地震・防災関連用語集

カテゴリ:地質年代と地層

縄文海進

氷期の最盛期が過ぎると地球は温暖化に向かいます。温暖化に伴い氷河が縮小することによって海面が上昇し、陸地が海の進入(海進)を受けることになります。

最終氷期の最も寒冷化した時期(極相期=1万8千年前)以後、停滞や反動を繰り返しながら温暖化に向かい、約9,000年前からの急激な海進と約6,000年前~5,500年前の最大海進期を経て現在に至っています。

縄文海進(グラフ)

多摩川・鶴見川下流域から横浜港周辺の貝化石などから推定された1万5千年前以降の相対的な海面変化曲線(松島,1996)

「貝が語る縄文海進」松島義章2006より

最終氷期極相期以後の海進を縄文海進といい、海が最も陸地内部まで侵入したのが約6,000年前~5,500年前の縄文時代(早期末~前期)であったことからそのように呼ばれています。

縄文海進によって形成された堆積層が最初に東京の有楽町で調査研究されたことから、縄文海進を「有楽町海進」と呼ぶことがあります。また、完新世の海進であることから「完新世海進」、最終氷期以後の海進であることから「後氷期海進」と呼ばれることもあります。

東京下町低地を構成する有楽町層の基底には陸上の河川によって形成された谷が埋積してます。この埋積谷の延長は東京湾底の谷(古東京川)として浦賀水道の水深100m付近の海底まで追跡できることから、最終氷期以後の縄文海進によって100m以上の海水準の上昇があったと考えられています。

日本の大都市を形成する平野の多くは縄文海進とその後の海退によって形成された平坦面であり、その表層は最も新しい堆積物で被われています。

氷期には閉鎖されていた日本海は縄文海進に伴う海面上昇によって津軽海峡や朝鮮海峡などに海が進入して出入り口が開かれました。海進の結果、日本列島が形成されるとともに日本海への海流の進入によって冬季の積雪に見られるような大きな環境変化がもたらされました。また、紀伊水道と豊後水道とがつながって現在のような瀬戸内海が形成されたのは約7,500年前(縄文時代)であるとされています。

縄文時代の海進とその後の海退よって形成された新しい地盤は、地震時の震動の増幅や地盤の液状化、地盤沈下や不同沈下、洪水など、現在の災害と大きな関わりがあることがわかります。