オーナーのひとりごと  VOL.53
歴史や古典の授業を思い出す路線 '12.10.13〜21 万葉まほろば(桜井)線

 今年は古事記完成から1300年にあたり、また8年後は日本書紀完成から1300年だそうで、奈良県下では足かけ9年間「なら記紀・万葉ブロジェクト」という名称でさまざまな取り組みが進められています。記紀ならびに万葉集ゆかりの地を走るJR桜井線でも、「万葉まほろば線」という愛称を公募で定め、さらにコンペ形式でデザインを募集したラッビング車輛(105系)を走らせており、アニメのラッピング車はあまり好きではありませんが、これはなかなかおもしろそうと興味を持ち撮影に…。このマイナーな路線は定番の撮影ポイントやお立ち台はほとんどないので、やや苦しいところもあるものの、史跡や旧跡などとのツーショットを狙ってみました。(文中の短歌は万葉集から引用です)

■■いにしえの史跡・旧跡とのツーショット■■
   二上山(金橋〜畝傍 間) →
     
     右後方の山が、大阪と奈良との境に
     雄岳・雌岳の頂をもつ二上山(にじ
     ょうざん・大和言葉ではふたかみや
     ま)です。雄岳山頂には大津皇子の
     ものといわれる墓があります。


  うつそみの
  人にある我れや明日よりは
   二上山を弟背と我が見む
 
 箸墓古墳
     (三輪〜巻向 間) →

  右後方の森が、第7代孝霊天
  皇の皇女、倭迹迹日百襲姫命
  (やまとととひももそひめの
  みこと)の陵墓で、邪馬台国・
  卑弥呼の墓という説もある箸
  墓古墳です。
 
← 帯解寺
   (帯解〜京終 間)

   列車右側の寺が、皇室
   にもゆかりのある、安
   産祈願で有名な帯解寺
   (おびとけでら)です。
   皇族の妃殿下ご懐妊の
   際には岩田帯等を献納
   することでも知られて
   います。
    
 
← 三輪山(三輪〜巻向 間)

    中央後方の山は、大神(おおみわ)神
    社(三輪明神)のご神体・三輪山です。
    大物主大神(おおものぬしのおおかみ)
    を祭神とする大神神社は、本殿がなく、
    拝殿から三輪山を拝礼します。なお三
    輪山は、古代から神域として人の手が
    入っていない原生林の山です。


 三輪山を
  しかも隠すか雲だにも
   心あらなも隠さふべしや

■■大和三山とのツーショット■■
奈良盆地南部(大和盆地)を海とすると、ぽっかり浮かんだ小島のような三つの山が、いろいろな歌にも詠われた畝傍・耳成・香久の大和三山です。沿線を歩いて、なんとか三山とのツーショットが撮れる場所を探しました。
← 耳成山(畝傍〜香久山 間)

     後方の山が耳成山です。ここは比較的撮りやす
     く、わかりやすい場所ですが、右手にあるマンショ
     ンや線路際の商業施設の処理が面倒です。

      耳成の池し恨めし我妹子が
     来つつ潜かば水は涸れなむ
  




   ↓ 香久山(香久山駅)

       左手遠方にかすんで見えるの丘のような山が香久
       山です。香久山とのツーショットを撮れる場所は少
       なく、駅のホームからかろうじて見えました。

    春過ぎて夏来るらし白栲の
       衣干したり天の香久山
  畝傍山(畝傍〜香久山 間) →

   左手にぽつんとある山が畝傍山です。
   ここも広角でぎりぎりです。さらに左端
   の山の手前の森のようなところは藤原
   京跡です。

 思ひあまり
  いたもすべなみ玉たすき
   畝傍の山に
      我れ標結ひつ


■■万葉トレイン■■
JR西日本は、「奈良旅万葉ラッピングトレインコンテスト」の優秀な作品4点を、105系にラッピングしています。和歌山線まで乗り入れて行きますので、なかなか4種類全部と行き遇わないかと危惧しましたが、なんとか撮影できました。
    
     …旅万葉
      (畝傍駅)

 …万葉の四季
      【最優秀賞】
      (畝傍〜香久山)

 堰c万葉の四季
      【優秀賞】
      (帯解駅)

  …万葉の四季彩
      (香久山駅)
           

■■古事記ガイド列車■■
 12月9日までの土・日・祝限定で、奈良〜桜井間に1日2往復、「古事記ガイト列車」が走っています。明日香村を拠点として活動する劇団「時空」の団員が古代の衣装を身にまとい、列車内で古事記をはじめ沿線の歴史的遺産等をガイドしながら、記念撮影にも応じています。私が乗車した日は普通の105系電車が充当されており、内装も施してあるラッピング車輛ではなかったことが残念でした。また、奈良・桜井の両駅では、出発時間に合わせて寸劇も行われているようです。
 
← 奈良駅にて
 


 



       車内にて →
 

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