2004年の神舞


 このページは「スナメリ倶楽部」の「祝島の日々」から神舞関連のニュースを中心に、新たにいくつか画像を加えてまとめたもので、2004年に行われた祝島の「神舞」の様子を準備の段階から順に追って記録したものです。




カヤ刈り
神舞で使うカヤを確保するために、カヤ刈りがありました
といっても、この日に刈ったカヤは使いません

今の時期にカヤを一度刈っておけば、
細くて長い、きれいなカヤが7月ごろには生えてくるので、
神舞にはそのカヤを使います

朝8時に刈り始め、一面のカヤの藪が9時半にはきれいに刈り終わりました
                                           (撮影 2004/2/14)


神舞の切飾り
神舞の準備も進んできていて、今は各地区から人を出して切飾りを作っています

切飾りは神舞のときの仮神殿の中で天井から吊るす飾りで、
いろいろな神様(○○大明神や○○八幡宮など)の名前を切り抜いたものや、
神舞の場面や故事に由来した場面を切り抜いたものがあります
                                          (撮影 5/23)


花植え
祝島の三浦にある広場で婦人会による花植えが行われました

前日の夕方に花が来たために急遽決ったこの花植えでしたが
当日の朝の7時には80名以上の島のお姉さま方が集まり、
いっせいに広場の草刈りが始まります

ツタなどが多くて草刈り機で刈れないところもあり、
ほとんどが手作業で草刈りは進んでいきました
また、途中でハミ(マムシ)が出るというアクシンデントもありましたが無事捕獲されました

草刈りが終わると、今度は花植えです
広場を囲むように花を植えていきます
.
9時半には草刈りは終わって広場は花で囲まれ、
おばちゃんたちはジュースを飲んだりやびわを食べたりしてくつろいでいました

この広場は今年も行われる神舞でも使われる場所で、
8月16日にはここで大分の伊美から来られた神主さんが祝詞をあげられます
                                            (撮影 6/10)


縄ない
日差しを避けた涼しい路地に集まり、神舞の準備のために縄ないをしています

まずわらを叩き柔らかくしてから手でより合わせていきます
縄には太さに違いがあり、それぞれ仮神殿の筵を束ねるのに使ったり、
神様船が上陸する船着場から仮神殿までの道に飾る注連縄に使ったりします
                                  (撮影 6/20)


お飾り作り
この日は公民館で、神舞の仮神殿の中に飾られるお飾りが作られました

5月に各区で決められた数だけ切り抜かれた切飾りに、
上に仮神殿の天井から吊るすためのこよりを、下に飾り紙をつけて完成です
お飾りには、祝島にある明神様の名前を切り抜いたものと、
風景や絵を切り抜いたものの2種類があります

このお飾りは後日、伊美神社で御祓いを受けた後、本番での出番を待ちます
                                  (撮影 6/20)


衣装合わせ
島内のあちこちで神舞のポスターが貼られて、
だんだん島に神舞の雰囲気が出てきました

この日は入船・出船の櫂伝馬で踊る踊り手の衣装合わせもありました

今年踊るのは前回も踊った祝島中学校の木村の涼君と清水のやっちゃんです
二人とも4年前の前回よりかなり大きくなっているので、
衣装がなかなか合わず苦労したようです

踊りの練習は2人が夏休みに入ってから本格的に始まります
                                  (撮影 6/22)


神舞前の、御祓い
祝島から大分の伊美別宮社に詣でて御祓いを受けてきました
前日に詣でる予定が大雨で延期になり、当日も雨の中の参拝となりました

この日までに作っていたお飾りなどの神舞で使う道具の前で宮司さんが祝詞をあげられ、
その後、島から来た奉賛会の代表が一人ずつ参拝します
ちなみに、伊美神社での参拝方法は、2拍1拝1拍です
(拍は拍手(かしわで)、拝はお辞儀)

御祓いの後は別室でお神酒をいただき、
神舞当日までの準備や当日のスケジュールの打ち合わせをしました
                                       (撮影 6/27)


神舞準備
神舞で、仮神殿の前に立てられる鳥居や燈篭などの準備が始まっています
船大工の新庄さんが、前回使ったものを修理したり新しく作るなどして準備を進めています
                                       (撮影 7/9)


カヤ刈り
神舞の仮神殿にかける苫(とま)を作るためのカヤ刈りが各区で始まっています
2月に一度切ったカヤの株(祝島の日々2004参照)からは、
きれいでまっすぐ伸びたカヤが生えており、そのカヤを刈っていきます

朝6時過ぎに山に行って暑くならないうちにカヤを刈り取り、
枯れた部分などを取り除いて長い束と短い束に分け、集落の浜辺まで運びます

カヤがよく乾くように、浜辺の日当たりのいい場所で重ならないようカヤを広げていきます
乾きにムラが出ないように何度か裏がえしながら、一日半ほど干して干しあがりです
                                       (撮影 7/14)


