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地震・防災関連用語集

カテゴリ:地質構造

付加体

プレートの沈み込みと付加体の形成概念図

プレートの沈み込みと付加体の形成概念図

四国・紀伊半島沖には南海トラフという海底の凹地が陸地に併行して走っていますが、ここは海洋プレートが日本列島を載せているプレートの下に沈み込んでいる場所です。

現在、四国・紀伊半島周辺の日本列島に沈み込みつつある海洋プレートは、年に数センチの速度で日本列島に近づいてきたプレートであり、時間を遡れば日本列島から遥か離れた南洋に位置していました。 外洋のコバルトブルーの海には陸地の河川から供給される土砂は届くことはなく、外洋の海底に堆積するのはプランクトンの遺骸のほかは大気中を漂う微細な粒子などだけです。海底にプランクトンの遺骸などを堆積させつつ、海洋プレートが数千万年もの時を経て日本列島に近づくと、海底には徐々に陸地起源の微細な粒子が堆積するようになります。

さらに、南海トラフまで達すると、河口や大陸斜面側から供給された砂や泥の堆積物が地震などにより乱(らん)泥(でい)流(りゅう)となり、南海トラフに沿って遠く運ばれ堆積します。繰り返し発生する乱泥流のため、南海トラフ沿いでは陸起源の砂や泥などの堆積物が外洋を起源とする堆積物の上に積み重なり厚さを増していきます。これらの堆積物は海洋プレートに乗ったまま日本列島の下に沈み込もうとします。しかし、海洋プレートは沈み込んでいくのに対し、堆積物の多くは海洋プレートから剥ぎ取られる。剥ぎ取られた堆積物は切断されて折りたたまれるかのようにして、南海トラフの陸側斜面に下から張り付いていきます。

このようにして張り付いた堆積物は陸側に傾斜した構造となって日本列島に付加するために付加した堆積物を付加体(ふかたい)と呼びます。付加体は地質時代を通じて断続的に日本列島に付加し、日本列島の基本的な地質構造を形成しています。