三条に依る繰越金の範囲内に於いて
   これを行う
第十条 会員にして研究費の補助を得んと欲する者はその研究の
   目的を記し自己の業績の略記を添え毎年十二月末日までに
   会長に申出づべし
第十一条 会長は毎年一月常議会に於いて審査委員六名を指名す
   審査委員長は会長これに当たる
第十二条 審査委員会は第八条に依り褒賞を授くべき者を選定し
   且つ第十条の申出者中補助を与うべき者及び補助すべき金
   額を定め毎年三月常議会にこれを報告す
   但し褒賞若しくは補助を与うべき者なきときはその旨を報
   告すべし
第十三条 毎年三月常議会に於いて剰余金の内次年度へ繰越すべ
   き金額と本資金へ加うべき金額とを定む
第十四条 研究費の補助を得たる者はその研究の結果を先ず本会
   に報告すべし
第十五条 本規定を改正するには常議会の議決を要す
   
   付  則
第一回褒賞は明治四十三年に於いてこれを授く

   東京帝国大学理科大学内
      東京化学会事務所 
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