苫編み
各区で「苫編み(とまあみ)」が始まりました
上に日除けをした民家の中庭や風通しのいい路地に女性が集まります

2〜3人がかりで干したカヤを少しずつ編んでいき、
1枚の苫が完成するのに半日ほどかかります

これが、神舞の踊りを奉納する仮神殿の屋根や壁になります
                                       (撮影 7/17)


踊りの練習開始
神舞まであと3週間と少しとなったこの日、櫂伝馬の踊りの練習が始まりました
今回の踊り手は全員前回踊っているので、少し練習しただけでかなり勘が戻ってきたようです

一方、太鼓の叩き手は2人が今年が始めてで、
独特のリズムを取るのに苦労していました

 
また、今回は山口県内のTV局が取材に来ていて、
涼君もやっちゃんも、多少緊張しながらインタビューに答えていました
                                       (撮影 7/24)


櫂伝馬の船降ろし
(↑クリック)


櫂伝馬、踊りの練習
陸上においてある櫂伝馬の上での踊りの練習がありました

床の上と違って高さがある上に揺れるので最初は踊りにくそうでしたが、
4年前の経験もあってすぐにコツを覚えて見事な踊りを披露しました

しかし昔踊ったことのある先輩方から見ればまだまだのようで、
細かい動きを指導されていました

櫂伝馬は30日には海に浮かべ、その上で踊りの練習が始まる予定でしたが、
台風の接近で少し先になりそうです
                                       (撮影 7/29)


櫂伝馬、海に降ろす
祝島を直撃するかと思われた台風10号は、東に逸れていきました
そのため祝島ではそれほど強い風は吹かず、程よく雨が降りました
神舞に向けて、いい水の補給ができたようです

台風の接近で予定が延びていましたが、
この日の朝早く、陸にあげていた櫂伝馬を海に降ろしました
夕方から、海上での練習が始まります
                                       (撮影 8/2)


櫂伝馬、海で練習
櫂伝馬を海に漕ぎ出しての練習が始まりました
最初は櫂がなかなか揃わず苦戦していましたが、漕いでいるうちに息が合ってきました

しかしこの日は台風の影響がまだ残っていたのか、
風もある上に雨まで降ってきました

風に流されて消波ブロックに近づきすぎてヒヤッとした場面もありましたが、
波と風の中、最初の練習は無事終わりました

今回の練習は夕方の涼しい中行われましたが、
本番は真昼の炎天下、厳しい条件の中で行われるので、さらに練習を重ねていきます
                                       (撮影 8/2)
(8/3画像追加)


竹切り
神舞の仮神殿を作るための竹を切り出す「竹切り」がありました

早朝のまだ涼しい6時過ぎ、各区から三浦湾に集まり、
2時間ほどかけて200本以上の竹を切り出しました
竹は海岸まで運んでから枝を打ち、集落までもって行きます

この竹は仮神殿の骨組みに使われ、その骨組みに苫をかけて小屋にします
仮神殿を組み立てる「小屋建て」は8/9に行われる予定です
                                       (撮影 8/3)


地鎮祭
神舞の仮神殿を作る「小屋建て」の当日、早朝から伊美別宮社の宮司さんをお招きし、
厳かな空気の中、地鎮祭が執り行われました

                                       (撮影 8/9)


小屋建て
地鎮祭の終了後、さっそく「小屋建て」に取り掛かりました
高さをものともせずたくさんの人が上に上り、骨組みが次々と組みあがっていきます
また神舞の舞台上の人目に触れる部分には、かずらが巻かれます

台風が近づいているため、苫掛けは台風が過ぎてからになりました
                                       (撮影 8/9)


巫女の練習
神舞で、伊美別宮社からの神主の方たちをお迎えする巫女の練習も始まっています

巫女を務めるのは小学4〜6年生の4人(この日は一人不在)で、
親が祝島の出身の子たちです

この日は初めて衣装を着ての練習に加え、TV局の取材もある中で、
緊張しながらもちゃんと作法どおり役目をこなしていきました

指導役のおばあさんたちからいくつか細かい注意なども受けていましたが、
「これなら本番でも大丈夫」と太鼓判をもらっていました
                                       (撮影 8/10)


化粧と衣装合わせ
この日は踊り手は化粧、衣装合わせをしての、
本格的な櫂伝馬の練習がありました

橋本のノリちゃん@化粧担当は、
一人につき約30分×4人の化粧を一人でこなし、かなりせんなそうでした
(本番ではアシスタントがつくそうです)

この日は海上での練習も本番さながらの船と櫂伝馬を繋いでの練習で、
いよいよ本番が近づいてきたという感じです
                                       (撮影 8/13)


「大歳社」の額
黒豆、小豆、粟、やいなり(緑色の豆)などで作った額で、
神舞の間、建てられる門に飾ります

神舞後は、公民館2階に飾られています
                               (撮影 8/13、2005/2/25)


