加敷(かじき)




加敷とは船底の端から斜め上に伸びて棚(船壁)と繋いでいる部分の事
海に浮かんだときには水の中に隠れます

「敷」(船底のこと)に「加」えるから「加敷」といいます




まず板の端を墨壺で引いた線に沿って「ちょうな」で削っていきます(左上)
そして「前ちょうな」でさらに削ります(右上)

左下が「ちょうな」、右下が「前ちょうな」
「前ちょうな」は宮大工が使う「槍鉋(やりがんな)」によく似ています





「敷」の角度を測り(左)、「加敷」の接着部分の角度が合っているかどうかを確認します(中)
そしてカンナで削って調整していきます(右)




板と板を繋ぐ釘を打つ為の穴を「釘刺し」で空け(左・中)、
ノミでまわりを四角く彫ります(右・右下)

板の片方の端に転々と並んでいるのがそれです(左下)




「加敷」も船底と同じ様に「焼き」をいれて曲げますが、
ただ曲げるのではなく、船首部分の形に合わせて少し捻りながら曲げます(左下)
この「捻り」が入るところが船の難しいところであり、船大工の腕の見せ所です

2つ(左右あるので)曲げるのに半日かかり、その間はやはり付きっ切りです
食事も弁当を持ってきてもらって小屋で食べます




「加敷」を仮付けしたのを船首側から撮影したもの

下の写真は、「加敷」を付ける前(左)と仮付けした後(右)
右の写真なら「加敷」がどういうものか分かりやすいはずです

右の写真の「加敷」に焦げた部分がありますが、ここが「焼き」で曲げた部分です






「敷」に「加敷」を完全に付ける前に、「スリノコ」という作業をします

接着部分に薄刃のノコギリを入れて擦るように動かし、
小さな凹凸を無くして「敷」と「加敷」が密着するようにするものです

これをちゃんとしないと水が船の中に入ってきてしまうので、
「一番大事な作業」だそうです

これが終わってから本付けします




この大きさの船だと「加敷」には板2枚分の幅が必要になります
もちろん2枚目の板も「焼き」を入れ、1枚目と2枚目の板の間も「スリノコ」をします

左の写真の船の中にある仕切り板は「戸立」で、次の工程で紹介します




「加敷」を付けるとこのような感じになります
左から順に、船首(前から)、前部、胴体部分

この時点でだいぶ船らしくなります




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