地震・防災関連用語集

カテゴリ:地震

地震と震災

地震には震災も含めて総称的に使われることもありますが、一般には自然現象としての地震とそれによって発生する震災に分けられています。

地震は自然的現象であって発生を防ぐことはできませんが、震災はほとんどが社会的現象であるために社会的要因によって災害が拡大または縮小します。このように地震と震災を区別する思想はそれ程古い話ではなく、明治時代を通じ形成され大正時代の関東大震災を経て明確になったといわれています。関東大震災の後に東京帝国大学の今村明恒教授は多くの講演会に臨んで最初に地震と震災の違いから話し出すことが必要条件であり、これを話すことによって講演の目的の大部分が達せられたと言っています。(「地震の国」より)

明治以前の近代科学が発達していない段階では少なくとも一般庶民には地震と震災は区別はなく、震災は防ぐことのできない地震と一体化したものとして捉えられていたと思われます。地震と震災とを区別する思想がないので、当然のこととして防災といった考えも生まれてきません。

都市への人口集中は建物の過密化と高層化を生み出しました。わら屋根の時代であれば家屋が倒壊しても屋根を破って逃げ出すこともできたでしょうし、道を歩いていても頭上から物が降ってくることもまずないでしょう。これに対してコンクリートの建物が高度を増した現代ではコンクリートの建物が倒壊すれば助かる可能性は非常に小さくなります。火煙が迫ってきても高層階から飛び降りて助かる可能性はほとんどありません。道路上にはコンクリートのかけらやガラスあるいは屋外に取り付けた諸々のものが加速度を増して降ってきます。高速道路・地下鉄・鉄道が交錯して走っており、場合によっては脱線や横転します。高速度での脱線は破壊的な結果をもたらします。

過密化と高層化および交通の高速化は災害が拡大する要因であり、耐震化や道路の拡張など災害を縮小させる要因を凌いでいると多くの専門家は警告を発しています。都市の過密化と高層化など(社会的要因)に強風や大雨による地盤のゆるみなど(自然的要因)が重なれば被害は想像を超えて拡大すると懸念されています。

平成16年度のスマトラ沖地震、平成17年のパキスタン北部地震、そして平成23年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)などの災害(震災)の歴史を塗り替えるような震災がこの現代に起こっています。