苫掛け・鳥居・吹流し
苫掛けをはじめとして、鳥居や灯篭が立てられ、ノボリや吹流しが高く掲げられました
仮神殿は、ほぼ完成です

あとは天候をにらんで後回しになった壇上の畳敷きや、切飾りの飾りつけだけです
                                       (撮影 8/14)


「東京原発」祝島上映会
この日は夜、映画「東京原発」の祝島上映会がありました
(上映中につきフラッシュを焚かなかったため、分かりづらい映像ばかりで申し訳ありません)

特別に仮神殿を使っての上映会で、
映画のことを知らなかった帰省客もたくさんのぞきに来ていました

この晩は、この上映会もあって仮神殿の近くに自然に人が集まり、
同窓会や親族の集まりなどで賑わっていました
                                       (撮影 8/14)


仮神殿の飾りつけ
本番を前日に控え、切飾りの飾り付けがありました

祝島に祭られている16柱の神様の名前を切り抜いた切飾りを縄に括りつけ、
それを仮神殿の天井に張り巡らせます

この切飾りが飾られると会場の仮神殿は、
いよいよ神舞だという華やかな雰囲気になってきます
                                       (撮影 8/15)


神舞初日「入船神事」
いよいよ神舞当日です

この日はまず午前中に櫂伝馬と漁船が三浦湾へ向かい、
伊美から神主さんたちを乗せて帰ってくる3隻の神様船を出迎えます

その後、三浦へ上陸して三浦神事を行い、昼過ぎに集落へ向かいます
(昔はこのとき、一行は三浦で一泊していたそうです)


漁船20隻、櫂伝馬2艘、神様船の順に綱で結び、
さらに神様舟の後ろに有志の漁船20隻がついていき、
約50隻の船が一列になって三浦湾から集落へ向かいます

集落前に着くと、詰め掛けた人たちが波止場や海岸に鈴なりに並んでいます
今回の神舞では、2000人以上の人出があったそうです

そして船は一列のまま集落の前を3周回り、櫂伝馬上では踊りが披露されます
いよいよ「入船神事」の始まりです


が、当の撮影者(山戸孝)が櫂伝馬上で踊っていたため、
これ以降の撮影は出来ませんでした

入船神事の写真は「祝島ホームページ」のトピックスに掲載されていますので、
申しわけありませんが、そちらをご覧ください
                                       (撮影 8/16)


神舞特別イベント
今年は神舞開催中のサブイベントが夜間にいくつか行われます

初日の16日には、
まず親が祝島出身の井谷将人さんのCDデビュー記念ライブが行われました
ライブ後はサイン会なども行われ、若い人を中心に立ち見が出るほどの盛況ぶりでした
井谷将人オフィシャルサイト


井谷さんのライブの後は、講談師の神田香織さんの講談がありました

先ほどよりもやや平均年齢の高い客層が、こちらも立ち見が出るほどの人出の中、
古典の人情物を中心とした講談に聞き入っていました
神田香織オフィシャルサイト
                                       (撮影 8/16)


岩戸神楽
神舞の二日目は「岩戸神楽」が行われました

17・18日の二日で24種の神楽が奉納されますが、
やはり人気は神主たちが鬼たちを折伏する場面です

昼からの生憎の雨の中、苫ぶきの小屋は屋根にシートを掛けても雨だれが落ちてきますが、
それでも小屋の中ではカメラやビデオを構え、撮影する姿が見られました
                                       (撮影 8/17)


神舞最終日「出船神事」
鬼の持つ棒で頭を叩かれると無病息災のご利益があるといわれています
そのため鬼が棒を持って近づいてくると、
見物客は頭を叩いてもらおうと喜んで頭を前に出します
しかし中には鬼が恐くて泣き出してしまう子も

途中、台風による中止もありましたが最後の日は晴天に恵まれ、
神舞最終日は神楽も出船も無事とり行われました

出船神事では神様船や櫂伝馬に拍手が贈られ、
最後は別れを惜しんでお互いの姿が見えなくなるまで、
船からも陸からも手を振りあっていました
                                       (撮影 8/20)


神舞の後片付け
神舞が終わった翌日早朝、すぐに後片付けが始まりました

男女合わせて200人以上集まった島民の手で、
昼前には仮神殿は解体され、櫂伝馬は陸に上げられ、苫は海岸で干されました

櫂伝馬は言うに及ばず、仮神殿の骨組みの木材や苫も、
痛んでさえいなければ倉庫に大事に仕舞われます
また4年後の出番のために
                                       (撮影 8/21)


祝!「祝島神舞」が農林水産大臣賞受賞!

祝島の「神舞」が23日に行われる「オーライ!ニッポン全国大会」において、
「都市農山漁村交流活性化機構」などから最高賞の農林水産大臣賞を受賞しました!

詳しくは、「スナメリ倶楽部」「『祝島神舞』農林水産大臣賞受賞!」をご覧ください!
                               (2005/2/23)




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