地震・防災関連用語集

カテゴリ:地形

地形分類

日本の地形分類

日本の地形分類

日本の地形は、「山地」「丘陵地」「台地」「低地」「内水域」の5つに分類され、その分布割合は右の図*1のようになります。山地と丘陵地が占める割合は全体の73%になることから、島国である日本は同時に山国ともいえます。このような地形は長い地質時代を通じて自然に形成されたものですが、狭い国土の有効利用を図るため、丘陵地や台地斜面を造成し、内水域を埋立てるなど、人工改変によって生活の場を広げてきました。人工改変によって維持管理されている生活の場は一見災害に対して安全なように思えても、雨が多く急峻な山地を背後に控える日本の環境は水害や土砂災害に対して大きなリスクを負っています。

「山地」「丘陵地」「台地」「低地」「内水域」の分類は地形によって分類されたものですが、地形は地質を強く反映しており、結果として標高とも大きく関係しています。例外は多々ありますが、「山地」から「低地」の順に頂部標高が低くなる、起伏が少なくなる、岩盤や地盤の形成年代が新しくなるなどは一般的な特徴です。

「山地」の多くは、新生代新第三紀以前に形成された岩盤よりなり、地殻変動による上昇と激しい侵食作用を経ることによって、山地の標高は高く、その斜面は急峻で細かく深い谷で刻まれています。そのほか、新しい時代に形成された山地(火山地)としては火山があります。

一般的な呼び名としての山地は地形分類の「丘陵地」を含む場合が多く、山地と同様な意味合いで、山脈、山系、山塊などを使うことがあります。細長く延びている山地を山脈、複数の山脈が並行している一連の山地を山系、塊状に分布する山地または断層で限られた山地を山塊と呼びますが、固有名詞としての使い分けは厳密ではなく、習慣的に使用されています。

固有名詞の例

飛騨山脈:北アルプスに同じ。富山県、岐阜県、長野県にまたがって延びる山脈で、最高峰は奥穂高岳(3,190m)。

関東山地:関東地方と中部地方を分け、秩父地方を中心とする山地で、最高峰は北奥千丈岳(2,601m)。

比良山系:比良山地に同じ。琵琶湖西岸に連なる山系で、最高峰は武奈ケ岳(ぶながたけ1,214m)。2筋の稜線からなる。

生駒山系:生駒山地に同じ。大阪平野と奈良盆地を分ける山系で、最高峰は生駒山(632m)。稜線に信貴生駒スカイラインが通っている。

和賀山塊:奥羽山脈の一角に位置し、秋田県・岩手県境に広がる山塊で、最高峰は和賀岳(1,440m)。

丹沢山塊:丹沢山地に同じ。神奈川県北西部を中心にして静岡県山梨県にまたがる山塊で、最高峰は蛭ケ岳(1,633m)。

「丘陵地」は新生代新第三紀~新生代第四紀更新世の前期に形成された地層よりなることが多く、概ね高度300m程度の丸みを帯びた頂部が起伏の少ない稜線を形成しています。丘陵地には谷が発達しており、丘陵地側面および谷筋側面は比較的急な斜面からなります。

「台地」は新生代第四紀更新世に形成された堆積面や侵食面(波食台)であり、当時の低地が隆起した地形です。隆起扇状地・隆起海岸平野・隆起波食台・海岸段丘(隆起と浸食)・河成段丘(隆起と浸食)などがあります。

「低地」は最も標高の低い陸地であり、代表として海岸平野や氾濫源あるいは扇状地などが挙げられます。低地は最も新しい時代(新生代第四紀完新世)に形成された平坦地であり、「台地」と共に都市部の主要な位置を占めています。

「内水域」とは港湾、湖沼の類であり、埋立の対象となることがあります。内水域およびその周囲には防潮堤・防波堤・護岸堤・港湾関連施設・漁協関連施設・用水施設などの構造物があります。

*1  データは「昭和57年度国土数値情報作成調査」による